説明

有効成分の抽出方法

【課題】
本発明の課題は、被抽出物中の有効成分のエタノール抽出において、濃縮の際に水の影響を受けることのない抽出方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、乾燥工程によって被抽出物中の水分量を1.0%以下となるように乾燥させることで、被抽出物中の水がほとんどない。したがって、エタノールによる抽出の際に、被抽出物中の水がエタノールの濃度を大きく低下させることがない。また、99.5%以上の濃度を有するエタノールを抽出工程で使用することで、有効成分を抽出したエタノール溶液中に水がほとんど存在しない。したがって、その後の濃縮工程で、有効成分を含有するエタノール溶液からエタノールを分離しても、エタノールに溶解していた有効成分が沈殿せずに容易に有効成分を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被抽出物から有効成分を抽出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動植物などの被抽出物中には、種々の有効成分が含まれており、これらを抽出して、サプリメントや健康食品などが製造されている。この被抽出物などから有効成分を抽出する場合、親水性基と疎水性基を有するエタノールに水を混合させた混合溶液が利用さている(例えば、特許文献1参照)。詳細には、被抽出物を凍結乾燥などの手法で乾燥させた後、その乾燥物を水とエタノールの混合溶液に投入して、有効成分を抽出し、濃縮させている。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−164852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1をはじめとする従来の方法では、混合溶液中には、多量の水が含まれている。そのため、被抽出物中には、エタノールで抽出される物質と水で抽出される物質とが共存し、この混合溶液で抽出される。これらの物質を抽出した混合溶液をエバポレータなどで濃縮する際、エタノールの方が水よりも沸点が低く、蒸発しやすいため、混合溶液中のエタノールの濃度が低下する。エタノールに抽出される物質の中には、水に解けない疎水性の物質も含まれているため、濃縮を進めることで、疎水性物質が沈殿してしまい、有効成分を効率的に回収することができない。
【0005】
また、有効成分の効率的な回収を妨げる水は、抽出溶媒であるエタノールだけでなく、被抽出物中にも多量に含まれている。すなわち、通常の乾燥標品のように、被抽出物の水分量を10wt%程度に乾燥を行っても、抽出の際にエタノールの濃度を低下させるため、上述と同様に有効成分を効率的に回収することができない。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑み、発明者の鋭意研究の結果、見出されたもので、被抽出物中の有効成分のエタノール抽出において、濃縮の際に水の影響を受けることのない抽出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有効成分の抽出方法は、被抽出物から有効成分を抽出する有効成分の抽出方法であって、前記被抽出物を粉砕し、前記被抽出物中の水分量が1.0%以下となるように乾燥する乾燥工程と、99.5%以上の濃度を有するエタノールに前記乾燥工程によって乾燥した前記被抽出物を投入し、前記被抽出物から前記有効成分を前記エタノールに抽出する抽出行程と、前記抽出行程によって前記有効成分を含有するエタノール溶液から前記エタノールを分離し、前記有効成分を濃縮する濃縮行程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、乾燥工程によって被抽出物中の水分量を1.0%以下となるように乾燥させることで、被抽出物中の水がほとんどない。したがって、エタノールによる抽出の際に、被抽出物中の水がエタノールの濃度を大きく低下させることがない。また、99.5%以上の濃度を有するエタノールを抽出工程で使用することで、有効成分を抽出したエタノール溶液中に水がほとんど存在しない。したがって、その後の濃縮工程で、有効成分を含有するエタノール溶液からエタノールを蒸散減量しても、エタノールに溶解していた有効成分が沈殿せずに容易に有効成分を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、被抽出物から有効成分を抽出する方法に関する。この被抽出物は、後述するようにエタノールを使用して、被抽出物中のエタノールに可溶な親水性物質及び疎水性物質を有効成分として抽出可能な動植物である。この被抽出物は、特に限定されるものではないが、例えば、イワシ、イチョウの葉、朝鮮ニンジン、ウコン、アシタバ、アマチャズル、カミツレ、甘草、グァヴァ、桂皮、紅花、ドクダミ、杜仲、蓮肉、ハトムギ等が挙げられ、これらを混合したものでもよい。
【0010】
この被抽出物から抽出される有効成分は、エタノールに可溶な、脂溶性(疎水性)の物質の混合物で、被抽出物に応じて異なる。例えば、イワシの場合、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)をはじめとするの種々の不飽和脂肪酸が有効成分として抽出でき、これら化合物を摂取することで血中脂質低下作用、動脈硬化抑制作用等が期待できる。イチョウの葉の場合、ケルセチンなどのフラボノイド系化合物、テルペノイド系化合物が有効成分として抽出でき、これら化合物を摂取することで血圧低下作用が期待できる。朝鮮ニンジンの場合、サポニン等が有効成分として抽出できる。ケイヒ、トチュウ、ウコンの場合も種々の有効成分を抽出できる。これら有効成分は、生理学的に重要な役割を有している。したがって、これらを摂取することで、薬理的な効果が期待できる。
【0011】
まず、本発明の有効成分の抽出方法について説明する。本発明の有効成分の抽出方法は、図1のように、粉砕工程と、乾燥工程と、エタノールによる抽出工程と、分離工程と、濃縮工程とを有しており、さらに、水による抽出工程と、第2の乾燥工程とを有していてもよい。
【0012】
粉砕工程は、例えばミキサーなどを使用して、被抽出物を細かく粉砕する工程である。この粉砕工程で粉砕される被抽出物の大きさは、特に限定されるものではなく、被抽出物に応じて適宜変更可能である。また、その形状の粉体状であっても、フレーク状であってもよく、均一な形状になっていなくてもよい。この粉砕工程で被抽出物を粉砕することで、被抽出物の表面積が大きくなり、後述する乾燥工程において効率的な乾燥が行える。また、同様に、エタノールによる抽出工程において、効率的に被抽出物中の有効成分を抽出することが可能となる。この粉砕工程において、イワシなどのように水分が非常に多い被抽出物の場合、効率的に粉砕するために、被抽出物を予備乾燥させてもよい。
【0013】
乾燥工程は、粉砕工程によって粉砕された被抽出物を乾燥する工程で、被抽出物中の水分量が1.0%以下となるように脱水する。この乾燥工程は、温風乾燥機、定温真空乾燥機等を使用することができる。特に定温真空乾燥機では、被抽出物の周囲を真空にすることができるとともに、周囲の温度を制御することが可能であるため、比較的短い時間で水分量を1.0%以下にすることができる。通常、乾燥品と称される物であっても、10%程度の水分が含まれているため、例え乾燥品と称される物であってもさらなる乾燥によって、水分量が1.0%以下となるように脱水する。
【0014】
このとき、被抽出物の周囲の温度としては、80℃以下になるように設定することが好ましい。80℃を越えるような高い温度の場合、被抽出物中の有効成分が熱によって変性、分解してしまう恐れがあり、効率的に有効成分を抽出することができなくなる。また、例えばイワシのように、非常に水分量の多い被抽出物では、凍結乾燥機を使用することも可能である。
【0015】
エタノールによる抽出工程は、乾燥工程によって被抽出物中の水分量が1.0%以下となるように乾燥した被抽出物を99.5%以上の濃度を有するエタノールによって抽出する工程である。この抽出工程は、所定の容器に入れたエタノールに、乾燥工程で乾燥した被抽出物を投入し、エタノール中に浸漬させる。このとき、エタノールによる抽出工程における抽出温度は、室温下で行われることが好ましい。また、抽出時間は、被抽出物に応じて適宜変更される。この抽出工程の抽出溶媒であるエタノールの使用量は、被抽出物に対して、例えば体積比2倍以上など、十分に多い量で有れば特に限定されるものではない。このエタノールの濃度が99.5%よりも低い場合、濃縮の際に、エタノール中の水分によってエタノールに可溶で水に不溶な疎水性成分の沈殿が起こり、効率的に有効成分を回収することができなくなる。
【0016】
分離工程は、有効成分を含有するエタノール溶液と、有効成分が抽出された被抽出物残渣とを分離する工程である。この分離工程では、特に限定するものではないが、例えば、遠心濾過器で形状の大きな被抽出物残渣をエタノール溶液から分離させ、さらに、濾紙を使用して不溶な細かい被抽出物残渣を完全に濾別してもよい。この分離工程で分離されたエタノール溶液は、次工程の濃縮工程で濃縮される。
【0017】
濃縮工程は、分離工程で分離されたエタノール溶液からエタノールを蒸発させて、有効成分を濃縮する工程である。この濃縮工程は、エタノール溶液中のエタノールの量にもよるが、10分の1から30分の1程度になるまでエタノール溶液を濃縮する。蒸発したエタノールは、回収されエタノールによる抽出工程に再使用することができる。この濃縮工程には、例えばロータリーエバポレータ等が使用できるが、抽出した有効成分が熱によって反応、分解せずに濃縮できるものであれば特に限定するものではない。
【0018】
本発明では、99.5%という高い濃度のエタノールを使用している。すなわち、エタノール中に水分が非常に少ない。また、上述した乾燥工程のとおり、有効成分が抽出される被抽出物の水分量も1.0%以下となるまで乾燥されている。したがって、エタノール溶液中に被抽出物由来の水も非常に少ない。
【0019】
被抽出物中の水分量が1.0%より多くなると、後述する抽出工程において、被抽出物中の水がエタノール中に移動し、エタノール濃度が低下する。このエタノール溶液を濃縮工程において沸点の低いエタノールが先に蒸散することで、さらにエタノール濃度が低下し、有効成分の中のエタノールに可溶な疎水性成分が沈殿し、抽出した有効成分の全てを回収が困難になる。
【0020】
本発明では、高い濃度のエタノールと、水分の少ない被抽出物を使用しているため、エタノールの濃度の低下は最小限となり、水に不溶な疎水性成分の沈殿は起こらずに、特に有用なエタノールに可溶な脂溶性(疎水性)の有効成分を容易に回収することができる。このように、本発明の有効成分の抽出方法は、被抽出物から容易に効率的に有効成分を抽出することができる。
【0021】
本発明の有効成分の抽出方法は、図1のように、分離工程において分離された被抽出物残渣から水を使って親水性成分をさらに抽出してもよい。
【0022】
水による抽出工程は、上述のエタノールによる抽出工程と同様に、分離工程において分離された抽出物残渣から水溶性成分を水によって抽出する工程である。この抽出工程は、所定の容器に入れた水に、分離工程で分離した被抽出物残渣を、被抽出物残渣中に残るエタノールを蒸発させた後に投入し、水中に浸漬させる。抽出工程における抽出温度は、室温下で行われることが好ましい。また、抽出時間は、被抽出物に応じて適宜変更される。この抽出工程の抽出溶媒である水の使用量は、被抽出物に対して十分に多い量で有れば特に限定されるものではない。
【0023】
分離工程は、エタノールによる抽出工程後の分離工程と同様に、水溶性成分を含有する水溶液と、水溶性成分が抽出された残渣物とに分離する工程である。この分離工程では、特に限定するものではないが、例えば、遠心濾過器で形状の大きな残渣物を水溶液から分離させ、さらに、濾紙を使用して残渣物を完全に濾別してもよい。この分離工程で分離された水溶液は、次工程の濃縮工程で濃縮される。
【0024】
第2の乾燥工程は、分離工程で分離された水溶液から水を蒸発させる、すなわち、乾燥させて、水溶性成分を取り出す工程である。この第2の乾燥工程は、水溶液中の水溶性成分を取り出すことができれば、特にその方法を限定するものではないが、最終的に、凍結乾燥によって溶質である水溶性成分を粉末化することが好ましい。
【0025】
このように、本発明の有効成分の抽出方法は、上述のように、ほとんど水分のない状態におけるエタノール抽出が行われた後、その残渣物を水によって抽出することで、両溶性成分を抽出できる。
【0026】
エタノール及び被抽出物中に水分が多く含まれると、エタノールによる抽出工程において、エタノール中の水分量が多くなり、エタノールの濃度が低下する。それに伴い、エタノール中の水が抽出溶媒となり、被抽出物中の水溶性成分がエタノール溶液中に溶出する。上述のように、エタノール溶液中に溶出してしまったエタノールに不溶な水溶性成分は、濃縮によってさらに濃度が低下したエタノール溶液中に留まる。この水溶性成分は、エタノール可溶成分と混在し、それぞれの回収が不完全で困難を伴う。
【0027】
一方、本発明の方法であれば、エタノールの濃度を低下させる水がエタノール及び被抽出物中にほとんど存在しない。したがって、エタノールに不溶な水溶性成分が被抽出物から抽出されず、被抽出物残渣中に留まる。したがって、このエタノールによる抽出が行われた後の被抽出物残渣に対して水を使って抽出を行うことで、エタノールに不溶な水溶性成分が抽出できる。さらに、この抽出された水溶性成分は、乾燥させるだけで、取り出すことができる。すなわち、従来法に比べて多くの水溶性成分を抽出することができるため、効率的に被抽出物中の水溶性成分を抽出することができる。また、上述のように、エタノールに可溶な脂溶性の有効成分も別途回収可能であり、本発明の抽出方法によって、被抽出物中に含まれる有効成分を無駄にすることなく、効率的な回収が可能となる。
【0028】
このように回収された被抽出物中の有効成分は、図2のように、カプセルに封入する封入工程を加えることで、有効成分を含有するカプセル剤を製造することができる。
【0029】
封入工程は、上述で説明した濃縮工程によって得られた有効成分をカプセル剤を形成するためのカプセルに封入する工程である。この封入工程では、まず、得られた有効成分からアルコール含量が10%以下になるように蒸散を行い、添加油と混合させる。アルコールはその疎水基により容易に油と混合する。そして、カプセル内に有効成分が溶解した混合液体を封入させる。添加油は、特に限定するものはないが、製造されるカプセル剤を経口摂取することから、毒性のないものが好ましい。例えば、サフラワー油、リノール油、魚油などの油などが挙げられ、例えば、有効成分の量が10〜30%になるようにする。
【0030】
図2のように、分離工程で得られた有効成分と、第2の乾燥工程によって得られたエタノールに不溶な水溶性成分とを混合し、その混合物をカプセルに懸濁封入して、カプセル剤を製造しても良い。
【0031】
混合工程は、分離工程で得られた有効成分と、第2の乾燥工程によって得られたエタノールに不溶な水溶性成分の粉末とを混合する工程である。液体である有効成分にエタノールに不溶な水溶性成分の粉末を適量投入し、混合することで混合物を得る。混合工程によって得られた混合物を上述と同様にカプセルに封入する。封入工程は、上述とほぼ同様である。
【0032】
これにより、被抽出物中の成分をもれなく含有するカプセル剤を容易に製造することができる。したがって、より薬理的に有効なカプセル剤となる。例えば、有効成分の粘度や味や臭いなどによって摂取にしくい因子を有効成分が含んでいたとしても、このように、有効成分をカプセル剤にすることで、摂取が容易となる。また、カプセル剤に液体と凍結乾燥粉末を封入することで、カプセル剤のカプセルが消化された際に、溶液化しやすく、吸収効率が高くなり、薬理的効果がさらに期待できる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を示すが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
[実施例1]
乾燥機で予備乾燥したイチョウの葉をミキサーを使用して最大1mm角に粉砕した。粉砕したイチョウの葉の粉末を定温真空乾燥機(アズワン株式会社製:AVO−310)に投入し、水分量が1.0%になるまで乾燥させた。乾燥後の被抽出物としてのイチョウの葉の粉末20kgを99.5%濃度のエタノール40Lに投入し、室温で40時間浸漬させ、イチョウの葉の粉末の有効成分を十分にエタノールに抽出させた。その後、イチョウの葉の粉末を含むエタノール溶液を遠心濾過器(株式会社コクサン製)で被抽出物残渣としてイチョウの葉をエタノールから分離させた後、濾紙によってさらにエタノール溶液を濾過した。濾過後、エタノール溶液をフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにより、50℃の温浴を用いて2mmHgで減圧濃縮し、500gの液体を得た。このとき、フラスコ内に沈殿物は確認されなかった。得られた液体を液体クロマトグラフ−質量分析法で分析したところ、0.16%のフラボノイド、0.284%のテルペンラクトン、17.4%のギンコール酸が含まれ、エタノールの含有率は、10%以下であった。
【0035】
[実施例2]
実施例1で被抽出物残渣としてのエタノール溶液から分離したイチョウの葉を水60Lに投入し、室温で48時間浸漬させ、イチョウの葉から水溶性成分を十分に水に抽出させた。その後、イチョウの葉を含む水溶液を実施例1の遠心濾過器でイチョウの葉を水から分離させた後、濾紙によってさらに水溶液を濾過した。濾過後、水溶液を凍結乾燥機に投入し、凍結乾燥させ、粉末2.2kgを得た。得られた粉体を水に溶解して、液体クロマトグラフ−質量分析法で分析したところ、0.38%のフラボノイド、0.087%のテルペンラクトン、0.018%のギンコール酸が含まれていた。
【0036】
[実施例3]
予備乾燥した丸干しイワシ20kgをミキサーを使用して最大1mm角に粉砕した。粉砕したイワシを実施例1の定温真空乾燥機に投入し、水分量が1.0%になるまで乾燥させた。乾燥後の被抽出物としてのイワシの乾燥粉末17.5kgを99.5%濃度のエタノール32Lに投入し、室温で3日間浸漬させ、イワシの粉末の有効成分を十分にエタノールに抽出させた。その後、イワシの粉末を含むエタノール溶液を実施例1の遠心濾過器で被抽出物残渣としてイワシをエタノールから分離させた後、濾紙によってさらにエタノール溶液を濾過した。濾過後、エタノール溶液をフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにより、50℃の温浴を用いて2mmHgで減圧濃縮し、500gの液体を得た。このとき、フラスコ内に沈殿物は確認されなかった。得られた液体を液体クロマトグラフ−質量分析法で分析したところ、4.9%のDHA、1.7%のEPAが含まれ、エタノールの含有率は、10%以下であった。
【0037】
[実施例4]
予備乾燥した朝鮮ニンジンをミキサーを使用して最大1mm角に粉砕した。粉砕した朝鮮ニンジンを実施例1の定温真空乾燥機に投入し、水分量が1.0%になるまで乾燥させた。乾燥後の被抽出物としての朝鮮ニンジンの乾燥粉末20kgを99.5%濃度のエタノール22.5Lに投入し、室温で10日間浸漬させ、朝鮮ニンジンの有効成分を十分にエタノールに抽出させた。その後、朝鮮ニンジンを含むエタノール溶液を実施例1の遠心濾過器で朝鮮ニンジンをエタノールから分離させた後、濾紙によってさらにエタノール溶液を濾過した。濾過後、エタノール溶液をフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにより、50℃の温浴を用いて2mmHgで減圧濃縮し、500gの液体を得た。このとき、フラスコ内に沈殿物は確認されなかった。得られた液体を液体クロマトグラフ−質量分析法で分析したところ、8.3%のサポニンが含まれ、エタノールの含有率は、10%以下であった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の有効成分の抽出方法に関する各工程を説明する図である。
【図2】本発明のカプセル剤の製造方法に関する各工程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被抽出物から有効成分を抽出する有効成分の抽出方法であって、
前記被抽出物を粉砕し、前記被抽出物中の水分量が1.0%以下となるように乾燥する乾燥工程と、
99.5%以上の濃度を有するエタノールに前記乾燥工程によって乾燥した前記被抽出物を投入し、前記被抽出物から前記有効成分を前記エタノールに抽出する抽出行程と、
前記抽出行程によって前記有効成分を含有するエタノール溶液から前記エタノールを分離し、前記有効成分を濃縮する濃縮行程とを有することを特徴とする有効成分の抽出方法。
【請求項2】
前記抽出行程で前記有効成分を前記エタノールで抽出した後、前記有効成分を抽出した前記エタノールと前記有効成分が抽出された被抽出物残渣とを分離する分離工程をさらに有し、
前記分離工程によって分離された前記被抽出物残渣中の水溶性成分を水によって抽出することを特徴とする請求項1に記載の有効成分の抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−43840(P2008−43840A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219232(P2006−219232)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(506275704)
【Fターム(参考)】