説明

有機性廃棄物の処理方法

【課題】有機性廃棄物の水熱処理で得られる廃液を有効活用することができ、併せて、希釈水の使用排除による資源節約、下水処理場の負荷軽減を実現することができる有機性廃棄物の処理方法を提供する。
【解決手段】おからや古紙などの有機性廃棄物1,2を水熱処理することにより固体炭化物含有の固液混合処理物4を得、該固液混合処理物4をタール分捕獲機能付きろ過部5に通してタール分を含まない液体部分6を取り出し、得られた液体6を用いてメタン発酵を行う。ろ過部5はセルロース製膜をタール分捕獲手段として備えているのがよく、タール分の捕獲に使用した使用済みセルロース製膜は有機性廃棄物とともに水熱処理するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図2に示すように、おから56や古紙57等の有機性廃棄物を水熱処理装置51で処理することにより固体炭化物含有の固液混合処理物52を得、該固液混合処理物52を固液分離部53に備えられた金属製フィルターに通して固体炭化物54を取り出し、この固体炭化物54を種々活用していく研究が進められている。
【特許文献1】特開2003−300099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、固液分離部53の金属製フィルターを通過した廃液55については、メタン発酵をしてもメタンの収率は低く、そのため、廃液55を排水基準以下に希釈して下水道に放流することが廃液処理の第一選択として考えられている。
【0004】
しかしながら、下水道への排水には大量の希釈水が必要であり、また、下水処理場の負荷を増大させてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、有機性廃棄物の水熱処理で得られる廃液を有効活用することができ、併せて、希釈水の使用排除による資源節約、下水処理場の負荷軽減を実現することができる有機性廃棄物の処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メタン発酵によるメタン収率の低さの原因が、廃液に混入するタール分(おからなどが水熱処理されてタール状になったもの)をメタン発酵菌が嫌うことにある点に着目してなされたものであって、有機性廃棄物を水熱処理することにより固体炭化物含有の固液混合処理物を得、該固液混合処理物をタール分捕獲機能付きろ過部に通してタール分を含まない液体部分を取り出し、得られた液体を用いてメタン発酵を行うことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法を内容とする(第1発明)。
【0007】
この方法では、水熱処理で得られる固体炭化物含有の固液混合処理物からタール分を含まない液体部分を取り出し、該液体を用いてメタン発酵を行うようにしているので、メタンの収率を高いものにすることができ、しかも、メタン発酵によって得られる廃液は、液肥としての使用が可能であり、廃液を有効活用することができる。
【0008】
そして、このように廃液とされていたものを有効活用することができることにより、希釈水の使用排除による資源節約、下水処理場の負荷軽減を実現することができる。
【0009】
第1発明において、ろ過部がセルロース製膜をタール分捕獲手段として備え、タール分の捕獲に使用した使用済みセルロース製膜を有機性廃棄物とともに水熱処理するとよい(第2発明)。
【0010】
この場合は、セルロース製膜をタール分捕獲手段としていることにより、タール分を有効的に捕獲することができ、しかも、使用済みセルロース製膜は有機性廃棄物として水熱処理の原料とすることができるので、使用済みタール分捕獲手段の処理に困ることもなく、これを有効活用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のとおりのものであるから、有機性廃棄物の水熱処理で得られる廃液を有効活用することができ、併せて、希釈水の使用排除による資源節約、下水処理場の負荷軽減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示す実施形態の方法は、有機性廃棄物として、おから1と古紙2を使用した場合のものであり、該有機性廃棄物1,2を用いて水熱処理装置3で処理すると、固体炭化物含有の固液混合処理物4が得られ、該固液混合処理物4を、セルロース製膜をタール分捕獲手段とするろ過部5に通すと、タール分を含まない液体部分6が取り出される。この液体6を用いてメタン発酵装置7でメタン発酵を行う。メタン発酵をする液体からは、メタン発酵菌の嫌うタール分がセルロース製膜によって除去されているので、メタン8が収率高く得られる。また、メタン発酵で得られる廃液9は液肥としての使用が可能のものからなっている。そして、ろ過部5における使用済みでタール分の付着したセルロース製膜は、矢印で示すように、古紙2として他の有機性廃棄物1,2とともに水熱処理装置3で処理する。
【0014】
このように上記の方法では、水熱処理で得られる固体炭化物含有の固液混合処理物4からタール分を含まない液体部分6を取り出し、該液体6を用いてメタン発酵を行うようにしているので、メタン8の収率を高いものにすることができ、しかも、メタン発酵によって得られる廃液9を液肥にでき、水熱処理で生じる廃液を有効的に活用することができ、資源節約、下水処理場の負荷軽減を実現でき、使用済みタール分捕獲手段の処理に困ることもなく、これを有効活用することができる。
【0015】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、有機性廃棄物として、おからと古紙を使用した場合を示したが、生ゴミ、牛糞、ぬか類など、各種の有機物質が用いられてよい。また、得られた固体炭化物10の用途に制限はない。更に、水熱処理で得られる固液の分離は、金属製フィルターを通過したタール分含有の廃液のタール分をセルロース膜等のタール分捕獲手段で捕獲するというようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態の処理方法を示す説明図である。
【図2】背景技術にかかる処理方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1…おから(有機性廃棄物)
2…古紙(有機性廃棄物)
3…水熱処理装置
4…固体炭化物含有の固液混合処理物
5…タール分捕獲機能付きろ過部
6…タール分を含まない液体
7…メタン発酵装置
8…メタン
9…廃液(液肥)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を水熱処理することにより固体炭化物含有の固液混合処理物を得、該固液混合処理物をタール分捕獲機能付きろ過部に通してタール分を含まない液体部分を取り出し、得られた液体を用いてメタン発酵を行うことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記ろ過部がセルロース製膜をタール分捕獲手段として備え、タール分の捕獲に使用した使用済みセルロース製膜を有機性廃棄物とともに水熱処理する請求項1に記載の有機性廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−330931(P2007−330931A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168136(P2006−168136)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】