書画カメラおよび書画カメラの制御方法
【課題】接続された外部装置に依らず、外部装置で可視化された映像の不具合を解消することができる書画カメラおよび書画カメラの制御方法と提供する。
【解決手段】書画カメラは、被写体となる書画を撮像する書画撮像部(カメラ部3)と、書画撮像部により撮像した撮像信号を、外部機器に転送するための転送方式を設定する転送方式設定部24と、転送方式設定部24の設定にしたがって、撮像信号を外部装置に出力する出力処理部(撮像データ処理部22および撮像データ出力部25)と、を備えた。
【解決手段】書画カメラは、被写体となる書画を撮像する書画撮像部(カメラ部3)と、書画撮像部により撮像した撮像信号を、外部機器に転送するための転送方式を設定する転送方式設定部24と、転送方式設定部24の設定にしたがって、撮像信号を外部装置に出力する出力処理部(撮像データ処理部22および撮像データ出力部25)と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体となる書画を撮像し、撮像した撮像信号を外部装置に出力する書画カメラおよび書画カメラの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の書画カメラは、通常コンピューターやプロジェクター等の外部装置(ホスト装置)に接続されて用いられる(例えば、特許文献1参照)。この場合、書画カメラから外部装置に出力する撮像信号の転送方式は、一般的に外部装置によって設定される。すなわち、外部装置側には、撮像信号を適切に可視化(表示または投写)することのできる転送方式を設定(変更)するための機能が備えられており、設定した転送方式を書画カメラに対して通知する。これに対し書画カメラは、通知された転送方式で外部装置に対し撮像信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−060393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の構成では、外部装置に撮像信号の転送方式を設定する機能が備えられていない場合、書画カメラから適切な転送方式で撮像信号を出力できないといった問題がある。このため、外部装置によって表示または投写される映像にブロックノイズが発生したり、映像がフリーズした場合に何ら対処できず、実質書画カメラを使用できない状況が発生していた。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、接続された外部装置に依らず、外部装置で可視化された映像の不具合を解消することができる書画カメラおよび書画カメラの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の書画カメラは、被写体となる書画を撮像する書画撮像部と、書画撮像部により撮像した撮像信号を、外部装置に転送するための転送方式を設定する転送方式設定部と、転送方式設定部の設定にしたがって、撮像信号を外部装置に出力する出力処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の書画カメラの制御方法は、外部装置と接続されて用いられる書画カメラの制御方法であって、書画カメラが、被写体となる書画を撮像する書画撮像ステップと、撮像した撮像信号を、外部装置に転送するための転送方式を設定する転送方式設定ステップと、転送方式の設定にしたがって、撮像信号を外部装置に出力する出力処理ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、外部装置に撮像信号の転送方式を設定(変更)する機能が備えられていない場合でも、書画カメラ側で転送方式を設定することができる。これにより、どの外部装置が接続されても、書画カメラ側で適切な転送方式に設定することができ、可視化された映像に不具合が生じた場合にこれを解消することができる。
なお、接続されている外部装置にも転送方式の設定機能が備えられている場合、外部装置と書画カメラのいずれの設定を優先するかについて設定可能としても良い。若しくは、強制的にいずれかの設定を優先させてもよい。
【0009】
この場合、転送方式を切り替えるための操作部をさらに備え、転送方式設定部は、操作部の操作にしたがって、転送方式を設定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば、ユーザーが、外部装置により可視化された映像を確認しながら、適切な転送方式に切り替えることができる。
【0011】
また、転送方式設定部は、書画撮像部の撮像結果に基づいて、転送方式を設定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、書画カメラにより、適切な転送方式に設定することができる。これにより、知識のないユーザーであっても、支障なく書画カメラを使用することができる。
なお、転送方式設定部は、書画撮像部による1回の撮像結果に基づいて設定しても良いし、複数回の撮像結果(撮像信号の変化)に基づいて設定しても良い。
【0013】
この場合、転送方式設定部は、書画撮像部の撮像結果に基づいて、供給されている商用電源の電源周波数を特定し、当該電源周波数に対応したフレームレートを、転送方式の少なくとも一部として設定することが好ましい。
【0014】
さらに、この場合、転送方式設定部は、書画撮像部において、所定の電源周波数に対応したフレームレートで書画を撮像した複数の撮像結果に基づいて、複数の撮像結果に明るさの違いがある場合は、電源周波数が所定の電源周波数ではないと特定し、複数の撮像結果に明るさの違いがない場合は、電源周波数が所定の電源周波数であると特定することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、被写体である書画を照明する照明光の点滅速度に応じたフレームレートを設定することができるため、これに起因した映像のフリッカーを解消することができる。
【0016】
また、書画撮像部は、撮像信号が外部装置にて可視化された映像を撮像可能であり、転送方式設定部は、書画撮像部により映像を撮像した撮像結果に基づいて、転送方式を設定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、実際に外部装置により可視化された映像を撮像して転送方式を決定するため、被写体の照明環境等の外部環境以外に起因する映像の不具合(例えば、撮像信号の圧縮方式に起因するブロックノイズ等)についても解消することができる。
【0018】
また、外部装置にて撮像信号が可視化された映像を撮像する映像撮像部をさらに備え、転送方式設定部は、映像撮像部の撮像結果に基づいて、転送方式を設定することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、書画撮像部により被写体を撮像した撮像信号に基づく映像を映像撮像部により撮像するため、被写体の違いも考慮した適切な撮像信号の転送方式を設定することができる。また、書画撮像部の撮像と映像撮像部の撮像とを並行して行うことができるため、外部環境等に応じて動的に転送方式を変更することも可能となる。
【0020】
また、転送方式設定部は、転送方式として、フレームレート、圧縮方式、圧縮率、ピクセルアスペクト比のうち、少なくとも1つを設定することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、被写体の照明環境とフレームレートとの不整合に起因するフリッカー、撮像信号の圧縮方式、圧縮率、ピクセルアスペクト比に起因するブロックノイズ、フリーズ等の映像の不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る書画カメラの外観斜視図である。
【図2】撮像データの転送方式を表した図である。
【図3】第1実施形態に係る書画カメラの制御構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係る書画カメラの外観斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る書画カメラの制御構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態に係る書画カメラの外観斜視図である。
【図10】第4実施形態に係る書画カメラの制御構成を示すブロック図である。
【図11】第4実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る書画カメラおよび書画カメラの制御方法について説明する。本発明の書画カメラは、被写体(書画)を撮像して得られた撮像データ(撮像信号)を外部装置に出力し、外部装置にて当該撮像データを表示(可視化)する。特に、本書画カメラは、外部装置により表示された映像の不具合を解消するべく、撮像データの転送方式を設定可能な機能を持つ。なお、以下に説明する各実施形態では、外部装置として、スクリーンに撮像データを投写表示するプロジェクターを例示する。また、本実施形態のプロジェクターは、撮像データの転送方式を設定する機能を備えていないものとする。
【0024】
[第1実施形態]
以下、図1ないし図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る書画カメラ1について説明する。図1は、本実施形態に係る書画カメラ1の外観斜視図である。書画カメラ1は、被写体2を撮像するカメラ部3(書画撮像部)と、カメラ部3を支持するカメラスタンド4と、カメラスタンド4が立設された支持台5と、支持台5上に配設された操作部6と、を備えている。
【0025】
カメラ部3は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子と、レンズ光学系と、クロック発生器と、CCDドライバと、を有し、カメラ直下の被写体2を撮像する。なお、同図では被写体2を見開き状態の書籍としたが、平面状のシートや立体物であってもよい。
【0026】
カメラスタンド4は、支持台5に立設されると共に鉛直方向に延在する鉛直支持軸7と、鉛直支持軸7の先端から水平方向に延在すると共にカメラ部3を内蔵した水平支持軸8と、を備えている。
【0027】
操作部6は、電源スイッチ9と、転送方式切替操作子10と、を有している。電源スイッチ9は、カメラ部3の主電源のON/OFFを切り替えるためのスイッチである。転送方式切替操作子10は、カメラ部3が撮像した撮像データをプロジェクターPJ(図3参照)に出力する際の転送方式を切り替えるための操作子である。
【0028】
転送方式切替操作子10としては、具体的に、ユーザーが投写映像30(図3参照)にちらつき(フリッカー)を感じた場合に使用するフレームレート操作子11と、ユーザーが投写映像30にブロックノイズ、フリーズ等の画像の乱れを感じた場合に使用する圧縮方式操作子12、圧縮率操作子13および解像度操作子14と、を有している。各操作子はダイヤル式の操作子で構成され、ユーザーが各操作子を回転させることで、各種転送方式を切替可能となっている。なお、本実施形態でいう投写映像30の「ちらつき」とは、被写体2を照明する外部照明(例えば、室内照明等)の点滅と、撮像データのフレームレートとの不整合に起因するものを指している。また、外部照明は、供給される商用電源の電源周波数に応じて点滅する。例えば、電源周波数が50Hzの地域では、照明が毎秒100回の点滅を繰り返し、電源周波数が60Hzの地域では、照明が毎秒120回の点滅を繰り返す。
【0029】
図2は、撮像データの転送方式を示したものである。本実施形態では、変更可能な撮像データの転送方式を、撮像データのフレームレート、圧縮方式、圧縮率および解像度(ピクセルアスペクト比)とする。図1および図2に示すように、書画カメラ1は、フレームレート操作子11の操作により、撮像データのフレームレートを、電源周波数が50Hzである場合に対応した6.3fps(Frames Per Second)と、電源周波数が60Hzである場合に対応した7.5fpsのいずれかに切替可能になっている。なお、フレームレート操作子11のメモリには、ユーザーに馴染みのある電源周波数(50Hzおよび60Hz)を表示している。また同様に、書画カメラ1は、圧縮方式操作子12の操作により撮像データの圧縮方式をJPEGおよび非圧縮のいずれかに、圧縮率操作子13の操作により撮像データの圧縮率を1/8、1/16、1/32、1/64、のいずれかに、解像度操作子14の操作により撮像データの解像度をUXGA,WXGA,XGA,SVGA,のいずれかに、それぞれ切替可能となっている。なお、圧縮方式は、JPEG以外にZIP、GIFなどを選択可能としても良い。また、圧縮率操作子13は、圧縮方式操作子12の操作により、撮像データの圧縮方式がJPEGに設定されている場合のみ操作可能となっている。
【0030】
図3は、書画カメラ1の制御構成を示したブロック図である。書画カメラ1は、カメラ部3、フレームメモリー21、撮像データ処理部22、制御部23(転送方式設定部24を含む)、撮像データ出力部25および操作部6を備えている。
【0031】
フレームメモリー21は、カメラ部3により、クロック発生器から発生されるタイミングに従って撮像される複数の撮像データを一時的に記憶する。フレームメモリー21は、記憶された撮像データが記憶容量を満たすと、最も古い撮像データから順に新しい撮像データを上書きしていく。
【0032】
制御部23は、各部を統括制御すると共に、撮像データの転送方式を設定する転送方式設定部24を有している。転送方式設定部24は、転送方式切替操作子10の各操作子の操作による操作信号に基づいて、撮像データの転送方式を設定する。なお、転送方式の設定方法については、後述する。
【0033】
撮像データ処理部22は、転送方式設定部24が設定した転送方式に基づいて、フレームメモリー21に記憶された撮像データを処理する。具体的には、解像度変換処理、撮像データを設定された圧縮方式且つ圧縮率で圧縮する圧縮処理を行う。
【0034】
撮像データ出力部25は、転送方式設定部24の設定にしたがって撮像データ処理部22により処理された撮像データをプロジェクターPJに対して出力する。なお、撮像データ出力部25は、映像出力端子やUSB端子等を有する端子部15(図1参照)によって構成されており、ケーブル16を介して、プロジェクターPJに接続されている。また、請求項にいう「出力処理部」とは、撮像データ処理部22および撮像データ出力部25を指す。
【0035】
一方、プロジェクターPJは、書画カメラ1の撮像データ出力部25から受け取った撮像データを投写して、スクリーンSCに投写映像30を表示させる。
【0036】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る書画カメラ1の撮像データの転送処理について説明する。書画カメラ1(制御部23)は、転送方式切替操作子10のいずれか一つの操作子が操作されると(S01;YES)、転送方式設定部24によって撮像データの転送方式を設定する(S02)。例えば、フレームレート操作子11が操作された場合には、転送方式設定部24によりカメラ部3のクロック周波数を操作に応じて、10MHz(電源周波数50Hz用)または12MHz(電源周波数60Hz用)に設定する。これにより、フレームレートが6.3fpsまたは7.5fpsに設定される。一方、圧縮率操作子13、圧縮方式操作子12および解像度操作子14が操作された場合には、操作に応じて各種転送方式を設定し、撮像データ処理部22により各種転送方式に応じて撮像データを処理する。続いて、設定された転送方式にしたがって、撮像データ出力部25により撮像データを出力する(S03)。転送方式切替操作子10のいずれの操作子も操作されなかった場合(S01;NO)、撮像データの転送方式は変更されずにそのまま処理を終了する。
【0037】
上記の構成によれば、書画カメラ1が転送方式を設定するため、プロジェクターPJに適切な転送方式を設定する機能が備わっていない場合にも、適切な転送方式で撮像データを出力することができる。また、転送方式切替操作子10をユーザーが押下することによって転送方式を切替えることができるため、ユーザーが投写映像30を確認しながら所望の転送方式を切り替えることができる。
【0038】
以下、図5ないし図11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記の第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
[第2実施形態]
図5を参照して、第2実施形態に係る書画カメラ1について説明する。本実施形態に係る書画カメラ1は、操作部6を有しておらず、転送方式として、撮像データの最適なフレームレートを設定し、当該フレームレートにしたがって、撮像データを出力する。
【0040】
図5に示すように、書画カメラ1(制御部23)は、カメラ部3により被写体2を所定のクロック周波数(例えば、商用電源周波数が50Hzの地域に対応する10MHz)で撮像し(S04)、撮像した複数の撮像データをフレームメモリー21に一時的に記憶する(S05)。転送方式設定部24によりフレームメモリー21に記憶した複数の撮像データを比較して(S06)、比較した複数の撮像データに明るさの違いがあるか否かを判定する(S07)。
【0041】
複数の撮像データに明るさの違いがある場合(S07;YES)、フレームメモリー21に記憶した複数の撮像データから商用電源の電源周波数を特定する(S08)。そして、特定した電源周波数に基づいて、撮像データのフレームレートを設定する(S09)。具体的には、商用電源周波数が50Hzの地域に対応するクロック周波数で撮像した撮像データに明るさの違いがある場合(ちらつきが生じる場合)、電源周波数が60Hzであると特定し、転送方式設定部24はカメラ部3のクロック周波数を、商用電源周波数が60Hzの地域に対応する12MHzに変更する。この場合、フレームレートは7.5fpsとなる。逆に、撮像データに明るさの違いがなかった場合は(S07;NO)、電源周波数が50Hzであると特定し、クロック周波数を変更しない(10MHzに設定する)。この場合、フレームレートは6.3fpsとなる。このように、カメラ部3のクロック周波数を電源周波数の整数倍とすることによって、電源周波数がフレームレートの略整数倍となり、適切なフレームレートが設定される。そして、設定したフレームレートで、撮像データをプロジェクターPJに出力する(S10)。
【0042】
これにより、商用電源の電源周波数による照明(グローランプによる点灯方式を用いた照明など)の点滅を起因とする撮像データの明るさの違いを解消することができる。すなわち、適切なフレームレートで出力された撮像データをプロジェクターPJにて投写表示することにより、ちらつきのない投写映像30を投写することができる。
【0043】
なお、インバーター照明のように発光周期の短いものにおいて、転送方式設定部24が電源周波数を特定できない場合(この場合、複数の撮像データに明るさの違いが出ない)を考慮して、フレームレート(カメラ部3のクロック周波数)のデフォルト値を予め設定しておいてもよい。例えば、電源周波数が50Hz用のフレームレートと、電源周波数が60Hz用のフレームレートと、をユーザーの操作によって切替可能にしてもよいし、どちらか一方のフレームレートをデフォルト値として設定してもよい。
【0044】
本実施形態によれば、転送方式設定部24により、自動的に電源周波数に基づいた適切なフレームレートを設定することができるため、利便性がよい。また、転送方式を設定するためのユーザーの操作を必要としないため、ユーザーの手間を省くことができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、図6ないし図8を参照し、本発明の第3実施形態に係る書画カメラ1について説明する。図6示すように、本実施形態の書画カメラ1は、カメラ部3を内蔵した水平支持軸8の先端が、例えばモーター駆動で回動自在に構成され、カメラ部3は、プロジェクターPJにて投写表示された投写映像30を撮像可能となっている。また、支持台5上に配設された操作部6には、カメラ部3に投写映像30を撮像させて、自動的に投写映像30の乱れを解消させるための転送方式設定ボタン10aがさらに備えられている。
【0046】
図7に示すように、フレームメモリー21は、カメラ部3が被写体2を撮像した撮像データが格納される被写体データ記憶領域26と、カメラ部3が投写映像30を撮像した映像撮像データが格納される映像データ記憶領域27と、を有している。
【0047】
制御部23は、映像データ記憶領域27に記憶された映像撮像データから投写映像30の乱れを判定する投写映像判定部28と、撮像データの転送方式を設定する転送方式設定部24と、を有している。転送方式設定部24は、転送方式設定ボタン10aが押下された場合、投写映像判定部28の判定結果に基づいて各種転送方式を設定する。
【0048】
図8を参照し、本実施形態に係る転送方式設定ボタン10aの押下があった場合の書画カメラ1の転送処理を説明する。書画カメラ1(制御部23)は、転送方式設定ボタン10aが押下されると(S11;YES)、カメラ部3により被写体を撮像し、その撮像データを被写体データ記憶領域26に保存して、これを繰り返し出力する(S12)。そして、水平支持軸8の先端を回動させてカメラ部3を投写映像30に向け、投写映像30を撮像する(S13)。撮像した映像撮像データを投写映像判定部28により解析して乱れがあると判定した場合(S14;YES)、乱れの種類を判定する(S15)。この判定結果に基づいて、転送方式設定部24は、各種転送方式(フレームレート、解像度、圧縮方式および圧縮率など)を設定する(S16)。例えば、被写体データと映像撮像データとを比較し、複数の画像間で明るさの違いがあれると判定された場合は、フリッカーが発生していると判断してフレームレートを適切に変更し、ブロックノイズが発生していると判定された場合は、圧縮率を上げるように変更する。そして、設定した転送方式で、被写体データ記憶領域26記憶されている撮像データを出力し(S12)、投写映像30に乱れがないと判定されるまで、S12〜S16間での動作を繰り返す。
【0049】
投写映像30に乱れがないと判定された場合(S14;NO)、カメラ部3を被写体2に向け、被写体2を撮像し(S17)、撮像した撮像データを出力する(S18)。一方、転送方式設定ボタン10aが押下されなかった場合(S11;NO)、転送方式を変更せずに処理を終了する。
【0050】
本実施形態によれば、カメラ部3が投写映像30を撮像可能であり、投写映像30を撮像した映像撮像データに基づいて転送方式を設定するため、自動的に被写体の違いも考慮した適切な転送方式を選択して設定することができる。よって、知識のないユーザーでも容易に転送方式を設定させることができ、投写映像30の乱れを解消することができる。
【0051】
なお、予め、ちらつき、ブロックノイズおよびフリーズ等の映像の乱れを検出しやすいテストパターンを被写体として撮像し、これを投写表示させた投写映像30を、カメラ部3により撮像して、転送方式を設定するようにしてもよい。また、このようなテストパターンを書画カメラ1に記憶させ、これを投写表示させた投写映像30を、カメラ部3により撮像して、転送方式を設定するようにしてもよい。また、テストパターンを用いる場合、グレースケール、縦縞、横縞、カラーバー等の要素を含むパターンを用いることが好ましい。例えば、テストパターンとして、JEITA(登録商標)テストチャートやITE(登録商標)テストチャート等を用いても良い。
【0052】
[第4実施形態]
次に、図9ないし図11を参照し、本発明の第4実施形態の書画カメラ1について説明する。図9および図10に示すように、本実施形態の書画カメラ1は、被写体2を撮像する被写体カメラ部3aに加えて、プロジェクターPJにてスクリーンSCに投写表示された投写映像30を撮像する投写映像カメラ部3b(映像撮像部)を、さらに備えている。投写映像カメラ部3bは、鉛直支持軸7の先端に水平支持軸8を介して配設されている。
【0053】
図11を参照し、本実施形態に係る転送方式設定ボタン10aの押下があった場合の書画カメラ1の転送処理を説明する。書画カメラ1(制御部23)は、転送方式設定ボタン10aが押下されると(S19;YES)、投写映像カメラ部3bによって投写映像30を撮像する(S20)。撮像した映像撮像データを投写映像判定部28により解析して乱れがあると判定された場合(S21;YES)、乱れの種類を判定する(S22)。この判定結果に基づいて、転送方式設定部24により、転送方式(フレームレート、解像度、圧縮方式および圧縮率)を設定する(S23)。そして、設定した転送方式で、撮像データを出力する(S24)。以降、投写映像30に乱れがないと判定されるまで、S20〜S24間での動作を繰り返す。
【0054】
投写映像30に乱れがないと判定された場合(S21;NO)、または、転送方式設定ボタン10aが押下されなかった場合(S19;NO)、処理を終了する。
【0055】
本実施形態によれば、被写体2を撮像する被写体カメラ部3aの他に、投写映像30を撮像する投写映像カメラ部3bを備えているため、被写体2の撮像と並行して、投写映像30に基づく転送方式を設定することができる。また、投写映像カメラ部3bを、投写映像30を撮像する映像専用のカメラとすることができるため、ズーム設定やフォーカス設定を適切に設計できる。
【0056】
なお、プロジェクターPJが撮像データの転送方式を設定する機能を備えている場合、書画カメラ1側で転送方式に関する制御信号をプロジェクターPJから受信し、当該制御信号に従って転送方式を設定しても良いし、当該制御信号を無視しても良い。つまり、プロジェクターの設定を優先させても良いし、書画カメラの設定を優先させても良い。また、プロジェクターPJから受信した転送方式に関する制御信号を考慮して転送方式を設定するなど、両者の設定に基づいて転送方式を設定しても良い。また、いずれにするかをユーザーが設定可能としても良い。また、本発明における外部装置を、ディスプレイに撮像データを表示するコンピューター等の表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:書画カメラ 2:被写体 3:カメラ部 3a:被写体カメラ部 3b:投写映像カメラ部 6:操作部 10:転送方式切替操作子 10a:転送方式設定ボタン 11:フレームレート操作子 12:圧縮方式操作子 13:圧縮率操作子 14:解像度操作子 22:撮像データ処理部 24:転送方式設定部 25:撮像データ出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体となる書画を撮像し、撮像した撮像信号を外部装置に出力する書画カメラおよび書画カメラの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の書画カメラは、通常コンピューターやプロジェクター等の外部装置(ホスト装置)に接続されて用いられる(例えば、特許文献1参照)。この場合、書画カメラから外部装置に出力する撮像信号の転送方式は、一般的に外部装置によって設定される。すなわち、外部装置側には、撮像信号を適切に可視化(表示または投写)することのできる転送方式を設定(変更)するための機能が備えられており、設定した転送方式を書画カメラに対して通知する。これに対し書画カメラは、通知された転送方式で外部装置に対し撮像信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−060393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の構成では、外部装置に撮像信号の転送方式を設定する機能が備えられていない場合、書画カメラから適切な転送方式で撮像信号を出力できないといった問題がある。このため、外部装置によって表示または投写される映像にブロックノイズが発生したり、映像がフリーズした場合に何ら対処できず、実質書画カメラを使用できない状況が発生していた。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、接続された外部装置に依らず、外部装置で可視化された映像の不具合を解消することができる書画カメラおよび書画カメラの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の書画カメラは、被写体となる書画を撮像する書画撮像部と、書画撮像部により撮像した撮像信号を、外部装置に転送するための転送方式を設定する転送方式設定部と、転送方式設定部の設定にしたがって、撮像信号を外部装置に出力する出力処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の書画カメラの制御方法は、外部装置と接続されて用いられる書画カメラの制御方法であって、書画カメラが、被写体となる書画を撮像する書画撮像ステップと、撮像した撮像信号を、外部装置に転送するための転送方式を設定する転送方式設定ステップと、転送方式の設定にしたがって、撮像信号を外部装置に出力する出力処理ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、外部装置に撮像信号の転送方式を設定(変更)する機能が備えられていない場合でも、書画カメラ側で転送方式を設定することができる。これにより、どの外部装置が接続されても、書画カメラ側で適切な転送方式に設定することができ、可視化された映像に不具合が生じた場合にこれを解消することができる。
なお、接続されている外部装置にも転送方式の設定機能が備えられている場合、外部装置と書画カメラのいずれの設定を優先するかについて設定可能としても良い。若しくは、強制的にいずれかの設定を優先させてもよい。
【0009】
この場合、転送方式を切り替えるための操作部をさらに備え、転送方式設定部は、操作部の操作にしたがって、転送方式を設定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば、ユーザーが、外部装置により可視化された映像を確認しながら、適切な転送方式に切り替えることができる。
【0011】
また、転送方式設定部は、書画撮像部の撮像結果に基づいて、転送方式を設定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、書画カメラにより、適切な転送方式に設定することができる。これにより、知識のないユーザーであっても、支障なく書画カメラを使用することができる。
なお、転送方式設定部は、書画撮像部による1回の撮像結果に基づいて設定しても良いし、複数回の撮像結果(撮像信号の変化)に基づいて設定しても良い。
【0013】
この場合、転送方式設定部は、書画撮像部の撮像結果に基づいて、供給されている商用電源の電源周波数を特定し、当該電源周波数に対応したフレームレートを、転送方式の少なくとも一部として設定することが好ましい。
【0014】
さらに、この場合、転送方式設定部は、書画撮像部において、所定の電源周波数に対応したフレームレートで書画を撮像した複数の撮像結果に基づいて、複数の撮像結果に明るさの違いがある場合は、電源周波数が所定の電源周波数ではないと特定し、複数の撮像結果に明るさの違いがない場合は、電源周波数が所定の電源周波数であると特定することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、被写体である書画を照明する照明光の点滅速度に応じたフレームレートを設定することができるため、これに起因した映像のフリッカーを解消することができる。
【0016】
また、書画撮像部は、撮像信号が外部装置にて可視化された映像を撮像可能であり、転送方式設定部は、書画撮像部により映像を撮像した撮像結果に基づいて、転送方式を設定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、実際に外部装置により可視化された映像を撮像して転送方式を決定するため、被写体の照明環境等の外部環境以外に起因する映像の不具合(例えば、撮像信号の圧縮方式に起因するブロックノイズ等)についても解消することができる。
【0018】
また、外部装置にて撮像信号が可視化された映像を撮像する映像撮像部をさらに備え、転送方式設定部は、映像撮像部の撮像結果に基づいて、転送方式を設定することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、書画撮像部により被写体を撮像した撮像信号に基づく映像を映像撮像部により撮像するため、被写体の違いも考慮した適切な撮像信号の転送方式を設定することができる。また、書画撮像部の撮像と映像撮像部の撮像とを並行して行うことができるため、外部環境等に応じて動的に転送方式を変更することも可能となる。
【0020】
また、転送方式設定部は、転送方式として、フレームレート、圧縮方式、圧縮率、ピクセルアスペクト比のうち、少なくとも1つを設定することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、被写体の照明環境とフレームレートとの不整合に起因するフリッカー、撮像信号の圧縮方式、圧縮率、ピクセルアスペクト比に起因するブロックノイズ、フリーズ等の映像の不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る書画カメラの外観斜視図である。
【図2】撮像データの転送方式を表した図である。
【図3】第1実施形態に係る書画カメラの制御構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係る書画カメラの外観斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る書画カメラの制御構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態に係る書画カメラの外観斜視図である。
【図10】第4実施形態に係る書画カメラの制御構成を示すブロック図である。
【図11】第4実施形態に係る書画カメラの転送処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る書画カメラおよび書画カメラの制御方法について説明する。本発明の書画カメラは、被写体(書画)を撮像して得られた撮像データ(撮像信号)を外部装置に出力し、外部装置にて当該撮像データを表示(可視化)する。特に、本書画カメラは、外部装置により表示された映像の不具合を解消するべく、撮像データの転送方式を設定可能な機能を持つ。なお、以下に説明する各実施形態では、外部装置として、スクリーンに撮像データを投写表示するプロジェクターを例示する。また、本実施形態のプロジェクターは、撮像データの転送方式を設定する機能を備えていないものとする。
【0024】
[第1実施形態]
以下、図1ないし図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る書画カメラ1について説明する。図1は、本実施形態に係る書画カメラ1の外観斜視図である。書画カメラ1は、被写体2を撮像するカメラ部3(書画撮像部)と、カメラ部3を支持するカメラスタンド4と、カメラスタンド4が立設された支持台5と、支持台5上に配設された操作部6と、を備えている。
【0025】
カメラ部3は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子と、レンズ光学系と、クロック発生器と、CCDドライバと、を有し、カメラ直下の被写体2を撮像する。なお、同図では被写体2を見開き状態の書籍としたが、平面状のシートや立体物であってもよい。
【0026】
カメラスタンド4は、支持台5に立設されると共に鉛直方向に延在する鉛直支持軸7と、鉛直支持軸7の先端から水平方向に延在すると共にカメラ部3を内蔵した水平支持軸8と、を備えている。
【0027】
操作部6は、電源スイッチ9と、転送方式切替操作子10と、を有している。電源スイッチ9は、カメラ部3の主電源のON/OFFを切り替えるためのスイッチである。転送方式切替操作子10は、カメラ部3が撮像した撮像データをプロジェクターPJ(図3参照)に出力する際の転送方式を切り替えるための操作子である。
【0028】
転送方式切替操作子10としては、具体的に、ユーザーが投写映像30(図3参照)にちらつき(フリッカー)を感じた場合に使用するフレームレート操作子11と、ユーザーが投写映像30にブロックノイズ、フリーズ等の画像の乱れを感じた場合に使用する圧縮方式操作子12、圧縮率操作子13および解像度操作子14と、を有している。各操作子はダイヤル式の操作子で構成され、ユーザーが各操作子を回転させることで、各種転送方式を切替可能となっている。なお、本実施形態でいう投写映像30の「ちらつき」とは、被写体2を照明する外部照明(例えば、室内照明等)の点滅と、撮像データのフレームレートとの不整合に起因するものを指している。また、外部照明は、供給される商用電源の電源周波数に応じて点滅する。例えば、電源周波数が50Hzの地域では、照明が毎秒100回の点滅を繰り返し、電源周波数が60Hzの地域では、照明が毎秒120回の点滅を繰り返す。
【0029】
図2は、撮像データの転送方式を示したものである。本実施形態では、変更可能な撮像データの転送方式を、撮像データのフレームレート、圧縮方式、圧縮率および解像度(ピクセルアスペクト比)とする。図1および図2に示すように、書画カメラ1は、フレームレート操作子11の操作により、撮像データのフレームレートを、電源周波数が50Hzである場合に対応した6.3fps(Frames Per Second)と、電源周波数が60Hzである場合に対応した7.5fpsのいずれかに切替可能になっている。なお、フレームレート操作子11のメモリには、ユーザーに馴染みのある電源周波数(50Hzおよび60Hz)を表示している。また同様に、書画カメラ1は、圧縮方式操作子12の操作により撮像データの圧縮方式をJPEGおよび非圧縮のいずれかに、圧縮率操作子13の操作により撮像データの圧縮率を1/8、1/16、1/32、1/64、のいずれかに、解像度操作子14の操作により撮像データの解像度をUXGA,WXGA,XGA,SVGA,のいずれかに、それぞれ切替可能となっている。なお、圧縮方式は、JPEG以外にZIP、GIFなどを選択可能としても良い。また、圧縮率操作子13は、圧縮方式操作子12の操作により、撮像データの圧縮方式がJPEGに設定されている場合のみ操作可能となっている。
【0030】
図3は、書画カメラ1の制御構成を示したブロック図である。書画カメラ1は、カメラ部3、フレームメモリー21、撮像データ処理部22、制御部23(転送方式設定部24を含む)、撮像データ出力部25および操作部6を備えている。
【0031】
フレームメモリー21は、カメラ部3により、クロック発生器から発生されるタイミングに従って撮像される複数の撮像データを一時的に記憶する。フレームメモリー21は、記憶された撮像データが記憶容量を満たすと、最も古い撮像データから順に新しい撮像データを上書きしていく。
【0032】
制御部23は、各部を統括制御すると共に、撮像データの転送方式を設定する転送方式設定部24を有している。転送方式設定部24は、転送方式切替操作子10の各操作子の操作による操作信号に基づいて、撮像データの転送方式を設定する。なお、転送方式の設定方法については、後述する。
【0033】
撮像データ処理部22は、転送方式設定部24が設定した転送方式に基づいて、フレームメモリー21に記憶された撮像データを処理する。具体的には、解像度変換処理、撮像データを設定された圧縮方式且つ圧縮率で圧縮する圧縮処理を行う。
【0034】
撮像データ出力部25は、転送方式設定部24の設定にしたがって撮像データ処理部22により処理された撮像データをプロジェクターPJに対して出力する。なお、撮像データ出力部25は、映像出力端子やUSB端子等を有する端子部15(図1参照)によって構成されており、ケーブル16を介して、プロジェクターPJに接続されている。また、請求項にいう「出力処理部」とは、撮像データ処理部22および撮像データ出力部25を指す。
【0035】
一方、プロジェクターPJは、書画カメラ1の撮像データ出力部25から受け取った撮像データを投写して、スクリーンSCに投写映像30を表示させる。
【0036】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る書画カメラ1の撮像データの転送処理について説明する。書画カメラ1(制御部23)は、転送方式切替操作子10のいずれか一つの操作子が操作されると(S01;YES)、転送方式設定部24によって撮像データの転送方式を設定する(S02)。例えば、フレームレート操作子11が操作された場合には、転送方式設定部24によりカメラ部3のクロック周波数を操作に応じて、10MHz(電源周波数50Hz用)または12MHz(電源周波数60Hz用)に設定する。これにより、フレームレートが6.3fpsまたは7.5fpsに設定される。一方、圧縮率操作子13、圧縮方式操作子12および解像度操作子14が操作された場合には、操作に応じて各種転送方式を設定し、撮像データ処理部22により各種転送方式に応じて撮像データを処理する。続いて、設定された転送方式にしたがって、撮像データ出力部25により撮像データを出力する(S03)。転送方式切替操作子10のいずれの操作子も操作されなかった場合(S01;NO)、撮像データの転送方式は変更されずにそのまま処理を終了する。
【0037】
上記の構成によれば、書画カメラ1が転送方式を設定するため、プロジェクターPJに適切な転送方式を設定する機能が備わっていない場合にも、適切な転送方式で撮像データを出力することができる。また、転送方式切替操作子10をユーザーが押下することによって転送方式を切替えることができるため、ユーザーが投写映像30を確認しながら所望の転送方式を切り替えることができる。
【0038】
以下、図5ないし図11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記の第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
[第2実施形態]
図5を参照して、第2実施形態に係る書画カメラ1について説明する。本実施形態に係る書画カメラ1は、操作部6を有しておらず、転送方式として、撮像データの最適なフレームレートを設定し、当該フレームレートにしたがって、撮像データを出力する。
【0040】
図5に示すように、書画カメラ1(制御部23)は、カメラ部3により被写体2を所定のクロック周波数(例えば、商用電源周波数が50Hzの地域に対応する10MHz)で撮像し(S04)、撮像した複数の撮像データをフレームメモリー21に一時的に記憶する(S05)。転送方式設定部24によりフレームメモリー21に記憶した複数の撮像データを比較して(S06)、比較した複数の撮像データに明るさの違いがあるか否かを判定する(S07)。
【0041】
複数の撮像データに明るさの違いがある場合(S07;YES)、フレームメモリー21に記憶した複数の撮像データから商用電源の電源周波数を特定する(S08)。そして、特定した電源周波数に基づいて、撮像データのフレームレートを設定する(S09)。具体的には、商用電源周波数が50Hzの地域に対応するクロック周波数で撮像した撮像データに明るさの違いがある場合(ちらつきが生じる場合)、電源周波数が60Hzであると特定し、転送方式設定部24はカメラ部3のクロック周波数を、商用電源周波数が60Hzの地域に対応する12MHzに変更する。この場合、フレームレートは7.5fpsとなる。逆に、撮像データに明るさの違いがなかった場合は(S07;NO)、電源周波数が50Hzであると特定し、クロック周波数を変更しない(10MHzに設定する)。この場合、フレームレートは6.3fpsとなる。このように、カメラ部3のクロック周波数を電源周波数の整数倍とすることによって、電源周波数がフレームレートの略整数倍となり、適切なフレームレートが設定される。そして、設定したフレームレートで、撮像データをプロジェクターPJに出力する(S10)。
【0042】
これにより、商用電源の電源周波数による照明(グローランプによる点灯方式を用いた照明など)の点滅を起因とする撮像データの明るさの違いを解消することができる。すなわち、適切なフレームレートで出力された撮像データをプロジェクターPJにて投写表示することにより、ちらつきのない投写映像30を投写することができる。
【0043】
なお、インバーター照明のように発光周期の短いものにおいて、転送方式設定部24が電源周波数を特定できない場合(この場合、複数の撮像データに明るさの違いが出ない)を考慮して、フレームレート(カメラ部3のクロック周波数)のデフォルト値を予め設定しておいてもよい。例えば、電源周波数が50Hz用のフレームレートと、電源周波数が60Hz用のフレームレートと、をユーザーの操作によって切替可能にしてもよいし、どちらか一方のフレームレートをデフォルト値として設定してもよい。
【0044】
本実施形態によれば、転送方式設定部24により、自動的に電源周波数に基づいた適切なフレームレートを設定することができるため、利便性がよい。また、転送方式を設定するためのユーザーの操作を必要としないため、ユーザーの手間を省くことができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、図6ないし図8を参照し、本発明の第3実施形態に係る書画カメラ1について説明する。図6示すように、本実施形態の書画カメラ1は、カメラ部3を内蔵した水平支持軸8の先端が、例えばモーター駆動で回動自在に構成され、カメラ部3は、プロジェクターPJにて投写表示された投写映像30を撮像可能となっている。また、支持台5上に配設された操作部6には、カメラ部3に投写映像30を撮像させて、自動的に投写映像30の乱れを解消させるための転送方式設定ボタン10aがさらに備えられている。
【0046】
図7に示すように、フレームメモリー21は、カメラ部3が被写体2を撮像した撮像データが格納される被写体データ記憶領域26と、カメラ部3が投写映像30を撮像した映像撮像データが格納される映像データ記憶領域27と、を有している。
【0047】
制御部23は、映像データ記憶領域27に記憶された映像撮像データから投写映像30の乱れを判定する投写映像判定部28と、撮像データの転送方式を設定する転送方式設定部24と、を有している。転送方式設定部24は、転送方式設定ボタン10aが押下された場合、投写映像判定部28の判定結果に基づいて各種転送方式を設定する。
【0048】
図8を参照し、本実施形態に係る転送方式設定ボタン10aの押下があった場合の書画カメラ1の転送処理を説明する。書画カメラ1(制御部23)は、転送方式設定ボタン10aが押下されると(S11;YES)、カメラ部3により被写体を撮像し、その撮像データを被写体データ記憶領域26に保存して、これを繰り返し出力する(S12)。そして、水平支持軸8の先端を回動させてカメラ部3を投写映像30に向け、投写映像30を撮像する(S13)。撮像した映像撮像データを投写映像判定部28により解析して乱れがあると判定した場合(S14;YES)、乱れの種類を判定する(S15)。この判定結果に基づいて、転送方式設定部24は、各種転送方式(フレームレート、解像度、圧縮方式および圧縮率など)を設定する(S16)。例えば、被写体データと映像撮像データとを比較し、複数の画像間で明るさの違いがあれると判定された場合は、フリッカーが発生していると判断してフレームレートを適切に変更し、ブロックノイズが発生していると判定された場合は、圧縮率を上げるように変更する。そして、設定した転送方式で、被写体データ記憶領域26記憶されている撮像データを出力し(S12)、投写映像30に乱れがないと判定されるまで、S12〜S16間での動作を繰り返す。
【0049】
投写映像30に乱れがないと判定された場合(S14;NO)、カメラ部3を被写体2に向け、被写体2を撮像し(S17)、撮像した撮像データを出力する(S18)。一方、転送方式設定ボタン10aが押下されなかった場合(S11;NO)、転送方式を変更せずに処理を終了する。
【0050】
本実施形態によれば、カメラ部3が投写映像30を撮像可能であり、投写映像30を撮像した映像撮像データに基づいて転送方式を設定するため、自動的に被写体の違いも考慮した適切な転送方式を選択して設定することができる。よって、知識のないユーザーでも容易に転送方式を設定させることができ、投写映像30の乱れを解消することができる。
【0051】
なお、予め、ちらつき、ブロックノイズおよびフリーズ等の映像の乱れを検出しやすいテストパターンを被写体として撮像し、これを投写表示させた投写映像30を、カメラ部3により撮像して、転送方式を設定するようにしてもよい。また、このようなテストパターンを書画カメラ1に記憶させ、これを投写表示させた投写映像30を、カメラ部3により撮像して、転送方式を設定するようにしてもよい。また、テストパターンを用いる場合、グレースケール、縦縞、横縞、カラーバー等の要素を含むパターンを用いることが好ましい。例えば、テストパターンとして、JEITA(登録商標)テストチャートやITE(登録商標)テストチャート等を用いても良い。
【0052】
[第4実施形態]
次に、図9ないし図11を参照し、本発明の第4実施形態の書画カメラ1について説明する。図9および図10に示すように、本実施形態の書画カメラ1は、被写体2を撮像する被写体カメラ部3aに加えて、プロジェクターPJにてスクリーンSCに投写表示された投写映像30を撮像する投写映像カメラ部3b(映像撮像部)を、さらに備えている。投写映像カメラ部3bは、鉛直支持軸7の先端に水平支持軸8を介して配設されている。
【0053】
図11を参照し、本実施形態に係る転送方式設定ボタン10aの押下があった場合の書画カメラ1の転送処理を説明する。書画カメラ1(制御部23)は、転送方式設定ボタン10aが押下されると(S19;YES)、投写映像カメラ部3bによって投写映像30を撮像する(S20)。撮像した映像撮像データを投写映像判定部28により解析して乱れがあると判定された場合(S21;YES)、乱れの種類を判定する(S22)。この判定結果に基づいて、転送方式設定部24により、転送方式(フレームレート、解像度、圧縮方式および圧縮率)を設定する(S23)。そして、設定した転送方式で、撮像データを出力する(S24)。以降、投写映像30に乱れがないと判定されるまで、S20〜S24間での動作を繰り返す。
【0054】
投写映像30に乱れがないと判定された場合(S21;NO)、または、転送方式設定ボタン10aが押下されなかった場合(S19;NO)、処理を終了する。
【0055】
本実施形態によれば、被写体2を撮像する被写体カメラ部3aの他に、投写映像30を撮像する投写映像カメラ部3bを備えているため、被写体2の撮像と並行して、投写映像30に基づく転送方式を設定することができる。また、投写映像カメラ部3bを、投写映像30を撮像する映像専用のカメラとすることができるため、ズーム設定やフォーカス設定を適切に設計できる。
【0056】
なお、プロジェクターPJが撮像データの転送方式を設定する機能を備えている場合、書画カメラ1側で転送方式に関する制御信号をプロジェクターPJから受信し、当該制御信号に従って転送方式を設定しても良いし、当該制御信号を無視しても良い。つまり、プロジェクターの設定を優先させても良いし、書画カメラの設定を優先させても良い。また、プロジェクターPJから受信した転送方式に関する制御信号を考慮して転送方式を設定するなど、両者の設定に基づいて転送方式を設定しても良い。また、いずれにするかをユーザーが設定可能としても良い。また、本発明における外部装置を、ディスプレイに撮像データを表示するコンピューター等の表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:書画カメラ 2:被写体 3:カメラ部 3a:被写体カメラ部 3b:投写映像カメラ部 6:操作部 10:転送方式切替操作子 10a:転送方式設定ボタン 11:フレームレート操作子 12:圧縮方式操作子 13:圧縮率操作子 14:解像度操作子 22:撮像データ処理部 24:転送方式設定部 25:撮像データ出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体となる書画を撮像する書画撮像部と、
前記書画撮像部により撮像した撮像信号を、外部装置に転送するための転送方式を設定する転送方式設定部と、
前記転送方式設定部の設定にしたがって、前記撮像信号を前記外部装置に出力する出力処理部と、を備えたことを特徴とする書画カメラ。
【請求項2】
前記転送方式を切り替えるための操作部をさらに備え、
前記転送方式設定部は、前記操作部の操作にしたがって、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項3】
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部の撮像結果に基づいて、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項4】
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部の撮像結果に基づいて、供給されている商用電源の電源周波数を特定し、当該電源周波数に対応したフレームレートを、前記転送方式の少なくとも一部として設定することを特徴とする請求項3に記載の書画カメラ。
【請求項5】
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部において、所定の電源周波数に対応したフレームレートで前記書画を撮像した複数の撮像結果に基づいて、前記複数の撮像結果に明るさの違いがある場合は、前記電源周波数が前記所定の電源周波数ではないと特定し、前記複数の撮像結果に明るさの違いがない場合は、前記電源周波数が前記所定の電源周波数であると特定することを特徴とする請求項4に記載の書画カメラ。
【請求項6】
前記書画撮像部は、前記撮像信号が前記外部装置にて可視化された映像を撮像可能であり、
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部により前記映像を撮像した撮像結果に基づいて、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項3に記載の書画カメラ。
【請求項7】
前記外部装置にて前記撮像信号が可視化された映像を撮像する映像撮像部をさらに備え、
前記転送方式設定部は、前記映像撮像部の撮像結果に基づいて、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項8】
前記転送方式設定部は、前記転送方式として、フレームレート、圧縮方式、圧縮率、ピクセルアスペクト比のうち、少なくとも1つを設定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の書画カメラ。
【請求項9】
外部装置と接続されて用いられる書画カメラの制御方法であって、
前記書画カメラが、
被写体となる書画を撮像する書画撮像ステップと、
撮像した撮像信号を、前記外部機器に転送するための転送方式を設定する転送方式設定ステップと、
前記転送方式の設定にしたがって、前記撮像信号を前記外部装置に出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする書画カメラの制御方法。
【請求項1】
被写体となる書画を撮像する書画撮像部と、
前記書画撮像部により撮像した撮像信号を、外部装置に転送するための転送方式を設定する転送方式設定部と、
前記転送方式設定部の設定にしたがって、前記撮像信号を前記外部装置に出力する出力処理部と、を備えたことを特徴とする書画カメラ。
【請求項2】
前記転送方式を切り替えるための操作部をさらに備え、
前記転送方式設定部は、前記操作部の操作にしたがって、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項3】
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部の撮像結果に基づいて、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項4】
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部の撮像結果に基づいて、供給されている商用電源の電源周波数を特定し、当該電源周波数に対応したフレームレートを、前記転送方式の少なくとも一部として設定することを特徴とする請求項3に記載の書画カメラ。
【請求項5】
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部において、所定の電源周波数に対応したフレームレートで前記書画を撮像した複数の撮像結果に基づいて、前記複数の撮像結果に明るさの違いがある場合は、前記電源周波数が前記所定の電源周波数ではないと特定し、前記複数の撮像結果に明るさの違いがない場合は、前記電源周波数が前記所定の電源周波数であると特定することを特徴とする請求項4に記載の書画カメラ。
【請求項6】
前記書画撮像部は、前記撮像信号が前記外部装置にて可視化された映像を撮像可能であり、
前記転送方式設定部は、前記書画撮像部により前記映像を撮像した撮像結果に基づいて、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項3に記載の書画カメラ。
【請求項7】
前記外部装置にて前記撮像信号が可視化された映像を撮像する映像撮像部をさらに備え、
前記転送方式設定部は、前記映像撮像部の撮像結果に基づいて、前記転送方式を設定することを特徴とする請求項1に記載の書画カメラ。
【請求項8】
前記転送方式設定部は、前記転送方式として、フレームレート、圧縮方式、圧縮率、ピクセルアスペクト比のうち、少なくとも1つを設定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の書画カメラ。
【請求項9】
外部装置と接続されて用いられる書画カメラの制御方法であって、
前記書画カメラが、
被写体となる書画を撮像する書画撮像ステップと、
撮像した撮像信号を、前記外部機器に転送するための転送方式を設定する転送方式設定ステップと、
前記転送方式の設定にしたがって、前記撮像信号を前記外部装置に出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする書画カメラの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−254280(P2011−254280A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126465(P2010−126465)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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