説明

有機エレクトロルミネセント光源

エレクトロルミネセント光源は、基板(1)と、この基板(1)に設けられ、陽極(3)としての少なくとも1つの電極,少なくとも半透明で基板と反対側に設けられた陰極(4)としての少なくとも1つの電極,これらの間に設けられた少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント層(2),を有する、少なくとも基板と反対側で光(10)を放射するための層構造と、層構造の周辺に閉じ容積空間(6)を形成し、層構造に対して実質的に化学的に不活性な誘電性流体(11)で満たされた少なくとも半透明な密閉装置(5)と、を備え、流体は、層構造によって放射される光の一部を吸収し、且つ、異なる波長の光を再放射する粒子(12)を含み、この粒子の密度は、粒子(12)が誘電性流体(11)内で浮遊状態となるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変換を用いた白色光放射用の密閉された有機エレクトロルミネセント光源に関する。
【背景技術】
【0002】
光を放射するための有機エレクトロルミネセント層(EL層)を有する、複数の薄膜からなるエレクトロルミネセント光源(EL光源)が知られている。特に有機層は、例えば水分のような大気状態に敏感に反応するので、EL光源は機構的に密閉され、層構造と密閉部との間の空間は化学的に不活性な材料で満たされている。通常、ボトムエミッタ(透明基板を通して放射)とトップエミッタ(透明密閉部を通して放射)とに区別される。トップエミッタの場合、基板は不透明でよい。有機EL層は、1つ又はそれ以上のスペクトル領域で放射することができる。白色光は、有機層により放射された光と、蛍光材料により放射された光とを混合する単純な方法によって生成することができる。一例として、EL層の青色光は、蛍光材料により部分的に吸収され、より長い波長で、例えば黄色スペクトル領域又は緑色及び赤色スペクトル領域で再放射される(光変換)。青色光と再放射された光との混合は、白色光を生成する。
【0003】
米国特許第6,717,176号公報には、密閉装置の内側に薄膜として設けられた光変換層を備えたトップエミッタの有機エレクトロルミネセント光源が記載されている。このような層の追加は、さらに製造の複雑さを増し、このため追加コーティング処理によりさらにコストがかかる。さらに、色変換層の特性、例えば層接着が、全耐用年数にわたって一定でなくてはならない。
【0004】
本発明の目的は、従来技術の不都合を回避して、費用効率が高い、色変換により白色光を放射するトップエミッタのエレクトロルミネセント光源を提供することにある。
【発明の開示】
【0005】
この目的は、基板と、この基板に設けられ、陽極としての少なくとも1つの電極,少なくとも半透明で基板と反対側に設けられた陰極としての少なくとも1つの電極,これらの間に設けられた少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント層,を有する、少なくとも基板と反対側で光を放射するための層構造と、層構造の周辺に閉じた容積空間を形成し、層構造に対して実質的に化学的に不活性な誘電性流体で満たされた少なくとも半透明な密閉装置と、を備え、流体は、層構造によって放射される光の一部を吸収し、且つ、異なる波長の光を再放射する粒子を含み、この粒子の密度は、粒子が誘電性流体内で浮遊状態となるように設定されている、エレクトロルミネセント光源によって達成される。誘電性流体の密度と一致する密度を有する粒子を選択することにより、誘電性流体内で一様で時間的に一定な粒子の分布が得られ、これにより、EL光源の空間配置、例えば水平状態,直立状態又はぶら下げ状態にかかわらず、一定の吸収及び再放射の作用が得られる。EL光源を製作する前に、粒子を誘電性流体に簡単に混ぜることができる。光変換粒子層を製造するための複雑なコーティング工程の必要はない。
【0006】
誘電性流体中の粒子の容積比は、5%から60%の間であると有利である。これにより、所望の光混合のための十分な量の光が、粒子により吸収され、そして再放射される。
【0007】
粒子は、100nmより大きい直径、好ましくは500nmよりも大きい直径を有するとさらに有利である。なぜなら、直径が小さくなると、光の吸収と光の後方散乱との比が、好ましくなくなるからである。
【0008】
粒子の屈折率は、1.4より大きいと有利である。適当な誘電性流体は1.25と1.35との間の屈折率を有しているので、これにより粒子内への光の入射は、全反射による結合損失のない、光学的に薄い媒体から光学的に厚い材料への遷移に相当する。
【0009】
光を吸収及び再放射するための第1の材料と密度を設定するための第2の材料からなる粒子は、特に有利である。これにより、誘電性流体の密度と大きく異なる密度を有する、光吸収及び再放射する第1の材料を使用することができる。
【0010】
光を吸収及び再放射するための第1の材料が高い密度を有する材料であり、密度設定のための第2の材料が低い密度を有し、光を吸収及び再放射するための材料であるとさらに有利である。これにより、第2の材料の容積を、適切な密度を設定することに加えて、光を吸収及び再放射することにも用いることができる。この場合、第1及び第2の材料の放射スペクトル領域を異ならせることもできる。
【0011】
第1の材料としての無機材料を含む粒子は、高い放射照度のエレクトロルミネセント光源に特に適している。
【0012】
他方、第1の材料としての有機材料を含む粒子は、低い放射照度のエレクトロルミネセント光源に特に適している。
【0013】
粒子の第1の材料が粒子の第2の材料で囲まれているとさらに有利である。これにより、粒子の表面、したがって粒子の散乱特性を設定することができる。
【0014】
特に、高い演色評価数を有する白色光を生成するため、誘電性流体が、第1のスペクトル領域で放射するための第1の粒子と、第2のスペクトル領域で放射するための第2の粒子とを少なくとも含むと有利である。
【0015】
また、本発明は、光を吸収し異なる波長の光を再放射するための粒子を含む誘電性流体を製造する方法に関し、本発明による有機エレクトロルミネセント光源で使用するため、粒子の密度が、粒子が誘電性流体内で浮遊状態となるように設定されており、前記方法は、
粒子(12)の第2の材料(1202)、好ましくはプラスチックの溶液又は融液を生成するステップと、
特定の密度の粒子(12)を生成するのに適した濃度となるように、光を吸収及び再放射するための粉末状の第1の材料(1201)を、粒子(12)の第2の材料(1202)の溶液又は融液に加えるステップと、
溶液又は融液をノズルを通して吹き飛ばして、第1の材料(1201)及び第2の材料(1202)が結合した粒子(12)を形成するステップと、
粒子(12)を回収及び必要により冷却するステップと、
このようにして形成された粒子(12)を誘電性流体(11)に加えるステップと、
小さすぎる密度又は大きすぎる密度を有し、これにより誘電性流体内で浮上及び/又は沈降する粒子(12)を取除くステップと、
適当な容器内で回転又はかくはんして、誘電性流体(11)内に粒子(12)を均一に分布させるステップと、を備えている。
【0016】
本発明は、図面に示された実施形態を参照してさらに記載されるが、これに制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、いわゆるトップエミッタとしての、すなわち光10は少なくとも半透明な密閉装置5を通して放射される、エレクトロルミネセント光源の側面図を示している。この放射方向のため、基板1は不透明であってもよい。基板1に設けられているエレクトロルミネセント光源の層構造は、典型的には厚さ約100nmのエレクトロルミネセント層2(例えば、ドープされたトリス−(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム)を含む有機薄膜パケットを有しており、エレクトロルミネセント層2が、2層の電極3,4(例えば、図1に示すような陽極(アノード)3及び陰極(カソード)4)間に配置されている。トップエミッタの場合、放射方向にある電極(この場合は陰極4)は、少なくとも半透明である。通常、インジウムスズ酸化物(ITO)が、透明導電材料として用いられる。約100nmの厚さを有する金属層(例えばアルミニウム)が、導電材料として陽極3に用いられ、これは通常不透明である。しかしながら、光が上方向及び下方向に同時に放射される構成も可能である。この構成では、陽極3及び基板1は、双方が少なくとも半透明な材料からなる。有機ルミネセント層2と陽極3の間には、通常、正孔輸送層として別の有機層、典型的には厚さ約50nmのα−NPD(N,N´−ジ(ナフサレン−2−yl)−N,N´−ジフェニルベンジジン)がある。陰極4と有機ルミネセント層2の間には、通常、低作動材料(例えばリチウム,セシウム又はバリウム)からなる電子注入層(薄膜)9があり、これはルミネセント層への電子の良好な注入に重要である。また、層構造は、原則として、基板に逆の順に設けることができる。エレクトロルミネセント光源の他の実施形態では、他の層、例えば、光の出射を改良するためにマイクロキャビティ層を層構造に追加してもよい。層構造は、大気状態、特に水分に非常に敏感に反応するので、エレクトロルミネセント構造は、密閉装置を備えている。密閉装置5は、トップエミッタの場合、少なくとも半透明であり、接着接合部7によって層構造に連結され、これにより、閉じた容積空間6が層構造と密閉装置5の間に形成されている。層構造を保護するため、容積空間6は、層構造に対して実質的に化学的に不活性な誘電性流体11で満たされており、誘電性流体は、EL層によって放射された光を浮遊状態で部分的に吸収し且つ異なる波長の光を再放射する本発明による粒子12を含んでいる。適切な誘電性流体は、例えば密度1.88g/cm3,屈折率1.29を有する3MのFC−43、又は、密度1.89g/cm3から1.92g/cm3,屈折率1.30を有するソルベイ社のフォンブリン(登録商標)のようなフッ素化誘電性流体を含む。誘電性流体の密度と5%未満の差異の密度を有する粒子は、流体内で浮遊状態にあり、これにより、粒子を含んでいる誘電性流体の空間的及び時間的に独立した吸収作用を可能にする。密閉装置5と層構造間の通常の距離は、数十μmから数百μmの範囲にある。ここに示した密閉装置5は、単なる1つの可能な実施形態である。また、他の実施形態では、密閉装置を異なるように構成することができる。例えば、水分/水の量を低減するために、容積空間6内にゲッターを配置してもよい。導体トラック8,3が、密閉装置内に配置された層構造の電気的作動のために、容積空間6外に導かれている。
【0018】
図2は、本発明により誘電性流体11で満たされた密閉装置5を示している。密閉装置5が層構造に固定される前、密閉装置5は水平状態とされ、このとき層構造に続く密閉装置の内面(層構造と共に容積空間6を区画する密閉装置の側面)を、誘電性流体11で満たすため上方に向ける。この状況では、粒子12を含有する誘電性流体11を密閉装置5内に満たすことは少しの複雑さもなく可能である。粒子12は、密閉装置に満たされる前に誘電性流体11に加えられ、適当な混合操作、例えば容器内で流体をかくはん及び/又は回転することにより、誘電性流体内に均一に分布される。粒子材料の吸収能力及び所望の色変換に応じて、誘電性流体に対する粒子12の容積比率は、5%と60%の間になる。誘電性流体11で満たされた容積空間6を通る、EL層によって放射された光の透過率を所望の同じ透過率にするため、例えば高吸収能力を有する粒子の容積比率を、相応するより低い吸収能力を有する粒子の容積比率よりも低く選択すればよい。もし、粒子12の直径が100nmより大きければ有利であり、さらに500nmよりも大きければより有利である。なぜなら、そうでなければ吸収と後方散乱との比が極めて好ましくなくなるからである。誘電性流体で密閉装置5を満たすことは、例えば注入又はスプレーにより行うことができる。エレクトロルミネセント光源の空間配列と独立した光変換のためには、容積空間6を誘電性流体でほとんど完全に満たすことが必要である。密閉装置5が満たされると、図1に示すエレクトロルミネセント光源を作製するために、基板に設けられた層構造に、水平状態に保持されたままの密閉装置を接着する。
【0019】
また、他の実施形態では、密閉装置は、閉鎖可能な開口を備えていてもよい。そのような実施形態では、密閉装置を、未充填状態で層構造に接着し、そして、粒子を含む誘電性流体を開口を通して注入する。容積空間6が完全に満たされると、開口を適当な手段、例えば開口を塞ぐように接着されたシリコン又はシールで閉鎖する。
【0020】
密閉装置又はエレクトロルミネセント光源の充填を、乾燥大気中又は真空中で行うと有利である。
【0021】
ある実施形態では、有機EL層により放射された青色スペクトル領域の光の部分的な吸収と、黄色スペクトル領域の光の再放射と、それに続く黄色と青色の光の混合による光変換により白色光を生成することができる。白色光は、図3に種々の考えられる光線経路に基づいて略図的に示されるように、EL層の表面で放射され、これにより容積空間6の広いエリアを照射する吸収されなかった青色光と、等方性再放射された黄色光との光混合により容積空間内で得られる。光の一部は、粒子12により吸収されることなく誘電性流体11を通過する(矢印101)。その他の光(矢印102)は、粒子12にぶつかり、散乱又は吸収される。ここで、粒子の屈折率が誘電性流体の屈折率よりも大きい場合は有利であり、これにより、光は、それに続く所望の吸収のために、粒子表面での全反射による結合損失なしに粒子に結合する。粒子による等方性再放射に続き、光は原則的に異なる3つのタイプの伝播を示す。再放射光の一部は、結合から離れて、他の粒子12にぶつかることなく密閉装置5の材料内に入る(矢印103)。再放射光の一部は、密閉装置の方向で他の粒子12に向けて散乱し(多重散乱も可能)、誘電性流体から離れる(矢印104)。再放射光の他の部分は、陰極4の方向に戻される(矢印105)。
【0022】
図4は、第1のスペクトル領域で光を再放射する第1の粒子121と、第2のスペクトル領域で光を再放射する第2の粒子122を含む誘電性流体11を有するエレクトロルミネセント光源の1つの特に有利な実施形態を示している。例えば、青色スペクトル領域で放射するEL層と、緑色及び赤色スペクトル領域で再放射する第1の粒子121及び第2の粒子122を備えていると、黄色スペクトル領域でのみ再放射する粒子を含む先の実施形態の例よりも、より高い演色評価数(color rendering index)で白色光を生成することができる。緑色,オレンジ色及び赤色スペクトル領域で放射する2種より多い粒子の使用は、演色評価数に関してより有利である。また、異なるスペクトル領域で光放射するオレンジEL層は、高い演色評価数に関して有利である。
【0023】
ある特に有利な実施形態では、図5を参照すると、誘電性流体の密度より5%超異なる密度を有する光吸収及び再放射のための材料1201が、密度を設定するための第2の材料1202に結合されている。第2の材料1202の容積と第1の材料1201の容積の比は、粒子12の全体密度が誘電性流体の密度に一致するように選択しなければならない。第1の材料1201が誘電性流体11よりも小さい密度を有する場合、それに応じて、第2の材料1202は、誘電性流体11よりも大きい密度を有しなければならない。これに対応して、誘電性流体よりも大きい密度を有する第1の材料は、それに応じて、誘電性流体よりも小さい密度を有する第2の材料に連結されなければならない。また、このようにして、誘電性流体の密度と大幅に異なる密度を有する材料1201を使用することができる。
【0024】
350nmと500nmの間の領域の青色光を吸収し、且つ、最大強度Imaxのより長い波長で再放射する有機及び無機材料1201の例を、密度に従って次表に示す。示されたすべての材料は、吸収光と再放射光間で90%より大きな効率を有する。ルモジェン(Lumogen)は、この場合、PMMAキャリア材料に溶解されている。
【0025】
【表1】

【0026】
誘電性流体、例えば密度1.88g/cm3を有する3MのFC−43に対し、密度<1.88g/cm3である材料1202、例えば密度1.20g/cm3を有するPMMA(プレキシグラス(登録商標))が、結果として生じる粒子12がFC−43の密度に等しい密度を有するように、表1の無機材料に加えられなければならない。一例として、部分的に青色光を黄色光に変換するための、本発明による粒子12は、したがって、20.2%のY3Al512:Ceと、79.8%のPMMAからなり、又は、部分的に青色光を緑色光及び赤色光に変換するための2種の粒子121,122は、52.3%のCaS:Ceと47.7%のPMMA(粒子121)と、27.2%のSrS:Euと72.8%のPMMA(粒子122)からなる。他の第1の無機材料は、2から7g/cm3の範囲の密度を有する。粒子12の構成は、それに応じて、第1の材料の密度に適合されなければならない。
【0027】
これに対応して、密度>1.88g/cm3の第2の材料1202、例えば密度4.26g/cm3を有するTiO2は、結果として生じる粒子12がFC−43の密度と等しくなるように、適当な容積比率で有機ルモジェン材料に加えられなければならない。同様のことが、他のすべての適切な有機材料について、異なる密度に応じて適用される。
【0028】
光を吸収及び再放射する材料としても用いることができる適当な密度を有する第2の材料1202の使用は、特に有利である。その結果、粒子の全容積が、光吸収容積と同じになる。一例として、青色光から黄色光へ部分的に変換するための粒子12が20.2%のY3Al512:Ceと、79.8%のPMMA内のルモジェンyellow ED206からなるとき、密度1.88g/cm3の粒子12を生成することができる。先の実施形態の例とは違って、この場合、全容積が、光を部分的に変換するための材料からなる。
【0029】
第2の材料を加えることなしに、適当な誘電性流体の密度と一致する密度を有する、光を吸収及び再放射するための個々の材料の具体的な例を例示しないが、本発明は、それにもかかわらず、そのような粒子を含む実施形態まで拡張される。
【0030】
第1の材料1201と第2の材料1202からなる粒子は、光を吸収及び再放射する粉末状の第1の材料1201を、適当な溶媒で溶解された第2の材料1202としてのプラスチック(例えば、PMMA)に加え、そしてその溶液を均一化することによって生成することができる。溶媒は、例えばアニソール,クロロベンゼン,塩化メチレン又は酢酸を用いることができる。この溶液をノズルを通して吹き飛ばし、これにより、溶媒が溶滴形態に形成された粒子から蒸発し、残された粒子12を回収する。その結果、第2の材料1202、例えばPMMAで覆われた第1の材料1201が得られる。第1の材料1201と第2の材料1202の容積比は、プラスチック溶液の濃度と粉末状材料の量、また粉末状粒子のサイズによって設定することができる。結果としての粒子12のサイズは、ノズルと吹き出し工程によって決定される。また、プラスチック材料の溶液の代替として、第1の材料1201の粉末を、プラスチックの融液に加えることができる。融液は、均一化され、ノズルから吹き出され、ここで粒子は溶滴形態に形成され,回収され、必要に応じて冷却される。その結果、同様に、プラスチック、例えばPMMAで覆われた第1の材料1201が得られる。
【0031】
有機及び無機材料は、それらの吸収能力が異なる。通常、有機材料は、無機材料と比べて高い吸収定数を有する。したがって、無機材料は、高い放射照度のエレクトロルミネセント光源に好ましく、有機材料は、低い放射照度のエレクトロルミネセント光源に好ましい。
【0032】
粒子12の構造、例えば無機結晶の表面により、密度を設定するための第2の材料が第1の材料を完全に囲むと有利である。このように、粒子12の散乱特性は、光を吸収するための第1の材料1201の吸収特性と独立して設定することができる。さらに、粒子の屈折率は、第2の材料1202によって均一的に設定することができる。
【0033】
図面と詳細な説明を参照して記載された実施形態は、照明装置の単なる例示であり、特許請求の範囲をこれらの例に限定するように理解されることを意図していない。また、特許請求の範囲の保護範囲が同様に及ぶ他の実施形態が、当業者であれば可能であろう。従属項の番号は、請求項の他の組合せが本発明の有利な実施形態を表さないことを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるトップエミッション型のエレクトロルミネセント光源を示す図である。
【図2】本発明による粒子を含む誘電性流体で満たされた密閉装置を示す図である。
【図3】エレクトロルミネセント光源での光の概略光線経路を示す図である。
【図4】本発明による誘電性流体に第1及び第2の粒子を含むエレクトロルミネセント光源を示す図である。
【図5】本発明による1より多い材料からなる粒子の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 基板
2 エレクトロルミネセント層
3 電極(陽極)
4 電極(陰極)
5 密閉装置
6 容積空間
7 接着接合部
8 導体トラック
9 電子注入層
10 光
11 誘電性流体
12 粒子
101,102,103,104,105 矢印
121,122 粒子
1201,1202 材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネセント光源であって、
基板と、
この基板に設けられ、陽極としての少なくとも1つの電極,少なくとも半透明で前記基板と反対側に設けられた陰極としての少なくとも1つの電極,これらの間に設けられた少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント層,を有する、少なくとも前記基板と反対側で光を放射するための層構造と、
前記層構造の周辺に閉じた容積空間を形成し、前記層構造に対して実質的に化学的に不活性な誘電性流体で満たされた少なくとも半透明な密閉装置と、を備え、
前記流体は、前記層構造によって放射される光の一部を吸収し、且つ、異なる波長の光を再放射する粒子を含み、
この粒子の密度は、この粒子が前記誘電性流体内で浮遊状態となるように設定されていることを特徴とするエレクトロルミネセント光源。
【請求項2】
前記誘電性流体内の前記粒子の容積比率は、5%と60%の間であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項3】
前記粒子は、100nm、好ましくは500nmよりも大きい直径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項4】
前記粒子の屈折率が、1.4よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項5】
前記粒子は、光を吸収及び再放射するための第1の材料と、密度設定のための第2の材料からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項6】
前記光を吸収及び再放射するための第1の材料は、高い密度を有する材料であり、
前記密度設定のための第2の材料は、低い密度を有する、光を吸収及び再放射するための材料であることを特徴とする請求項5に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項7】
前記粒子の第1の材料は無機材料であることを特徴とする請求項5又は6に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項8】
前記粒子の第1の材料は有機材料であることを特徴とする請求項5又は6に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項9】
前記粒子の第1の材料は、前記粒子の第2の材料で囲まれていることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項10】
前記誘電性流体は、第1のスペクトル領域で光を放射するための第1の粒子と、第2のスペクトル領域で光を放射するための第2の粒子を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のエレクトロルミネセント光源。
【請求項11】
光を吸収し異なる波長の光を再放射する粒子を含む誘電性流体を製造する方法であって、請求項5に記載の有機エレクトロルミネセント光源で使用するため、前記粒子の密度が、前記粒子が前記誘電性流体内で浮遊状態となるように設定されており、
前記方法が、
前記粒子の第2の材料、好ましくはプラスチックの溶液又は融液を生成するステップと、
特定の密度の前記粒子を生成するのに適した濃度となるように、光を吸収及び再放射するための粉末状の第1の材料を、前記粒子の第2の材料の溶液又は融液に加えるステップと、
前記溶液又は融液を、ノズルを通して吹き飛ばして、第1の材料及び第2の材料が結合した粒子を形成するステップと、
前記粒子を回収及び必要により冷却するステップと、
このようにして形成された前記粒子を前記誘電性流体に加えるステップと、
小さすぎる密度又は大きすぎる密度を有し、これにより前記誘電性流体内で浮上及び/又は沈降する粒子を取除くステップと、
適当な容器内で回転又はかくはんして、前記誘電性流体内に前記粒子を均一に分布させるステップと、を備えていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−523545(P2008−523545A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543954(P2007−543954)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053931
【国際公開番号】WO2006/061729
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】