説明

有機エレクトロルミネセンス装置及び有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法

【課題】膜厚を容易に制御することができ、平坦な膜を容易に得ることができる膜形成方
法、有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネセンス装置及び
電子機器を提供すること。
【解決手段】発光層28b上に設けられた陰極29の長手方向の端辺29aが、隔壁内領
域26の長手方向の端辺26aよりも長手方向の中央部側に設けられることとした、すな
わち、陰極29を濡れ性の悪い隔壁内領域26の長手方向の端辺26a付近に重ねないよ
うにしたので、陰極29と正孔注入層28aとが接触するのを回避することができる。こ
れにより、陰極29と正孔注入層28aとの間で電気的短絡が起こることは無く、発光不
良を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス装置及び有機エレクトロルミネセンス装置の製
造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光装置として有機エレクトロルミネセンス装置(以下、有機EL素子という)
を使用したディスプレイ又はプリンタの光書き込みヘッド等の開発が盛んに行われている
。この種のデバイスは、基板上に正孔注入膜と発光膜とからなる有機膜を備えており、当
該正孔注入膜及び発光膜を一対の電極で挟持した構成になっている。
【0003】
この有機材料が高分子系有機材料である場合には、液滴吐出法と呼ばれる方法を用いて
有機層を形成することが知られている。滴吐出法では、有機材料を複数の溶媒に溶解又は
分散させて液状組成物を形成し、この液状組成物を液滴吐出ヘッドのノズルから吐出して
基板の所定の画素電極上に塗布する方法である。
【0004】
液滴吐出法においては、画素電極の周囲を隔壁で区画することで、塗布された液状組成
物が他の位置にある画素電極上に塗布された液状組成物と混ざり合うのを抑制することが
可能となっており、これにより、高精細なパターニングを可能としている。有機EL素子
において隔壁によって区画される領域は、長手方向と短手方向(長手方向と交差する方向
)とを有していることが多い。
【0005】
この液滴吐出法では、画素電極上に塗布された液状組成物の溶媒の蒸発は極めて速い。
とりわけ、基板の外周付近に塗布された液状組成物の表面は、基板の中央部に塗布された
液状組成物の表面よりも溶媒の蒸気分圧が低いために速く乾き始める。このため、基板の
外周付近に塗布された液状組成物と基板の中央部に塗布された液状組成物とでは、その乾
燥時間に差が生ずる。液状組成物の乾燥時間の差があると、画素内、画素間における有機
EL素子の有機膜に膜厚ムラが生じ、輝度ムラ等の表示ムラの原因となってしまう。これ
に対して、基板上の外周に表示には関係のないダミーの塗布領域を設けることで塗布領域
を広げ、基板内の溶媒分子分圧を均一にすることで膜厚ムラを防止する技術が提案されて
いる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方で、液状組成物の乾燥状態は、各隔壁の表面状態によっても影響を受けてしまう。
したがって、上記のようにダミーの塗布領域を設けても、各隔壁の表面状態が均一になら
ない場合、均一な膜を形成することは困難である。これに対しては、例えば長手方向と短
手方向とを有する1つの隔壁が複数の画素領域を囲む構成の有機EL装置が考えられてい
る。これにより、隔壁で囲まれた領域の表面状態を均一にすることができるため、各画素
領域における膜厚ムラが生じるのを回避することができる。この有機EL素子のうち発光
に寄与する有機EL素子は、例えば、下層側から基板、第1電極(例えば、陽極)、正孔
注入膜、発光膜、第2電極(例えば、陰極)の順に積層された構成になっている。また、
隔壁で囲まれた領域に発光膜を形成する際には、液滴吐出法によって当該領域のほぼ全面
に液状組成物を吐出するようにしている。
【特許文献1】特開2002−222695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、隔壁で囲まれた領域が長手方向と短手方向とを有する構成になっている
ため、当該領域の長手方向の端辺では、液状組成物が表面張力によって中央部へと引き戻
されてしまう。このように端辺付近では液状組成物が塗布されにくい状態、いわゆる濡れ
性が悪い状態になり、この部分で発光膜の下層の正孔注入膜が露出してしまうことがある

【0008】
発光膜上に設けられる第2電極は、隔壁で囲まれた領域を含めた隔壁全体を覆うように
膜状に形成されるため、正孔注入膜が露出している場合、当該第2電極が正孔注入膜の露
出した部分に接触するように形成されてしまう。そうなると、第2電極と正孔注入膜との
間で電気的短絡が生じることとなり、発光不良の原因となる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第2電極と有機層との間で電気的短
絡が起こることは無く、発光不良を回避することができる有機エレクトロルミネセンス装
置及び有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る有機EL装置は、複数の画素領域を有する基板
と、前記複数の画素領域を囲むように前記基板上に設けられ、長手方向と当該長手方向に
交差する短手方向とを有する隔壁と、前記隔壁に囲まれた隔壁内領域のうち少なくとも前
記画素領域に設けられた第1電極と、前記第1電極上を含めた前記隔壁内領域を覆うよう
に設けられ、前記画素領域に開口部を有する絶縁膜と、前記第1電極を覆うように少なく
とも前記開口部に設けられた第1有機膜と、前記絶縁膜及び前記第1有機膜を覆うように
設けられた第2有機膜と、前記第2有機膜上に設けられ、前記第1電極との間で前記第1
有機膜及び前記第2有機膜を挟持する第2電極とを具備し、前記第2電極の前記長手方向
の端辺が、前記隔壁内領域の前記長手方向の端辺よりも前記長手方向の中央部側に設けら
れていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第2有機層上に設けられた第2電極の長手方向の端辺が、隔壁内領域
の長手方向の端辺よりも長手方向の中央部側に設けられることとした、すなわち、第2電
極が濡れ性の悪い隔壁内領域の長手方向の端辺付近には設けられないようにしたので、第
2電極と第1有機層とが接触するのを回避することができる。これにより、第2電極と第
1有機層との間で電気的短絡が起こることは無く、発光不良を回避することができる。
【0012】
また、前記第2電極の前記長手方向の端辺が、前記第2有機膜の前記長手方向の端辺よ
りも前記長手方向の中央部側に位置していることが好ましい。
本発明によれば、第2電極の長手方向の端辺が、第2有機膜の長手方向の端辺よりも長
手方向の中央部側に位置しているので、第2電極と第1有機層とが接触するのを確実に回
避することができる。
【0013】
また、前記隔壁内領域が、少なくとも前記短手方向に複数設けられていることが好まし
い。
本発明によれば、隔壁内領域が短手方向に複数設けられることとしたので、例えば画素
領域が一方向のみならず当該一方向に交差する方向にも設けられる、例えば有機ELディ
スプレイなどのデバイスにも適用することができる。
【0014】
本発明に係る有機EL装置の製造方法は、長手方向と当該長手方向に交差する短手方向
とを有する基板上の領域を囲む隔壁を形成する工程と、前記隔壁で囲まれた隔壁内領域に
第1電極を複数形成する工程と、前記第1電極を含めた前記隔壁内領域を覆うと共に前記
第1電極上に開口部を有するように絶縁膜を形成する工程と、複数種類の液体を混合した
溶媒に有機材料を溶解させてなる第1液状組成物を少なくとも開口部に露出する前記第1
電極上に塗布し、前記第1液状組成物を乾燥させて第1有機膜を形成する工程と、前記第
1液状組成物とは異なる種類の溶媒に異なる種類の有機材料を溶解させてなる第2液状組
成物を、前記第1有機膜上を含めた前記隔壁内領域に塗布し、前記第2液状組成物を乾燥
させて第2有機膜を形成する工程と、前記第1電極との間で前記第1有機膜及び前記第2
有機膜を挟持するように、第2電極を形成する工程とを具備し、前記第2電極を形成する
工程では、当該第2電極の前記長手方向の端辺が前記第2有機膜の前記長手方向の端辺よ
りも前記長手方向の中央部側に位置するようにすることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第2電極を形成する工程では、第2電極の長手方向の端辺が第2有機
膜の長手方向の端辺よりも長手方向の中央部側に位置するようにするので、第2電極と第
1有機層とが接触するのを回避することができる。これにより、第2電極と第1有機層と
の間で電気的短絡が起こることは無く、発光不良を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による発光装置及びその製造方法、並びに、
光書き込みヘッド、電気光学装置、及び画像形成装置について詳細に説明する。尚、以下
に説明する実施形態は、本発明の一部の態様を示すものであり、本発明を限定するもので
はなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による画像形成装置としての光プリンタの要部を示す断面
図である。図1に示す光プリンタ1は、フルカラー表示が可能なタンデム方式の光プリン
タである。図1に示す通り、光プリンタ1は、光書き込みヘッドとしてのブラック用有機
EL露光ヘッド2K、シアン用有機EL露光ヘッド2C、マゼンダ用有機EL露光ヘッド
2M、及びイエロ用有機EL露光ヘッド2Yを備えている。
【0018】
また、光プリンタ1は、各露光ヘッド2K,2C,2M,2Yの下方に、ブラック用感
光ドラム3K、シアン用感光ドラム3C、マゼンダ用感光ドラム3M、イエロ用感光ドラ
ム3Yをそれぞれ備えている。更に、光プリンタ1は、駆動ローラ4、従動ローラ5、テ
ンションローラ6、及びテンションローラ6によりテンションを加えられて張架されなが
ら図1中反時計周り方向へ循環駆動される中間転写ベルト7を備える。
【0019】
上記の各感光ドラム3K,3C,3M,3Yは、中間転写ベルト7に対して所定間隔に
配置されている。各感光ドラム3K,3C,3M,3Yは、中間転写ベルト7の駆動と同
期して図1中時計周り方向へ回転駆動されるようになっている。そして、各露光ヘッド2
K,2C,2M,2Yは、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの外周面を各感光ドラム
3K,3C,3M,3Yの回転に同期して順次ライン走査することで、描画データに応じ
た静電潜像を対応する感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に形成する。また、各感光ド
ラム3K,3C,3M,3Yの周囲には、感光ドラム3K,3C,3M,3Yの各外周面
を一様に帯電させるコロナ帯電器8K,8C,8M,8Yが設けられている。
【0020】
また、光プリンタ1は、ブラック用感光ドラム3Kの周囲にブラック用現像装置9Kを
、シアン用感光ドラム3Cの周囲にシアン用現像装置9Cを、マゼンダ用感光ドラム3M
の周囲にマゼンダ用現像装置9Mを、イエロ用感光ドラム3Yの周囲にイエロ用現像装置
9Yをそれぞれ備えている。これら各現像装置9K,9C,9M,9Yは、対応する有機
EL露光ヘッド2K,2C,2M,2Yによって各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上
に形成された静電潜像に対応する色の現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)
を形成するものである。例えば、シアン用現像装置9Cは、シアン用有機EL露光ヘッド
2Cによってシアン用感光ドラム3C上に形成された静電潜像にシアン色のトナーを付与
して可視像(トナー像)を形成する。
【0021】
詳しくは、各現像装置9K,9C,9Yは、例えば、トナーとして非磁性一成分トナー
を用いるもので、その一成分現像剤を、例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ロ
ーラ表面に付着したトナーの膜厚を規制ブレードで規制する。この規制により、現像ロー
ラを各感光ドラム3K,3C,3M,3Yに接触或いは押圧させることにより、各感光ド
ラム3K,3C,3M,3Y上に形成された静電潜像の電位レベルに応じて現像剤を付着
させて可視像(トナー像)として現像する。
【0022】
更に、光プリンタ1は、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの周囲に、各現像装置9
K,9C,9Yで現像された可視像(トナー像)を一次転写対象である中間転写ベルト7
に順次転写する一次転写ローラ10K,10C,10M,10Yを備えている。更にまた
、光プリンタ1は、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの周囲に、クリーニング装置1
1K,11C,11M,11Yを備えている。クリーニング装置11K,11C,11M
,11Yは、一次転写の後に、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの表面に残留してい
るトナーを除去するためのものである。
【0023】
このような各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に形成されたブラック,シアン,マ
ゼンタ,イエロの各可視像(トナー像)は、一次転写ローラ10K,10C,10M,1
0Yによって中間転写ベルト7上に順次一次転写される。この一次転写により中間転写ベ
ルト7上で順次重ね合わされてフルカラーとなった可視像(トナー像)は、二次転写ロー
ラ18によって用紙等の記録媒体P上に二次転写され、一対の定着ローラ12を通ること
で記録媒体P上に定着される。可視像(トナー像)が定着した記録媒体Pは、排紙ローラ
13によって案内されて光プリンタ1の上部に形成された排紙トレイ14上へ排出される

【0024】
また、光プリンタ1は、多数枚の記録媒体Pを保持する給紙カセット15、給紙カセッ
ト15から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ16、二次転写ローラ18
の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ17を備えている
。更に、光プリンタ1は、中間転写ベルト7とで二次転写部を形成する二次転写ローラ1
8、及び二次転写後に中間転写ベルト7の表面に残留しているトナーを除去するクリーニ
ングブレード19を備えている。
【0025】
次に、有機EL露光ヘッド2K,2C,2M,2Yの詳細について説明する。尚、ブラ
ック用有機EL露光ヘッド2K、シアン用有機EL露光ヘッド2C、マゼンダ用有機EL
露光ヘッド2M、及びイエロ用有機EL露光ヘッド2Yは、全て同じ構造をしているので
、説明の便宜上、ブラック用有機EL露光ヘッド2Kについて説明し、他の有機EL露光
ヘッド2C,2M,2Yについては、その詳細な説明を省略する。
【0026】
図2は、ブラック用有機EL露光ヘッド2Kの斜視図である。ブラック用有機EL露光
ヘッド2Kは、一方向、即ち中間転写ベルト7の搬送方向に対して直交する方向に配設さ
れた箱体21と、箱体21とブラック用感光ドラム3Kとの間に位置するように箱体21
に支持固定された光学部材23とを備えている。箱体21は、ブラック用感光ドラム3K
側に開口部を有しており、その開口部に向かって光が射出するように有機発光アレイ22
を固定している。
【0027】
図3は、有機EL装置としての有機発光アレイ22を示す図であって、図3(a)は有
機発光アレイ22の上面図であり、図3(b)は図3(a)中のA−A線断面図であり、
図3(c)は図3(a)中のB−B線断面図である。
【0028】
図3(a)に示す通り、有機発光アレイ22は、基板S上に有機エレクトロルミネッセ
ンス素子(以下、有機EL素子という)24を複数個配列した構成になっている。本実施
形態の有機発光アレイ22は、図中のY方向(長手方向)一列に等ピッチに配列された複
数個(図3に示す例では7個)の有機EL素子24がX方向(短手方向)に2列配列され
ている。そして、各有機EL素子24は、隣接する他の列の有機EL素子24とX方向に
半ピッチだけずれるようにして配置されている。つまり、各有機EL素子24は、千鳥格
子状に配列されている。尚、図3においては図示を簡略化しているが、実際には有機EL
素子24はY方向に数十〜千個程度配列される。この有機EL素子24の直径は40μm
程度である。
【0029】
基板S上にはITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電材料により形成される電極
層Dが形成されており、この電極層Dの上部であって、複数の有機EL素子24の周囲に
は、その複数の有機EL素子24全体を囲むように隔壁としての隔壁25が形成されてい
る。本実施形態における隔壁25(撥液性隔壁25b)は、図3(a)に示す通り、複数
の有機EL素子24全体を囲み、且つY方向に長手方向を有しX方向に短手方向を有する
形状である。有機EL素子は、隔壁25のY方向のほぼ中央部に配置されている(素子形
成領域R)。尚、隔壁25は、X方向については全ての有機EL素子24から少なくとも
3μm離間するように形成されている。
【0030】
図3(b)に示す通り、隔壁25は、電極層D上に形成された絶縁膜としての親液性隔
壁25aと、親液性隔壁25a上に形成された撥液性隔壁25bとから構成されている。
親液性隔壁25aの一部は、撥液性隔壁25bよりも基板S中央側に張り出すようにして
形成されている。親液性隔壁25aは、元来、親液性を備えた材料であって、例えば、酸
化珪素(SiO)で構成される。尚、親液性を備えていないものであって、通常用いら
れる公知の親液化処理を施すことで表面を親液化したものであってもよい。一方、撥液性
隔壁25bは、元来、撥液性を備えた材料、例えば、フッ素系樹脂で構成されたものであ
ってもよい。また、撥液性を備えていないものであって、通常用いられるアクリル樹脂や
ポリイミド樹脂等の有機樹脂をパターン形成し、CFプラズマ処理等により表面を撥液
化したものであってもよい。また、以下、撥液性隔壁25bによって囲まれた領域を隔壁
内領域26と呼ぶこととする。
【0031】
図4は、隔壁内領域26の端辺26a付近の断面構造を示す図である。図3(a)及び
図4に示す通り、親液性隔壁25aには開口部25cが形成されている。開口部25cに
露出している電極層Dが画素電極(第1電極)27である。本実施形態の画素電極27は
平面形状が円形である。また、本実施形態の画素電極27は、Y方向一列に等ピッチに複
数個(図3に示す例では7個)配列されているとともに、X方向に2列配列されている。
各画素電極27は、隣接する他の列の画素電極27とY方向に半ピッチだけずれるように
して配置されている。各画素電極27は、それぞれに独立した配線を介して図示しないデ
ータ信号出力駆動回路に接続されている。このデータ信号出力駆動回路から出力された描
画データ信号は画素電極27に供給される。
【0032】
また、親液性隔壁25aの開口部25c内には、画素電極27に積層されるように正孔
注入層(第1有機層)28aが形成されている。この正孔注入層28aは、隔壁内領域2
6のほぼ全面に設けられている。正孔注入層28aの材料としては、例えば、ポリオレフ
ィン誘導体である3、4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸
(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
【0033】
また、親液性隔壁25a及び正孔注入層28aを覆うように、隔壁内領域26のほぼ全
面に亘って発光層(第2有機層)28bが形成されている。発光層28bの材料としては
、例えば分子量が1000以上の高分子材料が用いることが好ましい。具体的には、ポリ
フルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘
導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色
素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブ
タジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープしたものが用いられる。
【0034】
一方、隔壁内領域26の端辺26a付近、すなわち、撥液性隔壁25bの内壁付近では
、当該発光層28bが形成されない部分を有している(この部分を、隙間領域28cと呼
ぶこととする)。発光層28bが形成されない隙間領域28cでは、正孔注入層28aが
露出した状態になっている。
【0035】
また、発光層28b上には、陰極(第2電極)29が形成されている。具体的には、図
3(a)及び図4に示すように、陰極29のうち両図中Y方向の端辺29aが、隔壁内領
域26の長手方向の端辺26aよりも当該長手方向の中央部側に設けられるように形成さ
れており、より具体的には、陰極29の端辺29aが、発光層28bの端辺28dよりも
、長手方向の中央部側に位置するように形成されている。なお、陰極29は、データ信号
出力駆動回路に接続されている。更に、陰極29上の全面には、封止部材30が形成され
ている。そして、前述した画素電極27と、画素電極27と相対して形成した陰極29と
、画素電極27と陰極29との間に形成した発光層28とで有機EL素子24が構成され
ている。
【0036】
図5は、ブラック用有機EL露光ヘッド2Kの側断面図である。図5に示す通り、ブラ
ック用有機EL露光ヘッド2Kに設けられる光学部材23は、有機発光アレイ22と対向
する位置に備えられている。この光学部材23は、内部に複数のレンズ31を備えており
、有機EL素子24から射出された光を集光してブラック用感光ドラム3Kに照射(描画
)する。
【0037】
他の有機EL露光ヘッド2C,2M,2Yも同様に、その各有機EL装置に設けられた
有機EL素子の発光層の膜厚は、均一になっている。また、他の有機EL露光ヘッド2C
,2M,2Yは、その光学部材23の他端から対応する各感光ドラム3C,3M,3Yに
向かって射出される。そして、各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上の電位レベルが射
出された光に応じて変化することでトナーの付着力が制御されて各感光ドラム3K,3C
,3M,3Y上に描画データ信号に基づいた可視像(トナー像)が現像される。このとき
、各有機EL露光ヘッド2K,2C,2M,2Yに設けられた各有機EL素子24の発光
層28の膜厚はほぼ均一であるため、各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に現像され
る可視像(トナー像)は、輝度ムラ等の表示ムラの無い可視像(トナー像)である。
【0038】
次に、有機発光アレイ22の製造方法について説明する。図6は、本発明の一実施形態
による発光装置の製造方法を示す工程図である。尚、ブラック用有機EL露光ヘッド2K
、シアン用有機EL露光ヘッド2C、マゼンダ用有機EL露光ヘッド2M、及びイエロ用
有機EL露光ヘッド2Yに設けられる発光装置としての有機発光アレイ22は、全て同じ
方法によって製造される。従って、以下の説明では、便宜上ブラック用有機EL露光ヘッ
ド2Kに設けられる発光装置としての有機発光アレイ22の製造方法のみを説明し、他の
有機EL露光ヘッド2C,2M,2Yについては、その詳細な説明を省略する。
【0039】
まず、基板S上に公知の方法によって電極層Dを形成し、次いで電極層D上に公知の方
法によってSiO等からなる絶縁層を形成する。ここで、基板Sは、例えばガラス、石
英ガラス、Siウェハ、プラスチックフィルム、金属板等である。尚、これら各種の素材
基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜等を下地層として形成したものされた
ものであってもよい。
【0040】
次に、基板S上の絶縁層をパターニングして親液性隔壁25aを形成する。その後、形
成した親液性隔壁25a上に、親液性隔壁25aの一部が基板S中央側に張り出すように
フッ素系樹脂を、例えば高さが1〜2μm程度になるようにパターニングして撥液性隔壁
25bを形成する。このとき、図3(a)に示す通り、有機EL素子24を取り囲む領域
の長手方向がY方向に、短手方向がX方向になるよう撥液性隔壁25bを形成する。これ
により、基板S上には、複数個の画素電極27の周囲に複数の画素電極27全体を囲むよ
うに隔壁25が形成される。この結果、画素電極27が形成された基板S中央には、隔壁
25によって囲まれた隔壁内領域26が形成される。
【0041】
ここで、撥液性隔壁25bの形成材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレ
フィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料、ポリシラザン、ポリシロキサン等を含有した
有機・無機ハイブリッド材料等が用いられる。当該撥液性隔壁25bの形成方法としては
、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ
法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディ
ップコート等所定の方法で、基板S上に撥液性隔壁25bの形成材料からなる層を形成し
た後、エッチングやアッシング等によりパターニングすることにより、所定のパターン形
状の隔壁が得られる。尚、基板Sとは別の物体上で撥液性隔壁25bを形成し、それを基
板S上に配置してもよい。
【0042】
続いて、隔壁内領域26内の開口部25cに正孔注入層28aを液滴吐出法によって形
成する。即ち、図6(a)に示す通り、正孔注入層28aを構成する上記の有機材料を所
定の溶媒に溶解又は分散させて形成された液状組成物L1を吐出ヘッド40のノズルNか
ら吐出させる。このとき、吐出ヘッド40に設けられたガイドレール41に沿って吐出ヘ
ッド40を基板Sに対して相対移動させながら液状組成物L1を順次吐出することで、各
開口部25c内を含む隔壁内領域26のほぼ全面に液状組成物L1が塗布される。液状組
成物L1に含まれる溶媒としては、正孔注入層28aを得るための溶質を分散できるもの
で、凝集を起こさない溶媒、例えば、水系の溶媒を用いることができる。
【0043】
次に、基板Sを、例えばホットプレート上に載置することによって加熱して液状組成物
L1中の溶媒を蒸発させて正孔注入層28aを形成する(図6(b)参照)。尚、液状組
成物L1が塗布された基板Sを真空容器内に配置し、真空容器内を減圧して液状組成物L
1に含まれる溶媒を減圧乾燥により除去してもよい。
【0044】
次に、液滴吐出法によって、隔壁内領域26内に発光層28bを形成する。図6(c)
に示す通り、発光層28bを構成する上記の有機材料を所定の溶媒、例えば油系の溶媒に
溶解又は分散させて形成された液状組成物L2を吐出する。これにより、隔壁内領域26
内全面に液状組成物L2を塗布する。このとき、隔壁内領域26の長手方向の端辺26a
付近では、液状組成物L2が表面張力によって中央部へと引き戻されてしまう。このよう
に端辺26a付近では液状組成物L2が塗布されにくい状態、いわゆる濡れ性が悪い状態
になり、この部分では正孔注入層28aが露出した状態になる。この状態で、液状組成物
L2中の溶媒を蒸発させて、発光層28bを形成する(図6(d)参照)。
【0045】
その後、発光層28b上に、LiF層、Ca層、Al層等を蒸着方法等により積層して
陰極29を形成する。陰極29は、その長手方向の端辺が、隔壁内領域26の長手方向の
端辺26aよりも当該長手方向の中央部側に設けられるように、例えばマスクなどを用い
てそのパターンを形成する。より具体的には、陰極29の長手方向の端辺が、発光層28
bの長手方向の端辺よりも、長手方向の中央部側に位置するように形成する。続いて、陰
極29全面に光透過性を有する、例えば樹脂等で構成された封止部材30を形成する。こ
のようにして、有機発光アレイ22を製造する。
【0046】
ここで、例えば図4の破線部で示すように、発光層28b上に設けられる陰極を、隔壁
で囲まれた領域を含めた隔壁全体に亘って形成する場合、正孔注入層28aの露出部分に
も接触するように形成されてしまう。そうなると、陰極と正孔注入層28aとの間で電気
的短絡が生じることとなり、発光不良の原因となる。
これに対して、本実施形態によれば、発光層28b上に設けられた陰極29の長手方向
の端辺29aが、隔壁内領域26の長手方向の端辺26aよりも長手方向の中央部側に設
けられることとした、すなわち、陰極29が濡れ性の悪い隔壁内領域26の長手方向の端
辺26a付近に積層されないようにしたので、陰極29と正孔注入層28aとが接触する
のを回避することができる。これにより、陰極29と正孔注入層28aとの間で電気的短
絡が起こることは無く、発光不良を回避することができる。
【0047】
尚、以上説明した発光装置としての有機発光アレイ22は、図3(a)などに示される
ように、図中Y方向一列に等ピッチに7個の有機EL素子24が形成され、横方向に2列
配列されたものであったが、Y方向一列に形成される有機EL素子24の数、及びX方向
の列の数は任意である。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
本発明の発光装置は電気光学装置にも用いることができる。ここで、電気光学装置とは
、液晶表示装置(LCD)、有機EL装置(OLED)、プラズマディスプレイパネル(
PDP)、FED(Field Emission Display)等を総称したものである。次に、電気光学
装置について、有機EL装置を例に挙げて説明する。
【0049】
図7は、電気光学装置の一種としての有機EL装置の配線構造を示す模式図である。図
7に示す有機EL装置100は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を
用いたアクティブマトリクス方式のものであり、複数の走査線101と、各走査線101
に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、各信号線102に並列に延
びる複数の電源線103とからなる配線構成を有し、走査線101と信号線102との各
交点付近に画素領域Xを形成したものである。信号線102には、シフトレジスタ、レベ
ルシフタ、ビデオライン、及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路104が接続
されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線
駆動回路105が接続されている。
【0050】
画素領域Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイ
ッチング用TFT111と、このスイッチング用TFT111を介して信号線102から
供給される画素信号を保持する保持容量112と、保持容量112によって保持された画
素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT113と、この駆動用TFT113を介し
て電源線103に電気的に接続したときに電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極
(電極)114と、この画素電極114と共通電極116との間に配置された複数の有機
EL素子117,118,119とが設けられている。
【0051】
画素電極114と共通電極116との間に配置された複数の有機EL素子117,11
8,119は直列接続されており、各々が独立して発光する発光素子である。各画素領域
Xに複数の発光素子を備える構成とするのは、有機EL装置100の大型化に伴って電源
線103の配線長が長くなり、電圧降下の増大により生ずる各画素領域Xの発光輝度低下
を防止するためである。尚、電源線103に流れる電流を低減することができるため、電
源線103細くすることで高精細化も可能である。
【0052】
画素領域Xに設けられる有機EL素子の数をnとすると、画素領域Xに1つの有機EL
素子が設けられている場合に比べて、電源線103にn倍の電圧が印加されている。これ
により、1つの画素領域Xの発光輝度を殆ど変えることなく電源線103を流れる電流を
1/nにすることができ、この結果として電圧降下による各画素領域Xの発光輝度の低下
を防止することができる。
【0053】
尚、本実施形態では、画素領域Xに3つの有機EL素子117,118,119が設け
られている構成を例に挙げて説明するが、画素領域Xに設けられる有機EL素子の数は任
意で良い。ここで、画素領域Xの各々に設けられる有機EL素子の数を増加させればさせ
る程、電源線103を流れる電流を低減することができるため、電圧降下による輝度低下
防止の観点からは画素に設けられる有機EL素子の数は多い方が良い。しかしながら、画
素の各々に設けられる有機EL素子の数を増加させればさせる程、開口率の低下を招いて
しまう。このため、輝度低下の観点及び開口率の低下の観点の双方を考慮して画素内の有
機EL素子の数は2個以上4個以下であることが望ましい。
【0054】
上記構成の有機EL装置100によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用T
FT111がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量112に保持
され、保持容量112の状態に応じて、駆動用TFT113のオン・オフ状態が決まる。
そして、駆動用TFT113のチャネルを介して電源線103から画素電極114に電流
が流れ、更に有機EL素子117,118,119に電流が流れる。すると、有機EL素
子117,118,119は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0055】
図8は、有機EL装置100の構成を模式的に示す平面図である。図8に示す通り、有
機EL装置100は、光透過性と電気絶縁性とを備える基板120と、図7に示すスイッ
チング用TFTに接続された画素電極が基板120上にマトリックス状に配置されてなる
画素領域121と、当該画素領域121の周囲に配置されるとともに各画素電極に接続さ
れる電源線103(図8では図示せず)と、少なくとも画素領域121上に位置する平面
視ほぼ矩形の画素部130(図8中一点鎖線枠内)とを備えて構成されている。尚、画素
部130は、中央部分の実表示領域140(図中二点鎖線枠内)と、実表示領域140の
周囲に配置されたダミー領域150(一点鎖線及び二点鎖線の間の領域)とに区画されて
いる。
【0056】
実表示領域140には、それぞれ画素電極を有する表示領域R,G,Bが規則的に配置
されている。尚、これらの表示領域R,G,Bの各々(画素領域121)は、図1に示し
た画素領域Xに相当する。また、実表示領域140の図8中両側には、走査線駆動回路1
05,150が配置されている。この走査線駆動回路150,150は、ダミー領域15
0の下層側に位置して設けられている。また、実表示領域140の図8中上方側には検査
回路160が配置されており、この検査回路160はダミー領域150の下層側に配置さ
れて設けられている。この検査回路160は、有機EL装置100の作動状況を検査する
ための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を
備え、製造途中や出荷時における表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように
構成されている。
【0057】
走査線駆動回路150及び検査回路160の駆動電圧は、所定の電源部から不図示の電
圧導電部を介して印加されている。また、これら走査線駆動回路150及び検査回路16
0への駆動制御信号及び駆動電圧は、この有機EL装置100の作動制御を司る所定のメ
インドライバ等から不図示の信号導通部を介して送信及び印加されるようになっている。
尚、この場合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路150及び検査回路160が信号を出
力する際の制御に関連するメインドライバ等からの指令信号である。
【0058】
図9は、有機EL装置100の上面図である。
同図に示すように、有機EL装置100は、基板120上のY方向(長手方向)有機E
L素子117を複数個配列した構成であり、図中のY方向(長手方向)一列に等ピッチに
配列されている。これらの有機EL素子117は、第1実施形態示す有機発光アレイ22
と同様に、隔壁125によって取り囲まれた構成である。本実施形態では、隔壁125に
よって取り囲まれた隔壁内領域126が、図中X方向(短手方向)に複数配置されている

【0059】
また、それぞれの隔壁内領域126には、第1実施形態と同様に、発光層128b及び
正孔注入層128aが形成されている。隔壁内領域126の長手方向の端辺126a付近
では、発光層128bが設けられない隙間領域128cが形成されており、当該隙間領域
128cから正孔注入層128aが露出した状態になっている。
【0060】
また、陰極129は、図中X方向に複数配置された隔壁内領域126を当該X方向に跨
ぐように形成されている。また、陰極129のY方向の端辺129aは、隔壁内領域12
6の長手方向の端辺126aよりも、長手方向の中央部側に位置するようになっており、
より具体的には、端辺129aが発光層128bの端辺128dよりも長手方向の中央部
側に位置するようになっている。
【0061】
このように、本実施形態によれば、隔壁内領域126がX方向(短手方向)に複数設け
られることとしたので、例えば画素領域121が基板の一方向のみならず当該一方向に交
差する方向にも設けられる構成、例えば、画素領域121がマトリクス状に配列されてい
るような構成を有する本実施形態のような有機EL装置100にも適用することができる

【0062】
また、本願発明は、上述した例に限定されるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しな
い範囲において種々変更を加え得ることはもちろんである。また、本願発明の要旨を逸脱
しない範囲において上述した各例を組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態による画像形成装置の構成を示す断面図。
【図2】ブラック用有機EL露光ヘッドの構成を示す斜視図。
【図3】発光装置としての有機EL装置の構成を示す平面図。
【図4】有機EL装置の断面図。
【図5】ブラック用有機EL露光ヘッドの側断面図。
【図6】本実施形態に係る有機EL装置の製造工程を示す図。
【図7】電気光学装置の一種としての有機EL装置の配線構造を示す模式図。
【図8】有機EL装置の構成を模式的に示す平面図。
【図9】有機EL装置の構成を示す平面図。
【符号の説明】
【0064】
1…光プリンタ 22…有機発光アレイ 24…有機EL素子 25、125…隔壁
25a…親液性隔壁 25b…撥液性隔壁 25c…開口部 25a…撥液性隔壁 26
、126…隔壁内領域 26a、126a…端辺 27…画素電極 28a、128a…
正孔注入層 28b、128b…発光層 28c、128c…隙間領域 28d、128
d…端辺 29、129…陰極 29a、129a…端辺 100…有機EL装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域を有する基板と、
前記複数の画素領域を囲むように前記基板上に設けられ、長手方向と当該長手方向に交
差する短手方向とを有する隔壁と、
前記隔壁に囲まれた隔壁内領域のうち少なくとも前記画素領域に設けられた第1電極と

前記第1電極上を含めた前記隔壁内領域を覆うように設けられ、前記画素領域に開口部
を有する絶縁膜と、
前記第1電極を覆うように少なくとも前記開口部に設けられた第1有機膜と、
前記絶縁膜及び前記第1有機膜を覆うように設けられた第2有機膜と、
前記第2有機膜上に設けられ、前記第1電極との間で前記第1有機膜及び前記第2有機
膜を挟持する第2電極と
を具備し、
前記第2電極の前記長手方向の端辺が、前記隔壁内領域の前記長手方向の端辺よりも前
記長手方向の中央部側に設けられている
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項2】
前記第2電極の前記長手方向の端辺が、前記第2有機膜の前記長手方向の端辺よりも前
記長手方向の中央部側に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項3】
前記隔壁内領域が、少なくとも前記短手方向に複数設けられていることを特徴とする請
求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項4】
長手方向と当該長手方向に交差する短手方向とを有する基板上の領域を囲む隔壁を形成
する工程と、
前記隔壁で囲まれた隔壁内領域に第1電極を複数形成する工程と、
前記第1電極を含めた前記隔壁内領域を覆うと共に前記第1電極上に開口部を有するよ
うに絶縁膜を形成する工程と、
複数種類の液体を混合した溶媒に有機材料を溶解させてなる第1液状組成物を開口部に
露出する前記第1電極上に塗布し、前記第1液状組成物を乾燥させて第1有機膜を形成す
る工程と、
前記第1液状組成物とは異なる種類の溶媒に異なる種類の有機材料を溶解させてなる第
2液状組成物を、前記第1有機膜上を含めた前記隔壁内領域に塗布し、前記第2液状組成
物を乾燥させて第2有機膜を形成する工程と、
前記第1電極との間で前記第1有機膜及び前記第2有機膜を挟持するように、第2電極
を形成する工程と
を具備し、
前記第2電極を形成する工程では、当該第2電極の前記長手方向の端辺が前記第2有機
膜の前記長手方向の端辺よりも前記長手方向の中央部側に位置するようにする
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−123068(P2007−123068A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313949(P2005−313949)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】