説明

有機リン化合物の存在下でのオレフィンのヒドロホルミル化のための方法

本発明は、新規の有機リン化合物及びその金属錯体を触媒反応で用いる使用並びに前記化合物の存在下でのオレフィンのヒドロホルミル化に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の有機リン化合物及びその金属錯体を触媒反応において用いる使用並びに前記化合物の存在下でのオレフィンのヒドロホルミル化に関する。
【0002】
エチレン性不飽和化合物、一酸化炭素及び水素を触媒の存在下で反応させて、それよりも炭素原子が1個だけ多いアルデヒドを得ることは、ヒドロホルミル化(いわゆるオキシ化又はオキソ合成)と呼称される。しばしば、これらの反応においては、触媒として、元素の周期系の第8族ないし第10族の遷移金属の化合物、特にロジウムの化合物及びコバルトの化合物が使用される。
【0003】
ロジウム化合物によるヒドロホルミル化は、コバルト化合物を有する触媒と比較して、一般に、より穏やかな反応条件でより選択性が高いという利点を提供するため、大概はより経済的である。ロジウムによって触媒されるヒドロホルミル化において、たいていは、ロジウムと、リン−ドナー原子、窒素−ドナー原子又は酸素−ドナー原子を含む配位子、有利には配位子としての三価のリン化合物とからなる錯体化合物が使用される。公知の配位子は、例えばホスフィン、ホスファイト及びホスホナイトの種類からの化合物である。オレフィンのヒドロホルミル化に関する概要は、B. CORNISL, W. A. HERRMANN, "Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds", Vol. 1&2, VCH, Weinheim, New York, 1996に見られる。
【0004】
各々の触媒系(コバルト又はロジウム)は、それらの特定の長所を有する。出発物質と目的生成物に応じて、金属と1種以上の配位子とからなる種々異なる触媒系が使用される。ロジウムとトリフェニルホスフィンとを用いて実施すると、α−オレフィンは、より低い合成ガス圧でヒドロホルミル化できる。リン含有の配位子としては、一般に、トリフェニルホスフィンが過剰に使用され、その際、商業的に所望されるn−アルデヒド生成物への反応の選択性を高めるためには高い配位子/ロジウム比が必要となる。その経済性を高めるためには、同じ結果のままで配位子過剰を減らすことが望まれよう。
【0005】
US4,694,109号及びUS4,879,416号は、ビスホスフィン配位子と、低い合成ガス圧でのオレフィンのヒドロホルミル化におけるその使用に関連している。特に、プロペンのヒドロホルミル化では、この種の配位子をもって、高い活性と高いn/i−選択性が達成される。
【0006】
WO95/30680号においては、更なる二座のホスフィン配位子と、それを触媒反応において、とりわけヒドロホルミル化反応において用いる使用を記載している。
【0007】
フェロセン架橋されたビスホスフィンは、例えばUS4,169,861号、US4,201,714号及びUS4,193,943号で、ヒドロホルミル化のための配位子として開示されている。
【0008】
前記に列挙されるような二座のホスフィン配位子の欠点は、工業法の経済性を低下させる比較的費用のかかる製造である。更に、長鎖オレフィンでのその活性と、内部二重結合を有するオレフィンでのその活性は、一般に大きく低下する。
【0009】
ロジウム−モノホスファイト錯体は、内部二重結合を有する分枝鎖状オレフィンのヒドロホルミル化に適した触媒であるが、末端でヒドロホルミル化された化合物についての選択性は低い。EP0155508号から、ビスアリーレン置換されたモノホスファイトを、立体障害オレフィン、例えばイソブテンのロジウム触媒によるヒドロホルミル化が知られている。
【0010】
ロジウム−ホスファイト錯体は、末端二重結合と内部二重結合を有する直鎖状オレフィンのヒドロホルミル化を触媒し、その際、十分に末端ヒドロホルミル化された生成物が生成するのに対して、内部二重結合を有する分枝鎖状オレフィンは、小規模でしか転化されない。これらのホスファイトは、それが遷移金属中心に配位すると、活性が高められた触媒をもたらすが、この触媒系の滞留時間挙動は、とりわけそのホスファイトの加水分解感受性のため不十分である。EP0214622号又はEP0472071号に記載されるように、ホスファイト配位子のための出発物質として置換されたビスアリールジオールを使用することによって、かなりの改善が達成できた。
【0011】
前記の配位子のロジウム錯体は、α−オレフィンに活性なヒドロホルミル化触媒である。US4,668,651号、US4,748,261号及びUS4,885,401号において、α−オレフィンだけでなく、2−ブテンとも良好な選択性で反応して、末端ヒドロホルミル化された生成物が得られるポリホスファイト配位子が記載されている。US5,312,996号では、前記の種類の二座の配位子がブタジエンのヒドロホルミル化のためにも使用されている。
【0012】
ホスフィン配位子と比較して、ホスファイト配位子は、一般に活性がより高いという点で優れている。更に、その配位子の簡単かつ廉価な製造も利点である。
【0013】
ベンゾジアザホスホリノン並びにベンゾオキサアザホスホリノンの種類のリン化合物は、文献で十分に知られている(Phosphorus Sulfur Silicon Relat. Elem. 2000, 162, 81-218を参照のこと)。その合成とケトンとの反応性とその遷移金属への錯形成が記載されている。
【0014】
しかしながら、これらの化合物は、触媒中で使用されず、配位子としても金属錯体としても使用されていない。
【0015】
Neda他は、J. Fluorine Chem. 1995, 71, 65-74において、ベンゾジアザホスホリノン誘導体とフッ素化されたケトンとをトリメチルアミン触媒下に転化させることを記載している。しかしながら、そのベンゾジアザホスホリノン誘導体は、触媒中で使用されていない。
【0016】
Fei他は、Z. Anorg. Allg. Chem. 2000, 626, 1763-1772において、ベンゾジアザホスホリノン単位を有するビスホスホ配位子の合成とPt錯体への錯形成とを記載している。触媒における使用については、報告されていない。
【0017】
Borkenhagen他は、Z. Naturforsch. B Chem. Sci. 1996, 51, 1627-1638において、ベンゾジアザホスホリノン配位子を有するクロム錯体について報告している。これらの錯体は、触媒において使用されていない。
【0018】
Neda他は、Phosphorus, Sulfur Silicon Relat. Elem. 1996, 113, 287-294において、ベンゾオキサアザホスホリノンの合成を記載し、そしてこれらの系の反応性を調査しているが、触媒反応における反応性は調査していない。
【0019】
Kuliev他は、クロロベンゾオキサアザホスホリノンの反応性を調査している。その結果は、Zh. Obshch. Khim. 1986, 56, 2797-8にまとめられている。該化合物は、触媒において使用されていない。
【0020】
Chem. Ber. 1994, 127, 1579-86において、Neda他は、とりわけ、2,2′−[(1,1′−ビフェニル)−2,2′−ジイルビス(オキシ)]ビス−ベンゾオキサアザホスホリノン及び金との錯形成とについて報告している。リン化合物自体も、金錯体も、触媒において調査されていない。
【0021】
US6,664,427号では、特定の二座のリン配位子であって2個の三価のリン原子を有し、その原子がα−ヒドロキシ安息香酸アミド基又はα−ヒドロキシ安息香酸イミド基に結合されている配位子を使用するヒドロホルミル化方法が記載されている。
【0022】
本発明の課題は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するオレフィンの改善されたヒドロホルミル化方法を提供することである。この場合に、α−オレフィンの転化に際して、アルデヒドとなる活性が高められることが望ましく、かつ内部二重結合を有するオレフィンの場合には、末端アルデヒドとなる活性もそのレジオ選択性も高められることが望ましい。
【0023】
驚くべきことに、オレフィンのヒドロホルミル化は、一般式(1)
【0024】
【化1】

で示され、2個のα−ヒドロキシ安息香酸アミド基を有さないヘテロアシルホスファイトの存在下において所望のように改善されて進行することが判明した。
【0025】
従って、本発明の対象は、オレフィンのヒドロホルミル化のための方法において、2〜25個の炭素原子を有するモノオレフィン又はモノオレフィン混合物と、一酸化炭素及び水素からなる混合物とを、一般式(1)
【0026】
【化2】

[式中、
、R、R、R及びqは、それぞれ同一もしくは異なって、置換又は非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜70個の炭素原子を有する炭化水素基、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRは、同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、かつMは、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンであり、x、y、zは、互いに無関係に、O、NR、Sを意味し、その際、Rは、qの意味の1つを有し、かつx、y、zは、同時にOを表さず、但し、
qが構造単位(6c)
【0027】
【化3】

(式中、
基RないしRは、式(1)に応じた意味を有し、x、y、zは、互いに無関係に、O、NR、Sを意味し、その際、Rは、qの意味の1つを有し、Tは、酸素又は基NR30であり、その際、R30は、qの意味の1つを有し、位置aは結合点となっている)を有する基を有する場合には、
x及びxは、同時にNであってはならず、かつ
xは、TがNR30である場合にはNであってはならない]で示されるヘテロアシルホスファイト又は元素の周期表の第4族ないし第10族の1種又は複数種の金属との相応の錯体の存在下で反応させることを含む方法である。
【0028】
有利な実施形態では、q、R、R、R及びRは、炭化水素基について挙げた意味を有するが、前記基は非置換であり、炭素原子数1〜50個、特に1〜25個を有する。
【0029】
更に、R、R及びRは、有利にはHを表し、又は非置換の脂肪族又は芳香族の1〜25個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。
【0030】
隣接したRないしRの基2つ(RとR、RとR、RとR)につき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成することができる。
【0031】
式(1)による有利なヘテロアシルホスファイトにおいて、基qは、芳香族化合物もしくは複素芳香族化合物から選択され、これらの化合物は、非置換であるか又は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜25個の炭素原子を有する炭化水素基、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR又は−N=CRから選択される少なくとも1個の基で置換されており、その際、R、R及びMは既に定義したものと同様である。
【0032】
更なる変法においては、式(1)で示され、その基qが基−W−Rからなり、その際、Wが二価の置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型、芳香族、複素芳香族、脂肪族−芳香族の混合型の1〜50個の炭素原子を有する炭化水素基であり、かつ基Rが−OR、−NR、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィン又はヘテロアシルホスファイト又は式(6c)による基を表し、その際、R及びRが同一もしくは異なってRの意味の1つを有するが、有利には互いに無関係にH、非置換の脂肪族の及び芳香族の1〜25個の炭素原子を有する炭化水素基を意味するヘテロアシルホスファイトが使用される。
【0033】
式(1)で示され、その1つの基qが−W−Rを有する有利に使用されるヘテロアシルホスファイトにおいては、Wは、式(2)
【0034】
【化4】

[式中、
、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ同一もしくは異なって、qの意味の1つを有し、有利には互いに無関係に、一価の置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜50個の炭素原子を有する炭化水素基、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRは、互いに無関係に、H、一価の置換もしくは非置換の脂肪族の及び芳香族の1〜25個の炭素原子を有する炭化水素基から選択され、かつMは、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンである]で示される基を表す。
【0035】
tは、CR1617、SiR1617、NR16、O又はSの基を表す。R16及びR17は、R又はRの定義と同様であり、nは、0又は1を表し、かつ位置aとbは、結合点となっている。
【0036】
隣接したRないしR15の基2つにつき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成することができる。
【0037】
式(1)で示される本方法で使用可能な更なるヘテロアシルホスファイトにおいては、Wは、式(3)
【0038】
【化5】

[式中、
18、R19、R20、R21、R22及びR23は、それぞれ同一もしくは異なって、qの意味の1つを有し、有利には互いに無関係に、一価の置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜50個の炭素原子を有する炭化水素基、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRは、互いに無関係に、H、一価の置換もしくは非置換の脂肪族の及び芳香族の1〜25個の炭素原子を有する炭化水素基から選択され、かつMは、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンである]の意味を有する。
【0039】
式2と3における位置aとbは、式(1)による基Rへの結合点と、式(1)によるzへの結合点となっている。
【0040】
tは、基CR1617、SiR1617、NR16、O又はSを表し、その際、R16及びR17は、R又はRの定義と同様であり、かつ位置aとbは、結合点となっている。
【0041】
ここでも隣接したR18ないしR23の基2つにつき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成することができる。
【0042】
本発明による方法の更なる変法においては、式(1)で示され、その基qが−W−Rを有するヘテロアシルホスファイトの場合に、Wは、式(4)
【0043】
【化6】

[式中、
uは、式(5a)、(5b)及び(5c)
【0044】
【化7】

の基から選択される二価の基を表し、それらの式中、
24、R25、R26及びR27は、それぞれ同一もしくは異なって、qの意味の1つを有し、有利には互いに無関係に、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜50個の炭素原子を有する炭化水素基、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRは、互いに無関係に、H、一価の置換もしくは非置換の脂肪族の及び芳香族の1〜25個の炭素原子を有する炭化水素基から選択され、かつMは、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンを表し、かつ位置aとbは、uについての結合点となっている]で示される基を表す。
【0045】
ここでも隣接したR24ないしR27の基2つにつき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成することができる。
【0046】
式(1)で示され、その基qが−W−Rを有する有利に使用されるヘテロアシルホスファイトにおいては、Rは、一般式(6a)、(6b)及び(6c):
【0047】
【化8】

[式中、
28及びR29は、それぞれ同一もしくはそれぞれ互いに異なって、Rの意味の1つを有するが、有利には一価の非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜50個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、mは0又は1であり、nは0又は1であり、kは0又は1であり、lは0又は1であり、かつ位置aは結合点となっている]で示される基を表す。R、R、R、R、q、W、x、y、zは、前記の意味を有し、その際、RないしRは、式(1)に応じた意味を有し、x、y、zは、互いに無関係にO、NR、Sを意味し、その際、Rは、qの意味の1つを有し、Tは、酸素又は基NR30であり、その際、R30は、qの意味の1つを有し、位置aは結合点となっており、そしてRが6cである場合には、xとxは、同時にNであってはならず、かつxはTがNR30である場合にはNであってはならない。
【0048】
隣接したR24ないしR27の基2つにつき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成することができる。
【0049】
以下に例示的に挙げたホスファイト配位子は、本発明による方法で使用でき、その際、Meはメチル基を、Buは第三級ブチル基を、そしてPhはフェニル基を表す。
【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
式(1)によるヘテロアシルホスファイトは、ハロゲン化リンと、アルコール、アミン、チオール、カルボン酸、カルボン酸アミド、チオカルボン酸、α−ヒドロキシアリールカルボン酸、α−ヒドロキシアリールカルボン酸アミド、α−ヒドロキシアリールチオカルボン酸、α−アミノアリールカルボン酸、α−アミノアリールカルボン酸アミド、α−アミノアリールチオカルボン酸、α−メルカプトアリールカルボン酸、α−メルカプトアリールカルボン酸アミド及び/又はα−メルカプトアリールチオカルボン酸とを反応させて、リン上のハロゲン原子を酸素基、窒素基及び/又は硫黄基で交換した結果により製造することができる。基本的な手順を、一般式(1)による化合物までの経路で例示的に説明する:
第一の工程において、式(1a)の化合物と、三ハロゲン化リンP(Hal)、例えばPCl、PBr及びPI、有利には三塩化リンPClとを、塩基を用いず又は塩基の存在下でそれを当量でもしくは触媒量で使用して反応させることで、式(1b)の化合物を得る。
【0059】
【化17】

【0060】
第二の工程において、化合物(1b)と、アルコールHO−q又はアミンHN(R)−q又はチオールHS−qとを、塩基を用いず又は塩基の存在下でそれを当量でもしくは触媒量で使用して反応させることで、所望の式(1)のヘテロアシルホスファイトを得る。
【0061】
【化18】

【0062】
基RないしR、R及びx、y及びqは、既に挙げた意味を有する。
【0063】
使用されるアルコール、アミン、チオールもしくはカルボン酸誘導体及びそれらの反応生成物はしばしば固体なので、その反応は、一般に溶剤中で実施する。溶剤としては、アルコール、アミン、チオールもしくはカルボン酸誘導体ともリン化合物とも反応しない非プロトン性溶剤が使用される。好適な溶剤は、例えばテトラヒドロフラン、エーテル、例えばジエチルエーテル又はMTBE(メチル−第三級ブチルエーテル)又は芳香族炭化水素、例えばトルエンである。
【0064】
ハロゲン化リンと、アルコール、アミン、チオールもしくはカルボン酸誘導体とを反応させると、ハロゲン化水素が生成し、それは加熱によって排除でき又は塩基を当量でもしくは触媒量で添加することによって該塩基により結合される。塩基のための例は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ピリジン又はN−メチルピロリジノンである。一部では、アルコールを、反応前に、例えば水素化ナトリウム又はブチルリチウムとの反応によって金属アルコレートに変換することが合理的である。
【0065】
使用される溶剤は、極めて十分に水と酸素が排除されていなければならず、その場合に、含水率0〜500ppmを有する溶剤が好ましく、含水率0〜250ppmを有する溶剤が特に好ましい。含水率は、例えばカールフィッシャーによる方法によって測定できる。
【0066】
溶剤の乾燥は、好適な乾燥剤を介しての溶剤の蒸留によって、又は分子ふるい4Åで例えば充填されたカートリッジ又はカラムへの溶剤の流過によってなされる。
【0067】
合成工程は、有利には−80℃〜150℃の温度で行われ、主に、−20℃〜110℃の温度で、特に0℃〜80℃で作業することが有効であると分かった。
【0068】
本発明による方法では、元素の周期系の第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族又は10族の金属を使用することができる。好適な金属のための例は、ロジウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、鉄、ルテニウム、オスミウム、クロム、モリブデン及びタングステンである。特に有利には、ロジウムが金属として使用される。触媒金属は、塩又は錯体の形で反応に入れることができ、ロジウムの場合には、例えばロジウムカルボニル、ロジウムニトレート、ロジウムクロリド、Rh(CO)(acac)(acacはアセチルアセトネートである)、ロジウムアセテート、ロジウムオクタノエート又はロジウムノナノエートが適している。
【0069】
式(1)によるヘテロアシルホスファイト配位子と触媒金属とから、反応条件下に活性触媒種が形成される。ヒドロホルミル化において、合成ガスと接触した場合に、カルボニルヒドリド−ヘテロアシルホスファイト錯体が形成される。ヘテロアシルホスファイト及び場合により他の配位子を、遊離形で、触媒金属(塩又は錯体として)と一緒に反応混合物中に入れて、活性触媒種をインサイチューで生成させることができる。また更に、前記のヘテロアシルホスファイト配位子と触媒金属とを含むヘテロアシルホスファイト金属錯体を、特有の触媒活性錯体用の前駆体として使用することも可能である。これらのヘテロアシルホスファイト金属錯体は、相応の第4族ないし第10族の触媒金属を元素形又は化学的化合物形でヘテロアシルホスファイト配位子と反応させることで製造される。式(1)によるヘテロアシルホスファイト配位子を過剰に使用して、ヒドロホルミル化混合物中にヘテロアシルホスファイト配位子が遊離配位子として存在することが好ましいことがある。
【0070】
本発明による方法において、式(1)による配位子の他に更なる配位子を、使用される金属原子について使用することができる。
【0071】
反応混合物中に存在する付加的な配位子としては、リン含有配位子、有利にはホスフィン、ビスホスファイト、ホスホナイト又はホスフィナイトを使用することができる。
【0072】
かかる配位子のための例は:
ホスフィン:トリフェニルホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−(1−ナフチル)ホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン
ホスファイト:トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ−n−プロピルホスファイト、トリ−i−プロピルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリ−i−ブチルホスファイト、トリ−t−ブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(p−クレシル)ホスファイト
ホスホナイト:メチルジエトキシホスフィン、フェニルジメトキシホスフィン、フェニルジフェノキシホスフィン、2−フェノキシ−2H−ジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスホリン及びそれらの水素原子が完全にもしくは部分的にアルキル基及び/又はアリール基又はハロゲン原子によって交換された誘導体
である。
【0073】
通常のホスフィン配位子は、ジフェニル(フェノキシ)ホスフィン及びその誘導体であるジフェニル(メトキシ)ホスフィン及びジフェニル(メトキシ)ホスフィンである。
【0074】
ヘテロアシルホスファイトもしくはヘテロアシルホスファイト金属錯体を、有利には2〜25個の炭素原子、特に有利には6〜12個の炭素原子、殊に有利には8、9、10、11又は12個の炭素原子を有するオレフィンのヒドロホルミル化のための方法で使用して、相応のアルデヒドを得ることができる。この場合に、有利には第8族の金属とのヘテロアシルホスファイト錯体を触媒前駆体として使用する。
【0075】
周期系の第8族の金属1モルあたりに、1〜500モル、有利には1〜200モル、特に有利には2〜50モルの本発明によるヘテロアシルホスファイトを使用することが好ましい。新たなヘテロアシルホスファイト配位子を、反応のそのつどの時点で添加して、遊離のヘテロアシルホスファイト、すなわち金属に配位していないヘテロアシルホスファイトの濃度を一定に保つことができる。
【0076】
反応混合物中の金属の濃度は、反応混合物の全質量に対して、好ましくは1ppm〜1000ppmの範囲、有利には5ppm〜300ppmの範囲である。
【0077】
式Iのヘテロアシルホスファイトもしくは相応の金属錯体を用いて実施されるヒドロホルミル化反応は、公知の規定に従って、例えばJ. FALBE, "New Syntheses with Carbon Monoxide", Springer Verlag, Berlin, Heidelberg, New York、第95頁以降に記載されるようにして実施することができる。1種以上のオレフィン化合物を、触媒の存在下でCO及びHの混合物(合成ガス)と反応させて、炭素原子が1個だけ多いアルデヒドが得られる。
【0078】
反応温度は、有利には40℃〜180℃、好ましくは75℃〜140℃である。ヒドロホルミル化が行われる圧力は、有利には1〜300バールの合成ガス、好ましくは10〜64バールの合成ガスである。合成ガス中の水素と一酸化炭素とのモル比(H/CO)は、有利には10/1〜1/10、好ましくは1/1〜2/1である。
【0079】
触媒もしくは配位子は、出発物質(オレフィン及び合成ガス)と生成物(アルデヒド、アルコール、工程中に形成された高沸点物)とからなるヒドロホルミル化混合物中に均質に溶解されている。随時、追加的に溶剤を使用してよい。
【0080】
その比較的高い分子量に基づいて、ヘテロアシルホスファイトは、低い揮発性を有する。従って、該ヘテロアシルホスファイトは、易揮発性反応生成物から容易に分離できる。該ヘテロアシルホスファイトは、通常の有機溶剤中に十分に良好に可溶である。
【0081】
ヒドロホルミル化のための出発物質は、2〜25個の炭素原子を有し、末端C=C二重結合又は内部C=C二重結合を有するオレフィン又はオレフィンの混合物である。有利な出発物質は、一般に、α−オレフィン、例えばプロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン並びにブテンの二量体及び三量体(異性体混合物)である。
【0082】
ヒドロホルミル化は、連続的に又は断続的に実施することができる。工業的な実施のための例は、撹拌槽、気泡塔、噴射ノズル反応器、管形反応器又はループ型反応器であり、これらは部分的にカスケード構造であるか及び/又は内部構造体を備えていてもよい。
【0083】
該反応は、連続的に又は複数の段階で実施することができる。生成したアルデヒド化合物及び触媒の分離は、従来法、例えば分別、抽出、相応の膜によるナノ濾過によって実施することができる。工業的には、例えば流下薄膜型蒸発器又は薄膜蒸発器を介して蒸留によって実施することができる。特に、触媒を高沸点溶剤中でそれより低い沸点の生成物から分離する場合が相当する。分離された触媒溶液は、更なるヒドロホルミル化のために使用することができる。低級オレフィン(例えばプロペン、ブテン、ペンテン)を使用する場合には、生成物を気相を介して反応器から排出することも可能である。
【0084】
本発明の更なる対象は、式(1)のヘテロアシルホスフィン又は元素の周期系の第4族ないし第10族の金属とのその錯体の存在下において、オレフィンをカルボニル化、ヒドロシアノ化、異性体化するための方法又はアミドカルボニル化するための方法であって、式中のR、R、R、R及びqが、それぞれ同一もしくは異なって、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜70個の炭素原子を有する炭化水素、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRが、同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、かつMが、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンであり、x、y、zは、互いに無関係にO、NR、Sを意味し、その際、Rが、Rの意味の1つを有する方法である。
【0085】
基q、R、R、R、R、x、y及びzは、前記の意味を有する。ヒドロホルミル化のために挙げられた式(1)の化合物の好ましい選択肢は、これらの反応についても同様に適用される。
【0086】
以下の実施例は、本発明を具体的に示している。全ての実施例において、標準的なシュレンク技術は保護ガス下で作業した。溶剤は、使用前に好適な乾燥剤によって乾燥させた。
【0087】
実施例1:配位子(D)の製造
【0088】
【化19】

【0089】
a)Cl−リン構成要素(Φ)の製造
【0090】
【化20】

【0091】
20g(93.79ミリモル)のジフェニルアミン−2−カルボン酸をトルエン(80ml)中に入れた懸濁液に、室温でゆっくりと、三塩化リンをトルエン(93.79ミリモル)中に溶かした5.315M(モラーを表す、従ってモル/l)の標準溶液17.65mlを滴加する。PClの添加が完了した後に、水浴中でゆっくりと90℃に加温する。前記温度でもはやガスの発生が観察されなくなるまで(約5時間)撹拌し、更に還流下で1時間加熱し、そして濾過する。濾過ケークを、2×10mlの冷トルエンで洗浄する。合した濾液を、真空中で濃縮乾涸させ、そして60mlのジクロロメタン中に取り入れる。濾過し、真空中で溶剤を蒸発させ、そしてオイルポンプによる真空中で乾燥させることによって、分光学的純度のCl−P化合物(Φ)が暗赤褐色のシロップ状液体の形で得られる。収量:18.0g(61%)。31P{H}−NMR(CDCl)δ135.1ppm。
【0092】
b)ヒドロキシホスファイト化合物(Δ)の製造
【0093】
【化21】

【0094】
化合物(Δ)を、EP1201675号とD.Selent, D. Hess, K.-D. Wiese, D. Roettger, C. Kunze, A. Boerner, Angew. Chem. 2001, 113, 1739に記載されるようにして製造した。
【0095】
c)(D)の製造
2.721g(3.653ミリモル)のヒドロキシホスファイト(Δ)をTHF(36ml)中に溶かした溶液に、−20℃で撹拌しつつ、n−ブチルリチウムをヘキサン(3.653ミリモル)中に溶かした0.32M(モラー)の溶液11.4mlを加える。得られた混合物を、室温でゆっくりと、a)に記載される化合物(Φ)1.014g(3.653ミリモル)をTHF(15ml)中に溶かした溶液に加える。その赤褐色の溶液を4時間撹拌し、真空中で溶剤を蒸発させ、得られた残留物をヘキサン(60ml)と一緒に混ぜ合わせる。それを濾過し、そして濾過ケークをジエチルエーテルで抽出する(50ml)。抽出溶液を、5℃で1日にわたり貯蔵し、濾過し、その濾過ケークをヘキサン(1×8ml)で洗浄し、そして60℃で0.1ミリバールにおいて2時間乾燥させる。収量:1.593g(44%)。元素分析(C576510Nについての計算値は986.08g/モルである):C68.73(69.43)、H6.76(6.64)、P6.09(6.28)、N1.48(1.42)%。FAB−MS:m/e 985(4%,M)、744(30%)、727(100%)。31P−NMR(トルエン−D):δ114.9(d,JPP=22.2Hz)、117.4(d,JPP=5.5Hz)、138.9(d,JPP=22.2Hz)、141.2(d,JPP=5.5Hz)ppm。
【0096】
実施例2:配位子(E)の製造
【0097】
【化22】

【0098】
a)Cl−リン構成要素(Γ)の製造
【0099】
【化23】

【0100】
20g(145.83ミリモル)のアントラニル酸をトルエン(105ml)中に入れた懸濁液に、室温でゆっくりと、三塩化リンをトルエン(145.84ミリモル)中に溶かした5.315Mの標準溶液28.24mlを滴加する。PClの添加が完了した後に、水浴中でゆっくりと90℃に加温する。前記温度でもはやガスの発生が観察されなくなるまで(約5時間)撹拌し、更に還流下で1時間加熱する。引き続き、油状の残留物からデカンテーションを行い、そしてトルエンを真空中で除去する。その残留物をジクロロメタン(80ml)中に取り、濾過し、そして該溶液を出発容量の50%にまで濃縮する。5℃で3日間貯蔵した後に、形成された微結晶の黄色の物質を−15℃で濾別し、そして引き続き室温で真空中において乾燥させる。収量:7.76g(26%)の分光学的純度のCl−P化合物 31P{H}−NMR(CDCl)δ135.1ppm。
【0101】
b)ヒドロキシホスファイト化合物(Δ)の製造
(Δ)の製造のために、配位子(D)の合成についての指示を参照する。
【0102】
c)(E)の製造
4.1gのヒドロキシホスファイト(Δ)(5.50ミリモル)をTHF(53ml)中に入れ、それを−20℃で3.44mlの1.6Mのn−ブチルリチウム(5.50ミリモル)の溶液で脱プロトン化する。こうして得られたリチウム塩の溶液を、撹拌しつつ、a)に記載される化合物(Γ)1.108g(5.50ミリモル)をTHF(23ml)中に溶かした溶液に滴加する。室温で16時間撹拌した後に、真空中で濃縮乾涸させ、そして得られた残留物を、沸点のヘキサン(80ml)によって、もはや微量の(Δ)しか含まれなくなるまで(CDClにおいては140.7ppmで鋭いリンシグナルで確認できる)抽出する。その残留物を、ジエチルエーテル(50ml)で抽出する。そのエーテル濾液を濃縮し、そして2.0g(40%)の黄色の分光学的純度の固体が得られる。P−分析(C516110NPについての計算値は909.99g/モルである):P6.95(6.81)%。31P{H}−NMR(CDCl):δ118.0、124.0、136.2、141.8ppm。FAB−MS:e/m 910(40%,M)、727(100%)。
【0103】
実施例3:配位子(H)の製造
【0104】
【化24】

【0105】
a)Cl−リン構成要素(Φ)の製造
Cl−リン構成要素(Φ)の製造は、実施例1に記載されるようにして実施する。
【0106】
b)ヒドロキシホスファイト化合物(Σ)の製造
【0107】
【化25】

【0108】
化合物(Σ)を、EP1201675号もしくはD.Selent, D. Hess, K.-D. Wiese, D. Roettger, C. Kunze, A. Boerner, Angew. Chem. 2001, 113, 1739に記載されるようにして製造した。
【0109】
c)配位子(H)の製造
その製造は、配位子(D)の合成と同様に実施する。該反応は、n−ブチルリチウムの等モル量の2.518g(2.97ミリモル)のヒドロキシホスファイト(Σ)を、ヘキサン中の0.32Mの溶液として使用し、0.825g(2.97ミリモル)の化合物(Φ)を全体で50mlのTHF中で用いて実施した。後処理後に、1.51g(理論値の47%)の分光学的純度の配位子(H)が淡褐色の固体の形で単離される。元素分析(C6989Nについての計算値は、1090.41g/モルである):C76.10(76.00)、H8.46(8.23)、N1.31(1.29)、P5.68(5.68)%。31P{H}−NMR(CDCl):δ113.1、116.0、141.7ppm。CI−MS(イソブタン):m/e 1090(65%,M)、832(100%)。
【0110】
実施例4:配位子(J)の製造
【0111】
【化26】

【0112】
その製造と後処理は、(E)の合成と同様に実施した。n−ブチルリチウムの等モル量の2.418g(2.847ミリモル)のヒドロキシホスファイト化合物(Σ)を、ヘキサン中の0.32Mの溶液として使用し、かつ(E)の合成のために使用された化合物(Γ)を、全体で55mlのTHF中で、それらから出発して、0.837g(理論値の29%)の分光学的純度の配位子(J)が黄色の固体の形で単離される。元素分析(C6385Nについての計算値は、1014.31g/モルである):C74.86(74.60)、H8.43(8.45)、N1.26(1.38)、P5.44(6.10)%。31P{H}−NMR(CDCl):δ119.5、123.8、140.0、143.0ppm。EI−MS:m/e 1015(13%,M)、833(83%)、440(100%)。
【0113】
ヒドロホルミル化実施例5〜15
ヒドロホルミル化試験は、定圧保持器、ガス流量測定器、ガス供給撹拌器(Begasungsruehrer)及び圧力ピペットを装備した200mlのオートクレーブ(Buddeberg社、マンハイム在)において実施した。その試験のために、アルゴン雰囲気下で、オートクレーブ中に以下のロジウム溶液を、[acacRh(COD)](acacはアセチルアセトネートアニオンであり、CODはシクロオクタ−1,5−ジエンである)の形でトルエン中の触媒前駆体として充填した。
【0114】
14質量ppmのロジウムでの試験のために0.604mMの溶液10mlを、28質量ppmのロジウムでの試験のために0.604mMの溶液20mlを、140質量ppmのロジウムでの試験のために6.04mMの溶液10mlを使用した。引き続き、トルエン中に溶かされた相当量のホスファイト化合物を、一般にロジウムあたり5配位子当量で添加した。更なるトルエンを添加することによって、触媒溶液の出発容量を、1−オクテンもしくはn−オクテン(1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン及び4−オクテンの、約3%の1−オクテン割合の混合物)での反応については、41mlに調整し、そして2−ペンテンでの反応については、51.5mlに調整した。圧力ピペット中に、15mlの1−オクテンもしくはn−オクテン又は4.5mlの2−ペンテンを入れ、オレフィンの質量を事前に測定した。アルゴンガス雰囲気を合成ガス(CO/H=1:1)ですすぐことによって交換した後に、合成ガス圧11〜13バール(1−オクテンについては33バール)で撹拌(1500回転/分)しつつ以下の温度:
a)1−オクテンでの試験:100℃
b)n−オクテンでの試験:130℃
c)2−ペンテンでの試験:120℃
に加熱した。
【0115】
反応温度に達した後に、合成ガス圧を20バール(1−オクテンについては50バール)にまで高め、そしてオレフィンを添加した。定圧(Bronkhorst社、オランダ在の圧力調節器により)において、第1表に示される反応時間にわたって反応させた。オートクレーブを、試験時間の経過後に室温に冷却し、減圧し、撹拌しつつアルゴンですすいだ。それぞれ1mlの反応混合物を、撹拌器の停止直後に取って、5mlのペンタンで希釈し、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0116】
第1表:配位子(D)、(E)、(H)及び(J)を用いたヒドロホルミル化のための実施例
【0117】
【表1】

【0118】
配位子/ロジウム比=10:1
比較例16
ヒドロホルミル化試験は、定圧保持器、ガス流量測定器、撹拌器及び圧力ピペットを装備した100mlのオートクレーブ(Parr社)において実施した。その試験のために、オートクレーブ中に、アルゴン雰囲気下で、ロジウムの溶液をRh−ノナノエートの形でトルエン中の触媒前駆体として充填した。40質量ppmのロジウムでの試験のために、3.1mlの0.734mMの溶液を使用した。引き続き、ロジウムあたり5配位子当量の相応量で、トルエン中に溶かされたホスファイト化合物Xを混加した。更なるトルエンを添加することによって、触媒溶液の出発質量を、1−オクテンもしくはn−オクテン(=1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン及び4−オクテンの混合物)での反応については、29gに調整した。圧力ピペット中に、29gの1−オクテンもしくはn−オクテンを入れた。合成ガス圧11〜13バールにおいて、撹拌(1000回転/分)しつつ120℃に加熱した。
【0119】
反応温度に到達した後に、合成ガス圧を20バールに高め、そしてオレフィンを添加した。定圧(Bronkhorst社、オランダ在の圧力調節器により)において、表に示される反応時間にわたって反応させた。オートクレーブを、試験時間の経過後に室温に冷却し、減圧し、そして排出させた。反応の間に、試料を抜き出し、1mlのペンタンで希釈し、そしてガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0120】
比較試験では、120℃で、例えば実施例1及び2に匹敵するn−選択性が得られた。しかしながら、収率は、より高い反応温度にもかかわらず、46.2%と明らかにより低い(第1表)。
【0121】
【化27】

【0122】
比較例17
試験5及び6と同様にして、実施例の試験5b及び6bを、式Zの配位子を用いて実施した。配位子Zの製造は、例えばDE10053272号を参考にできる。実施例5b及び6bにおいては、本発明による配位子を使用した場合に得られるよりも例外なく低いn−選択性が観察される(第2表)。
【0123】
【化28】

【0124】
第2表:配位子Zによる比較例
【0125】
【表2】

【0126】
配位子/ロジウム比=10:1
実施例18:配位子(M)の製造
【0127】
【化29】

【0128】
a)P−Cl構成要素(Ω)の製造
【0129】
【化30】

【0130】
9.99g(46.85ミリモル)のサリチルアニリドをトルエン(42ml)中に入れた懸濁液に、室温で撹拌しつつ、三塩化リンをトルエン中に溶かした2.73Mの溶液(46.85ミリモル)17.2mlを滴加する。引き続き、還流下に5.5時間加熱し、冷ました後に濾過し、そして真空中で濃縮乾涸させる。こうして得られた生成物(Ω)は、NMR分光測定による実測値によれば約95%であり、得られたままで他の合成のために使用された。その純度は、トルエンからの再結晶によって更に高めることができる。収量:12.23g(理論値の93%)。31P{H}−NMR(CDCl)δ139.6ppm。
【0131】
b)ヒドロキシホスファイト化合物(Δ)の製造
(Δ)の製造のために、配位子(D)の合成についての指示を参照する。
【0132】
c)配位子(M)の製造
3.065g(4.114ミリモル)のヒドロキシホスファイト(Δ)をTHF(50ml)中に溶かした溶液に、−20℃で撹拌しつつ、等モル量のn−ブチルリチウムをヘキサン中0.32Mの溶液の形で加える。更に15分間撹拌し、次いで室温に加温し、そしてこうして得られた溶液を、0℃で、1.20g(4.32ミリモル、約5%過剰)のCl−リン化合物をTHF(20ml)中に溶かした溶液に加える。室温に加温した後に、16時間撹拌し、そして溶剤を真空中で除去する。残った残留物をまず、3×20mlのヘキサンで抽出し、次いで50mlの沸騰したトルエンで抽出する。トルエン濾液を半分にまで濃縮し、25mlのヘキサンを添加し、5℃で数日間貯蔵することで、ベージュ色の沈殿物が得られる。濾過し、ヘキサン(2×5ml)で洗浄し、そして60℃の浴温度においてオイルポンプによる真空中で乾燥させる。収量:2.23g(55%)。元素分析(C576510Nについての計算値は986.08g/モルである):C70.49(69.43)、H6.64(6.57)、N1.38(1.42)%。
【0133】
31P{H}−NMR(CDCl):δ112.2、113.8、115.2、140.1、141.4、143.2ppm。
【0134】
実施例19:配位子(L)の製造
【0135】
【化31】

【0136】
その製造は、配位子(M)と同様に実施する。
【0137】
2.957g(3.482ミリモル)のヒドロキシホスファイト(Σ)(実施例3を参照)と、等モル量のn−ブチルリチウムの0.32Mの溶液と、(M)の合成に使用したCl−リン化合物1.015g(3.656ミリモル)を使用する。後処理のために、反応混合物を濃縮乾涸させ、残留物をヘキサン(65ml)と撹拌して混ぜ合わせ、濾過し、そして溶剤を真空中で除去する。60℃の浴温度でオイルポンプによる真空中で乾燥させることで、3.615g(94%)の目的化合物が得られる。元素分析(C6989Nについての計算値は、1090.41g/モルである):C75.68(76.00)、H8.21(8.23)、N1.30(1.29)、P5.20(5.68)%。31P{H}−NMR(CDCl):δ112.4、115.4、141.9ppm。
【0138】
実施例20:配位子(P)の製造
【0139】
【化32】

【0140】
a)P−Cl構成要素(Θ)の製造
【0141】
【化33】

【0142】
20.23g(69.44ミリモル)の3−ヒドロキシ−ナフトエ−2−カルボン酸−2−エチルアニリドをトルエン(80ml)中に入れた懸濁液に、室温で撹拌しつつ、三塩化リンをトルエン中に溶かした3.747Mの溶液(69.44ミリモル)18.5mlを滴加する。引き続き還流下に5時間加熱し、そして真空中で濃縮乾涸させる。形成された褐色の残留物を、ジクロロメタン(60ml)中に取り入れる。濾過後に、溶剤を真空中で蒸発させ、そして残留物を温トルエン(50ml)中に溶解させる。5℃で数日間貯蔵した後に形成した結晶物を濾別し、冷トルエンで洗浄し(10ml)、そして60℃の浴温度でオイルポンプによる真空中で乾燥させる。こうして得られた生成物(Θ)は、NMR−分光学的純度である。収量:13.18g(理論値の60%)。元素分析(C1915NOPClについての計算値は、355.76g/モルである):C64.48(64.15)、H4.13(4.25)、N3.89(3.94)、P8.73(8.71)、Cl9.88(9.97)%31P{H}−NMR(CDCl)δ138.2、139.4ppm。
【0143】
b)ヒドロキシホスファイト化合物(Δ)の製造
(Δ)の製造のために、配位子(D)の合成についての指示を参照する。
【0144】
c)配位子(P)の製造
該反応は、3.078g(4.133ミリモル)のヒドロキシホスファイト(Δ)、n−ブチルリチウムをヘキサン中に溶かした0.32Mの溶液(4.133ミリモル)12.9ml及び1.47g(4.133ミリモル)のCl−リン化合物(Θ)を用いて実施する。溶剤を真空中で留去した後に、シロップ状の残留物をまず、熱したヘキサン(100ml)で抽出し、そして引き続き室温でトルエン(40ml)で抽出する。ヘキサン濾液を、半分にまで濃縮し、そして室温で3日間貯蔵する。形成した沈殿物を濾別し、冷ヘキサン(10ml)で洗浄し、そして60℃で真空中で乾燥させる。トルエン濾液を濃縮乾涸させる。得られた固体は、ヘキサンから得られたものと分光学的に同一である。収量:2.42g(55%)。元素分析(C6371NO10についての計算値は、1064.20g/モルである):C71.05(71.11)、H7.01(6.72)、N1.42(1.32)、P5.55(5.82)%。CI−MS(イソブタン):m/e 1064(18%,M)、783(12%)、745(85%)、677(60%)。31P−NMR(CDCl):δ112.2、113.3、113.8、114.2、115.6、116.3、139.8、141.1、141.6、142.2、143.0、143.6ppm。
【0145】
実施例21:配位子(O)の製造
【0146】
【化34】

【0147】
該反応は、3.144g(3.7ミリモル)のヒドロキシホスファイト(Σ)、n−ブチルリチウムをヘキサン中に溶かした0.32Mの溶液(3.7ミリモル)11.6ml及び1.316gのCl−リン化合物(Θ)を用いて、最初は配位子(M)と同様に実施する。室温で16時間撹拌した後に、更に60℃に5時間加熱し、次いで溶剤を真空中で除去し、そして残留物をヘキサン(60ml)中に取り入れ、そして濾過する。該溶液を半分の容量にまで濃縮し、5℃で一晩放置することで、結晶性の沈殿物が生成し、それを濾別し、10mlの冷却したヘキサンで洗浄し、そして60℃で真空中で乾燥させる。収量:3.05g(理論値の71%)。元素分析(C7595NOについての計算値は、1168.52g/モルである):C77.30(77.09)、H8.52(8.19)、N1.35(1.20)%。CI−MS(イソブタン):m/e 1168(30%,M)、850(51%)、833(84%)、731(81%)、441(100%)。31P{H}−NMR(CDCl):δ112.6、113.8、118.9、122.6、142.2ppm。
【0148】
ヒドロホルミル化実施例22〜30
これらの試験は、配位子(D)、(E)、(H)及び(J)について前記のように実施した。全ての試験のために、約140質量ppmのロジウムに相当するロジウム出発化合物の6.04mMの溶液10mlを使用した。配位子/ロジウム比率は、常に5であった(結果は第3表を参照のこと)。
【0149】
比較例31〜33
これらの試験は、比較例16について前記のように実施した。試験31では、試験22及び試験28と同様の選択性が得られる。配位子Mを有する触媒についての収量(試験22)は、配位子Xを有する触媒より明らかに高い。試験32と試験33は、内部n−オクテンを出発物質として用いた例を示しており、そこでは選択性81.9%(配位子X)と選択性83.9%(配位子Y)が達成される。収率は、約16.9%である。それに対して、例えば本発明による配位子M及び配位子Pを内部2−ペンテンの反応(試験23及び試験29)で使用することで、より高いn−選択性と同様に実質的により高い収率も得られる(第3表)。
【0150】
第3表:配位子(M)、(L)、(O)及び(P)を用いたヒドロホルミル化のための実施例
【0151】
【表3】

【0152】
【化35】

【0153】
実施例34:配位子(A)の製造
【0154】
【化36】

【0155】
a)P−Cl構成要素(Ψ)の製造
【0156】
【化37】

【0157】
その合成は、I. Neda et al., Z. Naturforsch. 49b, 1994, 788-800を手本にして実施した:
30.2g(0.153モル)のN−メチリザト酸(Methylisatosaeure)無水物(90%)を300mlのジオキサン(無水)中に溶かした溶液に、500mLのシュレンク管中で、20分以内に撹拌しつつ、スポイトを用いて27.4g(28mL;0.253モル)のベンジルアミン(99%)を滴加した。得られた反応混合物を、撹拌しつつ70℃に加温し、そしてこの温度で8時間保持した。該溶液を、一晩室温に冷却した。次いで、全反応混合物をフリットを介して濾過した。フリット上にある非常に少量の黒色の沈積物(粒子)を廃棄した。濾液から溶剤を真空中で留去した。残留物を120mlのジエチルエーテルで抽出した。生成物(Ψa)は、−21℃で24時間貯蔵した後に晶出した。濾過した後に、該生成物を50mlのペンタンで2回洗浄し、引き続き乾燥させた。
分析:GC/MS:27.33分;m/e 240(80%、M)、134(60%)、160(100%)。
【0158】
固定された250mlのシュレンク管中で、12.1g(0.05モル)(Ψa)及び10.1g(14mL)(0.1モル)のトリエチルアミンを175mLの無水トルエン中に溶解する。該溶液に、6.9g(4.4mL)(0.05モル)の三塩化リンをゆっくりと連続的に室温未満で滴加する。この反応混合物を70℃で4時間撹拌し、そして引き続き室温に冷却する。引き続き、トリエチルアンモニウムクロリドを濾別し、そして濾液の溶剤をオイルポンプによる真空中で留去する。橙色で粘性のある油状物(Ψ)が得られる。分析:GC/MS:28.35分;m/e 304(100%、M)、269(100%)、199(55%)、91(100%);31P{H}−NMR(d−トルエン):δ127.9ppm。
【0159】
c)配位子(A)の製造
8.6g(0.1モル)(Ψ)を100mlのトルエン中に溶かした溶液に、−20℃で、5.8g(0.028モル)の2,4−ジ−t−ブチルフェノール及び6g(=8.4ml;0.06モル)のトリエチルアミンを100mlのトルエン中に溶かした溶液を滴加する。それを室温に14時間にわたり加温した後に、該反応混合物を濾過し、濾液の溶剤をオイルポンプによる真空中で除去し、そして残留物をアセトニトリル中で再結晶化させる。31P{H}−NMR(d−トルエン):δ112.3ppm。
【0160】
ヒドロホルミル化実施例35〜37
ヒドロホルミル化試験は、定圧保持器、ガス流量測定器、羽根型撹拌器及びHPLCポンプを装備した100mlのオートクレーブ(Parr社)において実施した。そのオートクレーブ中で、アルゴン雰囲気下で、トルエン中0.357質量%のRh−ノナノエートの溶液2.55g及びトルエン中2.204質量%の配位子(A)の溶液4.50gを充填した。トルエン量を30gに補った。引き続き、ロジウム−配位子−混合物を、撹拌(1000回転/分)しつつ、合成ガス(CO/H 1:1)をもって圧力5〜10バール(所要圧(Solldruck)20バール)もしくは圧力10〜15バール(所要圧40バール)とし、そして100℃もしくは120℃に加熱した。所望の反応温度に達した後に、1−オクテンをHPLCポンプを介して添加し、そして次いで圧力を所要圧20バールもしくは40バールに調整した。試験所要時間の間に、一定の時間間隔で試料を抜き出した。該反応は、定圧(Bronkhorst社(オランダ在)の圧力調節器)で5時間にわたって実施した。オートクレーブを、試験時間の経過後に室温に冷却し、減圧し、そしてアルゴンですすいだ。それぞれ0.2mlのオートクレーブ液を、0.8mlのn−ペンタンと混合し、そしてガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0161】
第4表:(A)を用いたヒドロホルミル化のための実施例
【0162】
【表4】

【0163】
比較例38〜40
これらの試験は、比較例16について前記のように実施した。トリフェニルホスフィンを配位子として使用した。1−オクテンを反応させる試験35では、本発明による配位子を用いて、比較例38より高い収率が得られた。n−オクテンを反応させる試験36では、収率と同様にn−選択性もまた、比較例39より明らかに高められている。n−ブテンを出発物質として用いた(試験37)場合の収率は、試験40よりも明らかに高められている(第4表)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンのヒドロホルミル化のための方法において、2〜25個の炭素原子を有するモノオレフィン又はモノオレフィン混合物と、一酸化炭素及び水素からなる混合物とを、一般式(1)
【化1】

[式中、
、R、R、R及びqは、それぞれ同一又は異なって、置換又は非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜70個の炭素原子を有する炭化水素基、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRは、同一又は異なって、Rの意味の1つを有し、かつMは、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンであり、x、y、zは、互いに無関係に、O、NR、Sを意味し、その際、Rは、qの意味の1つを有し、かつx、y、zは、同時にOを表さず、但し、
qが構造単位(6c)
【化2】

(式中、
基RないしRは、式(1)に応じた意味を有し、x、y、zは、互いに無関係に、O、NR、Sを意味し、その際、Rは、qの意味の1つを有し、Tは、酸素又は基NR30であり、その際、R30は、qの意味の1つを有し、位置aは結合点となっている)を有する基を有する場合には、
x及びxは、同時にNであってはならず、かつ
xは、TがNR30である場合にはNであってはならない]で示されるヘテロアシルホスファイト又は元素の周期表の第4族ないし第10族の1種又は複数種の金属との相応の錯体の存在下で反応させることを含む方法。
【請求項2】
とRの基、RとRの基及び/又はRとRの基が、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
基qが基W−Rからなり、その際、Wが、二価の置換又は非置換の脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型、芳香族、複素芳香族、脂肪族−芳香族の混合型の1〜50個の炭素原子を有する炭化水素であり、かつ基Rが、−OR、−NR、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィン又は式(6c)によるヘテロアシルホスファイトを表し、その際、R及びRは、同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
Wが、一般式(2)
【化3】

[式中、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、tは、二価の基CR1617、SiR1617、NR16、O又はSを表し、かつR16及びR17は、R及びRと同様に定義され、nは0又は1であり、かつ位置aとbは、結合点となっている]で示される基を表す、請求項3記載の方法。
【請求項5】
隣接したRないしR15の基2つにつき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
Wが、一般式(3)
【化4】

[式中、R18、R19、R20、R21、R22及びR23は、それぞれ同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、tは、二価の基CR1617、SiR1617、NR16、O又はSを表し、かつR16及びR17は、R及びRと同様に定義され、nは0又は1であり、かつ位置aとbは、結合点となっている]で示される基を表す、請求項4記載の方法。
【請求項7】
隣接したR18ないしR23の基2つにつき、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
Wが、一般式(4)
【化5】

[式中、
uは、式(5a)、(5b)及び(5c)
【化6】

の基から選択される二価の基を表し、それらの式中、
24、R25、R26及びR27は、それぞれ同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、かつ位置aとbは、結合点となっている]で示される基を表す、請求項3から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
隣接したR24ないしR27の基2つは、一緒になって、縮合された置換又は非置換の芳香族、複素芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族の混合型又は複素芳香族−脂肪族の混合型の環系を形成する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
Rが、一般式(6a)、(6b)及び(6c):
【化7】

[式中、
28及びR29は、それぞれ同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、x、y、z及びWは、前記の意味を有し、かつ
mは0又は1であり、nは0又は1であり、kは0又は1であり、lは0又は1であり、かつ
位置aは結合点となっている]で示される基を表す、請求項3から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
周期系の第4族ないし第10族の金属が、ロジウム、白金、パラジウム、コバルト又はルテニウムである、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
更なるリン含有配位子が存在する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
式(1)のヘテロアシルホスフィン又はその金属錯体の存在下において、オレフィンをカルボニル化、ヒドロシアノ化、異性体化するための方法又はアミドカルボニル化するための方法であって、式中のR、R、R、R及びqが、それぞれ同一もしくは異なって、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式、芳香族、複素芳香族、脂肪族−脂環式の混合型、脂肪族−芳香族の混合型、複素環式、脂肪族−複素環式の混合型の1〜70個の炭素原子を有する炭化水素、H、F、Cl、Br、I、−CF、−CH(CFCF(その際、jは0〜9である)、−OR、−COR、−CO、−COM、−SiR、−SR、−SO、−SOR、−SO、−SOM、−SONR、−NR、−N=CRを表し、その際、R及びRが、同一もしくは異なって、Rの意味の1つを有し、かつMが、アルカリ金属イオン、形式上1/2のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオンであり、x、y、zは、互いに無関係にO、NR、Sを意味し、その際、Rが、Rの意味の1つを有する方法。

【公表番号】特表2007−529466(P2007−529466A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503319(P2007−503319)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050347
【国際公開番号】WO2005/090276
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(398054432)オクセノ オレフィンヒェミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (63)
【氏名又は名称原語表記】OXENO Olefinchemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Paul−Baumann−Strasse 1, D−45764 Marl, Germany
【Fターム(参考)】