説明

有機発光素子、有機発光素子を用いた光源装置およびそれらの製造方法

【課題】有機発光素子の発光効率を向上するにあたり、多層構造を採用することが有効である。しかし、塗布法では、多積層化すると下地層が上の有機層の溶媒で溶けてしまう問題があり、従来は四層以上の有機多層構造からなる有機発光素子を製造することができなかった。
【解決手段】本発明の有機発光素子は、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された発光層および混合層と、を有し、前記混合層には第一のホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料が含まれ、前記発光層には第二のホストが含まれ、前記電荷輸送性材料には第一の機能性基が含まれ、前記電荷輸送性材料の濃度は、前記混合層における前記発光層が存在する側の領域よりも前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域の方が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子、有機発光素子を用いた光源装置およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い外部取り出し量子効率を示し、発光寿命が長く、且つ、駆動電圧の低い有機EL素子、照明装置および表示装置を提供するために、陰極と陽極との間に少なくとも三層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層の少なくとも二層A、Bは、各々非水溶媒を用いる塗布法により形成され、且つ、該層Aと該層Bとの間に、混合領域が形成され、且つ、該混合領域中の、前記層Aまたは前記層Bの構成成分の濃度分布が連続的な濃度勾配を示すことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が特許文献1にて報告されている。
【0003】
また、非特許文献1には、層Aが有機溶媒を用いる塗布法により形成され、その上に層Bがアルコール系溶媒を用いる塗布法により形成され、該層A及び該層Bの間に混合領域が形成されないことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が報告されている。
なお、本発明に関連する他の先行技術文献としては、下記の特許文献2乃至3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−42314号公報
【特許文献2】特開2009−267392号公報
【特許文献3】WO2006−103909号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Organic Electronics, V. 12, p. 291 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機発光素子の発光効率を向上するためには、電子と正孔の両キャリアを発光層に閉じ込めて励起状態を効率的に生成する必要がある。そのため、発光層を突き抜けようとするキャリアを発光層に閉じ込めるキャリア輸送材料からなるキャリア輸送層を発光層に隣接させる必要がある。また、白色光を得るためには複数の発光ドーパントが必要であるが、一つの発光層に複数のドーパントを分散させると、発光波長が長波長のドーパントが強く光ってしまい、所望の白色光が得られなくなる問題がある。同課題には、一つ或いは二つの発光ドーパントを分散させる複数の発光層が有効である。以上の理由により、多層構造を採用することが有効である。しかし、塗布法では、多積層化すると下地層が上の有機層の溶媒で溶けてしまう問題があり、従来は四層以上の有機多層構造からなる有機発光素子を製造することができなかった。
【0007】
本発明の目的は、多層構造からなる有機発光素子、この有機発光素子を用いた光源装置およびそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機発光素子は、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された発光層および混合層と、を有し、前記混合層には第一のホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料が含まれ、前記発光層には第二のホストが含まれ、前記電荷輸送性材料には第一の機能性基が含まれ、前記電荷輸送性材料の濃度は、前記混合層における前記発光層が存在する側の領域よりも前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域の方が高い。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、多層構造からなる有機発光素子、有機発光素子を用いた光源装置およびそれらの製造方法を提供できる。多層構造にすることで、第一の混合層を発光層と電荷輸送層に擬似的に分離できるので、高効率の有機発光素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】光源装置の一実施の形態における断面図である。
【図2】有機発光素子の一実施の形態における断面図である。
【図3】有機発光素子の一実施の形態における断面図である。
【図4】有機発光素子の一実施の形態における断面図である。
【図5】有機発光素子の一実施の形態における断面図である。
【図6】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成1である。
【図7】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成2である。
【図8】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成3である。
【図9】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成4である。
【図10】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成5である。
【図11】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成6である。
【図12】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成7である。
【図13】擬似的な積層構造が形成される前後の層構成8である。
【図14】本発明の光源装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面等により本発明を詳細に説明する。以下の説明は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。図1は、本発明における光源装置の一実施の形態における断面図である。図1は、上部電極102側から光を取り出すトップエミッション型の光源装置である。図1では、基板100上に下部電極101、第一のバンク104、第二のバンク105、有機層103、上部電極102、樹脂層106、封止基板107、光取出し層108が上記の順で配置されている。図1に図示されていない駆動回路および筐体などが備えられることで光源装置となる。有機発光素子は、上部電極102、下部電極101および有機層103を有する。
【0012】
下部電極101は陽極である。下部電極101として陰極でも良い。下部電極101はホトリソグラフィーによりパターニングして形成される。
【0013】
下部電極101が陽極の場合、上部電極102は陰極となる。下部電極101が陰極の場合、上部電極102は陽極となる。上部電極102がITOまたはIZOであるとき、ITOまたはIZOをスパッタ法で形成する際には、スパッタによるダメージを緩和するため、有機層103および上部電極102の間にバッファ層を設けることがある。バッファ層には、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物、或いは、MgAg合金の極薄膜などを用いる。上部電極102は隣接する発光部の下部電極101と接続される。
これにより、発光部を直列接続することができる。
【0014】
有機発光素子の側面に形成された第一のバンク104は順テーパとなっており、パターンニングされた下部電極101の端部を覆い、発光部の部分的なショート故障を防止する。有機層103を塗布で形成した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第一のバンク104が形成される。第一のバンク104の有機層103が存在する側の表面に撥水性処理を施してもよい。例えば、第一のバンク104の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第一のバンク104の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第一のバンク104の表面には撥水層が形成される。第一のバンク104として、感光性ポリイミドが好ましい。また、第一のバンク104として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
【0015】
第二のバンク105は第一のバンク104の上に形成される。第二のバンク105は逆テーパとなっており、隣接する発光部の上部電極102が導通しないようにするために用いられる。有機層103を塗布で形成した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第二のバンク105が形成される。第二のバンク105の有機層103が存在する側の表面には撥水性処理を施してもよい。例えば、第二のバンク105の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第二のバンク105の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第二のバンク105の表面には撥水層が形成される。第二のバンク105として、ネガ型フォトレジストを用いることが好ましい。また、第二のバンク105として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
【0016】
樹脂層106は、上部電極102および第二のバンク105の上に形成される。樹脂層106は、発光部を封止するため、前記発光素子の劣化の要因となるガスや水分の浸入を防ぐために用いられる。樹脂層106として、エポキシ樹脂などの各種ポリマーを用いることができる。封止性能を向上させるために、樹脂層106として上部電極102上の無機パッシベーション膜を用いることもできる。
【0017】
封止基板107は樹脂層106の上に形成される。封止基板107はガラス基板である。但し、ガラス基板以外でも、適切なガスバリア膜を有するプラスチック基板も用いることができる。
【0018】
光取出し層108は封止基板107に形成される。光取出し層108は、有機層103で発光した光を効率よく取出すために用いられる。光取出し層108として、例えば、マイクロレンズなどの構造体や、散乱性、拡散反射性を有するフィルムが用いられる。
【0019】
ここで用いる有機発光素子は、単一の素子でも、複数に分割された素子でもかまわない。複数の素子を接続する方法は、各素子を直列、並列またはそれらを組み合わせた方法が挙げられる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る有機発光素子の断面図である。図2の下側から基板100、下部電極101、有機層103、上部電極102の順に配置されており、図2の有機発光素子は上部電極102側から有機層103の発光を取り出すトップエミッション型である。下部電極101は陰極となる反射電極、上部電極102は陽極となる透明電極である。なお、上部電極102が陰極、下部電極101が陽極であれば、上部電極102を反射電極、下部電極101を透明電極としたボトムエミッション型の素子構造でも構わない。基板100および下部電極101、下部電極101および有機層103、有機層103および上部電極102はそれぞれ接していても構わず、各層の間に無機のバッファ層や注入層などを介在させてもよい。無機のバッファ層としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン等が挙げられる。注入層としては、電子注入層、正孔注入層などが挙げられる。
【0021】
有機層103には電荷輸送層10、発光層11、及び混合層12が含まれる。図2では、混合層12の膜厚が電荷輸送層10、発光層11の膜厚より大きくなっているが、混合層12の膜厚を電荷輸送層10或いは発光層11の膜厚と等しくしても、混合層12の膜厚を電荷輸送層10或いは発光層11の膜厚より小さくしても構わない。図2では、基板100の上に下部電極101が形成され、下部電極101の上に電荷輸送層10が形成され、電荷輸送層10の上に発光層11が形成され、発光層11の上に混合層12が形成され、混合層12の上に上部電極102が形成されている。図3のように、下部電極101の上に電荷輸送層10が形成され、電荷輸送層10の上に混合層12が形成され、混合層12の上に発光層11が形成され、発光層11の上に上部電極102が形成されていても構わない。
【0022】
電荷輸送層10として、電子輸送層および正孔輸送層などが考えられる。
【0023】
発光層11にはホスト、第二のドーパント、第三のドーパントが含まれる。発光層11内でホスト、第二のドーパント、或いは第三のドーパントで電子及び正孔が再結合して、発光層11が発光する。発光する部分は発光層11の層内であってもよいし、発光層11と隣接する層との界面であってもよい。
【0024】
混合層12にはホスト、第一のドーパント、電荷輸送性材料が含まれる。混合層12に電子供与性材料または電子受容性材料が含まれていても構わない。混合層12内でホスト或いは第一のドーパントで電子及び正孔が再結合して、混合層12が発光する。発光する部分は混合層12の層内であってもよいし、混合層12と混合層12に隣接する層との界面であってもよい。
【0025】
有機層103として、電荷輸送層10、発光層11、及び混合層12以外の層が含まれていても構わない。電荷輸送層10、発光層11、及び混合層12以外の層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれか一層以上が挙げられる。電荷輸送層10、発光層11、及び混合層12は接していても構わず、電荷輸送層10、発光層11、及び混合層12の間に無機のバッファ層や注入層などを介在させてもよい。
【0026】
第一のドーパント、第二のドーパント、及び第三のドーパントとして、蛍光性化合物、リン光性化合物等が挙げられる。また、第一のドーパント、第二のドーパント、及び第三のドーパントとして、赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパント等が挙げられる。
【0027】
有機発光素子の製造方法は真空蒸着法と塗布法に大別される。そのうち、塗布法は大面積の成膜が容易、材料の利用効率が高いなどの利点がある。塗布法を用いるためには有機発光素子の層数を少なくする必要があり、発光層を単層或いは二層にすることが求められている。
【0028】
従来の塗布法で作製した有機発光素子では、各材料の溶媒に対する溶解度の差を利用して、多積層する際に再溶解する下層の領域を制御し混合層を形成している。この方法では混合層に含まれる材料の濃度制御が難しい。
【0029】
電荷輸送材には第一の機能性基が含まれている。第一の機能性基により、電荷輸送材は混合層12における発光層11が存在する反対側の表面へ引き寄せられる。
【0030】
ホストには第二の機能性基、第一のドーパントには第三の機能性基が含まれている。その場合、第二の機能性基、第三の機能性基により、ホストおよび第一のドーパントは混合層12における発光層11が存在する側の表面へ引き寄せられる。ホストに第一の機能性基が含まれていなくても構わない。また、第一のドーパントに第三の機能性基が含まれていなくても構わない。ホストに第二の機能性基が含まれること、或いは、第一のドーパントに第三の機能性基が含まれることにより、第一のドーパントの濃度制御が容易になる。
以下では、ホストに第二の機能性基および第一のドーパントに第三の機能性基が含まれている場合について詳述する。
【0031】
発光層11のホストには第四の機能性基が含まれていることが望ましい。その場合、混合層12のホストの第二の機能性基、及び第一のドーパントの第三の機能性基と相互作用が強くなる。また、発光層の第二のドーパント、第三のドーパントの発光色は第一のドーパントの発光色と異なることが望ましい。「発光色が異なる」とは、各ドーパントのPLスペクトルにおいて最大強度を示す波長が異なることを言う。発光層11に第二のドーパントおよび第三のドーパントの発光色の一方は赤色であり、他方は緑色であることが望ましい。これにより、第二のドーパントから第三のドーパント、或いは第三のドーパントから第二のドーパントへのエネルギー移動の影響を最小限にできる。第一のドーパントおよび第二のドーパントのPLスペクトルの最大強度を調整することで有機発光素子から白色光が出射される。
【0032】
本発明において、混合層とは、その層内に含まれるもの(電荷輸送材、ホスト、ドーパントなど)が機能性基の働きにより、層内の所定の膜厚方向へ移動するものである。一方、発光層とは原則としてその層内に含まれるもの(ホスト、ドーパントなど)が均一分散するものをいう。
【0033】
図2のように、電荷輸送層10、発光層11、混合層12、上部電極102の順に形成されている場合、第一の機能性基としては、例えばフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(ただし、Cの数は10以上とする。)、パーフルオロポリエーテル基、シロキシ基(−Si−O−Si−)があげられる。表面エネルギーを考慮すれば、フルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基が望ましく、パーフルオロアルキル基がさらに望ましい。ホストおよび第一のドーパントには、これらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。これらの基は主骨格に直接導入してもよいが、(化1)のようにアミド結合やエステル結合などを介して導入してもかまわない。
【0034】
【化1】

【0035】
物質の表面は一般に内部(バルク)と異なり片側に同種の分子が存在しないため引力が働かずエネルギーが高く不安定である。そのため、表面エネルギーを低下させるために表面積を小さくするように変形させる力(表面張力)が働く。また、物質内に表面エネルギーの低い官能基を有する分子がある場合には、その官能基を表面に出すことで表面エネルギーを低下させ、安定化する。例えば、水と界面活性剤(両親媒性分子)の場合、界面活性剤は表面エネルギーの低い官能基である疎水基を分子内に有し、その疎水基を水面から出す形で水面に単分子膜を形成することで水面の表面エネルギー低下させている。
【0036】
本発明の分子は分子内にフルオロアルキル基などの表面エネルギーが低い官能基を有している。ベンゼン環などの部位はそれよりも表面エネルギーが高い。膜が形成される際には、表面エネルギーを小さくするために、上記表面エネルギーの低い官能基を表面に出すように力が働く。(化1)のように機能性基を付加した分子ではこの作用により表面エネルギーの低い官能基を膜表面に移動させることができる。
【0037】
また下地層と相互作用を利用する場合には、下地層と機能性基の間に働く、分子間力、水素結合、配位結合の作用により機能性基が下地層に引き寄せられる。
【0038】
電荷輸送材に第一の機能性基が付加されることにより、電荷輸送材は混合層12において上部電極102が存在する側の表面に偏在、局在化することになる。つまり、電荷輸送材は混合層12において濃度勾配を形成する。電荷輸送材に第一の機能性基が付加されることにより、混合層12の膜厚方向において、電荷輸送材の濃度がピークとなる位置は混合層12の中央より上部電極102側に存在することになる。
【0039】
第二の機能性基、第三の機能性基、第四の機能性基は、発光層のホスト材の種類によって以下のように分けられる。発光層のホストが正孔輸送性の高い材料ではフェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基等があげられる。発光層のホスト材が電子輸送性の高い材料では、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基等があげられる。発光層のホスト材が、正孔輸送性及び電子輸送性の高い材料では、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)等があげられる。これらの基は(化2)のように主骨格に直接導入してもよいが、(化3)のようにアミド結合やエステル結合、または分子の大きさを考慮しアルキル鎖などを介して導入してもかまわない。また、ホストおよび第一のドーパントはこれらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。
【0040】
【化2】

【0041】
【化3】

【0042】
図3のように、電荷輸送層10、混合層12、発光層11、上部電極102の順に形成されている場合、第一の機能性基は、混合層12に接する電荷輸送層10の種類によって以下のように分けられる。
【0043】
電荷輸送層10が正孔輸送層である場合には、第一の機能性基に正孔輸送層と同様の構造を導入する。具体的には、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン部位などがあげられる。
【0044】
電荷輸送層10が電子輸送層である場合には、第一の機能性基に電子輸送層と同様の構造を導入する。具体的には、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン部位などがあげられる。
【0045】
第二の機能性基、第三の機能性基としては、例えばフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(ただし、Cの数は10以上とする。)、パーフルオロポリエーテル基、シロキシ基(−Si−O−Si−)があげられる。表面エネルギーを考慮すれば、フルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基が望ましく、パーフルオロアルキル基がさらに望ましい。ホストおよび第一のドーパントには、これらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。これらの基は主骨格に直接導入してもよいが、(化1)のようにアミド結合やエステル結合などを介して導入してもかまわない。
【0046】
電荷輸送性材料として、正孔輸送性材料または電子輸送性材料が考えられる。正孔輸送性材料としては、スターバーストアミン系化合物やスチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体、フルオレン誘導体などが挙げられる。電子輸送性材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、Tris(2、4、6−trimethyl−3−(pyridin−3−yl)phenyl)borane(3TPYMB)、1、4−Bis(triphenylsilyl)benzene(UGH2)、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、シロール誘導体などが挙げられる。
【0047】
電荷輸送性材料として正孔輸送性材料が用いられる場合、混合層12を低抵抗化し駆動電圧を低下させるために、混合層12に電子受容性材料を添加しても良い。電子受容性材料とは、電子を電子受容性材料以外の分子から受け取りやすい材料をいう。電子受容性材料としては、例えば7、7、8、8−tetracyanoquinodimethane(TCNQ)誘導体などが挙げられる。混合層12中の電子受容性材料に第二の機能性基が含まれていてもよい。
電子受容性材料に第二の機能性基が含まれることにより、発光層領域中の電子受容性材料が少なくなり、発光効率を向上できる。
【0048】
電荷輸送性材料として電子輸送性材料が用いられる場合、混合層12を低抵抗化し素子の駆動電圧を低下させるために、混合層12に電子供与性材料を添加しても良い。電子受容性材料とは、電子を放出しやすい(電子受容性材料以外の分子に渡しやすい)材料をいう。電子供与性材料としては、例えばN−ethyl−1、10−phenanthrolium(NEP)誘導体、Methyltriphenylphosphonium(MTPP)誘導体、N、N、N、N−tetramethyl−p−phenylenendiamine(TMPD)誘導体、rhodamine B chloride誘導体、pyronin B chloride誘導体、8−Hydroxyquinolinolato−lithium(Liq)誘導体などが挙げられる。混合層12中の電子供与性材料に第二の機能性基が含まれていてもよい。電子供与性材料に第二の機能性基が含まれることにより、発光層領域中の電子供与性材料が少なくなり、発光効率を向上できる。
【0049】
<層構成1>
層構成1として、下部電極101/正孔輸送層(電荷輸送層10)/発光層11(発光層)/混合層12(発光層+電子輸送層)/上部電極102という場合を考える。層構成1は、図2に対応する。
【0050】
発光層11には第二のホスト、第二のドーパント、及び第三のドーパントが含まれる。
混合層12には第一のホスト、第一のドーパント、及び電子輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。正孔輸送層は、発光層11塗布時に再溶解を防ぐために、混合層形成用溶媒に対し不溶化することが好ましい。混合層形成用溶媒に対し不溶化する正孔輸送層としては、例えば、特開2009−267392号公報に記載されている、(1.a)〜(6.a)の構造を有する材料が挙げられる。
【0051】
図6は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成1を表す。混合層12の電子輸送材料に付加する第一の機能性基は、上部電極102が存在する側へと電子輸送材料を移動させ、第一のホストに付加する第二の機能性基、及び第一のドーパントに付加する第三の機能性基は、下部電極101が存在する側へと第一のホスト及び第一のドーパントを移動させることで、擬似的な積層構造(発光層/電子輸送層)を形成する。
【0052】
以上の構成により、塗布法により、第二のドーパントと第三のドーパントが含まれた発光層と第一のドーパントが含まれた発光層が正孔輸送層と電子輸送層で挟まれた擬似的な4層の積層構造の有機層を得る。この構造により、第一〜第三のドーパントは効率的に発光できるようになり、高効率有機発光素子が作製できる。
【0053】
ここで、第一のドーパントが移動することは、移動先において第一のドーパントの存在する比率が増え、その濃度が高くなることを意味する。これは他のドーパントやホスト等が移動する場合も同様である。また、他の層構成でも同様である。
【0054】
<層構成2>
層構成2として、下部電極101/電子輸送層(電荷輸送層10)/発光層11(発光層)/混合層12(発光層+正孔輸送層)/上部電極102という場合を考える。層構成2は、図2に対応する。発光層11には第二のホスト、第二のドーパント、及び第三のドーパントが含まれる。混合層12には第一のホスト、第一のドーパント、及び正孔輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陰極、上部電極102が陽極(トップアノード)となる。電子輸送層は、発光層11塗布時に再溶解を防ぐために、混合層形成用溶媒に対し不溶化することが好ましい。混合層形成用溶媒に対し不溶化する電子輸送層としては、例えば、特開2006−279007号公報に記載の材料が挙げられる。
【0055】
図7は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成2を表す。混合層12の正孔輸送材料に付加する第一の機能性基は、上部電極102が存在する側へと正孔輸送材料を移動させ、第一のホストに付加する第二の機能性基、及び第一のドーパントに付加する第三の機能性基は、下部電極101が存在する側へと第一のホスト及び第一のドーパントを移動させることで、擬似的な積層構造(発光層/正孔輸送層)を形成する。
【0056】
以上の構成により、塗布法により、第二のドーパントと第三のドーパントが含まれた発光層と第一のドーパントが含まれた発光層が電子輸送層と正孔輸送層で挟まれた擬似的な4層の積層構造の有機層を得る。この構造により、第一〜第三のドーパントは効率的に発光できるようになり、高効率有機発光素子が作製できる。
【0057】
<層構成3>
層構成3として、下部電極101/正孔輸送層(電荷輸送層10)/混合層12(正孔輸送層+発光層)/発光層11(発光層)/上部電極102という場合を考える。層構成3は、図2に対応する。
【0058】
発光層11には第二のホスト、第二のドーパント、及び第三のドーパントが含まれる。
混合層12には第一のホスト、第一のドーパントおよび正孔輸送性材料が含まれる。下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。正孔輸送層は、層構成1の材料と同じものであることが好ましい。
【0059】
図8は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成3を表す。第一のホストに付加する第二の機能性基および第一のドーパントに付加する第三の機能性基は、上部電極102が存在する側へと第一のホストおよび第一のドーパントを移動させ、また、正孔輸送性材料に付加する第一の機能性基は、下部電極101が存在する側へと正孔輸送性材料を移動させることで、擬似的な積層構造(正孔輸送層/発光層)を形成する。
【0060】
以上の構成により、塗布法により混合層12を含む擬似的な4層の積層構造の有機層を有する高効率有機発光素子が作製できる。
【0061】
同構成では、混合層の正孔輸送材料を、第一ドーパントの励起状態を失活させない三重項エネルギー状態の高い材料を材料に用いたり、混合層の発光層を突き抜ける電子をブロックするような低い電子親和力の材料を用いることにより、高効率発光が得られる。
【0062】
<層構成4>
層構成4として、下部電極101/電子輸送層(電荷輸送層10)/混合層12(電子輸送層+発光層)/発光層11(発光層)/上部電極102という場合を考える。層構成4は、図3に対応する。
【0063】
発光層11には第二のホスト、第二のドーパント、及び第三のドーパントが含まれる。
混合層12には第一のホスト、第一のドーパントおよび電子輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陰極、上部電極102が陽極(トップアノード)となる。電子輸送層は、層構成2の材料と同じものであることが好ましい。
【0064】
図9は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成4を表す。電子輸送性材料に付加する第一の機能性基は、下部電極101が存在する側へと電子輸送性材料を移動させ、またホストに付加する第二の機能性基及び第一のドーパントに付加する第三の機能性基は、上部電極102が存在する側へとホストおよび第一のドーパントを移動させることで、擬似的な積層構造(電子輸送層/発光層)を形成する。
【0065】
以上の構成により、塗布法により混合層12を含む擬似的な4層の積層構造の有機層を有する高効率有機発光素子が作製できる。
【0066】
同構成では、混合層の電子輸送材料を、第一ドーパントの励起状態を失活させない三重項エネルギー状態の高い材料に用いたり、混合層の発光層を突き抜ける正孔をブロックするような高いイオン化ポテンシャルの材料を用いることにより、高効率発光が得られる。
【0067】
<層構成5>
層構成5として、下部電極101/正孔輸送層(電荷輸送層10)/第二の混合層13/第一の混合層12/上部電極102という場合を考える。層構成5は図4に対応する。
第一の混合層12には第一のホスト、第一のドーパント、及び電子輸送材料が含まれる。
また、第二の混合層には、第二のホスト、第二のドーパント、第三のドーパントが含まれる。この場合、下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。
【0068】
図10は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成5を表す。正孔輸送層に用いる正孔輸送材料には、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン部位など有する。そのため、第二のドーパントに付加する上記部位と類似の第六の機能性基により、第二のドーパントは電荷輸送層10側に移動する。また、第三のドーパントは付加された第七の機能性基により、第一の混合層12側に移動する。そのため、第二の混合層13は擬似的な2層の積層構造の発光層として機能する。また、本構成では、第二の混合層に第三のホストが含まれてもよい。第三のホストは付加された第八の機能性基により、第一の混合層12側に移動して、第三のドーパントの主ホストとして機能する。
【0069】
次に、第二のホストは、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)等が付与されており、第一のホスト、第一のドーパントに類似の第二の機能性基、第三の機能性基を付加することにより、第一のホスト、第一のドーパントは第二の混合層13側に移動する。また、電子輸送性材料は付加された第一の機能性基により上部電極102側に移動する。そのため、第一の混合層12は、発光層と電子輸送層からなる擬似的な積層構造として機能する。以上より、塗布法により、第二のドーパントを含んだ発光層、第三のドーパントを含んだ発光層、及び第一のドーパントを含んだ発光層が正孔輸送層と電子輸送層で挟まれた、擬似的な5層の積層構造の有機層を得る。第一〜第三のドーパントは、特に、第二のドーパントと第三のドーパントが分離されたため、より効率的に発光できるようになり、高効率有機発光素子となる。
【0070】
<層構成6>
層構成6として、下部電極101/電子輸送層(電荷輸送層10)/第二の混合層13/第一の混合層12/上部電極102という場合を考える。層構成6は図4に対応する。
第一の混合層12には第一のホスト、第一のドーパント、及び正孔輸送材料が含まれる。
また、第二の混合層には、第二のホスト、第二のドーパント、第三のドーパントが含まれる。この場合、下部電極101が陰極、上部電極102が陽極(トップアノード)となる。
【0071】
図11は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成6を表す。電子輸送層に用いる電子輸送材料には、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン部位など有する。そのため、第二のドーパントに付加する上記部位と類似の第六の機能性基により、第二のドーパントは電荷輸送層10側に移動する。また、第三のドーパントは付加された第七の機能性基により、第一の混合層12側に移動する。そのため、第二の混合層13は擬似的な2層の積層構造の発光層として機能する。また、本構成では、第二の混合層に第三のホストが含まれてもよい。第三のホストは付加された第八の機能性基により、第一の混合層12側に移動して、第三のドーパントの主ホストとして機能する。
【0072】
次に、第二のホストは、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)等が付与されており、第一のホスト、第一のドーパントに類似の第二の機能性基、第三の機能性基を付加することにより、第一のホスト、第一のドーパントは第二の混合層13側に移動する。また、正孔輸送性材料は付加された第一の機能性基により上部電極102側に移動する。そのため、第一の混合層12は、発光層と正孔輸送層からなる擬似的な積層構造として機能する。以上より、塗布法により、第二のドーパントを含んだ発光層、第三のドーパントを含んだ発光層、及び第一のドーパントを含んだ発光層が電子輸送層と正孔輸送層で挟まれた、擬似的な5層の積層構造を得る。第一〜第三のドーパントは、特に、第二のドーパントと第三のドーパントが分離されたため、より効率的に発光できるようになり、高効率有機発光素子となる。
【0073】
<層構成7>
層構成7として、下部電極101/正孔輸送層(電荷輸送層10)/第一の混合層12/第二の混合層13/上部電極102という場合を考える。層構成7は図5に対応する。
第一の混合層には第一のホスト、第一のドーパント、及び正孔輸送材料が含まれる。また、第二の混合層には、第二のホスト、第二のドーパント、第三のドーパントが含まれる。
この場合、下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。
【0074】
図12は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成7を表す。
【0075】
正孔輸送層に用いる正孔輸送材料には、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン部位など有する。そのため、第一の混合層に含まれる正孔輸送材料には上記部位、或いは類似の第一の機能性基により、正孔輸送材料は電荷輸送層10側に移動する。また、第一のドーパントは付加された第三の機能性基により、第二の混合層13側に移動する。そのため、第一の混合層12は、発光層と正孔輸送層からなる擬似的な積層構造として機能する。
【0076】
次に、第一のホストは、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)等が付与されており、第二のホスト、第三のドーパントに類似の第五の機能性基、第七の機能性基を付加することにより、第二のホスト、第三のドーパントは第一の混合層12側に移動する。また、第二のドーパントは付加された第六の機能性基により上部電極102側に移動する。
そのため、第二の混合層13は、2つの発光層からなる擬似的な2層の積層構造として機能する。また、本構成では、第二の混合層に第三のホストが含まれてもよい。第三のホストは付加された第八の機能性基により、上部電極102側に移動して、第三のドーパントの主ホストとして機能する。
【0077】
以上より、塗布法により、積層された正孔輸送層、第一のドーパントを含んだ発光層、第二のドーパントを含んだ発光層、及び第三のドーパントを含んだ発光層からなる擬似的な5層の積層構造の有機層を得る。同構成では、第一の混合層の正孔輸送材料を、第一ドーパントの励起状態を失活させない三重項エネルギー状態の高い材料に用いたり、第一の混合層の発光層を突き抜ける電子をブロックするような低い電子親和力の材料を用いることにより、高効率発光が得られる。
【0078】
<層構成8>
層構成8として、下部電極101/電子輸送層(電荷輸送層10)/第一の混合層12/第二の混合層13/上部電極102という場合を考える。層構成8は図5に対応する。
第一の混合層12には第一のホスト、第一のドーパント、及び電子輸送材料が含まれる。
また、第二の混合層には、第二のホスト、第二のドーパント、第三のドーパントが含まれる。この場合、下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。
【0079】
図13は擬似的な積層構造が形成される前後の層構成8を表す。
【0080】
電子輸送層に用いる電子輸送材料には、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン部位など有する。そのため、第一の混合層に含まれる電子輸送材料には上記部位、或いは類似の第一の機能性基により、電子輸送材料は電荷輸送層10側に移動する。
また、第一のドーパントは付加された第三の機能性基により、第二の混合層13側に移動する。そのため、第一の混合層12は、発光層と電子輸送層からなる擬似的な積層構造として機能する。
【0081】
次に、第一のホストは、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)等が付与されており、第二のホスト、第三のドーパントに類似の第五の機能性基、第七の機能性基を付加することにより、第二のホスト、第三のドーパントは第一の混合層12側に移動する。また、第二のドーパントは付加された第六の機能性基により上部電極102側に移動する。
そのため、第二の混合層13は、2つの発光層からなる擬似的な2層の積層構造として機能する。また、本構成では、第二の混合層に第三のホストが含まれてもよい。第三のホストは付加された第八の機能性基により、上部電極102側に移動して、第三のドーパントの主ホストとして機能する。
【0082】
以上より、塗布法により、積層された電子輸送層、第一のドーパントを含んだ発光層、第二のドーパントを含んだ発光層、及び第三のドーパントを含んだ発光層からなる擬似的な5層の積層構造の有機層を得る。同構成では、第一の混合層の電子輸送材料を、第一ドーパントの励起状態を失活させない三重項エネルギー状態の高い材料に用いたり、第一の混合層の発光層を突き抜ける正孔をブロックするような高いイオン化ポテンシャルの材料を用いることにより、高効率発光が得られる。2つの混合層(第一の混合層12、第二の混合層13)を含む擬似的な5層の積層構造の有機層を有する高効率有機発光素子が作製できる。
【0083】
<ホスト>
ホストとして、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体またはアリールシラン誘導体などを用いることが好ましい。効率の良い発光を得るためには青色ドーパントの励起エネルギーよりも、ホストの励起エネルギーが十分大きいことが好ましい。なお、励起エネルギーは発光スペクトルを用いて測定される。
【0084】
<青色ドーパント>
青色ドーパントは400nmから500nmの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。青色ドーパントの主骨格としては例えばペリレン、イリジウム錯体(Bis(3、5−difluoro−2−(2−pyridyl)phenyl−(2−carboxypyridyl)iridium(III)):FIrpicなど)があげられる。中でも発光特性の面で(化11)で示されるイリジウム錯体がより好ましい。式中X1はNを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
【0085】
【化4】

【0086】
X1で表わされる芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表わされる芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環などがあげられる。式中X3はアセチルアセトナート誘導体、ピコリネート誘導体、テトラキスピラゾリルボレート誘導体などが挙げられる。また、X3はX1−X2と同様でもかまわない。
【0087】
発光効率やキャリア伝導の観点から、混合層12中での青色ドーパントの濃度はホストに対し10wt%以上が好ましい。青色ドーパントの重量平均分子量は500以上3000以下が望ましい。
【0088】
<緑色ドーパント>
緑色ドーパントは500nmから590nmの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。緑色ドーパントの主骨格としては、例えばクマリンおよびその誘導体、イリジウム錯体(Tris(2−phenylpyridine)iridium(III):以下Ir(ppy)3、など)があげられる。中でも発光特性の面で(化11)で示されるイリジウム錯体がより好ましい。式中X1はNを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
【0089】
X1で表わされる芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表わされる芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環などがあげられる。X3はアセチルアセトナート誘導体、X1−X2と同様のものなどが挙げられる。
【0090】
発光効率、青色ドーパントからのエネルギー移動の抑制およびキャリア伝導の観点から、混合層12中での緑色ドーパントの濃度はホストに対し1wt%以下が好ましい。緑色ドーパントの重量平均分子量は500以上3000以下が望ましい。
【0091】
<赤色ドーパント>
赤色ドーパントは590nmから780nmの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。赤色ドーパントの主骨格としては、例えばルブレン、(E)−2−(2−(4−(dimethylamino)styryl)−6−methyl−4H−pyran−4−ylidene)malononitrile(DCM)およびその誘導体、イリジウム錯体(Bis(1−phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III)など)、オスミウム錯体、ユーロピウム錯体があげられる。中でも発光特性の面で(化11)で示されるイリジウム錯体がより好ましい。式中X1はNを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
【0092】
X1で表わされる芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表わされる芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環などがあげられる。X3はアセチルアセトナート誘導体などが好ましい。
【0093】
青色ドーパントからのエネルギー移動の抑制およびキャリア伝導の観点から、混合層12中での赤色ドーパントの濃度はホストに対し1wt%以下が好ましい。赤色ドーパントの重量平均分子量は500以上3000以下が望ましい。
【0094】
<正孔注入層>
正孔注入層とは発光効率や寿命を改善する目的で使用される。また、特に必須ではないが、陽極の凹凸を緩和する目的で使用される。正孔注入層を単層もしくは複数層設けてもよい。正孔注入層としては、PEDOT(ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)):PSS(ポリスチレンスルホネート)等の導電性高分子が好ましい。その他にも、ポリピロール系やトリフェニルアミン系のポリマー材料を用いることができる。また、低分子(重量平均分子量10000以下)材料系と組み合わせてよく用いられる、フタロシアニン類化合物やスターバーストアミン系化合物も適用可能である。
【0095】
<正孔輸送層>
正孔輸送層は発光層に正孔を供給する層である。広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層を単層もしくは複数層設けてもよい。正孔輸送層としては、スターバーストアミン系化合物やスチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体、フルオレン誘導体などを用いることができる。また、これらの材料に限られるものではなく、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。正孔輸送層を低抵抗化し駆動電圧を低下させるために、正孔輸送層中に電子受容性材料を添加しても良い。
【0096】
<電子輸送層>
電子輸送層は発光層に電子を供給する層である。広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層を単層もしくは複数層設けてもよい。この電子輸送層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、Tris(2、4、6−trimethyl−3−(pyridin−3−yl)phenyl)borane(3TPYMB)、1、4−Bis(triphenylsilyl)benzene(UGH2)、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、シロール誘導体などを用いることができる。電子輸送層を低抵抗化し素子の駆動電圧を低下させるために、電子輸送層中に電子供与性材料を添加しても良い。
【0097】
<電子注入層>
電子注入層は陰極から電子輸送層への電子注入効率を向上させる。具体的には、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ストロンチウム、弗化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0098】
<基板>
基板100として、ガラス基板、金属基板、SiO2、SiNx、Al23等の無機材料を形成したプラスチック基板等が挙げられる。金属基板材料としては、ステンレス、42アロイなどの合金が挙げられる。プラスチック基板材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。
【0099】
<陽極>
陽極材料としては、高い仕事関数を有する材料であれば用いることができる。具体的には、透明電極として用いることができる材料としてはITO、IZOなどの導電性酸化物や、薄いAgなどの仕事関数の大きい金属が挙げられる。また、反射電極としては、Al上にITOを積層したものや、ITO/Ag/ITO積層膜、Cr、Moなどが挙げられる。電極のパターン形成は、下部電極であれば一般的にはガラス等の基板上にホトリソグラフィーなどを用いることで、また、上部電極である場合には成膜時にメタルマスクを用いることで行うことができる。
【0100】
<陰極>
陰極材料は、仕事関数が小さい金属が好ましい。具体的には、反射電極をして用いる材料としてはLiFとAlの積層体やMg:Ag合金などが好適に用いられる。透明陰極としては薄いMg:Ag合金やITO上に薄いMg:Ag合金を積層したもの、LiFとIZOの積層体などが挙げられる。また、これらの材料に限定されるものではなく、例えばLiFの代わりとして、Cs化合物、Ba化合物、Ca化合物などを用いることができる。電極のパターニングは陽極と同様に行うことができる。
【0101】
発光層11、混合層12を成膜するための塗布法としては、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などを挙げることができる。これらの方法のうち1つを用いて、発光層11、混合層12を形成する。
【0102】
以下に具体的な実施例を示して、本願発明の内容をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0103】
本発明の第一の実施例として、図2に示す構造の白色発光素子を作製した。下部電極101にはITO電極、正孔輸送層(電荷輸送層10)にはポリマー系の材料を用いた。発光層11にはホストとして(化1)、緑色ドーパントには(化2)、赤色ドーパントには(化3)を用いた。それぞれの材料の重量比は100:10:1とした。
【0104】
【化5】

【0105】
これらのホスト、緑色ドーパント材料、赤色ドーパント材料をトルエンに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt%に設定した。この塗液を用いて、スピンコート法により発光層を形成した。
【0106】
次に、混合層12にはホストとして(化4)、青色ドーパントには(化5)、電子輸送性材料には(化6)を用いた。
【0107】
【化6】

【0108】
【化7】

【0109】
【化8】

【0110】
それぞれの材料の重量比は100:10:100とした。これらのホスト、青色ドーパント材料、電子輸送材料を2−プロパノールに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt%に設定した。この塗液を用いて、スピンコート法により発光層を形成した。続いて、LiFとAlの積層体を上部電極102として形成し、目的の有機発光素子を作製した。
【0111】
本有機発光素子では、混合層に含まれる電子輸送材料が混合膜形成時に置換基により上面側に局在し、擬似的な電子輸送層が形成される。よって、本有機発光素子では、赤緑色発光層/青色発光層/電子輸送層という擬似的な積層構造が形成される。比較例として電子輸送材料を含まない混合層形成用塗液を用い同一条件で有機発光素子を作製した。作製した有機発光素子に電圧を印加したところ、本実施例は比較例よりも、良好な発光特性が得られた。
【実施例2】
【0112】
本発明の第二の実施例として、図4に示す構造の白色発光素子を作製した。下部電極101にはITO電極、正孔輸送層(電荷輸送層10)にはポリマー系の材料を用いた。第一の混合層12にはホストとして(化7)、緑色ドーパントには(化2)、赤色ドーパントには(化8)を用いた。
【0113】
【化9】

【0114】
【化10】

【0115】
それぞれの材料の重量比は100:10:1とした。これらのホスト、緑色ドーパント材料、赤色ドーパント材料をトルエンに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt%に設定した。この塗液を用いて、スピンコート法により発光層を形成した。
【0116】
次に、第二の混合層13にはホストとして(化9)、青色ドーパントには(化10)、電子輸送性材料には(化6)を用いた。
【0117】
【化11】

【0118】
【化12】

【0119】
それぞれの材料の重量比は100:10:100とした。これらのホスト、青色ドーパント材料、電子輸送材料を2−プロパノールに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt%に設定した。この塗液を用いて、スピンコート法により発光層を形成した。続いて、LiFとAlの積層体を上部電極102として形成し、目的の有機発光素子を作製した。
【0120】
本有機発光層素子では、第一の混合層に含まれる赤色ドーパントが膜形成時に置換基により膜上面に局在する。そのため、第一の混合層は緑色発光層と赤色発光層が擬似的に積層した構造となる。また、第二の混合層に含まれる電子輸送材料が混合膜形成時に置換基により上面側に局在し、擬似的な電子輸送層が形成される。よって、本有機発光素子では、緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/電子輸送層という擬似的な積層構造が形成される。比較例として電子輸送材料を含まない混合層形成用塗液を用い同一条件で有機発光素子を作製した。作製した有機発光素子に電圧を印加したところ、本実施例は比較例よりも、良好な発光特性が得られた。
【実施例3】
【0121】
本発明の実施例として、図14に示す光源装置506を作製した。光源装置506の構成要素である有機発光素子は実施例1と同様の基板100、下部電極101、有機層103、上部電極102からなる。有機発光素子は有機層103が外気から遮断されるように、乾燥剤付きの封止管ガラス501で封止されている。また下部電極101及び上部電極102は、それぞれ配線502を通じて駆動回路503に接続されている。そして、封止管ガラス501付きの有機発光素子及び駆動回路503は筺体505により覆われ、全体として光源装置506となる。なお、駆動回路503はプラグ504を通じて外部電源に接続されることで点灯する。
【符号の説明】
【0122】
10 電荷輸送層
11 発光層
12 第一の混合層(混合層)
13 第二の混合層
100 基板
101 下部電極
102 上部電極
103 有機層
104 第一のバンク
105 第二のバンク
106 樹脂層
107 封止基板
108 光取出し層
501 封止管ガラス
502 配線
503 駆動回路
504 プラグ
505 筐体
506 光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と、
上部電極と、
前記下部電極と前記上部電極との間に配置された発光層および混合層と、を有する有機発光素子であって、
前記混合層には第一のホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料が含まれ、
前記発光層には第二のホストが含まれ、
前記電荷輸送性材料には第一の機能性基が含まれ、
前記電荷輸送性材料の濃度は、前記混合層における前記発光層が存在する側の領域よりも前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記電荷輸送性材料濃度の違いは、前記電荷輸送性材料が前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域へ移動することにより生じる有機発光素子。
【請求項3】
請求項1において、
前記第一のドーパントには第三の機能性基が含まれ、
前記第一のドーパントの濃度は、前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域よりも前記混合層における前記発光層が存在する側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項4】
請求項3において、
前記第一のホストには第二の機能性基が含まれ、
前記第一のホストの濃度は、前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域よりも前記混合層における前記発光層が存在する側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項5】
請求項1において、
前記下部電極の上に電荷輸送層が形成され、
前記電荷輸送層の上に前記発光層が形成され、
前記発光層の上に前記混合層が形成され、
前記混合層の上に前記上部電極が形成される有機発光素子。
【請求項6】
請求項5において、
前記第一の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基のうちの1つを含む有機発光素子。
【請求項7】
請求項5において、
前記第二のホストが正孔輸送性の高い材料の場合には、第一のホストまたは第一のドーパントはフェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基のうちの1つを含み、
前記第二のホストが電子輸送性の高い材料の場合には、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基のうちの1つを含み、
前記第二のホストが正孔輸送性及び電子輸送性の高い材料の場合には、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)のうちの1つを含む有機発光素子。
【請求項8】
請求項1において、
前記下部電極の上に電荷輸送層が形成され、
前記電荷輸送層の上に前記混合層が形成され、
前記混合層の上に前記発光層が形成され、
前記発光層の上に前記上部電極が形成される有機発光素子。
【請求項9】
請求項8において、
前記電荷輸送層が正孔輸送層である場合には、第一の機能性基はフェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン基のうちの1つを含み、
前記電荷輸送層が電子輸送層である場合には、第一の機能性基はオキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基のうちの1つを含む有機発光素子。
【請求項10】
請求項8において、
前記第一のホストまたは前記第一のドーパントは、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基のうちの1つを含む機能性基を有する有機発光素子。
【請求項11】
請求項1において、
前記発光層には第二のドーパントおよび第三のドーパントが含まれ、
前記第二のドーパントの発光色は、前記第一のドーパントの発光色と異なり、
前記第三のドーパントの発光色は、前記第一のドーパントの発光色および前記第二のドーパントの発光色と異なる有機発光素子。
【請求項12】
請求項11において、
前記第一のドーパントの発光色は青色である有機発光素子。
【請求項13】
下部電極と、
上部電極と、
前記下部電極と前記上部電極との間に配置された第一の混合層および第二の混合層と、を有する有機発光素子であって、
前記第一の混合層には第一のホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料が含まれ、
前記電荷輸送性材料には第一の機能性基が含まれ、
前記第二の混合層には、少なくとも、第二のホスト、第二のドーパントおよび第三のドーパントが含まれ、
前記第三のドーパントには第七の機能性基が含まれ、
前記電荷輸送性材料の濃度は、前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在する側の領域よりも前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在しない側の領域の方が高く、
前記第三のドーパントの濃度は、前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在しない側の領域よりも前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在する側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項14】
請求項13において、
前記電荷輸送性材料の濃度の違いは、前記電荷輸送性材料が前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在しない側の領域へ移動することにより生じ、
前記第三のドーパントの濃度の違いは、前記第三のドーパントが前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在する側の領域へ移動することにより生じる有機発光素子。
【請求項15】
請求項13において、
前記第一のドーパントには第三の機能性基が含まれ、
前記第一のドーパントの濃度は、前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在しない側の領域よりも前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在する側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項16】
請求項13において、
前記第一のホストには第二の機能性基が含まれ、
前記第一のホストの濃度は、前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在しない側の領域よりも前記第一の混合層における前記第二の混合層が存在する側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項17】
請求項13において、
前記第二のドーパントには第六の機能性基が含まれ、
前記第二のドーパントの濃度は、前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在する側の領域よりも前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在しない側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項18】
請求項13において、
前記第二の混合層に、第三のホストが含まれ、
前記第三のホストには第八の機能性基が含まれ、
前記第三のホストの濃度は、前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在する側の領域よりも前記第二の混合層における前記第一の混合層が存在しない側の領域の方が高い有機発光素子。
【請求項19】
請求項1に記載の有機発光素子を備える光源装置。
【請求項20】
下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された発光層および混合層と、を有する有機発光素子の製造方法であって、
前記混合層には第一のホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料が含まれ、
前記発光層には第二のホストが含まれ、
前記電荷輸送性材料には第一の機能性基が含まれ、
前記電荷輸送性材料の濃度は、前記混合層における前記発光層が存在する側の領域よりも前記混合層における前記発光層が存在しない側の領域の方が高く、
前記発光層および混合層は塗布で作製される有機発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−25913(P2013−25913A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157416(P2011−157416)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】