説明

有機物分解処理装置

【課題】有機物を、磁化空気により磁力燃焼させて燃焼分解処理する際、発生した煙を少煙化すると共に、無臭化して、大気中に排気する。
【解決手段】分解処理1内に投入された有機物Dを低温度で磁力燃焼させて燃焼分解処理をすると共に、該燃焼分解処理により発生したタールと水分を含む煙を上昇させて、タール除去部2でほとんど除去し、然る後、前記タール除去部2でほとんどのタールを除去された後の煙を、消臭部3内に導入し、洗浄用水24の散水雰囲気中に曝して、少煙化すると共に、無臭化して、大気中に排気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属類、ガラス類、鉱物等の無機物を除く、プラスチック、ナイロン樹脂等を含む産業廃棄物、医療廃棄物、生ごみ、肉類等の食品廃棄物等の有機物を、分解処理室内に投入し、磁界内を通過させて励起した燃焼用の磁化空気を該分解処理室内に導入し、前記有機物をガス、石油等の燃料を全く使用することなく、酸素の吸入を火が消えない程度まで抑えて、前記有機物を磁力燃焼させて燃焼分解処理すると共に、燃焼分解させた際に生成されたタールと水分を含んだ煙を、タール除去部に導入して、該タール除去部において、ほとんどのタールを除去し、そして前記タール除去部においてほとんどのタールを除去された煙は、消臭部に導入され、該消臭部において洗浄されて、タールをほぼ完全に除去して少煙化を図ると共に、前記煙から発する臭気を、無臭化して大気中に排気し、ダイオキシンを日本における発生基準値以下に抑えことができ、またCOの削減にも寄与することができる有機物分解処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物を磁力熱により分解処理する有機物処理装置が、下記の特許文献1に開示されて公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−29600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のものは、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を断面逆四角錐形状の分解処理室内に導入し、該分解処理室内に投入した有機物を乾留炭化処理するに当たって、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を、前記分解処理室の周囲の複数個所の空気導入口から該分解処理室内に、所定量強制導入するよう構成されると共に、前記分解処理室からの排ガスを加熱して、排ガス中の異臭発生源と煤を燃焼させて消臭・消煙を図るよう構成されている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1記載のものは、分解処理室からの排ガスを加熱装置により800〜1200℃に加熱して、排ガス中の異臭発生源と煤を燃焼させ、これによって排ガスを完全に無害化、無色化して消臭・消煙を図っているが、前記800〜1200℃に加熱するためには、ガスや石油等の燃料を使用しなければならないので、コスト高となると共に、COの削減にも寄与しないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、分解処理室内に有機物を投入し、然る後、前記分解処理室内に設置された着火棒により着火された該有機物に対して、前記磁化空気導入管から火が消えない程度の燃焼用の磁化空気を導入して、該燃焼用磁化空気により前記有機物を300〜400℃の低温度で磁力燃焼させて燃焼分解処理をすると共に、該分解処理後に前記分解処理室内において燃焼分解処理により発生したタールと水分を含む煙を上昇させて、前記分解処理室上に設置されたタール除去部で、タールをほとんど除去し、更に、該タール除去部に連設された消臭部で、前記タール除去部においてほとんどのタールを除去された煙に、洗浄液を噴射ノズルより噴射して、該噴射雰囲気中に曝して洗浄して、タールをほぼ完全に除去して少煙化すると共に消臭して、無臭化し、大気中に排気するようにした有機物分解処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、分解処理室内に有機物を投入し、然る後、前記分解処理室内に設置された着火棒により着火された該有機物に対して、前記磁化空気導入管から火が消えない程度の燃焼用の磁化空気を導入して、該燃焼用磁化空気により前記有機物を300〜400℃の低温度で磁力燃焼させて燃焼分解処理をすると共に、該分解処理後に前記分解処理室内において燃焼分解処理により発生したタールと水分を含む煙を上昇させて、前記分解処理室上に設置された、粘着性のあるタールを付着させる複数枚のタール除去板間にジグザグ状の通路を備えて形成されたタール除去部で、タールをほとんど除去し、更に、該タール除去部に連設された消臭部で、前記タール除去部においてほとんどのタールを除去された煙に、洗浄液を噴射ノズルより噴射して、該噴射雰囲気中に前記煙を曝して洗浄して、タールをほぼ完全に除去して少煙化すると共に消臭して、無臭化し、大気中に排気するようにするという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
本発明有機物分解処理装置によれば、分解処理室内に投入された有機物に対して、磁界内を通過させて励起した燃焼用の磁化空気が導入され、該導入された磁化空気により、有機物を300〜400℃の低温度で磁力燃焼させ、その燃焼分解処理後に、前記分解処理室内において発生したタールと水分を含む煙を上昇させて、前記分解処理室上に設置されたタール除去部で、タールと水分を分離してタールを除去し、然る後、該タール除去部に連設された消臭部で、前記タールを除去された煙を、洗浄液の噴射雰囲気中に曝して洗浄して、少煙化すると共に無臭化して、大気中に排気することにより、COの削減にも寄与することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明有機物分解処理装置の全体の概略斜視図である。
【図2】同要部の概略縦断図である。
【実施例】
【0010】
本発明は、前記特許文献1に記載されているような、分解処理室内に磁界内を通過させて励起した燃焼用の磁化空気を導入する磁化空気導入管を貫通せしめる一方、有機物を前記分解処理室内に投入して、着火棒により予め着火された有機物に対して、前記磁化空気導入管から前記磁化空気の吸入を火が消えない程度の燃焼用の磁化空気を導入して、該燃焼用磁化空気により前記有機物を磁力燃焼させて、前記有機物を燃焼分解処理し、然る後、前記分解処理後に前記分解処理室内において燃焼分解処理で生成されたタールと水分を含む煙を上昇させて、前記分解処理室上に設置されたタール除去部で、前記煙中のタールをほとんど除去し、更に、該タール除去部に連設された消臭部で、前記ほとんどのタールを除去された煙を、洗浄液の散水雰囲気中に曝して、前記タールをほぼ完全に除去して、煙を少煙化すると共に、無臭化して、大気中に排気するよう構成された有機物分解処理装置に関するものである。以下、図面に基づいて本発明装置を詳細に説明する。
【0011】
本発明有機物分解処理装置に使用する分解処理室1は、例えば前記特許文献1に記載された公知の有機物分解処理装置における分解処理室を使用する。すなわち、本発明有機物分解処理装置においては、分解処理室1は、従来公知の磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を分解処理室1に導入して、該分解処理室1内に投入された有機物を燃焼用磁化空気によって磁力燃焼させるタイプのものであれば、いずれも本発明に採用することができる。
【0012】
本発明有機物分解処理装置は、図1に示すように、有機物Dを磁界内を通過させて励起した燃焼用の磁化空気による磁力燃焼により燃焼分解処理する分解処理室1と、該分解処理室1上に、前記有機物Dを前記磁化空気で燃焼分解処理することにより生成されたタールと水分を含む煙を導入して、前記煙中のタールをほとんど除去するタール除去部2を設置し、更に前記タール除去部2に、該タール除去部2においてほとんどのタールを除去した後のわずかなタールと水分を含む煙を導入して洗浄液で洗浄することにより、タールを完全に除去して前記煙を少煙化すると共に、消臭して無臭化する消臭部3を連設して構成されている。
【0013】
前記分解処理室1は、上端面を天板4で密閉し、且つ該天板4の一方側寄りに有機物Dの投入口5を開口すると共に、前記投入口5に開閉蓋6を開閉自在、且つ密閉できるように取付けて形成されている。
【0014】
また、前記分解処理室1の周壁1aの下方側には、磁化空気を該分解処理室1内に投入された有機物Dに導入するため、1本または複数本の磁化空気導入管7を貫通して、その先端の空気導入口8が、前記分解処理室1内に投入された有機物Dに臨むように配置されている。なお、図中、9は有機物Dに着火させるための着火棒である。
【0015】
前記構成より成る分解処理室1内において、有機物Dを磁化空気により燃焼分解すると、前記有機物Dは熱分解され、臭気の主成分となるタールと水分を含む煙が発生するが、本発明装置においては、前記タールと水分を含む煙を、前記分解処理室1から上昇させて、前記分解処理室1上に設置されたタール除去部2内に流入させ、該タール除去部2内において、前記煙中のタールをほとんど除去し、更に前記タール除去部2において、ほとんどのタールを除去された後の煙は、前記タール除去部2に連設された消臭部3内に導入され、わずかなタールおよび水分を含む煙を洗浄液で洗浄することにより、ほぼ完全にタールを除去して煙を少煙化すると共に、消臭して、無臭化して大気中へ排気できるよう形成されている。
【0016】
前記タール除去部2と消臭部3とは、特に限定する必要はないが、好ましくは、立方体状のケーシング10内に、区画壁11により区画されたタール除去ボックス12と消臭ボックス13内に、それぞれ設置することが推奨される。
【0017】
前記タール除去部2は、前記分解処理室1の天板4の他方側寄りに、該天板4を貫通して排煙ダクト14が連結されると共に、該排煙ダクト14の下端開口部15に、該分解処理室1の上端部を開口連結する一方、前記ケーシング10の一方側側壁16と、該一方側側壁16と対面する区画壁11とに、貼着性のあるタールを付着させるため、先方側を下方へ傾斜したタール除去板17の基端部を、タールと水分を含む煙がジグザグ状に移動して上昇できるように、ジグザグ状の通路18を有して交互に複数枚固定して形成されている。
【0018】
そして、最下段のタール除去板17の下方部には、除去されたタールを受けて、該タールを下方の分解処理室1へ返送する先方側を下方へ傾斜したタール返送板19が、その先端側前方に前記ジグザグ状の通路18に連通する通路18aを設けて、前記区画壁11にその基端部が固定されている。なお、前記タール除去板17は、特に限定する必要はないが、好ましくは、熱をもったタールを冷却させるために、冷却作用を有するセラミックスにより製造することが推奨される。
【0019】
また、前記各タール除去板17の裏面側の先端部と中間部には、抵抗エッジ20がそれぞれ垂設されており、該各タール除去板17の先端部と中間部において、前記各タール除去板17間のジグザグ状の通路18の通過中に、該各タール除去板17の裏面側下面に付着したタールが、前記各抵抗エッジ20によって、前記各タール除去板17から飛出すのを阻止することにより、前記タールの該各タール除去板17への付着効率を上げることができる。
【0020】
前記タール除去部2に流入した前記タールと水分を含む煙は、図2の矢印で示すように、前記タール返送板19前方の通路18aから、前記ジグザグ状に設置された各タール除去板17間の通路18を上昇して通過する間に、前記各タール除去板17の裏面側の傾斜面に貼着性のあるタールが付着すると共に、前記各タール除去板17に付着したタールと水分が結合して液状タールとなって、それぞれ該各タール除去板17の裏面側の傾斜面に当って、該傾斜面に沿って下方へ流下した液状タールのうち、最上段のタール除去板17aの裏面側の傾斜面に当って、該傾斜面に沿って下方へ流下した液状タールは、前記タール除去板17aの先端部と中間部の抵抗エッジ20a・20bから、2段目のタール除去板17bの上面へ落下して、該タール除去板17bの上面に沿って下方へ流下し、前記タール除去板17bの先端部の抵抗エッジ20aから3段目のタール除去板17c上へ落下すると共に、前記2段目の裏面側の傾斜面に当って該傾斜面に沿って下方へ流下した液状タールは、前記タール除去板17bの先端部と中間部の抵抗エッジ20a、20bから3段目のタール除去板17c上に落下する。以下、同様にして、前記3段目のタール除去板17cから4段目のタール除去板17d、5段目のタール除去板17e、そして6段目のタール除去板17f上へ液状タールが落下して行く。
【0021】
そして、前記最下段の6段目のタール除去板17fから、該6段目のタール除去板17fの下方に設置されたタール返送板19上に液状タールが落下して、該落下した液状タールは、前記タール返送板19上の傾斜面に沿って流下し、該タール返送板19の先端縁部から下方の分解処理室1内へ落下し、再度燃焼分解される。
【0022】
前記のように、タールと水分のうち、前悪臭の原因となるタールは前記タール除去部2の各タール除去板17に付着することによって煙から除去されるが、前記各タール除去板17は、これに多くのタールが付着した場合、前記ケーシング10の一方側側壁12を取外し(前記取外す手段は、例えば蝶番を使用して開閉自在とする等、任意であり、図示していない)、前記タールが付着した各タール除去板17を新しいタール除去板17に取換えて使用する。勿論、新しいタール除去板17に取換えるのではなく、洗浄して再利用することも可能である。
【0023】
一方、前記タール除去部2に連通する消臭部3は、該タール除去部2を構成する区画壁11の反対側に一体に併設された消臭ボックス13内に装置して形成されている。
【0024】
前記消臭部3は、消臭ボックス13内において、前記タール除去部2と、前記タール除去ボックス12上に設置された空気吸入ダクト21との下流側に垂設された分離板22によって区画された送風ダクト23と、洗浄用水24を溜める洗浄用水貯留槽25および煙洗浄・消臭室26とを備えて形成されている。
【0025】
前記タール除去ボックス12上に設置された空気吸入ダクト21には、その上流側に取付けられたブロワーファン27により、外気を吸引して、新鮮空気を前記空気吸入ダクト21の下流側の送風開口28を経て、前記送風ダクト23に送風できるよう形成されている。なお、前記送風開口28の下流側の送風ダクト23には、前記新鮮空気を下方へ流路変更させる湾曲板29が設けられている。
【0026】
また、前記送風ダクト23は、前記タール除去部2に接する区画壁11に開口された通気孔30に上流側が開口連通されると共に、該送風ダクト23は、前記タール除去部2においてほとんどのタールを除去された煙を導入して、下方側の洗浄用水貯留槽25上へ送風できるよう、縦長で下端に排気口31を備えて形成されている。
【0027】
更に、前記送風ダクト23の上流側には、前記通気孔30からの煙と、前記送風開口28よりの新鮮空気とを、前記上流側部分において区画すると共に、前記通気孔30からの煙および送風開口28よりの新鮮空気とを整流する短かい長さの湾曲した排煙・空気整流片32を設置する一方、該排煙・空気整流片32の下端縁から下流側にかけて、前記煙と新鮮空気とを混合させるよう形成されている。
【0028】
前記送風ダクト23において、前記排煙と新鮮空気とを混合することにより排煙濃度を薄め、一酸化炭素およびダイオキシン濃度を低減すると共に、合流排煙は、ブロワーファン27の風力で風速力を上げ、降下力が強くなって洗浄用水24内に圧送され、前記煙および臭気を前記洗浄用水24に溶解させる一方、送風流路が該洗浄用水24によって妨害されて、図中矢印で示すように、反転して消臭ボックス13の上方側へ上昇する。
【0029】
前記消臭ボックス13の洗浄用水貯留槽25内には、煙を洗浄して少煙化すると共に、消臭する洗浄液より成る洗浄用水24が注水されているが、該洗浄用水24の水位は、前記送風ダクト23の下端縁より間隔を置いて低い位置に設定される。
【0030】
前記消臭ボックス13の天板4の下面位置において、多数の噴射ノズル33を装着した噴射パイプ34を、前記ケーシング10の消臭部3側に位置する他方側側壁35を貫通して、前記煙洗浄・消臭室26のほぼ全長に亘って横設すると共に、他方側側壁35の外壁に沿うよう、透明な合成樹脂製の連結パイプ36を垂設して、該連結パイプ36の上端を前記噴射パイプ34の基端部と連結し、更に前記連結パイプ36の下端部を、前記他方側側壁35を貫通して、前記洗浄用水24内に開口する一方、該他方側側壁35の外側面側の連結パイプ36の適位置にポンプ37が配設されて、該ポンプ37で揚水された洗浄用水24を前記噴射ノズル33より噴射できるよう形成されている。
【0031】
また、前記消臭ボックス13内の噴射パイプ34と洗浄用水貯留槽25間の他方側側壁35と送風ダクト23には、多数の散水用の小孔38を穿設したパンチング板39の基端部を、排煙がジグザグ状に移動して上昇できるように、ジグザグ状の排煙通路40を有して交互に複数枚固定して形成されている。図中41は、消臭ボックス13の天板4に貫通して突設された煙突で、該煙突41より無臭化されると共に、少煙化された煙を大気中に排煙する。
【0032】
そして、前記排煙がジグザグ状の排煙通路40に沿って上昇する間に、前記噴射ノズル33から噴射された洗浄用水24が、上方に位置するパンチング板39の小孔38から下方に位置するパンチング板39上へ連続的に散水される細い散水雰囲気中に曝されて、少煙化されると共に消臭化される。なお、前記パンチング板39を設置することなく、排煙を噴射ノズル33から噴射された洗浄用水24の噴射雰囲気中に曝しても、排煙量が少ない場合や、臭気が少ない場合は、少煙化および消臭化が可能である。
【0033】
前記洗浄用水貯留槽25中の洗浄用水24は、ポンプ37を介して循環使用するが、時間の経過と共に、前記洗浄用水24は濁水化する。この濁水状況と水位を視認するため、前記したように連結パイプ36を透明な合成樹脂製とすることにより、該洗浄用水24の汚濁・水位状況を、前記洗浄用水貯留槽25外部から目視確認することができる。
【0034】
更に、前記洗浄用水貯留槽25と分解処理室1間の天板4上には、前記他方側側壁35を切欠いて、開口部42を備えて濁水乾燥室43が一体となって設置されると共に、前記洗浄用水貯留槽25の下面と前記濁水乾燥室43間には、透明な合成樹脂等より成る両端に通水開口部44・45を備えた倒凹状をした濁水移送パイプ46が、前記各通水開口部44・45をそれぞれ洗浄用水貯留槽25および濁水乾燥室43中に配設して設置され、直立部47に設置された排水バルブ48を開放することにより、前記洗浄用水貯留槽25中の濁水化した洗浄用水24を、濁水乾燥室43の天板4上に設置された濁水受皿49へ流入させ、前記排水バルブ48を閉止することにより、前記洗浄用水24の前記濁水受皿49への流入を停止できるよう形成されている。
【0035】
そして、前記濁水乾燥室43の濁水受皿49内に流入した濁水化した洗浄用水24は、該濁水受皿49が分解処理室1の天板4上に載設置されているため、該分解処理室1の燃焼熱が前記濁水受皿49に直かに伝わって、前記濁水化した洗浄用水を乾燥させる。前記乾燥した板の蒸発成分は、前記濁水乾燥室43からケーシング10外へ突設された排気煙突50を介して外部へ排気される。
【0036】
また、前記洗浄用水貯留槽25には、外部より新しい洗浄用水24を注水することができるように、給水バルブ51を備えた給水パイプ52が連通されている。
【0037】
前記構成より成る本発明有機物分解処理装置の作用について説明する。先ず、分解処理の準備工程において、天板4の開閉蓋6を開放して、有機物Dを分解処理室1内に投入した後、前記開閉蓋6を閉鎖して、前記分解処理室1内を密閉状態とする。
【0038】
前記分解処理室1内を密閉した後、着火棒9に通電して、該着火棒9を発熱させて800℃程度の温度にまで発熱すると、該着火棒9の発熱により、前記分解処理室1内の有機物Dが着火して燃焼を始める。この初期の段階において、磁化空気導入管7から多くの磁化空気が分解処理室1内に空気導入口8を介して導入されて、前記着火棒9による有機物Dの燃焼を助ける。
【0039】
前記着火棒9の発熱により有機物Dは燃焼を始め、煙が分解処理室1からタール除去部2および消臭部3を経て、煙突41から排煙されるが、作業者は該煙突41から排煙される煙の色を注視し、その色によって前記分解処理室1内の有機物Dの燃焼具合をチェックする。
【0040】
すなわち、煙の色が白く、且つ淡く立ち登っている状態になると、磁化空気の導入量を、前記着火して燃焼し続けている有機物Dの火が消えない程度の最低限に押さえ、然る後、着火棒9への通電を停止する。
【0041】
前記着火棒9への通電を停止すると、磁化空気導入管7の空気導入口8より分解処理室1への磁化空気の導入量が、前記燃焼し続けている有機物Dの火が消えない程度であるため、前記分解釜7内の有機物Dは燃焼分解している状態が継続するが、前記空気導入口8から磁化空気が分解処理室1内に、滞留することなく導入され続けて、分解処理室1内において磁場を作ると共に、前記燃焼分解を始めるよう、前記有機物Dに供給され、その結果、該有機物Dは通常の燃焼による焼却ではなく、分解処理室1内において、300℃〜400℃の低温度で有機物の化学反応により、該有機物の分子・原子の結合を断ち切る分解作用を起こし、タールと水分を含む煙となって分解処理室1内を上昇し、排煙ダクト14を介してタール除去部2内へ流入する。
【0042】
前記分解処理室1における有機物Dの分解処理により発生したタールと水分を含む煙は、前記のように、分解処理室1内を上昇し、タール除去部2へ流入されて、該タール除去部2内において、通路18a、およびジグザグ状の通路18を上昇して通過することにより、各タール除去板17の裏面側にタールを付着させると共に、液状タールとしてタール返送板19上に滴下させて、煙からほとんどのタールを除去する。
【0043】
前記タール除去部2において、ほとんどのタールを除去された煙は、更に送煙ダクト39を経て消臭部3内に流入して、該タール除去部2においてほとんどのタールを除去された煙中のタールが、ほぼ完全に除去されて少煙化されると共に消臭される。すなわち、前記したように、消臭部3内に流入したわずかなタールを含む煙は、各パンチング板39間のジグザグ状の排煙通路40を通過するときに、噴射ノズル34より噴射された洗浄用水24が、該各パンチング板39の多数の小孔38から、細い水流となって連続的に散水される散水雰囲気中に曝されて、タールがほぼ完全に除去されて、少煙化されると共に、消臭化される。
【0044】
従って、本発明有機物分解処理装置においては、前記分解処理室1において分解処理されて発生したタールと水分を含む煙は、前記タール除去部2において、ほとんどのタールが除去され、その後、消臭部3において、前記タール除去部2においてタールがほぼ完全に除去されて、少煙化されると共に、消臭されて無臭化した空気として、煙突41から大気中に排気される。
【符号の説明】
【0045】
D 有機物
1 分解処理室
1a 周壁
2 タール除去部
3 消臭部
4 天板
5 投入口
6 開閉蓋
7 磁化空気導入管
8 空気導入口
9 着火棒
10 ケーシング
11 区画壁
12 タール除去ボックス
13 消臭ボックス
14 排煙ダクト
15 上端開口部
16 一方側側壁
17 タール除去板
18 ジグザグ状の通路
18a通路
19 タール返送板
20 抵抗エッジ
21 空気吸入ダクト
22 分離板
23 送風ダクト
24 洗浄用水
25 洗浄用水貯留槽
26 煙洗浄・消臭室
27 ブロワーファン
28 送風開口
29 湾曲板
30 通気孔
31 排気口
32 排煙・空気整流片
33 噴射ノズル
34 噴射パイプ
35 他方側側壁
36 連結パイプ
37 ポンプ
38 小孔
39 パンチング板
40 排煙通路
41 煙突
42 開口部
43 濁水乾燥室
44・45 通水開口部
46 濁水移送パイプ
47 直立部
48 排水バルブ
49 濁水受皿
50 排気煙突
51 給水バルブ
52 給水パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を磁界内を通過させて励起した燃焼用の磁化空気による磁力燃焼により燃焼分解処理する分解処理室と、該分解処理室上に、前記有機物を前記磁化空気で燃焼分解処理することにより生成されたタールと水分を含む煙を導入して、前記煙中のほとんどのタールを除去するタール除去部を設置し、更に前記タール除去部に、該タール除去部においてほとんどのタールを除去された後の煙を導入して、該煙を洗浄液で洗浄することにより、タールをほぼ完全に除去して前記煙を少煙化すると共に、消臭して無臭化する消臭部を連設して構成された有機物分解処理装置であって、
前記タール除去部と消臭部は、ケーシング内において、区画壁により区画されたタール除去ボックスと消臭ボックス内にそれぞれ設置され、
前記タール除去部は、前記分解処理室の天板を貫通して排煙ダクトが連結されると共に、該排煙ダクトの下端開口部に、該分解処理室の上端部を開口連結する一方、前記ケーシングの一方側側壁と、該一方側側壁と対面する区画壁とに、先方側を下方へ傾斜したタール除去板の基端部を、タールと水分を含む煙がジグザグ状に移動して上昇できるように、ジグザグ状の通路を有して交互に複数枚固定して形成され、且つ、最下段のタール除去板の下方部には、除去されたタールを受けて、該タールを下方の分解処理室へ落下させるべく、先方側を下方へ傾斜したタール返送板が、その先端側前方に前記ジグザグ状の通路に連通する通路を設けて、前記区画壁にその基端部が固定されると共に、前記各タール除去板の裏面側の先端部と中間部には、抵抗エッジがそれぞれ垂設して形成され、
前記消臭部は、消臭ボックス内において、前記タール除去部と、前記タール除去ボックス上に設置された空気吸入ダクトとの下流側に垂設された分離板によって区画された送風ダクトと、洗浄用水を溜める洗浄用水貯留槽および煙洗浄・消臭室とを備えて形成され、且つ前記タール除去ボックス上に設置された空気吸入ダクトには、その上流側に取付けられたブロワーファンにより、外気を吸引して、新鮮空気を前記空気吸入ダクトの下流側の送風開口を経て、前記送風ダクトに送風できるよう形成され、
前記送風ダクトは、前記タール除去部に接する区画壁に開口された通気孔に上流側が開口連通されると共に、該送風ダクトは、前記タール除去部においてほとんどのタールを除去された煙を導入して、下方側の洗浄用水貯留槽上へ送風できるよう、下端に排気口を備えて形成され、
前記送風ダクトの上流側には、前記通気孔からの煙と、前記送風開口よりの新鮮空気とを、前記上流側部分において区画すると共に、前記通気孔からの煙および送風開口よりの新鮮空気とを整流する排煙・空気整流片を設置する一方、該排煙・空気整流片の下端縁から下流側にかけて、前記排煙と新鮮空気とを混合させるよう形成され、
前記消臭ボックスの洗浄用水貯留槽内には、煙を洗浄して少煙化すると共に、消臭する洗浄液より成る洗浄用水が注水され、且つ、前記消臭ボックスの天板の下面位置において、多数の噴射ノズルを装着した噴射パイプを、前記ケーシングの消臭部側に位置する他方側側壁を貫通して、前記煙洗浄・消臭室のほぼ全長に亘って横設すると共に、他方側側壁の外壁に沿うよう、透明な合成樹脂製の連結パイプを垂設して、該連結パイプの上端を前記噴射パイプの基端部と連結し、更に前記連結パイプの下端部を、前記他方側側壁を貫通して、前記洗浄用水内に開口する一方、該他方側側壁の外側面側の連結パイプの適位置にポンプが配設されて、該ポンプで揚水された洗浄用水を前記噴射ノズルより噴射できるよう形成され、
前記消臭ボックス内の噴射パイプと洗浄用水貯留槽間の他方側側壁と送風ダクトには、多数の散水用の小孔を穿設したパンチング板の基端部を、排煙がジグザグ状に移動して上昇できるように、ジグザグ状の排煙通路を有して交互に複数枚固定して形成され、該排煙通路を上昇する煙を前記小孔よりの洗浄用水の散水雰囲気中に曝して少煙化すると共に消臭化し、更に、消臭ボックスの天板には前記無臭化されると共に、少煙化された煙を大気中に排煙する煙突が突設され、
更に、前記洗浄用水貯留槽と分解処理室間の天板上には、前記他方側側壁を切欠いて、開口部を備えて濁水乾燥室が一体となって設置されると共に、前記洗浄用水貯留槽の下面と前記濁水乾燥室間には、透明な合成樹脂等より成る両端に通水開口部を備えた濁水移送パイプが、前記各通水開口部をそれぞれ洗浄用水貯留槽および濁水乾燥室中に配設して設置され、排水バルブを開放することにより、前記洗浄用水貯留槽中の濁水化した洗浄用水を、濁水乾燥室の天板上に設置された濁水受皿へ流入させ、前記排水バルブを閉止することにより、前記洗浄用水の前記濁水受皿への流入を停止できるよう形成すると共に、前記濁水乾燥室からケーシング外へ、該濁水乾燥室から蒸発成分を排気する排気煙突が突設され、また、前記洗浄用水貯留槽には、外部より新しい洗浄用水を注水することができるように、給水バルブを備えた給水パイプが連通されたことを特徴とする有機物分解処理装置。
【請求項2】
有機物を磁界内を通過させて励起した燃焼用の磁化空気による磁力燃焼により燃焼分解処理する分解処理室と、該分解処理室上に、前記有機物を前記磁化空気で燃焼分解処理することにより生成されたタールと水分を含む煙を導入して、前記煙中のほとんどのタールを除去するタール除去部を設置し、更に前記タール除去部に、該タール除去部においてほとんどのタールを除去された後の煙を導入して、該煙を洗浄液で洗浄することにより、タールをほぼ完全に除去して前記煙を少煙化すると共に、消臭して無臭化する消臭部を連設して構成された有機物分解処理装置であって、
前記タール除去部と消臭部は、ケーシング内において、区画壁により区画されたタール除去ボックスと消臭ボックス内にそれぞれ設置され、
前記タール除去部は、前記分解処理室の天板を貫通して排煙ダクトが連結されると共に、該排煙ダクトの下端開口部に、該分解処理室の上端部を開口連結する一方、前記ケーシングの一方側側壁と、該一方側側壁と対面する区画壁とに、先方側を下方へ傾斜したタール除去板の基端部を、タールと水分を含む煙がジグザグ状に移動して上昇できるように、ジグザグ状の通路を有して交互に複数枚固定して形成され、且つ、最下段のタール除去板の下方部には、除去されたタールを受けて、該タールを下方の分解処理室へ落下させるべく、先方側を下方へ傾斜したタール返送板が、その先端側前方に前記ジグザグ状の通路に連通する通路を設けて、前記区画壁にその基端部が固定されると共に、前記各タール除去板の裏面側の先端部と中間部には、抵抗エッジがそれぞれ垂設して形成され、
前記消臭部は、消臭ボックス内において、前記タール除去部と、前記タール除去ボックス上に設置された空気吸入ダクトとの下流側に垂設された分離板によって区画された送風ダクトと、洗浄用水を溜める洗浄用水貯留槽および煙洗浄・消臭室とを備えて形成され、且つ前記タール除去ボックス上に設置された空気吸入ダクトには、その上流側に取付けられたブロワーファンにより、外気を吸引して、新鮮空気を前記空気吸入ダクトの下流側の送風開口を経て、前記送風ダクトに送風できるよう形成され、
前記送風ダクトは、前記タール除去部に接する区画壁に開口された通気孔に上流側が開口連通されると共に、該送風ダクトは、前記タール除去部においてほとんどのタールを除去された煙を導入して、下方側の洗浄用水貯留槽上へ送風できるよう、下端に排気口を備えて形成され、
前記送風ダクトの上流側には、前記通気孔からの煙と、前記送風開口よりの新鮮空気とを、前記上流側部分において区画すると共に、前記通気孔からの煙および送風開口よりの新鮮空気とを整流する排煙・空気整流片を設置する一方、該排煙・空気整流片の下端縁から下流側にかけて、前記排煙と新鮮空気とを混合させるよう形成され、
前記消臭ボックスの洗浄用水貯留槽内には、煙を洗浄して少煙化すると共に、消臭する洗浄液より成る洗浄用水が注水され、且つ、前記消臭ボックスの天板の下面位置において、多数の噴射ノズルを装着した噴射パイプを、前記ケーシングの消臭部側に位置する他方側側壁を貫通して、前記煙洗浄・消臭室のほぼ全長に亘って横設すると共に、他方側側壁の外壁に沿うよう、透明な合成樹脂製の連結パイプを垂設して、該連結パイプの上端を前記噴射パイプの基端部と連結し、更に前記連結パイプの下端部を、前記他方側側壁を貫通して、前記洗浄用水内に開口する一方、該他方側側壁の外側面側の連結パイプの適位置にポンプが配設されて、該ポンプで揚水された洗浄用水を前記噴射ノズルより噴射できるよう形成する一方、前記煙洗浄・消臭室内を上昇する煙を、前記噴射ノズルよりの洗浄用水の散水雰囲気中に曝して少煙化すると共に消臭化し、更に、消臭ボックスの天板には前記無臭化されると共に、少煙化された煙を大気中に排煙する煙突が突設され、
更に、前記洗浄用水貯留槽と分解処理室間の天板上には、前記他方側側壁を切欠いて、開口部を備えて濁水乾燥室が一体となって設置されると共に、前記洗浄用水貯留槽の下面と前記濁水乾燥室間には、透明な合成樹脂等より成る両端に通水開口部を備えた濁水移送パイプが、前記各通水開口部をそれぞれ洗浄用水貯留槽および濁水乾燥室中に配設して設置され、排水バルブを開放することにより、前記洗浄用水貯留槽中の濁水化した洗浄用水を、濁水乾燥室の天板上に設置された濁水受皿へ流入させ、前記排水バルブを閉止することにより、前記洗浄用水の前記濁水受皿への流入を停止できるよう形成すると共に、前記濁水乾燥室からケーシング外へ、該濁水乾燥室から蒸発成分を排気する排気煙突が突設され、また、前記洗浄用水貯留槽には、外部より新しい洗浄用水を注水することができるように、給水バルブを備えた給水パイプが連通されたことを特徴とする有機物分解処理装置。







【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−5457(P2011−5457A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153582(P2009−153582)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(595101920)
【Fターム(参考)】