説明

有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを封止するためのパラメータの最適化

気密封止ガラスパッケージ及び気密封止ガラスパッケージを作成するための方法が開示される。一実施形態において、気密封止ガラスパッケージは周囲環境に敏感な薄膜デバイスの保護に適する。そのようなガラスパッケージのいくつかの例は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、センサ及びその他の光デバイスである。発明は例としてOLEDディスプレイを用いて説明される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2004年10月20日に出願された、名称を「有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを封止するためのパラメータの最適化(Optimization of Parameters For Sealing Organic Light Emitting Diode (OLED) Displays)」とする、米国特許出願第10/970319号の恩恵を主張する。上記出願の明細書は本明細書に参照として含まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は周囲環境に敏感な薄膜デバイスの保護に適する気密封止ガラスパッケージに関する。そのようなデバイスのいくつかの例は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、センサ及びその他の光デバイスである。本発明は例としてOLEDディスプレイを用いて説明される。
【背景技術】
【0003】
OLEDは近年、広汎な電界発光デバイスにおける使用及び使用可能性のため、かなりの研究の対象となっている。例えば、単OLEDはディスクリート発光デバイスに用いることができ、またOLEDアレイは照明用途またはフラットパネルディスプレイ用途(例えばOLEDディスプレイ)に用いることができる。OLEDディスプレイは、非常に明るく、優れた色コントラスト及び広い視野角を有することが知られている。しかし、OLEDディスプレイ、特にOLEDディスプレイ内にある電極及び有機層は周囲環境からOLEDディスプレイに漏入する酸素及び水分との相互作用で生じる劣化を受け易い。OLEDディスプレイ内の電極及び有機層を周囲環境に対して気密封止すれば、OLEDディスプレイの寿命をかなり延ばし得ることは周知である。残念ながら、これまでは、OLEDディスプレイを気密封止するための封止プロセスを開発することが非常に困難であった。OLEDディスプレイの適切な封止を困難にしていた要因のいくつかを要約すると:
・気密封止は酸素及びに水に対する遮断層(酸素に対して10-3cm/m/日、水に対して10-6g/m/日)を提供しなければならない;
・OLEDディスプレイの大きさに悪影響を与えないように、気密封止の大きさは最小(例えば<2mm)にしなければならない;
・封止プロセス中に上がる温度がOLEDディスプレイ内の材料(例えば電極及び有機層)を損傷させてはならない。例えば、OLEDディスプレイの封止部から約1〜2mmにある、OLEDの第1ピクセルは封止プロセス中に100℃より高温に加熱されてはならない;
・封止プロセス中に放出されるガスがOLEDディスプレイ内の材料を汚染してはならない;
・気密封止は、電気配線(例えばクロム薄膜電極)がOLEDディスプレイに入ることを可能にしなければならない;
である。
【0004】
現在、OLEDディスプレイを封止するための一手段は、特定の波長の光を強く吸収する材料がドープされた低温フリットを溶融することで気密封止を形成することである。詳しくは、その上にフリットがおかれたカバーガラスとその上にOLEDが配置された基板ガラスの間に気密封止を形成するフリットを加熱して軟化させるために高パワーレーザが用いられる。一般にフリットの幅は約1mmで、厚さは約6〜100μmである。フリットの吸収及び厚さが一様であれば、フリット位置において一様な温度上昇を与えるような、一定のレーザエネルギー及び移動速度で封止を行うことができる。しかし、フリットが比較的薄い場合には、100%のレーザエネルギーがフリットで吸収されることはなく、レーザエネルギーのいくらかは基板ガラス上のOLEDに取り付けられた金属電極で吸収されるかまたは反射され得る。薄いフリットを用いることが望ましく、金属電極は裸の基板ガラスとは異なる反射率及び吸収特性を有し、裸の基板ガラスとは異なる熱伝導率も有するから、上記の状況は封止プロセス中のフリット内に非一様温度分布を生じさせることができ、これはカバーガラスと基板ガラスの間の非気密接合を生じさせ得る。この封止問題は本発明の封止技法の1つまたはそれより多くを用いることで解決される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、フリットのレーザ加熱による気密封止の形成における、フリットの非一様温度上昇問題を解決する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、気密封止されたOLEDディスプレイ及び気密封止されたOLEDディスプレイを作成するための方法を含む。基本的に、気密封止OLEDディスプレイはカバープレート上にフリット(例えばドープされたフリット)を被着し、基板上にOLEDを搭載することによって作成される。次いで、フリットが溶融して、カバープレートを基板に接合しかつカバープレートと基板の間に配置されたOLEDの保護も行う気密封止を形成する間、封止線に沿って実質的に一定の温度がフリット内で維持される態様でフリットを加熱するためにレーザ(例えば封止装置)が用いられる。封止線はOLEDに接続される電極で占有される領域及び電極のない領域を有するために達成が困難である、レーザによる、封止線に沿って実質的に一定の温度をフリット内で維持する態様でのフリットの加熱を可能にする、いくつかの封止技法が本明細書に説明される。例えば、一封止技法において、レーザから放射されるレーザビームの移動速度及び/またはパワーが、電極占有領域及び無電極領域を有する封止線に沿ってフリットが一様に加熱されることを保証するために、必要に応じて動的に変えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のより完全な理解は、添付図面とともになされる、以下の詳細な説明を参照することによって得ることができる。
【0008】
図1〜10を参照すれば、本発明にしたがう気密封止OLEDディスプレイ100及びOLEDディスプレイ100を作成するための方法200が開示されている。本発明の封止技法は気密封止OLEDディスプレイ100の作成に関して以下で説明されるが、同じかまたは同様の封止技法を、広汎な用途及びデバイスに用いることができる2枚のガラス板の相互封着に用い得ることは当然である。したがって、本発明の封止技法は限定された態様で解されてはならない。
【0009】
図1A及び1Bを参照すれば、気密封止OLEDディスプレイ100の基本コンポーネントを示す上面図及び側断面図がそれぞれ示されている。OLEDディスプレイ100は、カバープレート102(例えばガラス板102),1つまたはそれより多くのOLED104/電極106,ドープされたフリット108及び基板110(例えばガラス板110)からなる多層サンドイッチ構造を有する。OLEDディスプレイ100は、カバープレート102と基板110の間に配置されたOLED104を保護する、フリット108で形成された気密封止112を有する。気密封止112は一般にOLEDディスプレイ100の外縁のすぐ内側に配置される。また、OLED104は気密封止112の周内に配置される。図からわかるように、OLED104に接続された電極106は気密封止112を通り抜けて延び、よって外部デバイス(図示せず)と接続することができる。ここでも、カバープレート102と基板110の間の気密接合112の形成を困難にするのは、不透明金属電極106であることが多い電極106の存在である。これは、封止装置114(例えばレーザ114)からのレーザエネルギーのいくらかが金属電極106で吸収及び/または反射されて、カバープレート102と基板110の間の非気密接合の形成をおこさせ得る封止プロセス中のフリット108の非一様温度分布を生じさせるような、異なるパターン及び異なる光学特性を金属電極106が有するためである。本発明の封止技法の1つまたはそれより多くを用いることによってこの問題がどのように解決され、よってOLEDディスプレイ100を作成可能であるかが図2〜10を参照して以下に説明される。
【0010】
図2を参照すれば、気密封止OLEDディスプレイ100の作成に好ましい方法200の工程をフローチャートが示している。工程202及び204で始めれば、カバープレート102及び基板110が提供される。好ましい実施形態において、カバープレート102及び基板110は、製品コード1737ガラスまたはEagle2000(商標)ガラスとしてコーニング社(Corning Incorporated)が製造販売しているガラスのような、透明ガラス板である。あるいは、カバープレート102及び基板110は、例えば、旭硝子(株)、日本電気硝子(株)、NHテクノグラス社、およびサムソン・コーニング・プレシジョン・ガラス社(Samsung Corning Precision Glass Co.)が製造販売しているガラス(例えば、旭硝子のOA10ガラス及びOA21ガラス)のような、いずれかの透明ガラス板とすることができる。
【0011】
工程206において、カバープレート102の縁近くにフリット108が被着される。例えば、フリット108はカバープレート102の周縁からほぼ1mm離して配置することができる。好ましい実施形態において、フリット108は1つまたはそれより多くの、(例えば)鉄、銅、バナジウム及びネオジムを含む群から選ばれる、吸収イオンを含有する低温ガラスフリットである。2枚のガラス板102及び110の熱膨張係数に一致または実質的に一致させるようにフリット108の熱膨張係数を低めるフィラー(例えば、転化フィラー、添加フィラー)をフリット108にドープすることもできる。本用途に用いることができるいくつかの例示的フリット108の組成に関するさらに詳細な説明には、名称を「フリットで気密封止されるガラスパッケージ及び作成方法(Glass Package that is Hermetically Sealed with a Frit and Method of Fabrication)」とする、米国特許出願公開第10/823331号明細書が参照される。この明細書の内容は本明細書に参照として含まれる。
【0012】
さらに、フリット108はカバープレート102に予備焼結させることができる。これを達成するため、カバープレート102上に被着されたフリット108は、カバープレート102に固着するように加熱される。フリット108をいかにしてカバープレート102に予備焼結することができるかについてのさらに詳細な議論は、本文において、以下の図11に関する説明の直前に与えられる。
【0013】
工程208において、OLED104及び電極106を含むその他の回路が基板110上に搭載される。代表的なOLED104は、1つまたはそれより多くの有機層(図示せず)及び陽電極/陰電極106を有する。しかし、いかなる既知のOLED104または将来のOLED104もOLEDディスプレイ104に用い得ることが当業者には容易に認められるはずである。さらに、OLEDディスプレイ100が作成されておらず、代りに光センサに用いられるような別のガラスパッケージが(1つまたはそれより多くの)本発明の封止技法を用いて作成されようとしているのであれば、OLED104ではなく、別のタイプの薄膜デバイスをこの工程で搭載できることは当然である。
【0014】
工程210において、フリット108が溶融して、カバープレート102を基板110に接合する気密封止112を形成する間、封止線116に沿ってフリット108に実質的に一定の温度が維持されるように、封止装置114(例えばレーザ114)が本発明の封止技法の1つまたはそれより多くを用いてフリット108を加熱する(図1Bを見よ)。気密封止112は周囲環境の酸素及び水分のOLEDディスプレイ100への侵入を防止することによってOLED104の保護も行う。
【0015】
本発明の封止技法により、溶融して気密封止112を形成するフリット108の下を通る、異なるパターン及び特性を有する電極106があっても、封止装置114が封止プロセス中に封止線116に一定の温度を維持することが可能になる。しかし、これを達成するため、封止技法は、熱拡散速度に影響し、したがって封止点116におけるフリット108の温度に影響を与え得る、いくつかの要因を考慮する必要がある。第1に、一般的なフリット108ではその組成及び厚さに依存して透過度が2%から30%まで変わり得る。第2に、電極106はその組成に依存して光を、吸収または反射し、あるいはフリット108を透過させることができる。第3に、封止点116における熱拡散速度に影響する、基板110の熱伝導度は電極106が搭載されているか否かに応じて変化することが多い。一般に、封止線116に沿ういかなる点においてもフリット108における温度上昇(Tフリット)は下式:
【数1】

【0016】
のように推定することができる。ここで、Tフリットはフリット108における温度上昇、Pはレーザ114のレーザパワー、vはレーザの平行移動速度、aはレーザスポット径、Dは基板110の熱拡散係数、εフリットは一回目の通過でフリット108によって吸収されるレーザパワーの比率、R電極は電極108の反射率、e電極は電極108によって吸収されるレーザパワーの比率である。
【0017】
明らかに、上式は、一回目の通過でフリット108に吸収されるエネルギー量、フリット108を透過して電極106で吸収されるレーザエネルギー量、及びフリット108を透過し、電極106で反射されて二回目の通過でフリット108に吸収されるレーザエネルギー量を表す(例えば図3を見よ)。上式は半無限体積の加熱に対して成立するが、Tフリットのv(移動速度)及びK(熱伝導度)依存性を正確に表すとは言えない。しかし、上式はTフリットのこれらのパラメータへの定性的な依存性を示してはいる。上式は、封止プロセス中に、封止線116に沿う無電極領域及び電極占有領域についてのフリット108の温度上昇を等しくし得ることも明らかにしている。無電極領域及び電極占有領域を有する封止線116に沿うフリット108の封止装置114による一様加熱を保証できる様々な封止技法が図3〜10に関して以下で詳細に説明される。
【0018】
図3を参照すれば、本発明にしたがう封止技法の1つによる気密封止形成中のOLEDディスプレイ100の側断面図がある。この実施形態において、封止技法は、電極占有領域218a及び無電極領域218bを有する封止線116に沿ってフリット108の温度を実質的に一定に維持するために、封止線116上の様々な点においてレーザ114がレーザビーム108のパワーを動的に変化させる必要がある技法である。詳しくは、レーザ114は、封止線116に電極占有領域218aがある場合にはレーザビーム118のパワーを低め、封止線116に無電極領域218bがある場合にはレーザビーム118のパワーを高めることによって、封止線116上のフリット108の温度を一定に維持する。
【0019】
図4Aを参照すれば、本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第2の封止技法の説明に役立てるために用いられる概略図がある。この実施形態において、用いられる封止技法は、電極占有領域218a及び無電極領域218bを有する封止線116に沿ってフリット108の温度を実質的に一定に維持するためにレーザ114がレーザビーム108の移動速度(v)を動的に変化させる技法である。例えば、レーザ114は、レーザビーム118が電極占有領域218a上にある場合はレーザビーム118を高速で移動させ、レーザビーム118が無電極領域218b上にある場合はレーザビーム118を低速で移動させることによって、封止線116上のフリット108の温度を一定に維持することができる。実際には、封止線116に近接して電極106がある領域ではレーザ14を中間の第3の速度でレーザビーム118を移動させることができる。
【0020】
図4Bにも示されるこのプロセスは、電極106が高吸収性及び/または高反射性であるかにかかわらず実施することができる。あるいは、静止しているOLEDディスプレイの上でレーザ114を移動させる代りに、フリット108内の温度を一定に維持するために、静止しているレーザ114の下でOLEDディスプレイ100を保持しているステージ/支持体(図示せず)を様々な速度で移動させることができよう。図4Cは、電極をもたない2枚の裸ガラス板をこの封止技法を用いて相互に封着したときに得られたいくつかの実験結果を示すグラフである。
【0021】
図5を参照すれば、本発明にしたがう封止技法のまた別の1つによる気密封止形成中のOLEDディスプレイ100の側断面図がある。この実施形態において、封止技法は、フリット108を溶融させて気密封止112を形成するためにレーザ114がレーザビーム118を放射している間、基板110の下に高反射器502(例えばミラー502)が置かれる技法である。高反射器502は、フリット108が電極占有領域218a上に配置されているかまたは無電極領域218b上に配置されているかにかかわらず、フリット108によって吸収されるパワーを均衡させるに役立つ。例えば、封止線116の沿う相異なる点におけるフリット108の温度上昇は、電極占有領域218aにおいては:
【数2】

【0022】
と表すことができ、また、無電極領域218bにおいては:
【数3】

【0023】
と表すことができる。明らかに、高反射器502を用いることで差:Tフリット1−Tフリットを小さくすることが可能である。この差は電極106の光学パラメータ及び特性に依存するであろう。この封止技法においては、レーザビーム118のパワー及び/または移動速度を一定に維持するかまたは動的に変え得ることは当然である。
【0024】
図6を参照すれば、本発明にしたがう封止技法のまた別の1つによる気密封止形成中のOLEDディスプレイ100の側断面図がある。この実施形態において、封止技法は、フリット108を溶融させて気密封止112を形成するためにレーザ114がレーザビーム118を放射している間、カバープレート102の上に半反射性マスク602が置かれる技法である。半反射性マスク602は、電極106の異なる特性を補償するためのマスク602の異なる反射率を表す異なるパターン604a,604b,...,604dを有する。このようにすれば、半反射性マスク602は、フリット108が電極占有領域218a上に配置されているかあるいは無電極領域218b上に配置されているかにかかわらず、フリット108によって吸収されるパワーを均衡させるに役立つ。
【0025】
図7を参照すれば、本発明にしたがう封止技法のまた別の1つによる気密封止形成中のOLEDディスプレイ100の側断面図がある。この実施形態において、封止技法は、レーザ114が封止線116に沿う一回目の通過で正しい封止温度に対応する最低パワーにおいて封止線116の少なくとも一部を封止し、次いで、一回目の通過中に適切な温度に達することができなかった場所においてのみ二回目の通過でより高いパワーにおいて封止線116の封止を終らせる、技法である。一回目の通過中にフリット108のどの区画が適切な温度に達しなかったかを決定する必要があれば、以下で説明される機構と同じかまたは同様のフィードバック機構を用いることができる。
【0026】
図8を参照すれば、本発明にしたがう封止技法のまた別の1つによる気密封止形成中のOLEDディスプレイ100の側断面図がある。この実施形態において、封止技法は、気密封止112の形成中に封止線116に沿うフリット108内で一様な加熱がおこることを保証するに役立てるためにフィードバック機構802を用いる技法である。フィードバック機構802はある固定された波長において封止線116のホットスポット強度をモニタするために用いることができる。ホットスポットは、レーザ114による加熱のために封止線116に沿う温度上昇による黒体輻射から生じる。輻射スペクトルは非常に広く、500〜2000nmの範囲の波長のほとんどいずれであってもこの目的のために用いることができるであろう。一実施形態において、フィードバック機構802はオンライン輻射強度をモニタし、これを温度に変換して、フリット108が電極占有領域218a上に配置されているかあるいは無電極領域218b上に配置されているかにかかわらず、封止線116に沿って温度が一様であることを保証するために1つまたはそれより多くの封止パラメータを最適化する。例えば、フィードバック機構802は、フリット108が電極占有領域218a上にあるかあるいは無電極領域218b上にあるかにかかわらず、封止線116に沿って温度を一様にするためにレーザ114のパワーを制御することができる。フィードバック機構802を用い得る多くの様々な方法があり、以下にそれらのいくつを説明する:
・フィードバック機構802は、レーザ114が未知試料OLEDディスプレイ100を封止している間、封止線116上の様々な場所において温度をモニタすることができる。フィードバック機構802は、試料OLEDディスプレイ100を封止している間、フリット108内の温度を一定に保つために封止線116に沿うある場所においてレーザの移動速度またはパワーを修正する。次いでレーザ114は同様のOLEDディスプレイ100を封止するためにこれらの条件を適用することができる;
・フィードバック機構802は、レーザ114がOLEDディスプレイ100を封止している間、封止線116上の様々な場所において温度を「能動的に」モニタすることができる。フィードバック機構802は、OLEDディスプレイ100を封止している間、フリット108内の温度を一定に保つために封止線116に沿うある場所においてレーザの移動速度またはパワーも修正する。
【0027】
図9A〜9Cを参照すれば、本発明にしたがう封止技法のまた別の1つを用いてOLEDディスプレイ100を気密封止するためにどのようにレーザ114を用いることができるかを示す様々な図がある。この実施形態において、封止技法は、レーザビーム118のビームプロファイルがレーザ114の端に配置された円形アパーチャ902(図9Aを見よ)によって修正される技法である。円形アパーチャ902は、修正されたレーザビーム118a(図9Bを見よ)がOLEDディスプレイ100の封止線116に沿ってフリット108を加熱するように、ビーム118の一部を遮断/デフォーカスすることによってレーザビーム118を修正するような大きさにつくられる。図9Bに示されるグラフからわかるように、円形アパーチャ902はレーザビーム118のガウス型形状を、そのテールをクリップすることによって修正する。デフォーカスされたレーザビーム118aは、封止線116において必要なカバレッジ及び必要なパワーを与えることができ、同時に、OLEDディスプレイ100に永久的な損傷を与え得る余分の熱発生に封止線116の外側のいかなるデバイス(例えばOLED104)もさらすことはない、低減された1/eパワーレベルも有する。別の実施形態において、円形アパーチャ902には、レーザビーム118の形状をさらに変える(図9Cを見よ)ため、円形アパーチャ902の中央に遮断円板(図示せず)を配置することができる。図9Cに示されるグラフからわかるように、修正されたレーザビーム118cは、一般に縁端においてより多くの熱拡散があるフリット108にかけて温度を一様にするに役立つ形状を有する。楕円形ビーム118はフリット108にわたる一様加熱を生じさせ、フリット108に沿う徐熱及び徐冷も可能にし、これは残留応力の低減に役立つ。
【0028】
OLEDディスプレイ100の気密封止112を形成するために上述した封止技法の内の1つより多くを同時に用い得ることは当然である。例えば、レーザ114のパワーを変えることに関する上述した封止技法(図3を見よ)及びレーザビーム118の形状を修正するために円形アパーチャ902を用いることに関する上述した封止技法(図9A〜9Cを見よ)を用いることによってOLEDディスプレイ100を封止することができる。
【0029】
さらに、封止プロセスにおいて、フリット108を封止するための出発点の温度が一般に封止線116上のさらに先にあるフリット108の残り部分より低いことは当然である。これは、出発点においてフリット108は室温にあるが、フリット108の残りは気密封止112の形成中は温度が上がった状態にある(図10を見よ)という事実による。このことは、フリット108の始点においては周囲温度における差を考慮して(例えば)レーザ114の封止パラメータを調節する必要があり得ることを意味する。
【0030】
次に説明される技法はレーザ114の封止速度を高めるために用いることができ、これは上述した封止技法のいずれの効率も改善するに役立ち得るであろう。円形レーザスポットが用いられる場合は、最大封止速度は〜10〜11mm/秒の範囲にあるであろう。しかし、フリット108の加熱に楕円形またはスリット状のビーム118を用いた場合、楕円形レーザビーム118のパワー密度が円形レーザビーム118と同じであるとすれば、OLEDディスプレイ100を封止するために用いることができる、移動速度を高める結果が得られるようである。言い換えれば、楕円形レーザビーム118のスポット面積が円形レーザビーム118に対して大きくなるに比例してレーザ114のパワーを高めることが必要である。この全てにより、楕円形レーザビーム118のスポット寸法の幅に対する長さの比だけ封止プロセスの速度を高めることが可能になるであろう。しかし、楕円形レーザビーム118が(円形ビームと同じ)低速過程に戻ることが必要となる、OLEDディスプレイ100のコーナーについて特別に注意を払う必要があり得る。あるいは、OLEDディスプレイ100を適切に封止するため、レーザ114がOLEDディスプレイ100のコーナーにかけて配置されている間は、楕円形ビーム118を回転させる必要があり得る。
【0031】
上述した封止技法を用いてLCDタイプのガラス(例えば製品コード1737ガラスまたはEagle2000がラス)を有機発光ダイオード(OLED)基板に気密に封着できるであろう、相異なるいくつかの手段が以下に説明される。例えば、フリット108は、スクリーン印刷によるかまたは、形状が良く定められたパターンを与えるプログラマブルオーガーロボットによって、LCDガラスに塗布することができる。次いで、フリットパターンがその上に配置されたLCDガラス試料102を、フリット108の組成に依存する温度でフリット108を「焼成」する炉内に置くことができる。この場合も、フリット108は、(例えば)810nmレーザ114の動作波長と一致する(例えば)810nmにおいてかなりの吸収断面積を有する1つまたはそれより多くの遷移金属(バナジウム、鉄、ニッケル等)を含有することができる。この加熱中に、フリット108は予備焼結され、有機結合剤はほとんど焼尽される。この工程は、この工程がなければレーザ封止中にフリット108から有機物が蒸発してOLEDディスプレイ100の内部に析出し得るであろうから、重要であり得る。
【0032】
フリット108が予備焼結された後、12〜15μmの目標高さを2〜4μm以上こえる高さ変動がないようにフリット108を研削することができる。高さ変動が大きければ、レーザ封止中にフリット108が溶融したときに空隙が閉じることができないか、あるいは基板102及び110に亀裂を発生させ得る応力を空隙が誘起させ得る。フリット108の高さは基板102及び110の背面からの封着を可能にする重要な変数である。これが意味することは、予備焼結されたフリット108を有するカバープレート102をレーザビーム118が通過できることである。フリット108が薄すぎれば、フリット108にはレーザ照射を吸収するに十分な材料が残らず、封止は失敗に終わる。フリット108が厚すぎれば、フリット108は第1の表面において溶融するに十分なエネルギーを吸収できるであろうが、基板110上の第2の面において溶融するに必要なエネルギーを遮蔽するであろう。これは通常、2枚のガラス基板102及び110の劣悪であるかまたは点状の接合を生じさせる。
【0033】
予備焼結されたフリット108の研削後、この時点までに溜まったいかなる破砕屑も除去するためにカバープレート102を弱めの超音波洗浄環境に通すことができよう。ここで用いられる代表的な溶液は、付加搭載物を全くもたないディスプレイガラスの洗浄に用いられる溶液よりかなり弱くすることができる。洗浄中、被着されたフリット108の劣化を避けるために温度を低めに保つことができる。
【0034】
洗浄後、残留水分を除去するための最終処理工程を行うことができる。予備焼結されたカバープレート102を温度が100℃の真空オーブン内に6時間以上入れておくことができる。オーブンから取り出した後、封止プロセスを行う前にカバープレート102上に塵埃及び破砕屑が溜まることを防止するためにカバープレート102をクリーンルームボックスに入れておくことができる。
【0035】
封止プロセスは、フリット108をもつカバープレート102をOLED104/電極106が表面に配置された別のガラス板110の上に、フリット108及びOLED104/電極106が2枚のガラス板102及び110の間に挟み込まれるような態様で置く工程を含む。封止プロセス中にガラス板102及び110を接触させておくため、ガラス板102及び110に軽い圧力を印加することができる。レーザ114がカバーガラス102を通してフリット108上にレーザビーム118を集束させる。次いで、温度勾配をより緩やかにするために、ほぼ3.5mmのスポット径になるまでレーザビーム118をデフォーカスすることができる。フリット108は、溶融前に、温められ、アニール段階を通る必要がある。さらに、予備焼結されたカバープレートは、溶融前のO及びHOの再吸着を防止するため不活性雰囲気内に保管されるべきである。フリットパターンに対するレーザ114の進行速度は、設定パラメータに依存して0.5mm/秒から15mm/秒の範囲とすることができる。進行速度を速めるほど、一般にダイオードレーザ114に必要な電流が多くなるであろう。例えば、9〜12Wの範囲のレーザパワーを用いて0.5〜2mm/秒の範囲の速度で封止を行うことができるであろう。所要パワーはフリット108の吸収係数及び厚さに依存して変わる。所要パワーは、何らかのリード材料502のような反射層または吸収層が基板110の下に配置されているか否かによっても影響を受ける(例えば図5を見よ)。また、単位時間当りのパワー密度が高められれば、封止過程がより高速になり得ると考えられる。上述したように、フリット108はフリットの均質性にフィラー粒度とともに依存して変わり得る。また、フリット108が近IR波長を吸収するフィラー粒子を有していれば、フリット108は若干透明である。これはフリットの吸収、したがってディスプレイ基板102及び110に対する溶融の仕方に悪影響を与え得る。
【0036】
図11はガラス板102及び110をレーザ114に対してどのように配置するかの概念を示す。例示的レンズ系の仕様が含められるが、レーザ114からのエネルギー送達の要件ではない。この場合も、レーザビーム118は、フリット108をレーザ114が通過する際の温度勾配が小さくなるようにデフォーカスすることができる。勾配が急峻すぎると(集束が密であり過ぎると)OLEDディスプレイ100に激しい亀裂が入って、直ちに不良品になり得ることに注意すべきである。
【0037】
カバープレート102をガラス板110に密接させて保持するために用いることができる2つの例示的な方策が図11に示されている。第1の手法では、ガラス板102及び110が、ガラス板102及び110の上に磁石1104を載せて鋼鉄ブロック1102上に置かれる。第2の手法では、ガラス板102及び110が2枚の、掻き傷/突き傷が少なく、平坦度が極めて高い、2枚の透明石英ガラス円板1106aと1106bの間に置かれる。これらの石英ガラス円板1106a及び1106bは次いで様々な方法でクランプすることができ、近赤外光に対して透明である。円板1106a及び1106bが平坦で極めて剛性が高ければ、比較的薄いディスプレイ板102及び110を、平坦度及び相互の直接接触を維持しながら、壊さずに接合させることができる。
【0038】
ガラス板102及び110を保持するステージ1108の移動は、ディスプレイガラス102上に載せられているフリット108に追随するように書かれたプログラムを実行するコンピュータ(図示せず)によって制御することができる。フリット108のパターンのほとんどは矩形であり、丸められた角を有する。角の曲率半径は0.5mm〜4mmの範囲にあり、この領域における過熱を抑制する必要がある。過熱は、x方向での進行速度が下げられてy方向での進行方向が上げられると、またはこの逆の場合に、おこり得る。デフォーカスされた封止ビーム118の径がほぼ3.5mmであれば、完全に直角の角では余分の加熱があり得るであろう。この過熱効果を無効にするため、レーザビーム118の速度、パワーまたは半径を調節することができる。例えば、曲率半径をデフォーカスされたレーザビーム118の重なりより大きくしておくだけでこの効果を克服することができる。これが図12に示される。
【0039】
フリット108はある程度透明であるから、その下にある電極106のような、反射性の、いかなる層も、レーザビーム118が反射してフリット108内に戻るから、追加の熱源をつくるであろう。熱量は2倍にはならないが、意図された熱量よりはかなり多くなる。また、これらの電極106には近IRで吸収性になり得るものがあり、これは電極106がレーザ源114で照射されたときにいくらかの実質的な加熱を受け得ることを意味する。電極106がいずれの特性も示せば、電極106は封止過程にともなう克服が非常に困難な効果をつくりだす。この効果は単位時間当りのパワー密度と称される。電極106はフリット108が置かれることになる面上に散在し、配置パターンは常時一定であることはないから、パワー密度問題に対処する必要がある。本発明の上述した技法に関して上で説明したように、この問題に対処するためのいくつかの方法がある:
・一手法は、電極106がある場所では電流を減らし、電極106がない場所では電流を元に戻すことによって、ダイオードレーザ114への電流を変えることである(図3を見よ);
・別の手法は、電極106がある場所では移動速度を高め、電極106がない場所では移動速度を低めることによって、過熱を調和するように平行移動速度を変えることである。これを達成するに必要な個別の2つの移動速度が初めに決定されるであろうが、フリット108の経路に近接して電極106がある領域については第3の中間速度が必要になり得る。これはほとんどレーザビーム118のデフォーカスの重なりによると思われる(図4A,4B及び12を見よ);
・また別の手法は、下側にある物体全体を反射性にするために、鋼鉄ブロック1102上に高反射性前面ミラー502を置くかまたはミラー面を形成することである。これにより、ビーム118が様々な層を通過する際のパワー密度の大きな変動を排除することができる(図5を見よ);
・また別の手法は、レーザビーム118のデフォーカスによって生じる余分の光を減じるであろう、マスクをディスプレイガラス102上に置くことである。また、反射性マスクは、電極、ドライバ及び電界発光(EL)材料へのレーザ光の望ましくない到達も防止するであろう。
【0040】
封止プロセス中にレーザ114のパワー密度を管理するというアイデアは初め、主バス配線及び電極にモリブデンを含有するガラス板102及び110の封着を試みているときに生じた。モリブデンは近IRに対して吸収性でも反射性でもあるという特性を有する。この理由のため、パワー密度を管理しない限り、試料が過熱して亀裂を生じるか、フリットが全く溶融せず、気密封止ができないことが、封止時に直ちに明らかになった。上述したように、封止プロセス中にパワー密度を制御するための一手段は、レーザビーム118の平行移動速度を変えることである。いくつかの実験において、ガラス板102及び110を回るループを完成するために3つの速度を用いた。封止経路116にまたは封止経路116近くに電極106が配置されていない場所では最も遅い速度を用いることができる。封止経路116にまたは封止経路116近くに電極106が配置されている場所では最も速い速度を用いることができる。フリット108のパターンが電極106間を覆っているかあるいは若干反射性の材料上にまたはこれらの材料の近くにある場合には中間の速度を用いることができる。図13は、OLEDディスプレイ100を作成するためにレーザビーム118が通過することができるいくつかの相異なる封止経路116を示す。
【0041】
以下に本発明の様々な利点及び特徴の内のいくつかを示す:
・上述した封止技法のいずれもがフリットを用いずに2枚のガラス板を互いに封着するために用いられ得ることは当然である。この実施形態においては、必要であれば、フリットへのドープに用いられる材料と同じ材料をガラス板の一方にドープすることができる;
・気密封止112は以下の特性を有する:
・ガラス板102及び110との優れた熱膨張整合;
・低軟化温度;
・優れた耐化学薬品性及び耐水性;
・ガラス板102及び110との優れた接合;
・金属リード106(例えば陽電極及び陰電極106)との優れた接合;
・極めて多孔度の低い緻密性;
・製品コード1737ガラス板及びEagle2000ガラス板の他に、別のタイプのガラス板102及び110を本発明の封止技法を用いて互いに封着できることを理解することが重要である。例えば、旭硝子(株)、日本電気硝子(株)、NHテクノグラス社、およびサムソン・コーニング・プレシジョン・ガラス社(Samsung Corning Precision Glass Co.)のような会社が製造したガラス板102及び110(例えば、旭硝子のOA10ガラス及びOA21ガラス)を、本発明の封止技法を用いて互いに封着することができる;
・封着されるガラス102及び110並びにフリット108のCTE間に正しい整合が得られること、及び封着されるガラス102及び110並びにフリット108の粘度(例えば、歪、軟化点)間に正しい整合が得られることを保証するような、本発明において考慮されるべきその他の要件がある;
・工程206にしたがってカバープレート102に予備焼結されたフリット108はOLEDディスプレイ100の製造業者にユニットとして販売されることができ、製造業者は次いでその工場施設において、OLED104を搭載し、局所熱源を用いて最終作成工程210を実施できることに注意すべきである;
・OLEDディスプレイ100は、能動OLEDディスプレイ100または受動OLEDディスプレイ100とすることができる;
・上述の説明では電極106が不透明であるとしたが、電極は反射性、吸収性、透過性あるいはこれらのいずれの組合せであり得ることは当然である。例えばITO電極106は反射または吸収するより多くを透過させることができる;
・本発明の別の態様が加熱工程210の完了後のOLEDディスプレイ100の冷却速度の制御であることに注意すべきである。急激な冷却及び急速な冷却は気密封止112並びに封着されたガラス板102及び110に高弾性熱応力を生じさせる大きな熱歪をおこさせ得る。適する冷却速度は封止されるべき特定のOLEDディスプレイ100の寸法及びOLEDディスプレイ100から環境への熱放散速度に依存することにも注意すべきである。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を添付図面に示し、上記の詳細な説明で説明したが、本発明が開示された実施形態に限定されず、添付される特許請求の範囲に述べられ、定められるような、本発明の精神を逸脱することなく、数多くの再構成、改変及び置換が可能であることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】本発明の1つまたはそれより多くの封止技法を用いることで作成することができる気密封止OLEDディスプレイの基本コンポーネントを示す上面図である
【図1B】本発明の1つまたはそれより多くの封止技法を用いることで作成することができる気密封止OLEDディスプレイの基本コンポーネントを示す側断面図である
【図2】図1A及び図1Bに示される気密封止OLEDディスプレイを作成するための好ましい方法の工程を示すフローチャートである
【図3】本発明にしたがう第1の封止技法による気密封止形成中のOLEDディスプレイの側断面図である
【図4A】本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第2の封止技法の説明に役立てるために用いられる第1の図である
【図4B】本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第2の封止技法の説明に役立てるために用いられる第2の図である
【図4C】本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第2の封止技法の説明に役立てるために用いられる第3の図である
【図5】本発明にしたがう第3の封止技法による気密封止形成中のOLEDディスプレイの側断面図である
【図6】本発明にしたがう第4の封止技法による気密封止形成中のOLEDディスプレイの側断面図である
【図7】本発明にしたがう第5の封止技法による気密封止形成中のOLEDディスプレイの側断面図である
【図8】本発明にしたがう第6の封止技法による気密封止形成中のOLEDディスプレイの側断面図である
【図9A】本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第7の封止技法の説明に役立てるために用いられる第1の図である
【図9B】本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第7の封止技法の説明に役立てるために用いられる第2の図である
【図9C】本発明にしたがうOLEDディスプレイを気密封止するために用いることができる第7の封止技法の説明に役立てるために用いられる第3の図である
【図10】上述の封止技法のそれぞれが、本発明にしたがう気密封止OLEDディスプレイの作成の間、フリットの出発温度及び後続温度を考慮すべきであり得ることを示すために用いられるOLEDディスプレイの側断面図である
【図11】本発明にしたがう上述の封止技法の1つまたはそれより多くを用いてOLEDディスプレイを作成することができるであろういくつかの例示的手段の説明に役立てるために用いられる図である
【図12】本発明にしたがう上述の封止技法の1つまたはそれより多くを用いてOLEDディスプレイを作成することができるであろういくつかの例示的手段の説明に役立てるために用いられる別の図である
【図13】本発明にしたがう上述の封止技法の1つまたはそれより多くを用いてOLEDディスプレイを作成することができるであろういくつかの例示的手段の説明に役立てるために用いられるまた別の図である
【符号の説明】
【0044】
100 気密封止OLEDディスプレイ
102 カバープレート
104 OLED
106 電極
108 フリット
110 基板
112 気密封止
114 封止装置
116 封止線
118 レーザビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光デバイスを作成するための方法において、
カバープレートを提供する工程、
基板を提供する工程、
前記カバープレート上にフリットを被着する工程、
前記基板上に少なくとも1つの薄膜デバイスを搭載する工程、及び
前記フリットが溶融して、前記カバープレートを前記基板に接合しかつ前記カバープレートと前記基板の間に配置された前記少なくとも1つの薄膜デバイスの保護も行う、気密封止を形成する間、無電極領域及び前記少なくとも1つの薄膜デバイスに接続された電極で占有された領域を有する封止線に沿って前記フリットに実質的に一定の温度が維持される態様で前記フリットを加熱するために封止装置を用いる工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記封止装置が前記フリットを溶融させるために用いられるレーザビームを放射し、前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記レーザビームの移動速度が動的に変えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるために用いられるレーザビームのパワーを前記封止装置が動的に変えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるために前記封止装置が前記カバープレートを通してレーザビームを放射する間、前記基板の下に反射器が配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カバープレートの上面に半反射性マスクが配置され、前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるために前記封止装置が前記反射性マスク及び前記カバープレートを通してレーザビームを放射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
一回目の通過の間、前記封止装置が前記封止線に沿って前記フリットを溶融させるために用いられる比較的パワーが低いレーザビームを放射し、次いで、二回目の通過の間、前記比較的パワーが低いレーザビームの前記一回目の通過の間に適切な温度に達しなかった前記封止線に沿う前記フリットの領域においてのみ、前記封止装置が比較的パワーが高いレーザビームを放射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるために楕円形レーザビームを放射するための楕円集束レンズを前記封止装置が用いることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるためにデフォーカスされたレーザビームを放射するための集束レンズ及び特別な形状につくられたアパーチャを前記封止装置が用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるように前記封止装置の動作を最適化するためにフィードバック機構が用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カバープレートの上面にマスクが配置され、前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるために前記封止装置が前記マスクのスリット及び前記カバープレートを通してレーザビームを放射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ガラスパッケージにおいて、
カバープレート、
少なくとも1つの薄膜デバイス、及び
基板、
を有し、
前記基板の一部が溶融して、前記カバープレートを前記基板に接合しかつ前記カバープレートと前記基板の間に配置された前記少なくとも1つの薄膜デバイスの保護も行う、気密封止を形成する間、無電極領域及び前記少なくとも1つの薄膜デバイスに接続された電極で占有された領域を有する封止線に沿って前記基板の前記一部に実質的に一定の温度を維持する態様で前記基板の前記一部が封止装置によって加熱される、
ことを特徴とするガラスパッケージ。
【請求項12】
ガラスパッケージにおいて、
カバープレート、
少なくとも1つの薄膜デバイス、
基板、及び
フリットであって、前記フリットが溶融して、前記カバープレートを前記基板に接合しかつ前記カバープレートと前記基板の間に配置された前記少なくとも1つの薄膜デバイスの保護も行う、気密封止を形成する間、無電極領域及び前記少なくとも1つの薄膜デバイスに接続された電極で占有された領域を有する封止線に沿って前記フリットに実質的に一定の温度が維持される態様で封止装置によって加熱されるフリット、
を有することを特徴とするガラスパッケージ。
【請求項13】
前記無電極領域及び前記電極占有領域を有する前記封止線に沿って前記フリットに前記実質的に一定の温度を維持する態様で前記フリットを溶融させるように前記封止装置の動作を最適化するためにフィードバック機構が用いられることを特徴とする請求項12に記載のガラスパッケージ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−517446(P2008−517446A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538083(P2007−538083)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037967
【国際公開番号】WO2006/045067
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】