説明

有機光電変換素子、有機光電変換素子に用いる電極構造及び有機光電変換素子の動作効率向上方法

【課題】高効率の有機光電変換素子、これに用いる電極構造およびその動作効率向上方法を提供する。
【解決手段】第1電極と前記第2電極との間に、発光層を含む有機層と、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物からなる無機層とを含む有機光電変換素子を採用する。そして、前記無機層を構成するアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は、下記の化学式により示される1種又は2種以上からなるものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、有機光電変換素子、有機光電変換素子に用いる電極構造及び有機光電変換素子の動作効率向上方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機光電変換素子(OLED)および有機光電池(photocell)は、いずれも2つの電極の間に光電サブ構造(本件発明では、以上及び以下に於いて、単に「有機層」と称している。)を配置させて構成される点に着目すれば構造上極めて類似している。この有機層は、電気エネルギーを光エネルギーに変換したり、又は光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。そして、有機光電変換素子等の電極の少なくとも一方には、光を有機層へ到達させて光電変換を行うため、若しくは、光電変換後に、有機層の中で発生させた光が透過できるように、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明電極材料を用いるのが通常である。
【0003】
このような有機光電変換素子は、現段階で公知の技術である。例えば、ハング(Hung)等による特許文献1には、厚さ15nmの銅フタロシアニン(CuPc)層を正孔注入層(HIL)として用い、厚さ60nmのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビスフェニル)−4,4’−ジアミン(N,N’−diphenyl−N,N’−bis(1−naphthyl)−( 1,1’−bisphenyl)−4,4’−diamine;NPB)を正孔輸送層(HTL)に、厚さ75nmのトリス−(8?ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(III)(Tris −(8−hydroxyquinolinate) aluminum (III);Alq)層を電子輸送層(ETL)に用いたEL(エレクトロルミネッセント)素子が開示されている。この特許文献1によると、上記Alq層上に、厚さ0.5nmのフッ化リチウム層を蒸着させてもよく、該フッ化リチウム層はフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化リチウムまたは酸化マグネシウム層に置換可能であることが開示されている。
【0004】
また、城戸等による特許文献2には、図13に示すような、その有機層2aが、開示されている。即ち、この特許文献2では、アノード層12とカソード層16との間に配置される正孔輸送層(HTL)13、発光層14および金属ドープ有機化合物層15からなる有機層2aを備え、基板11上に形成された有機EL素子10が開示されている。この特許文献2に開示の内容は、有機EL素子を構成する発光層、電子輸送層及び金属ドープ有機化合物層には、多環化合物、縮合多環炭化水素化合物、縮合複素環化合物などを用いている。そして、金属ドープ有機化合物層15中のドーパントには、仕事関数が4.2eV以下の金属を用いている。また、発光層14は、Alqで形成し、正孔輸送層13はアリールアミンで形成することが開示されている。更に、アノード層12には、インジウムスズ酸化物(ITO)を用い、カソード層16はアルミニウム層とすることが開示されている。
【0005】
ウェーバー(Weaver)等による特許文献3には、アルカリ金属化合物層を備えた有機光電変換素子が開示されている。この有機光電変換素子20は、図14に示すように、インジウムスズ酸化物アノード22が、プレコートされたプラスチック基板21上に形成されたものである。そして、そのカソード4bは、金属酸化物層28とマグネシウム金属層又はマグネシウム合金層27との2層から構成されている。そして、アルカリ金属化合物層26は、例えばフッ化リチウム(LiF)または酸化リチウム(LiO)などのアルカリ金属酸化物またはアルカリ金属ハロゲン化物から構成されるものである。有機複合層2bは、正孔輸送層(HTL)23、発光層24および電子輸送層(ETL)25からなる。この中で、正孔の注入効率向上と素子の寿命延長を目的として、上記のインジウムスズ酸化物アノード22上に、厚さ約10nmの銅フタロシアニン(CuPc)層(図示を省略)を形成しているのが特徴的である。即ち、該CuPc層上に、厚さ約30nmのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビスフェニル)−4,4’−ジアミン(N,N’−diphenyl−N,N’−bis(1−naphthyl)−( 1,1’− bisphenyl)− 4,4’−diamine;NPB)からなる正孔輸送層23を形成し、該NPB層上には、厚さ約30nmのfac−トリス(2−フェニルピリジン)−イリジウム(fac−tris(2−phenylpyridine)−iridium;Ir(ppy))がドープされた4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(4,4’−N,N’−dicarbazole−biphenyl;CBP)からなる発光層24を形成し、該発光層上24には、厚さ約10nmのアルミニウム(III)ビス−(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノラート(aluminum (III)bis −(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate;BAlq)からなる正孔ブロック層(hole blocking layer)を形成する等が開示されている。該BAlq層上には、厚さ約40nmの8−トリス−ヒドロキシキナリナートアルミニウム(8−Tris −hydroxyquinolinate aluminum;Alq)からなる電子輸送層25を形成することも開示されている。該Alq層上には、厚さ約0.5〜1nmのフッ化リチウムからなる電子輸送層25を形成することも開示されている。さらに、該フッ化リチウム層上には、マグネシウム合金(マグネシウムと金を含む)層を形成することも開示されている。
【0006】
レイチョードリ(Raychaudhuri)等による特許文献4には、有機層とカソードとの間にバッファ構造が配置されてなる図15に示すごとくの有機光電変換素子30が開示されている。図15に示すように、該バッファ構造は、電子輸送層36上に配置されるアルカリ金属ハロゲン化物を含む第1のバッファ層37と、第1のバッファ層37上に配置される金属または金属合金を含む第2のバッファ層38の2層から構成され、該金属または金属合金は仕事関数が約2〜4eVのものを採用している。また、正孔注入層33はアノード32と有機複合層2cとの間に配置される。そして、正孔注入層33は、porphorinic化合物又はフタロシアニン化合物よりなるものを採用している。また、この正孔注入層33には、フッ素化ポリマー(CF:x=1又は2)を採用しても良い。そして、正孔輸送層34には、各種芳香族アミンを採用している。発光層35は、電子と正孔とを再結合させて所定のエネルギー範囲の電磁放射を生じさせるよう機能するものであり、この発光層35には、1種または2種以上の蛍光染料がドープされたホスト材料からなるものを採用している。特許文献4に開示された内容によれば、好ましいホスト材料には、キレート金属を有する8−キノリノール金属キレート(8−quinolinol metal chelate)が含まれている。このキレート金属には、アルミニウム、マグネシウム、リチウムまたは亜鉛を採用している。カソード層39は、表示デバイスにおける電子注入層の導電性と反射性が高まるように、スパッタ蒸着により形成している。
【0007】
また、有機光電池や太陽電池等の光起電(photovoltaic)素子も、すでに公知の技術となっている。図16に示すように、太陽電池40は、基板41、基板上に配置されたベース電極(インジウムスズ酸化物)42、バッファ層43、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)層44、フラーレン(C60)層45、上部バッファ層46、および上部電極47からなる。ベース電極42は、例えば、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(3,4−polyethylenedioxythiophene:polystyrenesulfonate;PEDOT:PSS)を用いて形成することができるものである。上部バッファ層46は、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)(バソクロプロイン(bathocuproine)またはBCPとも呼ばれる)を用いて形成することができる。そして、亜鉛フタロシアニン層44とフラーレン層45は、この太陽電池の有機活性層を構成する。例えて言えば、有機太陽電池である光電池も、上述した有機光電変換素子と同じように、上部電極、有機層(organic optoelectronic sub−structure)及びベース電極を含んでいる。この有機太陽電池の原理については、フォレスト(Forrest)等による特許文献5に開示されておいる。また、有機太陽電池と有機光電変換素子の共通性に関しては、マイスナー(Meissner)等による特許文献6(下記参照)を参照すれば理解することが出来る。
【0008】
即ち、有機太陽電池と有機光電変換素子とは、その層構成から判断して有機光電ダイオードの層構成に属すると言える。かかる有機光電ダイオードは、1層又は複数層の活性有機光電層を介して、離間配置された第1電極及び第2電極を含んでなるのが通常である。このうち、有機光電変換素子では、各電極から電子と正孔とが、それぞれ電子輸送層と正孔輸送層を通過して発光層に注入されて、結合すると、再結合によってエネルギーを得た電子がエネルギーレベルの高い励起子の状態になり、その励起子の状態から緩和プロセスを経て基底状態に戻る過程で光を放つことになる。一方、有機太陽電池では、周囲に存在する光により活性層とこれに隣接する層との界面において、励起子の状態となり、その励起子状態が解離することで電子と正孔とに分離して、これら電子と正孔とがP型又はN型輸送層を通過し、それぞれ異なる電極に輸送されることで、電流が生じることになる。
【0009】
基本的に、有機光電変換素子又は有機太陽電池の有機層には、実質的なキャリアは存在しない。有機層に注入された電子と正孔とが再結合して有機分子を励起するまでは、有機層の中をホッピングしながら移動し、高分子は結晶構造的に見れば無秩序なランダム構造であるため電子や正孔にとっては非常に動きづらくなるためである。よって、有機光電変換素子の駆動電圧の低減や、有機太陽電池の電流量の増大を図ろうとする場合には、有機電子輸送層と金属カソードとの間に、例えばフッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウム又はフッ化マグネシウム等のアルカリ金属酸化物又はアルカリ金属ハロゲン化物を挿入配置する構成を採用することが好ましい(特許文献1を参照)。このようなアルカリ金属ハロゲン化物等の層を挿入配置すると、電子注入のエネルギー障壁を低くする意味で効果的であり、電子注入量を増加させることができる。しかし、アルカリ金属ハロゲン化物は、絶縁性に優れる材料であるため、この挿入配置する層は、トンネル効果が生じるように薄く作り発効効率を上昇させる必要がある。また、強力な電子供与性を備えるドーパント、例えばセシウム、リチウム、マグネシウム等のN型ドーパントを共析(co−deposition)させることで、有機電子輸送層中に取り入れた構成とすることも好ましい(特許文献2を参照)。このようにすることによって、有機電子輸送層のフェルミ準位レベルを、最低非占有分子軌道(LUMO)レベルに近付けることが可能となる(特許文献5の有機光電池構造の最低非占有分子軌道レベルに関する記述を参照)。しかし、上述のドーパント金属は化学的に高活性であり、有機光電変換素子の製造に通常用いられる熱蒸着プロセスには不向きである。
【0010】
上記した諸事情より、有機光電変換素子または有機光電池を含む有機光電変換素子の動作効率を一層向上させ得る方法および素子構造が、関連業界において求められる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5776623号明細書
【特許文献2】米国特許第6013384号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開2004/0032206号明細書
【特許文献4】米国特許第6551725号明細書
【特許文献5】米国特許第6580027号明細書
【特許文献6】米国特許第6559375号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述に述べてきた問題点から、本件発明は、上記問題点を解決した高効率の有機光電変換素子、有機光電変換素子に用いられる電極構造および光電素子の動作効率向上方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本件発明では、少なくとも1層のアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を、有機光電変換素子のキャリア輸送層に用いる。より詳細に言えば、このキャリア輸送層を有機光電変換素子の電子注入層又はカソードと有機層との間に配置することで、有機層への電子の輸送効率を向上させる。以下、本件発明に関して説明する。なお、本件発明に係る有機光電変換素子は、電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子の双方の概念を含むものである。そして、この有機光電変換素子とは、通常2つの電極(以上及び以下に於いて、第1電極及び第2電極として区別している。)の間に位置する層の事として用いている。
【0014】
本件発明に係る有機光電変換素子: 第1電極層と前記第1電極層に対向配置される第2電極層との間に配される有機層を含む有機光電変換素子であって、前記有機光電変換素子は、有機層と、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物からなる無機層とを積層してなることを特徴とするものである。ここで用いたアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は無毒であり、かつ化学的に安定している点で良好な素材である。そして、これら化合物は各種熱蒸着プロセスにより有機層上に蒸着して形成することが可能である。また、ここで言う前記無機層は、有機層の上に平面的に形成されるものに限らず、スタック構造又はカスケード構造を構成しても良い。
【0015】
本件発明に係る有機光電変換素子の前記無機層を構成するアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は、下記の一般式により示される1種又は2種以上の成分からなるものであることが好ましい。
【0016】
【化3】

【0017】
更に詳細に言えば、Aは元素周期表の1族及び2族元素からなる群より選ばれた元素である。Mは、元素周期表の3族〜15族からなる群より選ばれた元素であることが、より好ましい。
【0018】
そして、本件発明に係る有機光電変換素子は、前記無機層を構成するアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物として、スピネル型のLiMn、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タングステン酸リチウム(LiWO)、タングステン酸セシウム(CsWO)、マンガン酸セシウム(CsMnO)、バナジウム酸セシウム(CsVO)、チタニウム酸セシウム(CsTi13)、チタニウム酸マグネシウム(MgTiO)、タングステン酸マグネシウム(MgWO)、ジルコン酸マグネシウム(MgZrO)、コバルト酸ニッケルリチウム(Li(NiCo)O)からなる群より選ばれた化合物の1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0019】
そして、本件発明に係る有機光電変換素子は、無機層/有機層の層構成を備え、且つ、有機層が電子輸送層/発光層/正孔輸送層の3層構造を備えることで電気エネルギーから光エネルギーへの変換作用をする有機EL素子(有機ELダイオード)として機能する有機光電素子となる。
【0020】
本件発明に係る有機光電変換素子において、前記発光層は、Alqを主成分として構成したものであることが好ましい。
【0021】
また、本件発明に係る有機光電変換素子は、無機層/有機層の層構成を備え、且つ、有機層が電磁放射に反応して電子と正孔との結合を促進する活性層を電子輸送層/活性層/正孔輸送層の3層構造として備えることで光エネルギーから電気エネルギーへの変換作用をする光電池として機能する有機光電変換素子となる。
【0022】
以上に述べた有機光電変換素子の前記電子輸送層は、Alqを主成分として構成したものであることが好ましい
【0023】
そして、前記正孔輸送層は、NPBを主成分として構成したものである事が好ましい。
【0024】
また、本件発明に係る有機光電変換素子の有機層の正孔輸送層上に正孔注入層を配置した構造を採用することも好ましい。
【0025】
そして、前記正孔注入層は、銅フタロシアニン(CuPc)を主成分として構成したものであることが好ましい。
【0026】
本件発明に係る有機光電変換素子電極: 本件発明に係る有機光電変換素子電極は、上述のいずれかの有機光電変換素子の無機層のある面にカソード電極である第2電極を設け、他面側にアノード電極である第1電極を設けたことを特徴とするものである。
【0027】
本件発明に係る有機光電変換素子電極において、前記アノード電極は、インジウムスズ酸化物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム酸マグネシウム、タングステン酸ニッケル及びスズ酸カドミウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の透明電極材料を用いることが好ましい。
【0028】
本件発明に係る有機光電変換素子電極において、前記カソードは、アルミニウム、銀及びマグネシウム−銀合金からなる群より選ばれた1種又は2種以上の成分からなるものを用いることが好ましい。
【0029】
また、本件発明に係る有機光電変換素子電極において、前記カソードと前記無機層との間に、厚さ0.3nm〜5nmの絶縁層を配置する事が好ましい。
【0030】
そして、前記絶縁層は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ金属ハロゲン化物を用いて形成したものであることが好ましい。
【0031】
更に、前記絶縁層を構成するアルカリ金属ハロゲン化物は、フッ化リチウム(LiF)を主成分として構成したものであることが、より好ましい。
【0032】
本件発明に係る有機光電変換素子の動作効率の向上方法: 第1電極と第2電極との間に配置される有機層を少なくとも含む有機光電変換素子の当該有機層中の電子輸送プロセスを改善し動作効率を向上させるための方法であって、前記有機層と隣接する位置に、電子供与性を持つドーパントをドープした金属酸化物で構成した無機層を配置することを特徴とする方法である。
【0033】
そして、本件発明に係る有機光電変換素子の動作効率の向上のために用いる前記ドーパントは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれたものを用いることが好ましい。
【0034】
また、本件発明に係る有機光電変換素子の動作効率の向上のために用いる前記ドープの対象となる金属酸化物が、下記の化学式で示される化合物からなる群より選ばれたものであることが好ましい。
【化4】

【0035】
本件発明に係る有機光電変換素子の動作効率の向上方法において、前記有機光電変換素子の層構成中には、発光素子の層構成が含まれており、且つ、発光素子の中に含まれる前記有機層が発光層と、電子を供給する電子輸送層と、正孔を提供する正孔輸送層を含んでおり、前記電子と前記正孔とを前記発光層で結合させて電磁放射行わせるものとすることが好ましい。
【0036】
本件発明に係る有機光電変換素子の動作効率の向上方法において、前記正孔輸送領域に隣接して配置しアノードとして機能する前記第1電極と、前記電子輸送層に隣接して配置しカソードとして機能する前記第2電極とを含み、且つ、金属酸化物からなる無機層を前記電子輸送層と前記カソードとの間に配置することが好ましい。
【0037】
本件発明に係る有機光電変換素子の動作効率の向上方法において、前記有機光電変換素子の層構成中には、光電池の層構成が含まれており、且つ、光電池の層構成に含まれる前記有機層が、電磁放射に反応して電子と正孔との結合を促進する活性層と、前記電子と正孔との結合状態から発生した電子を前記第1電極へ輸送する電子輸送層と、前記電子と正孔との結合状態から発生した正孔を前記第2電極へ輸送する正孔輸送領域とを含む者とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本件発明は、第1電極と第2電極との間に有機層、活性層等を適宜配置することで有機光電変換素子の動作効率の向上を達成したものである。本件発明では、この活性に富んだ有機層に、1層又は複数層のアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物からなる層を配し、これを新たな電子輸送層として追加配置する等して用いるため、活性化した有機層内の電子輸送プロセスが改善され、結果として、有機光電変換素子の動作効率の向上が図れるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本件発明の上述およびその他の目的、特徴ならびに長所を一層明らかとするため、以下に、図1から図8の各図を参照しつつ、好ましい実施形態を挙げて本件発明をより詳細に説明する。
【0040】
図1には、本件発明に係る有機光電変換素子の1実施形態を例示的に示した断面図である。なお、図1には、第1電極110及び第2電極150をも同時に示し、有機光電変換素子電極としての構成を示した。図1に示したように、有機光電変換素子100は、第1電極110、正孔注入層120、有機層130、酸素を主たる元素とするアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物からなる化合物層140、および第2電極150からなる。そして、有機層130は、通常、図13に示した公知の有機光電変換素子の有機複合層のように、正孔輸送層、発光層および電子輸送層からなる。また、図16に示した光電池の有機層2と同様に、有機層130にはフラーレン層又はフタロシアニン層を含ませてもよい。上述の酸素を含有したアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物は、以下の化学式で表されるものを用いる。
【0041】
【化5】

【0042】
このアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は、酸素を含んだ化合物であり、具体的に例示すれば、スピネル型のLiMn、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タングステン酸リチウム(LiWO)、タングステン酸セシウム(CSWO)、マンガン酸セシウム(CsMnO)、バナジウム酸セシウム(CsVO)、チタニウム酸セシウム(CsTi13)、チタニウム酸マグネシウム(MgTiO)、タングステン酸マグネシウム(MgWO)、ジルコン酸マグネシウム(MgZrO)またはコバルト酸ニッケルリチウム(Li(NiCo)O)を挙げることができる。
【0043】
そして、本件発明の有機光電変換素子電極において、第1電極110は、インジウムスズ酸化物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム酸マグネシウム、タングステン酸ニッケルもしくはスズ酸カドミウムの中から任意に選択した金属酸化物又はこれら金属酸化物を複数組み合わせて形成するアノードである。
【0044】
また、第2電極150は、アルミニウム、銀もしくはマグネシウム−銀合金の中から選択される任意の金属又はこれら金属の合金によって形成されるカソードである。
【0045】
また、異なる実施の形態としては、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物層140と第2電極150との間に、1層又は2層以上のバッファ層146を形成してもよい。この1層又は複数層のバッファ層は、例えば図2に示す有機光電変換素子100´において、厚さ約0.3nm〜5nmの非導電層としてのバッファ層146とすることができる。また、バッファ層146は、厚さ約0.3nm〜5nmの、1種または複数のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物のいずれかからなるものでよい。
【0046】
一方、本件発明に言う光電池に関して図7を用いて説明する。光電池を構成する第1電極110は、(図16に示すベース電極42に類似の)ベース電極であり、インジウムスズ酸化物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム酸マグネシウム、タングステン酸ニッケルもしくはスズ酸カドミウムのうちの任意の金属酸化物又はこれら金属酸化物の組み合わせによって形成される。また、第2電極150は、(図16に示す上部電極47に類似の)上部電極であり、アルミニウム、銀、マグネシウム銀合金もしくはこれらに類似する金属または合金のうちの任意の金属またはこれらの合金によって形成される。
【0047】
そして、本件発明によれば、有機光電変換素子中のバッファ層と同じ様に、光電池においても、酸素を含有したアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物層140と上部電極150との間に、1層又は複数層のバッファ層146(図7での図示は省略)を形成することができる。
【0048】
そして、本件発明が提供する有機光電変換素子に用いる電極構造は次のとおりである。図3に示すように、本件発明に係る電極構造200は、電流収集体(current collector)又は電流分散体(current disperser)450であり、この電流収集体又は分散体450に接する、酸素を含有したアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物層140とを少なくとも含むものである。更に、厚さ約0.3nm〜5nmの絶縁層146(図3での図示は省略)を、酸素を含有したアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物層140と、電流収集体又は電流分散体450との間に配置することができる。その絶縁層146は、1層又は複数層のアルカリ金属酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物のいずれかを用いることが好ましい。中でも、該絶縁層146は、フッ化リチウムを用いて形成することが好ましい。
【0049】
図1及び図2に示した有機層130は、下記のような種々の構造をとることができる。この有機層130の例として、以下に図面を用いて説明する。図4に本件発明の好ましい1実施形態として有機層の断面図を示すが、この有機層130は、正孔輸送層132、発光層134および電子輸送層136を含んでいる。
【0050】
図5に、他の実施形態としての有機層の断面図を示す。この有機層130は、正孔輸送層132、および電子輸送層/発光層の結合層135から構成される。この場合、結合層135は、酸素を含有したアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物層140に隣り合う電子輸送層と、正孔輸送層132に隣り合う発光層とを備えことになる。
【0051】
図6に、また他の実施形態としての有機層の断面図を示す。ここでは公知のドーピング技術により、電子輸送層136に強電子供与性を有するN型ドーパント500をドーピングすることも可能で、図面でこのイメージを示している。
【0052】
図7に、さらに他の実施形態として光電池を構成した場合の断面図を示す。図7に光電素子100が光電池である場合に、この有機層130は、正孔輸送層132、活性層(active layer)133及び電子輸送層136を含んでいる。そして、この活性層133は、所定のエネルギー範囲の電磁放射に反応して電子と正孔との結合を促進するものである。なお、図7に関しては、第2電極150,第1電極110を示している。
【0053】
そして、図8には、酸素を含有したアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を用いることで効率を向上させた構成の、本件発明に係る有機光電変換素子600である。この有機光電変換素子600は、アノード610、正孔注入層620、正孔輸送層632、電子輸送層と発光層との結合層635、酸素を含有したアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物層640及びカソード650を含んでいる。
【0054】
より詳細に説明すると、アノード610は厚さ約75nmのインジウムスズ酸化物層からなり、正孔注入層620は厚さ約15nmの銅フタロシアニン(CuPu)層からなり、正孔輸送層632は厚さ約60nmのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビスフェニル)−4,4’−ジアミン(NPB)層からなり、電子輸送層と発光層との結合層635は厚さ約75nmのトリス−(8?ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(III)(Alq)層からなり、化合物層640は、化学式A(M)で示される化合物層であって好ましくはスピネル型のLiMn層からなり、カソード650は厚さ約200nmのアルミニウム層からなる。
【0055】
図8に示す有機光電変換素子についての実験結果を図9から図12に示す。これら各図おいて、一方の曲線はスピネル型のLiMn層を備えた有機光電変換素子、もう一方の曲線はスピネル型のLiMn層を備えない有機光電変換素子の実験結果をそれぞれ示している。
【0056】
図9は、電流密度と電圧との関係を示すグラフである。この図9から判断して、本件発明の好ましい1実施形態による有機光電変換素子は、従来の有機光電変換素子に比べ、印可電圧に対して良好な電流透過量が得られることがわかる。
【0057】
図10は、輝度と電圧との関係を示すグラフである。この図10から判断して、本件発明の好ましい1実施形態による有機光電変換素子は、従来の有機光電変換素子に比べ、同じ電圧を印可する限り良好な輝度を示すことが理解できる。
【0058】
図11は、電流効率と電流密度との関係を示すグラフである。この図11より、本件発明の実施形態による有機光電変換素子は、従来の有機光電変換素子に比べ優れていることがわかる。
【0059】
図12はエネルギー効率と輝度との関係を示すグラフである。この図12より、本件発明の実施形態による有機光電変換素子は、従来の有機光電変換素子に比べたエネルギー効率を示すことが理解できる。
【0060】
以上述べたように、本件発明は、第1電極と第2電極との間に有機層又は活性な有機層を配置させることで、有機光電変換素子の動作効率向上方法を提供するものでもある。かかる有機光電変換素子の動作効率は、活性な有機層における電子輸送プロセスを改善することによって向上する。更に、かかる電子輸送プロセスの改善は、有機層と共に、1層または複数層の酸素を含んだアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を用いて形成した層を、電子輸送効率に優れた電子輸送層として配置することで達成できる。このような電子輸送層を、電流収集体又は電流分散体として用いられる電極と連接して、用いるのである。
【0061】
本件発明の好ましい実施形態を以上に示したが、これは本件発明に限定を加えるものではなく、当業者であれば、本件発明の技術的思想の範囲を逸脱しない限りにおいて、構成要素の変更及び付加を施すことができる。よって、本件発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲で定義されたものが基準とされる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本件発明に係る有機光電変換素子は、第1電極と第2電極との間に有機層、活性層等を適宜配置することで有機光電変換素子の動作効率の向上を達成したものである。そして、本件発明では、この活性に富んだ有機層を得るために、1層又は複数層のアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物からなる層を配し、これを新たな電子輸送層として、第1電極と第2電極との間に追加配置した。
【0063】
このようにすることで活性化した有機層内の電子輸送プロセスが改善され、結果として、有機光電変換素子の動作効率の向上が図れるのである。即ち、従来の有機光電変換素子に比べ、(i)印可電圧に対して良好な電流透過量が得られる。(ii)同じ電圧を印可する限り、従来に比べ良好な輝度を示す。(iii)従来の有機光電変換素子に比べ良好な電流効率を示す。(iv)従来の有機光電変換素子に比べ良好なエネルギー効率を示す。従って、消費電力の小さな有機光電変換素子を用い、且つ、高品質のたディスプレイパネル等の提供が可能となる。
【0064】
また、上記アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は、無毒で化学的に安定している上、従来から使用されてきた各種熱蒸着プロセスにより有機光電変換素子上に蒸着可能であり、新たな設備投資を要するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本件発明に係る有機光電変換素子の一例を示す模式断面図である。
【図2】本件発明に係る有機光電変換素子の一例を示す模式断面図である。
【図3】本件発明に係る電極構造の一例を示す模式断面図である。
【図4】本件発明に係る有機光電変換素子に含まれる有機層の模式断面図である。
【図5】本件発明に係る有機光電変換素子に含まれる有機層の模式断面図である。
【図6】本件発明に係る有機光電変換素子に含まれる有機層の模式断面図である。
【図7】本件発明に係る有機光電変換素子の層構成に光電池の層構成を含む場合の有機層の模式断面図である。
【図8】アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物で構成した層を設けることにによる効果が発揮されるための好ましい形態の有機光電変換素子の模式断面図である。
【図9】本件発明に係る有機光電変換素子と従来の有機光電変換素子との対比として、電流密度と電圧との関係を示すグラフである。
【図10】本件発明に係る有機光電変換素子と従来の有機光電変換素子との対比として、輝度と電圧との関係を示すグラフである。
【図11】本件発明に係る有機光電変換素子と従来の有機光電変換素子との対比として、電流効率と電流密度との関係を示すグラフである。
【図12】本件発明に係る有機光電変換素子と従来の有機光電変換素子との対比として、エネルギー効率と輝度との関係を示すグラフである。
【図13】公知の各種有機光電変換素子を説明する図である。
【図14】公知の各種有機光電変換素子を説明する図である。
【図15】公知の各種有機光電変換素子を説明する図である。
【図16】公知の光電池を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
100 有機光電変換素子
100´ 有機光電変換素子
110 第1電極
120 正孔注入層
130 有機複合層
132 正孔輸送層
133 活性層
134 発光層
135 電子輸送層と発光層との結合層
136 電子輸送層
140 化合物層
146 バッファ層
150 第2電極
200 電極構造
450 電流収集体または分散体
500 N型ドーパント
600 有機光電変換素子
610 アノード
620 正孔注入層
632 正孔輸送層
635 電子輸送層と発光層との結合層
640 化合物層
650 カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極層と前記第1電極層に対向配置される第2電極層との間に配される有機層を含む有機光電変換素子であって、
前記有機光電変換素子は、有機層と、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物からなる無機層とを積層してなる有機光電変換素子。
【請求項2】
前記無機層を構成するアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は、下記の化学式により示される1種又は2種以上からなるものである請求項1に記載の有機光電変換素子。
【化1】

【請求項3】
前記無機層を構成するアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物は、スピネル型のLiMn、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タングステン酸リチウム(LiWO)、タングステン酸セシウム(CsWO)、マンガン酸セシウム(CsMnO)、バナジウム酸セシウム(CsVO)、チタニウム酸セシウム(CsTi13)、チタニウム酸マグネシウム(MgTiO)、タングステン酸マグネシウム(MgWO)、ジルコン酸マグネシウム(MgZrO)、コバルト酸ニッケルリチウム(Li(NiCo)O)からなる群より選ばれた化合物の1種又は2種以上である請求項1又は請求項2に記載の有機光電変換素子。
【請求項4】
無機層/有機層の層構成を備え、且つ、有機層が電子輸送層/発光層/正孔輸送層の3層構造を備え電気エネルギーから光エネルギーへの変換作用をする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機光電素子。
【請求項5】
前記発光層は、Alqを主成分として構成したものである請求項4に記載の有機光電変換素子。
【請求項6】
無機層/有機層の層構成を備え、且つ、有機層が電磁放射に反応して電子と正孔との結合を促進する活性層を電子輸送層/活性層/正孔輸送層の3層構造として備え光エネルギーから電気エネルギーへの変換作用をする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機光電素子。
【請求項7】
前記電子輸送層は、Alqを主成分として構成したものである請求項4〜請求項6のいずれかに記載の有機光電変換素子。
【請求項8】
前記正孔輸送層は、NPBを主成分として構成したものである請求項4〜請求項7のいずれかに記載の有機光電変換素子。
【請求項9】
有機層の正孔輸送層の上に正孔注入層を配置した請求項4〜請求項8のいずれかに記載の有機光電変換素子。
【請求項10】
前記正孔注入層は、銅フタロシアニン(CuPc)を主成分として構成したものである請求項9に記載の有機光電変換素子。
【請求項11】
請求項1〜請求項13のいずれかに記載の有機光電変換素子の無機層のある面にカソード電極である第2電極を設け、他面側にアノード電極である第1電極を設けたことを特徴とする有機光電変換素子電極。
【請求項12】
前記アノード電極は、インジウムスズ酸化物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム酸マグネシウム、タングステン酸ニッケル及びスズ酸カドミウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の透明電極材料からなる請求項14に記載の有機光電変換素子電極。
【請求項13】
前記カソードは、アルミニウム、銀及びマグネシウム−銀合金からなる群より選ばれた1種又は2種以上の成分からなる請求項14又は請求項15に記載の有機光電変換素子電極。
【請求項14】
前記カソードと前記無機層との間に、厚さ0.3nm〜5nmの絶縁層を配置するものである請求項11〜請求項13のいずれかに記載の有機光電変換素子電極。
【請求項15】
前記絶縁層は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ金属ハロゲン化物を用いて形成したものである請求項14に記載の有機光電変換素子電極。
【請求項16】
前記絶縁層を構成するアルカリ金属ハロゲン化物は、フッ化リチウム(LiF)を主成分として構成したものである請求項15に記載の有機光電変換素子電極。
【請求項17】
第1電極と第2電極との間に配置される有機層を少なくとも含む有機光電変換素子の当該有機層中の電子輸送プロセスを改善し動作効率を向上させるための方法であって、
前記有機層と隣接する位置に、電子供与性を持つドーパントをドープした金属酸化物で構成した無機層を配置することを特徴とした有機光電変換素子の動作効率の向上方法。
【請求項18】
前記ドーパントは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれたものである請求項21に記載の有機光電変換素子の動作効率の向上方法。
【請求項19】
前記ドープの対象となる金属酸化物が、下記の化学式で示される化合物からなる群より選ばれたものである請求項17に記載の有機光電変換素子の動作効率の向上方法。
【化2】

【請求項20】
前記有機光電変換素子の層構成中には、発光素子の層構成が含まれており、且つ、発光素子の中に含まれる前記有機層が発光層と、電子を供給する電子輸送層と、正孔を提供する正孔輸送層を含んでおり、前記電子と前記正孔とを前記発光層で結合させて電磁放射を行わせるものである請求項17に記載の有機光電変換素子の動作効率の向上方法。
【請求項21】
前記正孔輸送領域に隣接して配置しアノードとして機能する前記第1電極と、前記電子輸送層に隣接して配置しカソードとして機能する前記第2電極とを含み、且つ、金属酸化物からなる無機層を前記電子輸送層と前記カソードとの間に配置した請求項17に記載の有機光電変換素子の動作効率の向上方法。
【請求項22】
前記有機光電変換素子の層構成中には、光電池の層構成が含まれており、且つ、光電池の層構成に含まれる前記有機層が、電磁放射に反応して電子と正孔との結合を促進する活性層と、前記電子と正孔との結合状態から発生した電子を前記第1電極へ輸送する電子輸送層と、前記電子と正孔との結合状態から発生した正孔を前記第2電極へ輸送する正孔輸送領域とを含む請求項17に記載の有機光電変換素子の動作効率の向上方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−148134(P2006−148134A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337917(P2005−337917)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【出願人】(304060520)友達光電股▲ふん▼有限公司 (15)
【Fターム(参考)】