説明

有害生物防除剤としての置換ニコチノイルカーバメート

一般式(I)


(式中、W、R、R、W及びmは明細書で定義した通りである。)で表される新規ニコチノイルカーバメート、この有害生物防除剤としての使用、及びこの製造方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ニコチノイルカーバメート、この有害生物防除剤としての、好ましくは殺虫剤としての使用及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平6−321903号公報及び特開平10−101648号公報には、アミド系化合物又はこの塩及びこれらの有害生物防除剤としての使用が記載されている。
【発明の開示】
【0003】
従って、本発明は、一般式(I)
【0004】
【化10】

(式中、
mは0又は1を示し、
WはO又はSを示し、
は水素、アルキル、アルケニル、アラルキル、シアノメチル、アルコキシカルボニルアルキル、アラルキルオキシカルボニル、アシル、アルコキシアルキル又はフェニルを表し、

【0005】
【化11】

を表し示し、この場合、
は水素又はアルキルを表し、
は水素、アルキル、ハロアルキル、フェニル又はアルコキシカルボニルを表し、
は水素又はアルキルを表し、
pは0又は1を表し、
qは0又は1を表し、及び
Qは場合により置換されていてもよいアリール;N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合により置換されていてもよい5又は6員複素環式基;フェニル置換シクロアルキル;縮合二環式炭化水素基;トリメチルシリル;アルケニル又はアルキニルを表す。)
で示される新規ニコチノイルカーバメート類を提供する。
【0006】
本発明の式(I)で示される化合物は、強い殺虫活性を有し、種々の作物に対して良好な適合性を示す。
【0007】
本発明によれば、式(I)で示される化合物は、意外にも、前記の式(I)で示される化合物に類似する化合物であって従来技術文献(例えば特開平6−321903号公報及び特開平10−101648号公報)に記載の化合物と比べて、極めて優れた殺虫作用を示す。
【0008】
本明細書において、具体的な別の定義が示されない場合には、以下の定義が適用される。
【0009】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを表し、好ましくはフルオロ、クロロ及びブロモを表す。
【0010】
「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖C1−12アルキル、例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルなどを表し、好ましくはC1−6アルキルを表す。
【0011】
「ハロアルキル」、「アルコキシカルボニル」、「アルコキシカルボニルアルキル」及び「アルコキシアルキル」のそれぞれのアルキル部分は、前述の「アルキル」に記載の定義と同じ定義を挙げることができる。
【0012】
「アルケニル」は、直鎖又は分枝鎖C2−6アルケニル、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルなどを表し、好ましくはC2−4アルケニルを表す。
【0013】
「アルキニル」は、直鎖又は分枝鎖C2−6アルキニル、例えば、エテニル、プロパルギル、1−プロピニル、イソプロペニル、1−(2−又は3−)ブチニル、1−(2−又は3−)ペンテニル、1−(2−又は3−)ヘキセニルなどを表し、好ましくはC2−4アルキニルを表す。
【0014】
「アリール」は、C6−10芳香族炭化水素環式基、例えば、フェニル、ナフチルなどを表し、好ましくはフェニルを表す。
【0015】
「アラルキル」は、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジルなどを表し、好ましくはベンジルを示す。
【0016】
「複素環式基」は、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1から3個のヘテロ原子を含有する飽和又は不飽和5から6員複素環式基、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、チオピラニルなどを表す。
【0017】
「縮合二環式炭化水素基」は、縮合二環式C9−10炭化水素基、例えば、インデニル、インダニル、テトラヒドロナフチルなどを表し、好ましくはインダニル又はテトラヒドロナフチルを表す。
【0018】
「アラルキルオキシカルボニル」の「アラルキル」部分は、「アラルキル」の前述の定義に記載した基と同じ基を表す。
【0019】
「シクロアルキル」は、C3−8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを表し、好ましくはC5−7シクロアルキルを表し、特にシクロヘキシルが好ましい。
【0020】
式(I)及び対応する中間体化合物に存在する基の好ましい置換基又は好ましい範囲を、以下に定義する。
【0021】
Wは、好ましくはO又はSを表す。
【0022】
は、好ましくは水素又はC1−4アルキルを表す。
【0023】
は、好ましくは水素、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、フェニル又はC2−4アルコキシカルボニルを表す。
【0024】
は、好ましくは水素又はC1−4アルキルを表す。
【0025】
pは、好ましくは0又は1を表す。
【0026】
qは、好ましくは0又は1を表す。
【0027】
Qは、好ましくは、場合によりC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、ニトロ、ハロ−C1−4アルキルからなる群から選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよいアリール;フェノキシ;場合により置換されていてもよいフェニル;N、O又はSを含有する5から6員複素環式基、又はN、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりハロ−C1−2アルキル、C1−4アルコキシ−カルボニル又はオキソで置換されていてもよい5又は6員複素環式基;4−フェニルシクロヘキシル;縮合二環式C9−10炭化水素基;トリメチルシリル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニルを表す。
【0028】
は、好ましくは水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、ベンジル、シアノメチル、C1−4アルコキシ−カルボニル−C1−4アルキル、ベンジルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルコキシ−C1−2アルキル又はフェニルを表す。
【0029】
mは、好ましくは0又は1を表す。
【0030】
Wは、特に好ましくはO又はSを表す。
【0031】
は、特に好ましくは水素又はメチルを表す。
【0032】
は、特に好ましくは水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、フェニル又はメトキシカルボニルを表す。
【0033】
は、特に好ましくは水素又はメチルを表す。
【0034】
pは、特に好ましくは0又は1を表す。
【0035】
qは、特に好ましくは0又は1を表す。
【0036】
Qは、特に好ましくは、場合によりメトキシ、メチルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、ビニル、ニトロ、トリフルオロメチル、フェノキシ、フェニル、クロロ置換フェニル、トリルからなる群から選択される1個又はそれ以上の基で置換されていてもよいフェニル、及び
チエニル、フリル、チエニル、トリフルオロメチルピラゾリル、ピリジル、トリフルオロメチルピリジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジニル、ピロリジニルテトラヒドロフリル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、4−フェニルシクロヘキシル、インダニル、テトラヒドロナフチル、トリメチルシリル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニルを表す。
【0037】
は、特に好ましくは水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、ベンジル、シアノメチル、C1−2アルコキシ−カルボニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、C1−2アルコキシ−メチル又はフェニルを表す。
【0038】
mは、特に好ましくは0を表す。
【0039】
Wは、極めて特に好ましくはOを表す。
【0040】
は、極めて特に好ましくは水素を表す。
【0041】
は、極めて特に好ましくは水素を表す。
【0042】
は、極めて特に好ましくは水素を表す。
【0043】
前述の一般的な基の定義又は好ましい基の定義は、両方共に式(I)で示される最終生成物及び同様に、いずれの場合にもこの製造に必要な出発原料又は中間体に適用される。これらの基の定義は、随意に相互に組み合わせることができる、すなわち、示した好ましい範囲の間の組み合わせを含むことができる。
【0044】
本発明の好ましい化合物は、好ましいと前記で述べた意味の組み合わせを含む式(I)で示される化合物である。
【0045】
本発明の特に好ましい化合物は、特に好ましいと前記で述べた意味の組み合わせを含む式(I)で示される化合物である。
【0046】
本発明の極めて特に好ましい化合物は、極めて特に好ましいと前記に挙げた意味の組み合わせを含む式(I)で示される化合物である。
【0047】
本発明の式(I)で示される化合物は、下記の製造方法a)、b)、c)、d)又はe)のいずれかで得ることができる。特に、式中のRが水素を表し、mが0を表す式(I)の化合物は、製造方法a)、b)又はc)で合成することができ、また、式中のRが水素以外の基を表し、mが0を表す式(I)の化合物は、製造方法d)で合成することができ、さらにまた、式中のmが1を表す式(I)の化合物は、製造方法e)で合成することができる。
【0048】
製造方法(a):R=水素、m=0の場合:

【0049】
【化12】

(式中、Wは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物を、式
【0050】
【化13】

(式中、Rは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物と不活性溶媒の存在下で反応させる。
【0051】
製造方法(b):W=O、R=水素、m=0の場合:
4−トリフルオロメチルニコチンアミドを、式
【0052】
【化14】

(式中、Rは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物と不活性溶媒の存在下で及び適切ならば塩基の存在下で反応させる。
【0053】
製造方法(c):W=O、R=水素、m=0の場合:
4−トリフルオロメチルニコチノイルクロリドを、式
【0054】
【化15】

(式中、Rは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物と不活性溶媒の存在下で及び適切ならば塩基の存在下で反応させる。
【0055】
製造方法(d):R=水素を除く前記の定義の通り、m=0の場合:

【0056】
【化16】

(式中、W及びRは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物を、式
【0057】
【化17】

(式中、R2’は水素を除く前記のRに定義した基を表し、Halはハロゲンを表す。)
で示される化合物と、不活性溶媒の存在下で及び適切ならば塩基の存在下で反応させる。
【0058】
製造方法(e):m=1の場合:

【0059】
【化18】

(式中、W、R及びRは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物を不活性溶媒の存在下で酸化する。
【0060】
式(I)で示される化合物を製造するための製造方法a)は、例えば、4−トリフルオロメチルニコチノイルイソシアネートとベンジルアルコールを出発原料として使用する場合には、下記の反応スキームで説明することができる。
【0061】
【化19】

【0062】
式(I)で示される化合物を製造するための製造方法b)は、例えば、4−トリフルオロメチルニコチンアミドとクロロギ酸ベンジルを出発原料として使用する場合には、下記の反応スキームで説明することができる。
【0063】
【化20】

【0064】
式(I)で示される化合物を製造するための製造方法c)は、例えば、4−トリフルオロメチルニコチノイルクロリドとカルバミン酸ベンジルを出発原料として使用する場合には、下記の反応スキームで説明することができる。
【0065】
【化21】

【0066】
式(I)で示される化合物を製造するための製造方法d)は、例えば、N−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジルと塩化メチルを出発原料として使用する場合には、下記の反応スキームで説明することができる。
【0067】
【化22】

【0068】
式(I)で示される化合物を製造するための製造方法e)は、例えば、N−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジルを出発原料として使用し、m−クロロ過安息香酸を酸化剤として使用する場合には、下記の反応スキームで説明することができる。
【0069】
【化23】

【0070】
前記の製造方法a)における式(II)で示される化合物は、例えば、J.Med.Chem.,p.1630(1991)、J.Chem.Soc.,p.153(1958)に記載の方法に従って容易に得ることができる。
【0071】
前記の式(III)で示される化合物は、有機化学の分野で周知である;この代表例として、次の化合物を挙げ得る:ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、フェノール、2−フェニル−イソプロパノール、トリメチルシリルメタノール、2−(トリメチルシリル)エタノール、3−フリルメタノール、2−フリルメタノール、2−チエニルメタノール、2−メトキシベンジルアルコール、3−メトキシベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、4−ビニルベンジルアルコール、4−メチルチオベンジルアルコール、2−クロロベンジルアルコール、3−クロロベンジルアルコール、4−クロロベンジルアルコール、2−ピリジルメチルアルコール、3−ピリジルメチルアルコール、4−ピリジルメチルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、トリメチルシリルメタノール、4−メチルベンジルアルコール、2,4−ジクロロベンジルアルコール、2,6−ジクロロベンジルアルコール、2−ブロモベンジルアルコール、3−ブロモベンジルアルコール、4−ブロモベンジルアルコール、2−ニトロベンジルアルコール、3−ニトロベンジルアルコール、1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタノール、ジフェニルメタノール、2−トリフルオロメチルベンジルアルコール、3−トリフルオロメチルベンジルアルコール、4−トリフルオロメチルベンジルアルコール、2−フルオロベンジルアルコール、3−フルオロベンジルアルコール、4−フルオロベンジルアルコール、4−ニトロベンジルアルコール、α−メトキシカルボニルベンジルアルコール、3−ヨードベンジルアルコール、5−トリフルオロメチル−2−ピリジルメタノール、3−フェノキシベンジルアルコール、4−フェノキシベンジルアルコール、2−メチルベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、2,4−ジメチルベンジルアルコール、4−ビフェニリルメタノール、1−ナフチルメタノール、2−ナフチルメタノール、2,2−ジメチル−3−フェニルプロパノール、1−フェニル−2,2,2−トリクロロエタノール、2−フェネチルアルコール、2−フェニルプロパノール、1−インダニルアルコール、2−インダニルアルコール、1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アルコール、2−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アルコール、4−テトラヒドロピラニルアルコール、4−テトラヒドロチオピラニルアルコール、4−ピペリジニルアルコール、2−ピロリジニルアルコール、3−ピロリジニルアルコール、2−テトラヒドロフルフリルアルコール、4−フェニル−シクロヘキシルアルコール、4−(2−チエニル)ベンジルアルコール、4−(4−クロロフェニル)ベンジルアルコールなど。
【0072】
前述のアルコール類の中で、例えば、4−テトラヒドロチオピラニルアルコール、2−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アルコール、4−フェノキシベンジルアルコールは、例えば、これらの対応する公知のケトン類を、水素化ホウ素ナトリウムを使用して還元することにより容易に得ることができる。
【0073】
4−トリフルオロニコチンアミドは、公知化合物である(特開平6−321903号公報参照)。
【0074】
式(IV)で示されるクロロギ酸エステルは、有機化学の分野で周知であり、一般的にホスゲンを対応するアルコール類と三級アミンの存在下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0075】
4−トリフルオロメチルニコチノイルクロリドは、例えば、公知の4−トリフルオロメチルニコチン酸と塩化チオニルとの反応により容易に得ることができる。
【0076】
式(V)で示されるカルバミン酸エステル類は、有機化学の分野で周知であり、公知の方法で得ることができる。
【0077】
製造方法d)における式(Ia)で示される化合物は、Rが水素を表す場合に製造方法a)、b)(W=Oの場合)又はc)(W=Oの場合)で得られる本発明の式(I)で示される化合物である。
【0078】
式(VI)で示されるハロゲン化物は、有機化学の分野で周知であり;この代表例としては、次のものを挙げることができる:クロロメチルエチルエーテル、アセチルクロライド、クロロギ酸ベンジル、ブロモ酢酸エチル、臭化ベンジル、臭化アリル、ヨウ化エチルなど。
【0079】
製造方法e)における式(Ie)で示される化合物は、m=0の場合の本発明の式(I)で示される化合物である。
【0080】
酸化に使用される酸化剤の代表例としては、m−クロロ過安息香酸を挙げることができる。
【0081】
前記の製造方法a)は、例えば、J.Chem.Soc.,p.1091(1957)及び同p.4458(1956)に記載の方法に従って行うことができる。
【0082】
製造方法a)の反応は、適切な希釈剤を単独で又は混合して使用して実施することができる。この場合に使用される希釈剤の例としては、脂肪族炭化水素、脂環肪式炭化水素及び芳香族炭化水素(場合によって塩素化されていてもよい。)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなど;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)など;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリルなど;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)などを挙げることができる。
【0083】
製造方法a)の反応は、実質的に広い温度範囲で実施することができる。しかし、この反応は、一般に約0から約100℃、好ましくは約0から約50℃の範囲内で実施することができる。前記反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下又は減圧下で操作することもできる。
【0084】
製造方法a)の実施において、目的とする化合物は、例えば、式(II)で示される化合物1モルに対して1モル量から若干過剰量の式(III)で示される化合物を希釈剤、例えば1,2−ジクロロエタン中で反応させることによって得ることができる。
【0085】
前記の製造方法b)、c)、d)及びe)は、ジメチルホルムアミドを除いて前述の製造方法a)で挙げた希釈剤を使用することによって同様の反応条件下で実施することができる。
【0086】
製造方法b)は、例えば、J.Med.Chem.,p.2504(1991)に記載の方法に従って実施することができる。製造方法c)は、例えば、J.Chem.Soc.,p.451(1964)に記載の方法に従って実施することができる。製造方法d)は、例えば、Heterocycles,p.373(1987)に記載の方法に従って実施することができる。製造方法e)は、例えば、J.Med.Chem.,p.2925(1995)に記載の方法に従って実施することができる。
【0087】
製造方法b)、c)及びd)は、塩基の存在下でも実施することができる。適切な塩基として、アルカリ金属の炭酸塩、例えば、炭酸カリウム;三級アミン類、N,N−ジアルキルアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)などを挙げ得る。
【0088】
本発明の式(I)で示される化合物は、強い殺虫作用を示す。従って、本発明の化合物は、殺虫剤として使用することができる。また、本発明の活性化合物は、栽培植物に対し薬害なしに有害昆虫に対し的確な防除効果を示す。本発明の化合物は、種々様々な害虫、例えば、有害な吸汁昆虫、刺咬昆虫及びこの他の植物寄生害虫、貯穀害虫、衛生害虫などを防除するために使用することができ、これらの駆除のために施用することができる。
【0089】
このような害虫類の例としては、次の害虫を挙げることができる:
昆虫として、甲虫目(Coleoptera)害虫、例えば、アズキゾウムシ(Callosobruchus Chinensis)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、オオニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctomaculata)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes fuscicollis)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、ディアブロチカ種(Diabrotica spp.)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ヒラタキクイムシ(Lyctus bruneus);
鱗翅目(Lepidoptera)害虫、例えば、
マイマイガ(Lymantria dispar)、オビカレハ(Malacosoma neustria)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、ニカメイチユウ(Chilo suppressalis)、アワノメイガ(Pyrausta nubilalis)、スジマダラメイガ(Ephestia cautella)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、シンクイガ(Carpocapsa pomonella)、カブラヤガ(Agrotis fucosa)、ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)、コナガ(Plutella maculipennis)、オオタバコガ(Heliothis virescens)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella);
半翅目害虫(Hemiptera)、例えば、
ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ニセダイコンアブラムシ(Rhopalosiphum pseudobrassicas)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、アオクサカメムシ種(Nazara spp.)、トコジラミ(Cimex lectularius)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、キジラミ種(Psylla spp.)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii);
直翅目(Orthoptera)害虫、例えば、
チヤバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、ケラ(Gryllotalpa africana)、トノサマバツタ(Locusta migratoria migratoriodes);
同翅目(Homoptera)害虫、例えば、
ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
双翅目(Diptera)害虫、例えば、
イエバエ(Musca domestica)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、タネバエ(Hylemia platura)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)など、
総翅目(Thysanoptera)害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi Karny)、ミカンキイロアザミウマ(Franldmiella occidentalis
を挙げることができる。
【0090】
また、動物薬の分野において、本発明の化合物は、種々の有害動物寄生虫(内部寄生虫及び外部寄生虫)、例えば、昆虫類及び蠕虫に対して有効に使用することができる。このような動物寄生虫の例としては、次の害虫を挙げることができる:
昆虫としては、例えば、
ウマバエ種(Gastrophilus spp.)、サシバエ種(Stomoxys spp.)、ハジラミ種(Trichodectes spp.)、サシガメ(Rhodnius spp.)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)などを挙げることができる。
【0091】
本発明において、害虫(これらの全てを包含する)に対して殺虫作用を有する物質を、場合によっては、殺虫剤と呼ぶ。
【0092】
前記の式(I)で示される活性化合物は、殺虫剤として使用する場合には、慣用の製剤形態にすることができる。製剤形態としては、例えば、液剤、乳剤、水和剤、水和性顆粒剤、懸濁剤、粉剤、起泡剤、ペースト剤、錠剤、粒剤、エアゾール、活性化合物含浸天然及び合成物質、マイクロカプセル剤、種子被覆剤、燃焼装置で使用される製剤(例えば、燃焼装置としては、くん蒸及び煙霧カートリツジ、缶、コイルなど)、ULV[コールドミスト、ウオームミスト]などを挙げることができる。
【0093】
これらの製剤は、これ自体公知の方法に従って、例えば、活性化合物を、増量剤、すなわち液状希釈剤;液化ガス希釈剤;固形希釈剤又は担体と混合することによって、場合によっては界面活性剤、すなわち乳化剤及び/又は分散剤及び/又は気泡形成剤を使用することによって製造することができる。
【0094】
増量剤として水を使用する場合には、例えば、有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。
【0095】
液状希釈剤又は担体としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレンなど)、塩素化芳香族炭化水素又は塩素化脂肪族炭化水素(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレンなど)、脂肪族炭化水素[例えば、シクロヘキサンなど、又はパラフィン類(例えば鉱油留分など)]、アルコール類(例えば、ブタノール、グリコール及びこれらのエーテル、エステルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど)及び水を挙げることができる。
【0096】
液化ガス希釈剤又は担体は、常温及び常圧で気体である物質であり、例えば、エアゾール噴射剤、例えばブタン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、ハロゲン化炭化水素を挙げることができる。
【0097】
固体希釈剤としては、例えば、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ケイソウ土など)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩など)などを挙げることができる。
【0098】
粒剤用の固形担体としては、例えば、粉砕及び分別岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、ドロマイトなど)、無機及び有機粉末の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、やし殻、トウモロコシの穂軸、タバコの茎など)の粒子などを挙げることができる。
【0099】
乳化剤及び/又は気泡形成剤としては、例えば、非イオン性及び陰イオン性乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル)、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩など]、アルブミン加水分解生成物などを挙げることができる。
【0100】
分散剤としては、例えば、リグニン亜硫酸廃液、メチルセルロースなどが挙げられる。
【0101】
粘着付与剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができる。粘着付与剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然及び合成重合体(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど)などを挙げることができる。
【0102】
着色剤も使用することもできる。該着色剤としては、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなど)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料、さらにまた微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩などを挙げることができる。
【0103】
前記製剤は、前記活性成分を一般に0.1から95重量%、好ましくは0.5から90重量%の範囲内の量で含有することができる。
【0104】
本発明の式(I)で示される活性化合物は、この他の活性化合物、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺カビ剤、生長調節剤、除草剤等との混合剤としてこれらの商業上有用な製剤の形態で及びこのような製剤から調製される使用形態で存在させることもできる。ここで、前記の殺虫剤としては、例えば、有機リン剤、カーバメート剤、カーボキシレート系化学剤、塩素化炭化水素系化学剤、微生物により産生される殺虫性物質などを挙げることができる。
【0105】
さらに、本発明の式(I)で示される活性化合物は、協力剤との混合剤としても存在させることができ、このような製剤及び使用形態としては商業上有用なものを挙げることができる。前記共力剤は、これ自体活性である必要はないが、活性化合物の作用を高める化合物である。
【0106】
商業上有用な使用形態における本発明の式(I)で示される活性化合物の含有量は、広い範囲内で変化させることができる。
【0107】
施用時の本発明の式(I)で示される活性化合物の濃度は、例えば、0.0000001から100重量%、好ましくは0.00001から1重量%の範囲にあることができる。
【0108】
本発明の式(I)で示される化合物は、施用形態に適した通常の方法で使用することができる。
【0109】
衛生害虫及び貯穀害虫に対する施用において、本発明の化合物は、石灰物質上のアルカリに対して良好な安定性を有し、しかも木材及び土壌において優れた残効性を示す。
【0110】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0111】
合成例1
【0112】
【化24】

【0113】
塩化オキサリル(0.14ml)を、4−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(0.2g)を1,2−ジクロロエタン(10ml)に懸濁した懸濁液に室温で加えた後に、得られた混合物を2時間還流した。溶媒を減圧下で留去し、残留物を塩化メチレンに溶解した。この溶液にベンジルアルコール(0.11g)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、残留物をシリカゲルカラムクマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製して、N−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジル(0.24g)を得た。
【0114】
1H−NMR:8.85(1H,d),8.72(1H,s),7.94(1H,brs),7.56(1H,d),7.4−7.2(5H,m),5.11(2H,s)。
合成例2
【0115】
【化25】

【0116】
4−トリフルオロメチル−ニコチン酸(1g)と触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドとの塩化メチレン溶液に、塩化オキサリル(0.5ml)を加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、残留物をトルエンに溶解した。この溶液に炭酸カリウム(0.5g)とテトラブチルアンモニウムチオシアネート(1.89g)を加え、30分間撹拌した。これにトリメチルシリルメタノール(0.66g)を加え、室温で1時間撹拌した。得られた反応混合物を酢酸エチルで希釈した後に、これを水、1N塩酸、及び飽和食塩水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で分離精製して、N−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)チオカルバミン酸トリメチルシラニルメチル(0.77g)を得た。mp:105から107℃
合成例3
【0117】
【化26】

【0118】
60%水素化ナトリウム(36mg)をN,N−ジメチルホルムアミドに懸濁し、これにN−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジル(0.4g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を徐々に加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌した後に、これにヨウ化メチル(0.35g)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去して、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で分離精製して、N−メチル−N−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジル(0.33g)を得た。n20:1.5185
合成例4
【0119】
【化27】

【0120】
m−クロロ過安息香酸(0.27g)を、N−(4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジル(0.3g)の塩化メチレン溶液に徐々に加えた。室温で12時間撹拌した後に、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた結晶をトルエンで再結晶して、(1−オキシ−4−トリフルオロメチル−3−ピリジルカルボニル)カルバミン酸ベンジル(0.18g)を得た。mp:204から205℃。
【0121】
前記の合成例と同様の方法で得られる本発明の式(I)で示される化合物を、以下の表1に前記の合成例に示した化合物と一緒に示す。
【0122】
表中、Phはフェニルを表し、Meはメチルを表し、Etはエチルを表し、tert−Buはtert−ブチルを表し、Fuはフリルを表し、Thはチエニルを表し、Pyはピリジルを表し、Napはナフチルを表し、Pyzはピラゾリルを表し、Pipはピペリジニルを表し、Pyrrはピロリジニルを表し、c−Hexはシクロヘキシルを表す。
【0123】
【表1】




【0124】
Fu=フラニル、Th=チエニル、PH=フェニル、Py=ピリジル、Pyrr=ピロリル
前記の表1にa−1として挙げたH−NMR値は、次の通りである(化学シフトδppm):
【0125】
【表2】


【0126】
生物試験例1:
有機リン剤及びカーバメート耐性モモアカアブラムシ(Myzus persicaeに対する試験
試験溶液の調製: 溶媒:ジメチルホルムアミド7重量部; 乳化剤:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル3重量部
活性化合物の適切な製剤を調製するために、活性化合物1重量部を前記の量の乳化剤を含有する前記の量の溶剤に溶解し、得られた溶液を水で所定の濃度に希釈した。
【0127】
試験方法
直径6cmのビニールポットに植えたナス苗1本当たり約30匹の飼育した有機リン剤及びカーバメート耐性モモアカアブラムシ(Myzus persicaeを接種した。接種1日後に、十分な量の前記のようにして調製した活性化合物の所定濃度の希釈水溶液を、スプレーガンを使用することにより噴霧した。噴霧後、28℃の温室に入れ、噴霧7日後に殺虫率を算出した。試験は2回反復した。
【0128】
結果: 具体例として供した化合物No.1、3、5、6、8、9、14、18、23、29、33、35、38、40、44、54、55、59、62、70、73、84は、有効成分濃度100ppmで殺虫率100%を示した。
【0129】
製剤例1(粒剤)
本発明の化合物(No.1)10部、ベントナイト(モンモリロナイト)30部、タルク58部及びリグニンスルホン酸塩2部の混合物に、水25部を加え、十分に混練りし、押出し造粒機により10から40メッシユの顆粒とし、40から50℃で乾燥して粒剤を得た。
【0130】
製剤例2(粒剤)
0.2から2mmの範囲の粒径分布を有する粘土鉱物粒子95部を回転混合機に入れた。これを回転させながら、本発明の化合物(No.1)5部を、液状希釈剤と一緒に噴霧し、均一に湿らせ、40から50℃で乾燥して粒剤を得た。
【0131】
製剤例3(乳剤)
本発明の化合物(No.1)30部、キシレン55部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル8部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム7部を混合し、撹拌して乳剤を得た。
【0132】
製剤例4(水和剤)
本発明の化合物(No.1)15部、ホワイトカーボン(含水無定形酸化ケイ素微粉末)と粉末クレーとの混合物(1:5)80部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部及びアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム−ホルマリン縮合物3部を、粉砕し、混合して水和剤を得た。
【0133】
製剤例5(水和性顆粒剤)
本発明の化合物(No.1)20部、リグニンスルホン酸ナトリウム30部及びベントナイト15部、焼成ケイソウ土粉末35部を、充分に混合し、水を加え、0.3mmのスクリーンで押出し、乾燥して水和性顆粒を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
mは0又は1を示し、
WはO又はSを示し、
は水素、アルキル、アルケニル、アラルキル、シアノメチル、アルコキシカルボニルアルキル、アラルキルオキシカルボニル、アシル、アルコキシアルキル又はフェニルを表し、及び

【化2】

を表し、
は水素又はアルキルを表し、
は水素、アルキル、ハロアルキル、フェニル又はアルコキシカルボニルを表し、
は水素又はアルキルを表し、
pは0又は1を表し、
qは0又は1を表し、及び
Qは場合により置換されていてもよいアリール;N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合により置換されていてもよい5又は6員複素環式基;フェニル置換シクロアルキル;縮合二環式炭化水素基;トリメチルシリル;アルケニル又はアルキニルを表す。)
で示される化合物。
【請求項2】
WがO又はSを表し、
が水素又はC1−4アルキルを表し、
が水素、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、フェニル又はC2−4アルコキシカルボニルを表し、
が水素又はC1−4アルキルを表し、
pが0又は1を表し、
qが0又は1を表し、
Qが場合によりC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、ニトロ、ハロ−C1−4アルキルからなる群から選択される1個又はそれ以上の基で置換されていてもよいアリール;フェノキシ;場合により置換されていてもよいフェニル;N、O又はSを含有する5から6員複素環式基、又はN、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりハロ−C1−2アルキル、C1−4アルコキシ−カルボニル又はオキソで置換されていてもよい5又は6員複素環式基;4−フェニルシクロヘキシル;縮合二環式C9−10炭化水素基;トリメチルシリル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニルを表し、
が水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、ベンジル、シアノメチル、C1−4アルコキシ−カルボニル−C1−4アルキル、ベンジルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルコキシ−C1−2アルキル又はフェニルを表し、
mが0又は1を表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
WがO又はSを表し、
が水素又はメチルを表し、
が水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、フェニル又はメトキシカルボニルを表し、
が水素又はメチルを表し、
pが0又は1を表し、
qが0又は1を表し、
Qが場合によりメトキシ、メチルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、ビニル、ニトロ、トリフルオロメチル、フェノキシ、フェニル、クロロ置換フェニル、トリルからなる群から選択される1個又はそれ以上の基で置換されていてもよいフェニル、又は
チエニル、フリル、チエニル、トリフルオロメチルピラゾリル、ピリジル、トリフルオロメチルピリジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジニル、ピロリジニルテトラヒドロフリル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、4−フェニルシクロヘキシル、インダニル、テトラヒドロナフチル、トリメチルシリル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニルを表し、
が水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、ベンジル、シアノメチル、C1−2アルコキシ−カルボニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、C1−2アルコキシメチル又はフェニルを表し、
mが特に好ましくは0を表す、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)で示される化合物の製造方法であって、
a)Rが水素を表し、mが0を表す場合には:式
【化3】

(式中、Wは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物を、式
【化4】

(式中、Rは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物と1種又はそれ以上の不活性溶媒の存在下で反応させるか、
又は、
b)Wが酸素Oを表し、Rが水素を表し、m=0(零)である場合には、4−トリフルオロメチルニコチンアミドを、式
【化5】

(式中、Rは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物と不活性溶媒の存在下で及び適切ならば塩基の存在下で反応させるか、又は、
c)Wが酸素Oを表し、Rが水素を表し、m=0(零)である場合には、4−トリフルオロメチルニコチノイルクロリドを、式
【化6】

(式中、Rは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物と、不活性溶媒の存在下で及び適切ならば塩基の存在下で反応させるか、又は、
d)Rが水素を除く前記の定義を表し、mが0(零)を表す場合には、式
【化7】

(式中、W及びRは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物を、式
【化8】

(式中、R2’は水素を除く前記のRに定義した基を表し、Halはハロゲンを表す。)
で示される化合物と、不活性溶媒の存在下で及び適切ならば塩基の存在下で反応させるか、又は、
e) mが1を表す場合には、式
【化9】

(式中、W、R及びRは前記と同じ定義を有する。)
で示される化合物を不活性溶媒の存在下で酸化する
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)で示される化合物の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物の少なくとも一つを含有することを特徴とする殺虫剤組成物。
【請求項6】
請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物を害虫及び/又はこの生息環境に作用させることを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項7】
害虫を防除するための請求項1又は2のいずれかに記載の(I)で示される化合物の使用。
【請求項8】
式(I)で示される化合物を増量剤及び/又は界面活性剤と混合することを特徴とする有害生物防除剤組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−513075(P2007−513075A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538716(P2006−538716)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012276
【国際公開番号】WO2005/047255
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】