説明

有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム

【課題】 有機EL素子、特に青色有機EL素子に使用した場合、青色色純度が向上し、輝度(PL強度)の低下が小さく、ヘーズ、可視光平均透過率、耐熱性、耐湿熱性に優れた有機EL素子用カラーフィルムを提供する。
【解決手段】 透明基材フィルム(ア)上に、粘着剤層(イ)を有する有機EL素子用カラーフィルムであって、前記粘着剤層(イ)が、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、波長510〜610nmに極大吸収を有するシアニン系色素(B)、アザポルフィリン系色素(C)およびローダミン系色素(D)から選ばれた少なくとも1種以上の色素0.05〜1.5質量部と、イソシアネート系硬化剤(E)0.02〜1.0質量部とを含有することを特徴とする有機EL素子用カラーフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルムに関し、詳しくは、青色色純度が向上し、輝度(PL強度)の低下が小さく、ヘーズ、可視光平均透過率、耐熱性、耐湿熱性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということがある)は、電子注入電極をなす陰極と正孔注入電極をなす陽極との間に蛍光性有機化合物を含む薄膜の有機層を挟んだ構造を有し、有機層に電子および正孔を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して表示を行なう表示素子である。
【0003】
ところで、このような有機EL素子としては、例えば、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも正孔注入層と発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該正孔注入層は陽極に接しており、該正孔注入層の陽極に接する側の部分の電気伝導度が陽極に接しない側の部分の電気伝導度より低いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、該特許に記載されている有機EL素子、特に青色有機EL素子を使用したものは、耐久性は高いものの青色色純度が低いという問題がある。
【0004】
一方、透明基板上に該基板に接面する透明電極、有機発光層および透明電極に対する対向電極を順次積層した有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記透明基板外側にカラーフィルターを設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されてる(例えば、特許文献2参照)。
しかし、該特許のようにカラーフィルターを使用することにより、青色色純度は上がるが、カラーフィルターに発光エネルギーを吸収されるために、輝度(PL強度)が著しく低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−100480号公報
【特許文献2】特開平6−132081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、有機EL素子、特に青色有機EL素子に使用した場合、青色色純度が向上し、輝度(PL強度)の低下が小さく、ヘーズ、可視光平均透過率、耐熱性、耐湿熱性に優れた有機EL素子用カラーフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の通りである。
1.透明基材フィルム(ア)上に、粘着剤層(イ)を有する有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルムであって、
前記粘着剤層(イ)が、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、波長510〜610nmに極大吸収を有するシアニン系色素(B)、アザポルフィリン系色素(C)およびローダミン系色素(D)から選ばれた少なくとも1種以上の色素0.05〜1.5質量部と、イソシアネート系硬化剤(E)0.02〜1.0質量部とを含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
2.前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
3.前記粘着剤層(イ)が、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、pHが7.5〜8.0であるタルク含有安定剤(F)0.1〜5.0質量部をさらに含有することを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
4.前記タルク含有安定剤(F)が、アルキルアミン化合物を含むことを特徴とする前記3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
5.前記タルク含有安定剤(F)中のタルクの割合が、60〜80質量%であることを特徴とする前記3または前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
6.前記透明基材フィルム(ア)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
7.青色有機エレクトロルミネッセンス素子用に使用されることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の有機EL素子用カラーフィルムは、透明基材フィルム(ア)上に、特定のバインダー中に特定の色素およびイソシアネート硬化剤を特定量で配合した粘着剤層(イ)を有するものである。この構成によれば、有機EL素子、特に青色有機EL素子に使用した場合、青色色純度が向上し、輝度(PL強度)の低下が小さく、ヘーズ、可視光平均透過率、耐熱性、耐湿熱性に優れた有機EL素子用カラーフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
透明基材フィルム(ア)
本発明で使用される透明基材フィルム(ア)としては特に制限はなく、様々な透明プラスチックフィルムの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。この透明プラスチックフィルム(ア)としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなるフィルム、これらの積層フィルム等が挙げられる。これらの中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好であり、また所望の厚みに調整が可能である。
透明基材フィルムの厚さとしては、例えば10〜300μm、好ましくは20〜200μmである。
透明基材フィルムは、所望により酸化防止剤や紫外線吸収剤等、公知の添加剤を配合してもよい。
また透明基材フィルムは、他層との接着性を高めるために、易接着剤層を設けておくこともできる。
【0010】
粘着剤層(イ)
本発明における粘着剤層(イ)は、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、波長510〜610nmに極大吸収を有するシアニン系色素(B)、アザポルフィリン系色素(C)およびローダミン系色素(D)から選ばれた少なくとも1種以上の色素0.05〜1.5質量部と、イソシアネート系硬化剤(E)0.02〜1.0質量部とを含有する。以下、各成分について説明する。
【0011】
アクリル酸エステル共重合体(A)
本発明における(A)成分は、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびこれら両者の混合物を示す語句である。
【0012】
(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、グリシジル基、アミド基およびN−置換アミド基から選ばれる1種以上の官能基を有するものが好ましい。好ましい官能基はカルボキシル基である。このような官能基の存在により、十分な粘着性を付与することができる。
【0013】
(A)成分は、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーとの共重合体を用いることが好ましい。なお、カルボキシル基を除いた、上述の官能基を有する(メタ)アクリル酸モノマーをさらに共重合させることが好ましい。また(A)成分は、上記以外にも、他の官能基を有する(メタ)アクリル酸モノマーおよび他の単量体を含み得る。
【0014】
エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
官能基を有する(メタ)アクリル酸モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基またはN−置換アミド基を含有するモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基を有するモノマーが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
他の官能基を有する(メタ)アクリル酸モノマーの例としては、アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびビニルピリジンなどのアミノ基を含有するモノマー、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアセトアセチル基を含有するモノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの3級アミノ基を含有するモノマーが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
所望により用いられる他の単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明における(A)成分は、酸価が6.9mgKOH/g以上7.5mgKOH/g未満であることが好ましい。この酸価の範囲内であれば、色素、特にシアニン系色素(B)の初期色調変化および光線透過率変化量が向上し、ブレンド終了時の二次凝集も防止されるという効果を奏する。
好ましい酸価は、6.95〜7.30mgKOH/gであり、さらに好ましい酸価は6.98〜7.20mgKOH/gである。なお、酸価の調整は、酸基含有モノマーの共重合比率を調整することにより容易に行える。
酸価の測定方法は、常法に基づいて行ってもよいが、計算によって算出してもよい。計算方法は公知であり、例えばJIS K 2501に記載されている。
【0020】
また本発明の(A)成分は、質量平均分子量が40万〜250万の範囲であることが必要である。本明細書において、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。質量平均分子量が40万未満では、粘着性や耐久性(信頼性)が不十分となるおそれがあり、250万を超えると、粘度が高くなり塗工性不良を起こす原因となる。(A)成分の質量平均分子量は、好ましくは60万〜180万であり、より好ましくは80万〜160万である。
【0021】
(A)成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、−70℃〜0℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が0℃より高いと、低温で使用する際にタック(粘着性)が不十分となり、粘性を示さないため好ましくない。本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、常法によって求められる計算値、または実測値を示す。該計算値は、下記式、
(1/Tg)=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・・+(Wn/Tgn
を用いて算出することができる。式中、Tgは、ガラス転移温度(℃)を示し、W1、W2、・・・・、Wnは、単量体組成物中の各単量体の質量分率を示し、Tg1、Tg2、・・・・、Tgnは、対応する単量体の単独重合体のガラス転移温度(℃)を示す。なお、単独重合体のガラス転移温度は、例えば、便覧等の刊行物に記載されている数値を採用すればよい。
【0022】
(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、各種公知の方法により製造することができ、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等のラジカル重合法を適宜選択することができる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ラウロイル(LPO)、過酸化ベンゾイル(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の公知のものを使用することができる。重合条件としては、例えば、溶液重合の場合は、反応温度は、通常、50〜150℃であり、反応時間は、通常3〜15時間程度である。重合に際して用いられる溶媒としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、ヘキサン、アセトン等が用いられる。また、市販の(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いてもよい。
【0023】
シアニン系色素(B)
シアニン系色素(B)は、例えば、下記一般式(I)であることが好ましい。
【0024】
【化1】

【0025】
(一般式(I)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、nは、0以上の整数を表し、通常は、1〜3である。Z1、Z2は、それぞれ独立に、S原子、O原子、NR36、CR3738である。R36〜R38は、それぞれ独立に、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェニル基を表す。L1、L2は、それぞれ独立に、5〜7員環を形成するものであって、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環などの芳香環である。)
【0026】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基エトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルオニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、n−ヘキシルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカアルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
シアニン系色素の具体例としては、例えばADEKA社製GPX−103(極大吸収波長=518nm)、GPZ−133(極大吸収波長=556nm)、TY−102(極大吸収波長=588nm)、TY−235(極大吸収波長=552nm)、林原生物化学研究所社製NK9101(極大吸収波長=542nm)などのシアニン系化合物を好適に用いることができる。上記は一例であり、これらに限定されるものではない。また、シアニン系色素は2種類以上を併用することもできる。
【0028】
アザポルフィリン系色素(C)
本発明で使用されるアザポルフィリン系色素(C)としては、波長510〜610nmに極大吸収を有するものであれば特に限定されないが、例えば下記の一般式(II)で表すことができる。
【0029】
【化2】

【0030】
式中、X1〜X8 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルコキシ基、アリールオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基またはアルコキシカルボニル基を表す。R1〜R4は各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。但し、R1〜R4のうち少なくとも1個は窒素原子であり、例えばモノアザポルフィリン、ジアザポルフィリン、テトラアザポルフィリン骨格が挙げられる。Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価または4価の置換金属原子、あるいはオキシ金属を表す。
【0031】
上記X1〜X8 の具体例としては、水素原子;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;水酸基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso-プロピル基、n−ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso-ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、cyclo-ペンチル基、n−ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、cyclo-ヘキシル基、n−ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2-エチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、n−ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、6,6-ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6-メチル-4-ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチルヘプチル基、2,4-ジメチルヘプチル基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル基、1-cyclo-ヘキシル-2,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso-ペントキシ基、neo-ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、iso-プロピルオキシエチル基、3-メトキシプロピル基、2-メトキシブチル基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3-メトキシプロピルオキシ基、3-(iso-プロピルオキシ)プロピルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基または該アルコキシ基の水素原子をハロゲンで置換したハロゲノアルコキシ基;フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-t-ブチルフェノキシ基、2-メトキシフェノキシ基、4-iso-プロピルフェノキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基等の炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ基等の炭素数2〜20のジアルキルアミノ基;ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基等のヘテロアリール基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、2-メチルブチルチオ基、1-メチルブチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基;フェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、4-t-ブチルフェニルチオ基等の炭素数6〜20のアリールチオ基;ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso-プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、iso-ブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、t-ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、iso-ペンチルカルボニル基、neo-ペンチルカルボニル基、2-メチルブチルカルボニル基、ニトロベンジルカルボニル基等の炭素数1〜20のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、2,4-ジメチルブチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。Mで表される2価の金属の例としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)等が挙げられる。1置換の3価金属の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−F、Ga−I、In−Cl、In−Br、In−F、In−I、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−F、Tl−I、Al−Cl、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3 )、In−C6H5、In−C6H4(CH3 )、Mn(OH)、Mn (OC6H5) 、Mn (OSi(CH3) 3)、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げられる。2置換の4金属の例としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeF2、GeI2、SnCl2、SnF2、SnBr2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2[Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す。]、Si(OR')2、Sn(OR')2、Ge(OR')2、Ti(OR')2、Cr(OR')2[R'は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す。]、Sn(SR'')2、Ge(SR'')2、[R''は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す。]等が挙げられる。オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiO等が挙げられる。
【0032】
アザポルフィリン系色素(C)の具体例としては、例えば山田化学社製TAP−2(極大吸収波長=594nm)、TAP−9(極大吸収波長=592nm)、TAP−12(極大吸収波長=586nm)、TAP−18(極大吸収波長=594nm)、TAP−45(極大吸収波長=582nm)、などのアザポルフィリン系化合物を好適に用いることができる。上記は一例であり、これらに限定されるものではない。また、アザポルフィリン系色素は2種類以上を併用することもできる。
【0033】
ローダミン系色素(D)
本発明で使用されるローダミン系色素(D)としては、波長510〜610nmに極大吸収を有するものであれば特に限定されないが、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン123や、特開2007−211226号公報に記載の下記一般式(III)で表されるローダミン系化合物等が挙げられる。
【0034】
【化3】

【0035】
式中、R11〜R12は、各々独立に無置換またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびハロゲンから選ばれる置換基を有する核炭素数6〜24のアリール基である。ここで、核炭素数6〜24のアリール基の例としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピリジル基などが挙げられる。R13は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはハロゲンを示し、X-はカウンターイオンを示示し、例えばハロゲンイオン,含ホウ素錯体イオン,金属錯体イオン,過酸化物イオンなどが挙げられる。
また、特開2005−2290号公報に記載のローダミン系色素も利用できる。
【0036】
ローダミン系色素(D)は市販されているものも利用でき、例えば山田化学社製HSR−002(極大吸収波長=550nm)、山田化学社製HSR−AG01(極大吸収波長=576nm)、HSR−AG03(極大吸収波長=566nm)などが挙げられる。上記は一例であり、これらに限定されるものではない。また、ローダミン系色素は2種類以上を併用することもできる。
【0037】
イソシアネート系硬化剤(E)
本発明における(E)成分は、イソシアネート系硬化剤である。イソシアネート系硬化剤(E)の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパンなどポリオールとのアダクト体などが挙げられる。
【0038】
タルク含有安定剤(F)
本発明における(F)成分は、pHが7.5〜8.0であるタルク含有安定剤である。(F)成分におけるタルクの含有量は、50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。
また、本発明における(F)成分は、有機化合物、特にアルキルアミン化合物を含むことが好ましい。アルキルアミン化合物におけるアルキル基としては、炭素数4〜14、好ましくは炭素数6〜12の分岐または直鎖のアルキル基が挙げられる。アルキルアミン化合物は、2種以上を併用することができる。本発明では、アルキルアミン化合物がn−オクチルアミンを主成分とする形態が特に好ましい。(F)成分における有機化合物の含有量は、50〜10質量%が好ましく、40〜20質量%がさらに好ましい。
(F)成分は粉体あるいは分散液として使用することができる。分散液の場合、分散媒は、メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン系溶媒、トルエンのような芳香族系溶媒が好ましい。
また、(F)成分におけるタルクは、天然タルク、合成タルクまたは変性タルクのいずれであってもよく、その粒径は、例えば10〜200nmである。必要に応じてシランカップリング剤を併用することもできる。(F)成分は市販されているものを利用することができ、例えばADEKA社製アデカアークルズA2が挙げられる。
本発明において、(F)成分を添加することより、本発明のカラーフィルムの耐熱性および耐湿熱性を一層向上させることができる。その理由は明らかではないが、タルクと、アルキルアミンのような有機化合物との複合体が、色素と相互作用し、色素の保護成分として機能するものと推定される。
【0039】
本発明において、粘着剤層(イ)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、波長510〜610nmに極大吸収を有するシアニン系色素(B)、アザポルフィリン系色素(C)およびローダミン系色素(D)から選ばれた少なくとも1種以上の色素0.05〜1.5質量部と、イソシアネート系硬化剤(E)0.02〜1.0質量部とを含有する。色素(B)、(C)および/または(D)の配合割合が0.05質量部未満では、青色色純度が向上しない。逆に1.5質量部を超えると、輝度(PL強度)が低下し、ヘーズ、可視光平均透過率も悪化する。イソシアネート系硬化剤(E)が0.02質量部未満であると粘着剤の耐久性の低下が発生し、逆に1.0質量部を超えると粘着力の著しい低下およびポットライフの低下が発生するため好ましくない。
さらに好ましい形態としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、色素(B)、(C)および/または(D)を0.12〜1.1質量部、イソシアネート系硬化剤(E)を0.05〜0.8質量部使用する形態である。
また、本発明において、粘着剤層(イ)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、タルク含有安定剤(F)を0.1〜5.0質量部含有する形態が好ましい。上述のように、タルク含有安定剤(F)を添加することにより、本発明のカラーフィルムの耐熱性および耐湿熱性を一層向上させることができる。さらに好ましい形態としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、タルク含有安定剤(F)を0.3〜3.0質量部使用する形態である。
【0040】
粘着剤層(イ)を形成するための組成物は、前記各成分を上記の特定割合でもって配合し、任意に添加剤を加えて混合することによって製造され得る。混合は、高せん断力をかけて行うのが好ましい。
【0041】
本発明のカラーフィルムは、例えば次のようにして製造することができる。上記の粘着剤層(イ)を形成するための組成物(溶液)を、転写印刷、ナイフコーター、ロールコーター、グラビアコーター等の通常使用される塗布方法により透明基材フィルム(ア)上に塗布し、赤外線、熱風、蒸気等により加熱乾燥する方法、粘着剤層(イ)を設けた離型シートにより転写する方法等が挙げられる。
なお、粘着剤層(イ)の乾燥後の厚さは、例えば、5〜100μm程度、特に10〜60μmの範囲が好ましい。
【0042】
本発明のカラーフィルムを有機EL素子に適用する場合は、例えば、有機EL素子のディスプレイの前面ガラス板から視認側にかけて、前面ガラス板、粘着剤層(イ)、透明基材フィルム(ア)の順番で適用することができる。なお本発明は、上記順に限定されるものではない。
本発明のカラーフィルムは、青色色純度を向上できることから、青色有機EL素子用に使用されることが特に好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製A−1540、両面に易接着剤層が形成されている。二軸PET(1)と称する。)上に、下記の粘着剤層(イ)形成用塗料を乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、乾燥し、本発明のカラーフィルムを作製した。
【0045】
(粘着剤層(イ)形成用塗料)
・粘着剤(1) 400質量部
(固形分100質量部)
アクリル酸エステル共重合体の酢酸エチル溶液(固形分25%)、酸価7.0mgKOH/g、重合体の組成=アクリル酸−nブチル(95.5質量%)+アクリル酸2−ヒドロキシエチル(0.5質量%)+アクリル酸(4質量%)、質量平均分子量=180万、Tg=−46℃
・シアニン系色素(1) 40質量部
(固形分0.4質量部)
(ADEKA社製、GPX−103、極大吸収波長は518nm、固形分1%、MEK希釈)
・安定剤(1) 110質量部
(固形分1.1質量部)
アデカアークルズA2、(株)ADEKA製、タルク含有量71.0質量%、アルキルアミン(n−オクチルアミン)を主成分とする有機化合物含有量29.0質量%、分散媒は、メチルエチルケトン、固形分1質量%
・ポリイソシアネート(1) 0.58質量部
(固形分0.26質量部)
トリレンジイソシアネート(TDI)、固形分45%
・溶剤 MEK 120質量部
【0046】
得られたフィルムについて、下記の評価を行った。
(1)色純度
ITO膜を付けたガラス基板上に、ポリフルオレン系青色発光体(American Dye Source,Inc.製、商品名:ADS129BE)を含む溶液をスピンコート法により塗布し、乾燥膜厚約60nmの発光層を形成した。次いで、発光層上に、真空蒸着により陰極材料を蒸着させ、有機EL素子Aを作製した。
この有機EL素子Aのガラス基板上(ITO膜の反対側)に、粘着剤層(イ)がガラス基板側となるように、本発明のカラーフィルムを貼り付けた。
続いて、有機EL素子Aに電圧を8V印加し、発光のCIE色度座標の値を測定した。
色度座標yの値が低いほど、青色色純度が向上していることを示している。
なお、本発明のカラーフィルムを貼り付けていない有機EL素子Aの色度座標x、yの値は、(0.156、0.205)である。
評価基準は以下の通りである。
◎:色度座標yの値が、0.140未満である。
○:色度座標yの値が、0.140以上、0.170未満である。
△:色度座標yの値が、0.170以上、0.190未満である。
×:色度座標yの値が、0.190以上である。
【0047】
(2)輝度(PL強度)
カラーフィルムを貼り付けた有機EL素子Aにピーク波長365nmのUV光を照射して、PL(フォトルミネッセンス)強度を測定した。
本発明のカラーフィルムを貼り付けていない有機EL素子AのPL強度を100%として、指数表示した。%の値が高いほど、PL強度が高くなることを示す。
評価基準は以下の通りである。
◎:指数値が、85%以上である。
○:指数値が、85%未満、40%以上である。
△:指数値が、40%未満、20%以上である。
×:指数値が、20%未満である。
【0048】
(3)最低光線透過率(510〜610nm)
得られたカラーフィルムに対し、分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕を用いて、波長510〜610nmの透過スペクトルを測定し、その範囲の中で最も低い透過率を求めた。
【0049】
(4)ヘーズ
得られたカラーフィルムに対し、JIS K 7136にしたがい、ヘーズコンピューター〔日本電色工業(株) NDH2000〕を用いて測定した。
評価基準は以下の通りである。
○:0.5%未満。
△:0.5%以上、1.0%未満。
×:1.0%以上。
【0050】
(5)可視光(400〜700nm)平均透過率
得られたカラーフィルムに対し、JIS A5759に準拠し測定した。
評価基準は以下の通りである。
○:80%以上。
△:80%未満、50%以上。
×:50%未満。
【0051】
(6)耐熱性
得られたカラーフィルムを分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕にてJIS Z8701−1999に準じて、(Y、x、y)を測定した後、恒温層中に80℃で500時間静置した後の(Y、x、y)を上記と同様に測定した。試験前後の(Y、x、y)の変化量を求め、下記の基準により評価した。
・耐熱性の評価基準
○:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て3%未満である。
△:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て5%未満であるが、少なくとも1個が、3%以上である。
×:(Y、x、y)の各数値の変化量の少なくとも1個が、5%以上である。
【0052】
(7)耐湿熱性
得られたカラーフィルムを用い初期と60℃90%RH×500時間後のY値(透過率)を島津製作所製SolidSpec3700により、JIS Z8701−1999に準じて測定し、初期と試験後の変化量(ΔY値)を求め下記の基準により評価した。
・耐湿熱性の評価基準
○:初期と試験後の変化量が≦3%。
△:初期と試験後の変化量が3<変化量≦5%。
×:初期と試験後の変化量が>5%。
【0053】
結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を60質量部(固形分0.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
【0055】
実施例3
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を10質量部(固形分0.1質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
【0056】
実施例4
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を120質量部(固形分1.2質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
【0057】
実施例5
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のシアニン系色素(2)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
シアニン系色素(2):ADEKA社製、GPZ−133、極大吸収波長=556nm。
【0058】
実施例6
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のシアニン系色素(3)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
シアニン系色素(3):ADEKA社製、TY−102、極大吸収波長=588nm。
【0059】
実施例7
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のローダミン系色素(1)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
ローダミン系色素(1):山田化学社製、HSR−002、極大吸収波長=550nm。
【0060】
実施例8
実施例7において、ローダミン系色素(1)の配合割合を100質量部(固形分1.0質量部)に変更したこと以外は、実施例7を繰り返した。結果を表2に示す。
【0061】
実施例9
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のアザポルフィリン系色素(1)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
アザポルフィリン系色素(1):山田化学社製、TAP−12、極大吸収波長=586nm。
【0062】
実施例10
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のアザポルフィリン系色素(2)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
アザポルフィリン系色素(2):山田化学社製、TAP−18、極大吸収波長=594nm。
【0063】
実施例11
実施例1において、安定剤(1)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
【0064】
実施例12
実施例6において、安定剤(1)を使用しなかったこと以外は、実施例6を繰り返した。結果を表3に示す。
【0065】
実施例13
実施例1において、安定剤(1)の配合割合を5質量部(固形分0.05質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
【0066】
実施例14
実施例1において、安定剤(1)の配合割合を600質量部(固形分6質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
【0067】
実施例15
実施例1において、粘着剤(1)の替わりに、下記の粘着剤(2)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
粘着剤(2):アクリル酸エステル共重合体の酢酸エチル溶液(固形分25%)、酸価7.4mgKOH/g、重合体の組成=アクリル酸−nブチル(76.5質量%)+アクリル酸メチル(20質量%)+アクリル酸(3.5質量%)、質量平均分子量=80万、Tg=−29℃
【0068】
実施例16
実施例1において、色素として、シアニン系色素(1)およびローダミン系色素(1)の1:1混合物(それぞれ固形分として0.2質量部)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
【0069】
実施例17
実施例1において、色素として、シアニン系色素(2)およびアザポルフィリン系色素(1)の1:1混合物(それぞれ固形分として0.2質量部)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
【0070】
比較例1
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のシアニン系色素(4)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
シアニン系色素(4):林原生物化学研究所社製、NK9100、極大吸収波長=494nm。
【0071】
比較例2
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のアザポルフィリン系色素(3)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
アザポルフィリン系色素(3):山田化学社製、YPB−1、極大吸収波長=502nm。
【0072】
比較例3
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を3質量部(固形分0.03質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
【0073】
比較例4
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を170質量部(固形分1.7質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
【0074】
比較例5
実施例1で調製したカラーフィルムは設けずに、市販の光学用青色カラーフィルター(富士フイルム社製、商品名BPN−45)を取り付けたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表6に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
表1〜6の結果から、以下の事項が導き出される。
・実施例1のカラーフィルムは、透明基材フィルム(ア)上に、特定のバインダー中に特定の色素およびイソシアネート硬化剤を特定量で配合した粘着剤層(イ)を有するものであるので、有機EL素子の青色色純度を向上させ、輝度(PL強度)の低下も少なく、ヘーズ、可視光平均透過率、耐熱性、耐湿熱性に優れる結果となった。
・実施例2は、シアニン系色素(1)を0.6質量部添加した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例3は、シアニン系色素(1)を0.1質量部添加した例で、色純度が△評価、輝度(PL強度)が、◎評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例4は、シアニン系色素(1)を1.2質量部添加した例で、色純度が◎評価、輝度(PL強度)、ヘーズ、可視光平均透過率が、△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例5は、シアニン系色素(2)を使用した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例6は、シアニン系色素(3)を使用した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例7は、ローダミン系色素(1)を使用した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例8は、実施例7のローダミン系色素(1)を1.0質量部添加した例で、色純度が◎評価、輝度(PL強度)、ヘーズ、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例9は、アザポルフィリン系色素(1)を使用した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例10は、アザポルフィリン系色素(2)を使用した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例11は、安定剤(1)を添加しなかった例で、耐熱性、耐湿熱性が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例12は、実施例6の安定剤(1)を添加しなかった例で、可視光平均透過率、耐熱性、耐湿熱性が△評価であったこと以外は、実施例6と同様の性能を示した。
・実施例13は、安定剤(1)を0.05質量部添加した例で、耐熱性、耐湿熱性が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例14は、安定剤(1)を6質量部添加した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例15は、粘着剤(2)を使用した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例16は、シアニン系色素(1)を0.2質量部、ローダミン系色素(1)を0.2質量部を使用した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例17は、シアニン系色素(2)を0.2質量部、アザポルフィリン系色素(1)を0.2質量部を使用した例で、可視光平均透過率が△評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
【0082】
・比較例1は、シアニン系色素(4)を使用した例で、本発明の範囲外であるため、色純度が×評価になった。
・比較例2は、アザポルフィリン系色素(3)を使用した例で、本発明の範囲外であるため、色純度が×評価になった。
・比較例3は、シアニン系色素(1)を0.03質量部添加した例で、本発明の範囲外であるため、色純度が×評価になった。
・比較例4は、シアニン系色素(1)を1.7質量部添加した例で、本発明の範囲外であるため、輝度(PL強度)、ヘーズ、可視光平均透過率が×評価になった。
・比較例5は、実施例1のカラーフィルムは設けずに代わりに光学用青色カラーフィルターを使用した例で、本発明の範囲外であるため、輝度(PL強度)が×評価になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルム(ア)上に、粘着剤層(イ)を有する有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルムであって、
前記粘着剤層(イ)が、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、波長510〜610nmに極大吸収を有するシアニン系色素(B)、アザポルフィリン系色素(C)およびローダミン系色素(D)から選ばれた少なくとも1種以上の色素0.05〜1.5質量部と、イソシアネート系硬化剤(E)0.02〜1.0質量部とを含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【請求項3】
前記粘着剤層(イ)が、質量平均分子量が40万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、pHが7.5〜8.0であるタルク含有安定剤(F)0.1〜5.0質量部をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【請求項4】
前記タルク含有安定剤(F)が、アルキルアミン化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【請求項5】
前記タルク含有安定剤(F)中のタルクの割合が、60〜80質量%であることを特徴とする請求項3または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【請求項6】
前記透明基材フィルム(ア)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。
【請求項7】
青色有機エレクトロルミネッセンス素子用に使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルム。

【公開番号】特開2011−23323(P2011−23323A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169988(P2009−169988)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【Fターム(参考)】