説明

有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】駆動電圧が低く、長寿命な有機EL素子を提供する。
【解決手段】陽極、第1有機層、第2有機層、及び陰極をこの順に備え、前記第1有機層がそれぞれ特定構造を有するモノアントラセン誘導体及び縮合芳香族アミン誘導体を含有し、前記第2有機層が特定構造を有する含窒素複素環基が連結したモノアントラセン誘導体を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。
一般に有機EL素子は、発光層及びこれを挟持してなる一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が及び陽極側から正孔が注入され、電子が発光層において正孔と再結合し、励起状態を生成し、励起状態が基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出する。
【0003】
これら正孔注入、電子注入及び発光の全てを1層で機能させる有機EL素子の高性能化は難しく、電極間の有機層を複数層化し、機能分離させることにより、高性能化を実現している。具体的には、2つの電極間に正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の3層以上の層を積層させた構造が一般的である。
【0004】
初期の有機EL素子は、駆動電圧、発光効率及び耐久性が不十分であり、これら問題に対して様々な技術的改良がなされてきた。例えば特許文献1〜3では、電子輸送材料を改良することにより駆動電圧の低下を実現している。しかし、電子注入性を上げて電圧を下げると、寿命が短くなるということが知られており、これらの文献に開示している技術では低電圧化を実現できるものの、駆動電圧を低下させながら耐久性を向上させることが課題としてあった。
【0005】
また、有機ELディスプレイはフルカラー化が求められている。フルカラーディスプレイを実現するためには、青色、緑色、赤色の3つの色における性能改善が求められ、中でも青色有機EL素子の性能改善が難しく、特に耐久性の向上が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO03/60956
【特許文献2】WO04/80975
【特許文献3】WO05/97756
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、駆動電圧が低く、長寿命な有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の有機EL素子が提供される。
1.陽極、第1有機層、第2有機層、及び陰極をこの順に備え、
前記第1有機層が下記式(1)で示されるモノアントラセン誘導体及び下記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体を含有し、
前記第2有機層が下記式(3)で表される複素環誘導体を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】

【化2】

(式中、R〜R、R11〜R15、R17及びR18は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
Ar、Ar、Ar11、Ar12、Ar21及びAr22は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
Zは、置換もしくは無置換のクリセン残基、又は置換もしくは無置換のピレン残基である。
nは、1〜4の整数である。
は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の2価の複素環基である。
HArは、下記式(4)〜(6)で表される含窒素複素環基のいずれかである。)
【化3】

(式中、R21〜R26及びR31〜R36は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、R21〜R24及びR31〜R36は、隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
21〜X24及びX31〜X34は、それぞれ炭素原子又は窒素原子である。但し、X21〜X24及びX31〜X34が窒素原子である場合、窒素原子に結合するR21〜R24及びR33〜R36は存在しない。
A及びBは、それぞれ置換もしくは無置換の5員環又は置換もしくは無置換の6員環である。A及びBの5員環又は6員環に置換する置換基は、隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
αは、R21、R22、R23、R24及びR26のいずれかと結合し、αは、R31〜R36のいずれかと結合し、αは、A及びBの含窒素環のいずれかと結合する。但し、αと結合するR21、R22、R23、R24及びR26、並びにαと結合するR31〜R36は単結合である。)
2.HArが下記式(7)〜(11)で表される複素環基のいずれかである1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】

(式中、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、隣接する置換基同士で結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。)
3.前記第2有機層と陰極との間に、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体及び希土類金属の有機錯体からなる群から選択される1以上の物質からなる層が挟持されてなる1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体が、下記式(12)で表される化合物である1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化5】

(式中、R111〜R118は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又はシアノ基である。
Ar41〜Ar44は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。)
5.前記式(12)で表される化合物のR112及びR116の少なくとも一方が、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基又は置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基である4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体が、下記式(13)で表される化合物である1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化6】

(式中、R101〜R110は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又はシアノ基である。
Ar31〜Ar34は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。)
7.前記第1有機層と第2有機層が隣接する1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、駆動電圧が低く、長寿命な有機EL素子が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の有機EL素子は、陽極、第1有機層、第2有機層、及び陰極をこの順に備え、第1有機層が下記式(1)で示されるモノアントラセン誘導体及び下記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体を含有し、第2有機層が下記式(3)で表される複素環誘導体を含有する。
【化7】

【化8】

(式中、R〜R、R11〜R15、R17及びR18は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
Ar、Ar、Ar11、Ar12、Ar21及びAr22は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
Zは、置換もしくは無置換のクリセン残基、又は置換もしくは無置換のピレン残基である。
nは、1〜4の整数である。
は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の2価の複素環基である。
HArは、下記式(4)〜(6)で表される含窒素複素環基のいずれかである。)
【化9】

(式中、R21〜R26及びR31〜R36は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、R21〜R24及びR31〜R36は、隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
21〜X24及びX31〜X34は、それぞれ炭素原子又は窒素原子である。但し、X21〜X24及びX31〜X34が窒素原子である場合、窒素原子に結合するR24〜R26及びR33〜R36は存在しない。
A及びBは、それぞれ置換もしくは無置換の5員環又は置換もしくは無置換の6員環である。A及びBの5員環又は6員環に置換する置換基は、隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
αは、R21、R22、R23、R24及びR26のいずれかと結合し、αは、R31〜R36のいずれかと結合し、αは、A及びBの含窒素環のいずれかと結合する。但し、αと結合するR21、R22、R23、R24及びR26、並びにαと結合するR31〜R36は単結合である。)
【0011】
[第2有機層]
式(3)で表される複素環誘導体を含む第2有機層は、本発明の有機EL素子の第1有機層、と陰極間に設けられており、例えば、電子輸送層として機能できる。
式(3)で表される複素環誘導体において、R11〜R18は、好ましくはそれぞれ水素原子、フッ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、より好ましくはそれぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、最も好ましくはそれぞれ水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
【0012】
式(3)で表される複素環誘導体において、Ar11及びAr12は、好ましくはそれぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基であり、さらに好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基であり、最も好ましくはそれぞれフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基又はフルオレニル基である。
【0013】
式(3)で表される複素環誘導体において、Lは、好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素環基であり、より好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素環基であり、さらに好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素環基であり、最も好ましくはそれぞれフェニレン基である。
【0014】
第2有機層が含む式(3)で表される複素環誘導体のHArでは、電子注入部位であるC=Nの周りにアントラセン等の大きい置換基がない。このため、電子の受け取りが立体障害されにくく、第2有機層の電子注入性を良好にでき、低駆動電圧を維持することができると推測される。
【化10】

【0015】
また、HArは、陰極金属、又は陰極と電子輸送材料の界面に積層されるアルカリ金属塩又は有機金属錯体との相互作用を強める効果がある。この効果が電子注入性に影響し、相互作用が強いほど電子注入性が向上でき、有機EL素子の駆動電圧を低下させることができると考えられる。
上記相互作用を強めるため、金属との配位性が高くなる構造を導入することが効果的である。複素環の電子に対する耐久性を考慮して、HArは、イミダゾール構造を有する式(4)及び(5)で表される含窒素複素環基、並びに式(6)で表される含窒素複素環基のいずれかである。
【0016】
式(4)のR25は、好ましくは環形成炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基又は炭素数1〜10のアルキル基である。
ベンズイミダゾールの電荷は、ベンズイミダゾールの1位の置換基よりも2位の置換基に非局在化する傾向がある。従って、2位に環形成炭素数の大きなアリール置換基を置換すると電荷が非局在化しやすくなり、ベンズイミダゾールの窒素原子の電子密度が低下し、金属との相互作用がより弱まることにより電子注入性が低下するおそれがあると考えられている。そのため、ベンズイミダゾールの2位の置換基は電荷の非局在化を防ぐため、環形成炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、炭素数1〜10のアルキル基等の比較的小さな置換基とすることが好ましい。
【0017】
イミダゾール構造を有する式(4)及び(5)で表される含窒素複素環基は、より好ましくはベンズイミダゾール構造又はイミダゾピリジン構造を有する下記式(7)〜(9)で表される複素環基である。
同様に式(6)で表される含窒素複素環基は、好ましくはビピリジル構造、フェナントロリル構造、ピリジルピリミジル構造又はピリジルトリアジニル構造を有する基であり、より好ましくは下記式(10)又は(11)で表される複素環基である。
【化11】

(式中、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、隣接する置換基同士で結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。)
【0018】
上述したように、式(4)〜(11)で表される置換基において、R21〜R24、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、隣接する置換基同士で結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよく、これら置換基同士が結合して環を形成してなる式(3)で表される複素環誘導体の具体例としては、後記するET2−34〜38、ET2−41〜ET2−45及びET2−48で表される化合物が挙げられる。
【0019】
式(7)で表される複素環基において、R45は好ましくは環形成炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基又は炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。HArが式(7)で表される複素環基であって、R45がアルキル基である場合、有機EL素子の駆動電圧を低くすることができる。
【0020】
第2有機層が含有する複素環誘導体のR11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87の炭素数1〜10のアルキル基としては、エチル基、メチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
【0021】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
【0022】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87の炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基である。
【0023】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87の炭素数3〜20のアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜10のアルキルシリル基である。
【0024】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基は、シリル基に芳香族炭化水素環基が置換した基であり、例えば、トリフェニルシリル基、フェニルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリキシリルシリル基、トリナフチルシリル基等が挙げられる。好ましくは環形成炭素数8〜20のアリールシリル基であり、より好ましくは環形成炭素数8〜12のアリールシリル基である。
【0025】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87の炭素数1〜10アルコキシ基としては、−OYで表される基であり、Yの例としては、上記アルキル基と同様の例が挙げられる。好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基である。
【0026】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基は、−OArで表される基であり、Arの例としては、後述する芳香族炭化水素環基と同様である。好ましくは環形成炭素数6〜20、より好ましくは環形成炭素数6〜12のアリールオキシ基である。
【0027】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87、Ar11及びAr12の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントリル基、クリセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンズアントラニル基、ベンゾクリセニル基、フルオレニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペンタセン基、ペリレン基、ピセン基、ピレン基、ペンタフェニン基等が挙げられる。好ましくは環形成炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基、より好ましくは環形成炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基である。
尚、本発明において芳香族炭化水素環基とは、芳香族性を示す単環及び/又は複数の環(縮合環)が単結合で連結して構成される置換基であり、例えばスチリル基のような二重結合を含み、環構造のみで構成されない置換基は含まない。
【0028】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87、Ar11及びAr12の環形成原子数5〜30の複素環基としては、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、インドリニル基、キノリニル基、アクリジニル基、ピロリジニル基、ジオキサニル基、ピペリジニル基、モルフォリル基、ピペラジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基等が挙げられる。好ましくは環形成原子数5〜20、より好ましくは環形成原子数5〜12の複素環基である。
【0029】
の環形成炭素数6〜30のアリーレン基としては、上記R11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87、Ar11及びAr12の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水環基の2価の残基が挙げられる。好ましくは環形成炭素数6〜20のアリーレン基であり、より好ましくは環形成炭素数6〜12のアリーレン基である。
【0030】
の環形成原子数5〜30の2価の複素環基としては、上記R11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87、Ar11及びAr12の環形成原子数5〜30の複素環基の2価の残基が挙げられる。
【0031】
A及びBの5員環としては、窒素原子を有する環構造であり、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール等が挙げられる。
A及びBの6員環としては、窒素原子を有する環構造であり、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
【0032】
11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87、Ar11、Ar12、L及びHArの各置換基がさらに置換基を有する場合、本発明の効果を奏することができる置換基であれば特に制限はなく、当該置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、等が挙げられる。各置換基の具体例は、上述したR11〜R15、R17、R18、R21〜R26、R31〜R36、Ar11、Ar12、L及びHArの基と同様である。好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素環基、複素環基等である。
また、各基が複数の置換基を有する場合、それらが環を形成していてもよい。環を形成する場合、6員環芳香族環を形成することが好ましい。
但し、本発明の有機EL素子を蒸着により作製する場合において、寿命向上の観点から、上記置換基は、例えばスチリル基のような二重結合を含み、環構造のみで構成されない置換基は含まないほうがよい。
【0033】
尚、本発明の含窒素複素環誘導体の各置換基について、「無置換」とは、水素原子が置換したことを意味する。また、本発明の含窒素複素環誘導体の水素原子には、軽水素、重水素が含まれる。
【0034】
以下、式(3)で表される複素環誘導体の具体例を示す。
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【0035】
第2有機層は、好ましくはさらに還元性ドーパントを含有し、陰極からの電子の受け取りを容易にするため、より好ましくは第2有機層の陰極界面近傍にアルカリ金属で代表される還元性ドーパントをドープする。
還元性ドーパントとしては、ドナー性金属、ドナー性金属化合物及びドナー性金属錯体が挙げられ、これら還元性ドーパントは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
ドナー性金属とは、仕事関数3.8eV以下の金属をいい、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属であり、より好ましくはCs,Li,Na,Sr,K,Mg,Ca,Ba,Yb,Eu及びCeである。
ドナー性金属化合物とは、上記のドナー性金属を含む化合物であり、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属を含む化合物であり、より好ましくはこれらの金属のハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩である。例えば、MOx(Mはドナー性金属、xは0.5〜1.5)、MFx(xは1〜3)、M(CO)x(xは0.5〜1.5)で表される化合物である。
【0037】
また、ドナー性金属錯体とは、上記のドナー性金属の錯体であり、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属の有機金属錯体である。好ましくは下記式(I)で表される有機金属錯体である。
【化24】

(式中、Mはドナー性金属であり、Qは配位子であり、好ましくはカルボン酸誘導体、ジケトン誘導体又はキノリン誘導体であり、nは1〜4の整数である。)
【0038】
ドナー性金属錯体の具体例としては、特開2005−72012号公報に記載のタングステン水車等が挙げられる。さらに、特開平11−345687号公報に記載された中心金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属であるフタロシアニン化合物等もドナー性金属錯体として使用できる。
【0039】
本発明の有機EL素子は、好ましくは第2有機層と陰極の間にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体及び希土類金属の有機錯体からなる群から選択される1以上の物質からなる層を有する。
【0040】
上記物質は還元性ドーパントの好適材料と同じである。還元性ドーパント材料からなる層を設けることにより、第2有機層に還元性ドーパントを添加することで得られる効果と同様の効果が得られる。
【0041】
[第1有機層]
本発明の有機EL素子の第1有機層は、本発明の有機EL素子の陽極と第2有機層間に設けられており、例えば発光層として機能できる。
第1有機層が含む式(1)で表されるモノアントラセン誘導体はホスト材料であり、式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体はドーパント材料である。
式(1)で表されるモノアントラセン誘導体の第1有機層中の含有量は、例えば50%〜99.9%あり、好ましくは90%〜99%である。また、式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体の第1有機層中の含有量は、例えば0.1%〜50%であり、好ましくは1%〜10%である。
【0042】
式(1)で表されるモノアントラセン誘導体は、分子内にアントラセン環を1つ有する化合物である。
式(1)で表されるモノアントラセン誘導体において、Ar及びArは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の複素環基を示す。芳香族炭化水素環基、複素環基の具体例としては上述した通りである。好ましくはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換の1〜4個の炭化水素芳香環又は複素環から形成される基である。
【0043】
上記1〜4個の芳香族炭化水素環から形成される基は、例えばベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、フルオレン環、ベンズアントラセン環、ベンゾフェナントレン環からなる群から選択される1価の置換基、又はこれら芳香族炭化水素環からなる群から選択される2〜4個の芳香族炭化水素環が単結合で連結してなる1価の置換基である。1〜4個の芳香族炭化水素環は好ましくはベンゼン環である。
1〜4個の芳香族炭化水素環から形成される基は、例えばベンゼン、ナフタレン、ベンゼン及びナフタレンの組み合わせから形成される。具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−ナフチルフェニル基、2−ナフチルフェニル基、9−フェナントリル基、9−フェナントリルフェニル基等である。
上記1〜4個の複素環から形成される基は、例えばベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基等である。
1〜4個の芳香族炭化水素環又は複素環から形成される基の置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、シリル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたシリル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0044】
Ar及びArは、好ましくはAr及びAr共にそれぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜30の縮合芳香族炭化水素環基である。
ここで、縮合芳香族炭化水素環基とは、芳香族性を示す複数の環(縮合環)のみから構成される置換基である。好ましくはナフタレン、フェナントレン、フルオレン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレンである。
【0045】
別の好ましい形態として、式(1)において、好ましくはArが置換もしくは無置換のフェニル基であり、Arが置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜30の縮合芳香族炭化水素環基である、又はAr及びArがいずれも置換もしくは無置換のフェニル基である。Arは、置換フェニル基であることが好ましい。Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜20の縮合芳香族炭化水素環基であり、より好ましくは置換もしくは無置換のナフタレン、フェナントレン、フルオレン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレンである。
【0046】
Ar及びArに置換してもよい置換基は、好ましくは環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は環形成原子数5〜30の複素環基であり、より好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−ナフチルフェニル基、2−ナフチルフェニル基、9−フェナントリル基、9−フェナントリルフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基である。
【0047】
また、別の好ましい形態として、式(1)のアントラセン誘導体において、Ar及びArは、共に置換もしくは無置換のフェニル基である。フェニル基の置換基としては、環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、環形成原子数5〜30の複素環基、炭素数1〜4のアルキル基、シリル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたシリル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられ、中でも環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、環形成原子数5〜30の複素環基が好ましく、より好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−ナフチルフェニル基、2−ナフチルフェニル基、9−フェナントリル基、9−フェナントリルフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基である。
【0048】
〜Rは、好ましくは、それぞれ水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基であり、より好ましくはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0049】
式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体は、好ましくは下記式(12)で表される化合物又は下記式(13)で表される化合物である。
【化25】

(式中、R111〜R118は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又はシアノ基である。
Ar41〜Ar44は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。)
【化26】

(式中、R101〜R110は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又はシアノ基である。
Ar31〜Ar34は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。)
【0050】
式(12)及び(13)において、環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基は、好ましくはフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基等であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基である。
【0051】
式(12)及び(13)において、環形成原子数5〜30の複素環基は、好ましくはピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基等が挙げられ、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基である。これらの芳香族炭化水素環基、複素環基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基として、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基である。これらの具体例は上述した通りである。
【0052】
式(12)において、好ましい形態の1つとして、Ar41及びAr44が、それぞれ置換基を有するフェニル基であり、当該置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、芳香族炭化水素環基、アルキルシリル基、シアノ基が好ましい。
【0053】
式(12)において、好ましい形態の2つ目として、式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体が式(12)で表される化合物である場合、好ましくは式(12)で表される化合物のR112及びR116の少なくとも一方が、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基又は置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、より好ましくは、R112、R116の少なくとも一方が置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基である。
【0054】
好ましい形態の3つ目として、上記式(12)で表される化合物は、好ましくは下記式(12−1)で表される化合物である。
【化27】

(式中、R111〜R118、Ar42及びAr44は式(12)と同様である。
221〜R227、R231〜R237は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基を示す。R221〜R227、R231〜R237は隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
、Xはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。)
【0055】
上記式(12−1)において、好ましくはR111〜R118は水素原子である。又は、好ましくは、R112が置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基であり、R111、R113〜R118が水素原子である。又は、好ましくは、R112、R116が置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基であり、R111、R113、R114、R115、R117、R118が水素原子である。R112、R116の置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
【0056】
上記式(12−1)において、X、X、Xは好ましくは酸素原子である。
上記式(12−1)において、好ましくはR111〜R118は水素原子である。
【0057】
式(12)において、好ましい形態の4つ目として、上記式(12)で表される化合物は、好ましくは下記式(12−2)で表される化合物である。
【化28】

(式中、R111〜R118、Ar42及びAr44は、式(12)と同じである。
311〜R320は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基又は電子吸引性基を示す。
311〜R315の少なくとも1つが電子吸引性基で、且つR316〜R320の少なくとも1つが電子吸引性基である。)
【0058】
上記電子吸引性基としては、例えばシアノ基、フッ素原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルキル置換アルキル基、ニトロ基、カルボニル基等が挙げられる。このなかで、好ましくはシアノ基、フッ素原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルキル置換アルキル基であり、特に好ましくはシアノ基である。
【0059】
式(12−2)において、R311〜R315のいずれか1つがシアノ基であり、他が水素原子であり、かつ、R316〜R320のいずれか1つがシアノ基であり、他が水素原子であることが好ましい。
【0060】
さらに式(12−2)において、R111、R113、R114、R115、R117及びR118が水素原子であることが好ましい。R112及びR116はピレン環の活性部位であるため、これらに置換基を導入することにより、活性部位を保護できる。その結果、化合物の安定性が向上する。
特に、R112及びR116が、それぞれ、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシリル基であることが好ましい。これらの基の場合、特に、発光寿命が向上する。
【0061】
式(13)において、R101〜R110は、水素原子が好ましい。また、Ar31〜Ar34は、アルキル基又はシクロアルキル基で置換されていることが好ましい。
【0062】
式(1)で表されるモノアントラセン誘導体のAr、Ar及びR〜R並びに式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体のAr21、Ar22、Ar31〜Ar34、Ar41〜Ar44、R101〜R110及びR111〜R118の各基及び、置換してもよい置換基は、式(3)で表される複素環誘導体の置換基と同様である。
【0063】
以下、式(1)で表されるモノアントラセン誘導体の具体例を示す。
【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【0064】
以下、式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体の具体例を示す。
【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【0065】
[その他の層]
本発明の有機EL素子の層構成は、陽極、第1有機層、第2有機層、及び陰極がこの順に積層していれば特に限定されず、その他の複数の有機層をさらに有してもよい。
本発明の有機EL素子の素子構成は、例えば下記の第1〜3の実施形態が挙げられる。
【0066】
<第1の実施形態>
本発明の有機EL素子は、例えば発光層を少なくとも1つ有する素子構成を有する。具体的な構成例を以下に示す。
(1)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
これらの中で通常(3)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0067】
<第2の実施形態>
本発明の有機EL素子は、例えば発光層(発光層を含むユニット)を少なくとも2つ有するタンデム素子構成を有する。
2つの発光層の間に電荷発生層(CGLとも呼ぶ)を介在させ、ユニット毎に電子輸送帯域を設けることができる。例えば2つの発光層のうち少なくとも1つの発光層が蛍光発光層であり、当該発光層を含むユニットにおいて電子輸送帯域が第1有機層に対応し、蛍光発光層が第2有機層に対応する。
【0068】
タンデム素子構成の具体的な構成の例を以下に示す。尚、発光層は、複数の発光層の積層体であってもよい。
陽極/蛍光発光層/電荷発生層/蛍光発光層/電子注入・輸送層/陰極
陽極/蛍光発光層/電子注入・輸送層/電荷発生層/蛍光発光層/陰極
陽極/蛍光発光層/電子注入・輸送層/電荷発生層/蛍光発光層/障壁層/陰極
陽極/りん光発光層/電荷発生層/蛍光発光層/電子注入・輸送層/陰極
陽極/蛍光発光層/電子注入・輸送層/電荷発生層/りん光発光層/陰極
【0069】
<第3の実施形態>
本発明の有機EL素子は、陽極と、複数の発光層と、電子注入・輸送層と、陰極をこの順に備え、複数の発光層のいずれか2つの発光層の間に電荷障壁層を有し、電荷障壁層に接する発光層が蛍光発光層であり、蛍光発光層が第1有機層に対応し、電子注入・輸送層が第2有機層に対応する。
【0070】
第3の実施形態にかかる好適な有機EL素子の構成として、特許第4134280号公報、米国公開特許公報US2007/0273270A1、国際公開公報WO2008/023623A1に記載されているような、陽極、第1発光層、電荷障壁層、第2発光層及び陰極がこの順に積層された構成において、第2発光層と陰極の間に三重項励起子の拡散を防止するための障壁層を有する電子輸送帯域を有する構成が挙げられる。ここで電荷障壁層とは隣接する発光層との間でHOMOレベル、LUMOレベルのエネルギー障壁を設けることにより、発光層へのキャリア注入を調整し、発光層の注入される電子と正孔のキャリアバランスを調整する目的を有する層である。
【0071】
このような構成の具体的な例を以下に示す。
陽極/第1発光層/電荷障壁層/第2発光層/電子注入・輸送層/陰極
陽極/第1発光層/電荷障壁層/第2発光層/第3発光層/電子注入・輸送層/陰極
尚、陽極と第1発光層の間には、他の実施形態と同様に正孔輸送帯域を設けることが好ましい。
【0072】
本発明の有機EL素子は、好ましくは第1有機層と第2有機層が接している。
【0073】
本発明の有機EL素子の基板、陽極、陰極、正孔注入層、正孔輸送層等のその他の部材は、WO2009/107596A1、WO2009/081857A1、US2009/0243473A1、US2008/0014464A1、US2009/0021160A1等に記載の公知のものを適宜選択して用いることができる。
【実施例】
【0074】
実施例1
有機EL素子に使用した材料は以下の通りである。
【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【0075】
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして膜厚50nmの化合物A−1を成膜した。A−1膜は正孔注入層として機能する。A−1膜の成膜に続けて、化合物A−2を蒸着してA−1膜上に膜厚45nmのA−2膜を成膜した。A−2膜は正孔輸送層として機能する。
A−2膜上に化合物EM2(ホスト材料)及び化合物DM2−34(ドーパント材料)を20:1の膜厚比で蒸着し、膜厚25nmの青色系発光層(第1有機層)を成膜した。さらに電子輸送材料であるET2−5を蒸着して、発光層上に膜厚25nmの電子輸送層(第2有機層)を形成した。この後、LiFを膜厚1nmで成膜した。このLiF膜上に金属Alを150nm蒸着させ金属陰極を形成し有機EL発光素子を形成した。
【0076】
作製した有機EL素子について、電流密度10mA/cmにおける駆動時の素子性能(駆動電圧及び発光波長)、及び初期輝度1000cd/cmでの半減寿命を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
実施例2〜33及び比較例1〜5
発光層(第1有機層)のホスト材料及びドーパント材料、並びに電子輸送層(第2有機層)の電子輸送材料を表1及び2に示す化合物を用いた他は実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1及び2に示す。
【0078】
【表1】

【表2】

【0079】
素子の作製に用いた化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)、エネルギーギャップ(Eg)及びエレクトロンアフィニティ(Ea)を以下に示す。
尚、これら化合物のエネルギーレベルは、Ipについては、薄膜状態のサンプルを、理研計器AC−3を用いて測定した。Egは、化合物のトルエン溶液中における吸収スペクトル端から算出した。EaはIp−Egとして算出した。
【表3】

【0080】
式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体であって、ドーパント材料であるアミノクリセン誘導体又はアミノピレン誘導体は、イオン化ポテンシャルが式(1)で表されるモノアントラセン誘導体であるホスト材料よりも小さいため、正孔をトラップする性質を持つ。このため、これらのドーパントを用いた有機EL素子では、正孔が発光層における正孔輸送層との界面付近に留まる傾向がある。
【0081】
従来用いられていた電子輸送材料であるEC−2は、ホスト材料との間でAfの差が小さいため、電子が発光層にスムーズに注入される。また、発光層内の電子トラップが少ないため、電子が容易に発光層と正孔輸送層の界面に到達することができる。正孔輸送材料とホスト材料との間にAf差があるため、電子が正孔輸送層/発光層界面でブロックされるが、一部の電子は正孔輸送層に侵入し、正孔輸送材料を劣化させることにより寿命が短くなると考えられる。
【0082】
本発明の式(1)で表されるモノアントラセン誘導体である2置換モノアントラセン系ホスト材料と、式(3)で表される複素環誘導体である3置換アントラセン系電子輸送材料との間にはAfレベルに0.1eV程度の差があり、これにより、発光層/電子輸送層界面に電子が一部蓄積する。この蓄積電荷が正孔輸送層/発光層界面に蓄積される正孔を発光層内部に引き込む効果があり、このことにより正孔輸送材料の劣化が抑制される。
発光層と電子輸送層との間にAf差を設けることは一般的に駆動電圧の上昇に繋がるが、本発明に示す電子輸送材料のように特殊な複素環置換基を導入することにより、駆動電圧を上昇させることなく、低電圧を維持しながら長寿命化効果を実現できることが分かる。
【0083】
このように、適切なドーパントを用いたホスト材料のAfと適切な部分構造を持つ電子輸送材料のAfとの関係が重要であり、特にホスト材料のAfは3.0eVよりも大きくならない方が好ましい。H−C1のようにスチリル基を有するアントラセン誘導体や、ビスアントラセン誘導体では、Afが3.1eV程度となるため、発光層/電子輸送層との間のAf差がなくなるため長寿命化しない。また比較例2の素子では、Af差が生じるが、上述したように、駆動電圧が低下しないため好ましくない。
【0084】
実施例の結果から、ホスト材料として、2置換のモノアントラセン誘導体、ドーパント材料としてアミノクリセン誘導体又はアミノピレン誘導体、電子輸送材料として特殊な複素環置換の3置換アントラセン誘導体の組合せを用いることによって初めて、低電圧かつ長寿命を実現することが可能になると推測される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の有機EL素子は、低消費電力化及び長寿命化が望まれる大型テレビ向け表示パネルや照明パネル等に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、第1有機層、第2有機層、及び陰極をこの順に備え、
前記第1有機層が下記式(1)で示されるモノアントラセン誘導体及び下記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体を含有し、
前記第2有機層が下記式(3)で表される複素環誘導体を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化79】

【化80】

(式中、R〜R、R11〜R15、R17及びR18は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
Ar、Ar、Ar11、Ar12、Ar21及びAr22は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。
Zは、置換もしくは無置換のクリセン残基、又は置換もしくは無置換のピレン残基である。
nは、1〜4の整数である。
は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の2価の複素環基である。
HArは、下記式(4)〜(6)で表される含窒素複素環基のいずれかである。)
【化81】

(式中、R21〜R26及びR31〜R36は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、R21〜R24及びR31〜R36は、隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
21〜X24及びX31〜X34は、それぞれ炭素原子又は窒素原子である。但し、X21〜X24及びX31〜X34が窒素原子である場合、窒素原子に結合するR21〜R24及びR33〜R36は存在しない。
A及びBは、それぞれ置換もしくは無置換の5員環又は置換もしくは無置換の6員環である。A及びBの5員環又は6員環に置換する置換基は、隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
αは、R21、R22、R23、R24及びR26のいずれかと結合し、αは、R31〜R36のいずれかと結合し、αは、A及びBの含窒素環のいずれかと結合する。但し、αと結合するR21、R22、R23、R24及びR26、並びにαと結合するR31〜R36は単結合である。)
【請求項2】
HArが下記式(7)〜(11)で表される複素環基のいずれかである請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化82】

(式中、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であり、R41〜R45、R51〜R55、R62〜R66、R71〜R77及びR81〜R87は、隣接する置換基同士で結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。)
【請求項3】
前記第2有機層と陰極との間に、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体及び希土類金属の有機錯体からなる群から選択される1以上の物質からなる層が挟持されてなる請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体が、下記式(12)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化83】

(式中、R111〜R118は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又はシアノ基である。
Ar41〜Ar44は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。)
【請求項5】
前記式(12)で表される化合物のR112及びR116の少なくとも一方が、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基又は置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基である請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記式(2)で表される縮合芳香族アミン誘導体が、下記式(13)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化84】

(式中、R101〜R110は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又はシアノ基である。
Ar31〜Ar34は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。)
【請求項7】
前記第1有機層と第2有機層が隣接する請求項1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2011−222831(P2011−222831A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91644(P2010−91644)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】