説明

有機エレクトロルミネッセント画像表示装置

【課題】 コントラスト、輝度が高く良好な画像表示が可能な有機エレクトロルミネッセント画像表示装置を提供する。
【解決手段】 有機エレクトロルミネッセント画像表示装置を、正孔注入電極と電子注入電極からなる一対の電極と、この電極間に配設された有機エレクトロルミネッセンス素子層と、非発光領域にマトリックス状に配設された絶縁層とを備えたものとし、上記の絶縁層の光学濃度OD値を0.5以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機のエレクトロルミネッセンス(EL)素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶ディスプレーと異なり全固体ディスプレーであること、温度変化の影響をあまり受けないこと、視野角が大きいこと等の利点をもっており、近年、画像表示装置の画素等としての実用化が進んでいる。
有機EL素子を用いた画像表示装置としては、例えば、(1)所望の単色発光の有機EL素子層を使用して表示するもの、(2)三原色の有機EL素子層を各発光色毎に所定のパターンで形成したもの、(3)白色発光の有機EL素子層を使用し、三原色のカラーフィルタを介して表示するもの、(4)青色発光の有機EL素子層を使用し、蛍光色素を利用した色変換蛍光体層を設置して、青色光を緑色蛍光や赤色蛍光に変換して三原色表示をするもの等が提案されている。
【0003】
このような有機EL画像表示装置の一例として、図6に示されるように、透明基板42上にカラーフィルタ層44、透明平滑化層46、ストライプ形状の透明電極層48を積層して有し、これらの積層の上には、透明電極層48と直交する方向に隔壁55が絶縁層53を介して延設され、各隔壁55間(絶縁層54間)にはストライプ状に有機EL素子層50と背面電極層51とが積層されたものがある。この有機EL画像表示装置は、隔壁55をマスクパターンとして有機EL素子層50と背面電極層51を形成したものであり、隔壁55上にはダミーの有機EL素子層50′と背面電極層51′が存在する。
【0004】
しかし、上述のような構造の有機EL画像表示装置では、透明基板42側から入射した外光のうち、カラーフィルタ層44、透明平滑化層46、透明電極層48を透過し、さらに絶縁層53、隔壁55を透過した光が、隔壁55上に存在するダミーの有機EL素子層50′と背面電極層51′で反射される場合がある。この場合、反射光が本来の画像表示用の光と共に認識されてしまい、画像のコントラスト低下を来たすという問題があった。
このような問題を解消するために、透明基板42に円偏光板を配設して、上記のような反射光の透過を防止するようにした有機EL画像表示装置が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述にような円偏光板を備えた有機EL画像表示装置は、本来の画像表示に必要な光も円偏光板で60%程度遮蔽され、表示画像の輝度低下を来たすという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、コントラストや輝度が高く、良好な画像表示が可能な有機エレクトロルミネッセント画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置は、正孔注入電極と電子注入電極からなる一対の電極と、該電極間に配された有機エレクトロルミネッセンス素子層と、非発光領域にマトリックス状に配設された絶縁層とを少なくとも備え、該絶縁層は光学濃度OD値が0.5以上であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、光学濃度OD値が0.5以上である層を少なくとも1層備えた多層構造であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、体積抵抗率が1010Ω・cm以上であるような構成とした。
【0007】
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、チタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物からなるチタン系黒色顔料の少なくとも1種からなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、二酸化ケイ素、窒化チタン、二酸化ケイ素の3層薄膜からなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、ポジ型感光性樹脂を硬化させた樹脂層に青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有したものであるような構成とした。
【0008】
本発明の他の態様として、前記絶縁層は、ポジ型感光性樹脂を硬化させた樹脂層にチタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物からなるチタン系黒色顔料の少なくとも1種を含有したものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、カラーフィルタ層を備えるような構成とし、また、前記カラーフィルタ層と前記電極との間に色変換蛍光体層を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、白色発光、青色発光、赤色発光、緑色発光のいずれか、あるいは、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、青色発光であり、前記色変換蛍光体層は青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えているような構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置は、光学濃度OD値が0.5以上である絶縁層が非発光領域に存在するので、入射した外光のうち、非発光領域に到達した光は、絶縁層で大部分が吸収され、また、この絶縁層を透過し、有機エレクトロルミネッセント画像表示装置内で反射された光が存在しても、このような反射光は、再度、絶縁層で大部分が吸収されるので、外光の反射が極めて少なくコントラストおよび輝度の高い高品質な画像表示が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機エレクトロルミネッセント(EL)画像表示装置の一実施形態を示す部分平面図であり、図2は図1に示される有機EL画像表示装置のA−A線における縦断面図であり、図3は図1に示される有機EL画像表示装置のB−B線における縦断面図である。尚、図1では、後述する補助電極7、透明電極層8を示すために、有機EL素子層10と背面電極層11の一部を切り欠いた状態で示している。
【0011】
図1〜図3において、有機EL画像表示装置1は、透明基材2と、この透明基材2上に設けられた帯状の赤色着色層4R、緑色着色層4G、青色着色層4Bからなるカラーフィルタ層4と、このようなカラーフィルタ層4を覆うように配設された透明平滑化層6と、この透明平滑化層6上に、周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に配設された補助電極7および透明電極層8と、を備えている。さらに、本発明の有機EL画像表示装置1では、非発光領域(透明電極層8と背面電極層11とが交差する領域を除く領域)にマトリックス形状の絶縁層13が形成されている。尚、図1では、露出している絶縁層13に斜線を付して示している。また、帯状の透明電極層8と直交するように絶縁層13を介して隔壁15が形成されている。この隔壁15が形成されていない部位には、これらと平行に(帯状の透明電極層8と直交するように)帯状の有機EL素子層10と背面電極層11とが形成されている。そして、上記の隔壁15の上部平面にはダミー有機EL素子層10′とダミー背面電極層11′とが形成されており、これらは、隔壁15をパターニング手段として利用した有機EL素子層10および背面電極層11の形成において、帯状のパターンを形成するために、不要な形成材料を透明電極層8上に到達しないよう隔壁15に付着させて排除した結果形成されたものである。尚、上記の透明電極層8と背面電極層11は、正孔注入電極と電子注入電極をなしている。
【0012】
このような本発明の有機EL画像表示装置1では、絶縁層13の光学濃度OD値が0.5以上、好ましくは1〜3であることを特徴とする。これにより、透明基板2側から入射した外光のうち、非発光領域に到達した光は、絶縁層13で大部分が吸収される。また、この絶縁層13を透過し、更に隔壁15を透過して、この隔壁15の上部平面に存在するダミー有機EL素子層10′とダミー背面電極層11′で反射された光(図2に鎖線矢印で示される光)は、再度、絶縁層13で大部分が吸収される。したがって、有機EL画像表示装置1では、外光の反射が極めて少ないものとなり、コントラストおよび輝度の高い高品質な画像表示が可能である。また、このような絶縁層13は、光学濃度OD値が0.5以上、好ましくは1〜3であるような層を少なくとも1層備えた多層構造であってもよい。絶縁層13の光学濃度OD値が0.5未満であると、上述のような効果が奏されず好ましくない。
【0013】
尚、本発明における絶縁層の光学濃度OD値は、絶縁層単体の分光透過率(波長:380〜780nm)を分光光度計(大塚電子(株)製のカラーフィルタ分光特性検査装置)で測定して算出する。
また、上記の絶縁層13は、体積抵抗率が1010Ω・cm以上、好ましくは1014Ω・cm以上であることが望ましい。絶縁層13の体積抵抗率が1010Ω・cm未満であると、絶縁層13、隔壁15を介して隣接する絵素間のクロストークが生じ易く、画像品質が低下して好ましくない。
尚、本発明における絶縁層の体積抵抗率は、高抵抗抵抗率計(ダイヤインスツルメンツ(株)製 ハイレスタUPMCP−HT450型)を用いて、2重リングプローブ法により測定する。
【0014】
次に、本発明の有機EL画像表示装置1の各構成部材について説明する。
有機EL画像表示装置1を構成する透明基材2は、光透過性を有するガラス材料、樹脂材料、これらの複合材料からなるものを使用することができる。透明基材2の厚みは、材料、画像表示装置の使用状況等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜1.1mm程度とすることができる。
また、カラーフィルタ層4は、有機EL素子層10からの光を色補正したり、色純度を高めるものである。カラーフィルタ層4を構成する赤色着色層4R、緑色着色層4G、青色着色層4Bは、有機EL素子層10の発光特性に応じて適宜材料を選択することができ、例えば、顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂、反応性化合物および溶媒を含有する顔料分散組成物で形成することができる。このようなカラーフィルタ層4の厚みは、各着色層の材料、有機EL素子層の発光特性等に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜3μm程度の範囲で設定することができる。
【0015】
有機EL画像表示装置1を構成する透明平滑化層6は、カラーフィルタ層4以下の構成により段差(表面凹凸)が存在する場合に、この段差を解消して平坦化を図り、有機EL素子層10の厚みムラ発生を防止する平坦化作用をなす。このような透明平滑化層6は、透明(可視光透過率50%以上)樹脂により形成することができる。具体的には、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。また、透明樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
【0016】
このような透明平滑化層6の厚みは、使用する材料を考慮し、平坦化作用が発現できる範囲で設定することができ、例えば、1〜5μm程度の範囲で適宜設定することができる。
有機EL画像表示装置1を構成する補助電極7は、一般には、金属材料が用いられ、金、銀、銅、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム等を挙げることができる。このような補助電極7は、周辺の端子部から中央の画素領域まで配設されている。
また、有機EL画像表示装置1を構成する透明電極層8の材料としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、これらの混合物を使用することができ、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二スズ等の導電材料を挙げることができる。この透明電極層8は、周辺の端子部から中央の画素領域まで、一部を上記の補助電極7上に位置するように帯状に配設されている。このような透明電極層8はシート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、材質にもよるが、透明電極層8の厚みは、例えば、10nm〜1μm、好ましくは10〜200nm程度とすることができる。
【0017】
有機EL画像表示装置1を構成する有機EL素子層10は、発光層単独からなる構造、発光層の透明電極層8側に正孔注入層を設けた構造、発光層の背面電極層11側に電子注入層を設けた構造、発光層の透明電極層8側に正孔注入層を設け、背面電極層11側に電子注入層を設けた構造等とすることができる。
また、発光波長を調整したり、発光効率を向上させる等の目的で、上記の各層に適当な材料をドーピングすることもできる。
【0018】
有機EL素子層10の発光層は、赤色発光、緑色発光、青色発光等の単色発光、または、赤色発光、緑色発光、青色発光が所定のパターンで組み合わされたもの、白色発光等、いずれであってもよい。また、白色発光の場合には、発光波長の異なる発光層を積層した構造、発光波長の異なる発光層を小領域に複数分割して配設した構造、発光波長の異なる材料を含有した構造等、いずれであってもよい。
有機EL素子層10の各層に用いる発色材料、ドーピング材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料等は、下記に例示するような無機材料、有機材料いずれでもよい。また、有機EL素子層10の各層の厚みは特に制限はなく、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0019】
(発色材料)
(1)色素系発色材料
シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。
【0020】
(2)金属錯体系発色材料
アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等、または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
【0021】
(3)高分子系発色材料
ポリパラフェニレンビニレン錯体、ポリチオフェン錯体、ポリパラフェニレン錯体、ポリシラン錯体、ポリアセチレン錯体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン錯体等が挙げられる。
【0022】
(ドーピング材料)
ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等が挙げられる。
【0023】
(正孔輸送材料)
オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、多環芳香族化合物系、スチルベン二量体等が挙げられる。
また、π共役系高分子として、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(P−フェニレン)、ポリ(P−フェニレンスルフィド)、ポリ(P−フェニレンオキシド)、ポリ(1,6−ヘプタジエン)、ポリ(P−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレン)、ポリ(2,5−ピロール)、ポリ(m−フェニレンスルフィド)、ポリ(4,4′−ビフェニレン)等が挙げられる。
【0024】
また、電荷移動高分子錯体として、ポリスチレン・AgC104、ポリビニルナフタレン・TCNE、ポリビニルナフタレン・P−CA、ポリビニルナフタレン・DDQ、ポリビニルメシチレン・TCNE、ポリナフタアセチレン・TCNE、ポリビニルアントラセン・Br2、ポリビニルアントラセン・I2、ポリビニルアントラセン・TNB、ポリジメチルアミノスチレン・CA、ポリビニルイミダゾール・CQ、ポリ−P−フェニレン・I2、ポリ−1−ビニルピリジン・I2、ポリ−4−ビニルピリジン・I2、ポリ−P−1−フェニレン・I2、ポリビニルピリジウム・TCNQ等が挙げられ、さらに、電荷移動低分子錯体として、TCNQ−TTF等が、高分子金属錯体としては、ポリ銅フタロシアニン等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、イオン化ポテンシャルの小さい材料が好ましく、特に、ブタジエン系、エナミン系、ヒドラゾン系、トリフェニルアミン系が好ましい。
【0025】
(正孔注入材料)
フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の誘電性高分子オリゴマー等、を挙げることができる。
【0026】
さらに、正孔注入材料として、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物を挙げることもできる。上記のポリフィリン化合物としては、ポリフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、銅オクタメチルフタロシアニン等を挙げることができる。また、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等を挙げることができる。
【0027】
(電子注入材料)
アルミリチウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、上記のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。
【0028】
有機EL素子層10の形成は、隔壁15をマスクとして上述した材料を用いて真空蒸着法等により成膜して行うことができる。この方法では、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスク(周辺部の補助電極7や透明電極層8からなる電極端子への成膜を防止するためのマスク)を介して成膜することによって、隔壁15がマスクパターンとなり、各隔壁15間のみを発光層材料が通過して透明電極層8に到達することができる。これにより、フォトリソグラフィー法等のパターニングを行うことなく、帯状の有機EL素子層10を形成することができる。このような隔壁15を用いた有機EL素子層10の形成では、図1および図2に示されるように、複数配列している障壁部15のうち、最も周辺部に位置している隔壁15の上部平面に、上記の画像表示領域の端部が位置しており、幅方向の約半分(画像表示領域側)のみにダミー有機EL素子層10′が形成される。
【0029】
有機EL画像表示装置1を構成する背面電極層11の材料としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、これらの混合物で形成される。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。電子注入性および電極としての酸化等に対する耐久性を考えると、電子注入性金属と、これより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物が好ましく、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が挙げられる。このような背面電極層11はシート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、このため、背面電極層11の厚みは、例えば、10nm〜1μm、好ましくは50〜200nm程度とすることができる。
【0030】
上記の背面電極層11は、隔壁15をマスクとして上述の電極材料を用いて真空蒸着法、イオンプレーティング蒸着法等の方法により成膜して形成することができる。すなわち、隔壁15がマスクパターンとなり、各隔壁15間のみを電極材料が通過して有機EL素子層10上に到達することができる。そして、フォトリソグラフィー法等のパターニングを行う必要がないので、有機EL素子層10の特性を劣化させることがない。
【0031】
有機EL画像表示装置1を構成する絶縁層13は、非発光領域(透明電極層8と背面電極層11とが交差する領域を除く領域)にマトリックス形状に形成されている。この絶縁層13は、上述のように、光学濃度OD値が0.5以上、好ましくは1〜3である。このような絶縁層13は、例えば、チタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物等のチタン系黒色顔料の1種、あるいは2種以上からなる薄膜、あるいは、青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有した薄膜であってよい。この絶縁層13は、真空蒸着法、イオンプレーティング蒸着法等の方法により成膜し、その後、エッチングによるパターニング等を行なうことにより形成することができる。このような絶縁層13の厚みは、例えば、0.2〜1μm程度とすることができる。
【0032】
また、絶縁層13は、感光性樹脂材料を用いてパターニングした後、硬化させたものであってもよい。この場合、脱ガス性が低く、有機EL素子層10へ脱ガス成分の拡散による画像表示品質の低下、短寿命化を防止できるポジ型感光性樹脂材料を使用することが好ましい。例えば、このようなポジ型感光性樹脂材料に、上述のようなチタン系黒色顔料の1種、あるいは2種以上を含有させた塗布液、あるいは、青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有させた塗布液を用いて、フォトリソグラフィー法により絶縁層13を形成することができる。チタン系黒色顔料や青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の含有量は、絶縁層13の光学濃度OD値が0.5以上となるように設定することができ、絶縁層13の厚みは、例えば、1〜3μm程度とすることができる。
【0033】
また、絶縁層13は、多層構造であってもよく、この場合、多層構造を構成する少なくとも1層が光学濃度OD値0.5以上であればよい。多層構造には特に制限はなく、例えば、上述のチタン系黒色顔料からなる薄膜が2種以上積層されたもの、チタン系黒色顔料からなる薄膜と二酸化ケイ素薄膜等の絶縁薄膜とが積層されたもの、青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有する薄膜と二酸化ケイ素薄膜等の絶縁薄膜とが積層されたもの、チタン系黒色顔料、あるいは青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有するからなる薄膜とポジ型感光性樹脂材料の硬化膜とが積層されたもの、さらに、このポジ型感光性樹脂材料の硬化膜にチタン系黒色顔料、あるいは青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上が含有されるもの等であってよい。
【0034】
ここで、青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を使用する場合は、各色の着色剤について、種々の有機顔料または無機顔料を用いることができる。分光特性および導電性の点から、有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.:The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。好適な赤色着色剤の例としては、具体的には、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254等のレッド系ピグメントが挙げられる。
【0035】
また、好適な黄色着色剤の例としては、具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメントが挙げられる。
【0036】
さらに、好適な青色着色剤の例としては、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー21、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64等のブルー系ピグメントを挙げることができる。
また、無機顔料の具体例としては、赤色着色剤として、赤色酸化鉄(III)、カドミウム赤等、黄色着色剤として、黄色鉛、亜鉛黄等、青色着色剤として、群青、紺青等を挙げることができる。
【0037】
有機EL画像表示装置1を構成する隔壁15は、上述のように、帯状の透明電極層8と直角に交差するように有機EL素子層10と背面電極層11とを帯状に形成するための隔壁パターンである。すなわち、隔壁15は、透明電極層8上に有機EL素子層10と背面電極層11を真空蒸着法等により形成する際のマスクの役割を果たすものである。このような隔壁15は、感光性樹脂をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして形成することができる。図2に示される例では、隔壁15は下すぼまりの逆台形状の断面を有しているが、このように、隔壁15を下すぼまり、もしくは、上すぼまりの形状とするには、所定の厚みで形成したポジ型またはネガ型の感光性樹脂層を、露光方向を変えて多重露光する方法、パターンをずらして異なる方向から多重露光する方法等により実現することができる。このような隔壁15の高さは1〜20μm程度、幅は5〜30μm程度の範囲で設定することができる。
【0038】
上記のような隔壁15が光透過性を具備していても、絶縁層13が光学濃度OD値0.5以上であるため、透明基板2側から入射し、透明平滑化層6、透明電極層8を透過して隔壁15の配設領域に到達した外光は、絶縁層13で大部分が吸収され、また、絶縁層13を透過し、更に隔壁15を透過して、この隔壁15の上部平面に存在するダミー有機EL素子層10′とダミー背面電極層11′で反射された光は、再度、絶縁層13で大部分が吸収される。したがって、有機EL画像表示装置1では、外光の反射が極めて少ないものとなる。
尚、本発明の有機EL画像表示装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、カラーフィルタ層4を備えていないもの、カラーフィルタ4が1色の着色層からなるもの等であってもよい。
【0039】
また、本発明の有機EL画像表示装置は、カラーフィルタ層と透明平滑化層との間に色変換蛍光体層を備えるものであってもよい。図4は、このような色変換蛍光体層を備えた有機EL画像表示装置の一例を示す図3相当の縦断面図である。図4において、有機EL画像表示装置21は、透明基材22と、この透明基材22上に帯状に形成された赤色着色層24R、緑色着色層24G、青色着色層24Bからなるカラーフィルタ層24を備えている。
【0040】
このようなカラーフィルタ層24を覆うように色変換蛍光体層25が設けられている。色変換蛍光体層25は、赤色着色層24R上に赤色変換蛍光体層25R(青色光を赤色蛍光に変換する層)が設けられ、緑色着色層24G上に緑色変換蛍光体層25G(青色光を緑色蛍光に変換する層)が設けられ、青色着色層24B上には、青色変換ダミー層(青色発光をそのまま透過する層)25Bが設けられている。
【0041】
この色変換蛍光体層25を覆うように、透明平滑化層26が透明基材22上に設けられ、この透明平滑化層26上に補助電極27および透明電極層28が周辺の端子部から中央の画素領域まで帯状に配設され形成されている。さらに、帯状の透明電極層28と直交するように帯状の有機EL素子層30と背面電極層31とが透明平滑化層26上に形成されている。また、非発光領域(透明電極層28と背面電極層31とが交差する領域を除く領域)にマトリックス形状の絶縁層33が形成され、さらに、帯状の透明電極層28と直交するように、絶縁層33を介して隔壁35が形成されている。この隔壁35の上部平面にはダミー有機EL素子層30′とダミー背面電極層31′とが形成されている。
【0042】
このような有機EL画像表示装置21は、色変換蛍光体層25を備え、有機EL素子層30が青色発光である点を除いて、上述の有機EL画像表示装置1と同様である。したがって、透明基材22、カラーフィルタ層24、透明平滑化層26、補助電極27、透明電極層28、背面電極層31、無機化合物膜32、絶縁層33、隔壁35は、上述の有機EL画像表示装置1を構成する透明基材2、カラーフィルタ層4、透明平滑化層6、補助電極7、透明電極層8、背面電極層11、絶縁層13、隔壁15と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0043】
上記の赤色変換蛍光体層25Rおよび緑色変換蛍光体層25Gは、蛍光色素単体からなる層、あるいは、樹脂中に蛍光色素を含有した層である。青色発光を赤色蛍光に変換する赤色変換蛍光体層25Rに使用する蛍光色素としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、オキサジン系色素等が挙げられる。また、青色発光を緑色蛍光に変換する緑色変換蛍光体層25Gに使用する蛍光色素としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2′−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド色素等が挙げられる。さらに、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等の各種染料も蛍光性があれば使用することができる。上述のような蛍光色素は単独、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。赤色変換蛍光体層25Rおよび緑色変換蛍光体層25Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、蛍光色素の含有量は、使用する蛍光色素、色変換蛍光体層の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、使用する樹脂100重量部に対し0.1〜1重量部程度とすることができる。
【0044】
また、青色変換ダミー層25Bは、有機EL素子層30で発光された青色光をそのまま透過してカラーフィルタ層24に送るものであり、赤色変換蛍光体層25R、緑色変換蛍光体層25Gとほぼ同じ厚みの透明樹脂層とすることができる。
赤色変換蛍光体層25Rおよび緑色変換蛍光体層25Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等の透明(可視光透過率50%以上)樹脂を使用することができる。また、色変換蛍光体層25のパターン形成をフォトリソグラフィー法により行う場合、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト樹脂を使用することができる。さらに、これらの樹脂は、上述の青色変換ダミー層25Bに使用することができる。
【0045】
色変換蛍光体層25を構成する赤色変換蛍光体層25Rと緑色変換蛍光体層25Gは、蛍光色素単体で形成する場合、例えば、所望の開口部を備えたマスクを介して真空蒸着法、スパッタリング法により帯状に形成することができる。また、樹脂中に蛍光色素を含有した層として形成する場合、例えば、蛍光色素と樹脂とを分散、または可溶化させた塗布液をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、上記の塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により赤色変換蛍光体層25Rや緑色変換蛍光体層25Gを形成することができる。また、青色変換ダミー層25Bは、所望の感光性樹脂塗料をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、所望の樹脂塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により形成することができる。
【0046】
このような色変換蛍光体層25の厚みは、赤色変換蛍光体層25Rおよび緑色変換蛍光体層25Gが有機EL素子層30で発光された青色光を十分に吸収し蛍光を発生する機能が発現できるものとする必要があり、使用する蛍光色素、蛍光色素濃度等を考慮して適宜設定することができ、例えば、10〜20μm程度とすることができ、赤色変換蛍光体層25Rと緑色変換蛍光体層25Gとの厚みが異なる場合があってもよい。
青色発光である有機EL素子層30は、上述の有機EL素子層10の材料から青色発光を適宜選択して形成することができる。発色材料としては、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリディン系化合物等を挙げることができる。
【0047】
具体的には、2−2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスヘンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系; 2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系; 2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等のベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤を挙げることができる。
また、上記の金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ[f]−8−キノリノール)亜鉛等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピントリジオン等を挙げることができる。
【0048】
また、上記のスチリルベンゼン系化合物としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を挙げることができる。
また、上記のジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等を挙げることができる。
【0049】
また、上記の芳香族ジメチリディン系化合物としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメチリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、およびその誘導体を挙げることができる。
【0050】
さらに、発光層の材料として、一般式(Rs−Q)2−AL−O−Lで表される化合物も挙げることができる(上記式中、ALはベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子であり、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個以上結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート置換基を表す)。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラーフェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
青色発光の有機EL素子層30の構造が、発光層の透明電極層28側に正孔注入層を設けた構造、発光層の背面電極層31側に電子注入層を設けた構造、発光層の透明電極層28側に正孔注入層を設け、背面電極層31側に電子注入層を設けた構造等である場合、正孔注入層、電子注入層は、上述の有機EL素子層10の場合と同様とすることができる。
【0051】
尚、上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、図5に示されるように、所定のパターンで開口部3aと遮光部3bを備えたブラックマトリックス3を介してカラーフィルタ層4等の各構成層を設けてもよい。ブラックマトリックス3としては、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜パターン、あるいは、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有した樹脂層パターン等、いずれであってもよい。
【実施例】
【0052】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
まず、透明基材として、150mm×150mm、厚み0.7mmのソーダガラス(セントラル硝子(株)製Sn面研磨品)を準備した。
(カラーフィルタ層の形成)
【0053】
赤色、緑色、青色の3種の着色層用感光性塗料を調製した。すなわち、赤色着色層用感光性塗料は、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、透明(可視光透過率50%以上)な樹脂が好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂が挙げられる。また、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
【0054】
緑色着色層用感光性塗料は、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、上記の透明樹脂が挙げられ、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
青色着色層用感光性塗料は、銅フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、上記の透明樹脂が挙げられ、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
【0055】
次に、上記の3種の着色層用感光性塗料を用いて各色の着色層を形成した。すなわち、上記の透明基材全面に、緑色着色層用の感光性塗料をスピンコート法により塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。その後、所定の着色層用フォトマスクを用いて露光した。次いで、現像液(0.05%KOH水溶液)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行って、帯状(幅85μm)の緑色着色層(厚み1.5μm)を300μmピッチで形成した。
同様に、赤色着色層の感光性塗料を用いて、帯状(幅85μm)の赤色着色層(厚み1.5μm)を、上記の緑色着色層の延設方向と平行に、それぞれ300μmピッチで形成した。隣接する緑色着色層と赤色着色層のピッチは100μmとした。さらに、青色着色層の感光性塗料を用いて、帯状(幅85μm)の青色着色層(厚み1.5μm)を、上記の緑色着色層の延設方向と平行に緑色着色層と赤色着色層の中間領域に、それぞれ300μmピッチで形成した。これにより、着色層の延設方向と直角方向の300μm幅内に、帯状(幅85μm)の緑色着色層、赤色着色層、青色着色層が100μmピッチで配設され、この300μm単位が繰り返えされてなる着色層が形成された。
【0056】
(透明平滑化層の形成)
ノルボルネン系樹脂(JSR(株)製ARTON)をトルエンで希釈した透明平滑化層用塗布液を、スピンコート法によりカラーフィルタ層上に塗布し、硬化処理(230℃、60分間)を行って透明平滑化層(厚み1.5μm)を形成した。
【0057】
(補助電極の形成)
次に、上記の透明平滑化層上の全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み0.2μm)を形成し、このクロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム薄膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。この補助電極は、カラーフィルタ層の各着色層と平行に100μmピッチで形成されたストライプ状のパターンであり、幅15μmのうち5μmが各着色層上に位置し、幅方向の残りの部位は透明平滑化層上に位置するものであり、透明基材周縁部の端子部では幅が60μmのものとした。
【0058】
(透明電極層の形成)
次いで、上記の補助電極を覆うように透明平滑化層上にイオンプレーティング法により膜厚150nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極膜を形成し、このITO電極膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO電極膜のエッチングを行って、透明電極層を形成した。この透明電極層は、カラーフィルタ層の各着色層と平行に形成された幅80μmの帯状パターンであり、各着色層上に位置するとともに、上記の補助電極に重なる(重なり幅2.5μm)ものであった。
【0059】
(絶縁層と隔壁の形成)
上記の透明電極層を覆うようにスパッタリング法により二酸化ケイ素、窒化チタン、二酸化ケイ素の3層薄膜を形成して、厚み0.3μm(各二酸化ケイ素薄膜=0.1μm、窒化チタン=0.1μm)の絶縁膜を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像してレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとして、30℃のエッチング液(9H2O・1HF液あるいは7H2O・2HNO3・1HF液)を用いたスプレーエッチングにより、露出している絶縁膜を除去して絶縁層を形成した。この絶縁層は、90μm×290μmの長方形状の開口部を、290μmの辺方向に300μmピッチ、90μmの辺方向に100μmピッチで有し、この開口部の290μmの辺が着色層や透明電極層の延設方向と同一であり、開口部が各着色層上に位置するマトリックス形状であった。
【0060】
上記の絶縁層の光学濃度OD値と体積抵抗率を下記の方法で測定した結果、光学濃度OD値は2.0、体積抵抗率は1014Ω・cmであった。
(光学濃度OD値の測定方法)
絶縁層の分光透過率(波長:380〜780nm)を分光光度計(大塚電子
(株)製のカラーフィルタ分光特性検査装置)で測定して算出した。
(体積抵抗率の測定方法)
高抵抗抵抗率計(ダイヤインスツルメンツ(株)製 ハイレスタUPMCP
−HT450型)を用いて、2重リングプローブ法により測定した。
【0061】
次に、隔壁用塗料(日本ゼオン(株)製フォトレジスト ZPN1100)をスピンコート法により絶縁層を覆うように全面に塗布し、プリベーク(70℃、30分間)を行った。その後、所定の隔壁用フォトマスクを用いて露光し、現像液(日本ゼオン(株)製ZTMA−100)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、マトリックス形状の絶縁層上(開口部の90μmの辺に平行な方向)に隔壁を形成した。この隔壁は、高さ10μm、下部(絶縁層側)の幅15μm、上部の幅26μmである形状を有するものであった。
【0062】
(有機EL素子層の形成)
次いで、上記の隔壁をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、発光層、電子注入層からなる有機EL素子層を形成した。すなわち、まず、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスクを介して200nm厚まで蒸着して成膜し、その後、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁がマスクパターンとなり、各隔壁間のみを正孔注入層材料が通過して透明電極層上に正孔注入層が形成された。
【0063】
次に、上記と同様に、隔壁をマスクとして、有機発色材料を300nmまで蒸着して成膜することにより発光層を形成した。
さらに、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層とした。
このようにして形成された有機EL素子層(厚み500nm)は、幅約280μmの帯状パターンとして各隔壁間に存在するものであり、隔壁の上部表面にも同様の層構成でダミー有機EL素子層が形成された。
【0064】
(背面電極層の形成)
次に、画像表示領域よりも広い所定の開口部を備えたマスクを介して上記の隔壁が形成されている領域に真空蒸着法によりマグネシウムと銀を同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。
これにより、隔壁がマスクとなって、マグネシウム/銀混合物からなる背面電極層(厚み200nm)が有機EL素子層上に形成された。この背面電極層は、幅280μmの帯状パターンとして有機EL素子層上に存在するものであり、隔壁の上部表面にもダミー背面電極層が形成された。
以上により、本発明の有機EL画像表示装置を得た。
【0065】
[実施例2]
絶縁層を以下のように形成した他は、実施例1と同様にして、本発明の有機EL画像表示装置を作製した。
すなわち、透明電極層を覆うように下記組成のポジ型感光性の絶縁層用塗布液をスピンコート法により塗布した後、ベーク(230℃、30分間)を行って後、マスク露光、現像を行なって、絶縁層(厚み1.2μm)を形成した。
(絶縁層用塗布液)
・1,2−ナフトキノン−(2)−ジアジド−5−スルホン酸と
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとのエステル… 30重量部
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート共重合体
(組成比22:26:30:22、分子量15000) …100重量部
・黒色分散液 … 60重量部
【0066】
尚、上記の黒色分散液は以下のように調製した。すなわち、チタンブラック(三菱マテリアル(株)製 13M−C)200g、MBA(メトキリブチルアセテート)300g、コロイダルシリカ(日産化学(株)製 スノーテックスNPC−ST、平均粒径10〜20nm)50gに、ジルコニアビーズ(昭和シェル石油(株)製 ミクロハイカZ Z300、直径0.3mm)300ccを加え、サンドミルにてローター回転数1500rpmの条件で2時間分散した。その後、上記の分散液に分散剤(アビシア(株)製 ソルスパース24000)を20g添加し、更にサンドミルにてローター回転数1500rpmの条件で3時間分散し、その後、ジルコニアビーズを除去して、黒色分散液を得た。
得られた絶縁層の光学濃度OD値と体積抵抗率を実施例1と同様に測定した結果、光学濃度OD値は1.0、体積抵抗率は1015Ω・cmであった。
【0067】
[実施例3]
下記の配合量により赤色顔料分散液、黄色顔料分散液、青色顔料分散液を秤量混合し、各混合液にそれぞれジルコニアビーズ(昭和シェル石油(株)製 ミクロハイカZ Z300、直径0.3mm)を使用して、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製 PAINT SHAKER)にて、3時間分散し、赤色、青色、黄色の各顔料分散液を得た。
(赤色顔料分散液配合)
・C.I.Pigment Red254 … 22重量部
(チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・高分子量顔料分散剤 … 9重量部
(アビシア(株)製 ソルスパース24000GR)
・メトキシプロピルアセテート … 69重量部
(ダイセル化学工業(株)製)
【0068】
(黄色顔料分散液配合)
・C.I.Pigment Yellow139(BASF社製) … 30重量部
・高分子量顔料分散剤 … 9重量部
(アビシア(株)製 ソルスパース24000GR)
・メトキシプロピルアセテート … 61重量部
(ダイセル化学工業(株)製)
【0069】
(青色顔料分散液配合)
・C.I.Pigment Blue(東洋インキ(株)製) … 24重量部
・高分子量顔料分散剤 … 10重量部
(アビシア(株)製 ソルスパース24000GR)
・メトキシプロピルアセテート … 66重量部
(ダイセル化学工業(株)製)
【0070】
次に、上記の赤色、青色、黄色の各顔料分散液を下記比率で混合して、黒色分散剤を得た。
(黒色分散剤の各顔料分散液に比率)
・赤色顔料分散液 … 40重量%
・青色顔料分散液 … 40重量%
・黄色顔料分散液 … 20重量%
【0071】
次いで、上記の黒色分散剤を使用して、下記組成のポジ型感光性の絶縁層用塗布液を調製した。
(絶縁層用塗布液)
・1,2−ナフトキノン−(2)−ジアジド−5−スルホン酸と
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとのエステル… 30重量部
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート共重合体
(組成比22:26:30:22、分子量15000) …100重量部
・黒色分散液 … 40重量部
【0072】
この絶縁層用塗布液を使用した他は、実施例2と同様にして、本発明の有機EL画像表示装置を作製した。
得られた絶縁層の光学濃度OD値と体積抵抗率を実施例1と同様に測定した結果、光学濃度OD値は0.9、体積抵抗率は1015Ω・cmであった。
【0073】
[比較例1]
絶縁層用塗布液として、上記の透明平滑化層用塗布液を使用して絶縁層を形成した他は、実施例2と同様にして、有機EL画像表示装置を作製した。
すなわち、透明電極層を覆うように透明平滑化層用塗布液をスピンコート法により塗布した後、ベーク(100℃、30分間)を行って絶縁膜(厚み1.2μm)を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像してレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとして、有機現像液を用いたスプレーエッチングにより、露出している絶縁膜を除去して絶縁層を形成した。
この絶縁層の光学濃度OD値と体積抵抗率を実施例1と同様に測定した結果、光学濃度OD値は0.2、体積抵抗率は1015Ω・cmであった。
【0074】
[比較例2]
比較例2と同様にして、有機EL画像表示装置を作製した。ただし、絶縁層の厚みは、実施例1と同様に測定した光学濃度OD値が0.4となるように設定した。
得られた絶縁層の体積抵抗率を実施例1と同様に測定した結果、1015Ω・cmであった。
【0075】
[比較例3]
絶縁層の形成工程において、窒化チタンの薄膜形成に代えて、スパッタリング法によりクロムの薄膜(厚み0.3μm)を形成して3層構造の絶縁層を形成した他は、実施例1と同様にして、有機EL画像表示装置を作製した。
この絶縁層の光学濃度OD値と体積抵抗率を実施例1と同様に測定した結果、光学濃度OD値は4.0、体積抵抗率は109Ω・cmであった。
【0076】
[評価]
上述のように作製した有機EL画像表示装置(実施例1〜3、比較例1〜3)の透明電極層と背面電極層に直流8.5Vの電圧を10mA/cm2の一定電流密度で印加し、下記の評価方法でコントラストを評価し、結果を下記の表1に示した。
(コントラストの評価方法)
外光照射を絶縁層部に照射した場合の明るさYON、照射しない場合の明るさ
をYOFFとし、コントラストをYOFF/YONと定義して、このコントラストが
0.8以上を良好と判定した。
【0077】
また、隣接する絵素間のクロストーク有無を下記の評価方法で判断し、結果を下記の表1に示した。
(クロストーク有無の判断方法)
選択絵素の点灯時の明るさをYONとし、それに隣接する非選択絵素の明るさ
をYOFFとしたときに、YOFF>YON/100を満たす場合、クロストーク有
りと判断した。
【0078】
【表1】

【産業上に利用可能性】
【0079】
有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の製造において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の一実施形態を示す部分平面図である。
【図2】図1に示される有機エレクトロルミネッセント画像表示装置のA−A線における縦断面図である。
【図3】図1に示される有機エレクトロルミネッセント画像表示装置のB−B線における縦断面図である。
【図4】本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の他の実施形態を示す図3相当の縦断面図である。
【図5】本発明の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の他の実施形態を示すものであり、透明基材上にブラックマトリックスを介してカラーフィルタ層を形成した状態を示す部分平面図である。
【図6】従来の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1,21…有機エレクトロルミネッセント画像表示装置
2,22…透明基材
3…ブラックマトリックス
4,24…カラーフィルタ層
4R,4G,4B,24R,24G,24B…着色層
6,26…透明平滑化層
7,27…補助電極
8,28…透明電極層
10,30…有機エレクトロルミネッセンス素子層
11,31…背面電極層
13,33…絶縁層
15,35…隔壁
10′,30′…ダミー有機エレクトロルミネッセンス素子層
11′,31′…ダミー背面電極層
25…色変換蛍光体層
25G…緑色変換蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正孔注入電極と電子注入電極からなる一対の電極と、該電極間に配された有機エレクトロルミネッセンス素子層と、非発光領域にマトリックス状に配設された絶縁層とを少なくとも備え、該絶縁層は光学濃度OD値が0.5以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項2】
前記絶縁層は、光学濃度OD値が0.5以上である層を少なくとも1層備えた多層構造であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、体積抵抗率が1010Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、チタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物からなるチタン系黒色顔料の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、二酸化ケイ素、窒化チタン、二酸化ケイ素の3層薄膜からなることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項6】
前記絶縁層は、青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項7】
前記絶縁層は、ポジ型感光性樹脂を硬化させた樹脂層に青色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤の少なくとも2種以上を含有したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項8】
前記絶縁層は、ポジ型感光性樹脂を硬化させた樹脂層にチタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物からなるチタン系黒色顔料の少なくとも1種を含有したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項9】
カラーフィルタ層を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項10】
前記カラーフィルタ層と前記電極との間に色変換蛍光体層を備えることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項11】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、白色発光、青色発光、赤色発光、緑色発光のいずれか、あるいは、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。
【請求項12】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子層は、青色発光であり、前記色変換蛍光体層は青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えていることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセント画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−286225(P2006−286225A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100968(P2005−100968)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】