説明

有害生物用忌避袋

【課題】本発明は、屋外の建物周囲等に敷設してヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物の侵入を防止するヤマビル及びアルゼンチンアリ等有害生物用忌避袋を提供する。
【解決手段】本発明の有害生物用忌避袋は、ビニールやポリエチレン等の透明プラスチック素材により上面(表面)の不透水材1を形成し、メッシュや細孔等のプラスチック素材により下面(裏面)の通気材2を形成し、前記不透水材1と前記通気材2を上下に重ね合わせて三方縁を接着して未接着部分の充填開口部を設けた方形袋3を形成する。前記三方縁を接着した方形袋3に前記木酢液、竹酢液、酢酸、塩化カリウム溶液等を含浸させたヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材4を充填した後、未接着部分の充填開口部を接着して前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材4を前記方形袋3に封入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の周囲等に敷設してヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物の侵入を防止するヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋に関する。
【背景技術】
【0002】
秋田県秋田市や五城目町では毎年ヤマビルの被害に見舞われ、多数の吸血被害が発生している。そのため、市販の虫除けスプレー等によりヤマビルの被害を防止しているが、田畑やキャンプ場、住宅地近辺の人や動物が活動する地域へのヤマビルの侵入を防ぐことはできない。アルゼンチンアリに関しては、愛知県及び岡山県で被害が広がっており、家屋等への侵入がヤマビルと同様の問題となっている。
この種の先行技術として、床下の除湿と防虫および動物の侵入を防ぐブロックが実用新案登録出願されている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、木酢液を含浸させたゼオライト石の多数を焼却灰粒とセメントとからなる固結材によってブロック状に固めて防湿防虫ブロックとして建物の床下または床に並べて敷くことによって、床下または床の乾燥、湿度調整、悪臭発生の防止、ダニやノミ等の害虫の発生を防止、および床下へのネズミ、蛇等の小動物の侵入を防ぐようにしたものである。
また、同様に床下の除湿と防虫および動物の侵入を防ぐマットが実用新案登録出願されている(特許文献2を参照)。
この公知技術では、ゼオライト石に木酢液を含浸させて除湿防虫材を作り、該防湿防虫材を通気性のある袋に入れて除湿防虫マットとして建物の床下に並べて敷くことによって、床下の乾燥と害虫の発生を防止し、床下への動物の侵入を防ぐようにしたものである。
【特許文献1】実用新案登録第3088974号公報
【特許文献2】実用新案登録第3085577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、屋外の建物周囲等に敷設してヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物の侵入を防止するヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋は、上面を不透水材、下面を通気材により方形袋を形成し、該袋内にゼオライト又は珪藻土に木酢液等の有害生物忌避剤を含浸させたヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材を封入し、前記袋の前後縁又は左右縁にボタン加工したボタン穴を形成したものである。
前記不透水材は、ビニールやポリエチレン等のプラスチック素材より構成されるものである。
前記通気材は、メッシュや細孔等の加工を施した通気性素材から構成されるものである。
前記ボタン穴は、前後縁又は左右縁に袋同士が互いに嵌合可能な凹凸加工したボタン部を形成し、該ボタン部の中央に固定ピン等の挿入穴が形成されているものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋は、上面を不透水材、下面を通気材により方形袋を形成し、該袋内にゼオライト又は珪藻土に木酢液等の有害生物忌避剤を含浸させたヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材を封入し、前記袋の前後縁又は左右縁にボタン加工した固定用のボタン穴を形成したものであるため、屋外の建物周囲等に敷設してヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物の侵入を防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋は、内容物が見えるように長方形又は正方形等の方形状のビニールやポリエチレン等の透明プラスチック素材により上面(表面)の不透水材1を形成し、図2に示すように、内外の通気を可能とする長方形又は正方形等の方形状のメッシュや細孔等のプラスチック素材により下面(裏面)の通気材2を形成し、前記不透水材1と前記通気材2を上下に重ね合わせて三方縁を接着して未接着部分の充填開口部を設けた方形袋3を形成する。
なお、三方縁を接着に限らず、縫着でも良い。
また、前記不透水材1は、内容物が見えないように半透明又は不透明なプラスチック素材により形成しても良い。
【0007】
一方、多孔質物質のゼオライト小石やペレット状珪藻土に木酢液、竹酢液、酢酸、塩化カリウム溶液等の有害生物忌避剤を含浸させてヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材4を形成する。
前記三方縁を接着した方形袋3に前記木酢液、竹酢液、酢酸、塩化カリウム溶液等の有害生物忌避剤を含浸させたヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材4を充填した後、未接着部分の充填開口部を接着して前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材4を前記方形袋3に封入する。
なお、充填開口部を接着に限らず、縫着でも良い。
このようにして、表面が不透水性素材の不透水材1で、裏面が通気性素材の通気材2で内部にヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物忌避材4が封入されたヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋が形成される。
そして、前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の四周囲の前後縁又は左右縁には、係合部として袋同士が互いに嵌合可能な凹凸加工したボタン穴5を形成し、該ボタン穴5の中央に固定ピンや杭等の挿入穴6が形成される。
【0008】
次に、本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の使用操作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
田畑やキャンプ場、住宅地近辺の人や動物が活動する地域の外周囲に前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋を敷設する。
図3に示すように、前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の前後縁又は左右縁には、係合部として袋同士が互いに嵌合可能な凹凸加工したボタン穴5を形成しているので、相互に前記ボタン穴5を嵌合させて袋同士を連結して前記活動する地域を囲むように敷設する。
又、図4に示すように、前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の前後縁又は左右縁にボタン穴5の中央に固定ピン等の挿入穴6が形成されているので、前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋を連続的に並べて前記挿入穴6に固定ピンや杭等の固定部材7を刺して地面に固定し、前記活動する地域を囲むように敷設することができる。
【0009】
敷設された前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋からは、ゼオライト小石やペレット状珪藻土に含浸された木酢液、竹酢液、酢酸等の有害生物忌避剤の刺激臭が周囲に拡散し、ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物の侵入を阻止することができる。
塩化カリウムの場合、臭いが無いため、ヤマビルは近付いてくるが、本忌避剤に接触した途端、自身の水分で塩化カリウムが溶け出し、それによる脱水作用で苦しみだす。
また、ゼオライト小石やペレット状珪藻土は、保水性があるので長期に亘って木酢液、竹酢液、酢酸等の有害生物忌避剤の刺激臭が持続し、また前記ヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の表面が不透水材1よりなるので、雨水等により木酢液、竹酢液、酢酸、塩化カリウム等が流出するような恐れもない。
【0010】
なお、珪藻土はゼオライトより保水力が大きいので、一度の吸水で長持ちさせるにはゼオライトより優れているが、粉末化しやすい欠点があるので、珪藻土は田畑やキャンプ場等の設置に向いている。
一方、ゼオライトは珪藻土より保水力が小さいが、堅固で繰り返し利用できるので、ゼオライトは頻繁に手入れができる住宅地近辺等への設置に向いている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の平面図である。
【図2】本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の底面図である。
【図3】本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の連結状態を示す平面図である。
【図4】本発明のヤマビル及びアルゼンチンアリ等の有害生物用忌避袋の横断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 不透水材
2 通気材
3 方形袋
4 有害生物忌避材
5 ボタン穴
6 挿入穴
7 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を不透水材、下面を通気材により袋を形成し、該袋内にゼオライト又は珪藻土に有害生物忌避剤を含浸させた有害生物忌避材を封入し、前記袋の前後縁又は左右縁に係合部を形成したことを特徴とする有害生物用忌避袋。
【請求項2】
前記不透水材は、ビニールやポリエチレン等のプラスチック素材より構成されることを特徴とする請求項1記載の有害生物用忌避袋。
【請求項3】
前記通気材は、メッシュや細孔等の加工を施した通気性素材から構成されることを特徴とする請求項1記載の有害生物用忌避袋。
【請求項4】
前記係合部は、前後縁又は左右縁に袋同士が互いに嵌合可能な凹凸加工したボタン部とし、該ボタン部の中央に固定ピン等の挿入穴が形成されていることを特徴とする請求項1記載の有害生物用忌避袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−46455(P2009−46455A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216541(P2007−216541)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【出願人】(502117778)中央シリカ株式会社 (9)
【出願人】(592142991)ジークライト株式会社 (6)
【Fターム(参考)】