説明

有機エレクトロルミネッセンス装置

【課題】素子基板側の構造を改良して、有機EL素子で発生した熱を効率よく逃がすことのできる有機EL装置を提供すること。
【解決手段】有機EL装置1の素子基板10では、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成され、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出している。また、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、有機機能層20で発生した熱を封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁で囲まれた領域内に有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」という)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、図10(a)、(b)に全体の断面および画素領域の断面を示すように、素子基板10上で隔壁5で囲まれた画素領域100内に、画素電極11(陽極層)と、正孔注入輸送層21および発光層22を備えた有機機能層20と、陰極層12とが順に積層された有機EL素子2を備えた構造を有している。有機機能層20は、例えば、有機蛍光材料等を溶剤(分散媒も含む)に溶解、分散させた液状組成物を素子基板10上にインクジェット法により吐出した後、固化させることにより形成され、隔壁5は、液状組成物を吐出する際、所定領域から液状組成物がはみ出ることを阻止するバンクとして機能する。また、素子基板10において有機EL素子2が形成された側の面には封止基板9が対向配置され、封止基板9と素子基板10とは、その全面あるいは外周側に塗布された封止樹脂90により貼り合わされる。
【0003】
このように構成した有機EL装置においては、有機EL素子2を駆動すると発熱するため、有機EL装置の信頼性を向上するには、有機EL素子2で発生した熱を効率よく逃がす必要がある。そこで、熱伝導性の高い封止部材を用いた構造や、封止基板を2層とした構造が提案されている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2004−119277号公報
【特許文献2】特開2005−317346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有機EL装置においては封止部材の熱伝導性を高めても、有機EL素子2から封止材料に向かう途中での熱伝導が低いため、有機EL素子2で発生した熱を効率よく逃がすことができないという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、素子基板側の構造を改良して、有機EL素子で発生した熱を効率よく逃がすことのできる有機EL装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、隔壁で囲まれた画素領域内に第1の電極層、少なくとも発光層を備えた有機機能層、および第2の電極層が順に積層された有機EL素子が形成された素子基板を備えた有機EL装置において、前記画素領域内における前記第2の電極層の下層側には、前記有機機能層上の一部に前記隔壁より熱伝導性の高い放熱層が積層されていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、有機機能層で発生した熱は、まず、第2の電極層を介して放熱される。但し、第2の電極層において有機機能層と接している部分は隔壁の内側にあって、よほど厚さが厚くない限り、隔壁より低い位置にある。従って、第2の電極層において有機機能層と接している部分だけからの放熱だけでは、有機EL素子の温度上昇を十分に抑えることができない。しかるに本発明では、画素領域内における第2の電極層の下層側には、有機機能層上の一部に、隔壁より熱伝導性の高い放熱層が直接、積層されており、放熱層は、有機EL素子のうち、最も発熱する有機機能層に接している状態で、第2の電極層において有機機能層と接している部分より上方に位置する。従って、有機機能層で発生した熱は、放熱層を介して効率よく放熱される。それ故、有機EL素子の温度上昇を低く抑えることができるので、有機EL装置の信頼性を向上することができる。
【0008】
本発明において、前記放熱層は、前記画素領域内における端部に形成されていることが好ましい。画素領域では、その中央領域が有効発光領域として利用されることが多いことから、かかる有効発光領域を避けた領域に放熱層を配置すれば、有機EL素子からの出射光量を低下させずに放熱層を設けることができる。
【0009】
本発明において、前記放熱層は、タルク、雲母、セリサイト等の粘土鉱物や、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラックなどのフィラーが配合された樹脂、あるいはシリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機絶縁材料などから構成されている。樹脂にフィラーを配合すれば、樹脂の熱伝導性を高めることができ、かつ、樹脂であれば、放熱層を厚く形成するのに適している。また、無機絶縁材料であれば、樹脂に比較して熱伝導性の高い放熱層を構成することができる。
【0010】
本発明において、前記第2の電極層は、一部が前記放熱層の上端面に重なっていることが好ましい。このように構成すると、第2の電極層のうち、前記放熱層の上端面に重なっている部分は、有機機能層に直接、重なっている部分より高い位置にあるので、放熱性が高い。それ故、有機EL素子の温度上昇を低く抑えることができるので、有機EL装置の信頼性を向上することができる。
【0011】
本発明において、前記放熱層は、前記隔壁の上端面より上方に突出していることが好ましい。このように構成すると、放熱層からの放熱性が向上するので、有機EL素子の温度上昇を低く抑えることができ、有機EL装置の信頼性を向上することができる。
【0012】
本発明において、前記素子基板において前記有機EL素子が形成されている側の面には封止基板が対向配置され、前記封止基板は、封止樹脂により前記素子基板と貼り合わされている構成を採用することができる。このように構成すると、有機機能層で発生した熱を、放熱層および第2の電極層を介して封止基板に逃がすことができるので、有機EL素子の温度上昇を低く抑えることができ、有機EL装置の信頼性を向上することができる。
【0013】
この場合、前記封止樹脂は、前記画素領域と重なる領域にも配置されていることが好ましい。画素領域と封止基板との間に封止樹脂が介在する場合には、窒素ガスなどの不活性ガスのみが介在する場合と比較して、有機機能層で発生した熱を、放熱層および第2の電極層を介して封止基板に効率よく逃がすことができる。
【0014】
本発明では、前記封止樹脂において、前記画素領域のうち、少なくとも前記放熱層が形成されている部分に配置された樹脂部分はフィラーを含んでいることが好ましい。このように構成すると、有機機能層で発生した熱を、放熱層、第2の電極層、フィラーを含む樹脂部分を介して封止基板に効率よく逃がすことができる。
【0015】
本発明に係る有機EL装置を、封止基板側から光を出射するトップエミッション型として構成する場合、前記封止基板が透光性であって、前記封止樹脂において、前記画素領域のうち、少なくとも前記放熱層が形成されていない領域に配置された樹脂部分については透光性の樹脂材料を用いる。
【0016】
本発明において、前記素子基板において前記有機EL素子が形成されている側の面が封止基板と貼り合わされている場合、前記素子基板において前記放熱層が形成されている部分は、前記封止基板に接していることが好ましい。このように構成すると、有機機能層で発生した熱を、放熱層および第2の電極層を介して封止基板に熱伝導により効率よく逃がすことができる。
【0017】
この場合、前記封止基板において、前記放熱層が形成されている部分と重なる部分に凹部が形成され、前記素子基板において前記放熱層が形成されている部分の上端部分は、前記凹部内に位置していることが好ましい。このように構成すると、放熱層が形成されている部分と封止基板との接触面積が広くなるので、有機機能層で発生した熱を、放熱層および第2の電極層を介して封止基板に熱伝導により効率よく逃がすことができる。
【0018】
本発明において、前記有機機能層は、前記画素領域に配置された液状組成物を固化させることにより形成することができる。すなわち、本発明を適用した有機EL装置の製造方法では、少なくとも前記画素電極および前記隔壁を形成した後、前記有機機能層および前記陰極を形成する前に、前記隔壁で囲まれた画素領域に液状組成物を配置した後、固化させる工程を行って前記有機機能層を形成することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る有機EL装置は、複写機などの画像形成装置のラインヘッドや、表示装置などといった電子機器に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材に縮尺は実際のものとは異なるように表している。
【0021】
[実施の形態1]
(電気的構成)
図1は、本発明が適用される有機EL装置の一例としてのアクティブマトリクス型の有機EL表示装置の電気的構成を示すブロック図である。図1に示す有機EL装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101および信号線102の各交点付近に、後述する画素領域100が設けられている。信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオラインおよびアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続され、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。画素領域100の各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量130と、保持容量130によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極11(陽極層/第1の電極層)と、この画素電極11と陰極層12(第2の電極層)との間に挟まれた有機機能層20とが設けられている。ここで、画素電極11、有機機能層20および陰極層12は、有機EL素子2を構成している。
【0022】
かかる構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量130に保持され、該保持容量130に状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極11に電流が流れ、さらに有機機能層20を介して陰極層12に電流が流れる。その結果、有機EL素子2は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0023】
(全体構造)
図2は、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置1の全体構成を示す縦断面図である。図2に示すように、本形態の有機EL装置1は、素子基板10上で隔壁で囲まれた画素領域100内に、画素電極11(陽極層/第1の電極層)と、正孔注入輸送層21および発光層22を備えた有機機能層20と、陰極層12(第2の電極層)とが順に積層された有機EL素子2を備えている。ここで、有機機能層20は、後述するように、有機蛍光材料等を溶剤(分散媒も含む)に溶解、分散させた液状組成物を素子基板10上にインクジェット法により吐出した後、固化させることにより形成され、隔壁5は、液状組成物を吐出する際、所定領域から液状組成物がはみ出ることを阻止するバンクとして機能する。また、素子基板10において有機EL素子2が形成された側の面には封止基板9が対向配置され、封止基板9と素子基板10とは、その全面塗布されたエポキシ樹脂などの封止樹脂90により貼り合わされている。
【0024】
(各画素領域の構成)
図3(a)、(b)、(c)は各々、本形態の実施の形態1に係る有機EL装置の画素領域1つ分の平面図、図3(a)のA1−A1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図、および図3(a)のB1−B1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図である。有機EL装置の回路部等の構造は周知であるため、その詳細説明は省略する。図3(a)、(b)、(c)に示すように、本形態の有機EL装置1の断面構造は概ね、素子基板10の表面側に、図1を参照して説明した配線や薄膜トランジスタが層間絶縁膜を介して形成された回路部3が形成されている。また、最上層の層間絶縁膜30上には、ITO等からなる透明な画素電極11が所定形状にパターニング形成され、画素電極11は、薄膜トランジスタ123に電気的に接続されている。
【0025】
画素電極11が形成されている領域は、画素領域100になっており、本形態では、長方形の平面形状を備えている。画素領域100において、画素電極11の上層には、シリコン酸化膜などからなる絶縁層6が形成されている。絶縁層6には、画素領域100の中央領域100d(有効画素領域/有効発光領域)において長手方向に沿って複数の開口部61が2列に形成されており、開口部61では、画素電極11の表面が露出している。
【0026】
絶縁層6の上層には、画素領域100の周りを囲むように、例えば高さが0.1〜3.5μmのアクリル樹脂やポリイミド樹脂等からなる隔壁5が形成されており、隔壁5で囲まれた領域内には、第1の絶縁層6の上層側に有機機能層20が積層されている。有機機能層20の上層には、陰極層12が形成されており、画素電極11、有機機能層20および陰極層12によって有機EL素子2が構成されている。
【0027】
有機機能層20は、例えば、画素電極11上に積層された正孔注入輸送層21と、正孔注入輸送層21上に積層された発光層22とを備えている。なお、発光層22に隣接してその他の機能を有する他の有機機能層、例えば、インターレイアー層や電子輸送層を形成することもある。正孔注入輸送層21は、正孔を発光層22に注入する機能を有するとともに、正孔を輸送する機能を有する。発光層22では、正孔注入輸送層21から注入された正孔と、陰極層12から注入される電子が発光層で再結合し、発光が行われる。ここで、発光層22は、全ての画素領域100において白色光を出射する構成、あるいは、複数の画素領域100が対応する色毎に赤色(R)に発光する赤色発光層、緑色(G)に発光する緑色発光層、および青色(B)に発光する青色発光層として形成される。
【0028】
正孔注入輸送層21は、後述するように、正孔注入輸送層形成材料および溶媒(分散媒を含む)液状組成物を隔壁5の内側に吐出してから溶媒を除去して形成されたものである。発光層22も、発光層形成材料および溶媒(分散媒を含む)を含む液状組成物を隔壁5の内側に吐出してから溶媒を除去して形成されたものである。このようにして、正孔注入輸送層21および発光層22を形成する際、隔壁5は、液状組成物が外にはみ出ることを防止する機能を担っている。このため、隔壁5に対しては、CF4ガスを用いてのプラズマ処理を行い、隔壁5の撥水性を高めることもある。
【0029】
陰極層12は、素子基板10の略全面、あるいは複数の画素領域100に跨るストライプ状に形成されており、画素電極11と対になって有機機能層20に電流を流す役割を果たす。陰極層12は、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。このとき、発光層に近い側の陰極には仕事関数が低いものを設けることが好ましい。本形態においては、陰極層12が発光層22に直接に接して発光層22に電子を注入する役割を果たしているが、発光層22の材料によっては発光効率を高めることを目的に、発光層22と陰極層12との間にLiFなどの電子注入層を形成する場合もある。
【0030】
本形態の有機EL装置1は、例えば、素子基板10の側から光を出射するボトムエミッション型であり、陰極層12はAl(アルミニウム)などの反射材料から構成されている。従って、有機機能層20から素子基板10側に発した光は、回路部3および素子基板10を透過して素子基板10の下側(観測者側)に出射されるとともに、有機機能層20から素子基板10の反対側に発した光は、陰極層12により反射されて回路部3および素子基板10を透過して素子基板10の下側(観測者側)に出射されるようになっている。なお、陰極層12として、ITO、Pt、Ir、Ni、Pd、Alなどにより光透過可能な状態に形成し、かつ、画素電極11の下層側に反射層を形成すれば、陰極層12側から光を出射させるトップエミッション型として構成することができる。
【0031】
(各画素領域の詳細構成、および本形態の効果)
本形態の有機EL装置1において、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成されている。放熱層8は、中央領域100dからずれた領域に形成され、画素領域100内における陰極層12の下層側において、有機機能層20上に形成されている。かかる放熱層8は、タルク、雲母、セリサイト等の粘土鉱物や、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラックなどのフィラーが配合された樹脂、あるいはシリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機絶縁材料などから構成されている。樹脂にフィラーを配合すれば、樹脂の熱伝導性を高めることができ、かつ、樹脂であれば、放熱層8を厚く形成するのに適している。また、無機絶縁材料であれば、樹脂に比較して熱伝導性の高い放熱層8を構成することができる。
【0032】
本形態において、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出しており、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、陰極層12において有機機能層20に直接、積層している部分は、隔壁5の上端面より低い位置にあるが、陰極層12において放熱層8の上端面に積層している部分は、隔壁5の上端面より高い位置、すなわち、封止基板9に近い位置にある。本形態において、陰極層12において放熱層8の上端面に積層している部分は、封止基板9に接しておらず、封止基板9との間には、エポキシ樹脂などの封止樹脂90が介在している。
【0033】
このように本形態の有機EL装置1では、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成され、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出している。また、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、有機EL素子2を駆動した際、有機機能層20で発生した熱は、陰極層12を介して封止基板9に逃げるが、本形態では、有機機能層20で発生した熱は、放熱層8および陰極層12を介しても封止基板9に逃げる。しかも、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出しているため、陰極層12において放熱層8の上端面に重なる部分も隔壁5の上端面より上方に位置し、封止基板9に近い。従って、本形態によれば、有機機能層20で発生した熱を、封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。
【0034】
また、素子基板10と封止基板9との間には封止樹脂90が介在するので、素子基板10からの熱の封止基板9に効率よく逃がすことができる。それ故、有機EL素子2の温度上昇を低く抑えることができるので、有機EL装置1の信頼性を向上することができる。
【0035】
また、放熱層8は、画素領域100内における両端部100e、100fに形成されており、中央領域100d(有効発光領域)を避けた領域に形成されている。このため、有機EL素子2からの出射光量を低下させずに放熱層8を設けることができる。
【0036】
なお、本形態において、有機EL装置1がボトムエミッション型である場合、封止樹脂90として遮光性の樹脂材料を用いてもよい。ここで、封止樹脂90としてフィラーが配合されたものを用いれば、素子基板10からの熱の封止基板9に効率よく逃がすことができる。これに対して、有機EL装置1がトップエミッション型である場合、封止樹脂90としては透光性の樹脂材料を用いればよい。
【0037】
(液滴吐出ヘッドの構成)
図4(a)、(b)、(c)は各々、を製造する際に使用される液滴吐出ヘッドの内部構造を模式的に示す説明図、撓み振動モードの圧力発生素子の説明図、および縦振動モードの圧力発生素子の説明図である。
【0038】
本形態の有機EL装置1を製造するにあたっては、液滴吐出法を用いて正孔注入輸送層21および発光層22を形成する。その際には、図4(a)、(b)、(c)を参照して説明する液滴吐出ヘッドが用いられる。図4(a)に示すように、液滴吐出ヘッド322は、液滴として吐出する液状組成物Mを貯留しておくタンク状、カートリッジ状などの液状組成物貯留部337に接続されている。また、液滴吐出ヘッド322は、多数のノズル開口327を列状に並べることによって形成されたノズル列を備えている。このような液滴吐出ヘッド322において、そのノズル列が主走査方向と交差する副走査方向へ延びており、液滴吐出ヘッド322が主走査方向に移動する間に、液状組成物Mを複数のノズル開口327から選択的に吐出することにより、素子基板10上の所定位置に液滴M0を着弾させる。また、液滴吐出ヘッド322は副走査方向へ所定距離だけ平行移動することにより、液滴吐出ヘッド322による主走査位置を所定の間隔でずらせることができる。
【0039】
図4(a)、(b)に示すように、液滴吐出ヘッド322は、例えば、ステンレス製のノズルプレート329と、それに対向する弾性板331と、それらを互いに接合する複数の仕切部材332とを有している。ノズルプレート329と弾性板331との間には、仕切部材332によって複数の圧力発生室333および液溜り334が形成され、複数の圧力発生室333と液溜り334とは液状組成物流入口338を介して互いに連通している。弾性板331の適所には液状組成物供給穴336が形成され、この液状組成物供給穴336に液状組成物貯留部337が接続される。従って、液状組成物貯留部337は吐出されることとなる液状組成物Mを液状組成物供給穴336へ供給する。供給された液状組成物Mは液溜り334に充満し、さらに液状組成物流入口338を通って圧力発生室333に充満する。このようにして、液状組成物貯留部337と各圧力発生室333とが連通している。
【0040】
ノズルプレート329には、圧力発生室333から液状組成物Mを液滴M0として噴射するためのノズル開口327が設けられており、そのノズル開口327が開口しているノズル形成面は平坦面とされている。このようにしてノズル開口327は、圧力発生室333で開口している。弾性板331の圧力発生室333を形成する面の裏面には、この圧力発生室333に対応させて圧力発生素子339が取り付けられている。この圧力発生素子339は、例えば、図4(b)に示すように、圧電素子341、およびこの圧電素子341を挟持する一対の電極342a、342bを備えたたわみ振動モードの圧電素子である。その振動方向を矢印Cで示す。なお、図4(c)に示すように、圧力発生素子339としては、縦振動モードの圧電素子を用いてもよい。この縦振動モードの圧電素子(圧力発生素子339)では、伸長方向に平行に圧電材料と導電材料を交互に積層して構成されており、その先端は弾性板331に固定され、他端は基台320に固定されている。このような圧力発生素子339では、充電状態では導電層の積層方向と直角な方向に収縮し、また充電状態が解かれると、導電層と直角な方向に伸長する。
【0041】
いずれの圧電素子を用いた場合も、電極間に印加される駆動信号によって変形し、圧力発生室333を膨張、収縮させる。なお、ノズル開口327の周辺部には、液滴M0の飛行曲がりやノズル開口327の穴詰まりなどを防止するために、例えばNi−テトラフルオロエチレン共析メッキ層からなる撥液層343が設けられる。
【0042】
(有機EL装置1の製造方法)
図5を参照して本形態の有機EL装置1の製造方法を説明する。図5(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置において、有機機能層20を形成する前の素子基板10の断面図、および画素領域1つ分の断面図である。
【0043】
本形態の有機EL装置1を製造するにあたっては、まず、図5(a)、(b)に示すように、各種半導体プロセスなどを用いて回路部3を形成する。次に、層間絶縁膜30の上にITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、ITO膜をパターニングし、画素電極11を形成する。次に、画素電極11の上層に絶縁膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、絶縁膜をパターニングし、開口部61を備えた絶縁層6を形成する。次に、素子基板10の全面に、アクリル樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂層をスピンコート法などで塗布した後、露光、現像し、隔壁5を同時形成する。この状態で、画素領域100は、隔壁5で囲まれた凹部100aになっている。
【0044】
次に、正孔注入輸送層形成液塗布工程では、図4を参照して説明した液滴吐出ヘッド322から正孔注入輸送層形成材料を含む液状組成物21aを凹部100a内に吐出する。このようにして吐出された液状組成物21aは、凹部100a内に着弾し、凹部100aの内部で両端部100e、100fにも広がる。ここで、液状組成物21aとしては、ポリオレフィン誘導体である3、4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)や、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1、1−ビス−(4−N、N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の正孔注入輸送層形成材料を極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
【0045】
次に、正孔注入輸送層定着工程を行う。それには、吐出後の液状組成物を加熱、乾燥処理し、液状組成物21aに含まれる極性溶媒を蒸発させ、正孔注入輸送層21を定着させる。なお、上記の定着処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を例えば133.3Pa(1Torr)程度にして行う。圧力が低すぎると液状組成物21aが突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、極性溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を形成する事ができない。乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注入輸送層21内に残存する極性溶媒や水を完全に除去することが好ましい。
【0046】
次に、発光層22を形成するが、その前に正孔注入輸送層21に対する表面改質工程を行うことがある。発光層形成工程では、正孔注入輸送層21の再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる液状組成物の溶媒として、正孔注入輸送層21に対して不溶な非極性溶媒を用いる。しかしながら、正孔注入輸送層21は、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む液状組成物を正孔注入輸送層21上に吐出しても、正孔注入輸送層21と発光層22とを密着させることができなくなるか、あるいは発光層22を均一に塗布できないおそれがある。そこで、発光層形成工程の前に、発光層22を形成する際に用いる液状組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒からなる表面改質材、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、トルエン、キシレン、あるいはそれらの混合物等をインクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法またはディップ法により正孔注入輸送層21上に塗布した後に乾燥させる。このような表面改質工程を行うことで、正孔注入輸送層21の表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む液状組成物を正孔注入輸送層21に均一に塗布することができる。なお、上記の表面改質材に、正孔輸送性材料を溶解した組成物をインクジェット法により正孔注入輸送層21上に塗布して乾燥させても良い。
【0047】
以降、図示を省略するが、発光層形成工程では、正孔注入輸送層形成液塗布工程と同様、図3を参照して説明した液滴吐出ヘッド322から発光層層形成材料を含む液状組成物を凹部100a内に吐出する。このようにして吐出された液状組成物は、凹部100a内に着弾し、凹部100a内において、正孔注入輸送層21の上層で広がる。このような液状組成物としては、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした発光層形成材料を非極性溶媒に配合したものを用いる。発光層形成材料としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、例えば特開平11−40358号公報に示される有機EL素子用組成物、すなわち共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる有機EL素子用組成物も、発光層形成材料として使用可能である。また、非極性溶媒としては、正孔注入輸送層21に対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。このような非極性溶媒を発光層形成用の液状組成物に用いることにより、正孔注入輸送層21を再溶解させることなく発光層形成用の液状組成物を塗布できる。
【0048】
次に、発光層定着工程を行う。それには、吐出後の液状組成物を加熱、乾燥処理し、液状組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、発光層22を定着させる。なお、上記の定着処理は、例えば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度として5〜10分行う。圧力が低すぎると液状組成物が突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、非極性溶媒の蒸発速度が高まり、発光層形成材料が隔壁5の壁面に多く付着してしまうので好ましくない。なお、その他の乾燥の手段としては、遠赤外線照射法、高温窒素ガス吹付法等を例示できる。
【0049】
このようにして、有機機能層20(正孔注入輸送層21および発光層22)を形成した後は、図2および図3を参照して説明したように、フォトリソグラフィ技術を用いて発光層22の上に放熱層8をパターニング形成する。また、放熱層8の基材が感光性樹脂である場合、かかる樹脂材料を塗布、露光、現像し、放熱層8を形成してもよい。その後、十分に乾燥させて有機機能層20から水分を脱離させた後、有機機能層20および放熱層の上層に陰極層12を形成する。しかる後には、封止樹脂90を用いて封止基板9によって陰極層12の表面を覆う。
【0050】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る有機EL装置の断面図であり、図6(a)は、図3(a)のA1−A1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図に相当し、図6(b)は、図3(a)のB1−B1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図に相当する。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0051】
図6(a)、(b)に示すように、本形態の有機EL装置1でも、実施の形態1と同様、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成され、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出している。また、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、有機機能層20で発生した熱を、封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。
【0052】
ここで、素子基板10と封止基板9との間には封止樹脂90が介在する。本形態の封止樹脂90のうち、放熱層8と重なる部分については、タルク、雲母、セリサイト等の粘土鉱物や、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラックなどのフィラーの配合によって熱伝導性が高い樹脂材料91が用いられている。これに対して、放熱層8が形成されていない領域には透光性の樹脂材料92が用いられている。このため、素子基板10からの熱の封止基板9に効率よく逃がすことができるとともに、有機EL装置1がトップエミッション型である場合でも、透光性の樹脂材料92からなる封止樹脂90を介して封止基板9の側から光を出射することができる。
【0053】
なお、放熱層8と重なる部分については、フィラーの配合によって熱伝導性が高い樹脂材料91を用いる一方、放熱層8が形成されていない領域には封止樹脂90を配置しない構成を採用してもよい。このように構成した場合も、素子基板10からの熱の封止基板9に効率よく逃がすことができるとともに、有機EL装置1がトップエミッション型である場合でも、透光性の樹脂材料92からなる封止樹脂90を介して封止基板9の側から光を出射することができる。
【0054】
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の形態3に係る有機EL装置の断面図であり、図7(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態3に係る有機EL装置1の全体構成を示す縦断面図、この有機EL装置1を図3(a)のA1−A1′線に相当する位置で切断した様子を模式的に示す断面図、およびこの有機EL装置1を図3(a)のB1−B1′線に相当する位置で切断した様子を模式的に示す断面図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0055】
図7(a)、(b)、(c)に示すように、本形態の有機EL装置1でも、実施の形態1と同様、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成され、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出している。また、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、有機機能層20で発生した熱を、封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。
【0056】
ここで、素子基板10と封止基板9とは封止樹脂90によって貼り合わされているが、封止樹脂90は、封止基板9の外周に沿ってのみ配置され、画素領域100には一切、配置されていない。このように構成した場合、ボトムエミッション型およびトップエミッション型のいずれの有機EL装置1にも対応することができる。
【0057】
[実施の形態4]
図8は、本発明の実施の形態4に係る有機EL装置の断面図であり、図8(a)は、図3(a)のA1−A1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図に相当し、図8(b)は、図3(a)のB1−B1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図に相当する。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0058】
図8(a)、(b)に示すように、本形態の有機EL装置1でも、実施の形態1と同様、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成され、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出している。また、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、有機機能層20で発生した熱を、封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。
【0059】
ここで、素子基板10において放熱層8が形成されている部分は封止基板9に面接触している。このため、素子基板10からの熱の封止基板9に効率よく逃がすことができる。なお、画素領域100において、放熱層8が形成されていない領域には封止樹脂90が存在する構成、および存在しない構成のいずれを採用してもよい。画素領域100において、放熱層8が形成されていない領域に封止樹脂90を形成しない構成、あるいは画素領域100に形成された封止樹脂90が透光性の樹脂材料からなる場合には、ボトムエミッション型およびトップエミッション型のいずれの有機EL装置1にも対応することができる。
【0060】
[実施の形態5]
図9は、本発明の実施の形態5に係る有機EL装置の断面図であり、図9(a)は、図3(a)のA1−A1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図に相当し、図9(b)は、図3(a)のB1−B1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図に相当する。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0061】
図9(a)、(b)に示すように、本形態の有機EL装置1でも、実施の形態1と同様、画素領域100の長手方向における両端部100e、100fには、隔壁5より熱伝導性の高い放熱層8が形成され、放熱層8は、隔壁5の上端面より上方に突出している。また、放熱層8の上端面には陰極層12の一部が重なっている。このため、有機機能層20で発生した熱を、封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。
【0062】
ここで、素子基板10において放熱層8が形成されている部分は封止基板9に接触している。しかも、封止基板9において、素子基板10の放熱層8が形成されている部分と重なる部分に凹部9aが形成され、放熱層8が形成されている部分の上端部が凹部9a内に位置している。このため、素子基板10側と封止基板9側との接触面積が広いので、有機機能層20で発生した熱を、封止基板9を介して効率よく逃がすことができる。なお、本形態でも、画素領域100において、放熱層8が形成されていない領域には封止樹脂90が存在する構成および存在しない構成のいずれを採用してもよい。画素領域100において、放熱層8が形成されていない領域に封止樹脂90を形成しない構成、あるいは画素領域100に形成された封止樹脂90が透光性の樹脂材料からなる場合には、ボトムエミッション型およびトップエミッション型のいずれの有機EL装置1にも対応することができる。
【0063】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態においては、放熱層8が隔壁5の上端面より上方に突出している構成を採用したが、放熱層8が隔壁5の上端面より低い位置にあっても、陰極層12において隔壁5の上端面に重なる部分は、有機機能層20と直接重なる部分より上方に押し上げられる。それ故、有機機能層20から封止基板9への放熱性を向上することができる。
【0064】
上記形態では、図1に示すように画素領域100がマトリクス状に配置されている有機EL装置1を例に説明したが、複写機などの画像形成装置のラインヘッドに用いる有機EL装置1のように、画素領域100がライン状に配列されているタイプに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明が適用される有機EL装置の一例としてのアクティブマトリクス型の有機EL表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の画素領域1つ分の平面図、図3(a)のA1−A1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図、および図3(a)のB1−B1′線に沿って画素領域を切断した様子を模式的に示す断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用した有機EL装置を製造する際に使用される液滴吐出ヘッドの内部構造を模式的に示す説明図、撓み振動モードの圧力発生素子の説明図、および縦振動モードの圧力発生素子の説明図である。
【図5】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置において、有機機能層を形成する前の素子基板の断面図、および画素領域1つ分の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る有機EL装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る有機EL装置の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る有機EL装置の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る有機EL装置の断面図である。
【図10】従来の有機EL装置の断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1・・有機EL装置、2・・有機EL素子、5・・隔壁、6・・絶縁層、8・・放熱層、9・・封止基板、9a・・封止基板の凹部、10・・素子基板、11・・画素電極(第1の電極)、12・・陰極層(第2の電極)、20・・有機機能層、21・・正孔注入輸送層(有機機能層)、22・・発光層(有機機能層)90・・封止樹脂、100・・画素領域、100d・・画素領域の中央領域、100e、100f・・画素領域の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で囲まれた画素領域内に第1の電極層、少なくとも発光層を備えた有機機能層、および第2の電極層が順に積層された有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された素子基板を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置において、
前記画素領域内における前記第2の電極層の下層側には、前記有機機能層上の一部に前記隔壁より熱伝導性の高い放熱層が積層されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記放熱層は、前記画素領域内における端部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記放熱層は、フィラーが配合された樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記放熱層は、無機絶縁材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記第2の電極層は、一部が前記放熱層の上端面に積層されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
前記放熱層は、前記隔壁の上端面より上方に突出していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記素子基板において前記有機エレクトロミネッセンス素子が形成されている側の面には封止基板が対向配置され、
前記封止基板は、封止樹脂により前記素子基板と貼り合わされていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記封止樹脂は、前記画素領域と重なる領域に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
前記封止樹脂において、前記画素領域のうち、少なくとも前記放熱層が形成されている部分に配置された樹脂部分はフィラーを含んでいることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
前記封止基板は透光性であって、
前記封止樹脂において、前記画素領域のうち、少なくとも前記放熱層が形成されていない領域に配置された樹脂部分は透光性であることを特徴とする請求項8または9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項11】
前記素子基板において前記有機エレクトロミネッセンス素子が形成されている側の面は、封止基板と貼り合わされ、
前記素子基板において前記放熱層が形成されている部分は、前記封止基板に接していることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項12】
前記封止基板において、前記放熱層が形成されている部分と重なる部分に凹部が形成され、
前記素子基板において前記放熱層が形成されている部分の上端部分は、前記凹部内に位置していることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項13】
前記有機機能層は、前記画素領域に配置された液状組成物を固化させてなることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−243650(P2008−243650A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83682(P2007−83682)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】