説明

有害物質除去材及び有害物質除去方法

【課題】細菌やウイルスなどの微生物由来の有害物質を効率的に捕捉し、速やかに不活性化して人体に対する影響を最小限に抑えるとともに、抗体の保存性が良好で、長い寿命を有する有害物質除去材を提供すること。
【解決手段】抗体と抗酸化物質とが担持されている担体からなる、有害物質除去材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、細菌又はウイルスを選択的に不活性化できる有害物質除去材、およびそれを用いた有害物質除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細菌、カビ又はウイルスなどが原因となる感染症が社会問題になっており、例えば、病院内や、公共施設など不特定多数の人の集まる場所での大量感染が懸念されている。特に病院内での感染は、抗生物質の乱用などからMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)等の発生を招く原因となることもある。
【0003】
このことに関し、最近の建築物では全室にダクトを設け、このダクトを通じてエアーコンディショナーにより空気を循環させて建物全体の室温等を調整しているため、このエアーコンディショナーを介して施設内を浮遊する細菌、カビ又はウイルスなどが施設全体に拡散することが多く、特にこのような空気を媒体とした感染ルートを遮断することが有効であると考えられるようになってきている。すなわち、エアーコンディショナーや空気清浄機などの空気流通部に、細菌、カビ、ウイルス又はこれらの媒体として空気中の微細浮遊物(ダスト等)を目の細かいフィルターに吸着させたり、酸化チタンや強酸性の滅菌ゾーンを設けて、ここを通過する細菌、カビ又はウイルスなどを不活性化して除去することが行われている。
【0004】
しかしながら、吸着による除去では有害物質が細菌やウイルス等であった場合、一度フィルターに捕集された細菌が脱離し再び活性化し、人体に影響を与える可能性がある。また、酸化チタンや強酸性の滅菌ゾーンを通過させて不活性化する方法では、不活性化にある程度時間がかかり、その効果も必ずしも十分でないことが問題視されていた。
【0005】
特許文献1には、担体に抗体を担持してなる有害物質除去材を用いて気相雰囲気下で有害物質を除去する方法であって、上記担体を、公定水分率が7%以上である繊維で形成されたものとすることを特徴とする有害物質除去方法が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の有害物質除去材においては、抗体の保存性が十分ではないという問題がった。
【0006】
一方、特許文献2には、抗アレルゲン性を有する素材、抗菌性を有する素材、抗ウイルス性を有する素材、防カビ性を有する素材の中から選ばれる2つ以上の素材を添着させたことを特徴とする空気清浄フィルターが記載されており、上記抗菌性を有する素材として、銀・銅・亜鉛などの金属イオンを溶出する無機化合物、銀・銅・亜鉛の金属微粒子、ヨウ素化合物類、フェノール類、第4アンモニウム塩類、イミダゾール化合物類、安息香酸類、過酸化水素、クレゾール、クロルヘキシジン、イルガサン、アルデヒド類、ソルビン酸、等の薬剤やリゾチーム・セルラーゼ・プロテアーゼなどの酵素製剤、カテキン類、竹抽出物、ヒノキ抽出物、わさび抽出物、からし抽出物などの天然成分抽出物などを使用できること、並びに上記抗ウイルス性を有する素材としては、銀・銅・亜鉛などの金属イオンを溶出する無機化合物、銀・銅・亜鉛の金属微粒子、低級アルコール類、カテキン類、ヒノキチオールなどを使用できることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3642340号公報
【特許文献2】特開2005−7346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の有害物質除去材の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、細菌やウイルスなどの微生物由来の有害物質を効率的に捕捉し、速やかに不活性化して人体に対する影響を最小限に抑えるとともに、抗体の保存性が良好で、長い寿命を有する有害物質除去材を提供することを解決すべき課題とした。また、本発明は、当該有害物質除去材を用いた効率的な有害物質除去方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、抗体と抗酸化物質とを担体上に担持させることによって、有害物質を効率的に捕捉し、速やかに不活性化して人体に対する影響を最小限に抑えるとともに、抗体の保存性及び耐光性が良好で、長い寿命を有する有害物質除去材を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、抗体と抗酸化物質とが担持されている担体からなる、有害物質除去材が提供される。
好ましくは、抗酸化物質は、少なくとも1種類の抗酸化ビタミンを含む。
【0011】
好ましくは、抗酸化物質は、少なくとも1種類のポリフェノールを含む。
好ましくは、抗酸化物質は、少なくとも1種類のカロチノイドを含む。
好ましくは、抗酸化物質は、少なくともリコピン又はアスタキサンチンのいずれかを含む。
好ましくは、抗酸化物質が乳化物として担体に担持されている。
好ましくは、乳化物の平均粒径が500nm以下である。
【0012】
好ましくは、抗酸化物質の乳化物と抗体とが、担体上の同一層に混合分散されている。
好ましくは、少なくとも1種類の親水性高分子がさらに担体に担持されている。
好ましくは、抗体は、ダチョウ由来の抗体である。
【0013】
本発明によればさらに、上記した本発明の有害物質除去材を用いて、気相中あるいは液
相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、抗体と、抗酸化物質とを担体上に担持させることにより、保存性・耐光性を著しく向上させることができ、長い寿命を有する有害物質除去材を提供することが可能になった。本発明の方法によれば、気相中あるいは液相中の有害物質を効率的に除去できる空気清浄機あるいは液体清浄機を作製できるため、産業において非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の有害物質除去材は、抗体と抗酸化物質とが担持されている担体からなることを特徴とする。
【0016】
(1)担体
本発明で用いる担体を形成する主たる材料としては、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、ポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維が好ましい。また、担体を形成する主たる材料としては、ポリアミドを主成分とする繊維も好ましい。本発明でいう主成分とは、全繊維中の質量分率にして25%以上を構成する成分であることを指す。
【0017】
本発明におけるセルロースエステルとは、セルロースの水酸基を有機酸でエステル化されているセルロース誘導体を指す。エステル化に用いる有機酸は、例えば酢酸・プロピオン酸・酪酸などの脂肪カルボン酸、安息香酸・サリチル酸などの芳香族カルボン酸などがある。単独もしくは併用したものであってもよい。セルロースの水酸基のエステル基置換率について特に制限はないが、60%以上であることが好ましい。
【0018】
本発明における担体を形成する主たる材料の群のなかでは、セルロースアシレート繊維が望ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基を構成する水素原子の一部または全部がアシル基で置換されているセルロースエステルを指す。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、およびブチリル基など挙げられる。これらの基は1種のみが置換されて構成されていてもよいし、2種以上のアシル基が混合置換されていてもよい。アシル基置換度の総和は、好ましくは2.0〜3.0であり、より好ましくは2.1〜2.8であり、特に好ましくは2.2〜2.7である。なかでも、この置換度を満たすセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることが好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。一般にセルロースアシレートは、エステル化度によって溶剤が異なることが知られているが、あらかじめエステル化率の高いセルロースアシレートで担体を作製したのちに、アルカリ加水分解処理等を行って表面を親水化してもよい。
【0019】
セルロースアシレート繊維のみでも十分に実用的な有害物質除去材料を形成することが可能であるが、強度や寸度安定性をさらに向上させる等の目的で、ポリエステル系繊維・ポリオレフィン系繊維・ポリアミド系繊維・アクリル系繊維等との混紡繊維により担体を形成してもよい。混紡繊維を用いる場合には、セルロースアシレート繊維の質量分率は50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。
【0020】
本発明における担体を形成する主たる材料の群のなかでは、ポリアミド繊維であることも望ましい。
【0021】
本発明におけるポリアミドとは、化学構造単位にアミド結合を有する線状高分子からなる繊維を指す。
【0022】
ポリアミドの中でも、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸との結合体である直鎖型脂肪族ポリアミドが好ましい。特に、ナイロン66が好ましい。
【0023】
前記のジアミンおよびジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸等を単独または共重合成分として用いた脂肪族ポリアミドを用いることもできる。特に、ε−カプロラクタムの単独使用で製造されるナイロン6が好ましい。
【0024】
これらの他に、原料の脂肪族ジアミンとして一部または全部をシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ジアミンを用いた脂肪族ポリアミド、および/または、ジカルボン酸として一部または全部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリアミドであってもよい。
【0025】
更に、脂肪族パラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミン、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を部分的な原料として用いて、吸水性の低減や弾性率向上を実現したポリアミドも含まれる。また、ポリアクリル酸アミド、ポリ(N−メチルアクリル酸アミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリル酸アミド)などのような側鎖にアミド結合を有するポリマーであってもよい。
【0026】
ポリアミドの中で最も望ましいのは、ナイロン66またはナイロン6である。アミド結合に由来する適度な吸湿性、適度な長さの長鎖脂肪酸からなる分子鎖を繊維軸配向させやすく比較的延伸性が高いこと、融解熱が高く熱容量が大きいことから動力学的にも速度論的にも溶融しにくい(耐溶融性)、長鎖脂肪鎖からなる分子鎖の可とう性や、アミド結合間の水素結合形成のためにフィブリル化やキンクバンドが生じにくい性質、すなわち繰返し屈伸性など、本発明の担体として好ましい性能を活用することができるためである。
化学構造単位中のアミド結合が、主鎖ではなく側鎖に有するポリアミドも好ましく用いることができる。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N‘−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−ヘキシルアクリルアミド)などのポリアクリルアミドを挙げることができる。一般に側鎖にアミド結合を有するポリマーは親水性が高く膨潤・変形しやすいため、ゲル化現象を利用して物理架橋体を形成させたり、アルキル基を導入させたりするなどの方法により疎水化することが望ましい。
【0027】
同様に強度や寸度安定性を向上させる目的で、担体を金属・高分子材料・セラミックス等の他の適切な構造材料により補強してもよい。これらの補強材は、有害物質除去材料を供給する側面の実質的な最表面以外の部分(例えば、該側面の反対面や芯材に用いる等)に用いることが望ましい。
【0028】
本発明におけるビニロンとは、ビニルアルコール単位を65質量%以上含む線状高分子からなり、温度20℃湿度65%の環境に1週間以上放置した後の水分率が7%未満である繊維を指す。ビニルアルコールの水酸基をホルマール化したものであってもよいが、水酸基をホウ酸架橋したポリマーや、公知のアルカリ紡糸法や冷却ゲル紡糸法などの方法により耐水化処理が施された非ホルマール化繊維であってもよい。ビニルアルコール単位以外の成分としてはエチレン鎖、酢酸ビニル鎖などが含まれていてもよいが、ビニルアルコール担体から形成される繊維であることが好ましい。さらに、均質で高配向度・高結晶化度であるために、優れた機械的特性と信頼性が得られるという点で、冷却ゲル紡糸による非ホルマール化繊維であることが最も望ましい。
【0029】
ビニロンは一般に、他の繊維に対して、高強度、高弾性率、適度な親水性、耐候性、耐薬品性、接着性などに優れており、本発明の担体としてこれらの好ましい性能を活用することができる。
【0030】
本発明におけるアクリル系とは、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で40%以上含む繊維を指し、例えば、アクリロニトリルのホモポリマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの非イオン性モノマーとアクリルニトリルのコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸などのアニオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマー、あるいは、ビニルピリジン、メチルビニルピリジンなどのカチオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマーなどの例がある。アクリロニトリルとミルクカゼインから形成されるいわゆるプロミックス繊維も本カテゴリーに包含される。
【0031】
アクリル系の繊維は一般に、有機系湿式紡糸法で製造することが多い。この方法では、紡糸原液が凝固浴中で凝固糸を形成するときに、凝固剤である水がノズルより紡出される紡糸原液中に浸入する一方で、紡糸溶剤が紡出した原液から外部に拡散し、このとき、水と有機溶剤(DMF、DMAcなど)が相互拡散することで重合体が析出して無数の空洞が網目状につながった構造をもつ凝固糸条が形成される。また、凝固過程で溶剤が凝固浴中に拡散することによる体積収縮により形成される繊維断面の変形や表面のマクロフィブリル構造形成による凹凸形成が特徴である。これらの微細構造は本発明で使用する担体の構造としては、比表面積向上や抗体担持のし易さの点で好ましい。
【0032】
本発明で用いるアクリル系繊維は、原料ポリマーの組成や紡糸法、製造工程内の後処理条件などにより変動するが、一般に、適度な親水性、耐候性が高い、かさ高い繊維が得られやすいという利点がある。
【0033】
本発明で用いるポリウレタンは、単量体相互の結合部分または基本となる基材重合体相互の結合部分が主としてウレタン結合による線状合成高分子からなる繊維を指す。ポリウレタンセグメントを質量比で85%以上含むことが望ましい。低融点で柔らかい分子量数千までのソフトセグメントと、剛直性で凝集力の高い高融点のハードセグメントからなるセグメント化ポリウレタンのブロック共重合であることが望ましい。ソフトセグメントとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ハードセグメントとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートなどで形成されるウレタン基を用いることができる。ポリウレタンは一般に高い弾性を示すのが特徴で、両セグメントの化学構造や分布など高分子鎖の一時構造の違いや、製糸条件の違いなどからくる二次構造の違いによって異なるが、よく伸びる、伸縮回復力が高い、ゴム材料に比べて老化しにくい・細い繊維が得られるなどの特徴があり、本発明の担体として用いた場合にもこれらの性質を活用することができる。
【0034】
担体を構成する繊維の機械的物性ならびに寸法安定性については、乾燥時伸度が25%以上であることが望ましい。ここで乾燥時伸度とは、十分に長い時間かけて乾燥した繊維の20℃における引張試験における破断伸度をさす。一般に乾燥時伸度が10%以上で製布等の加工に適することが、フィルター加工及び実用時の破壊(ろ過効率の低下につながる)を防止するには25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが最も好ましい。
【0035】
担体を構成する繊維の公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、3.0%以上6.5%未満であることがより好ましく、5.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。本領域の公定水分率において、担持した抗体の活性の発現と、担体の機械的強度、剛性、環境(特に湿度)に対する寸法安定性が得られ、ひいてはフィルターとしての高い性能と信頼性を示すことができる。
【0036】
なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。また、他の繊維との混紡繊維の場合にはその混紡繊維全体の公定水分率を指すものとする。
【0037】
担体を構成する繊維の表面は、数十ナノメートルから数マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹凸の形状は、繊維方向と平行方向に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよいし、繊維方向と垂直すなわち軸に対して同心円状に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよく、これらの立体形状は繊維方向と平行方向から垂直方向迄の任意の角度で形成されたものが任意の比率、密度で存在してもよい。公知のセルロースアセテート繊維の紡糸法で得られる試料には、表層のスキン層形成と溶剤乾燥に伴うスキン層の陥没により、繊維断面が不定形の菊型を形成することが知られているが、この凹凸は本発明においても好ましい形態である。
【0038】
ナノメートルからマイクロメートルスケールの微細な凹凸構造は、空孔状および/または突起状であってもよい。平均径にして50nmから1μmの空孔または突起であることが望ましい。これらの空孔や突起は、例えば溶液のキャビテーションや微細分散質を分散させた溶液(例えば硫酸バリウム粒子を分散させたスラリーとの混合)を利用するなどの方法により紡糸工程で形成させたり、アシル基の加水分解や表面酸化処理など方法(例えばアルカリ水溶液により繊維表面をセルロース化したのち、酵素処理により繊維表面にミクロクレーターを発現させたりするなど)により後工程によって形成させたりすることができる。
【0039】
本発明の有害物質除去材に用いられる繊維の平均繊維径は、50μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。なお、本発明の平均繊維径は走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた数値である。
【0040】
本発明に用いられる繊維の作製法としては、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、安定な品質を確保するためには、乾式紡糸もしくは湿乾式紡糸法を用いることが好ましい。平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するためには、さらに加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年、36巻、195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている電界紡糸法を採用することが好ましい。
【0041】
紡糸に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
【0042】
電界紡糸法を採用する場合には樹脂溶液に、さらに塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
【0043】
本発明の有害物質除去材の担体を構成する繊維同士は部分的に接着することにより三次元ネットワークを形成している構造をもつことが望ましい。かような構造をとることにより、加工ならびに実用上の機械的耐性の向上、ひいては有害物質除去材の信頼性をあげることができる。また本発明の抗体の保持特性を上げることができる。繊維同士の接着は
SEM等の方法で観察することができる。繊維同士の接着点の密度は、該有害物質除去材の投影表面積に対して1mm角辺り10箇所以上存在することが好ましく、100箇所以上であることがより好ましい。
【0044】
接着点を形成する方法としては、乾式紡糸法で形成される癒着や溶融紡糸法で形成される融着点で形成してもよいし、紡糸後に加熱や、接着剤・可塑化溶剤等の添加による接着点形成処理を行ってもよい。製造コストの観点では適切な溶液処方により乾式紡糸法で癒着点を形成させることが好ましい。
【0045】
(2)抗酸化物質
本発明で用いる抗酸化物質の一例としては、抗酸化ビタミンを用いることができる。抗酸化ビタミンとは、活性酸素を消去する能力を持つビタミンを指す。脂溶性のものと水溶性のものがある。
【0046】
脂溶性ビタミンにはビタミンE、ビタミンA、ビタミンK、ビタミンD、及びこれらの同族体、異性体、誘導体、前駆体等を含む。またその由来も、天然、合成を問わない。具体的にはビタミンEにおいてはα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールの同族体、また、RRR−α−トコフェロール、2−epi−α−トコフェロール、2−ambo−α−トコフェロールなどに代表される異性体、トコフェロールアセテート、コハク酸トコフェロールカルシウム、dl−α−酢酸トコフェロール等のビタミンE誘導体等があげられる。ビタミンAにおいては、レチノール、レチナール、レチノイン酸、3−デヒドロレチノール、3−デヒドロレチナール、3−デヒドロレチノイン酸、あるいは、プロビタミンAである、β−カロテン、α−カロテン、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、エカイネノン、β−アポ−12’−カロテナール、β−アポ−12’−カロテン酸等が挙げられる。また、ビタミンKについてはフィロキノン(K1)、メナキノン(K2)同族体、等に加え、合成によって化合されるメナジオン(K3)、メナジオール(K4)、4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール(K5)、2−メチル−1,4−ナフタレンジアミン(K6)、4−アミノ−3−メチル−1−ナフトール(K7)等の同族体があげられる。ビタミンDについてはビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンD4、ビタミンD5、ビタミンD6、ビタミンD7、また、エルゴステロールや7−DHC等のプロビタミンD、あるいはプレビタミンD、ピロビタミンD、イソピロビタミンDなどの異性体等があげられる。その形態も液状、ペースト状、顆粒状、粉末状等いずれも限定されるものではない。これらの中でも、特にビタミンEまたはその誘導体、またはそれらを組み合わせたものであることが好ましい。さらには、α−トコフェロールまたはその誘導体、またはそれらを組み合わせたものであることがより好ましい。
【0047】
また、本発明においてこれらは混合して用いることができるが、少なくとも1種がビタミンEであることが好ましい。ビタミンEはα、β、γ、δ、各トコフェロールまたは各トコトリエノール、あるいはこれらの光学異性体、またはトコフェロールアセテート等のトコフェロール誘導体等があり、これらの1種または2種以上を含むことが好ましい。その由来も動物原料、植物原料等いずれも限定されるものではなく、その形態も、液状、ペースト状、顆粒状、粉末状等いずれも限定されるものではない。
【0048】
水溶性ビタミンとしては、アスコルビン酸またはその誘導体、エリソルビン酸またはその誘導体などがある。アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはその塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソルビル、等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
【0049】
本発明で用いる抗酸化物質の一例としては、カロチノイドを用いることができる。本発明に使用できるカロチノイドとしては、アスタキサンチン、α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、ルティン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、クロセチン、パプリカ色素、アナトー、クチナシ黄色色素、リコピン色素等が挙げられ、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルがより好ましい。アスタキサンチンは自然界では動植物界に広く分布しており、主として養殖魚や養鶏の色揚げ剤として使用されている。アスタキチンサンは酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有することが知られている。
【0050】
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロチノイドの一種キサントフィルに属している。アスタキサンチンの化学構造は3,3'−dihydroxy−β,β−carotene-4,4'−dione (C4OH524、分子量596.82)であり、化学式は下記一般式(1)で示される。
【0051】
【化1】

【0052】
本発明に使用するアスタキサンチンはヘマトコッカス藻由来色素であることが好ましい。ヘマトコッカス藻由来色素は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとは異なることが知られている。
【0053】
本発明に使用するヘマトコッカス藻色素の原料としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
【0054】
本発明に使用するヘマトコッカス藻の培養方法は、文献〔特開平8−103288号公報(特許請求の範囲、段落[0001]〜[0008])〕等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
【0055】
本発明に使用するヘマトコッカス藻由来色素は、上記の原料を、必要に応じて、例えば文献〔特開平5−68585号公報(特許請求の範囲、段落[0001]〜[0005])〕等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。また、広く市販されているものを用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5 O、同−5 O、同−10 O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstin SCE7等が挙げられる。
【0056】
本発明で用いる抗酸化物質の一例としては、ポリフェノールを用いることができる。ポリフェノールとしては、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。これらのポリフェノール類のうち、特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
【0057】
ポリフェノールは、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM−21A、RM−21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW−5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK−2、P−10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所、ほか)等が挙げられる
【0058】
本発明において、抗酸化物質は乳化物として担体に担持されていることが好ましい。乳化物の平均粒径は一般的には1nm以上1000nm以下であることが好ましく、1nm以上500nm以下がさらに好ましく、10nm以上500nm以下がさらに好ましく、10nm以上300nm以下がさらに好ましく、10nm以上200nm以下が特に好ましい。なお、乳化物の粒子径は、粒度分布計等で計測することができる。
【0059】
また、乳化物における抗酸化物質の含有量は、本発明の効果が達成できる限り特に限定されないが、一般的には、0.01重量%以上10重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以上5重量%以下である。
【0060】
本発明における乳化物は、公知のエマルジョン調製方法にて調製することができる。詳細については、「乳化・可溶化の技術」(辻 著、工業図書(株)発行)の65−66頁、92−105頁に記載されており、凝集法・分散法のいずれも好ましく用いられる。また、「食品用乳化剤 第2版」(日高 著、幸書房発行)の88−90頁記載のように、(1)自己乳化法、(2)セッケン生成法、(3)単純乳化法、(4)転送乳化法、(5)界面活性剤法乳化法と分類されるいずれの方法も好ましいが、特に、高濃度の乳化物の調製には、単純乳化法または界面活性剤法乳化法が好ましく、界面活性剤法乳化法が特に好ましい。
【0061】
本発明における乳化物は、乳化剤を用いて作製することができるが、乳化剤としては、水溶性乳化剤が好ましい。水溶性乳化剤としては、水性媒体に溶解する乳化剤であれば、特に限定は無いが、例えばHLBが10以上、好ましくは12以上のノニオン界面活性剤が好ましい。HLBが低すぎると、乳化力が不十分となることがある。ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性-疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば、以下の式などが使用できる。
HLB=7+11.7log(Mw/M0)
ここで、Mwは親水基の分子量、M0は疎水基の分子量である。また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。さらに、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることが出来る。
【0062】
本発明で使用することのできる乳化剤は、特に制限は無いが、ノニオン性乳化剤が好ましい。ノニオン性乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびレシチンなどが挙げられる。より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルである。また、上記の乳化剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
【0063】
本発明に用いられる、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびリノール酸とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0064】
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS、NIKKOL DGMO-CV、NIKKOL DGMO−90V、NIKKOL DGDO、NIKKOL DGMIS、NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1-SV、NIKKOL Tetraglyn 1-O、NIKKOL Tetraglyn 3−S、NIKKOL Tetraglyn 5−S、NIKKOL Tetraglyn 5−O、NIKKOL Hexaglyn 1−L、NIKKOL Hexaglyn 1−M、NIKKOL Hexaglyn 1-SV,NIKKOL Hexaglyn 1-O,NIKKOL Hexaglyn 3−S、NIKKOL Hexaglyn 4−B、NIKKOL Hexaglyn 5−S、NIKKOL Hexaglyn 5−O、NIKKOL Hexaglyn PR−15、NIKKOL Decaglyn 1−L、NIKKOL Decaglyn 1−M、NIKKOL Decaglyn 1−SV、NIKKOL Decaglyn 1−50SV、NIKKOL Decaglyn 1−ISV、NIKKOL Decaglyn 1−O、NIKKOL Decaglyn 1−OV、NIKKOL Decaglyn 1−LN、NIKKOL Decaglyn 2−SV、NIKKOL Decaglyn 2−ISV、NIKKOL Decaglyn 3−SV、NIKKOL Decaglyn 3−OV、NIKKOL Decaglyn 5−SV、NIKKOL Decaglyn 5−HS、NIKKOL Decaglyn 5−IS、NIKKOL Decaglyn 5−OV、NIKKOL Decaglyn 5−O−R、NIKKOL Decaglyn 7−S、NIKKOL Decaglyn 7−O、NIKKOL Decaglyn 10−SV、NIKKOL Decaglyn 10−IS、NIKKOL Decaglyn 10−OV、NIKKOL Decaglyn 10−MAC、NIKKOL Decaglyn PR−20、三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル L−10D、L−7D、M−10D、M−7D、P−8D、S−28D、S−24D、SWA−20D、SWA−15D、SWA−10D、O−50D、O−15D、B−100D、B−70D、ER−60D、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
【0065】
本発明に用いられる、ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL−10、SP−10V、SS−10V、SS−10MV、SS−15V、SS−30V、SI−10RV、SI−15RV、SO−10V、SO−15MV、SO−15V、SO−30V、SO−10R、SO−15R、SO−30R、SO−15EX、第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110などが挙げられる。
【0066】
本発明に用いられる、ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステル S−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−070、P−170、P−1570、P−1670、M−1695、O−170、O−1570、OWA−1570、L−195、L−595、L−1695、LWA−1570、B−370、B−370F、ER−190、ER−290、POS−135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−A50、F−20W、F−10、F−A10E、コスメライクB−30、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190、SA−10、SA−50、P−10、P−160、M−160、L−10、L−50、L−160、L−150A、L−160A、R−10、R−20、O−10、O−150等が挙げられる。
【0067】
本発明の乳化物における、乳化剤の含有量は一般的には0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5.0質量%である。
【0068】
(3)親水性高分子
本発明では、抗酸化物質とともに親水性高分子を担体上に保持させることができる。本発明で用いることができる親水性高分子は、構造中に親水性官能基を有する高分子を意味する。親水性官能基としては特に制限はないが、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、4級アミノ基のうち、少なくとも一種類を含有する高分子が好ましくアミノ基、アミド基、4級アミノを有する高分子が最も好ましい。水酸基を有する高分子の例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニルの部分加水分解物、ジアセチルセルロースやエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの部分置換セルロース誘導体などがある。また、グアガム、ペクチン、デンプン、カラギーナン、グルコマンナン、シアリルラクトースなどの天然物またはその合成品であってもよい。中でもポリビニルアルコールが好ましい。アミノ基を有するポリマーの例としては、ポリビニルアミン、ポリアミノカプロン酸メタクリレートなどが挙げられる。キトサンなどの天然物またはその合成品であってもよい。中でもポリビニルアミンが好ましい。
【0069】
アミド基を有する高分子の例としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンの単独または、(メタ)アクリレートや酢酸ビニルなどのビニルモノマーなどとの共重合体が挙げられる。また、コラーゲン、ゼラチン、フィブロイン、カゼイン、ケラチン、カゼインなどの天然物またはその合成品であってもよい(本発明のアミド基はペプチド結合を構成するアミド基も含まれる)。中でもポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ゼラチンが好ましい。
【0070】
ポリカルボン酸基を有する高分子の例としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸などが挙げられる。また、アルギン酸、ヒアルロン酸などの天然物またはその合成品であってもよい。中でも、ポリアクリル酸が好ましい。カルボン酸基は、一部または全部が非解離状態であっても、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩を形成していてもよい。
【0071】
カチオン性高分子も好ましく用いられる。四級アンモニウム塩基はアルキルアミノ基にハロゲン化アルキル等を付加させることにより得られる。四級アンモニウム基を有する構造単位を導出する具体的なモノマーの例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート・メチルクロライド四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド・メチルクロライド四級化物、N,N−ジアリルメチルアミン・メチルクロライド四級化物がある。その他のカチオン性高分子としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン四級塩、四級ホスホニウム基を有する高分子などが例示される。またこれらの共重合物、ジシアンジアミドとホルマリン、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物等のカチオン性高分子が例示される。また、これらのカチオン性基と、カルボン酸・スルホン酸・ホスホン酸などのアニオン性基を有するベタイン高分子であってもよい。
【0072】
本発明で用いることができる親水性高分子の分子量については、その種類、目的、担持抗体種などによって任意に設定することができるが、一般に重量平均分子量が5000以上100万以下であることが好ましく、1万以上50万以下であることがより好ましく、3万以上30万以下であることが最も好ましい。本発明の親水性高分子の親水性基含有率は、その種類、目的、担持抗体種などによって任意に設定することが、モノマーユニットあたり、0.1基から3基の間であることが好ましく、0.3基から1.5基の間であることがさらに好ましく、0.5基から1基の間であることが最も好ましい。コーティングに用いる高分子は単独で使用してもよいし、複数を混合または、任意のモノマーとの共重合体として用いてもよい。本発明の親水性高分子が、抗体のみならず基材材料との親和性の観点で選択すべきことは当業者にとって自明である。すなわち基材として何を選ぶかによって、好ましい親水性高分子は異なってくる。この観点から上記親水性高分子に、基材との親和性の高い化合物を任意の割合で混合して用いたり、共重合させて用いたりしてもよい。また抗酸化物質と親水性高分子の混合比は質量比で1:1〜1:100、好ましくは1:1〜1:20、最も好ましくは1:2〜1:10の間である。
【0073】
(4)抗体
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体は、特定の有害物質(抗原)に対して特異的に反応(抗原抗体反応)するタンパク質であり、分子サイズが7〜8nmであって、Y字状の分子形態を有する。抗体のY字状分子構造のうち、一対の枝部分をFab、幹部分をFcといい、これらのうち、Fabの部分で有害物質を捕捉する。
【0074】
前記抗体の種類は、捕捉しうる有害物質の種類に対応する。抗体により捕捉される有害物質としては、例えば、細菌、カビ、ウイルス、アレルゲン及びマイコプラズマを挙げることができる。具体的には、細菌としては、例えば、グラム陽性菌であるブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌、アクネ菌などや、グラム陰性菌である緑膿菌、セラチア菌、セパシア菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、結核菌などを挙げることができる。カビとしては、例えば、アスペルギルス、ペニシリウス、クラドスポリウムなどを挙げることができる。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイスル(SARSウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルスなどを挙げることができる。アレルゲンとしては、花粉、ダニアレルゲン、ネコアレルゲンなどを挙げることができる。
【0075】
特に本発明においては、飛沫感染が主で、有害物質除去フィルタのターゲットとなる特にインフルエンザ抗体を好ましく使用することができる。インフルエンザ用抗体作製に使用する抗原は、H1N1型、H3N2型、B型の各種抗原、3種混合抗原、鳥インフルエンザH5N1由来のH5リコンビナント蛋白を使用することができる。H5リコンビナント蛋白は、鶏を殺傷するため、鶏卵では抗体を得ることができないが、ダチョウでは免疫が可能である。
【0076】
前記抗体の製造方法としては、例えば、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ等の動物に抗原を投与し、その血液からポリクローナル抗体を精製する方法、抗原を投与した動物の脾臓細胞と培養癌細胞とを細胞融合し、その培養液または融合細胞を植え込んだ動物の体液(腹水等)からモノクローナル抗体を精製する方法、抗体産生遺伝子を導入した遺伝子組み換え細菌、植物細胞、動物細胞の培養液から抗体を精製する方法、ダチョウ又はニワトリに抗原を投与して免疫卵を産ませ、卵黄液を殺菌及び噴霧乾燥して得た卵黄粉末からダチョウ卵抗体又は鶏卵抗体を精製する方法を挙げることができる。これらのうちでも、ダチョウ又はニワトリの卵から抗体を得る方法は、容易にかつ大量に抗体が得られ、有害物質除去材の低コスト化を図ることができる。
【0077】
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体はダチョウ又はニワトリの卵で作製した抗体であることが好ましい。特にダチョウ抗体は同じ精製工程下で作製した鶏抗体に比べて脂質分が多く本発明の抗酸化物質との共担持に有利である。
【0078】
ダチョウの卵で作製した抗体については、例えば、国際公開WO2007/026689号公報に記載のものを用いることができる。ダチョウの卵を用いる方法によれば、従来法では作製困難であった蛋白質に特異的な抗体を簡単に作製でき、ロット差がなく均一で大量の抗体を作製することができる。ダチョウとは、ダチョウ目(Struthioniformes)に属する鳥類を意味し、中でもダチョウ科(Struthionidae)に属するダチョウ(Struthio camelus)を用いることが好ましい。ダチョウの卵で作製した抗体の作製については、国際公開WO2007/026689号公報の段落番号0007から0034に記載した方法に準じて行うことができる。
【0079】
本発明の有害物質除去材を構成する担体には、抗菌剤を含有するコーティングを行うなどの抗菌加工及び/または防カビ剤を含有するコーティングを行うなどの抗カビ加工が施されていることが望ましい。抗体は、基本的にはタンパク質であり、特にダチョウ卵抗体は食物であり、また抗体以外のタンパク質を伴う場合もあり、それらは細菌やカビが増殖するための格好の餌となるが、担体に抗菌加工及び/または防カビ加工が施されていれば、かかる細菌やカビの増殖が抑制され、長期間の保管を行うことができる。
【0080】
抗菌/防カビ剤としては、有機シリコン第4級アンモニウム塩系、有機第4級アンモニウム塩系、ビグアナイド系、ポリフェノール系、キトサン、銀担持コロイダルシリカ、ゼオライト担持銀系などが挙げられる。そして、その加工法としては、繊維からなる担体に抗菌/防カビ剤を含浸させるまたは塗布する後加工法や、担体を構成する繊維の合成段階で抗菌/防カビ剤を練り込む原糸原綿改質法などがある。
【0081】
前記担体に抗体を固定化する方法としては、担体をγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いてシラン化した後、グルタールアルデヒドなどで担体表面にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、未処理の担体を抗体の水溶液中に浸漬してイオン結合により抗体を担体に固定化する方法、特定の官能基を有する担体にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、特定の官能基を有する担体に抗体をイオン結合させる方法、特定の官能基を有するポリマーで担体をコーティングした後にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法をあげることができるが、本発明においては、抗体を溶解させた溶液を担体に噴霧することによって抗体を簡単に担体に担持させることができる。
【0082】
本発明の有害物質除去材は、空気清浄機用フィルター、マスク、拭き取りシートなどに用いることができる。
空気清浄機用フィルターとして使用する際には、粗塵を除くためのプレフィルター、除塵フィルター、消臭効果を示す光触媒フィルター、他の有害物質を除去する抗菌フィルター、VOC吸着フィルターなど任意の公知のフィルターと組み合わせて使用してもよい。
【実施例】
【0083】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0084】
(担体の作製)
セルロースアセテート(アルドリッチ製、全置換度2.4、数平均分子量3万)のアセトン:水(97:3)溶液(25質量%)を60℃に加温し、直径0.1mmのノズルから、紡速500m/mの速度で空気とともに噴出させ不織布を形成し膜厚85μmの不織布N−1を得た。紡糸筒はヒーターで100℃に加温した。SEMで平均繊維径を測定したところ、8μmであった。
【0085】
(抗体作製)
不活化インフルエンザウイルス(100μg)の抗原液0.5mLと完全アジュバント0.5mLを混合し、ダチョウ胸部の筋肉内に初回免疫として接種した。2回目以降は同抗原液0.5mLと不完全アジュバント0.5mLを混合し、ダチョウ頚部筋肉内に1週間おきに4週目まで接種した。このダチョウが産んだ卵より、卵黄のみを採取し、撹拌した。この卵黄液10mLとTBS(20mM Tris-HCL(pH7.5)、0.15M NaCL,0.5%NaN)を混和し、10%デキストラン硫酸/TBSを5mL加えて30分撹拌した。1M CaCl/TBSを10mL加え撹拌後、2時間以上静置した。10000rpmで30分遠心し、上清を回収した。上清に最終濃度40%になるように硫安を加え12時間以上静置した。10000rpmで遠心分離し、沈殿を回収した。この沈殿を10mLのTBSに再懸濁し、TBSにて透析した。
【0086】
(乳化物調製)
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して水相組成物を得た。
・ショ糖オレイン酸エステル(HLB=15) 13g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 25g
・ゼラチン(MPバイオメディカル製、ウシ皮膚由来) 20g
・純水 802g
【0087】
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 40g
・レシチン(大豆由来) 100g
【0088】
水相を70℃に保ったままホモジナイザー(SMT製)で撹拌し(10000rpm、4分間)、そこへ上記油相を添加して乳化物を得た。得られた乳化物を、アルティマイザーHJP-25005(スギノマシン製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。そのあと、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン類含有乳化物E-1を得た。
【0089】
また、ヘマトコッカス藻抽出物を表1の組成に変更した以外は同様にして、抗酸化剤含有乳化物E-2〜9及び抗酸化剤を除去したE-10を作製した。
乳化物の平均粒子径を、粒度分布計(LB-550:堀場製作所製)で測定した。
【0090】
【表1】

【0091】
さらに、上記ホモジナイザーの回転数を表2とし、かつ高圧乳化工程を省いた以外は同じ方法で抗酸化剤含有乳化物E-11〜13を作製した。
【0092】
【表2】

【0093】
(フィルター試料作製)
上記透析液を水で希釈し、抗体濃度100ppmになるように調製し、上記乳化物0.01%水溶液と均一混合したのち、同混合液1mLを10cm2の不織布上に均一展開し、室温1時間静置した後に40℃2hr送風乾燥してフィルター試料を得た(試料F-1〜13)。
【0094】
また上記乳化物の代りに等濃度のアスタキサンチン懸濁物を用いた以外は同じ方法で作製した試料F-14、乳化物を使用しないF-15をあわせて用意した。
【0095】
(鶏由来抗体との比較)
免疫動物としてダチョウの代わりに鶏を使用した以外はF-1と同じ方法にてフィルター試料F-16を用意した。
【0096】
[ウイルス不活化効率評価]
供試ウイルス液は精製インフルエンザウイルスをPBSで10倍希釈したものを使用した(20万プラーク/mL)。各試料を5cm角に切り、ウイルス噴霧試験装置の中央に取り付け固定した。上流側に設置したネブライザーに供試ウイルス液を入れ、下流側にウイルス回収装置を取り付けた。エアーコンプレッサーから圧縮空気を送り、ネブライザーの噴霧口から供試ウイルスを噴霧した。試料下流側にはゼラチンフィルターを設置し、10L/分の吸引流量で5分間試験装置内空気を吸引し、通過ウイルスミストを捕集した。試験後、ウイルスを捕集したゼラチンフィルターを回収し、MDCK細胞を用いたTCID50法(50%細胞感染量測定法)により、試料通過後のウイルス感染価を求めた。試料の有り無しでのゼラチンフィルターのウイルス感染価の比較から、各試料のウイルスの一過性除去率を算出した。
【0097】
[高温湿保存性試験]
F-1〜13を50℃相対湿度90%の環境に一週間静置した前後で上記のウイルス噴霧試験を実施した。結果を表3に示す。
【0098】
[耐光性試験]
F-1,9,13,14,15について、市販の蛍光灯に室温1週間曝光(100mW/cm2;365nm)した後のウイルスの一過性除去率を求めた。
【0099】
【表3】

【0100】
F-16について:ダチョウ由来抗体は鶏由来抗体に比べて脂質成分が多い特徴があることから脂溶性抗酸化物質の効果が得られやすいと推定される。本発明のフィルターは耐光性も改善されることより、UVランプを使用する光触媒や殺菌灯との併用、屋外使用(モバイル型)への適用にも有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体と抗酸化物質とが担持されている担体からなる、有害物質除去材。
【請求項2】
抗酸化物質が、少なくとも1種類の抗酸化ビタミンを含む、請求項1に記載の有害物質除去材。
【請求項3】
抗酸化物質が、少なくとも1種類のポリフェノールを含む、請求項1に記載の有害物質除去材。
【請求項4】
抗酸化物質が、少なくとも1種類のカロチノイドを含む、請求項1に記載の有害物質除去材。
【請求項5】
抗酸化物質が、少なくともリコピン又はアスタキサンチンのいずれかを含む、請求項1又は4に記載の有害物質除去材。
【請求項6】
抗酸化物質が乳化物として担体に担持されている、請求項1から5の何れかに記載の有害物質除去材。
【請求項7】
乳化物の平均粒径が500nm以下である、請求項6に記載の有害物質除去材。
【請求項8】
抗酸化物質の乳化物と抗体とが、担体上の同一層に混合分散されている、請求項1から7の何れかに記載の有害物質除去材。
【請求項9】
少なくとも1種類の親水性高分子がさらに担体に担持されている、請求項1から8の何れかに記載の有害物質除去材。
【請求項10】
抗体が、ダチョウ由来の抗体である、請求項1から9の何れかに記載の有害物質除去材。
【請求項11】
請求項1から10の何れかに記載の有害物質除去材を用いて、気相中あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法。

【公開番号】特開2010−30951(P2010−30951A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194535(P2008−194535)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】