説明

更新情報提供システム、端末装置、並びに情報提供サーバ

【課題】ウェブサイトに新しい更新情報が存在する場合に、端末装置にこの更新情報を取得させ、社員の都合のよいときに更新情報の閲覧を見落としをすることなくしてもらう。
【解決手段】この情報提供システムは、Web(WWW、IP網など)を介して取得して閲覧可能な情報であるWeb文書(例えば、HTML文書、XML文書、電子メールなど)と、Web文書の更新内容を記述した更新情報(例えば、RSS文書)を記憶する情報提供サーバと、更新情報を取得しユーザに閲覧させるRSSリーダ部を有する端末装置と、SIPリクエストを用いて端末装置と接続を確立し、端末装置に所定のリクエストを送信するSIPサーバとを有する。情報提供サーバは、新たな更新情報を有する場合、SIPサーバに更新情報の取得を促す所定のリクエストを端末装置に宛てて送信させ、端末装置はそのリクエストに応じて情報提供サーバから更新情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更新情報提供システム、端末装置、並びに情報提供サーバに関し、より詳しくは、更新情報を自動的に端末装置に取得させることにより、例えば会社外など外出先であっても更新情報を閲覧できる更新情報提供システム、端末装置、並びに情報提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業などは、時間、場所や組織の垣根を越えた情報共有を図り、また情報資産の活用と業務の効率化を求め、社員などの情報の共有化を図っている。たとえば、いわゆるグループエアの導入により、各社員が共通の情報資産(掲示板、スケジュール管理ソフト、など)に随時アクセスできるようにして、グループ、プロジェクトメンバ間の業務連携や進捗管理ができるようにしたり、利用頻度の高いドキュメント(各種資料、伝達文書など)を閲覧したり、外出先、出張先から携帯電話を利用して届出・承認・設備予約やスケジュール管理を行えるようにしている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−259589号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような情報の共有化を図るためのシステムを利用する場合、重要な情報の更新がなされた場合、その更新内容を社員などに閲覧してもらう必要がある。しかし社員が営業活動などのために社外に出ている場合には、必ずしもすべての更新情報を閲覧できないおそれがある。なぜなら、共通の情報資産(掲示板、スケジュール管理ソフト、など)を構成するすべてのWeb文書を閲覧して回ることは、社員にとって時間をとられるため業務に支障が出るおそれがある。また、すべてのWeb文書を閲覧するためには十分なデータ転送量が必要となるが、外出先の通信環境ではデータ転送量が十分確保されない通信環境となる場合も考えられる。
【0004】
本発明の目的は、ウェブサイトに新しい更新情報が存在する場合に、端末装置にこの更新情報を取得させ、社員の都合のよいときに更新情報の閲覧を見落としをすることなくしてもらうことを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有している。
本発明の第1の態様は、更新情報提供システムとして提案される。
この情報提供システムは、Web(WWW、IP網など)を介して取得して閲覧可能な情報であるWeb文書(例えば、HTML文書、XML文書、電子メールなど)と、Web文書の更新内容を記述した更新情報(例えば、RSS文書)を記憶する情報提供サーバと、更新情報を取得しユーザに閲覧させる更新情報閲覧手段(例えば、RSSリーダ部)を有する端末装置と、SIPリクエストを用いて端末装置と接続を確立し、端末装置に所定のリクエストを送信するSIPサーバとを有する。情報提供サーバは、新たな更新情報を有する場合、SIPサーバに更新情報の取得を促す所定のリクエストを端末装置に宛てて送信させ、端末装置はそのリクエストに応じて情報提供サーバから更新情報を取得することを特徴とする。
【0006】
本システムによれば、新たな更新情報が存在する場合には、情報提供サーバからSIPサーバを経由して端末装置に所定のリクエストを送ることにより、端末装置に更新情報の取得を行わせることができる。そのため、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことが防止される。
【0007】
上記の更新情報提供システムにおいて、SIPサーバは、端末装置若しくは端末装置のユーザについて宛先情報(例えば、電話番号、SIP URI)を含む登録情報を記憶するロケーションサーバ手段と、登録情報を更新するレジストラ手段とを有し、所定のリクエストをロケーションサーバ手段に記憶された宛先情報に応じて送信するという特徴をさらに有するようにしてもよい。
【0008】
このような更新情報提供システムによれば、SIPサーバを経由することにより、SIPサーバが実現するモビリティ機能を利用でき、ターミナルモビリティ、パーソナルモビリティに応じて適切な端末装置に随時端末装置に更新情報の取得を行わせることができ、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことを防止できる。
【0009】
上記の更新情報提供システムにおいて、端末装置は、更新情報に対応するWeb文書を所定のリクエストに応じて情報提供サーバから取得することをさらに特徴として有していてもよい。
【0010】
このような更新情報提供システムによれば、更新情報(更新内容の要約やヘッダ)を見て、より詳細についてユーザが知りたいと思った場合、端末装置が情報提供サーバにアクセスできない通信環境にある場合(地下にいる場合、接続可能なアクセスポイントがない場合など)であっても、端末装置のユーザは即時に更新情報に対応するWeb文書を閲覧できるため、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことを防止できる。
【0011】
本発明の第2の態様は、端末装置として提案される。
【0012】
この端末装置は、更新情報(例えば、RSS文書)を取得してユーザに閲覧させる更新情報閲覧手段(例えば、RSSリーダ部)と、SIPサーバとの間でセッションの開設を行うと共に、SIPサーバから所定のリクエストを受信すると、更新情報閲覧手段を起動させて更新情報を取得させる通知処理手段(例えば、通知処理部)とを有することを特徴としている。
【0013】
このような端末装置によれば、新たな更新情報が存在する場合には、端末装置に送られる所定のリクエストに応じて、更新情報の取得を行わせることができる。そのため、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことが防止される。
【0014】
上記端末装置は更新情報に対応するWeb文書を取得して、これを端末装置のユーザである社員に閲覧させるWeb文書閲覧手段をさらに有し、通信処理手段は、SIPサーバから所定のリクエストを受信すると、Web文書閲覧手段を起動させて更新情報を取得させることを特徴としていてもよい。
【0015】
このような端末装置によれば、更新情報(更新内容の要約やヘッダ)を見て、より詳細についてユーザが知りたいと思った場合、端末装置が情報提供サーバにアクセスできない通信環境にある場合(地下にいる場合、接続可能なアクセスポイントがない場合など)であっても、端末装置のユーザは即時に更新情報に対応するWeb文書を閲覧できるため、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことを防止できる。
【0016】
本発明の第3の態様は、情報提供サーバとして提案される。
【0017】
この情報提供サーバは、Web文書を要約するために用意された共通のデータフォーマットで記述され、Webを経由して閲覧可能な更新情報(例えば、RSS文書)を記憶すると共に、端末装置からの要求に応じて更新情報を端末装置に宛てて送信する更新情報送信手段(例えば、RSS文書送信部)と、端末装置に対して未送信の更新情報である未読更新情報の有無を判定する更新管理手段(例えば、更新管理部)と、更新管理手段が未読更新情報があると判定した場合、その未読更新情報の受け取り先となる端末装置に、未読更新情報の取得を求めるリクエストである所定のリクエストをSIPサーバに送信させる通知手段(例えば、通知部)とを有することを特徴としている。
【0018】
かかる情報提供サーバによれば、新たな更新情報が存在する場合には、端末装置に送られる所定のリクエストに応じて、更新情報の取得を行わせることができる。そのため、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことが防止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、新たな更新情報が存在する場合には、SIPサーバを経由して送られる所定のリクエストを用いて端末装置に更新情報の取得を行わせることができる。その結果、端末装置のユーザが更新情報の取得忘れや閲覧漏れをおこすことが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる更新情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【0021】
本更新情報提供システム1は、社員やメンバなどの更新されたスケジュールや、未読の電子メールなどの情報を社員の端末装置10に配信する。
【0022】
本システムの主な構成要素は、社員が社内情報を閲覧するための端末装置10と、社内情報を記憶し、これを端末装置に提供する情報提供サーバ30と、情報提供サーバが端末装置10に更新情報の取得を促す際に、SIP(Session Initiation Protocol)メッセージを端末装置に送るSIPサーバ20とを有している。
【0023】
情報提供サーバ30及びSIPサーバ20は、社内LAN40に接続されている。端末装置10は、一人の社員につき必ずしも一台に限られない。社内にいる場合には社内LAN40に接続可能なPC(パーソナルコンピュータ)であり、社外に外出した場合にはアクセスポイント50に接続可能であってIP網60を経由して社内LAN40に接続可能なノートブック型PC、あるいは携帯電話網70及びIP網60を経由して社内LANに接続可能な携帯電話機、あるいは自宅のPCなどを、状況に応じて切り替えながら(あるいは同時に)その社員の使用する端末装置として利用できる。
【0024】
[SIPサーバ]
SIPサーバ20は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに、情報処理装置をSIPサーバ20として機能させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することによりSIPサーバ20が実現される。また、上記プログラムは必ずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であってもよい。
【0025】
図2は、SIPサーバ20の構成例を示す機能ブロック図である。
本実施の形態にかかるSIPサーバ20は、レジストラ部201と、ロケーションサーバ部202と、プロキシサーバ部203を有している。
【0026】
レジストラ部201はSIPのREGISTERリクエストを受け取って、データベースであるロケーションサーバ部202に登録されているユーザエージェント(端末装置)の情報を更新する。例えばあるユーザ(社員)が自分の居場所として職場のPCを登録するために、SIPサーバ20、より詳しくはレジストラ部201にSIPメッセージであるREGSITERリクエストを送信すると、これを受信したレジストラ部201は、ロケーションサーバ部202に登録されているそのユーザの登録情報を更新させて、ユーザに登録完了を表す「200 OK」レスポンスを返す。レジストラ部201、及びロケーションサーバ部202により、本システムにおけるモビリティ(ターミナルモビリティ、ローミングユーザ、パーソナルモビリティ、サービスモビリティ、セッションモビリティ)が実現されるようになっている。
【0027】
ロケーションサーバ部202は、SIPエンティティのURL,IPアドレス、スクリプト、サポート機能、その他のプリファレンスなどを格納するデータベースである。レジストラ部201によって受け付けた端末装置10の変更登録、すなわちユーザの登録情報の変更はロケーションサーバ部202に記憶される。
【0028】
プロキシサーバ部203は、ユーザエージェントである端末装置10や別のプロキシサーバからのSIPリクエストを受け取って、他の宛て先(例えば、着呼側のユーザエージェントである端末装置10)に転送したり、代理送信したりするサーバである。
【0029】
[情報提供サーバ]
情報提供サーバ30は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに、情報処理装置を情報提供サーバ30として機能させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより情報提供サーバ30が実現される。また、上記プログラムは必ずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であってもよい。
【0030】
図3は、本実施の形態にかかる更新情報提供システム1を構成する情報提供サーバ30の構成例を示す機能ブロック図である。
情報提供サーバ30は、Web文書送信部301と、RSS文書送信部302と、更新管理部303と、通知部304とを有している。
Web文書送信部301は、端末装置10のユーザに情報を閲覧させるために、端末装置10からの閲覧要求に応じて、要求にかかるWeb文書(HTML文書、電子メールなどIP網を通じて送信可能な文書(画像、動画、音声を含む))を端末装置10に宛てて送信する機能を有し、いわゆるWebサーバ、WWWサーバとして機能する構成要素である。
【0031】
RSS文書送信部302は、Web文書を要約するために用意された共通のデータフォーマットで記述された、Webを経由して閲覧可能な更新情報であるRSS文書(RDF Site Summary)を、端末装置10からの送信要求に応じてその端末装置10に宛てて送信する機能を有する。RSSとは、Webサイトの見出しや要約などのメタデータを構造化して記述するXMLベースのフォーマットであって、主にサイトの更新情報を公開するのに使われている。RSSで記述された文書であるRSS文書には、Webサイトの各ページのタイトル、アドレス、見出し、要約、更新時刻などを記述することができる。RSS文書を用いることで、多数のWebサイトの更新情報を統一的な方法で効率的に把握することができる。
【0032】
なお、RSS文書送信部に格納されるRSS文書は、Web文書送信部301が格納するWeb文書の更新情報及び/又は要約などを記述したものであって、端末装置10のユーザである社員がRSS文書送信部302からRSS文書を取得し、これを閲覧することにより自分が未読の情報(新規、更新の双方を含む)があることを容易に認識できる。
【0033】
更新管理部303は、端末装置10のユーザである各社員ごとに、既読/未読の更新情報の別を管理し、未読の更新情報の有無を監視する。更新管理部303は、それぞれ社員について、未読の更新情報がある場合であって、且つ所定の条件が成立した場合、通知部304にその社員の端末装置10に対して、RSS文書の取得を要求するメッセージである所定のリクエストを送信するよう要求する。ここで、「所定の条件」とは、未読の更新情報の閲覧を社員に促すに適した時期の到来であって、例えば、未読の更新情報の発生から所定期間の経過(12時間、1日など)、未読の更新情報件数が所定数以上になったことなど、である。
【0034】
通知部304は、更新管理部303から、ある社員に対して所定のリクエストを送信する旨の要求を受け取ると、所定のリクエストを、SIPサーバ、より詳しくはプロキシサーバを経由してその社員(以下、通知対象社員)の端末装置10に送信する。通知部304は、SIPのユーザ・エージェント・クライアント(UAC)として機能する。
【0035】
通知部304がその通知対象社員の端末装置10に所定のリクエスト(例えば、SIPリクエストのSUBSCRIBEリクエスト,あるいはNOTIFYリクエスト、など)を送信すると、その通知対象社員の端末装置10はこのリクエストに応答して、RSS文書送信部302からRSS文書を取得し、ローカルな記憶装置に記憶する。通知対象社員は端末装置10のRSSリーダを用いてこのRSS文書を閲覧することにより、自分にとっての未読の更新情報を認識することができる。
【0036】
[端末装置]
次に、本更新情報提供システム1の端末装置10について説明する。
【0037】
端末装置10は、社内LAN40に直接接続し、あるいは携帯電話網70、IP網60を経由して社内LAN40に接続してSIPサーバ20及び情報提供サーバ30に接続可能な情報処理装置であって、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、あるいはIP電話機能、Web接続機能、及びRSSリーダ機能を有する携帯電話機、コンピュータ、もしくは移動体通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)などである。
【0038】
図4に、端末装置10の一構成例の機能ロック図を掲げる。
端末装置10は、リクエスト(SIPリクエストを含む)を受信して所定の処理を行う通知処理部101と、情報提供サーバ30のRSS文書送信部302からRSS文書を取得して、これを端末装置10のユーザである社員に閲覧させるRSSリーダ部102と、情報提供サーバ30のWeb文書送信部301からWeb文書を取得して、これを端末装置10のユーザである社員に閲覧させるWebブラウザ部103と、RSSリーダ部102及びWebブラウザ部103の表示処理結果を画像として表示する表示装置(例えば、液晶ディスプレイ装置)104とを有している。
【0039】
通知処理部101は、SIPのユーザ・エージェント・サーバ(UAS)として機能し、プロキシサーバ部203を経由した通知部304からのSIPリクエストを受信する。受信したSIPリクエストが、RSS文書及び/又はWeb文書の取得を要求することを意味する場合、通知処理部101はRSSリーダ部102及びWebブラウザ部103に、RSS文書送信部302及びWeb文書送信部301からRSS文書及びWeb文書を取得し、ローカルな記憶装置にこれらのデータを記憶させる。
【0040】
RSSリーダ部102は、ローカルな記憶装置に記憶したRSS文書を所定のタイミングで表示装置104に表示させ、ユーザにRSS文書の閲覧を行わせる。所定のタイミングは、例えば、所定の時刻となった場合、あるいは所定の時間が経過した場合、あるいは電源を投入されて端末装置10が起動した場合、などである。RSSリーダ部102は、ユーザの操作を必要とすることなく、自立的にRSS文書送信部302から最新のRSS文書を取得する。従って、ユーザがRSS文書の取得、閲覧を忘れていても、自動的に端末装置10がRSS文書を取得し、その結果端末装置10のユーザは常に最新の未読の更新情報を閲覧できるようになっている。
【0041】
Webブラウザ部103は、ローカルな記憶装置に記憶したWeb文書を所定のタイミングで表示装置104に表示させ、ユーザにWeb文書の閲覧を行わせる。所定のタイミングとは、ユーザがRSSリーダ部102が表示した未読の更新情報についてのアンカー(ハイパーリンク)を活性化させたとき、などである。本実施の形態では端末装置10がWeb文書をローカルな記憶装置に記憶するため、端末装置10が情報提供サーバ30にアクセスしなくとも未読の更新情報を閲覧することを可能としている。この特徴を有することにより、端末装置10が情報提供サーバ30にアクセスできない環境や状況であっても、随時ユーザが未読の更新情報を閲覧することが可能となり、その結果、たとえば一刻を争い緊急に知らせたい情報が未読であっても、端末装置10の通信環境にかかわらずいつ何時でもユーザに閲覧させることが可能となる。
【0042】
[更新情報提供システムの動作例]
次に、上記の更新情報提供システム1の動作例について、図5を参照しながら説明する。図5は、更新情報提供システム1の動作例を示すシーケンス図である。
【0043】
まず初めに、情報提供サーバ30においてあるWeb文書が更新されたものとする(ステップS501)。例えば、ある部課におけるメンバの変更されたスケジュール、新しい会議予定通知がWeb文書としてWeb文書送信部301に更新されたWeb文書がアップされ、記憶される。
【0044】
RSS文書送信部302にもこの更新された更新されたWeb文書に対応したRSS文書がアップされ記憶される。例えば、「◎月◎日 最新スケジュール更新」「新会議予定のお知らせ」などのヘッダを有するRSS文書が作成され、RSS文書送信部302に記憶される。なお、RSS文書の作成は、プログラムによって更新されたWeb文書から自動的に生成する仕組みとしてもよいし、あるいはオペレータや担当者がWeb文書の内容から手入力により作成する仕組みであってもよい。
【0045】
つぎに、情報提供サーバ30、より詳しくは更新管理部303は更新チェックを行う(S502)。更新チェックは、新しいRSS文書若しくは更新されたRSS文書がRSS文書送信部302に存在するか否かをチェックし、存在する場合にはそのRSS文書を取得させるべき社員(若しくは端末装置10)を特定する処理である。各RSS文書にはその文書を閲覧する社員(若しくは端末装置10)が対応付けされて記憶されており、更新管理部303はそのRSS文書を取得させる社員(若しくは端末装置10)を特定できるようになっている。
【0046】
更新チェック(S502)において、更新管理部303が新しいRSS文書若しくは更新されたRSS文書がRSS文書送信部302に存在すると判定した場合は、更新管理部303は、RSS文書配信部302からRSS文書を取得するよう促すリクエストをそのRSS文書に対応する社員の端末装置10(一台とは限らない;以下「通知宛先端末装置」と呼ぶ)、より詳しくは通知処理部101に送るように、通知部304に指示する。例えば、更新管理部303はそのRSS文書のURLと、その社員の識別情報(例えば、SIP URI、あるいは電話番号)を通知部304に渡す。
【0047】
更新管理部303から指示を受け取った通知部304は、通知処理を開始するため起動する(S503)。
【0048】
起動した通知部304は、受け取った社員の識別情報に基づいて、RSS文書配信部302からRSS文書を取得することを促すリクエストをSIPサーバ20、より詳しくはプロキシサーバ部203を経由して通知宛先端末装置10に送信する。
【0049】
この処理の一例を挙げると、まず通知部304はプロキシサーバ部203に、通知宛先端末装置10に「INVITE」リクエストを送信するようプロキシサーバ部203に「INVITE」リクエストを渡す(S504)。このリクエストを受け取ったSIPサーバ20内部おいて以下のアドレス解決処理が行われる。すなわち、プロキシサーバ部203はロケーションサーバ部202に、その社員の識別情報に対応する登録情報を要求する。ロケーションサーバ部202は従前レジストラ部201によって登録されているその社員の通知宛先端末装置10のIPアドレスを取得し、プロキシサーバ部203にIPアドレスを返す。
【0050】
プロキシサーバ部203は、そのIPアドレスに宛てて「INVITE」リクエストを送信する(S505)とともに、発呼側ユーザ・エージェントである情報提供サーバ30、より詳しくは通知部304に「100 Trying」レスポンスを返す(S506)。
【0051】
一方、「INVITE」リクエストを受け取った着呼側ユーザエージェントである通知宛先端末装置10、より詳しくはその通知処理部101は、プロキシサーバ部203を経由して情報提供サーバ30、より詳しくは通知部304に「180 Ringing」レスポンスを返す(S509,S510)。続いて、着呼側ユーザエージェントである通知宛先端末装置10、より詳しくはその通知処理部101は、プロキシサーバ部203を経由して情報提供サーバ30、より詳しくはその通知部304に「INVITE」リクエストが受理されたことを通知する「200 OK」レスポンスを返す(S509,S510)。
【0052】
「200 OK」レスポンスを受け取った通知部304は、「ACK」リクエストをプロキシサーバ部203を経由して通知宛先端末装置10、より詳しくは通知処理部101へ送信する(S511、S512)。
【0053】
ステップS504からS512までのやりとりで発呼側ユーザエージェントである情報提供サーバ30、より詳しくは通知部304と着呼側ユーザエージェントである通知宛先端末装置10、より詳しくは通知処理部101とのセッションの設定(接続の確立)が完了する。
【0054】
つぎに、情報提供サーバ30、より詳しくは通知部304はRSS文書取得を促すリクエストである「MESSAGE」リクエストをプロキシサーバ部203を経由して通知宛先端末装置10、より詳しくは通知処理部101へ送信する(S513、S514)。この「MESSAGE」リクエストのボディには、情報提供サーバ30のRSS文書送信部302から通知宛先端末装置10のRSSリーダ部102へのRSS文書の送信を行うために必要な情報(例えば、RSS文書送信部302のIPアドレス、RSS文書のURLなど)、および情報提供サーバ30のWeb文書送信部301から通知宛先端末装置10のWebブラウザ部103へのWeb文書の送信を行うために必要な情報(例えば、Web文書送信部301のIPアドレス、送信対象となるWeb文書のURLなど)が記述されている。なお、この実施の形態では、SIPリクエストの一つであるMESSAGEリクエストをRSS文書取得を促すリクエストとして使用するものとするが、かかるリクエストに限定される趣旨ではない。通知処理部101がRSS文書取得を促すリクエストとして解釈可能であればどのようなリクエスト、メッセージであってもよい。
【0055】
続いて、図6を参照しながら図5,ステップS514後の動作例について説明する。図6は、図5に示した動作以降のシーケンスを示すシーケンス図である。
RSS文書取得を促すリクエストである「MESSAGE」リクエストを受け取った、通知宛先端末装置10、より詳しくは通知処理部101は、RSSリーダ部102を起動し、RSSリーダ部にRSS文書取得処理を行わせる(S601)。RSSリーダ部102は、RSS文書取得を促すリクエストである「MESSAGE」リクエストから、情報提供サーバ30のRSS文書送信部302から通知宛先端末装置10のRSSリーダ部102へのRSS文書の送信を行うために必要な情報を取得し、この情報に基づいて情報提供サーバ30のRSS文書送信部302を送信するようリクエストを送る(S602)。なお、RSSリーダ部102とRSS文書送信部302とのRSS文書の送受信は、SIPのメディアセッションと同様に扱ってもよいし、あるいはHTTPやUDPなどを用いて行うようにしても構わない。また、RSSリーダ部102とRSS文書送信部302とのRSS文書の送受信は、必ずしもプロキシサーバ部203を経由して行う必要はなく、どのようなルートによりRSS文書の送受信を行うようにしても構わない。
【0056】
リクエストを受信した情報提供サーバ30のRSS文書送信部302は、要求されたRSS文書を通知宛先端末装置10のRSSリーダ部102へ送信する(S603)。RSS文書を受信した通知宛先端末装置10のRSSリーダ部102は、ローカルな記憶装置にRSS文書を記憶させる(S604)。
【0057】
また、「MESSAGE」リクエストを受け取った通知宛先端末装置10、より詳しくは通知処理部101は、Webブラウザ部103を起動し(S605)、Webブラウザ部103にWeb文書取得処理を行わせる。起動したWebブラウザ部103は、「MESSAGE」リクエストからWeb文書の送信を要求するために必要な情報を取得し、この情報に基づいて情報提供サーバ30のWeb文書送信部にWeb文書を送信するようリクエストを送る(S606)。なお、Webブラウザ部103とWeb文書送信部301との間で行われるWeb文書の送受信は、SIPのメディアセッションと同様に扱ってもよいし、あるいはHTTPやUDPなどを用いて行うようにしても構わない。また、Webブラウザ部103とWeb文書送信部301との間のWeb文書の送受信は、必ずしもプロキシサーバ部203を経由して行う必要はなく、どのようなルートによりWeb文書の送受信を行うようにしても構わない。なお、ここで送信されるWeb文書は前述のRSS文書に記載された情報に対応するWeb文書であり、例えば、RSS文書に記載された要約に対応するWeb文書(要約の元となったWeb文書)である。
【0058】
リクエストを受信した情報提供サーバ30のWeb文書送信部301は、要求されたWeb文書を通知宛先端末装置10のWebブラウザ部103へ送信する(S607)。Web文書を受信した通知宛先端末装置10のWebブラウザ部103は、ローカルな記憶装置にWeb文書を記憶させる(S608)。
【0059】
上記のRSS文書記憶(S604)、Web文書記憶(S608)により、通知宛先端末装置10のローカルな記憶装置に更新された情報を示すRSS文書及びWeb文書が記憶され、通知宛先端末装置10のユーザである社員がRSSリーダ部102を使用して、記憶したRSS文書を閲覧することにより、情報提供サーバ30において更新された情報の要約などを閲覧することができる。また、更新された情報の詳細若しくは全文を閲覧したい場合は、ローカルな記憶装置に記憶されているWeb文書をWebブラウザ部103を使用して閲覧することにより情報提供サーバ30において更新された情報の詳細若しくは全文を閲覧できる。
【0060】
[モビリティ]
本更新情報提供システム1は、情報提供サーバ30のレジストラ部201、ローケーションサーバ部202により、SIPモビリティを実現しながら更新情報の提供を行うことができる。「SIPモビリティ」とは、有線・無線を問わず、すべてのモバイルユーザにターミナルモビリティ(携帯電話やMobile IPをサポートするネットワーク内で、ユーザ端末が接続地点を変更できること)、パーソナルモビリティ(一つの同じIPアドレスを維持しながら複数の異なるIP端末を使用すること)をサポートする機能である。
【0061】
例えば、ある社員が通常社内で使用している端末装置10を社外で使用するため、ホットスポットと呼ばれる無線LANに接続している場合にも、ターミナルモビリティの実現により本更新情報提供システムにより更新情報の提供がおこなわれる。
【0062】
また、ある社員が複数の端末装置10を状況に応じて使い分けている場合(会社のPC,自宅のPC、外出先で使用するノートPC,携帯電話機など)、同一のアドレスにSIPリクエストを送信することにより適切な端末装置10にSIPリクエストが送信され、本更新情報提供システム1により更新情報の提供がおこなわれる。例えば、会社にいるときには会社のPCに新情報の提供がおこなわれ、終業後には自宅のPCに更新情報の提供がおこなわれる。なお、このようなパーソナルモビリティを実現するには、ロケーションサーバ部202にどれが現在使用可能な端末装置なのか示す情報が予め登録されていたり、端末装置10の切り替えの際に手動若しくは自動にてレジストラ部201に登録が行われることが必要となる。
【0063】
かかるモビリティが実現されることにより、本システム1は重要な更新情報を社員が見落とすことなく、いつでも更新情報の閲覧をできるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】更新情報提供システムの構成例を示すブロック図
【図2】SIPサーバの構成例を示すブロック図
【図3】情報提供サーバの構成例を示すブロック図
【図4】端末装置の構成例を示すブロック図
【図5】更新情報提供システムの動作例を示すシーケンス図
【図6】図5に続く、更新情報提供システムの動作例を示すシーケンス図
【符号の説明】
【0065】
1 …更新情報提供システム
10 …端末装置
20 …SIPサーバ
30 …情報提供サーバ
101 …通知処理部
102 …RSSリーダ部
103 …Webブラウザ部
104 …表示装置
201 …レジストラ部
202 …ロケーションサーバ部
203 …プロキシサーバ部
301 …Web文書送信部
302 …RSS文書送信部
303 …更新管理部
304 …通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webを介して取得して閲覧可能な情報であるWeb文書と、前記Web文書の更新内容を記述した更新情報を記憶する情報提供サーバと、
前記更新情報を取得しユーザに閲覧させる更新情報閲覧手段を有する端末装置と、
SIPリクエストを用いて前記端末装置と接続を確立し、前記端末装置に所定のリクエストを送信するSIPサーバと
を有する更新情報提供システムであって、
前記情報提供サーバは、新たな更新情報を有する場合、前記SIPサーバに更新情報の取得を促す前記所定のリクエストを前記端末装置に宛てて送信させ、前記端末装置はそのリクエストに応じて前記情報提供サーバから更新情報を取得する
ことを特徴とする更新情報提供システム。
【請求項2】
前記SIPサーバは、端末装置若しくは端末装置のユーザについて宛先情報を含む登録情報を記憶するロケーションサーバ手段と、前記登録情報を更新するレジストラ手段とを有し、前記所定のリクエストをロケーションサーバ手段に記憶された宛先情報に応じて送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の更新情報提供システム。
【請求項3】
前記端末装置は、更新情報に対応するWeb文書を前記所定のリクエストに応じて前記情報提供サーバから取得する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の更新情報提供システム。
【請求項4】
更新情報を取得してユーザに閲覧させる更新情報閲覧手段と、
SIPサーバとの間でセッションの開設を行うと共に、前記SIPサーバから所定のリクエストを受信すると、前記更新情報閲覧手段を起動させて更新情報を取得させる通知処理手段と
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項5】
前記更新情報に対応するWeb文書を取得して、これを端末装置のユーザである社員に閲覧させるWeb文書閲覧手段をさらに有し、
前記通信処理手段は、前記SIPサーバから所定のリクエストを受信すると、前記Web文書閲覧手段を起動させて更新情報を取得させる
ことを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
Web文書を要約するために用意された共通のデータフォーマットで記述され、Webを経由して閲覧可能な更新情報を記憶すると共に、端末装置からの要求に応じて更新情報を端末装置に宛てて送信する更新情報送信手段と、
前記更新情報送信手段が記憶する更新情報のうち、前記端末装置に対して未送信の更新情報である未読更新情報の有無を判定する更新管理手段と、
前記更新管理手段が未読更新情報があると判定した場合、その未読更新情報の受け取り先となる端末装置に、未読更新情報の取得を求めるリクエストである所定のリクエストをSIPサーバに送信させる通知手段と
を有することを特徴とする情報提供サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−334743(P2007−334743A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167513(P2006−167513)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】