説明

更新用データ出力装置及びデータ処理装置並びに更新用データ出力用プログラム及びデータ処理用プログラム

【課題】データの更新に用いられる差分データのデータ量を低減することにより、当該更新の短時間化、低料金化並びに当該更新における利便性の向上を図ることが可能な更新用データ出力装置等を提供する。
【解決手段】データを用いた処理を行うデータ処理装置200の記憶手段13に記憶されているデータの更新に用いられる更新用データUDを出力する更新用データ出力装置100において、旧データOMと新データNMとに基づいて、旧データOMから新データNMへの更新における規則性を示す規則性データRを生成する規則性データ生成手段1と、規則性データRにより示される規則性に則って旧データOMを変更し、変更旧データMOMを生成する変更部2と、新データNMと変更旧データMOMとの差に相当する差分データDFを生成する差分データ生成手段3と、差分データDFと規則性データRとを更新用データUDとして出力する出力手段4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、更新用データ出力装置及びデータ処理装置並びに更新用データ出力用プログラム及びデータ処理用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、データ処理装置に記憶されているデータを更新するための更新用データ出力装置並びに当該更新用データ出力装置及びデータ処理装置で用いられる更新用データ出力用プログラム及びデータ処理用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の移動体に搭載され、その移動体の移動を案内するナビゲーション装置が一般化している。このナビゲーション装置は表示用の地図データを記憶しており、この地図データに対応する地図を表示しつつ、移動体の案内を行う。
【0003】
一方、例えば一般の道路や鉄道或いは建物などは、新たに建設されたり既存のものが建て替えられたりすることが頻繁にある。そして、例えば道路等が新たに建設された場合には、ナビゲーション装置において、その新たに建設された道路を示す道路データを既存の地図データに追加する必要がある。この道路データ等の追加や変更等を含む地図データの更新がナビゲーション装置において必要に応じて為されることで、常に最新の道路等の状況に合致した地図データを用いた正確な案内が可能になる。
【0004】
ここで、地図データの更新に関する従来技術としては、例えば下記特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1に開示されている技術では、更新前の地図データを指示データに基づいて一バイト単位で更新し、地図データ更新時のデータ量を削減する構成とされている。より具体的には、先ずセンタ側で地図データの構成要素毎に指示データを作成し、その指示データをナビゲーション装置に送信する。そしてナビゲーション装置では、受信した指示データによって特定される地図の部分を一バイト単位で更新する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記特許文献1に記載されている技術では、指示データ等の作成の際に新/旧の地図データの差分を抽出するに当たり、旧地図データと新地図データとの相違点をバイナリレベルで全て抽出し、それらを上記差分に相当する差分データとする、いわゆるバイナリ差分法を採っている。このため、例えば新しい道路が建設された場合のその周辺の地物を示す地図データ等のナビゲーション装置上の記憶位置を示すアドレス情報は、その新たな道路の建設に伴って所定の規則性をもって同じ量だけオフセットされるのみであるにも拘わらず、全てのアドレス情報の各々について、更新に伴う差分データを抽出することが必要になる。この結果、地図としての更新内容が限定的で狭い範囲であるにも拘わらず、当該差分データとしては地図データ全般に渡る差分データが生成されるため、差分データ自体のデータ量が膨大になるという問題点があった。この問題点は、例えば地図データの更新時間の長時間化や、通信を用いて更新する場合の通信料の高額化、或いはユーザ自身で簡単に更新ができず、販売店やディーラに持ち込む必要があるという利便性の低下に繋がる。
【0007】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、データの更新に用いられる差分データのデータ量を低減することにより、当該更新の短時間化、低料金化並びに当該更新における利便性の向上を図ることが可能な更新用データ出力装置及びデータ処理装置並びに更新用データ出力用プログラム及びデータ処理用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、データを用いた処理を行うデータ処理装置の記憶手段に記憶されている前記データの更新に用いられる更新用データを出力する更新用データ出力装置において、更新前の前記データである旧データと、更新後の前記データである新データと、に基づいて、当該旧データから当該新データへの更新における規則性を抽出し、当該抽出された規則性を示す規則性データを生成する規則性データ生成手段と、前記生成された規則性データにより示される前記規則性に則って前記旧データを変更し、変更旧データを生成する変更手段と、前記新データと、前記生成された変更旧データと、の差に相当する差分データを生成する差分データ生成手段と、前記生成された差分データと、前記生成された規則性データと、を、前記更新用データとして出力する出力手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、データを記憶する記憶手段と、前記記憶されているデータを用いた処理を行う処理手段と、更新前の前記データである旧データから更新後の前記データである新データへの当該更新における規則性を示す規則性データと、前記規則性データにより示される前記規則性に則って前記旧データを変更して得られた変更旧データと前記新データとの差に相当する差分データと、を取得する取得手段と、前記取得された規則性データにより示される前記規則性に則って前記記憶されているデータを変更し、変更データを生成する生成手段と、前記取得された差分データと、前記生成された変更データと、を用いて、前記記憶手段に記憶されている前記旧データを前記新データに更新する更新手段と、を備える。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載の更新用データ装置として機能させる。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、請求項6に記載の前記記憶手段、前記処理手段、前記取得手段、前記生成手段及び前記更新手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るデータ更新システムの概要構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るデータ更新動作を例示する図であり、(a)は実施形態に係る規則性データの生成を例示する図であり、(b)は実施形態に係る差分データの生成を例示する図である。
【図3】実施例に係る地図データ更新システムの概要構成を示すブロック図等であり、(a)は当該ブロック図であり、(b)は実施例に係る規則性データ生成部の細部構成を示すブロック図である。
【図4】実施例に係る地図データ更新動作を示す図であり、(a)は当該動作を示すフローチャート(I)であり、(b)は当該動作における地図データの遷移を例示する図である。
【図5】実施例に係る地図データ更新動作を示すフローチャート(II)である。
【図6】変形例に係る地図データ更新動作を示す図であり、(a)は当該動作を示すフローチャートであり、(b)は当該動作における地図データの遷移を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願を実施するための形態について、図1及び図2を用いて説明する。なお以下に説明する実施形態は、データ処理装置における処理に用いられるデータを更新するためのデータ更新システムに対して本願を適用した場合の実施形態である。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係るデータ更新システムSは、更新用データ出力装置100と、データ処理装置200と、により構成されている。このうち更新用データ出力装置100は、規則性データ生成手段1と、変更手段2と、差分データ生成手段3と、出力手段4と、により構成されている。更にデータ処理装置200は、取得手段10と、生成手段11と、更新手段12と、記憶手段13と、処理手段14と、により構成されている。ここで、更新用出力データ装置100からデータ処理装置200へは、後述する更新用データUDが授受される。この更新用データUDの授受は、有線又は無線を介した通信によってもよいし、或いは当該更新用データUDを記憶した可搬型の不揮発性メモリ等を用いて実行されてもよい。
【0015】
次に、図2を併用して、データ更新システムSの動作を説明する。
【0016】
実施形態に係るデータ処理装置200は、具体的に例えば、地図データを用いて車両等の移動体の移動を案内する車載型のナビゲーション装置や、地図を表示して所定の動作を行う携帯型の端末装置として実現される。データ更新システムSは、このデータ処理装置200に記憶されて用いられている旧データOMを新データNMに更新する。データ処理装置200における処理に供されるデータが地図データである場合、この更新には、例えば、新たに建設された道路に対応する新規の道路データの追加や、既存の道路又は施設の名称が変更された場合における対応する名称データの変更、或いは、既存の道路又は施設が撤去又は取り壊された場合における対応するデータの消去等が含まれる。
【0017】
具体的に更新用データ出力装置100は、旧データOMと、別途制作された新データNMと、を記憶している。規則性データ生成手段1は、旧データOMから新データNMへの更新における規則性を抽出し、その規則性を示す規則性データRを生成する。
【0018】
この規則性データRについて、実施形態に係るデータが地図データである場合を例として具体的に図2(a)を用いて説明する。図2(a)では、地図に含まれる道路等の名称を示す名称データが旧データOMから新データNMに更新される場合が例示されている。また図2における「アドレス」とは、旧データOM及び新データNMを夫々記憶している記憶手段における、当該旧データOM及び新データNM夫々の記憶位置を示すアドレスである。以下の説明では、当該記憶位置を単に「アドレス」と称する。更に以下の説明に係る各地図データでは、例えば名称データとその名称データを使用(引用)する地図構成要素とは、別々のアドレスに記憶されている。これは、同じ名称データを複数の地図構成要素で使用するからである。この場合の当該地図構成要素としては、例えば、位置データや交差点データ或いは建物データ等、同じ名称データを使用して表示される地図構成要素が挙げられる。ここで一般に、「地図構成要素」とは、地図データを構成する上記交差点データ等の各データのことをいう。また以下の実施形態及び実施例についての説明で「h」は、それが付されている値が16進数により示される値であることを意味している。
【0019】
図2(a)に例示する新データNMでは、新たに建設された道路である「AAA_ave」に対応する名称データが旧データOMに対して追加されている。また、新データNMにおけるこの名称データのアドレスは「0005h」である。このため新データNMでは、旧データOMにも含まれていた「ABC_st」、「BBC_ave」及び「CCB_st」に対応する名称データのアドレスが、夫々8バイトずつ後方にシフトしている。図2(a)に例示する場合、「ABC_st」、「BBC_ave」及び「CCB_st」夫々に対応する名称データについては、この「8バイトずつ後方にシフトする」ことが、実施形態に係る「規則性」に相当する。実施形態に係る規則性データ生成手段1は、この規則性を示す上記規則性データRとして、図2(a)に例示するように、旧データOMにおけるアドレスを基準として、「0005h」から「0018h」までのアドレス範囲に含まれるアドレスについて、「8バイトシフトする」旨の規則性データRを生成する。この規則性データRは、変更手段2及び出力手段4に夫々出力される。なお、図2に記載の規則性データRにおける「元アドレス」とは、旧データOMにおけるアドレスをいう。
【0020】
図1に戻って変更手段2は、この規則性データRにより示されている規則性に則って旧データOMを変更し、変更旧データMOMを生成する。この変更旧データMOMは差分データ生成手段3に出力される。
【0021】
この変更旧データMOMについて、図2(a)と同様に、実施形態に係るデータが地図データである場合を例として具体的に図2(b)を用いて説明する。図2(b)に例示する旧データOMでは、アドレス「0000h」には道路データを構成するリンク列のIDとして「10000001h」が記憶されており、アドレス「0004h」にはその道路データに対応する道路の名称を示す名称データ(具体的には「CCB_st」)のアドレスとして「0018h」が記憶されている(図2(a)の旧データOM参照)。またアドレス「0006h」及びアドレス「0007h」には、その道路データに対応する道路の属性を示すデータが夫々記憶されている。一方旧データOMのアドレス「0008h」には他の道路データを構成するリンク列のIDとして「10000002h」が記憶されており、アドレス「000ch」にはその道路データに対応する道路の名称を示す名称データ(具体的には「ABC_st」)のアドレスとして「0005h」が記憶されている(図2(a)の旧データOM参照)。またアドレス「000eh」及びアドレス「000fh」には、その道路データに対応する道路の属性を示すデータが夫々記憶されている。
【0022】
ここで、図2(b)に示す規則性データRには、上述したように「「0005h」から「0018h」までのアドレス範囲に含まれるアドレスについて8バイトシフトする」旨の規則性が記述されている(図2(a)参照)。従って、この規則性に則って旧データOMを変更すると、旧データOMにおける記憶内容自体である各アドレスのうち、「0005h」から「0018h」までのアドレス範囲に含まれるアドレスが夫々8バイトずつシフトした値に更新される。よって図2(b)に例示する場合には、旧データOMのアドレス「0004h」に記憶されている「0018h」が、8バイトシフトされる結果「0020h」に更新され、更にアドレス「000ch」に記憶されている「0005h」が、同様に8バイトシフトされる結果「000dh」に変更される。この結果、図2(b)に例示する変更旧データMOMが生成される(図2(b)の変更旧データMOMにおける右下向きハッチング部分参照)。
【0023】
そして差分データ生成手段3は、上記変更旧データMOMと、新データNMと、を比較し、その差に相当する差分データDFを生成して出力手段4に出力する。ここで、図2(b)に例示するように、旧データOMが更新されて得られる新データNMでは、上述したように、「CCB_st」なる名称データのアドレスと「ABC_st」なる名称データのアドレスとが、旧データOMに対して夫々8バイトずつ後方にシフトする(図2(b)の新データNMにおける右下向きハッチング部分及び図2(a)参照)。この結果、新データNMでは、「CCB_st」なる名称データのアドレスは「0020h」と更新されており、また「ABC_st」なる名称データのアドレスは「000Dh」と更新されている。これに加えて新データNMでは、旧データOMのアドレス「000fh」に記憶されていた道路の属性を示すデータが、例えば道路幅の変更等の理由により、旧データOMにおける「02h」から「03h」に更新されている。このような新データNMと変更旧データMOMとを差分データ生成手段3において比較すると、その相違点は、アドレス「000fh」に記憶されている内容が「02h」から「03h」に更新されている点のみであることが認識される(図2(b)破線参照)。これにより差分データ生成手段3は、図2(b)に例示するようにその相違点が記述された差分データDFを生成する。ここで、実施形態に係る差分データDFは、旧データOMから新データNMへの更新においてアドレスのみが変更される部分については含まれておらず、図2(b)に例示するように、変更旧データMOMと新データNMとの相違点に相当するデータしか含まれていない。これにより、差分データDF自体としては、上記特許文献1に開示されている差分データよりも格段にデータ量が少なくなっている。なお、規則性データRは従来の差分データには含まれないものであるが、この規則性データRもアドレスの変更部分を各アドレス毎に全て含むものではない。よってこの規則性データRを含めても、下記の更新用データUD全体としてのデータ量は従来の差分データに比して格段に少ないものとなる。
【0024】
最後に出力手段4は、以上の動作により生成された規則性データR及び差分データDFを含む更新用データUDを生成してデータ処理装置200に出力する。このとき出力手段4は、更新用データUDを有線又は無線を介した通信を介して出力する場合には、当該通信の規格等に則った出力インターフェース動作を行う。また更新用データUDを可搬型の不揮発性メモリ等に記憶させてデータ処理装置200に取得させる場合、出力手段4は更新用データUDをその不揮発性メモリ等に記憶させる。
【0025】
次にデータ処理装置200では、それまで処理手段14による処理に用いられていた旧データOMが記憶手段13に記憶されている。この旧データOMは、更新用データ出力装置100に記憶されている旧データOMと同一のものである。また処理手段14による上記処理とは、旧データOMが地図データである場合、例えば、当該地図データを用いた案内処理や地図表示処理である。
【0026】
取得手段10は、上記通信又は不揮発性メモリ等を介して、更新用データ出力装置100からの更新用データUDを取得する。この更新用データUDには、上述したように規則性データRと差分データDFとが含まれている。これらを取得した取得手段10は、規則性データRを生成手段11に出力し、差分データDFを更新手段12に出力する。
【0027】
これにより生成手段11は、記憶手段13に記憶されている旧データOMを規則性データRにより示される規則性に則って変更し、変更旧データMOMを生成して更新手段12に出力する。この変更旧データMOMは、更新用データ出力装置100において旧データOMと規則性データRとを用いて変更手段2により生成された変更旧データMOMと同一のものとなる(図2(b)参照)。
【0028】
次に更新手段12は、差分データDFを用いて変更旧データMOMを更新し、新データNMを生成する。即ち更新手段12は、変更旧データMOMの内容に差分データDFで示されている内容(図2(b)参照)を反映させて、新データNMを生成する。この生成動作は、図2(b)に例示した更新用データ出力装置100における差分データDFの生成動作に対応して、変更旧データMOMと差分データDFとから新データNMを生成する動作である。以上の動作により生成された新データNMが、元の旧データOMに換えて記憶手段13内に記憶されることで、データ処理装置200における旧データOMの新データNMへの更新が完了する。
【0029】
以上説明したように、実施形態に係るデータ更新システムSの動作によれば、規則性データRと差分データDFとを、更新用データUDとして更新用データ出力装置100からデータ処理装置200に出力する。これによりデータ処理装置200において、規則性データRと差分データDFとを用いて旧データOMの更新を行う。よって、新データNMと旧データOMとの間の相違点の全てを含むデータを差分データとして出力する場合に比して、更新用データUDとしてのデータ量を低減できる。従ってデータ処理装置200における旧データOM更新の短時間化、低料金化並びに当該更新における利便性の向上を図ることが可能となる。
【実施例】
【0030】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、地図データを用いた処理を行う地図データ処理装置に記憶されている当該地図データを更新するための地図データ更新システムに対して、本願を適用した場合の実施例である。
【0031】
また、図3は実施例に係る地図データ更新システムの概要構成を示すブロック図であり、図4及び図5は当該地図データ更新システムにおける地図データの更新動作を示すフローチャート等である。このとき図3では、図1に示した実施形態に係るデータ更新システムSにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材夫々について、当該データ更新システムSにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0032】
図3(a)に示すように、実施例に係る地図データ更新システムSは、更新用データ出力装置100と、地図データ処理装置200と、により構成されており、更新用データ出力装置100と地図データ処理装置200とは、例えばインターネット等の有線又は無線によるネットワークNTを介して接続されている。そして、実施例に係る更新用データUDは、更新用出力データ装置100からネットワークNTを介して地図データ処理装置200に出力される。
【0033】
この構成において更新用データ出力装置100は、規則性データ生成手段1の一例としての規則性データ生成部1と、変更手段2の一例としての変更部2と、差分データ生成手段3の一例としての差分データ生成部3と、出力手段4の一例としての出力部4と、新地図データNM及び旧地図データOMを記憶しているハードディスク等からなる記憶部5と、により構成されている。また図3(b)に示すように、規則性データ生成部1は、同一地物判定部30と、ソート部31と、アドレス変化情報バッファ32と、共通性抽出手段の一例及び生成手段の一例としてのルール抽出部33と、により構成されている。
【0034】
更に地図データ処理装置200は、図3(a)に示すように、取得手段10の一例としての取得部10と、生成手段11の一例としての生成部11と、更新手段12の一例としての更新部12と、ハードディスク等からなる記憶手段13の一例としての記憶部13と、処理手段14の一例としての処理部14と、により構成されている。実施例に係る地図データ処理装置200は、地図データを用いて車両の移動を案内する車載型のナビゲーション装置に搭載されている。
【0035】
実施例に係る地図データ更新システムSは、地図データ処理装置200に記憶されて用いられている旧地図データOMを新地図データNMに更新する。当該地図データの更新には、例えば、実施形態で述べたような新規の道路データの追加、名称データの変更、或いはデータの消去等が含まれる。また、実施例に係る旧地図データOM及び新地図データNMでは、実施形態の場合と同様に、例えば名称データとその名称データを使用する交差点データ等の地図構成要素とは、別々のアドレスに記憶されている。
【0036】
具体的に更新用データ出力装置100の規則性データ生成部1は、予め記憶されている旧地図データOM及び新地図データNMを記憶部5から読み出し、当該旧地図データOMから新地図データNMへの更新における規則性を抽出して規則性データRを生成する。この規則性データR自体及びその生成動作については、後ほど図4を用いて具体的に説明する。規則性データ生成部1において生成された規則性データRは、変更部2及び出力部4に夫々出力される。
【0037】
次に変更部2は、規則性データRにより示されている規則性に則って旧地図データOMを変更し、変更旧地図データMOMを生成する。この変更旧地図データMOMは、実施形態に係る変更旧データMOMと同様に、規則性データRにより示されている規則性に則り、旧地図データOMにおける例えばアドレスをシフトさせて得られる地図データである。なお変更旧地図データMOMの生成動作については、後ほど図5を用いて具体的に説明する。変更部2において生成された変更旧地図データMOMは差分データ生成部3に出力される。
【0038】
そして差分データ生成部3は、記憶部5から新地図データNMを読み出すと共に、読み出した新地図データNMを上記変更旧地図データMOMと比較し、その差に相当する差分データDFを生成して出力部4に出力する。この差分データDFも、実施形態に係る差分データDFと同様に、新地図データNMと変更旧地図データMOMとの相違点のみが記述された差分データDFとなる。この差分データDFには、旧地図データOMから新地図データNMへの更新においてアドレスのみが変更される部分については含まれていない。
【0039】
最後に出力部4は、夫々に生成された規則性データR及び差分データDFを含む更新用データUDを生成し、当該更新用データUDに対して予め設定されている出力インターフェース動作を行い、ネットワークNTを介して地図データ処理装置200に出力する。
【0040】
次に地図データ処理装置200では、それまで処理部14による案内処理に用いられていた旧地図データOMが記憶部13に記憶されている。この旧地図データOMは、更新用データ出力装置100に記憶されている旧地図データOMと同一のものである。
【0041】
取得部10は、ネットワークNTを介して、規則性データRと差分データDFとを含む更新用データUDを取得する。更新用データUDを取得した取得部10は、それに含まれる規則性データRを生成部11に出力し、更に差分データDFを更新部12に出力する。
【0042】
これにより生成部11は、記憶部13に記憶されている旧地図データOMを規則性データRにより示される規則性に則って変更し、変更旧地図データMOMを生成して更新部12に出力する。この変更旧地図データMOMは、更新用データ出力装置100において変更部2により生成された変更旧地図データMOMと同一のものとなる(図2(b)参照)。
【0043】
次に更新部12は、変更旧地図データMOMの内容に差分データDFで示されている内容を反映させて、新地図データNMを生成する。その後更新部12は、記憶部13に記憶されている旧地図データOMを、新たに生成された新地図データNMに更新する。以上の一連の動作により、地図データ処理装置200における旧地図データOMの新地図データNMへの更新が完了する。
【0044】
次に、実施例に係る規則性データ生成部1における規則性データRの生成動作について、具体的に図3(b)及び図4を用いて説明する。
【0045】
図4(a)に示すように、当該規則性データRの生成動作において、規則性データ生成部1の同一地物判定部30は先ず、規則性データRとして規則性を抽出すべき対象となっている旧地図データOMの地図構成要素の全てについて、以下のステップS2及びS3の動作が実行されているか否かを確認する(ステップS1)。なお実施例の場合、通常は旧地図データOMにおける地図構成要素の全てが、規則性データRとして規則性を抽出すべき対象となっている。ステップS1の確認において、規則性の抽出対象たる地図構成要素の全てについてステップS2及びS3の動作が実行されている場合(ステップS1;YES)、同一地物判定部30は後述するステップS4の動作に移行する。一方ステップS1の確認において、ステップS2及びS3の動作が実行されていない地図構成要素が地図データOMにある場合(ステップS1;NO)、同一地物判定部30は次に、当該動作が未実行である旧地図データOMの地図構成要素について、それにより表される地物と同一の地物を表す新地図データNMの地図構成要素を特定する(ステップS2)。ここで、地図構成要素により表される「地物」とは、その地図構成要素により地図に表される実際の地物をいう。具体的に例えば、対応する地図構成要素により地図に表される、現実世界の道路、交差点、建物や店舗等の施設、橋梁、山、川等が、実施例に係る地物である。また、ステップS2の動作における同一地物の特定は、例えば、各地物毎に一意に付与されているID(識別情報)や、地図上の座標の一致度その他の属性の一致度に基づいて特定される。図4(b)上部に示す旧地図データOM及び新地図データNMでは、ID毎に、そのIDにより識別される地物を表す地図構成要素のアドレスが記述されている。そして、上記IDに基づいて旧地図データOMの地物と新地図データNMの地物との関係が特定されている(図4(b)上部の実線矢印参照)。
【0046】
次に同一地物判定部30は、IDにより特定された地物毎に、旧地図データOMにおいてその地物を表す地図構成要素のアドレスと、新地図データNMにおいてその地物を表す地図構成要素のアドレスと、のアドレス差を算出し、算出されたアドレス差を、その算出に用いられた旧地図データOMにおけるアドレスに対応付けてアドレス変化情報バッファ32に記憶させる(ステップS3)。この場合のアドレス差とは、アドレスとしての値の差をいう。この動作について図4(b)上部に示す例では、ステップS2の動作により特定された地物のID毎に、旧地図データOMにおけるアドレスと新地図データNMにおけるアドレスとが比較され、そのアドレス差が、対応する旧地図データOMのアドレスに対応付けてアドレス差データとしてアドレス変化情報バッファ32に記憶される。なお図4(b)及び後述の図6(b)においては、図2の場合と同様に、対応する旧地図データOMのアドレスを「元アドレス」と示している。
【0047】
上記ステップS2及びS3の動作が、規則性の抽出対象たる旧地図データOMの地図構成要素の全てについて実行されると(ステップS1;YES)、アドレス変化情報バッファ3内には、図4(b)に例示するように、各元アドレスに対応付けられたアドレス差を含むアドレス差データ群SBが記憶されることとなる。
【0048】
次に規則性データ生成部1内のソート部31は、アドレス変化情報バッファ32におけるアドレス差データ群SBに含まれる各アドレス差データを、元アドレスに基づいて並び替える(ステップS4)。この結果、アドレス変化情報バッファ32には、図4(b)に例示するように、元アドレスの例えば昇順に並び替えられたアドレス差データがソート後アドレス差データ群SAとして記憶される。
【0049】
次にルール抽出部33は、当該ソート後アドレス差データ群SAを参照しつつ、当該ソート後アドレス差データ群SA内のアドレス差データの全てについて、以下のステップS6及びS7の動作が実行されているか否かを確認する(ステップS5)。ステップS5の確認において、ソート後アドレス差データ群SA内のアドレス差データの全てについてステップS6及びS7の動作が実行されている場合(ステップS5;YES)、規則性データ生成部1は実施例に係る規則性データRの生成動作を終了する。一方ステップS5の確認において、ステップS6及びS7の動作が実行されていないアドレス差データがある場合(ステップS5;NO)、ルール抽出部33は次に、ソート後アドレス差データ群SA内の各アドレス差データを先頭から解釈していき、元アドレス上で隣接するアドレス差データでアドレス差が同一となっているものを纏める(ステップS6)。その後ルール抽出部33は、アドレス差が同一となる元アドレスの範囲とそのアドレス差を、規則性データRとして変更部2及び出力部4に出力する(ステップS7)。その後ルール抽出部33は、上記ステップS5の動作に戻る。このステップS6及びS7の動作が、ソート後アドレス差データ群SA内の全てのアドレス差データについて実行されることにより、図4(b)下に例示する、実施例に係る規則性データRが生成される。
【0050】
なお、上記ステップS2における同一地物の特定動作においては、誤って本来異なる地物を同一の地物と判断する場合があり得る。しかしながらこの場合でも、結果的に地図データ処理装置200における新地図データNMへの更新では誤差等の問題は何ら発生しない。これは、地図データ処理装置200においても同じ動作で変更旧地図データMOMの生成及び差分データDFを用いた新地図データNMへの更新を行うからである。
【0051】
次に、実施例に係る変更部2における変更旧地図データMOMの生成動作について、具体的に図5を用いて説明する。
【0052】
図5に示すように、当該変更旧地図データMOMの生成動作において、変更部2は先ず、変更旧地図データMOMを生成すべき対象となっている旧地図データOMの地図構成要素の全てについて、以下のステップS11乃至S15の動作が実行されているか否かを確認する(ステップS10)。なお実施例の場合、通常は旧地図データOMにおける地図構成要素の全てが、変更旧地図データMOMを生成すべき対象となっている。ステップS10の確認において、変更旧地図データMOMを生成すべき地図構成要素の全てについてステップS11乃至S15の動作が実行されている場合(ステップS10;YES)、変更部2は実施例に係る変更旧地図データMOMの生成動作を終了する。一方ステップS10の確認において、ステップS11乃至S15の動作が実行されていない地図構成要素がある場合(ステップS10;NO)、変更部2は次に、当該動作が未実行である旧地図データOMの地図構成要素のアドレスを当該旧地図データOMから取得する(ステップS11)。次に変更部2は、ステップS11の動作により取得された旧地図データOMのアドレスが含まれている規則性データRの元アドレス範囲を、当該規則性データRにおいて検索する(ステップS12)。次に変更部2は、ステップS12において検索した結果として、ステップS11の動作により取得されたアドレスが含まれている規則性データRの元アドレス範囲があるか否かを確認する(ステップS13)。ステップS13の確認において、ステップS11の動作により取得されたアドレスが含まれている規則性データRの元アドレス範囲がない場合(ステップS13;NO)、変更部2は上記ステップS10に戻り、旧地図データOMにおける次の地図構成要素について上記ステップS10乃至S12の動作を実行する。一方ステップS13の確認において、ステップS11の動作により取得されたアドレスが含まれている規則性データRの元アドレス範囲がある場合(ステップS13;YES)、変更部2は次に、規則性データRにおいてその元アドレス範囲に対応付けられているアドレス差を取得する(ステップS14)。その後変更部2は、ステップS14の動作により取得したアドレス差を用いて、ステップS11の動作により取得されたアドレスに記憶されている内容を更新する(ステップS15。図2(b)の変更旧データMOMにおける右下向きハッチング部分参照)。その後変更部2は、上記ステップS10に戻り、旧地図データOMにおける次の地図構成要素について上記ステップS10乃至S15の動作を実行する。
【0053】
以上のステップS10乃至S15の動作が、変更旧地図データMOMを生成すべき対象となっている旧地図データOMの地図構成要素の全てについて変更部2により実行されることにより、図2(b)に例示する変更旧データMOMと同様の変更旧地図データMOMが生成されて差分データ生成部3に出力される。
【0054】
以上説明したように、実施例に係る地図データ更新システムSの動作によれば、規則性データRと差分データDFとを、更新用データUDとして更新用データ出力装置100から地図データ処理装置200に出力する。これにより地図データ処理装置200において、規則性データRと差分データDFとを用いて旧地図データOMの更新を行う。よって、新データNMと旧データOMとの間の相違点の全てを含むデータを差分データとして出力する場合に比して、更新用データUDとしてのデータ量を低減できる。従って地図データ処理装置200における旧地図データOM更新の短時間化、低料金化並びに当該更新における利便性の向上を図ることが可能となる。
【0055】
ここで、実施例に係る差分デーDFに含まれるデータの内容について、道路データを例として、(I)新たな道路が建設されることにより旧地図データOMが更新される場合、(II)既存の道路が撤去されたことにより旧地図データOMが更新される場合、及び(III)既存の道路の名称又は経路が変更されたことにより旧地図データOMが更新される場合、の夫々について、以下に具体的に説明する。
【0056】
(I)新たな道路が建設されることにより旧地図データOMが更新される場合
この場合に実施例を適用すると、道路形状や道路属性(高速道路か一般道か)等を含めた道路リンクの情報である道路データ及びその新規な道路の名称を示す名称データのみが、差分データDFに含まれるデータの内容となる。
【0057】
これに対して上記特許文献1に記載されている差分データの場合、これら道路データ及び名称データに加えて、地図データ内の順番上で追加された道路以降に配置されていた道路(以下、単に「無変化道路」と称する)に関するアドレス、ID等の変化(繰り下がり)が全て当該差分データに含まれることとなる。
【0058】
(II)既存の道路が撤去されたことにより旧地図データOMが更新される場合
この場合に実施例を適用すると、上記(I)の場合とは逆に、撤去された道路に対応する上記道路データ及び名称データ(他に同一名称の道路が存在しない場合)を削除する旨のデータのみが差分データDFに含まれるデータの内容となる。
【0059】
これに対して上記特許文献1に記載されている差分データの場合、当該削除する旨のデータに加えて、上記無変化道路に関するアドレス及びID等の変化(繰り上がり)が全て当該差分データに含まれることとなる。
【0060】
(III)既存の道路の名称等が変更されたことにより旧地図データOMが更新される場合
この場合に実施例を適用すると、変更された道路データ又は名称データの変更内容のみが差分データDFに含まれるデータの内容となる。この他、変更前の道路データ等を削除するための上記(II)に準じたデータ及び変更後の道路データ等を追加するための上記(I)に準じたデータのみが差分データDFに含まれるデータの内容となるように構成することもできる。
【0061】
これに対して上記特許文献1に記載されている差分データの場合、上記変更内容又は削除/追加のためのデータに加えて、上記無変化道路に関するアドレス及びID等の変化も当該差分データに含まれる場合(例えば、文字列長の変化等、変更データのデータサイズに変化がある場合)がある。
【0062】
以上の三つの場合のいずれにおいても、実施例に係る更新用データUDとしてのデータ量を大幅に低減でき、地図データ処理装置200における旧地図データOM更新の短時間化、低料金化並びに当該更新における利便性の向上を図ることが可能となる。
【0063】
また、地図データの更新に伴う複数の地図構成要素の元アドレスのアドレス差を共通の規則性として抽出し、抽出されたアドレス差により各元アドレスを旧地図データOMから変更して変更旧地図データMOMを生成するので、地図データの更新に伴って複数の地図構成要素のアドレスが変更される場合でも、更新用データUDのデータ量を低減できる。
【0064】
更にまた、地図データ処理装置200としては、規則性データRと差分データDFとを取得し、取得した規則性データRを用いて変更旧地図データMOMを生成し、更に差分データDFと変更旧地図データMOMとを用いて旧地図データOMを新地図データNMに更新するので、データ量が少ない差分データDFと規則性データRとを取得して新地図データNMに更新することで、短時間で且つ簡易に地図データを更新することができる。
【0065】
なお、上述した実施例に係る規則性データRでは、同じアドレス差であっても、離隔した元アドレスであった場合、別々のデータとなることになる(図4(b)参照)。これに対し、アドレス差が同一である元アドレスの範囲の夫々と、当該アドレス差と、を、一つのデータとして規則性データRに含ませるように構成することもできる。より具体的に図4(b)の場合を引用すると、元アドレスの範囲が「0005h〜0010h」であるデータと元アドレスの範囲が「001bh〜0034h」であるデータとが、共にアドレス差が「+4」であった場合、「0005h〜0010h,001bh〜0034h」の元アドレスについて「+4」のアドレス差を対応付けて規則性データRを構成するのである。この場合には、複数の元アドレスの範囲について一つ規則性データRに纏められることとなり、更新用データUDとしてのデータ量が更に低減できる。
【0066】
[変形例]
次に、本願に係る変形例について、図6を用いて説明する。以下に説明する変形例は、実施例に係る規則性データRの生成動作についての変形例である。当該変形例に係る生成動作では、実施例に係る差分データDFよりも更にデータ量を低減した差分データRRを生成する。また、図6(a)において、図4(a)に示す動作と同一の動作については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。更に、変形例に係る規則性データ生成部の構成は実施例に係る規則性データ生成部1の構成と基本的に同一であるので、以下の説明では、実施例に係る規則性データ生成部1に係る部材番号を引用して説明する。
【0067】
変形例に係る規則性データRRの生成動作では、図6(a)に示すように、規則性データ生成部1の同一地物判定部30及びアドレス変化情報バッファ32により、図4(a)に示したステップS1乃至S3と同様の動作が実行される。次に、規則性データ生成部1のソート部31により、図4(a)に示したステップS4と同様の動作が実行される。
【0068】
次に変形例に係るルール抽出部33は、アドレス変化情報バッファ32内にアドレス差データが記憶されていないか否かを確認する(ステップS20)。ステップS20の確認において、アドレス変化情報バッファ32内にアドレス差データが記憶されていない場合(ステップS20;YES)、規則性データ生成部1は変形例に係る規則性データRの生成動作を終了する。一方ステップS20の確認において、アドレス変化情報バッファ32内にアドレス差データが記憶されている場合(ステップS20;NO)、ルール抽出部33は次に、ソート後アドレス差データ群SA内の各アドレス差データを先頭から解釈していき、元アドレス上で隣接するアドレス差データでアドレス差が同一となっているものを纏め、更に纏めたアドレス差データ全てを網羅するアドレスの範囲を元アドレス範囲とする(ステップS21)。
【0069】
次にルール抽出部33は、ソート後アドレス差データ群SA内の各アドレス差データのうち、ステップS21の動作により纏められた元アドレスの数が最も少ないアドレス差とそのアドレス差に対応する元アドレスの範囲とを、変形例に係る規則性データRRとして変更部2及び出力部4に出力する(ステップS22)。その後ルール抽出部33は、上記ステップS20の動作に戻る。このステップS21及びS22の動作が、ソート後アドレス差データ群SA内の全てのアドレス差データについて実行されることにより、変形例に係る規則性データRRが生成される。具体的に、ソート後アドレス差データ群SA内のアドレス差データが図6(b)下に例示する場合には、同じく図6(b)下に例示する規則性データRRが生成される。
【0070】
この変形例に係る規則性データRRの生成動作では、結果として、旧地図データOMにおいて隣接する元アドレスでアドレス差が等しいもののうち、数が少ない元アドレスの内容ほど優先度を高くして先に抽出することになる。これにより、元アドレスとしては離散的であるが、同一のアドレス差が多いものを後に纏める形の規則性ルールRR(図6(b)参照)を抽出できる。そして、この規則性データRRを用いた変更旧地図データMOMの生成動作においては、先に抽出された優先度の高い元アドレス範囲から元アドレスが合致するか否かを確認し、合致するものがあればその差を適用して、それ以下の優先度のものは確認する必要がない。即ち、図6(b)に例示する場合、アドレス「0018h」については、全ての元アドレス範囲に含まれているが、規則性ルールRRにおいて優先度の高い一行目の元アドレス範囲に含まれる。よって、アドレス「0018h」については、対応するアドレス差「+32」を適用する。このとき、より低い優先度の元アドレスの範囲にもアドレス「0018h」が含まれているが、この場合にアドレス「0018h」については、当該低い優先度の元アドレスの範囲に対応するアドレス差(例えば、「−10」や「+4」等)は適用されない。
【0071】
以上説明した変形例に係る規則性データRRの生成動作によれば、実施例に係る地図データ更新システムSの作用効果に加えて、アドレス差が同一である二つの元アドレスであって最も値が小さい元アドレスから最も値が大きい元アドレスまでの元アドレスの範囲を、異なるアドレス差毎に夫々設定し、狭い元アドレスの範囲ほど優先度を高くする。そして、各元アドレスの範囲に属する元アドレスのアドレス差を元アドレスの範囲毎の規則性として抽出し、抽出した各アドレス差と対応する各元アドレスの範囲とを夫々示す規則性データRRを生成する。これにより、同一のアドレス差の元アドレスが含まれる複数の範囲が離隔している場合でも、これらについて纏められた規則性データRRが生成されることとなり、更新用データUDとしてのデータ量が更に低減される。
【0072】
なお、上述した実施例及び変形例では、地図データの更新を行う場合について本願を適用したが、これ以外に本願は、例えば電話番号データや書籍のデータ等、アドレスを用いた記憶形式のデータにおける更新動作について広く適用することができる。
【0073】
また、図4(a)、図5及び図6(a)に夫々示したフローチャートに相当するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例又は変形例に係る更新用データ出力装置100又は地図データ処理装置200として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 規則性データ生成手段(規則性データ生成部)
2 変更手段(変更部)
3 差分データ生成手段(差分データ生成部)
4 出力手段(出力部)
5 記憶部
10 取得手段(取得部)
11 生成手段(生成部)
12 更新手段(更新部)
13 記憶手段(記憶部)
14 処理手段(処理部)
30 同一地物判定部
31 ソート部
32 アドレス変化情報バッファ
33 ルール抽出部
100 更新用データ出力装置
200 データ処理装置(地図データ処理装置)
S データ更新システム(地図データ更新システム)
UD 更新用データ
OM 旧データ(旧地図データ)
NM 新データ(新地図データ)
R、RR 規則性データ
MOM 変更旧データ(変更旧地図データ)
DF 差分データ
NT ネットワーク
SB アドレス差データ群
SA ソート後アドレス差データ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを用いた処理を行うデータ処理装置の記憶手段に記憶されている前記データの更新に用いられる更新用データを出力する更新用データ出力装置において、
更新前の前記データである旧データと、更新後の前記データである新データと、に基づいて、当該旧データから当該新データへの更新における規則性を抽出し、当該抽出された規則性を示す規則性データを生成する規則性データ生成手段と、
前記生成された規則性データにより示される前記規則性に則って前記旧データを変更し、変更旧データを生成する変更手段と、
前記新データと、前記生成された変更旧データと、の差に相当する差分データを生成する差分データ生成手段と、
前記生成された差分データと、前記生成された規則性データと、を、前記更新用データとして出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする更新用データ出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の更新用データ出力装置において、
前記規則性データ生成手段は、
前記旧データを構成する複数の構成要素の前記記憶手段上の記憶位置が前記新データへの更新に伴って夫々同様に変更されるとき、当該各記憶位置の変更態様を前記複数の構成要素に共通の前記規則性として抽出する共通性抽出手段と、
当該抽出した変更態様と、当該抽出された変更態様により変更される各前記記憶位置と、を示す前記規則性データを生成する生成手段と、
を備え、
前記変更手段は、前記生成された規則性データにより示される前記記憶位置を、前記規則性データにより示される前記変更態様により前記旧データから変更して前記変更旧データを生成することを特徴とする更新用データ出力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の更新用データ生成装置において、
前記生成手段は、前記抽出された変更態様が相互に同一である複数の異なる前記記憶位置の範囲の夫々と、当該抽出した変更態様と、を示す前記規則性データを生成することを特徴とする更新用データ出力装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の更新用データ出力装置において、
前記共通性抽出手段は、
前記変更態様が同一である二つの前記記憶位置であって前記記憶手段の記憶領域の始端に最も近い当該記憶位置から前記記憶領域の終端に最も近い当該記憶位置までの前記記憶領域の範囲を一つの記憶位置範囲として、異なる前記変更態様毎に当該記憶位置範囲を夫々設定し、
前記記憶領域において狭い範囲の前記記憶位置範囲ほど優先度を高くして、各前記記憶位置範囲に属する前記記憶位置の前記変更態様を当該記憶位置範囲毎の前記規則性として抽出し、
前記生成手段は、前記抽出した各変更態様と、当該抽出された各変更態様により夫々変更される前記記憶位置が含まれる各前記記憶位置範囲と、を夫々示す前記規則性データを生成することを特徴とする更新用データ出力装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の更新用データ出力装置において、
前記データは地図データであり、
前記データ処理装置は当該地図データを用いた処理を行う地図データ処理装置であり、
前記旧データは更新前の前記地図データである旧地図データであり、
前記新データは更新後の前記地図データである新地図データであることを特徴とする更新用データ出力装置。
【請求項6】
データを記憶する記憶手段と、
前記記憶されているデータを用いた処理を行う処理手段と、
更新前の前記データである旧データから更新後の前記データである新データへの当該更新における規則性を示す規則性データと、前記規則性データにより示される前記規則性に則って前記旧データを変更して得られた変更旧データと前記新データとの差に相当する差分データと、を取得する取得手段と、
前記取得された規則性データにより示される前記規則性に則って前記記憶されているデータを変更し、変更データを生成する生成手段と、
前記取得された差分データと、前記生成された変更データと、を用いて、前記記憶手段に記憶されている前記旧データを前記新データに更新する更新手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載の更新用データ装置として機能させることを特徴とする更新用データ出力用プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項6に記載の前記記憶手段、前記処理手段、前記取得手段、前記生成手段及び前記更新手段、として機能させることを特徴とするデータ処理用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203374(P2011−203374A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68681(P2010−68681)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【出願人】(500230347)株式会社エムビーエイ (22)
【Fターム(参考)】