説明

有機エレクトロルミネッセント用基板および有機エレクトロルミネッセント画像表示装置

【課題】 輝度が高く高品質の画像表示が可能な有機エレクトロルミネッセント画像表示装置と、これに使用できる有機エレクトロルミネッセント用基板を提供する。
【解決手段】 有機エレクトロルミネッセント用基板を、透明基材上に透明保護層と所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなる透明電極層を少なくとも備えたものとし、透明保護層を、帯状透明電極層の延設方向に沿って複数配列され、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された微細な凸部、あるいは、帯状透明電極層の延設方向に沿って連続し、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された複数のストライプ状の凸部を有するものとし、各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は透明保護層上の平坦部に位置するものとし、各絵素毎の透明電極層の表面積の変動を±5%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセント用基板と有機エレクトロルミネッセント画像表示装置に係り、特に発光輝度が高く良好な画像表示が可能な有機エレクトロルミネッセント画像表示装置と、これに使用できる有機エレクトロルミネッセント用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
有機のエレクトロルミネッセンス(EL)素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶ディスプレーと異なり全固体ディスプレーであること、温度変化の影響をあまり受けないこと、視野角が大きいこと等の利点をもっており、近年、画像表示装置の画素等としての実用化が進んでいる。
しかし、従来の有機EL画像表示装置では、輝度を上げるためには、単位面積あたりに印加する電圧電流を増加させなければならず、それにより、(1)消費電力量の増加、(2)有機EL素子の短寿命化等の問題が生じていた。
このような問題を解消するために、例えば、構成する基板または電極または電荷輸送層またはバッファー層等を凹凸化して、積層するEL発光層表面も凹凸化させ、単位面積あたりの発光層表面面積密度を増加させた有機EL画像表示装置が提案されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開2002−359067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の有機EL画像表示装置では、単位面積あたりの発光層表面面積密度を大きくするために、急峻な凹凸が密に形成された構造となり、この上に形成される透明電極層に断線を生じ易く、信頼性低下を来たすという問題があった。また、ストライプ状の透明電極層の間に急峻な凹凸が存在する構造の場合、エッチング法による透明電極層の形成時に、凹凸の存在が原因となって、隣接する透明電極層どうしの導通を生じ易いという問題もあった。
また、絵素毎の面積が考慮されていないため、絵素毎の凹凸の数が異なることにより絵素毎の面積変化(バラツキ)が生じ、これにより輝度のバラツキが生じるという問題もあった。
【0004】
さらに、レジストを介したエッチング液による透明電極層のパターニングにおいて、透明電極層のエッジ部位が、凹凸の傾斜部位に位置する場合、この箇所での透明電極層の過剰なエッチング(食い込み)が生じる。この現象が生じると、エッチング液がレジスト下層側に侵入し、透明電極層に付着する水分量が大幅に増大し、後工程にて除去されずに残る水分量も増大し、これにより、EL素子の短寿命化を来たすという問題もあった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、輝度が高く高品質の画像表示が可能な有機エレクトロルミネッセント画像表示装置と、これに使用できる有機エレクトロルミネッセント用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板は、透明基材と、該透明基材上に設けられた透明保護層と、該透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなる透明電極層と、を少なくとも備え、前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って複数配列され、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された微細な凸部を有し、各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における各絵素に相当する部位毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であるような構成とした。
【0006】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板は、透明基材と、該透明基材上に設けられた透明保護層と、該透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなる透明電極層と、を少なくとも備え、前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って連続し、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された複数のストライプ状の凸部を有し、各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における各絵素に相当する部位毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であるような構成とした。
【0007】
本発明の他の態様として、隣接する前記凸部の頂点間の距離の平均が5〜100μmの範囲であり、隣接する凸部の頂点間を結ぶ直線から垂直に前記凸部間に位置する凹部の底点までの距離の平均が0.5〜10μmの範囲であるような構成とした。
本発明の他の態様として、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における隔壁の形成領域に相当する部位では、前記凸部が存在しないような構成とした。
本発明の他の態様として、前記透明基板と前記透明保護層との間にカラーフィルタ層を備えるような構成とし、また、前記カラーフィルタ層と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記透明基板と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えるような構成とした。
【0008】
本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置は、透明基材と、該透明基材上に順次設けられた透明保護層、透明電極層、有機エレクトロルミネッセンス素子層、および、背面電極層とを少なくとも備え、前記透明電極層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子層を介して前記背面電極層と交差する複数の部位を絵素となし、前記透明電極層は、前記透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなり、前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って複数配列され、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された微細な凸部を有し、各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、各絵素毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であるような構成とした。
【0009】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置は、透明基材と、該透明基材上に順次設けられた透明保護層、透明電極層、有機エレクトロルミネッセンス素子層、および、背面電極層とを少なくとも備え、前記透明電極層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子層を介して前記背面電極層と交差する複数の部位を絵素となし、前記透明電極層は、前記透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなり、前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って連続し、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された複数のストライプ状の凸部を有し、各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、各絵素毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であるような構成とした。
【0010】
本発明の他の態様として、前記透明保護層の隣接する前記凸部の頂点間の距離の平均が5〜100μmの範囲であり、隣接する凸部の頂点間を結ぶ直線から垂直に前記凸部間に位置する凹部の底点までの距離の平均が0.5〜10μmの範囲であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記透明基板と前記透明保護層との間にカラーフィルタ層を備えるような構成とし、また、前記カラーフィルタ層と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記透明基板と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、白色発光、青色発光、赤色発光、緑色発光のいずれか、あるいは、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであるような構成とした。
【0011】
本発明の他の態様として、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、青色発光であり、前記色変換蛍光体層は青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記帯状透明電極層と直交する方向にストライプ状に順次積層延設された絶縁層と隔壁とを備え、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層と背面電極層とは前記隔壁と平行に各隔壁間に位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記隔壁の形成領域には前記凸部を有していないような構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明保護層が複数の微細な凸部、あるいはストライプ状の凸部を有するとともに、この透明保護層上に形成された透明電極層の各絵素毎の表面積の変動が±5%以下であるので、絵素毎の有機エレクトロルミネッセンス素子層の表面積(発光面積)が増大して発光輝度が高く、かつ、輝度バラツキが抑えられた高品質の画像表示が可能であり、また、透明電極層をなす各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、透明保護層上の平坦部に位置するので、上記の凸部が原因となる帯状透明電極層の損傷が生じたとしても、帯状透明電極層の平坦部によって延設方向の導電性が確保されて断線が防止され、また、透明電極層のパターニング時にエッジ部位に付着する水分量を最小限に抑えることができるので、信頼性の高い有機エレクトロルミネッセント画像表示装置が得られるという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
[有機エレクトロルミネッセント用基板]
図1は、本発明の有機エレクトロルミネッセント(EL)用基板の一実施形態を示す部分平面図であり、図2は図1に示される有機EL用基板のA−A線における縦断面図であり、図3は図1に示される有機EL用基板のB−B線における縦断面図である。
図1〜図3において、有機EL用基板1は、透明基材12と、この透明基材12上に所定の開口パターンを備えたブラックマトリックス13を介して帯状の赤色着色層14R、緑色着色層14G、青色着色層14Bからなるカラーフィルタ層14が設けられている。
【0014】
このカラーフィルタ層14を覆うように透明保護層16が透明基材12上に設けられ、この透明保護層16上に透明電極層18、補助電極19が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に延設されている。
本発明では、透明保護層16は、帯状透明電極層18の延設方向(図1、図2の矢印a方向)に沿って連続する複数のストライプ状の凸部17を有し、これらの凸部17は各帯状透明電極層18で被覆されている。図示例では、各帯状透明電極層18毎に4本のストライプ状の凸部17が形成されている。
また、各帯状透明電極層18の幅方向(図1、図2の矢印b方向)のエッジ部位18aは、透明保護層16上の凸部17の存在しない平坦部16aに位置している。図示例では、一方のエッジ部18aは、上記の平坦部16aに配設された補助電極19上に位置している。
【0015】
したがって、各帯状透明電極層18のうち、透明保護層16のストライプ状の凸部17を被覆している領域は、凸部17を反映した凹凸面であり、透明電極層18の表面積が、平坦な場合に比べて格段に大きなものとなっている。そして、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における各絵素Pに相当する部位毎の透明電極層18の表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は、5%以下、好ましくは3%以下である。
尚、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における絵素Pとは、図1にて1点鎖線で囲まれた一定面積の部位であり、ブラックマトリックス13の開口部と一致するように一定のピッチで各帯状透明電極層18の延設方向(矢印a方向)に設定されたものである。そして、各絵素Pの間には、後述する隔壁形成領域20(図1に2点鎖線で示す領域)が設定されている。
【0016】
また、透明電極層18の表面積の測定は、10個の絵素について、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8500)を用いて行なう。
このような本発明の有機EL用基板1では、上述のように、透明電極層18をなす各帯状透明電極層18の幅方向のエッジ部位18aが、透明保護層16上の平坦部16aに位置するので、凸部17が原因となる帯状透明電極層18の損傷が生じても、平坦部に位置する帯状透明電極層18によって延設方向の導電性が確保されて断線が防止される。また、透明電極層18のパターニング時にエッジ部位に付着する水分量を最小限に抑制することができる。さらに、透明電極層18の絵素P毎の表面積の変動が±5%以下であるので、有機EL画像表示装置に使用した場合において、絵素P毎の有機エレクトロルミネッセンス素子層の表面積(発光面積)が増大する。これにより発光輝度が高く、かつ、輝度バラツキが抑えられた高品質の画像表示が可能である。
【0017】
次に、本発明の有機EL用基板1の各構成部材について説明する。
有機EL用基板1を構成する透明基材12は、光透過性を有するガラス材料、樹脂材料、これらの複合材料からなるものを使用することができる。透明基材12の厚みは、材質、有機EL用基板の使用状況等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜1.1mm程度とすることができる。
【0018】
ブラックマトリックス13は所定のパターンで開口部を備えており、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングして形成したもの、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングして形成したもの、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングして形成したもの等、いずれであってもよい。
【0019】
また、カラーフィルタ層14は、有機EL画像表示装置に用いた場合において、有機EL素子層からの光を色補正したり、色純度を高めるものである。カラーフィルタ層14を構成する青色着色層14B、赤色着色層14R、緑色着色層14Gは、使用する有機EL素子層の発光特性に応じて適宜材料を選択することができ、例えば、顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂、反応性化合物および溶媒を含有する顔料分散組成物で形成することができる。カラーフィルタ層14は、上述の顔料分散組成物を使用した顔料分散法により形成することができ、さらに、印刷法、電着法、転写法等の公知の方法により形成することができる。このようなカラーフィルタ層14の厚みは、各着色層の材料、有機EL素子層から発光される光の特性等に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜3μm程度の範囲で設定することができる。
【0020】
有機EL用基板1を構成する透明保護層16は、帯状透明電極層18の延設方向に沿って連続し、各帯状透明電極層18で被覆された複数のストライプ状の凸部17を有し、絵素P毎の透明電極層18の表面積を拡大し、絵素P毎の有機EL素子層の表面積(発光面積)が増大して発光輝度を向上させる作用をなす。
このような透明保護層16は、透明(可視光透過率50%以上)樹脂により形成することができる。具体的には、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。また、透明樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
【0021】
本発明において、透明保護層16が備えるストライプ状の凸部17は、隣接する凸部17の頂点間の距離の平均が5〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲であり、隣接する凸部17の頂点間を結ぶ直線から垂直に、凸部17間に位置する凹部の底点までの距離の平均が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲であることが望ましい。凸部17の形状寸法を上述に範囲内とすることにより、絵素P毎の有機EL素子層の表面積(発光面積)を確実に増大させることができ、かつ、凸部17が原因となる帯状透明電極層18の損傷の発生を抑制することができる。
上記の隣接する凸部17の頂点間の距離の測定、隣接する凸部17の頂点間を結ぶ直線から垂直に、凸部17間に位置する凹部の底点までの距離の測定は、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8500)により行なう。
尚、本発明では、凸部17は、図4(A)に示されるように、透明保護層16の平坦部16aよりも凸部17の頂部が突出した形状であってもよく、また、透明保護層16の平坦部16aと凸部17の頂部とが同一面をなすような形状であってもよく、さらに、この中間の形状等、いずれであってもよい。
【0022】
複数のストライプ状の凸部17を有する透明保護層16は、カラーフィルタ層14上に上記の光硬化型樹脂材料を塗工し、その後、凸部用のフォトマスクを介して露光、現像することにより形成することができる。また、上記のフォトリソグラフィー法により、凸部17の核となるストライプ状の凸部をカラーフィルタ層14の所定部位に形成し、その後、これを被覆するように熱硬化型樹脂材料を塗布し、熱硬化することにより透明保護層16を形成してもよい。
また、有機EL用基板1を構成する透明電極層18の材料としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、これらの混合物を使用することができ、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二スズ等の導電材料を挙げることができる。この透明電極層18は、周辺の端子部から中央の画素領域まで、透明保護層16のストライプ状の凸部17を被覆し、補助電極19上に位置するように帯状に配設されている。このような透明電極層18はシート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、材質にもよるが、透明電極層18の厚みは、例えば、10nm〜1μm、好ましくは10〜200nm程度とすることができる。
【0023】
有機EL用基板1を構成する補助電極19は、一般には、金属材料が用いられ、金、銀、銅、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム等を挙げることができる。このような補助電極19は、周辺の端子部から中央の画素領域までブラックマトリックス13上に位置するように配設されている。
透明電極層18および補助電極19は、上述の材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング法により薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法を用いたパターンエッチングで所望の形状とすることができる。そして、上述のように、透明電極層18をなす各帯状透明電極層18の幅方向のエッジ部位18aが、透明保護層16上の平坦部16aに位置するので、透明電極層18のパターンエッチング時に、エッチング液の水分がエッジ部位に付着することを最小限に抑制することができる。
【0024】
図5は、本発明の有機EL用基板の他の実施形態を示す部分平面図であり、図6は図5に示される有機EL用基板のC−C線における縦断面図である。
図5および図6において、有機EL用基板2は、透明基材12と、この透明基材12上に所定の開口パターンを備えたブラックマトリックス13を介して帯状の赤色着色層14R、緑色着色層14G、青色着色層14Bからなるカラーフィルタ層14が設けられている。また、カラーフィルタ層14を覆うように透明保護層16が透明基材12上に設けられ、この透明保護層16上に透明電極層18、補助電極19が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に延設されている。
【0025】
この有機EL用基板2は、上述の有機EL用基板1と基本的に同一であり、透明保護層16はストライプ状の凸部17を有するものであるが、有機EL画像表示装置における隔壁形成領域20(2点鎖線で示す領域)に相当する部位には、凸部17を備えていない点で、有機EL用基板1と相違する。したがって、このような有機EL用基板2では、隔壁形成領域20毎にストライプ状の凸部17が途切れるような構造となっている。このような有機EL用基板2においても、有機EL画像表示装置における各絵素Pに相当する部位毎の透明電極層18の表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は、5%以下、好ましくは3%以下である。
また、本発明の有機EL用基板は、有機EL画像表示装置における隔壁形成領域20に相当する部位で、凸部17の高さを低いものとしたものであってもよい。
【0026】
図7は、本発明の有機EL用基板の他の実施形態を示す部分平面図であり、図8は図7に示される有機EL用基板のD−D線における縦断面図であり、図9は図7に示される有機EL用基板のE−E線における縦断面図である。
図7〜図9において、有機EL用基板3は、透明基材12と、この透明基材12上に所定の開口パターンを備えたブラックマトリックス13を介して帯状の赤色着色層14R、緑色着色層14G、青色着色層14Bからなるカラーフィルタ層14が設けられている。また、カラーフィルタ層14を覆うように透明保護層16が透明基材12上に設けられ、この透明保護層16上に透明電極層18、補助電極19が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に延設されている。
【0027】
この有機EL用基板3では、透明保護層16が、帯状透明電極層18の延設方向(図7、図8の矢印a方向)に沿って複数配列された微細な凸部17′を有しており、これらの複数の微細な凸部17′は、各帯状透明電極層18で被覆されている。
このような凸部17′は、隣接する微細な凸部17′の頂点間の距離の平均が5〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲であり、隣接する凸部17′の頂点間を結ぶ直線から垂直に、凸部17′間に位置する凹部の底点までの距離の平均が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲であることが望ましい。凸部17′の形状寸法を上述に範囲内とすることにより、絵素P毎の有機EL素子層の表面積(発光面積)を確実に増大させることができ、かつ、凸部17′が原因となる帯状透明電極層18の損傷の発生を抑制することができる。
【0028】
このような有機EL用基板3においても、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における各絵素Pに相当する部位毎の透明電極層18の表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は、5%以下、好ましくは3%以下である。
尚、図7〜図9に示される例では、有機EL画像表示装置における隔壁形成領域20に相当する部位には、凸部17′を備えていないが、隔壁形成領域20にも凸部17′を複数備えていてもよく、また、隔壁形成領域20の凸部17′が他の凸部17′よりも高さが低いものであってもよい。
本発明の有機EL用基板は、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、ブラックマトリックス13を備えていないもの、カラーフィルタ層14を備えていないもの、カラーフィルタ層14が1色からなるもの等であってもよい。
【0029】
また、本発明の有機EL用基板は、色変換蛍光体層を備えるものであってもよい。図10は色変換蛍光体層を備える有機EL用基板の一実施形態を示す図2相当の断面図であり、図11は同じく図3相当の断面図である。
図10および図11において、有機EL用基板4は、有機EL素子層として青色有機EL素子層を備えた有機EL画像表示装置に用いるものであり、透明基材12と、この透明基材12上に所定の開口パターンを備えたブラックマトリックス13を介して帯状の赤色着色層14R、緑色着色層14G、青色着色層14Bからなるカラーフィルタ層14が設けられている。
【0030】
また、カラーフィルタ層14上には、赤色変換蛍光体層15R、緑色変換蛍光体層15Gと青色変換ダミー層15Bからなる色変換蛍光体層15が形成されている。この色変換蛍光体層15を構成する各層は、赤色着色層14R上に赤色変換蛍光体層15Rが、緑色着色層14G上に緑色変換蛍光体層15Gが、青色着色層14B上に青色変換ダミー層15Bがそれぞれ帯状に配設されている。
このような色変換蛍光体層15を覆うように透明保護層16が設けられ、この透明保護層16上に透明電極層18、補助電極19が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に延設されている。
この有機EL用基板4は、赤色変換蛍光体層15R、緑色変換蛍光体層15Gと青色変換ダミー層15Bからなる色変換蛍光体層15を備える点を除いて、上述の有機EL用基板1と同一である。
【0031】
有機EL用基板4を構成する色変換蛍光体層15のうち、赤色変換蛍光体層15Rおよび緑色変換蛍光体層15Gは、蛍光色素単体からなる層、あるいは、樹脂中に蛍光色素を含有した層である。青色発光を赤色蛍光に変換する赤色変換蛍光体層15Rに使用する蛍光色素としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、オキサジン系色素等が挙げられる。また、青色発光を緑色蛍光に変換する緑色変換蛍光体層15Gに使用する蛍光色素としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2′−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド色素等が挙げられる。さらに、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等の各種染料も蛍光性があれば使用することができる。上述のような蛍光色素は単独、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。赤色変換蛍光体層15Rおよび緑色変換蛍光体層15Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、蛍光色素の含有量は、使用する蛍光色素、色変換蛍光体層の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、使用する樹脂100重量部に対し0.1〜1重量部程度とすることができる。
【0032】
また、青色変換ダミー層15Bは、青色有機EL素子層で発光された青色光をそのまま透過してカラーフィルタ層14に送るものであり、赤色変換蛍光体層15R、緑色変換蛍光体層15Gとほぼ同じ厚みの透明樹脂層とすることができる。
赤色変換蛍光体層15Rおよび緑色変換蛍光体層15Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等の透明(可視光透過率50%以上)樹脂を使用することができる。また、色変換蛍光体層5のパターン形成をフォトリソグラフィー法により行う場合、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト樹脂を使用することができる。さらに、これらの樹脂は、上述の青色変換ダミー層15Bに使用することができる。
【0033】
色変換蛍光体層15を構成する赤色変換蛍光体層15Rと緑色変換蛍光体層15Gは、蛍光色素単体で形成する場合、例えば、所望の開口部を備えたマスクを介して真空蒸着法、スパッタリング法により帯状に形成することができる。また、樹脂中に蛍光色素を含有した層として形成する場合、例えば、蛍光色素と樹脂とを分散、または可溶化させた塗布液をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、上記の塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により赤色変換蛍光体層15Rや緑色変換蛍光体層15Gを形成することができる。また、青色変換ダミー層15Bは、所望の感光性樹脂塗料をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、所望の樹脂塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により形成することができる。
【0034】
このような色変換蛍光体層15の厚みは、赤色変換蛍光体層15Rおよび緑色変換蛍光体層15Gが青色有機EL素子層で発光された青色光を十分に吸収し蛍光を発生する機能が発現できるものとする必要があり、使用する蛍光色素、蛍光色素濃度等を考慮して適宜設定することができ、例えば、10〜20μm程度とすることができ、赤色変換蛍光体層15Rと緑色変換蛍光体層15Gとの厚みが異なる場合があってもよい。
このような有機EL用基板4も、有機EL画像表示装置における隔壁形成領域に相当する部位にストライプ状の凸部17を備えていないもの、有機EL画像表示装置における隔壁形成領域20に相当する部位に、凸部17よりも高さの低い凸部を備えるもの、ストライプ状の凸部17の代わりに、複数に微細な凸部17′を備えるもの等であってよい。
【0035】
[有機エレクトロルミネッセント画像表示装置]
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセント(EL)画像表示装置について説明する。
図12は、本発明の有機EL画像表示装置の一実施形態を示す図2相当の縦断面図であり、図13は同じく図3相当の縦断面図である。
図12および図13において、有機EL画像表示装置31は、上述の本発明の有機EL用基板2を用いた有機EL画像表示装置である。すなわち、有機EL画像表示装置31は、透明基材12と、この透明基材12上に所定の開口パターンを備えたブラックマトリックス13を介して帯状の赤色着色層14R、緑色着色層14G、青色着色層14Bからなるカラーフィルタ層14が設けられている。
【0036】
このカラーフィルタ層14を覆うように透明保護層16が透明基材12上に設けられ、この透明保護層16上に透明電極層18、補助電極19が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に延設されている。透明保護層16は、帯状透明電極層18の延設方向(図12の矢印a方向)に沿って連続した複数のストライプ状の凸部17を有し、これらの凸部17は各帯状透明電極層18で被覆されている。図示例では、各帯状透明電極層18毎に4本のストライプ状の凸部17が形成されている。そして、各絵素P毎の透明電極層18の表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は、5%以下、好ましくは3%以下とする。
また、各帯状透明電極層18の幅方向(図13の矢印b方向)のエッジ部位18aは、透明保護層16上の凸部17の存在しない平坦部16aに位置している。図示例では、一方のエッジ部18aは、上記の平坦部16aに配設された補助電極19上に位置している。
【0037】
さらに、本発明の有機EL画像表示装置31では、上記のように配設された帯状の透明電極層18と直交し、ブラックマトリックス13の開口部上に位置するように、白色発光の有機EL素子層21と背面電極層22とが帯状に形成されている。また、帯状の透明電極層18と直交し、ブラックマトリックス13上に位置するように、絶縁層23を介して隔壁25が透明保護層16、透明電極層18上に形成されている。この隔壁25の上部平面にはダミーの有機EL素子層21′と背面電極層22′とが形成されており、これらは、隔壁25をパターニング手段として利用した有機EL素子層21および背面電極層22の形成において、帯状のパターンを形成するために、不要な形成材料を透明電極層18上に到達しないよう隔壁25に付着させて排除した結果形成されたものである。
【0038】
また、図14は、本発明の有機EL画像表示装置の他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。
図14において、有機EL画像表示装置32は、上述の本発明の有機EL用基板3に色変換蛍光体層15を設けた有機EL用基板3′を用いた有機EL画像表示装置である。すなわち、有機EL画像表示装置32は、透明基材12と、この透明基材12上に所定の開口パターンを備えたブラックマトリックス13を介して帯状の赤色着色層14R、緑色着色層14G、青色着色層14Bからなるカラーフィルタ層14が設けられている。
また、カラーフィルタ層14上には、赤色変換蛍光体層15R、緑色変換蛍光体層15Gと青色変換ダミー層15Bからなる色変換蛍光体層15が形成されている。この色変換蛍光体層15を構成する各層は、赤色着色層14R上に赤色変換蛍光体層15Rが、緑色着色層14G上に緑色変換蛍光体層15Gが、青色着色層14B上に青色変換ダミー層15Bがそれぞれ帯状に配設されている。
【0039】
このような色変換蛍光体層15を覆うように透明保護層16が設けられ、この透明保護層16上に透明電極層18、補助電極19が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に延設されている。そして、透明保護層16は、帯状透明電極層18の延設方向(図14の矢印a方向)に沿って複数配列された微細な凸部17′を有しており、これらの凸部17′は、各帯状透明電極層18で被覆されている。そして、各絵素P毎の透明電極層18の表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は、5%以下、好ましくは3%以下とする。
【0040】
さらに、本発明の有機EL画像表示装置32では、上記のように配設された帯状の透明電極層18と直交し、ブラックマトリックス13の開口部上に位置するように、青色発光の有機EL素子層21と背面電極層22とが帯状に形成されている。また、帯状の透明電極層18と直交し、ブラックマトリックス13上に位置するように、絶縁層23を介して隔壁25が透明保護層16、透明電極層18上に形成されている。この隔壁25の上部平面にはダミーの有機EL素子層21′と背面電極層22′とが形成されており、これらは、隔壁25をパターニング手段として利用した有機EL素子層21および背面電極層22の形成において、帯状のパターンを形成するために、不要な形成材料を透明電極層18上に到達しないよう隔壁25に付着させて排除した結果形成されたものである。
【0041】
このような有機EL画像表示装置31,32は、透明保護層16が複数のストライプ状の凸部17、あるいは、複数の微細な凸部17′を有するとともに、この透明保護層16に形成された透明電極層18の各絵素毎の表面積の変動が±5%以下であるので、絵素毎の有機EL素子層21の表面積(発光面積)が増大し、これにより発光輝度が高く、かつ、輝度バラツキが抑えられた高品質の画像表示が可能である。また、透明電極層18をなす各帯状透明電極層18の幅方向のエッジ部位18aは、透明保護層16上の平坦部16aに位置するので、透明保護層16の凸部17、凸部17′が原因となる帯状透明電極層18の損傷が生じた場合も、帯状透明電極層18の平坦部によって延設方向の導電性が確保されて断線が防止される。さらに、透明電極層18のパターニング時にエッジ部位に付着する水分量を最小限に抑制できるので、有機EL素子層21の短寿命化を防止することができ信頼性の高いものとなる。
【0042】
上述の有機EL画像表示装置31,32を構成する透明基材12、ブラックマトリックス13、カラーフィルタ層14、色変換蛍光体層15、透明保護層16、透明電極層18、補助電極19は、上述の本発明の有機EL用基板1〜4に関する説明で記述したものと同様であり、ここでの説明は省略する。
上述の有機EL画像表示装置31,32を構成する有機EL素子層21は、発光層単独からなる構造、発光層の透明電極層18側に正孔注入層を設けた構造、発光層の背面電極層22側に電子注入層を設けた構造、発光層の透明電極層18側に正孔注入層を設け、背面電極層22側に電子注入層を設けた構造等とすることができる。また、発光波長を調整したり、発光効率を向上させる等の目的で、上記の各層に適当な材料をドーピングすることもできる。
【0043】
上記の有機EL画像表示装置31を構成する有機EL素子層21の発光層は白色発光であり、上記の有機EL画像表示装置32を構成する有機EL素子層21の発光層は青色発光であるが、本発明では、有機EL素子層の発光層を、赤色発光、緑色発光、青色発光等の単色発光、または、赤色発光、緑色発光、青色発光が所定のパターンで組み合わされたもの、白色発光等、いずれの設定とすることができる。また、白色発光の場合には、発光波長の異なる発光層を積層した構造、発光波長の異なる発光層を小領域に複数分割して配設した構造、発光波長の異なる材料を含有した構造等、いずれであってもよい。
有機EL素子層21の各層に用いる発色材料、ドーピング材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料等は、下記に例示するような無機材料、有機材料いずれでもよい。また、有機EL素子層21の各層の厚みは特に制限はなく、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0044】
(発色材料)
(1)色素系発色材料
シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。
【0045】
(2)金属錯体系発色材料
アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等、または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
【0046】
(3)高分子系発色材料
ポリパラフェニレンビニレン錯体、ポリチオフェン錯体、ポリパラフェニレン錯体、ポリシラン錯体、ポリアセチレン錯体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン錯体等が挙げられる。
【0047】
(ドーピング材料)
ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等が挙げられる。
【0048】
(正孔輸送材料)
オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、多環芳香族化合物系、スチルベン二量体等が挙げられる。
また、π共役系高分子として、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(P−フェニレン)、ポリ(P−フェニレンスルフィド)、ポリ(P−フェニレンオキシド)、ポリ(1,6−ヘプタジエン)、ポリ(P−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレン)、ポリ(2,5−ピロール)、ポリ(m−フェニレンスルフィド)、ポリ(4,4′−ビフェニレン)等が挙げられる。
【0049】
また、電荷移動高分子錯体として、ポリスチレン・AgC104、ポリビニルナフタレン・TCNE、ポリビニルナフタレン・P−CA、ポリビニルナフタレン・DDQ、ポリビニルメシチレン・TCNE、ポリナフタアセチレン・TCNE、ポリビニルアントラセン・Br2、ポリビニルアントラセン・I2、ポリビニルアントラセン・TNB、ポリジメチルアミノスチレン・CA、ポリビニルイミダゾール・CQ、ポリ−P−フェニレン・I2、ポリ−1−ビニルピリジン・I2、ポリ−4−ビニルピリジン・I2、ポリ−P−1−フェニレン・I2、ポリビニルピリジウム・TCNQ等が挙げられ、さらに、電荷移動低分子錯体として、TCNQ−TTF等が、高分子金属錯体としては、ポリ銅フタロシアニン等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、イオン化ポテンシャルの小さい材料が好ましく、特に、ブタジエン系、エナミン系、ヒドラゾン系、トリフェニルアミン系が好ましい。
【0050】
(正孔注入材料)
フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の誘電性高分子オリゴマー等、を挙げることができる。
【0051】
さらに、正孔注入材料として、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物を挙げることもできる。上記のポリフィリン化合物としては、ポリフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、銅オクタメチルフタロシアニン等を挙げることができる。また、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等を挙げることができる。
【0052】
(電子注入材料)
アルミリチウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、上記のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。
【0053】
有機EL素子層21の形成は、隔壁25をマスクとして上述した材料を用いて真空蒸着法等により成膜して行うことができる。この方法では、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスク(周辺部の透明電極層18や補助電極19からなる電極端子への成膜を防止するためのマスク)を介して成膜することによって、隔壁25がマスクパターンとなり、各隔壁25間のみを発光層材料が通過して透明電極層18に到達することができる。これにより、フォトリソグラフィー法等のパターニングを行うことなく、帯状の有機EL素子層21を形成することができる。このような隔壁25を用いた有機EL素子層21の形成では、図12に示されるように、複数配列している隔壁25のうち、最も周辺部に位置している隔壁25の上部平面に、上記の画像表示領域の端部が位置しており、幅方向の約半分(画像表示領域側)のみにダミーの有機EL素子層21′が形成されている。
【0054】
有機EL画像表示装置31,32を構成する背面電極層22の材料としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、これらの混合物で形成される。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。電子注入性および電極としての酸化等に対する耐久性を考えると、電子注入性金属と、これより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物が好ましく、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が挙げられる。このような背面電極層22はシート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、このため、背面電極層22の厚みは、例えば、10nm〜1μm、好ましくは50〜200nm程度とすることができる。
【0055】
上記の背面電極層22は、隔壁25をマスクとして上述の電極材料を用いて真空蒸着法、イオンプレーティング蒸着法等の方法により成膜して形成することができる。すなわち、隔壁25がマスクパターンとなり、各隔壁25間のみを電極材料が通過して有機EL素子層21上に到達することができる。そして、フォトリソグラフィー法等のパターニングを行う必要がないので、有機EL素子層21の特性を劣化させることがない。
有機EL画像表示装置31,32を構成する絶縁層23は、ブラックマトリックス13上に位置するように形成されている。この絶縁層23は、例えば、透明保護層16と同様の材料で成膜し、これをフォトリソグラフィー法を用いたパターンエッチングで所望の形状として形成することができる。このような絶縁層23の厚みは1〜5μm程度とすることができる。
【0056】
尚、図示例では、絶縁層23は隔壁25の形成部位のみにストライプ状に設けられているが、これに限定されるものではなく、透明電極層18と背面電極層22とが有機EL素子層21を介して交差する各部位(絵素P)に開口をもつような格子形状のパターンからなる絶縁層23であってもよい。
【0057】
有機EL画像表示装置31,32を構成する隔壁25は、上述のように、帯状の透明電極層18と直交するように有機EL素子層21と背面電極層22とを帯状に形成するための隔壁パターンである。すなわち、隔壁25は、透明電極層18上に有機EL素子層21と背面電極層22を真空蒸着法等により形成する際のマスクの役割を果たすものである。このような隔壁25は、感光性樹脂をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして形成することができる。図12、図14に示される例では、隔壁25は下すぼまりの逆台形状の断面を有しているが、このように、隔壁25を下すぼまり、もしくは、上すぼまりの形状とするには、所定の厚みに設けたポジ型またはネガ型の感光性樹脂層を、露光方向を変えて多重露光する方法、パターンをずらして異なる方向から多重露光する方法等により実現することができる。図12、図14に示されるように、隔壁25が下すぼまりの場合には、法線方向からの蒸着の際に、隔壁25の下層である絶縁層23への付着を避けることができる。隔壁25の高さは1〜20μm程度、幅はブラックマトリックス13の幅等に応じて設定することができ、通常、ブラックマトリックス13の幅よりも2μm程度細い幅とする。
【0058】
本発明の有機EL画像表示装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、有機EL素子層の発光層は、赤色発光、緑色発光等の単色発光であってもよく、また、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであってもよい。また、カラーフィルタ層、色変換蛍光体層については、有機EL素子層の発光層の発光色、有機EL画像表示装置の用途等に応じて、いずれか一方、あるいは、双方を備えていない構造の有機EL画像表示装置であってもよい。
また、有機EL画像表示装置の隔壁の形成領域にも絵素部位と同様の凸部17,17′を備えるもの、隔壁の形成領域に絵素部位の凸部17,17′よりも高さの低い凸部を備えるもの等であってよい。
【実施例】
【0059】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
(ブラックマトリックスの形成)
透明基材として、150mm×150mm、厚み0.7mmのソーダガラス(セントラル硝子(株)製Sn面研磨品)を準備した。この透明基材を定法にしたがって洗浄した後、透明基材の片側全面にスパッタリング法により酸化窒化複合クロムの薄膜(厚み0.2μm)を形成し、この複合クロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、複合クロム薄膜のエッチングを行って、80μm×280μmの長方形状の開口部を、上記の80μm開口辺方向に100μmピッチ、280μm開口辺方向に300μmピッチでマトリックス状に備えたブラックマトリックスを形成した。
【0060】
(カラーフィルタ層の形成)
赤色、緑色、青色の3種の着色層用感光性塗料を調製した。すなわち、赤色着色層用感光性塗料は、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、透明な樹脂(可視光透過率50%以上)が好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂が挙げられる。また、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
【0061】
緑色着色層用感光性塗料は、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、上記の透明樹脂が挙げられ、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
【0062】
青色着色層用感光性塗料は、銅フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、上記の透明樹脂が挙げられ、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
【0063】
次に、上記の3種の着色層用感光性塗料を用いて各色の着色層を形成した。すなわち、ブラックマトリックスが形成された上記の透明基材全面に、緑色着色層用の感光性塗料をスピンコート法により塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。その後、所定の着色層用フォトマスクを用いて露光した。次いで、現像液(0.05%KOH水溶液)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行なった。これにより、300μmピッチでブラックマトリックスの開口部上に位置するように帯状(幅85μm)の緑色着色層(厚み1.5μm)を、ブラックマトリックスパターンの280μm開口辺方向に延設した。
【0064】
同様に、赤色着色層の感光性塗料を用いて、300μmピッチでブラックマトリックスの開口部上に位置するように帯状(幅85μm)の赤色着色層(厚み1.5μm)を、ブラックマトリックスパターンの280μm開口辺方向に延設した。さらに、青色着色層の感光性塗料を用いて、300μmピッチでブラックマトリックスの開口部上に位置するように帯状(幅85μm)の青色着色層(厚み1.5μm)を、ブラックマトリックスパターンの280μm開口辺方向に延設した。
【0065】
(透明保護層の形成)
幅10μm、長さ8990μmのストライプ状の開口部を20μmピッチで4本配設した開口部群を、開口部のストライプ方向と直交した方向に100μmピッチで108個備えたフォトマスクを準備した。
【0066】
次いで、ネガ型のアクリレート系光硬化型樹脂をスピンコート法によりカラーフィルタ層上に塗布し、プリベーク(100℃、3分間)した。次いで、この塗布膜を上記のフォトマスクを介して露光し、現像液(0.05質量%水酸化カリウム水溶液)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(230℃、60分間)を行なった。これにより、4本のストライプ状の凸部がカラーフィルタ層の各色の着色層上に位置(4本のストライプ状凸部からなる帯状部位の中央部が着色層の幅方向の中心と一致)するように備えた透明保護層(平坦部の厚み1.0μm)を形成した。
この透明保護層のストライプ状の凸部は、隣接する凸部の頂点間の距離の平均が20μmであり、隣接する凸部の頂点間を結ぶ直線から垂直に、凸部間に位置する凹部の底点までの距離の平均が5μmであった。尚、この測定は、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8500)により行なった。
【0067】
(補助電極の形成)
次に、上記の透明保護層上の全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み0.2μm)を形成し、このクロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム薄膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。この補助電極は、透明保護層のストライプ状の凸部と平行に形成されたストライプ状のパターンであり、幅15μmでブラックマトリックス上に相当する透明保護層の平坦部に位置し、透明基材周縁部の端子部では幅が60μmのものとした。
【0068】
(透明電極層の形成)
次いで、上記の補助電極を覆うように透明保護層上にイオンプレーティング法により膜厚150nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極膜を形成し、このITO電極膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO電極膜のエッチングを行って、透明電極層を形成した。この透明電極層は、透明基材上から透明保護層上に乗り上げ、各色の着色層と平行に、かつ、各色の着色層上に位置する透明保護層のストライプ状凸部を被覆するように形成された幅80μmの帯状パターンであり、幅方向の一方のエッジ部位は透明保護層の平坦部に位置し、他方のエッジ部位は上記の補助電極上に位置するものであった。
【0069】
これにより、図1〜3に示されるような本発明の有機EL用基板を得た。
このように形成した有機EL用基板の透明電極層は、透明保護層のストライプ状凸部を反映した凹凸形状を有するものであり、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の表面積を測定した結果、凹凸形状が存在しない場合と比べた面積増加率が125%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は5%であった。
尚、表面積の測定は、10個の絵素について、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8500)を用いて行なった。
【0070】
[実施例2]
透明保護層の形成において、実施例1で使用したフォトマスクのストライプ状の開口部に、300μmピッチで20μm長の非開口部を設けたフォトマスクを準備し、ストライプ状の開口部が4本平行に配列した開口群が、ブラックマトリックスの80μm×280μmの長方形状の開口部上に位置するように配置して露光した他は、実施例1と同様にして、図5、図6に示されるような、隔壁の形成領域に凸部が存在しない透明保護層を備えた有機EL用基板を得た。
このように形成した有機EL用基板の帯状の透明電極層は、幅方向の一方のエッジ部位が透明保護層の平坦部に位置し、他方のエッジ部位は上記の補助電極上に位置するものであった。また、帯状の透明電極層は、透明保護層のストライプ状凸部を反映した凹凸形状を絵素内に有するものであり、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の表面積を実施例1と同様に測定した結果、凹凸形状が存在しない場合と比べた面積増加率が125%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は5%であった。
【0071】
[実施例3]
透明保護層の形成において、実施例2で使用したフォトマスクのストライプ状の開口部が4本平行に配列した開口群に相当する領域(80μm×280μm)に、直径10μmの円形開口が20μmピッチで格子の交点に位置するように形成されたフォトマスクを準備し、上記の円形開口が形成された領域(80μm×280μm)が、ブラックマトリックスの80μm×280μmの長方形状の開口部上に位置するように配置して露光した他は、実施例1と同様にして、図7〜図9に示されるような、微細な複数の凸部を有し、かつ、隔壁の形成領域に凸部が存在しない透明保護層を備えた有機EL用基板を得た。
【0072】
このように形成した有機EL用基板の帯状の透明電極層は、幅方向の一方のエッジ部位が透明保護層の平坦部に位置し、他方のエッジ部位が上記の補助電極上に位置するものであった。また、帯状の透明保護層の複数の微細な凸部を反映した凹凸形状を有するものであり、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の表面積を実施例1と同様に測定した結果、凹凸形状が存在しない場合と比べた面積増加率が130%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は5%であった。
【0073】
[比較例1]
透明保護層の形成において、実施例2で使用したフォトマスクの代わりに、長さ280μmのストライプ状の開口部を、ストライプ方向と直交した方向に20μmピッチで連続して備えたフォトマスクを使用した他は、実施例2と同様にして有機EL用基板を得た。
このように形成した有機EL用基板の帯状の透明電極層は、透明保護層のストライプ状の凸部を反映した凹凸形状を有するものであり、幅方向の一方のエッジ部位が透明保護層のストライプ状の凸部の斜面に位置し、他方のエッジ部位は上記の補助電極を介してストライプ状の凸部の斜面に位置するものであった。また、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の表面積を実施例1と同様に測定した結果、凹凸形状が存在しない場合と比べた面積増加率が125%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は5%であった。
【0074】
[比較例2]
透明保護層の形成において、直径10μmの円形開口が20μmピッチで格子の交点に位置するように全面に形成したフォトマスクを使用して露光した他は、実施例1と同様にして、微細な複数の凸部を有する透明保護層を備えた有機EL用基板を得た。
このように形成した有機EL用基板の帯状の透明電極層は、透明保護層の複数の微細な凸部を反映した凹凸形状を有するものであり、幅方向の一方のエッジ部位が透明保護層の微細な複数の凸部を乗り越えるように位置し、他方のエッジ部位は上記の補助電極を介して微細な複数の凸部を乗り越えるように位置するものであった。また、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の表面積を実施例1と同様に測定した結果、凹凸形状が存在しない場合と比べた面積増加率が130%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は5%であった。
【0075】
[比較例3]
透明保護層の形成において、実施例1で使用したフォトマスクの代わりに、幅10μm、長さ11000μmのストライプ状の開口部を、ストライプ方向と直交した方向に20μmピッチで14本配置した開口部群を、開口部のストライプ方向と平行した方向に300μmピッチで30個備えたフォトマスクを準備し、マスクの開口部のストライプ方向が、透明電極層と直交するように配設して使用した他は、実施例1と同様にして有機EL用基板を得た。
このように形成した有機EL用基板の帯状の透明電極層は、幅方向の両エッジ部位が透明保護層のストライプ状の凸部の斜面に位置するものであった。また、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の表面積を実施例1と同様に測定した結果、凹凸形状が存在しない場合と比べた面積増加率が125%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]は5%であった。
【0076】
[評価1]
有機EL用基板に電圧(10V)を印加して発光させ、線欠陥(断線によって発光しない、もしくは輝度が著しく低下(高輝度のものに比べ50%以下)する)の発生の有無を観察した。この結果、実施例1〜3の有機EL用基板では、断線の発生率は20シート中0件であり、極めて断線が生じ難い構造であることが確認された。これに対して、比較例1〜3の有機EL用基板では、断線は20シート中1件以上であり、断線の生じる可能性が高いことが確認された。
【0077】
[実施例A]
上述の実施例1の有機EL用基板を使用し、以下の工程で有機EL画像表示装置を作製した。
(絶縁層と隔壁の形成)
平均分子量が約100000であるノルボルネン系樹脂(JSR(株)製ARTON)をトルエンで希釈した塗布液を使用し、スピンコート法により透明電極層を覆うように透明保護層上に塗布した後、ベーク(100℃、30分間)を行って絶縁膜(厚み1μm)を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、絶縁膜のエッチングを行って絶縁層を形成した。この絶縁層は、ブラックマトリックスの開口部に、絶縁層の開口部が位置するように配置され、絶縁層の開口部は、ブラックマトリックス開口部よりも大きい90μm×290μmの長方形状とした。
【0078】
次に、隔壁用塗料(日本ゼオン(株)製フォトレジスト ZPN1100)をスピンコート法により絶縁層を覆うように全面に塗布し、プリベーク(70℃、30分間)を行った。その後、所定の隔壁用フォトマスクを用いて露光し、現像液(日本ゼオン(株)製ZTMA−100)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に隔壁を形成した。この隔壁は、高さ(透明電極層の平坦部からの高さ)5μm、下部(絶縁層側)の幅15μm、上部の幅20μmである形状を有するものであった。
【0079】
(有機EL素子層の形成)
次いで、上記の隔壁をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、発光層、電子注入層からなる白色発光の有機EL素子層を形成した。
すなわち、まず、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミンを、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスクを介して60nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁がマスクパターンとなり、各隔壁間のみを正孔注入層の形成材料が通過して透明電極層上に正孔注入層が形成された。
同様にして、4,4′−ビス(2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(蛍光ピーク波長:465nm(固体))を40nm厚まで蒸着して成膜した。このとき、同時にルブレン(アルドリッチ(株)製、蛍光ピーク波長:585nm(ジメチルホルムアミド0.1重量%溶液))を少量含有させた。これにより白色蛍光層を形成した。
【0080】
その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで、隔壁をマスクパターンとして蒸着することにより電子注入層を形成した。
このようにして形成された白色発光の有機EL素子層は、幅280μmの帯状パターンとして各隔壁間に存在(各レンチキュラーレンズ素子上に存在)するものであり、隔壁の上部表面にも同様の層構成でダミーの有機EL素子層が形成された。
【0081】
(背面電極層の形成)
次に、画像表示領域よりも広い所定の開口部を備えたマスクを介して上記の隔壁が形成されている領域に真空蒸着法によりマグネシウムと銀を同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。
これにより、隔壁がマスクとなって、マグネシウム/銀混合物からなる背面電極層(厚み200nm)が白色発光の有機EL素子層上に形成された。この背面電極層は、幅280μmの帯状パターンとして有機EL素子層上に存在するものであり、隔壁の上部表面にもダミーの背面電極層が形成された。
以上により、有機EL画像表示装置を得た。
【0082】
[実施例B]
上述の実施例2の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、絶縁層、隔壁は、実施例2の有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0083】
[実施例C]
上述の実施例3の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、絶縁層、隔壁は、実施例3の有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0084】
[実施例D]
まず、実施例2と同様にして、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の透明電極層の表面積の増加率(凹凸形状が存在しない場合と比較)が125%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]が3%である有機EL用基板を作製した。
次いで、上記の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、絶縁層、隔壁は、有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0085】
[比較例A]
上述の比較例1の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、隔壁は、比較例1の有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0086】
[比較例B]
上述の比較例2の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。
【0087】
[比較例C]
まず、実施例2と同様にして、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の透明電極層の表面積の増加率(凹凸形状が存在しない場合と比較)が125%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]が7%である有機EL用基板を作製した。
次いで、上記の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、絶縁層、隔壁は、有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0088】
[比較例D]
まず、実施例3と同様にして、各絵素(80μm×280μmの長方形状)毎の透明電極層の表面積の増加率(凹凸形状が存在しない場合と比較)が130%であり、表面積の変動[(最大面積−最小面積)/平均面積×100]が7%である有機EL用基板を作製した。
次いで、上記の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、絶縁層、隔壁は、有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0089】
[比較例E]
上記の比較例3の有機EL用基板を使用し、実施例Aと同様の工程で有機EL画像表示装置を作製した。尚、隔壁は、比較例3の有機EL用基板において凸部が形成されていない隔壁形成領域に形成した。
【0090】
[評価2]
上述のように作製した有機EL画像表示装置(実施例A〜D、比較例A〜E)について、透明電極層と背面電極層に1mAの一定電流を流して連続駆動させることにより、透明電極層と背面電極層とが交差する所望の部位の有機EL素子層を発光させた。そして、カラーフィルタ層で色補正された後、透明基材の反対面側で観測される各色の発光について輝度を測定し、結果を下記の表1に示した。輝度の測定は各有機EL画像表示装置につき20点とし、その平均値を輝度とした。また、輝度の最大値と最小値の差を輝度ばらつきとして表1に示した。
【0091】
また、上記の条件で連続駆動させた場合の有機EL素子層の寿命を下記の基準で判定して、結果を下記の表1に示した。
(有機EL素子層の寿命判定基準)
1mAの一定電流を流して連続駆動させ、輝度の経時低下により、初期輝度
の50%まで輝度が低下するまでの時間を寿命とする。
【0092】
【表1】

【0093】
表1に示されるように、本発明の有機EL画像表示装置(実施例A〜D)は、高輝度で輝度バラツキの少ない画像表示が可能であり、かつ、有機EL素子層の寿命が長く信頼性の高いものであることが確認された。
これに対して、比較例A、B、Eの有機EL画像表示装置は、有機EL素子層の劣化が速いため寿命が短く、また、比較例C、Dの有機EL画像表示装置は、輝度バラツキが大きく、いずれも、本発明の有機EL画像表示装置に比べ性能が劣るものであった。
【産業上に利用可能性】
【0094】
有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の製造において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板の一実施形態を示す部分平面図である。
【図2】図1に示される有機EL用基板のA−A線における縦断面図である。
【図3】図1に示される有機EL用基板のB−B線における縦断面図である。本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の一実施形態を示す部分平面図である。
【図4】透明保護層の凸部と平坦部との関係を説明するための図である。
【図5】本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板の他の実施形態を示す部分平面図である。
【図6】図5に示される有機EL用基板のC−C線における縦断面図である。
【図7】本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板の他の実施形態を示す部分平面図である。
【図8】図7に示される有機EL用基板のD−D線における縦断面図である。
【図9】図7に示される有機EL用基板のE−E線における縦断面図である。
【図10】本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板の他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。
【図11】本発明の有機エレクトロルミネッセント用基板の他の実施形態を示す図3相当の縦断面図である。
【図12】本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の一実施形態を示す図2相当の縦断面図である。
【図13】本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の一実施形態を示す図3相当の縦断面図である。
【図14】本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1,2,3,4,3′…有機エレクトロルミネッセント用基板
12…透明基材
13…ブラックマトリックス
14…カラーフィルタ層
14R,14G,14B…着色層
15…色変換蛍光体層
15R…赤色変換蛍光体層
15G…緑色変換蛍光体層
15B…青色変換ダミー層
16…透明保護層
16a…透明保護層の平坦部
17,17′…凸部
18…透明電極層
18a…透明電極層のエッジ部位
19…補助電極
20…隔壁形成領域
21…有機エレクトロルミネッセンス素子層
22…背面電極層
23…絶縁層
25…隔壁
31,32…有機エレクトロルミネッセント画像表示装置
P…絵素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、該透明基材上に設けられた透明保護層と、該透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなる透明電極層と、を少なくとも備え、
前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って複数配列され、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された微細な凸部を有し、
各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、
有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における各絵素に相当する部位毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項2】
透明基材と、該透明基材上に設けられた透明保護層と、該透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなる透明電極層と、を少なくとも備え、
前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って連続し、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された複数のストライプ状の凸部を有し、
各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、
有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における各絵素に相当する部位毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項3】
隣接する前記凸部の頂点間の距離の平均が5〜100μmの範囲であり、隣接する凸部の頂点間を結ぶ直線から垂直に前記凸部間に位置する凹部の底点までの距離の平均が0.5〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項4】
有機エレクトロルミネッセント画像表示装置における隔壁の形成領域に相当する部位では、前記凸部が存在しないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項5】
前記透明基板と前記透明保護層との間にカラーフィルタ層を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項6】
前記カラーフィルタ層と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項7】
前記透明基板と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント用基板。
【請求項8】
透明基材と、該透明基材上に順次設けられた透明保護層、透明電極層、有機エレクトロルミネッセンス素子層、および、背面電極層とを少なくとも備え、前記透明電極層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子層を介して前記背面電極層と交差する複数の部位を絵素となし、
前記透明電極層は、前記透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなり、
前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って複数配列され、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された微細な凸部を有し、
各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、
各絵素毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項9】
透明基材と、該透明基材上に順次設けられた透明保護層、透明電極層、有機エレクトロルミネッセンス素子層、および、背面電極層とを少なくとも備え、前記透明電極層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子層を介して前記背面電極層と交差する複数の部位を絵素となし、
前記透明電極層は、前記透明保護層上に所定間隔で延設された複数の帯状透明電極層からなり、
前記透明保護層は、前記帯状透明電極層の延設方向に沿って連続し、かつ、前記帯状透明電極層に被覆された複数のストライプ状の凸部を有し、
各帯状透明電極層の幅方向のエッジ部位は、前記透明保護層上の前記凸部の存在しない平坦部に位置し、
各絵素毎の透明電極層の表面積の変動が±5%以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項10】
前記透明保護層の隣接する前記凸部の頂点間の距離の平均が5〜100μmの範囲であり、隣接する凸部の頂点間を結ぶ直線から垂直に前記凸部間に位置する凹部の底点までの距離の平均が0.5〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項11】
前記透明基板と前記透明保護層との間にカラーフィルタ層を備えることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項12】
前記カラーフィルタ層と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項13】
前記透明基板と前記透明保護層との間に色変換蛍光体層を備えることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項14】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、白色発光、青色発光、赤色発光、緑色発光のいずれか、あるいは、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであることを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、青色発光であり、前記色変換蛍光体層は青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えていることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項16】
前記帯状透明電極層と直交する方向にストライプ状に順次積層延設された絶縁層と隔壁とを備え、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層と背面電極層とは前記隔壁と平行に各隔壁間に位置することを特徴とする請求項8乃至請求項15のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項17】
前記隔壁の形成領域には前記凸部を有していないことを特徴とする請求項16に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−286227(P2006−286227A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100970(P2005−100970)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】