有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】有機EL素子、特に燐光材料を用いたEL素子において、高い三重項準位を有する化合物を用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される部分骨格を有するアミン誘導体を用いる。


(式中、曲線は窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族の炭化水素基を表し、窒素原子と共に環状構造を構成する。Ar及びArは各々独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Ar’は2価のアリーレン基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂環式アミン骨格を有するアミン誘導体を利用した有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関するものである。本発明におけるアミン誘導体は、感光材料、有機光導電材料としての使用が考えられ、具体的には、平面光源や表示に使用される有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送材料、正孔注入材料及び発光材料としての利用が期待される。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、次世代の薄型平面ディスプレイとして現在盛んに研究されており、既に携帯電話のディスプレイやテレビ等への実用化も始まっている。しかし、有機EL素子をさらに広く普及させるために、素子の発光効率を一層向上させることが求められている。
【0003】
有機EL素子の一般的な発光メカニズムは、両電極から電子及びホールが注入されると、それらが対電極に向かい、発光層で再結合して励起子を生成し、その励起子の励起状態が基底状態に戻るときに発光が生じるものである。この励起状態には、電子スピンの向きが反平行である一重項励起状態と、電子スピンの向きが平行となる三重項励起状態とがあるが、現在普及している有機EL素子は、一重項励起状態のみが関与する蛍光発光が主流となっている。しかし、単純な量子力学的推論から、電子と正孔の再結合により生成する一重項励起状態と三重項励起状態の比率は1:3であるので、蛍光を利用した有機EL素子の場合には内部量子効率の最大値は25%となる。つまり、励起状態の75%は発光に使用されないことになる。また、有機EL素子外部への光取り出し効率は、高々20%程度であるため、蛍光を利用した有機EL素子においては、その外部量子効率は25%×20%となり、最大5%程度と見積もられる。
【0004】
このため、外部量子効率をさらに向上させるためには、励起状態のうちの75%を占める三重項励起状態からの発光、すなわち燐光も利用する必要がある。この利用が可能となれば、外部量子効率を最大20%まで向上させることができる。このような背景から、近年では燐光材料を用いた素子の開発が活発化している。
【0005】
ところで、燐光材料を用いた有機EL素子においては、発光層と隣接する層に用いる材料は、蛍光材料に比べて高い三重項準位(T1)を有することが求められる。一方、蛍光を利用した有機EL素子において従来使用されてきた周知の材料の三重項準位は十分とは言い難い。例えば、正孔輸送材料として良く知られている4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)の三重項準位は2.3eV程度と低いため、2.3eV以上の三重項準位を有する燐光材料と組み合わせた場合には、励起エネルギーが十分に閉じ込められず、効率の低下を招いてしまう。
【0006】
さらに、三重項準位を向上させるために、材料中にカルバゾール基などの骨格を導入する方法も試みられている。例えば、カルバゾール骨格を有する化合物として、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)が、その三重項準位は2.6eV程度であり、十分なレベルとは言い難いものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R.Holms et.al.,Appl.Phys.Lett.,2003,82,2422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来材料以上に高い効率を発現する有機EL用材料、特に燐光材料を用いた有機EL素子において非常に有用である材料を使用した新規な有機EL素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、一般式(1)で表される特定のアミン誘導体が、従来周知の材料に比べて高い三重項準位を有することを見出した。即ち本発明は、一般式(1)で表される部分骨格を有するアミン誘導体を用いるエレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0010】
【化1】

(式中、曲線は窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族の炭化水素基を表し、窒素原子と共に環状構造を構成する。Ar及びArは各々独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Ar’は2価のアリーレン基を表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の一般式(1)で表されるアミン誘導体において、曲線は窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族の炭化水素基を表す。具体的には、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基等が挙げられる。本発明の一般式(1)で表されるアミン誘導体は、これら窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族の炭化水素基と共に環状構造を形成し、脂環式アミン誘導体となる。なお、曲線で表した窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族の炭化水素基は、任意の場所で互いに結合した架橋構造を有していてもよい。
【0012】
本発明の一般式(1)で表されるアミン誘導体において、Ar及びArは各々独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、2−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−tert−オクチルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9−エチル−2−フルオレニル基、9−n−ヘキシル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−(2’−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−n−ブトキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブトキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、7−n−ブトキシ−2−ナフチル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、3−エチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−6−エトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−クロロフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、ターフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、10−フェニルアントリル基、10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−クロロ−1−ナフチル基、4−クロロ−2−ナフチル基、6−ブロモ−2−ナフチル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基、1,6−ジクロロ−2−ナフチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、3−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−エトキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−5−クロロフェニル基、3−メトキシ−6−クロロフェニル基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル基などを挙げることができる。また、置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基としては、以下に限定されるものではないが、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含有する芳香環基であり、例えば、4−キノリル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基等の複素環基を挙げることができる。なお、ArとArは互いに結合して環を形成してもよい。ArとArが形成する環としては、例えば、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環等を挙げることができる。
【0013】
式中、Ar’は2価のアリーレン基を表す。以下に限定されるものではないが、例えば、置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラニル基、またはフルオレニル基等を挙げることができる。
【0014】
さらに、上記一般式(1)の好ましい具体例として、下記一般式(2)及び(3)を挙げることができる。
【0015】
【化2】

(式中、Ar及びArは各々独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Ar’は2価のアリーレン基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、または置換基を有していてもよいアリールアミノ基を表し、任意のR同士が互いに結合して架橋基を形成してもよい。)
炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基等を挙げることができる。
【0016】
炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等を挙げることができる。
【0017】
置換基を有していてもよいアリール基とは、具体的には置換基を有していてもよい炭素数6〜24の芳香族基であり、さらに具体的には、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、1−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、9,9−ジ−トリフルオロメチル−フルオレン−2−イル基等を例示することができる。
【0018】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基とは、具体的には置換基を有していてもよい炭素数6〜24の芳香族オキシ基であり、さらに具体的にはフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基等を例示することができる。
【0019】
また、置換基を有していてもよいアリールアミノ基とは、下記一般式(A)で表される基であり、
【0020】
【化3】

(式中、R及びRは置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
及びRにおいて、置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、上記一般式(2)及び(3)におけるRで例示した置換基を有していてもよいアリール基と同じ基を挙げることができる。なお、RとRは互いに結合して窒素原子と共に環を形成してもよい。
【0021】
また、任意のR同士がお互いに結合して架橋構造を有してもよい。
【0022】
次に、上記一般式(1)で表される部分骨格を有するアミン誘導体の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

本発明の一般式(1)で表されるアミン誘導体は、公知の方法によって合成することができる(例えば、非特許文献2参照)。
【0025】
【非特許文献2】Tetrahedron Letters(テトラヘドロンレターズ),1998年,第39巻,2367頁(アミノ化反応)
【発明の効果】
【0026】
本発明による一般式(1)で表されるアミン誘導体は、従来の材料以上に高い三重項準位を有するため、有機EL素子、特に燐光材料を用いたEL素子において高い効率を発現させることが可能となる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
【0029】
[元素分析]
元素分析計:パーキンエルマー全自動元素分析装置 2400II
酸素フラスコ燃焼−IC測定法:東ソー製 イオンクロマトグラフ IC−2001
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所製 M−80B
測定方法:FD−MS分析
[HPLC分析]
測定装置:東ソー製 マルチステーションLC−8020
測定方法:カラム Inertsil ODS−3V(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[燐光スペクトル測定]
測定装置:浜松ホトニクス社製 ストリークカメラ(C4334)
[NMR測定]
測定装置:バリアン社製 Gemini200
[有機EL素子の発光特性]
測定装置:TOPCON社製 輝度計LUMINANCE METER(BM−9)
合成例1 化合物(1−3)の前駆体(N−フェニル−N−(4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)フェニル)アミン)の合成
N−(4−ブロモフェニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(BPTMP)を特開2006−73241に記載の方法に従い下記に示すルートで合成し、原料として用いた。
【0030】
【化6】

窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた50mLの三つ口フラスコ中に、BPTMP 5.0g(16.9mmol)、アニリン 3.14g(33.8mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 2.27g(23.6mmol)、o−キシレン 30mLを加え、スラリー状の反応液に酢酸パラジウム 37mg(0.16mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 119mg(0.59mmol)を添加して130℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水 10mLを加え、有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒)で精製し、N−フェニル−N−(4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)フェニル)アミンの針状結晶を1.8g(5.8mmol、HPLC純度 98.8%)単離した(収率 34%)。化合物の同定は、FDMS測定、H−NMR及び13C−NMR測定により行った。
【0031】
質量分析(FDMS)=308(M
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=7.36(d,2H)、 7.06(d,2H)、 1.64−1.72(m,2H)、 1.55(t,4H)、 0.99(s,12H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=145.80、 135.69、 130.69、 119.10、 54.11、 42.23、 29.70、 18.37
実施例1 化合物(1−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた50mLの三つ口フラスコ中に、合成例1で合成したN−フェニル−N−(4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)フェニル)アミン 1.5g(4.86mmol)、3,3’−ジクロロビフェニル 490mg(2.2mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 594mg(6.1mmol)、o−キシレン 5mLを加え、スラリー状の反応液に酢酸パラジウム 9mg(0.04mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 31mg(0.15mmol)を添加して130℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水 5mLを加え、有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒)で精製し、目的物を微黄色粉末として430mg(0.56mmol)単離した(収率 25%、HPLC純度 99.0%)。化合物の同定は、FDMS測定、H−NMR及び13C−NMR測定により行った。
【0032】
質量分析(FDMS)=766(M
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=7.18−7.26(m,6H)、 6.94−7.10(m,20H)、 1.64−1.76(m,4H)、 1.52−1.56(m,8H)、 1.03(s,24H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=148.32、 147.83、 144.74、 141.92、 134.61、 129.30、 129.08、 123.75、 123.70、 122.54、 122.32、 122.21、 120.95、 54.15、 42.32、 29.83、 18.48
実施例2 三重項準位の測定(燐光スペクトルの測定)
シリコン基板上に、実施例1で合成した化合物(1−3)を真空蒸着法により50nmの膜厚で成膜した。次に、本基板を真空下、クライオスタットを用いて5Kまで冷却し、窒素ガスレーザーを励起光源とする波長337nmの光を基板に対して照射した。得られた燐光スペクトルから算出された化合物(1−3)の三重項準位は2.69eVであった。
【0033】
実施例3 化合物(1−3)の素子評価
厚さ200nmのITO透明電極を積層したガラス基板をアセトン及び純水による超音波洗浄、イソプロピルアルコールによる煮沸洗浄した後、乾燥した。さらに、UV/オゾン処理を行い、真空蒸着装置へ設置後、1×10−4Paになるまで真空ポンプにて排気した。まず、ITO透明電極上にα−NPDを蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、20nmの正孔注入層とした。引き続き、化合物(1−3)を蒸着速度0.3nm/秒で30nm蒸着した後、燐光ドーパント材料であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))とホスト材料である4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)を重量比が1:11.5になるように蒸着速度0.25nm/秒で共蒸着し、20nmの発光層とした。次に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、10nmのエキシトシンブロック層とした後、さらにトリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体を0.3nm/秒で蒸着し、30nmの電子輸送層とした。引き続き、電子注入層としてフッ化リチウムを蒸着速度0.01nm/秒で0.5nm蒸着し、さらにアルミニウムを蒸着速度0.25nm/秒で100nm蒸着して陰極を形成した。窒素雰囲気下、封止用のガラス板をUV硬化樹脂で接着し、評価用の有機EL素子とした。このようにして得られた素子に、20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
比較例1 α−NPDの素子評価
化合物(1−3)をα−NPDに変更した以外は実施例3と同様に有機EL素子を作製した。20mA/cmの定電流密度条件下で駆動させた際の駆動電圧及び外部量子効率の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のアミン誘導体は、有機EL素子の正孔注入材料、正孔輸送材料または発光層のホスト材料として利用可能であり、特に燐光材料を用いたEL素子において極めて有用となることが期待できる。さらには、有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔注入材料、正孔輸送材料または発光材料としてのみでなく、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも応用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される部分骨格を有するアミン誘導体を発光層、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれか一層以上に用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】

(式中、曲線は窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族の炭化水素基を表し、窒素原子と共に環状構造を構成する。Ar及びArは各々独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Ar’は2価のアリーレン基を表す。)
【請求項2】
一般式(2)または(3)で表される部分骨格を有するアミン誘導体を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】

(式中、Ar及びArは各々独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Ar’は2価のアリーレン基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、または置換基を有していてもよいアリールアミノ基を表し、任意のR同士が互いに結合して架橋基を形成してもよい。)

【公開番号】特開2011−108953(P2011−108953A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264384(P2009−264384)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,834)
【Fターム(参考)】