説明

有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造

【課題】効果的に外界の水気や空気をシャットアウトすることで品質の向上を果たす有機EL装置の封止構造を提供する。
【解決手段】封止樹脂を用い、封止キャップの周辺位置の封止エリアを直接カラーフィルタの基板の表面に設置し、封止キャップで一つ以上の有機EL素子を被覆し、封止のプロセスで前記封止キャップの封止エリアと基板との間にはオーバーコートが存在しなように、このため、カラーフィルタのオーバーコートが外界と直接接触するのを防止して、外界からの水気や空気をシャットアウトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造に係り、特にカラーフィルタのオーバーコートの設置エリアを変えることにより、外界からの水気や空気が該有機EL装置に進入するルートを少なくする有機EL装置の封止構造に関わる。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置は、照度が高く視覚が広い、また電気消耗量が少なくレスポンスも速い、更には、パネルが薄くて軽量であり、構造と製造も簡単等利点が多く、各国で注目されている。
公知における有機EL相違200は、図1,2に示すように、カラーフィルタ10の一部の上側表面に一つ以上の有機EL素子21が設けられ、光の濾過とカラーディスプレイの目的を達成する。封止キャップ23を該カラーフィルタ10の上側表面に設置するが、該封止キャップ23には上板233を含み、該封止キャップ23の周辺位置には封止エリア(枠)231を設け、封止樹脂25により該封止エリア231が直接該カラーフィルタ10の一部の上側表面に設けられ、該有機EL素子21が該封止キャップ23の内部に被覆され、該有機EL素子21を保護し、外界の水気や空気からシャットアウトする作用効果を有している。
一般のカラーフィルタ10の構造は、主に該基板11の一部の上表面に一つ以上のカラー濾光層13が設けられ、後続の製造プロセスが容易になるようにしており、例えば、該カラーフィルタ10の上側表面に有機EL素子21を設け、該カラー濾光層13及び基板11の上へオーバーコート15及びバリヤ層17を設けることにより、該カラーフィルタ10は平坦化される。
【特許文献1】特開2001−126862号公報
【特許文献2】特開平11−185955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の構造では該有機EL装置の封止のプロセスにおいて、該封止キャリアはカラーフィルタのオーバーコート或いはバリア層の上側表面に設置されるが、これらオーバーコートとバリア層は、外界と直接接触した状態であり、水気や空気を効果的にシャットアウトできず、このため、有機エレクトロルミネッセンス装置の内部に水気や空気が進入するルートが形成されて、有機エレクトロルミネッセンス装置の使用寿命に悪影響を与えている。
そこで、本発明は上述の欠点に鑑み、有機エレクトロルミネッセンス装置において、カラーフィルタのオーバーコートやバリア層を外界と直接接触させないように効果的に外界の水気や空気をシャットアウトすることで品質の向上を果たすべく、本発明の有機EL装置の封止構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決すべく、本発明は、基板の一部の上側表面に一つ以上のカラー濾光層を設け且つオーバーコートで該カラー濾光層及び一部の基板上方を被覆するカラーフィルタと、有機EL素子を被覆するべく該カラーフィルタ上方に封止キャップとを設け、該封止キャップを該基板表面に直接設置し、該カラーフィルタの該オーバーコートが外界と直接接触するのを防止することで、外界の水気や空気をシャットアウトし、更に封止キャップをバリア層の一部の上側表面に設置し、該封止キャップ、封止樹脂、基板のみが直接外界と接触する構造とすることで、シャットアウトをより確実にするものである。
【0005】
すなわち、請求項1の発明は、カラーフィルタを含む有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造において、前記カラーフィルタは基板の一部の上側表面に一つ以上のカラー濾光層を設け、オーバーコートで該カラーフィルタ及び一部の基板の上方を被覆し、また該カラーフィルタの一部の上側表面には一つ以上の有機エレクトロルミネッセンス素子を設け、更に該カラーフィルタ上方には封止キャップを設け、該有機エレクトロルミネッセンス素子を被覆し、前記封止キャップの周辺位置には封止エリアを設け、該封止エリアは該カラーフィルタの基板の一部の上側表面上に直接設置されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造である。
請求項2の発明は、前記封止キャップの封止エリアは、封止樹脂を用い直接該カラーフィルタの前記基板の一部の上側表面に設けられることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造である。 請求項3の発明は、前記オーバーコートは前記有機エレクトロルミネッセンス素子との間にバリア層を増設することを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造である。
請求項4の発明は、前記オーバーコートの設置の幅は前記封止キャップの設置の幅より狭く、該オーバーコートの設置の長さは該封止キャップの設置の長さよりも短いことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造において、カラーフィルタのオーバーコートの設置エリアを変えることで、外界の水気や空気が有機EL装置に入り込む可能性のあるルートを効果的に減らすことに成功し、有機EL素子の保護、並びに品質向上等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好適な有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造の実施例を図面を参照して説明する。
図3,4に示すように、本発明の実施例は有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)装置400にカラーフィルタ30を含み、該カラーフィルタ30の上方には一つ以上の有機EL素子41が設けられ、封止樹脂45の使用により封止キャップ43が該カラーフィルタ30の一部の上側表面を被覆する。該封止キャップ43には上板433を含み、該封止キャップ43の周囲のある一定の位置には封止エリア(枠)431が設けられる。該カラーフィルタ30は主に基板31の一部の上側表面に一つ以上のカラー濾光層33が設けられ、該カラー濾光層33の上方にはオーバーコート35が被覆され、これにより該カラー濾光層33を平坦化する。
【0008】
前記オーバーコート35を設置する際には、該封止キャップ43の外形に応じ、カラー濾光層33の側部までも覆い、カラー濾光層33を完全に被覆した特殊な形状のオーバーコート35を形成し、該オーバーコート35の封止エリア431と該基板31との間にはオーバーコート35が存在しないようにする。こうすることで、該封止キャップ43の周辺位置の矩形の枠体からなる封止エリア431は直接該カラーフィルタ30の基板31の一部の上側表面に設けられ、該封止エリア(枠)431内部には有機EL素子41を被覆し、該有機EL素子41を保護し、外部からの水気や空気からシャットアウトする目的を達成する。
【0009】
前記封止キャップ43は、直接該カラーフィルタ30の基板31表面上に設置され、該封止キャップ43の封止エリア(枠)431と基板31との間にはオーバーコート35が存在しない。つまり、該オーバーコート35は該封止キャップ43内部で被覆され、該オーバーコート35自体が封止キャップ43の外周である外界と接触せず、外界の水気や空気が該有機EL装置400に進入するのを防止する可能性があるルートを少なくする。
該有機EL装置400の封止キャップ43(上蓋433及び封止エリア(枠)431)並びに基板31は、構造が緊密な二酸化シリコン等の材質によるものとし、該封止キャップ43と基板31は該オーバーコート35と保護層(バリア)37よりも水気や空気をシャットアウトする効果に優れている。
【0010】
前記封止キャップ43の封止エリア431は直接該基板31の一部の上側表面に設けられ、該有機EL装置400内部では水気や空気のルートは該基板31、封止樹脂45、或いは封止キャップ43のみとなり、水気や空気が該有機EL装置400に進入する可能性が非常に低くなる。該基板31と封止キャップ43において、水気や空気をシャットアウトする材質を用いた場合、水気や空気が入り込む可能性のある構造は封止樹脂45からのみとなり、該有機EL装置400の封止プロセス進行と同時に、該封止樹脂45の構造が完全であるかどうかさえ確実にすれば、該有機EL装置400の封止構造の完全さが確認できるようになる。こうして公知とは異なり、水気や空気を効果的にシャットアウトし、封止効果を高める。
【0011】
第一実施例において、該封止キャップ43は設置の長さがL1、幅がW1の四角形とし、また該オーバーコート35は設置の長さがL2、幅がW2の四角形とする。該オーバーコート35の設置の長さL2は該封止キャップ43の設置の長さL1より短く、また、該オーバーコート35の設置の幅W2は該封止キャップ43の設置の幅W1より短い。
つまり、該オーバーコート35の設置面積は、該封止キャップ43の設置面積よりも小さく、該オーバーコート35が該封止キャップ43内に被覆されるようにする。
【0012】
図5に示すように、本発明の第二実施例における有機EL装置401は、上述と異なる点として、カラーフィルタ30のオーバーコート35表面上に更にバリヤ(保護)層37を設け、該封止キャップ43の封止エリア(枠)431は該封止樹脂45により直接該バリヤ層37の表面上に貼設される。
つまり、該封止キャップ43の封止エリア(枠)431と該基板31との間にバリヤ層37が設けられるのであり、且つ、該バリヤ層37は二酸化シリコン等の水気及び空気をシャットアウトする材質によるものとし、第一実施例と同様に、封止キャップ43の外形に応じ、カラー濾光層33の側部までも覆い、カラー濾光層33を完全に被覆した特殊な形状のオーバーコート35を形成し、該オーバーコート35の封止エリア431と該基板31との間にはオーバーコート35が存在しないようにし、上述同様の水気と空気シャットアウトの効果を提供する。また該封止キャップ43の上板433下側表面に吸湿剤47を増設してもよく、こうすることで該有機EL装置401内部の水気を吸収させる効果も有する。
【0013】
図6に示すように、本発明の第三実施例における有機EL装置600は、主にカラーフィルタ50上方に有機EL素子41を設ける。該カラーフィルタ50のオーバーコート55はカラー濾光層53の側部までも覆い、カラー濾光層53を完全に被覆し、該オーバーコート55及びバリア層57は封止キャップ63の封止エリア(枠)631の一部の下側表面にまで延伸し、該オーバーコート55及び該バリア層57は皆該封止エリア(枠)631の垂直延伸する位置にまで延伸し、該オーバーコート55を該バリア(保護)層57で完全に被覆し、該オーバーコート55がバリア層57により外に露出しないようにする。
【0014】
以上のように、本発明の各実施例は、基板の一部の上側表面に一つ以上のカラー濾光層を設け且つオーバーコートで該カラー濾光層及び一部の基板上方を被覆するカラーフィルタと、有機EL素子を被覆するべく該カラーフィルタ上方に封止キャップとを設ける有機エレクトロルミネッセンス装置において、カラーフィルタのオーバーコートが外界と直接接触するのを防止することで、外界の水気や空気をシャットアウトし、有機EL装置内部に水気や空気が進入するルートの形成を阻止し、使用寿命に悪影響を与える要因を排除し、品質を向上させることができる有機EL装置の封止構造となる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記各実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】公知における有機EL装置の封止構造を示す俯瞰図である。
【図2】公知における有機EL装置の封止構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第一実施例を示す平面説明図である。
【図4】図3における断面図である。
【図5】本発明の第二実施例の断面図である。
【図6】本発明の第三実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0016】
10 カラーフィルタ
11 基板
13 カラー濾光層
15 オーバーコート
17 バリヤ層
200 有機EL装置
21 有機EL素子
23 封止キャップ
231 封止エリア(封止枠体)
233 底板
25 封止樹脂
30 カラーフィルタ
31 基板
33 カラー濾光層
35 オーバーコート
37 保護層(バリア層)
400 有機EL装置
401 有機EL装置
41 有機EL素子
43 封止キャップ
431 封止エリア(封止枠体)
433 上板
45 封止樹脂
47 吸湿剤
50 カラーフィルタ
51 基板
53 カラー濾光層
55 オーバーコート
57 保護層(バリア層)
600 有機EL装置
63 封止キャップ
631 封止エリア(封止枠体)
633 上板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタを含む有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造において、
前記カラーフィルタは基板の一部の上側表面に一つ以上のカラー濾光層を設け、オーバーコートで該カラーフィルタ及び一部の基板の上方を被覆し、また該カラーフィルタの一部の上側表面には一つ以上の有機エレクトロルミネッセンス素子を設け、更に該カラーフィルタ上方には封止キャップを設け、該有機エレクトロルミネッセンス素子を被覆し、
前記封止キャップの周辺位置には封止エリアを設け、該封止エリアは該カラーフィルタの基板の一部の上側表面上に直接設置されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造。
【請求項2】
前記封止キャップの封止エリアは、封止樹脂を用い直接該カラーフィルタの前記基板の一部の上側表面に設けられることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造。
【請求項3】
前記オーバーコートは前記有機エレクトロルミネッセンス素子との間にバリア層を増設することを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造。
【請求項4】
前記オーバーコートの設置の幅は前記封止キャップの設置の幅より狭く、該オーバーコートの設置の長さは該封止キャップの設置の長さよりも短いことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の封止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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