説明

更新ソフトウェアの配信装置

【課題】ユーザによる積極的な更新ソフトウェアのダウンロードを促進することにより、更新ソフトウェアの適用率を向上させることのできる技術を提供する。
【解決手段】インターネット10を介して接続されたPC2に対して、インターネット10を介してコンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信装置1において、認証部11は、インターネット10を介してPC2から受信した情報に基づいて、PC2のユーザを認証する。配信部12は、認証部11により正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、ユーザのPC2に更新ソフトウェアを配信する。返還金通知部15は、更新ソフトウェアの配信に関わる情報をコンピュータに送信する。入金指示部16は、返還金通知部15により通知を受けたユーザからの要求を受信すると、更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金をユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブを介してコンピュータの更新ソフトウェアを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パーソナルコンピュータにインストールされているソフトウェアについては、一般的に、ウェブを介してダウンロードさせることにより、あるいはCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の媒体を配布することにより無償でその更新ソフトウェアが提供されている。
【0003】
更新ソフトウェアの配布方法としては、例えば、更新データベースにソフトウェア更新が入手可能なソフトウェア製品を示す情報を記憶させておき、ソフトウェアの更新情況を監視する技術について提供されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ユーザに対して情報発信媒体とは別の経路で情報提供や情報収集を行うことができるようにする方法として、ユーザが携帯電話から情報提供サーバにアクセスし、情報発信媒体から取得した情報IDを送信することにより情報提供を取得する技術について提供されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−91407号公報
【特許文献2】特開2005−243040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更新ソフトウェアの適用は、一般的にユーザにとっては手間のかかる作業であり、積極的に行われているとは言いがたい。そのため、ソフトウェアベンダー側は、更新ソフトウェアを提供していても、そのことがユーザ側に気付かれていない場合や、気付かれていたとしても、更新作業が行われていない場合がある。
【0006】
本発明は、ユーザによる積極的な更新ソフトウェアのダウンロードを促進することにより、更新ソフトウェアの適用率を向上させることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、開示の配信装置は、ネットワークを介して接続されたコンピュータに対して、該ネットワークを介して該コンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信装置であって、前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した情報に基づいて、前記コンピュータのユーザを認証する認証手段と、前記認証手段により正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、該ユーザのコンピュータに前記更新ソフトウェアを配信する配信手段と、前記更新ソフトウェアの配信に関わる情報を前記コンピュータに送信する通知手段と、前記通知手段により通知を受けたユーザからの要求を受信すると、前記更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金を該ユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して送信する指示手段と、を備えた構成とする。
【0008】
正規のユーザと認証されたユーザから更新プログラムの配信要求があった場合は、要求に応じて更新プログラムをユーザのコンピュータに配信し、ユーザに対して返還金与えることとする。ユーザに対して返還金について通知をし、ユーザ側から要求があった場合には、入金を管理する他のシステムに対して返還金分の入金を行うよう指示を出す。
【0009】
前記返還金額は、前記更新ソフトウェアが前記ネットワークを介して公開されたときから経過した日あるいは週に応じて設定される構成としてもよい。また、前記返還金額は、前記更新ソフトウェアが前記ネットワークを介して公開された日あるいは週に応じて、あるいは、コンピュータの保障を開始した日から経過した期間にしたがって、段階的に設定される構成としてもよい。
【0010】
前記更新ソフトウェアごとに前記コンピュータに配信済か否かを示す情報と対応付けて格納する手段を参照して、未配信の更新ソフトウェアがあるかを判定する判定手段と、を更に備え、前記通知手段は、前記判定手段により未配信と判定された前記更新ソフトウェアに関わる情報を、該コンピュータに通知することとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
開示の配信装置によれば、ユーザがより積極的に更新プログラムをダウンロードすることが期待でき、これにより、更新プログラムの適用率の向上が見込める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る配信装置による更新プログラムの配信方法の概要を示す図である。図1に示す配信装置1のウェブサーバは、インターネット10等のネットワークを介してユーザのパーソナルコンピュータ(ユーザPC、以下PCと略記)2と接続されている。また、配信装置1は、入金サーバ3とインターネット10あるいは他のネットワークを介して接続されている。
【0013】
本実施形態に係る配信装置1は、ユーザがインターネット10を介してウェブサーバにアクセスし、更新プログラムをダウンロードするためのサイトから所望の更新プログラムをダウンロードさせる。このとき、ユーザが登録済の正規のユーザであるか否かを認証し、正規のユーザと確認できた場合には、更新プログラムのダウンロードに伴って発生する返還金を正規のユーザに与えることとし、その旨をユーザに通知する。
【0014】
ユーザ側からの返還金の要求を受信すると、配信装置1は、入金サーバ3に対して、返還金をユーザの口座に入金するよう指示を出す。入金サーバ3は、例えば金融機関のシステムに含まれ、ユーザの口座を管理している。入金サーバ3は配信装置1からの指示にしたがって、ユーザの口座に返還金を入金する。
【0015】
図2は、配信装置1の構成図である。図2に示す配信装置は、認証部11、配信部12、格納部13、算出部14、返還金通知部15及び入金指示部16を含んで構成される。
認証部11は、ユーザのPC2から入力されたユーザIDやパスワード等と格納部13に格納されているユーザ登録情報とを比較して、認証処理を行う。配信部12は、更新プログラムの配信を行う。具体的には、ユーザが指定した更新プログラムを、インターネット10を介してPC2にダウンロードさせる。
【0016】
格納部13は、更新プログラムのほか、更新プログラムのバージョンやユーザへの返還金等の情報や、正規ユーザについてのユーザ登録情報等を格納している。
算出部14は、ユーザが更新プログラムをダウンロードしたことに伴って発生した、ユーザへの返還金の額を計算する。具体的な計算方法については後述する。返還金通知部15は、算出部14において算出した返還金の額等の情報をPC2に対して送信し、ユーザに返還金額を通知する。
【0017】
入金指示部16は、ユーザ側から返還金を入金するよう要求があったときは、ネットワークを介して接続されている入金サーバ3に対して、返還金をユーザの口座に入金するよう指示する。
【0018】
以下、本実施形態に係る配信装置1による更新プログラムの配信方法について、より具体的に説明する。
図3は、ユーザのPC2に表示されるログイン画面の例である。図3に示す画面は、ユーザがPC2から更新プログラムをダウンロードするためのサイトにログインするとき等にPC2の画面上に表示される。
【0019】
図3に示すように、例えばユーザIDやパスワード等の、認証情報をユーザに入力させる。配信装置1は、ユーザがPC2を介して入力したこれらの認証情報と、格納部13に格納するユーザ登録情報とを比較して、互いに一致するときは、正規のユーザによるアクセスと判定して、PC2に更新プログラムのダウンロードするサイトを表示させる。
【0020】
図4は、ユーザがダウンロード可能な更新プログラムの一覧を表示する画面の例である。配信装置1は、認証されたユーザがまだダウンロードしていない更新プログラムが存在するアプリケーションの一覧を作成する。
【0021】
一覧には、アプリケーションの名称、そのカテゴリ、更新プログラムの公開日、更新プログラムのバージョン、アプリケーションが動作するOS(Operating System)名称及び更新プログラムをダウンロードした場合にユーザに返還される金額(返金額)が表示される。アプリケーションの名称には、ユーザにより更新プログラムがまだダウンロードされていないアプリケーション名が表示される。
【0022】
ユーザは、画面に表示された一覧のうち、ダウンロードするアプリケーションを指定すると、そのソフトウェアについての更新プログラムのダウンロードが開始される。
なお、図4においては正規のユーザに対して表示させる画面を示しているが、登録済の正規のユーザ以外がサイトにアクセスして更新プログラムをダウンロードするときは、図4に示す画面例のうち、「返金額」の表示がない画面をユーザのPC2に表示させる。
【0023】
図5は、格納部13に格納されているデータの構造を示す図である。図5(a)は、アプリケーション返還金データについてのデータ構造の例であり、図5(b)は、ユーザデータについてのデータ構造の例である。
【0024】
図5(a)に示すように、アプリケーション返還金データは、管理番号、名称、バージョン、公開日及び返還金ベース金額情報を含んで構成される。
管理番号は、アプリケーションを識別するために、アプリケーションごとに割り当てられた番号からなる。名称は、管理番号が指すアプリケーションの名称からなる。バージョンは、アプリケーションの更新プログラムの最新バージョンが格納され、公開日は、最新バージョンの更新プログラムの公開日が格納される。返還金ベース金額情報は、ユーザへの返還金の額を算出するときの基準とされる金額が格納される。
【0025】
図5(b)に示すように、ユーザデータは、正規ユーザに関わる情報(以下ユーザ情報)(X)と、ユーザが登録しているアプリケーションのうち、更新プログラムの存在するアプリケーションに関わる情報(以下アプリケーション情報)(Y)とから構成される。
【0026】
ユーザ情報(X)は、ユーザID、ユーザ名、口座番号、購入機種、保障開始日及び返還金残額情報を含んで構成され、アプリケーション情報(Y)は、更新対象アプリ管理番号、ダウンロード済フラグ、更新日情報、返還金情報及び返還済フラグを含んで構成される。
【0027】
ユーザ情報(X)のうち、ユーザIDは、ユーザがPC2についてユーザ登録を行ったときにそのユーザに対して割り当てられた識別番号からなる。ユーザ名は、ユーザ登録されているユーザの氏名や名称からなる。口座番号は、返還金を入金すべき金融機関の口座番号からなる。購入機種は、PC2の機種からなり、保障開始日は、ユーザ登録によりPC2の保障を開始した年月日等からなる。返還金残額情報は、更新プログラムのダウンロードによりユーザが得た返還金の合計のうち、ユーザがまだ返還を求めていない金額を示す。
【0028】
アプリケーション情報(Y)のうち、更新対象アプリ管理番号は、更新プログラムが公開されているアプリケーションを識別するために、アプリケーションごとに割り当てられた番号からなる。ダウンロード済フラグは、更新対象アプリ管理番号により識別されるアプリケーションの更新プログラムについて、ダウンロード完了/未完了のいずれであるかを示す情報が格納される。更新日情報は、更新対象アプリ管理番号により識別されるアプリケーションの更新プログラムをダウンロードした日からなる。返還金情報は、ユーザごとにそのアプリケーションについての更新プログラムをダウンロードしたときに返還される金額が格納され、返還済フラグは、返還金をユーザに返還済/未返還のいずれであるかを示す情報が格納される。
【0029】
ユーザが更新プログラムのダウンロードサイトにログインするためにユーザID等の情報を入力すると、配信装置1において、格納部13のユーザ情報(X)を参照して、入力された情報と一致するか否かを判定する。正規のユーザと判定されたユーザに対して更新プログラムをダウンロードさせるときには、ユーザの指定したアプリケーションに対応する更新対象アプリ管理番号と図5(a)の管理番号とから計算した返還金額を、ユーザに通知する。
【0030】
返還金額の計算方法については、例えば、図5(a)の返還金ベース金額情報を参照して、ユーザが更新プログラムをダウンロードした日に基づいて計算する。具体的には、ユーザが更新プログラムのダウンロードを行った日が公開日から何日経過しているかに応じて、以下の計算式から算出する。
(返還金額)=(返還金ベース金額)×{(ダウンロードした日)−(保障開始日あるいは公開日のいずれか遅い日)}/30 (1)
上の(1)式によれば、公開日から30日以内に更新プログラムをダウンロードすれば、より早くダウンロードするほど多い金額がユーザに返還されることとなり、ユーザ側からの積極的な更新プログラムのダウンロードを期待することができる。
【0031】
なお、(1)式では、保障開始日あるいは更新プログラムの公開日のいずれか遅い日を基準日として、ダウンロードした時点での経過日数を数えている。これは、PC2の保障開始日すなわちユーザ登録を行った日が更新プログラムの公開日よりも後である場合には、保障開始日(ユーザが登録を行った日)から経過した日数で返還金を計算しようとするものである。
【0032】
なお、返還金の計算方法は、上の計算式による方法に限らない。例えば、更新プログラムの公開日あるいはPC2の保障開始日のいずれか遅い日を基準日として、基準日から経過した週に基づいて段階的に返還金が設定される構成としてもよい。あるいは、保障開始
日または更新プログラムの公開日のいずれか一方を基準日として計算する構成としてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態においては、更新プログラムをダウンロードしたユーザに対して返還金を与えることにより更新プログラムの適用率の向上を図ることとしているが、他の形態でユーザに特典を与える構成とすることもできる。例えば、返還金としてユーザの口座に入金する代わりに、返還金分のポイントをユーザに対して与え、新たにPCやアプリケーションを購入するときに、使用するポイントに応じて割引する構成としてもよい。
【0034】
更には、ユーザが対象となる更新プログラムをダウンロード済であるか否かを、ダウンロード済フラグを参照することにより判定し、まだダウンロードされていないと判定された場合は、ダウンロードが済んでいない更新プログラムが存在する旨通知する構成としてもよい。更には、配信装置1からダウンロードが済んでいない更新プログラムが存在する旨通知を受けたユーザが、その後更新プログラムのダウンロードを行った場合においても、返還金やポイントを加算する付与する構成としてもよい。この場合の返還金の額等の計算方法は、上記の返還金ベース金額を用いてもよいし、他のベース金額を設定しておくこととしてもよい。
【0035】
図6は、本実施形態に係る更新プログラムの配信方法を示すフローチャートである。図6に示す処理は、図3に示すログイン画面にユーザID等の情報がユーザにより入力されたことを契機として開始される。
【0036】
まず、ステップS1で、入力された情報と登録されている情報とを比較して、登録済のユーザであるか否かを判定する。ユーザにより入力された情報と、登録されている情報とが互いに一致しないときは、未登録のユーザであると判定し、ステップS2で、図4に示すアプリケーションの一覧のうち、返還金の表示欄を非表示に設定し、ステップS3に進む。ユーザにより入力された情報と登録されている情報とが互いに一致したときは、登録済のユーザであると判定し、ステップS3に進む。
【0037】
ステップS3で、更新プログラムをダウンロード可能なアプリケーションの一覧をPC2の画面に表示させ、ステップS4で、ユーザが指定した更新プログラムのダウンロードを許可し、ユーザに対して更新プログラムを配信する。ステップS5で、更新プログラムをダウンロードしたユーザが登録済ユーザであるか否かを判定する。ステップS5においては、例えば、先にステップS1で行った判定の結果を参照することにより判定を行う。登録済のユーザではないと判定された場合は、特に処理を行わず、ステップS7に進む。
【0038】
ステップS5の判定で、登録済のユーザであると判定された場合は、ステップS6に進み、ユーザデータの更新を行う。ここでは、図5(b)に示すユーザデータのうち、ダウンロードを行ったアプリケーションについてのアプリケーション情報(Y)の更新を行う。具体的には、ダウンロード済フラグについては、「ダウンロード済」であることを示す値を格納し、更新日情報については、ダウンロードした年月日を格納し、返還金情報については、上記の計算方法により計算した返還金の額を格納する。ユーザデータを更新すると、ステップS7に進む。
【0039】
ステップS7で、更新プログラムのダウンロードが完了すると、ユーザに対して更新プログラムのダウンロードにより生じた返還金の額を通知し、ステップS3に戻る。なお、ユーザに対して通知する返還金の額については、まだユーザが入金を要求していない返還金の合計額を通知することとしてもよいし、内訳についても通知することとしてもよい。あるいは、ダウンロードした更新プログラムのみについての返還金の額を通知することとしてもよい。更新プログラムをダウンロード済のアプリケーションについては、一覧から
削除して、残りのアプリケーションについての一覧を表示する。以降、ユーザがログアウトするまで、あるいは、一覧に表示されている全てのアプリケーションについて更新プログラムのダウンロードが完了するまで、同様の処理を繰り返す。
【0040】
図7は、ユーザへの返還金の額を決定する処理を示したフローチャートである。図7に示す処理は、実施例では、上記のステップS3においてアプリケーション一覧を表示させるタイミングで、あるいは、基準日から経過した日あるいは週に応じて段階的に返還金を設定する場合に、返還金の額を更新するタイミングで実行される。また、図7に示す処理は、図5(b)のユーザデータのうち、更新対象アプリ管理番号により識別されるアプリケーションごとに実行される。
【0041】
先ず、ステップS11で、返還金算出の対象とされている更新プログラムについて、ユーザによりダウンロード済であるか否かを判定する。対象のアプリケーションについてのアプリケーション情報(Y)のダウンロード済フラグを参照して、ダウンロード済を示す値が格納されているときは、ステップS12で、アプリケーション情報(Y)の返還金上方に「0円」を設定し、処理を終了する。ダウンロード済フラグにダウンロードが未完了であることを示す値が格納されているときは、ステップS13に進む。
【0042】
ステップS13で、PC2の保障開始日が、返還金算出対象とされている更新プログラムの公開日よりも日が浅いか否か、すなわち公開日よりも後か否かを判定する。ユーザ情報(X)の保障開始日と、図5(a)のアプリケーション返還金情報のうち、公開日情報とを参照して、公開日が保障開始日よりも先の場合は、ステップS14に進み、公開日が保障開始日よりも後の場合は、ステップS15に進む。
【0043】
ステップS14では、経過期間Tに、公開日からの経過日数を設定して、ステップS16に進む。ステップS15では、経過期間Tに、保障開始日からの経過日数を設定して、ステップS16に進む。
【0044】
ステップS16で、上記の(1)式より求めた額をアプリケーション情報(Y)の返還金情報に設定し、処理を終了する。
図8は、ユーザからの返還金の入金要求にしたがって、図5(b)に示すユーザデータを更新する処理を示したフローチャートである。図8に示す処理は、上記の更新プログラムの配信処理を行った後に引き続き実行する構成としてもよいし、あるいは、ユーザからの返還金を照会するためのサイト等へのアクセスに対して、ユーザIDやパスワード等の情報により正規のユーザによるアクセスと認証できた場合に、そのサイトにログインさせて実行する構成としてもよい。
【0045】
まず、ステップS21で、ユーザ側からの返還金要求通知を受信する。更新プログラムのダウンロードに対してポイントを付与する構成の場合は、ポイント使用要求を受信する。
【0046】
ステップS22で、返還金(あるいは使用ポイント)を計算する。実施例では、アプリケーションごとに返還金(あるいは使用ポイント)を返還等することとし、ユーザが指定したアプリケーションに対応する返還金の額を、アプリケーション情報(Y)から読み出すことにより返還金を計算する。
【0047】
なお、ユーザが入力した金額分あるいはポイント分について返還等する構成とすることもできる。このような構成の場合は、ユーザ情報(X)の返還金残額情報(残ポイント情報)を参照し、その残り金額(残ポイント)の範囲内で、ユーザが指定する金額(ポイン
ト)を減算する。
【0048】
ステップS22で返還金等を計算すると、ステップS23で、ユーザデータの更新を行う。具体的には、ユーザ情報(X)の返還金残額情報及びアプリケーション情報(Y)の返還金を更新する。アプリケーション情報(Y)の返還金については「0」を設定し、返還金残額情報については、アプリケーションごとの返還金の合計額を設定する。ユーザデータを更新すると、ステップS24に進む。
【0049】
ステップS24で、入金サーバ3に対してステップS2で計算した返還金を通知する。ユーザからの要求がポイント使用要求である場合には、ポイントを使用して製品等を購入する際の窓口となる端末やアプリケーション等に、使用ポイント数を通知する。
【0050】
最後に、ステップS25で、ユーザデータを更新し、返還金残額情報からユーザが要求した金額を減算して、返還金残額情報を設定し直す。ポイントによる場合は、残ポイントからユーザが使用を要求した分のポイントを減算し、残ポイントを設定し直す。全額返還あるいは全ポイント使用を要求されている場合は、それぞれ返還金残額情報及び残ポイントに「0」を設定し、処理を終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る配信装置1によれば、ユーザは更新プログラムをダウンロードするときに返還金等の特典を得ることができるため、更新プログラムの適用率の上昇を見込める。これにより、サポートセンターへの問い合わせや返品、返金要求等の件数を減らし、ベンダ側の時間的及び金銭的コストを低減させることができる。また、正規ユーザの更新情況を適切に管理することができるようになる。更には、返還金の額等を更新プログラムの公開日から段階的に低く設定していく構成にすることにより、更新の必要があるプログラムの提供が不当に遅れた場合にはベンダにも負担がかかることとなる。このため、ベンダ側も品質向上に努め、副次的に品質向上に寄与する、という効果が得られる。
【0052】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ネットワークを介して接続されたコンピュータに対して、該ネットワークを介して該コンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信装置であって、
前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した情報に基づいて、前記コンピュータのユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、該ユーザのコンピュータに前記更新ソフトウェアを配信する配信手段と、
前記更新ソフトウェアの配信に関わる情報を前記コンピュータに送信する通知手段と、
前記通知手段により通知を受けたユーザからの要求を受信すると、前記更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金を該ユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して送信する指示手段と、
を備えたことを特徴とする記載の配信装置。
(付記2)
前記指示手段は、前記ユーザの口座に前記返還金を入金するよう、該口座を管理するシステムに指示を送信する
ことを特徴とする付記1記載の配信装置。
(付記3)
前記指示手段は、割引に利用可能なポイントの合計に前記返還金額分のポイントを加算するよう、該ポイントを管理するシステムに指示を送信する
ことを特徴とする付記1記載の配信装置。
(付記4)
前記返還金額は、前記更新ソフトウェアが前記ネットワークを介して公開されたときから経過した日あるいは週に応じて設定される
ことを特徴とする付記1記載の配信装置。
(付記5)
前記返還金額は、前記更新ソフトウェアが前記ネットワークを介して公開されたときから経過した期間にしたがって、段階的に設定される
ことを特徴とする付記1記載の配信装置。
(付記6)
前記返還金額は、前記コンピュータの保障開始日から経過した期間にしたがって、段階的に設定される
ことを特徴とする付記1記載の配信装置。
(付記7)
前記更新ソフトウェアごとに前記コンピュータに配信済か否かを示す情報と対応付けて格納する手段を参照して、未配信の更新ソフトウェアがあるかを判定する判定手段と、
を更に備え、
前記通知手段は、前記判定手段により未配信と判定された前記更新ソフトウェアに関わる情報を、該コンピュータに通知する
ことを特徴とする付記1記載の配信装置。
(付記8)
ネットワークを介して接続されたコンピュータに対して、該ネットワークを介して該コンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信方法であって、
前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した情報に基づいて、前記コンピュータのユーザを認証する認証ステップと、
前記認証ステップにおいて正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、該ユーザのコンピュータに前記更新ソフトウェアを配信する配信ステップと、
前記更新ソフトウェアの配信に関わる情報を前記コンピュータに送信する通知ステップと、
前記通知ステップにより通知を受けたユーザからの要求を受信すると、前記更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金を該ユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して送信する指示ステップと、
を備えたことを特徴とする配信方法。
(付記9)
ネットワークを介して接続されたコンピュータに対して、該ネットワークを介して該コンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信プログラムであって、
前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した情報に基づいて、前記コンピュータのユーザを認証し、
前記認証処理により正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、該ユーザのコンピュータに前記更新ソフトウェアを配信し、
前記更新ソフトウェアの配信に関わる情報を前記コンピュータに通知し、
前記通知を受けたユーザからの要求を受信すると、前記更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金を該ユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して指示する、
処理を備えることを特徴とする配信プログラム。
(付記10)
ネットワークを介して接続されたコンピュータに対して、該ネットワークを介して該コンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに
前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した情報に基づいて、前記コンピュータのユーザを認証するステップと、
前記認証ステップにおける認証処理により正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、該ユーザのコンピュータに前記更新ソフトウェアを配信するステップ
と、
前記更新ソフトウェアの配信に関わる情報を前記コンピュータに通知するステップと、
前記通知を受けたユーザからの要求を受信すると、前記更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金を該ユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して指示するステップと、
を動作させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る配信装置による更新プログラムの配信方法の概要を示す図である。
【図2】配信装置の構成図である。
【図3】ユーザのPCに表示されるログイン画面の例である。
【図4】ユーザがダウンロード可能な更新プログラムの一覧を表示する画面の例である。
【図5】格納部に格納されているデータの構造を示す図である。
【図6】更新プログラムの配信方法を示すフローチャートである。
【図7】ユーザへの返還金の額を決定する処理を示したフローチャートである。
【図8】返還金についての返還要求にしたがって、ユーザデータを更新する処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 配信装置
2 パーソナルコンピュータ
3 入金サーバ
11 認証部
12 配信部
13 格納部
14 算出部
15 返還金通知部
16 入金指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されたコンピュータに対して、該ネットワークを介して該コンピュータの更新ソフトウェアを配信する配信装置であって、
前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した情報に基づいて、前記コンピュータのユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により正規のユーザと認証されたユーザからの配信要求にしたがって、該ユーザのコンピュータに前記更新ソフトウェアを配信する配信手段と、
前記更新ソフトウェアの配信に関わる情報を前記コンピュータに送信する通知手段と、
前記通知手段により通知を受けたユーザからの要求を受信すると、前記更新ソフトウェアの配信に伴って発生した返還金を該ユーザに返還する旨の指示を、他のシステムに対して送信する指示手段と、
を備えたことを特徴とする記載の配信装置。
【請求項2】
前記返還金額は、前記更新ソフトウェアが前記ネットワークを介して公開されたときから経過した日あるいは週に応じて設定される
ことを特徴とする請求項1記載の配信装置。
【請求項3】
前記返還金額は、前記更新ソフトウェアが前記ネットワークを介して公開されたときから経過した期間にしたがって、段階的に設定される
ことを特徴とする請求項1記載の配信装置。
【請求項4】
前記返還金額は、前記コンピュータの保障開始日から経過した期間にしたがって、段階的に設定される
ことを特徴とする請求項1記載の配信装置。
【請求項5】
前記更新ソフトウェアごとに前記コンピュータに配信済か否かを示す情報と対応付けて格納する手段を参照して、未配信の更新ソフトウェアがあるかを判定する判定手段と、
を更に備え、
前記通知手段は、前記判定手段により未配信と判定された前記更新ソフトウェアに関わる情報を、該コンピュータに通知する
ことを特徴とする請求項1記載の配信装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−187216(P2009−187216A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25498(P2008−25498)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】