説明

有機エレクトロルミネッセンス素子用材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

特定構造の含窒素縮合環構造を有する化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子用材料、及び、陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記有機EL素子用材料を含有する有機EL素子であり、低電圧で発光効率が高い有機EL素子を提供可能な有機EL素子用材料及びそれを用いた有機EL素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関し、特に、低電圧で発光効率が高く、青色発光する有機EL素子用材料及び有機EL素子に関するものである。
【背景技術】
有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に、有機EL素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。
有機EL素子の発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入され、電子が発光層において正孔と再結合し、励起状態を生成し、励起状態が基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
発光材料としてはトリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の発光材料が知られており、それらからは青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子の実現が期待されている(例えば、特開平8−239655号公報、特開平7−138561号公報及び特開平3−200289号公報等)。
最近では、有機EL素子ディスプレイの実用化が開始されているものの、フルカラー表示素子は開発途中である。特に、発光効率が高く、長寿命の有機EL素子が求められている。
これらを解決しようとするものとして、例えば、特開2002−100476号公報には、発光層に燐光発光性化合物を含有し、電子輸送材としてアゾール化合物を用いた素子が開示されているが、発光効率、輝度、寿命等の特性までは言及されておらず、実用性能があるかどうか不明であった。
【発明の開示】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、発光効率の高い有機EL素子用材料及びそれを利用した有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造の含窒素縮合環構造を有する化合物を有機EL素子用材料として用いることにより、低電圧で発光効率の高い有機EL素子が得られることを見出し本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物からなる有機EL素子用材料を提供するものである。

(式中、Aは、炭素数3〜6のアルキレン基、又は少なくとも1個以上の2級もしくは3級の窒素原子を含む炭素数2〜5のアミノアルキレン基を表し、Aにより形成される環状構造を構成する炭素原子及び窒素原子は、それぞれ置換されていてもよい。
Bは、3種類の原子(炭素,水素,窒素)又は2種類の原子(炭素,水素)からなる共役した不飽和鎖を表し、Bにより形成される環状構造を構成する炭素原子は置換されていてもよい。
Xは、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリーレン基、2価以上の置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキレン基である。Yは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基である。)
また、本発明は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記有機EL素子用材料を含有する有機EL素子を提供するものである。前期有機薄膜層のうち、発光層、電子輸送層、又は正孔輸送層が前記有機EL素子用材料を含有していると好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の有機EL素子用材料は、下記一般式(1)で表される化合物からなる。

一般式(1)において、Aは、炭素数3〜6のアルキレン基、又は少なくとも1個以上の2級もしくは3級の窒素原子を含む炭素数2〜5のアミノアルキレン基を表し、Aにより形成される環状構造を構成する炭素原子及び窒素原子は、それぞれ置換されていてもよい。
前記アルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
前記アミノアルキレン基としては、−N−C−C−、−C−N−C−、−N−C−C−C−、−C−N−C−C−、−N−C−C−C−C−、−C−N−C−C−C−、−C−C−N−C−C−、−N−C−C−C−C−C−、−C−N−C−C−C−C−、−C−C−N−C−C−C−骨格を有するもの等が挙げられる。
また、Aにより形成される環状構造を構成する炭素原子及び窒素原子の置換基としては、それぞれ、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、シアノ基、シリル基、アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、又はシクロアルキル基等が挙げられる。
一般式(1)において、Bは、3種類の原子(炭素,水素,窒素)又は2種類の原子(炭素,水素)からなる共役した不飽和鎖を表し、Bにより形成される環状構造を構成する炭素原子は置換されていてもよい。
Bにより形成される環状構造を構成する炭素原子の置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、シアノ基、シリル基、アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、又はシクロアルキル基等が挙げられる。
一般式(1)において、Xは、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。
Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリーレン基、2価以上の置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキレン基である。
Yは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基である。
前記Lのアリール基の例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、フルオレニル基、パーフルオロアリール基、1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル基、1,1’;3’,1”−ターフェニル−2’−イル基、1,1’;3’,1”−ターフェニル−4’−イル基等が挙げられる。
前記Lの複素環基の例としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アジリジン、アザインドリジン、インドリジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、プテリジン、β−カルボリン等が挙げられる。
前記Lのアルキル基の例としては、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
前記Lのシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
前記Lのアリーレン基の例としては、前記アリール基の例を2価基にしたものが挙げられる。
前記Lの2価以上の置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基としては、前記複素環基の例を2価以上の基にしたものが挙げられる。
前記Lのアルキレン基としては、前記アルキル基の例を2価基にしたものが挙げられる。
前記Lのシクロアルキレン基としては、前記シクロアルキル基の例を2価基にしたものが挙げられる。
Yの示すアリール基、複素環基、アルキル基及びシクロアルキル基の例としては、前記Lで挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される化合物であると好ましい。

Aは、前記と同様である。X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子(ただしXは水素原子でない)、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。L及びYは、それぞれ前記と同様である。
前記一般式(6)で表される化合物は、下記一般式(7)〜(10)のいずれかで表される化合物であると好ましい。

〜Xは、それぞれ独立に、水素原子(ただしXは水素原子でない)、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。L及びYは、それぞれ前記と同様である。
〜R12は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、シリル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜40のアラルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基である。
前記R〜R12のハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
前記R〜R12のアリール基の例としては、前記Lで挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記R〜R12のアリールオキシ基は、−OZと表され、Zの例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
前記R〜R12の複素環基の例としては、前記Lで挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記R〜R12のアルキル基の例としては、前記Lで挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記R〜R12のアルコキシ基は、−OYで表される基であり、Yの例としては、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
前記R〜R12のアラルキル基の例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基、トリチル基等が挙げられる。
前記R〜R12のシクロアルキル基の例としては、前記Lで挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記一般式(9)で表される化合物は、下記一般式(11)〜(13)のいずれかで表される化合物であると好ましい。

〜Xは、それぞれ独立に、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。L及びYは、それぞれ前記と同様である。
〜Rは、それぞれ独立に、前記と同様である。
本発明の一般式(1)〜(13)で表される有機EL素子用材料の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。












本発明における一般式(1)〜(13)のいずれかで表される化合物からなる有機EL素子用材料は、3重項のエネルギーギャップが2.5〜3.3eVであり、2.8〜3.2eVであると好ましい。
本発明における一般式(1)〜(13)のいずれかで表される化合物からなる有機EL素子用材料は、1重項のエネルギーギャップが2.9〜3.9eVであり、2.9〜3.6eVであると好ましい。
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物からなる有機EL素子用材料を含有する。
また、本発明の有機EL素子は、発光層、電子輸送層、正孔輸送層に、前記一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物からなる有機EL素子用材料を含有すると好ましい。
本発明の有機EL素子は、青色系発光する場合、その純度が(0.20,0.38)〜(0.26,0.39)と高いものである。これは、本発明の一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物からなる有機EL素子用材料が、広いエネルギーギャップを有しているからである。
本発明の有機EL素子は、3重項励起又はそれ以上の多重項励起により発光すると好ましい。
本発明の有機EL素子用材料は、有機EL素子のホスト材料であると好ましい。このホスト材料とは、正孔と電子の注入が可能であって、正孔と電子が輸送され、再結合して蛍光を発する機能を有するものである。
また、本発明における一般式(1)〜(13)の化合物は、1重項のエネルギーギャップが2.9〜3.9eVと高く、3重項のエネルギーギャップも2.5〜3.3eVと高いため、燐光素子用の有機ホスト材料としても有用である。
ここで、燐光素子とは、3重項準位のエネルギー状態から基底1重項準位の状態への遷移に基づく発光の強度が他の物質に比べて高い物質、例えば、周期律表7〜11族から選ばれる少なくとも1つの金属を含む有機金属錯体などの燐光物質を含む、いわゆる燐光を利用した有機電界発光素子のことである。
有機EL素子の発光層において、生成される分子励起子には、1重項励起子と3重項励起子とが混合していて、1重項励起子及び3重項励起子は、一般的には1:3の割合で、3重項励起子の方が多く生成されていると言われている。また、通常の蛍光を使った有機EL素子では、発光に寄与する励起子は1重項励起子であって、3重項励起子は非発光性である。このため、3重項励起子は最終的には熱として消費されてしまい、生成率の低い1重項励起子から発光が生じている。したがって、有機EL素子においては、正孔と電子との再結合によって発生するエネルギーのうち、3重項励起子の方へ移動したエネルギーは大きい損失となっている。
このため、本発明の化合物を燐光素子に利用することにより、3重項励起子のエネルギーを発光に使用できるので、蛍光を使った素子の3倍の発光効率が得られると考えられる。また、本発明の化合物は、燐光素子の発光層に用いると、該層に含まれる7〜11族から選ばれる金属を含有する燐光性有機金属錯体の励起3重項準位より高いエネルギー状態の励起3重項準位を有し、さらに安定な薄膜形状を与え、高いガラス転移温度(Tg:80〜160℃)を有し、正孔及び/又は電子を効率よく輸送することができ、電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなったり発光を消光したりする不純物が製造時や使用時に発生しにくいと考えられる。
本発明の有機EL素子は、前記したように陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機薄膜層を形成した素子である。一層型の場合、陽極と陰極との間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるために、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有してもよい。また、発光材料は、極めて高い蛍光量子効率、高い正孔輸送能力及び電子輸送能力を併せ持ち、均一な薄膜を形成することが好ましい。多層型の有機EL素子としては、(陽極/正孔輸送層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子輸送層/陰極)、(陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極)、(陽極/正孔輸送層/発光層/正孔障壁層/電子輸送層/陰極)等の多層構成で積層したものがある。
発光層には、必要に応じて、本発明の一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物に加えてさらなる公知のホスト材料、発光材料、ドーピング材料、正孔輸送材料や電子輸送材料を使用し、組み合わせて使用することもできる。有機EL素子は、多層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができ、他のドーピング材料により、発光輝度や発光効率を向上させたり、燐光発光に寄与する他のドーピング材料と組み合わせて用いることにより、従来の発光輝度や発光効率を向上させることができる。
また、本発明の有機EL素子における正孔輸送層、発光層、電子輸送層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよい。その際、正孔輸送層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と言う。同様に、電子輸送層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子輸送層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と言う。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機薄膜層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
本発明の有機EL素子は、電子輸送層や正孔輸送層が、一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物からなる本発明の有機EL素子用材料を含有してもよく、さらに、正孔注入層、電子注入層、正孔障壁層が本発明の有機EL素子用材料を含有してもよく、燐光発光性化合物と本発明の有機EL素子用材料とを混合して用いてもよい。
本発明の一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物と共に有機薄膜層に使用できる発光材料又はホスト材料としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
発光材料としては、素子の外部量子効率をより向上させることができる点で燐光性の有機金属錯体が好ましく、有機金属錯体の金属原子として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金を含有するものが挙げられる。これらの有機金属錯体は下記一般式(i)で表される有機金属錯体であるのが好ましい。

(式中、Aは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表し、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基であり、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜30のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜30のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基を表す。
は、窒素を複素環を形成する原子として含有する置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジン基、トリアジン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリン基、フェナントリジン基であり、前記置換基としては、Aと同様で挙げられる。
を含む環とAを含む環は一つの縮合環を形成してもよく、このようなものとしては、例えば、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
Qは、周期表7〜11族から選ばれる金属であり、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金を表す。
Lは、2座型の配子を表し、好ましくは、アセチルアセトナート等のβ−ジケト型の配位子又はピロメリット酸から選ばれる。
m及びnは整数を表し、Qが二価金属の場合は、n=2、m=0であり、Qが三価金属の場合は、n=3かつm=0、又はn=2かつm=1である。)
前記一般式(i)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、何ら下記の化合物に限定されるものではない。



正孔注入材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成した励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体又はフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、又はこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、HPc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、ClSiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体及びナフタロシアニン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
電子注入材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、キノキサリン、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの電子注入材料の中で、さらに効果的な電子注入材料は、金属錯体化合物又は含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体例は、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、含窒素五員誘導体は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、正孔注入材料に電子受容物質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することにより電荷注入性を向上させることもできる。
本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等及びそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方の電極と前記有機薄膜層との間に無機化合物層を有していてもよい。無機化合物層に使用される好ましい無機化合物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、Cなど各種酸化物、窒化物、酸化窒化物である。特に陽極に接する層の成分としては、SiO、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、Cが安定な注入界面層を形成して好ましい。また、特に陰極に接する層の成分としては、LiF、MgF、CaF、MgF、NaFが好ましい。
本発明の有機EL素子は、効率良く発光させるために、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において充分透明にすることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。
透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば限定されるものではないが、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムが挙げられる。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
本発明の有機EL素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することも可能である。
本発明の有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれの方法を適用することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり発光効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。通常の膜厚は5nm〜10μmの範囲が適しているが、10nm〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な溶媒に溶解又は分散させて薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであってもよい。また、いずれの層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
以上のように、有機EL素子の有機薄膜層に本発明の一般式(1)〜(13)のいずれかの化合物からなる有機EL素子用材料を用いることにより、色純度が高い有機EL素子を得ることができ、この有機EL素子は、例えば、電子写真感光体、壁掛けテレビ用フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯、アクセサリー等に好適に用いられる。
次に、合成例及び実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、化合物の3重項エネルギー及び1重項エネルギーは、以下のようにして測定した。
(1)3重項エネルギーの測定
最低励起3重項エネルギー準位T1を測定した。すなわち、試料の燐光スペクトルを測定し(10μmol/リットル EPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2容積比)溶液、77K、石英セル、SPEX社FLUOROLOGII)、燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き横軸との交点である波長(発光端)を求めた。この波長をエネルギー値に換算した。
(2)1重項エネルギー(エネルギーギャップ)の測定
励起1重項エネルギーの値を測定した。すなわち、試料のトルエン溶液(10−5モル/リットル)を用い日立社製紫外可視吸光計を用い吸収スペクトルを測定した。スペクトルの長波長側の立ち上りに対し接線を引き横軸との交点である波長(吸収端)を求めた。この波長をエネルギー値に換算した。
合成例1(化合物(A1)の合成)
化合物(A1)の合成経路を以下に示す。

(1)合成中間体(A)の合成
4−ブロモベンズアルデヒド15.0g(81mmol)、アセトフェノン9.7g(81mmol)をエタノール300mlに溶解し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液16.6ml(81mmol)を加え、室温で9時間撹拌した。反応終了後、析出した結晶を濾過してエタノールで洗浄し、合成中間体(A)19.6g(収率84%)を得た。
(2)合成中間体(B)の合成
合成中間体(A)9.0g(31mmol)、1−フェナシルピリジニウムブロミド8.7g(31mmol)、酢酸アンモニウム19.3g(250mmol)を酢酸27mlに懸濁し、12時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、トルエン、水を加え、二層分離した後、有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、エタノール27mlを加え、析出した結晶を濾過し、エタノールで洗浄し、合成中間体(B)10.6g(収率88%)を得た。
(3)目的化合物(A1)の合成
合成中間体(B)3.5g(9mmol)、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール1.7g(10mmol)、よう化銅0.09g(0.5mmol)、リン酸カリウム4.0g(19mmol)を1,4−ジオキサン18mlに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.5ml(4mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、有機層を5%塩酸水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、酢酸エチル7mlを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、結晶2.2g(収率52%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MS(フィールドディソープションマス分析)により、目的化合物(A1)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C3528=476,found,m/z=476(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.3eV、3重項エネルギーは2.8eVであった。
合成例2(化合物(A45)の合成)
化合物(A45)の合成経路を以下に示す。

(1)合成中間体(C)の合成
4−ブロモベンズアルデヒド15.0g(81mmol)、2−アセチルピリジン10.3g(85mmol)をメタノール182mlに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液61ml(61mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。反応終了後、析出した結晶を濾過してメタノールで洗浄し、合成中間体(C)19.8g(収率85%)を得た。
(2)合成中間体(D)の合成
合成中間体(C)10.0g(35mmol)、ベンズアミジン塩酸塩5.5g(35mmol)をエタノール75mlに懸濁し、水酸化ナトリウム2.8g(70mmol)を加え、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、水50mlを加え、1時間攪拌した後、析出した結晶を濾過してエタノールで洗浄し、合成中間体(D)6.0g(収率44%)を得た。
(3)目的化合物(A45)の合成
化合物(A45)は、合成中間体(B)の代わりに合成中間体(D)を用いた以外は、上記合成例1の(3)と同様の操作を行うことにより、結晶1.9g(収率44%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(A45)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C3326=478,found,m/z=478(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.1eV、3重項エネルギーは2.8eVであった。
合成例3(化合物(A4)の合成)
化合物(A4)の合成経路を以下に示す。

(1)合成中間体(E)の合成
2,4’−ジブロモアセトフェノン15.0g(54mmol)、2−アミノピリジン5.2g(55mmol)をエタノール100mlに懸濁し、炭酸水素ナトリウム7.0g(83mmol)を加え、9時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾過し、水、エタノールで順次洗浄し、合成中間体(E)を12.5g(収率85%)を得た。
(2)合成中間体(F)の合成
4−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩10.0g(62mmol)を酢酸46mlに懸濁し、シクロヘキサノン7.7ml(74mmol)を加え、90℃に加温した。3分後、激しく還流が開始した後、油浴から反応溶液を取出し20分間攪拌した。その後、90℃で30分間攪拌した後、2時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却し、水50mlを加え、析出した結晶を濾過し、水、エタノールで順次洗浄し、合成中間体(F)を10.2g(収率88%)を得た。
(3)目的化合物(A4)の合成
化合物(A4)は、合成中間体(B)の代わりに合成中間体(E)、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾールの代わりに合成中間体(F)を用いた以外は、上記合成例1の(3)と同様の操作を行うことにより、結晶3.1g(収率73%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(A4)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C2520FN=381,found,m/z=381(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.3eV、3重項エネルギーは2.8eVであった。
合成例4(化合物(A35)の合成)
化合物(A35)の合成経路を以下に示す。

1,3,5−トリブロモベンゼン5.0g(16mmol)、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール8.2g(48mmol)、よう化銅0.3g(0.4mmol)、リン酸カリウム13.8g(65mmol)を1,4−ジオキサン50mlに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン1.9ml(16mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、19時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、酢酸エチル25mlを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、結晶2.5g(収率27%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(A35)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C4239=585,found,m/z=585(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.8eV、3重項エネルギーは3.1eVであった。
合成例5(化合物(A46)の合成)
化合物(A46)の合成経路を以下に示す。

(1)合成中間体(G)の合成
1,3,5−トリブロモベンゼン5.0g(16mmol)、合成例3の(2)で得られた合成中間体(F)7.5g(40mmol)、よう化銅0.3g(0.4mmol)、リン酸カリウム13.8g(65mmol)を1,4−ジオキサン50mlに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン1.9ml(16mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、14時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、合成中間体(G)を2.1g(収率24%)を得た。
(2)合成中間体(H)の合成
ブロモ−3,5−ジフェニルベンゼン10.0g(32mmol)をトルエン50ml、エーテル50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下−16〜−42℃でノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M)27ml(42mmol)を加え、−42℃から0℃で1時間撹拌した。次に反応溶液を−70℃まで冷却し、ホウ酸トリイソプロピル22ml(97mmol)をエーテル25mlに希釈した溶液を滴下し、−70℃で1時間撹拌した後、室温まで昇温して6時間攪拌した。更に反応溶液に5%塩酸70mlを滴下した後、室温で45分間攪拌した。反応溶液を二層分離した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を5分の1程度まで減圧留去後、ノルマルヘキサン10mlを加え、析出した結晶を濾過し、トルエン−ノルマルヘキサン混合溶媒、ノルマルヘキサンで順次洗浄し、合成中間体(H)7.0g(収率78%)を得た。
(3)目的化合物(A46)の合成
化合物(A46)は、合成中間体(E)の代わりに合成中間体(G)、合成中間体(F)の代わりに合成中間体(H)を用いた以外は、合成例3の(3)と同様の操作を行うことにより、結晶1.9g(収率72%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(A46)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C4838=680,found,m/z=680(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.5eV、3重項エネルギーは2.9eVであった。
合成例6(化合物(C18)の合成)
化合物(C18)の合成経路を以下に示す。

(1)合成中間体(I)の合成
4−ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩5.0g(22mmol)、炭酸水素ナトリウム1.9g(22mmol)をエタノール100mlに懸濁し、1時間攪拌した後、ジベンゾイルメタン5.0g(22mmol)を加え、8時間加熱還流した。次に濃塩酸2ml(23mmol)を加え、12時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液2.3ml(23mmol)、水50mlを加え、1時間攪拌して析出した結晶を濾過し、エタノールで洗浄し、合成中間体(I)を7.6g(収率は定量的)を得た。
(2)目的化合物(C18)の合成
化合物(C18)は、合成中間体(B)の代わりに合成中間体(I)、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾールの代わりに2,3−シクロオクテノインドールを用いた以外は、上記合成例1の(3)と同様の操作を行うことにより、結晶1.2g(収率32%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(A46)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C3531=493,found,m/z=493(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.4eV、3重項エネルギーは2.8eVであった。
合成例7(化合物(A39)の合成)
化合物(A39)の合成経路を以下に示す。

上記合成例1の(1)において、4−ブロモベンズアルデヒドの代わりに、3,5−ジブロモベンズアルデヒドを用いた以外は同様の操作を行うことにより合成した合成中間体(J)2.5g(5mmol)、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール1.0g(6mmol)、よう化銅0.05g(0.3mmol)、リン酸カリウム2.4g(11mmol)を1,4−ジオキサン12.5mlに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.3ml(2mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、蒸留残滓を1,4−ジオキサン12.5mlに懸濁し、よう化銅0.05g(0.3mmol)、リン酸カリウム2.4g(11mmol)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.3ml(2mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、10時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、酢酸エチル25mlを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、結晶1.8g(収率52%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(A39)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C4739=645,found,m/z=645(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.2eV、3重項エネルギーは2.9eVであった。
合成例8(化合物(B1)の合成)
化合物(B1)の合成経路を以下に示す。

上記合成例1と同様にして合成した合成中間体(B)3.5g(9mmol)、上記化合物(K)2.0g(10mmol)、よう化銅0.09g(0.5mmol)、リン酸カリウム4.0g(19mmol)を1,4−ジオキサン18mlに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.5ml(4mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、有機層を5%塩酸水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、酢酸エチル7mlを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、結晶1.4g(収率31%)を得た。
得られた結晶は、90MHzH−NMR、FD−MSにより目的化合物(B1)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C3531=505,found,m/z=505(M,100)
さらに、得られた化合物の1重項エネルギーは3.2eV、3重項エネルギーは2.7eVであった。
実施例1(有機EL素子の製造)
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後の透明電極付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして膜厚10nmの下記銅フタロシアニン膜(CuPc膜)を成膜した。このCuPc膜は、正孔注入層として機能する。CuPc膜の成膜に続けて、この膜上に膜厚30nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル膜(下記α−NPD膜)を成膜した。このα−NPD膜は正孔輸送層として機能する。さらに、このα−NPD膜上に膜厚30nmの前記化合物(D35)をホスト材料として蒸着し発光層を成膜した。この時、同時に燐光発光性のIr金属錯体ドーパントとしてIrビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナート−N,C’]ピコリナート(上記(K−23)を添加した。発光層中における(K−23)の濃度は7重量%とした。この膜は、発光層として機能する。この膜上に膜厚30nmの(1,1’−ビスフェニル)−4−オラート)ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム膜(下記BAlq膜)を成膜した。このBAlq膜は正孔障壁層兼電子注入層として機能する。この後、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nmの厚さに蒸着し、次いでアルミニウムを150nmの厚さに蒸着した。このAl:LiFは陰極として機能する。このようにして有機EL発光素子を作製した。
この素子について、通電試験を行なったところ、電圧7.6V,電流密度1.39mA/cmにて、103cd/mの青色発光が得られ、色度座標は(0.20,0.38)、発光効率は7.40cd/Aであった。

実施例2(有機EL素子の製造)
実施例1において、化合物(D35)の代わりに、前記化合物(A38)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し、それらの結果を表1に示した。
比較例1(有機EL素子の製造)
実施例1において、化合物(D35)の代わりに、米国特許公開公報US2002−0028329号明細書に記載の下記化合物(H1)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し、それらの結果を表1に示した。


表1に示したように、比較例1の従来公知の化合物(H1)に対して、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、低電圧駆動であり、かつ高効率の青色発光が得られる。また、本発明の化合物は、エネルギーギャップが広いので、エネルギーギャップの広い発光性分子を発光層に混合し発光させることができる。
【実施例3】
実施例1において、化合物(D35)の代わりに前記化合物(A38)、(K−23)のかわりに前記(K−10)を用い、(K−10)の濃度を5重量%とした以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し、それらの結果を表2に示した。
【実施例4】
実施例3において、化合物(A38)のかわりに前記化合物(A1)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し、それらの結果を表2に示した。
比較例2
実施例4において、化合物(A1)のかわりに特開2000−169448号公報記載の下記化合物(H2)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し、それらの結果を表2に示した。


表2に示したように、本発明の有機EL素子用材料を用いると、緑色の発光色を有する素子でも高効率かつ低電圧駆動が可能であり、特に実施例3の(A1)と比較例2の(H2)との比較においては、構造が似ているものの、有機EL素子の材料として(A1)のような構造を有する化合物が性能面で優れていることが確かめられた。
【産業上の利用可能性】
以上詳細に説明したように、本発明の一般式(1)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を利用すると、低電圧で発光効率が高い有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。このため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、各種電子機器の光源等として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。

(式中、Aは、炭素数3〜6のアルキレン基、又は少なくとも1個以上の2級もしくは3級の窒素原子を含む炭素数2〜5のアミノアルキレン基を表し、Aにより形成される環状構造を構成する炭素原子及び窒素原子は、それぞれ置換されていてもよい。
Bは、3種類の原子(炭素,水素,窒素)又は2種類の原子(炭素,水素)からなる共役した不飽和鎖を表し、Bにより形成される環状構造を構成する炭素原子は置換されていてもよい。
Xは、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリーレン基、2価以上の置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキレン基である。
Yは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基である。)
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される化合物である請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。

(式中、Aは、前記と同様である。X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子(ただしXは水素原子でない)、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。L及びYは、それぞれ前記と同様である。)
【請求項3】
一般式(6)で表される化合物が、下記一般式(7)〜(10)のいずれかで表される化合物である請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。

(式中、X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子(ただしXは水素原子でない)、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。L及びYは、それぞれ前記と同様である。
〜R12は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、シリル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜40の複素環基、直鎖又は分岐の置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜40のアラルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40のシクロアルキル基である。)
【請求項4】
一般式(9)で表される化合物が、下記一般式(11)〜(13)のいずれかで表される化合物である請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。

(式中、X〜Xは、それぞれ独立に、L、L−Y又はY−L−Yと表され、LはNに直接結合する。L及びYは、それぞれ前記と同様である。
〜Rは、それぞれ独立に、前記と同様である。)
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物の3重項のエネルギーギャップが2.5〜3.3eVである請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項6】
前記一般式(1)で表される化合物の1重項のエネルギーギャップが2.9〜3.9eVである請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項7】
陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層が、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、電子輸送層が、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔輸送層が、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、有機ホスト材料である請求項7又は8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
少なくとも一方の電極と前記有機薄膜層との間に無機化合物層を有する請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
3重項励起又はそれ以上の多重項励起により発光する請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
前記発光層が、周期律表第7〜11族から選ばれる少なくとも1つの金属を含む有機金属錯体からなる燐光物質を含有する請求項7又は8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【国際公開番号】WO2004/035709
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【発行日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544957(P2004−544957)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013186
【国際出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】