説明

有機廃棄物を加工するためのシステム

システムは、複数の別個のエレメントを含み、有機廃棄物はシステムの一端に入れ込まれて、熟成されたコンポストはシステムの他端で取り出される。別個のエレメントは、少なくとも1つの粉砕ミル(1)と、1つの除湿機(2)と、1つのコンポスト機(3)とを含む。さらにシステムは、除湿機の前に水を加えるための手段と、除湿機に残留する液体がおよそ25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有することを確実にするための手段とを含む。本発明はまた、肥料を製造するための方法に関し、有機廃棄物は粉砕されて水を供給され、その後脂肪分及び液体分が25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度で分離され、さらに固体塊が除湿されてコンポスト化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大口の世帯、たとえば団体施設、レストラン及び/又は船舶等からの有機性廃棄物、特に食品廃棄物を加工するためのシステムに関する。本発明はまた、優れた肥料特性を有するコンポスト(堆肥)を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、大口の世帯は、キッチンからの残飯と客の残飯との両方ともに、非常に大量の食品廃棄物を生み出している。この廃棄物は、さらなる処置のために移送される必要があり、内外ともに多大な資源を要する。食品廃棄物を保管しなくてはならない場合、新しい食材を汚染せず、新しい食品の製造と混同しないことを確実にすることが確保されなければならない。これには広大な面積と、廃棄物の臭い/過熱を減少させるための取り組みとが必要である。食品廃棄物は冷蔵室に保管しなくてはならないことが法によって定められているが、廃棄物は多くの場合冷蔵されずに保管されて、それに伴うネズミ等の害獣問題に直面する。また、廃棄物を扱う人が、冷蔵することなく保管することに関連して、食品廃棄物かあるいは怪獣かによる感染症にかかる危険がある。その上、食品廃棄物の移送は、たいてい自動車によって行われ、長距離にわたることが多いため、環境に優しくない。
【0003】
食品廃棄物の処理はたいてい燃焼であるため、エネルギ、栄養分及び微量元素が周囲に放出され、再資源化の見込みはわずかである。食品廃棄物量を減少させるために、コンポスト機の中に入れる場合がある。しかし、大口の世帯用のコンポスト機はかなりのスペースを要し、キッチンに配置するには適切ではない。したがって、廃棄物は一時的に保管された後で、コンポスト機に移されなければならない。さらに、全ての廃棄物、たとえば骨全体等をコンポスト機内に直接入れることができるわけではない。従来の食品廃棄物の、たとえばコンポスト機内での好気的処理は、土壌調整剤として用いられる場合があるが、肥沃化の効果をほとんど有さないコンポスト製品を提供する。通例、短時間のコンポスト化を有する処理は、有機酸を大きく発達させ、これが発芽及び植物の成長を妨げている。
【0004】
別の問題は、環境保護的な食品生産物の製造は、多くの場合肥料の供給量と販売された農作物中の栄養素との間の不均衡につながることである。ほとんどの環境保護的な成長システムは、負の栄養バランスを有しており、土壌の栄養素を消費する。環境保護的に作業する農業従事者は、栄養分を戻すことなく栄養バランスを改善する実際の機会がほとんどない。したがって、良好な肥料効果を有し、重要な栄養素を含有するコンポストを作り、農作物量と栄養バランスとが、環境保護的な耕作システムにおいて維持されるようにすることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
目的
本発明の主な目的は、好ましくは大口の世帯からの有機性廃棄物を取り扱うためのシステムを得ることであり、遠くに移送される必要のある量を減少させ、中間的な保管の必要性を最小限にし、人間への直接の感染症の危険を最小限にする。廃棄物は、準備されているか又は準備されようとしている食品を汚染するかもしれないような方法で扱われるべきではない。さらなる目的は、廃棄物が、良好な肥料効果を有するコンポストに加工されることが望ましいことである。
【0006】
発明
本目的は、独立項の特徴部分による発明によって満たされる。さらなる有利な特色は、対応する従属項で述べられる。
【0007】
本発明は主に、複数の別個のエレメントを含むシステムに関し、システムの一端に廃棄物が入れ込まれ、熟成されたコンポストは、もう一方の端で取り出されることができる。廃棄物はまず、給水を有する粉砕ミル内で細かく粉砕された後、除湿機内のたんぱく質及び炭水化物に富む残留物から脂肪及び水が分離され、最後にたんぱく質及び炭水化物に富む残留物がコンポスト機内でコンポスト化される。脂肪は、好ましくは脂肪収集器内で水から分離され、水は管路網内に導かれるか、あるいはシステム内に戻されてもよい。
【0008】
本発明の別個の主エレメントは少なくとも、給水を有する粉砕ミルと、除湿機と、コンポスト機と、好ましくは脂肪収集器とを含む。特に好ましい実施形態では、システムは、システム内で廃棄物を内部的に移送するための、好ましくは吸引の使用に基づいた移送システムをさらに含む。
【0009】
本明細書で用いられる「除湿機」は、固体から液体を除去し、固体量が30%を越え、好ましくは50%を越える程度に液体が除去される任意の装置を記載することが意図される。
【0010】
粉砕ミルの入口は、好ましくは、食品廃棄物が産出される場所に近接して、たいていはキッチン内又はその近傍に配置される。粉砕ミルは廃棄物を細かく粉砕し、かつ粉砕ミルは、骨を含むすべての有機廃棄物を細かく粉砕することが可能であるタイプであることが望ましい。粉砕ミルの入口は、給水を備えて設計されて、皿等を水洗いすることができ、また廃棄物が水流によって粉砕ミル内部に導かれるようにしてもよい。場合によっては、数個の廃棄物ポイント、すなわち数個の粉砕ミルを、互いに距離を置いて備えることが有利である場合がある。しかし、すべての粉砕ミルが同じ除湿機及びコンポスト機に導かれて、システムが実質的には全体的に増大しないようにしてもよい。
【0011】
粉砕された廃棄物が除湿機内部に導かれる前に、水を加えなければならず、廃棄物の温度は、脂肪が融解する程度に十分に高くなければならない。脂肪が水とともに除去されることを確実にするために、除湿機に残留する液体は、25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有する。これは多くの方法で行われてもよく、好ましくは廃棄物は除湿機の前に25℃を越える温度を有する水を供給され、この水が粉砕ミル内のノズルを介して加えられると、特に好ましい。粉砕ミルの実際のミル前に水が加えられると、食品廃棄物は存在する温水とともに粉砕され、このことが脂肪のよりよい分解に寄与する。
【0012】
本システムは、除湿機に残留する液体が25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有することを確実にする手段とともに動作する。これらの手段は、システムの構成であってもよい。すなわち、温水の供給と除湿機からの排出との間の期間は、水が除湿機に残留する前に十分に冷えないほど短い。これらの場合、残留する液体の温度は、システムの起動時に測定され、その後給水の温度が調節される。他のケースでは、残る水の温度は継続的に測定され、熱供給が調節されて、残留する液体が25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を維持することを確実にする。
【0013】
温度が25℃を下回る場合には、より高温の温水を加えるかあるいは他の方法によって、除湿機にさらなる熱を加える必要がある。除湿機に残留する液体の温度が低下して25℃よりも低くなる場合、脂肪が固まって、たんぱく質及び炭水化物に富む材料とともにとどまり、これが調製された肥料の肥料特性に、再度非常にマイナスの影響を及ぼす。食品廃棄物は、異なる融点を有する数種の異なるタイプの脂肪を含有し、いくつかのタイプは、30℃を上回る融点を有する。液体が30℃を上回る温度を保つ場合、ほとんどの脂肪が水とともに除去され、たんぱく質及び炭水化物に富む材料とともにとどまる脂肪は、熟成されたコンポストの、影響を及ぼさないような少量部分を構成する。
【0014】
除湿機は、液体と粉砕された廃棄物とを分離するように設計された任意のタイプであってもよく、全固形分の含有量が30%を超え、好ましくは50%を超えるように、多量の液体を除去する。除湿機の一例は、有孔管内部に配置された送りスクリューであり、液体が孔を通して押し出される。除湿機内で除去された液体は、通常の下水システムに導き出される前に、好ましくは脂肪収集器、場合によってはスラッジ除去器を通して導かれる。脂肪除去器では、水から脂肪が除去されて、遠くに移送されるかあるいはバイオ燃料として用いられてもよい。また、スラッジ除去器を用いて、水から粒子を除去してもよく、場合によっては脂肪及びスラッジ除去器は組み合わせられたユニットであってもよい。水は下水システムに導き出されるか、あるいはシステムに戻されて再循環され、水の消費全体を減少させてもよい。水の再循環が望ましい場合、当然ながらまず濾過及び/又は浄化される必要がある。
【0015】
除湿されたパルプは、除湿機からコンポスト機に導かれる。熱供給及び給気を有するコンポスト機を用いて、粉砕されて除湿されたパルプを短期間のうちにコンポストに変えることができるように攪拌する。さらに、コンポスト機は、継続的な供給用に設計されることが望ましく、産出される廃棄物量に適合させる必要がある。コンポスト機の好ましい実施形態では、熟成されたコンポストは、機械内で押し進められて、出口、たとえば出力スクリューを介して取り出される。
【0016】
本発明によって作られたコンポストは、優れた肥料効果を有する土壌調整剤として用いられる場合があるため、衛生処理をする必要がある。これは、コンポスト機の一部として、また仕上げ工程として、多くの方法で行われてもよく、このことは当業者には明らかである。
【0017】
システム内部の粉砕ミルから除湿機への、及び除湿機からコンポスト機への廃棄物の移送は重力に基づいてもよく、又はシステムが移送システムを含んでもよい。そのような移送システムは、ポンプ、スクリュー又は好ましくは吸引に基づいてもよい。そのような移送システムが用いられる場合、粉砕ミルの下に貯蔵タンクを有し、移送システムが周期的にのみ稼働されることは有利である。
【0018】
本発明のシステムは、有利には既存の建物に後から配置されても、新しい建物に一体化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のシステムに統合された異なるエレメントを示す。
【図2】上方から見た本発明の粉砕ミルを示す。
【図3】図2の粉砕ミルの、線A−Aに沿った縦断面図を示す。
【図4】部分的に展開された除湿機の外形図を示す。
【図5】上方からのコンポスト機を示す。
【図6】図5の線B−Bに沿った縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例
以下に、本発明の別個の主エレメント、すなわち粉砕ミル、除湿機及びコンポスト機の好ましい実施形態が記載される。これらの実施形態は例であり、本発明を限定するとして解釈されるべきではない。
【0021】
粉砕ミル
本発明で用いるための粉砕ミルの好ましい実施形態は、主にはめ込み蓋と、粉砕ユニットと、洗浄システムとを含む。はめ込み蓋は比較的大きく、粉砕ユニット内に直接至る。粉砕ミルは、はめ込み蓋が開かれた場合、粉砕を停止するように設計される。蓋が適所に位置するまで粉砕を開始することができず、また機械的なロッキングシステムを使用して実施される。また、粉砕を行わせるエンジンは、ブレーキとともに動作して、蓋が開かれた場合に直ちに停止する。システムは、場合によっては粉砕が停止するまで蓋を開くことができないように、所望であれば時間を遅らせて動作してもよい。このロッキングシステムは、けがを防ぐために動作し、また多くの方法で動作してもよく、このことは当業者には明らかである。
【0022】
はめ込み蓋から粉砕ユニットまで、少なくとも壁の下部が互いに向かって傾斜し、粉砕ミルに入れ込まれた廃棄物が、粉砕ユニットに向かって下向きに導かれる。粉砕ユニットの底は、外縁の歯とともに動作する回転円板を含む。回転円板に隣接している壁の部分もまた歯とともに動作し、円板が回転すると、これらの歯の間で廃棄物が粉砕される。以下では、回転円板の歯と壁の歯との間の相互作用を、「引裂リム」と呼ぶ。回転円板と、特に壁との両方の歯は、縦方向に異なる細かさの度合いを有してもよく、廃棄物はまず粗く粉砕された後、引裂リムを通過するときに細かく粉砕される。廃棄物は、加水によって脂肪がすべて溶け得る、好ましくは<4mmの粒子程度の細かさの度合いまで粉砕される必要がある。
【0023】
廃棄物の粉砕をさらに支援するために、回転円板にナイフを設置して、粉砕ミルに入る廃棄物をナイフがより小さな断片に切断することは有利である。ナイフは、好ましくは円板から距離を置いて突出し、そのため廃棄物が引裂リムに到達したときには、すでに粗く切断されているように設置される。
【0024】
すべての廃棄物が引裂リムを通過して、回転円板の上部に残らないことを確実にするために、角度をつけた「ガイドレール」を円板に設置して、廃棄物をばらばらに引き裂くことに加えて、骨等を引裂リムに向かって押し出すことは有利である場合がある。また、壁は異なるリブ又は昇降部、突出部等を有して、廃棄物を回転円板に向かって下向きにガイドしてもよい。
【0025】
原則的に、重力は、廃棄物が粉砕ユニット内に降りてきて引裂リムを通過することを確実にするはずである。重力が十分でない場合、又は工程を簡易にすることが望ましい場合、粉砕ミルに少なくともいくつかの水ノズルを設置することが有利である場合がある。これらはまた、より良い掃除に寄与し、粉砕がより容易になる。粉砕の前に水が加えられると、脂肪はより容易に融解して水と混合される。第1のノズルは、好ましくははめ込み蓋の下の、テーパ部の上縁に配置されることが望ましい。このノズルからの水は、粉砕ユニットに向かった壁に粘着する可能性のある残留物を洗浄して落とし、粉砕がより容易になることを確実にする。他のノズルは、好ましくは引裂リムの下に取り付けられ、リムに向かって洗浄することが望ましい。ここからの水は、粉砕された廃棄物を粉砕ユニットの外に導くことに寄与し、ひいてはシステムの掃除及び継続に寄与する。システムに加えられる水量全体を低減させるために、ノズルは有利には間隔を置いて動かされてもよい。
【0026】
代替の実施形態では、本システムは、25℃を上回る温度を有する水を加えるための他の手段とともに動作してもよく、このためノズル内の水温は、掃除以外には重要ではない。他の代替の実施形態では、除湿機の前に廃棄物に水が加えられ、廃棄物は除湿機内に導かれる前に加熱される。
【0027】
粉砕ミルは、はめ込み蓋の上で、手動洗浄器、たとえば市販のキッチン洗浄器とともに動作して、皿、鍋等を洗浄したり、掃除のために粉砕ミル自体を洗浄したりしてもよい。
【0028】
粉砕ミルは、全体がステンレス鋼でなされ、継手及び溶接の必要がない。これは、細菌の成長に好条件を与える可能性がある表面の凹凸を避けるためである。
【0029】
除湿機
本発明で用いるための除湿機の好ましい実施形態は、バッファタンクを含み、その中には粉砕ミルから粉砕された廃棄物が供給される。バッファタンク内では、粉砕ミルからの廃棄物が保管されて、除湿機の中に継続的に適量が導かれる。また、除湿機は、バッファタンクなしで稼働してもよいが、その場合、短時間に産出される廃棄物の最大量を取り扱うために必要な寸法にされる必要がある。バッファタンクによって、廃棄物量をより広範な時間にわたって分散させることができ、除湿機を、産出された廃棄物の平均量を取り扱うために必要な寸法にすることができる。上述のように、脂肪を除去するために、除湿機に残留する液体が25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有することが前提であり、必要であれば、バッファタンクは加熱エレメントとともに動作してもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、除湿機は、有孔管内に配置された送りスクリューを含む。送りスクリューを備えた有孔管は、好ましくは除湿されるパルプのための入口が出口の下になるように傾斜している。除湿されるパルプは、送りスクリューと有孔管との間で押圧され、液体は孔を通って滲出する。一層乾燥したパルプは、除湿機の出口に向かって上方に移送される。スクリューの巻きの密度及び角度と、除湿機の傾斜とを互いに調節して、できるだけ短時間のうちに最適な除湿に達するようにする必要がある。
【0031】
さらなる除湿のために、送りスクリューが上部にスクリューの巻きを有していないことは有利である。このように、パルプは、下から加えられるパルプによってのみ動かされ、小さな逆圧が生じて、より多くの液体を加圧する。
【0032】
周辺の管の孔の撒き散らしを防ぐために、スクリューの巻きは、好ましくは外縁のブラシとともに動作する。これらのブラシは管の内側に当たり、最終的なパルプを払い落とす。さらなる利点は、数多くのノズルを管の下端に配置して、外側から孔を洗浄することである。洗浄に用いられる水は、25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有する。
【0033】
除湿機は、好ましくは間隔を置いて動作する。パルプが除湿機を通過するとき、送りスクリューを短時間動作させて、管の内側を十分に払わせ、ノズルが孔を清潔に洗浄してもよいことは有利である。粉砕ミルから粉砕された廃棄物が継続的に供給される場合、除湿機はそれでも間隔を置いて動作し、その間に掃除を行うことが望ましい。これは、管の孔が撒き散らしせず、液体がパルプに残留することを防ぐことを確実にするためである。
【0034】
除湿機に残留する液体は、下水システム内に導かれるか又はプロセスに再循環される前に、好ましくは脂肪除去器を、場合によっては泥除去器を通して導かれることが望ましい。除湿されたパルプは、コンポスト機に導かれる。
【0035】
コンポスト機
コンポスト機の好ましい実施形態は、加熱エレメントを備える2つのチャンバと、転回装置と、空気循環システムとを含む。コンポスト化されるパルプ用の入口は、第1のチャンバの一端に配置され、熟成されたコンポスト用の出口は、他方のチャンバの反対端に配置される。チャンバは、上部が格子で構成される隔壁によって分離される。
【0036】
コンポスト機内の加熱エレメントは、温度がコンポスト化及び乾燥に適している程度に維持されることを確実にする。転回装置は、継続的か又は間隔を置いてパルプを転回させ、結果としてコンポスト化プロセスが好気性細菌を転回させ、かつ最もコンポスト化されて乾燥されたパルプが、パルプの一番上になるように動作しかつ配置される。パルプは、流入してくるパルプによって第2のチャンバに向かって動かされ、押されて格子を通ることによって第2のチャンバに入る。チャンバの間の壁は、上部にのみ格子を有するため、最も乾燥したパルプのみが格子を通過する。格子を有する隔壁は、湿った及び/又は目詰まりを起こすパルプが、出口に接近することを防ぎ、これによって、コンポスト機に加えられたすべてのパルプがコンポスト化されることを確実にする。
【0037】
入口に近接して、排気ファンが配置され、コンポスト機の外にガス/空気を引き出し、これは好ましくは、コンポスト機全体に小さな負圧を生じさせる程度に十分に強力である。熟成されたコンポスト用の出口に近接して空気入口が配置され、コンポスト機内の空気循環が、コンポスト化されるパルプと反対の流れになるようにされる。コンポスト機から引き込まれる空気及びそこから除去される空気は、好ましくは、不要な熱損失を避けるために熱交換されてもよい。また、コンポスト機から除去される空気が、異なるフィルタを通って導かれて、望ましくない臭いを避けることも有利である。しかし、空気循環システムは、多くの方法で動作してもよく、このことは当業者には明らかである。
【0038】
実施例
本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を以下に記述する。
【0039】
図1には、本発明のシステムが示され、異なるエレメントが順に配置されている。有機廃棄物は、粉砕ミル1に加えられて粉砕され、30℃を上回る温度を有する水とともに供給されて、除湿機に導かれる。除湿機内では、後にコンポスト機3に導かれるパルプから液体が除去される一方で、除湿機内で除去された液体は、スラッジ/脂肪除去器4を介して下水システムに導かれる。また、粉砕ミルから除湿機へのパルプの移送を助ける、たとえば吸引によるポンプ5を含む代替案が描かれている。
【0040】
図2および3に示された粉砕ミルは、粉砕ユニットに向かって下向きに傾斜するテーパ側を覆うはめ込み蓋6とともに動作する。図2は、粉砕ユニットを上から示し、はめ込み蓋は、全体がよりよく見られるように除去されている。粉砕ユニットは、外縁の水平歯8とともに動作する回転円板7を含み、粉砕ミルに隣接した壁には、対応する歯9が設けられる。回転円板7が回転すると、歯8、9は互いに逆行し、これによって引裂リムを構成する。さらに、回転円板にはナイフ10が設けられ、廃棄物が引裂リムに至る前に、粉砕される廃棄物を荒く切断する。円板上には、いくつかのガイドレール11がさらに設置され、コンポスト化される廃棄物を引裂リムに向かってガイドし、骨等を中に導く。図示された特に好ましい実施形態では、ガイドレールは、廃棄物を粗く切断することに寄与する不均一な上向きの縁12を有する。
【0041】
粉砕ミルの図示された実施形態の上部には、4つの傾斜翼13がさらに設置され、廃棄物を粉砕ユニットに向かって下向きに加圧/ガイドする。さらに、テーパ部には、数多くの傾斜リブ14が内側に設計されている。特に好ましい実施形態では、これらのリブは、回転円板7の回転方向とは反対に傾斜し、廃棄物の回転を分裂させて、乱流を作り出すようにする。このことは、中央でのナイフ10による廃棄物の粗い切断を改善することに寄与し、また、これらは廃棄物が粉砕ミルの壁に粘着することを抑止する。さらには、リブ14は、粉砕ミルの壁を補強するため、より少ないノイズに寄与する。
【0042】
粉砕ミルは、2つの水ノズル15をさらに含み、1つは粉砕ミルのテーパ部の上にあり、1つは引裂リムの下にある。これらのノズルは、30℃を上回る温度を有する水を加え、廃棄物は壁にはり付かないがシステム内をさらに洗浄するための掃除と、脂肪の洗い流しとの両方を提供する。
【0043】
さらに、図示された実施形態では、粉砕ミルには専用の混合バッテリ16が設けられ、ノズル15への水の温度を調整することができ、時間設定弁17は、洗浄が行われるべき間隔を調整する。脂肪過剰な食品が供給された周期には、水温を調節して上げてもよく、洗浄間隔を増大させることができることは特に有利である。当業者においては、弁及びバッテリを粉砕ミルの外に容易に動かすことができ、対応する機能が別の方法で達成されてもよいことは明らかである。また、図示されている市販のキッチンシャワー18は、他の手段と置き換えられて、同じ機能を達成してもよい。
【0044】
図4は、本発明に対応する除湿機2を、部分的に展開された描写で示す。除湿機2は、有孔管21によって囲まれた送りスクリュー20上に向かって下向きに導かれたバッファタンク19を含む。有孔管21は、安全に関連して、またパルプの外に押された液体を集めるために、カバー22で囲まれる。粉砕されたパルプは、バッファタンク19を介して送りスクリュー20に導かれ、液体が管21の孔を通って押し出されるのと同時に、送りスクリュー20の上方に導かれる。さらに、送りスクリュー20自体には、出口端にスクリューの巻きは設けられず、上述のように液体の最大量が押し出される。除湿されたパルプは、上端の出口23を介して除湿機の外に、そしてさらにはコンポスト機3に導かれる。加えて、除湿機は液体用の出口24を有し、液体は、場合によってはスラッジ/脂肪除去器4を介して下水システム外に導かれる。上述のように、液体はまた、システム内に戻されて再循環されてもよい。好ましい実施形態では、除湿機2は、有孔管21の下端にノズル(図示せず)が備え付けられ、管が洗浄されて清潔に保たれることができる。
【0045】
図5及び6は、コンポスト機3を上から及び断面でそれぞれ示す。コンポスト機は、25と26の2つに分割されたチャンバと、加熱エレメント28と、転回装置29と、空気循環システムとを含む。チャンバは、隔壁によって2つに分割され、壁の上部は格子27である。転回装置は、両方のチャンバ内に配置され、好ましい図示された実施形態では、中間に水平バー29bを有する2つの垂直アーム29aとして設計される。垂直アーム29aは回転軸30上に固定され、こうして水平バー20bはパルプを通して導かれてパルプを転回させる。特に好ましい実施形態では、複数の、好ましくは3つの転回装置が、約60度離れて軸30上に配置され、パルプをさらに転回させる。
【0046】
粉砕されて除湿されたパルプは、コンポスト機3の第1のチャンバ25の一端の、コンポスト機入口31に導かれ、熟成されたコンポストは、第2のチャンバ25の反対端の出口32で取り出すことができる。空気循環システムは、パルプとは反対向きに空気を循環させ、空気の入口が熟成されたコンポストの出口32の近傍で、空気の出口34がパルプの入口の近傍になるようにする。空気循環を行うファン及び/又はポンプ(図示せず)を有することは有利である。示された好ましい実施形態では、加熱エレメント28は十分な温度を確保し、空気循環システムは水分の除去を確実にして、コンポスト化の時間を短縮することができる。
【0047】
熟成されたコンポスト32の出口は、好ましくは壁の上方にいくらか距離を置いて配置され、コンポスト機内のパルプの上層のみが出口に進入することができるようにする。さらに、出口が開口ではなく送りスクリューであることは有利であるが、これは目詰まりの危険が減少するためである。図示された実施形態では、熟成されたコンポストは、機械の外側の容器35に一時的に保管される。空気循環システムの出口のファン/ポンプは、容器35を含むコンポスト機3の全体がゆるやかな陰圧下に維持される程度に強力である。
【0048】
コンポスト化が完了した後、コンポストを衛生処理して、有りうる細菌及び/又はカビが、これ以上コンポストについて行かないことを確実にすることは有利である。衛生処理は、コンポスト機の一部として行われてもよく、又は別個の完了工程で行うことができる。好ましくは熱を用いるが、多くの方法で行われてもよく、このことは当業者にはよく知られている。
【0049】
スラッジ/脂肪除去器と、場合によってはシステムの異なるエレメント間でパルプを移送するポンプとは、任意のタイプにすることができ、このことは当業者には明らかである。したがって、本実施例ではこれらについてこれ以上説明しない。
【0050】
本発明によって製造されたコンポストの分析
混合食品廃棄物をシステムに入れ込み、18時間後にコンポスト機内でコンポストが熟成された。質量は約90%減少した。8kgの廃棄物に約10リットルの水を加えて、除湿機後の全固形分の含有量は約50%であった。
【0051】
コンポストはAnalyCen AS(Moss,Norway)で分析され、含有物を以下の表に提示する。
【0052】
【表1】

【0053】
本発明によるコンポストと混合された土壌試料は、多量の可溶性リン(P−AL)を示し、したがってコンポストは、大きなリン源である。さらに、窒素とリンとの比率は、多くの植物の要求に対応する。さらに、窒素のほとんどが有機物に結合され、無機物N(アンモニウムN及び硝酸N)の配分比率は小さい。コンポストのC/N比(炭素率)は12であり、培養土に相当し、コンポストが土壌中で劣化したときに多量の無機物Nが放出されることを示唆している。
【0054】
AL法は、有機肥料の定義方法であり、本発明によるコンポスト中のP、K、Mg、Ca及びNaの全含有物量とAL可溶物含有量(乳酸アンモニウム及び酢酸)との比率を見てみると、溶解度は高い。高溶解度は、本製品が、植物によって利用されることができる植物栄養素を含有していることを示唆している。
【0055】
本発明のコンポストを製造する方法が、新規かつ従来の製造と異なるのは、脂肪及び水分を除去するものであり、たんぱく質及び炭水化物に富む残留物のみがコンポストに加工されるためである。従来の食品廃棄物からのコンポスト製造は、低pHの原因となる有機酸によってなされ、このためコンポストはそのまま肥料として用いることができない場合がある。さらに、有機酸は栄養素に結合し、植物が栄養素を利用できない。本発明によって製造されたコンポストの別の利点は、低C/N数である。本コンポストはC/N数12を有し、これは培養土のC/N数に相当するため、植物の吸収量は、培養土に関して対応していると思われる。従来製造されているコンポストの対応数は、およそ20である。
【0056】
本発明によって作られたコンポストのpHは6.1であり、このことは有機酸が作られていないことを示唆する。また、本発明によって製造されたコンポストは、重金属をほとんど含有しないが、比較的高い濃度の可溶性の植物栄養素を含有するため、環境保護的及び従来的な農業の両方での肥料として適している。環境保護的な農業は、肥料の選択肢をほとんど有さないため、このような処置をされた食品廃棄物は特に向いている。これは、本発明によって作られたコンポストを、当のキッチンに食品/農産物を送り届ける農場に再び送り戻すために申し分なく好適である。そのような状況は、短距離での栄養源の効率的な再資源化を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の別個のエレメントを含み、有機廃棄物が一端に入れ込まれて、熟成されたコンポストが他端から取り出されるシステムであって、
別個のエレメントが、少なくとも1つの粉砕ミル(1)と、1つの除湿機(2)と、1つのコンポスト機(3)とを含み、
除湿機の前に水を加えるための手段と、除湿機に残留する液体がおよそ25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有することを確実にするための手段とが備えられるシステム。
【請求項2】
水が、粉砕ミル(1)内のノズル(15)を介して加えられる、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
ノズル(15)が、粉砕ユニットの上及び回転円板(7)の下に配置される、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
除湿機に残留する液体がおよそ25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有することを確実にするための手段が、温度計及び調整システムを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載のシステム。
【請求項5】
除湿機に残留する液体がおよそ25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有することを確実にするための手段が、異なるユニットの調節された設置を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載のシステム。
【請求項6】
システムが、システム内でパルプを内部的に移送するための、好ましくは吸引による移送システムをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のシステム。
【請求項7】
除湿機(2)が、送りスクリュー(20)及び有孔管(21)を含み、送りスクリュー(20)が、有孔管(21)の内側に配置される、請求項1〜6のいずれか一項記載のシステム。
【請求項8】
送りスクリュー(20)が、スクリューのの最も外側にブラシを含み、これらのブラシが有孔管(21)の内側に触れる、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
除湿機(2)が、有孔管(2)を掃除するためのノズルをさらに含む、請求項7又は8記載のシステム。
【請求項10】
コンポスト機(3)が、熱供給のための装置(28)と、パルプを転回させるための機関と、空気循環システムとを含み、空気が、好ましくはコンポスト化されるパルプに対して反対向きに進む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
有機廃棄物が、粉砕され、水を供給され、脂肪分及び液体分が25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度で分離され、さらに固形状の素材が除湿されてコンポスト化される、肥料を製造するための方法。
【請求項12】
脂肪分が、粉砕された廃棄物に25℃を上回る、好ましくは30℃を上回る温度を有する水を加えることによって分離され、その後パルプが除湿される、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−537927(P2010−537927A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522842(P2010−522842)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【国際出願番号】PCT/NO2008/000296
【国際公開番号】WO2009/028948
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510054991)グローバル・エンヴィロ・インターナショナル・アーエス (1)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL ENVIRO INTERNATIONAL AS
【Fターム(参考)】