説明

有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路

【課題】
二段式駆動回路により、発光ダイオードパネルの輝度を安定させる改良設計を提供する。
【解決手段】
有機発光ダイオードパネルのMOSドライバの前に、初期充電回路と定電流回路を加え、スイッチは、MOSドライバのゲートを駆動する初期充電回路、或いは、定電流回路を選択するのに用いられ、MOSドライバのゲートを駆動する初期は、初期充電回路を選択し、その後、定電流回路に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオードパネルの輝度改良に関するものであって、特に、二段式駆動回路により、発光ダイオードパネルの輝度を安定させる改良設計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の有機発光ダイオードOLEDディスプレイパネルの駆動回路が図1で示される。図を簡潔にするため、図1では、8×3のOLEDマトリクスだけが示されている。定電流源ISEGは、スイッチSEG1、SEG2、、、SEG8により、それぞれ、八列のOLEDに接続される。八列のOLEDは三行に排列され、抵抗R1、R2、R3(これは、回路の抵抗で、実体のある抵抗器ではない)とスイッチCOM1、COM2、COM3に接続され、接地する。
【0003】
例えば、スイッチCOM1、SEG1、及び、SEG3は閉回路に接続され、他のスイッチは接続されない時、OLED11とOLED31だけ電流が流れて、発光し、その他のOLEDはオフになる。その他同様である。
【0004】
OLEDを流れる電流が更に増える時、OLEDの輝度も明るくなる。縦の行中の幾つかのOLEDに電流が通過し、これらの電流が、抵抗R1、R2、或いは、R3を通過する場合、抵抗R1、R2、或いは、R3上に、多倍数の電圧降下が生じる。よって、OLEDの電圧と電流源が減少し、更に、電流が減少するので、OLEDの輝度は低下し、不安定になる。
【0005】
図2は、OLED駆動回路の等価回路を示す図である。OLED20は、ダイオードD21と抵抗R22が直列で、ダイオード21とコンデンサC23は並列接続されている。MOSドライバ24は、図1の定電流源ISEGとスイッチSEGXとして作用する。
【0006】
図3は、図2のOLED駆動回路の電流“I”と時間“T”間の関係を示す図である。図2のコンデンサC23を迅速に充電するために、しきい電流は迅速に増加しなければならず、図3の左側が高い弧線(初期充電期間)で示される。コンデンサC23が充電された後、電流は、徐々に、定電流に回復し(定電流期間)、OLEDを発光させる。
【0007】
しかし、図1で示される電流が、抵抗R1、R2、或いは、R3を流れ、抵抗R1、R2、或いは、R3上に多倍数の電圧降下が生じるので、OLEDの電圧と電流源が減少して、電流が減少し、OLEDの輝度も低下し、不安定になる。
【0008】
この他、肉眼の視覚は残留するため、人が感じるOLED輝度は、図3のしきい電流期間と定電流期間の電流と共同で生成される効果である。前述のように、電流が抵抗R1、R2、或いは、R3を流れて、輝度を低下させる場合、図3の初期充電期間の充電速度を増加させて、初期充電期間を短縮させ、肉眼では輝度が不変であるように感じさせるのが、現在の一般的な方法である。
【0009】
改善方法の回路が図4で示され、MOSドライバ24のゲートの前に、調整回路を加え、図4の左側で示されるように、MOS41、コンデンサ42、可変レジスタ43、44が、図で示されるように接続されている。制御信号SW45がMOS41のゲートに入力されて、MOS41を導通させ、比較器46の二つの入力端間の電圧差を生成し、比較器46に信号を出力させて、信号処理回路47を駆動する。最後に、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)信号を生成して、MOS24のゲートを駆動し、MOS24を導通させ、これにより、電流がOLED20に流れて、OLED20が発光する。可変レジスタ43、44が調整可能なので、PWM信号の幅と図3の初期充電期間を変更し、これにより、OLED20の輝度が調整される。
【0010】
しかし、図3の初期充電期間を変更する方法は、OLED20のコンデンサC23が過大である場合、電流が定電流の期間が長いので、輝度が適切に制御されず、図1で示される電流が抵抗R1、R2、或いは、R3を通過して、OLEDの輝度を低下させる問題が依然として存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする課題は、二段式駆動回路を提供し、発光ダイオードパネルの輝度を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
有機発光ダイオードパネルのMOSドライバ前に、初期充電回路、及び、定電流回路を加え、スイッチは、MOSドライバのゲートを駆動するのに用いられる初期充電回路、或いは、定電流回路を選択し、発光ダイオードパネルを駆動する初期は、初期充電回路を選択し、その後、スイッチが定電流回路を選択する。
【0013】
初期充電回路は、一種の電流ミラー回路で、二行のMOS装置からなり、MOS装置の一行は第一可変抵抗器に直列され、もう一つは、出力電圧を提供し、出力電圧は、第一可変抵抗器の抵抗を調整することにより制御される。
【0014】
第一可変抵抗器の抵抗が調整され、MOSドライバは、初期充電期間中、飽和領域で作動し、MOSドライバの電流を安定させ、OLEDを発光させる。
【0015】
定電流回路は、一種の電流ミラー回路で、二行のMOS装置からなり、MOS装置の一行は第二可変抵抗器に直列され、もう一つは、出力電圧を提供し、出力電圧は、第二可変抵抗器の抵抗を調整することにより制御される。
【0016】
第二可変抵抗器の抵抗が調整され、MOSドライバは、定電流期間中、飽和領域で作動し、MOSドライバの電流を安定させ、OLEDを発光させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路は、発光ダイオードパネルの輝度を安定させるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図5は、本発明装置の回路図であって、初期充電回路51と定電流回路52は、それぞれ、MOSドライバ24の初期充電期間と定電流期間において、駆動電圧を提供し、切換えスイッチ53を切り換え用とする。可変抵抗器54、55は、それぞれ、MOSドライバ24のゲート電圧を調整するのに用いられる。MOS24は、OLED20を駆動して発光させ、OLED20下面に、抵抗56(作用は、図1のR1、R2、或いは、R3と相同である)を連接している。
【0019】
図6は、本発明の初期充電回路51と定電流回路52の内部構造を示す回路図である。
【0020】
初期充電回路51は電流ミラー回路で、MOS511、512、513、514からなり、図で示されるように、接続、排列されている。可変抵抗器54の抵抗を調整するのは、即ち、MOS511の電流を調整し、同時に、電流ミラー回路のため、MOS512、513、514の電流を調整することである。A点の電圧は、MOS512のゲートに接続して出力され、MOS24のゲートの電圧となる。A点の電圧は、可変抵抗器54の調整を受けて変化し、MOS24のゲートに送られて、MOS24の電流を制御する。
【0021】
定電流回路52も一種の電流ミラー回路で、MOS521、522、523、524からなり、図で示されるように、接続、排列されている。可変抵抗器55の抵抗を調整するのは、即ち、MOS521の電流を調整し、同時に、電流ミラー回路のため、MOS522、523、524の電流を調整することである。B点の電圧は、MOS522のゲートに接続して出力され、MOS24のゲートの電圧となる。B点の電圧は、可変抵抗器55の調整を受けて変化し、MOS24のゲートに送られて、MOS24の電流を制御する。
【0022】
図7は、本発明による二段式駆動回路が形成するOLED駆動電流Iと時間Tの関係図である。初期充電期間の電流は、公知技術のように高すぎないが、充分に、OLEDを発光させることができる。初期充電期間は不変で維持され、初期充電期間の中期と後期も、定電流を維持する。可変抵抗器54の抵抗の調整効果で、MOS24を飽和領域で作動させる。これにより、図1で示される縦の一行中の幾つかのOLEDが電流を通しても、これらの電流が、抵抗56(図1のR1、R2、或いは、R3の作用と相同)を流れる時、抵抗56上に多倍数の電圧降下が生じるが、MOS24が飽和領域で作動するので、OLEDに充分な電流を供給でき、OLEDの輝度は、衰減しない。
【0023】
定電流期間中、可変抵抗器55の抵抗を調整し、MOS24も飽和領域で作動させる。これにより、図1で示される縦の一行の幾つかのOLEDに電流が流れても、これらの電流が抵抗56(図1のR1、R2、或いは、R3の作用と相同)を流れる時、抵抗56上に多倍数の電圧降下が生じるが、MOS24が飽和領域で作動するので、OLEDに充分な電流を供給でき、OLEDの輝度は、衰減しない。
【0024】
図7中は、初期充電期間と定電流期間の電流差異が小さく、初期充電期間の初期電流は、公知技術のように高すぎないが、OLEDを発光させるのに充分で、初期充電の期間を不変に維持し、OLEDの輝度を安定させる。
【0025】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】公知のOLEDディスプレイパネルの駆動回路を示した図である。
【図2】OLED駆動回路の等価回路を示した図である。
【図3】図2のOLED駆動回路の電流“I”と時間“T”間の関係を示す図である。
【図4】OLEDディスプレイパネルの輝度の安定性を改善する公知の回路を示す図である。
【図5】本発明の回路を示す図である。
【図6】本発明の回路を示す図である。
【図7】本発明の二段式駆動回路による電流“I”と時間“T”間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
SEG、COM スイッチ
R、56 抵抗
D ダイオード
C、42 コンデンサ
SW45 スイッチ信号
43、44、54、55 可変抵抗器
46 比較器
47 信号処理回路
51 初期充電回路
52 定電流回路
53 切換えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路であって、前記有機発光ダイオードパネルのMOSドライバの前に、初期充電回路と定電流回路を加え、スイッチは、前記MOSドライバのゲートを駆動する前記初期充電回路、或いは、前記定電流回路を選択するのに用いられ、前記MOSドライバのゲートを駆動する初期は、前記初期充電回路を選択し、その後、前記定電流回路に切り換えることを特徴とする有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路。
【請求項2】
前記初期充電回路は電流ミラー回路で、二行のMOS装置からなり、一行の前記MOS装置は、第一可変抵抗器と直列され、もう一つは、出力電圧を提供し、出力電圧は、前記第一可変抵抗器の抵抗を調整することにより制御されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路。
【請求項3】
前記定電流回路は電流ミラー回路で、二行のMOS装置からなり、一行の前記MOS装置は、第二可変抵抗器と直列され、もう一つは、出力電圧を提供し、出力電圧は、前記第二可変抵抗器の抵抗を調整することにより制御されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路。
【請求項4】
前記第一可変抵抗器の抵抗が調整されて、初期充電期間の前記MOSドライバを飽和領域で作動させ、且つ、前記MOSドライバの電流を迅速に安定させて、前記有機発光ダイオードを充分に発光させると共に、初期充電期間を所定期間維持して、変化させないことを特徴とする請求項2に記載の有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路。
【請求項5】
前記第二可変抵抗器の抵抗が調整されて、定電流期間の前記MOSドライバを飽和領域で作動させ、且つ、前記MOSドライバの電流を迅速に安定させて、前記有機発光ダイオードを充分に発光させることを特徴とする請求項3に記載の有機発光ダイオードパネルの二段式駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−47668(P2007−47668A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234435(P2005−234435)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(503349464)普誠科技股▲ふん▼有限公司 (33)
【Fターム(参考)】