説明

有機発光素子及び共役系高分子化合物

【課題】輝度寿命の向上した有機発光素子を提供する。
【解決手段】発光層を備え、発光層が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を含有し、かつ、発光層において、発光層に含有される有機化合物全量に対する、一般式(1)で表される構造の骨格の割合が0.01質量%〜20質量%である、有機発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子及び共役系高分子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代ディスプレイとして、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子(以下、有機発光素子と言う。)を用いた有機ELディスプレイが注目されている。この有機発光素子は、発光層、電荷輸送層等の有機層を備える。有機発光素子は低分子有機材料からなる場合、高分子有機材料からなる場合がある。高分子有機材料を主な材料として使用する場合、インクジェットやスピンコート等の塗布法を使用した際に均一な膜を容易に形成することができ、大型の有機ELディスプレイを作製する際に有利であるため、これまでに高分子有機材料が提案されている(例えば、特許文献1〜2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−56909号公報
【特許文献2】国際公開99/54385号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の高分子有機材料では、有機発光素子に用いる場合、その輝度寿命が十分であるとはいえなかった。
【0005】
そこで、本発明は、輝度寿命の向上した有機発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
発光層を備え、
前記発光層が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を含有し、かつ、
前記発光層において、前記発光層に含有される有機化合物全量に対する、前記一般式(1)で表される構造の骨格の割合が0.01質量%〜20質量%である、有機発光素子(以下、「有機発光素子X」と言うことがある。)を提供する。
【化1】


一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0007】
本発明はまた、
発光層と、該発光層に隣接する電荷輸送層とを備え、
前記電荷輸送層が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を含有し、かつ、
前記電荷輸送層において、前記電荷輸送層に含有される有機化合物全量に対する、前記一般式(1)で表される構造の骨格の割合が0.01質量%〜50質量%である、有機発光素子(以下、「有機発光素子Y」と言うことがある。)を提供する。
【化2】


[式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【0008】
本発明によれば、有機発光素子が、上述したいずれかの要件を満たすことにより、有機発光素子の輝度寿命が向上する。
【0009】
上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物は、高分子化合物であることが好ましく、共役系高分子化合物であることがより好ましい。また、上記共役系高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を繰り返し単位として有することが好ましい。これにより、有機発光素子の電気的特性が向上する。
【0010】
本発明はまた、縮合重合で合成され、下記一般式(1)で表される構造から誘導される基及び上記基とは相違する任意追加基が上記縮合重合により導入されており、一般式(1)で表される構造から誘導される基及び上記任意追加基のモル数を、それぞれN及びNとしたときに、N及びNが下記式(I)を満たす、共役系高分子化合物(以下、「共役系高分子化合物Z」と言うことがある。)を提供する。
0.01≦N×100/(N+N)≦20 (I)
【化3】


一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0011】
本発明の共役系高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を所定量有していることにより、有機発光素子に用いることで有機発光素子の電気的特性を一層向上させることができる。
【0012】
上記共役系高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基が、下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表される基とすることができる。下記式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。
【化4】

【0013】
上記共役系高分子化合物は、上記任意追加基として、下記式(A)、(B)及び(C)で表される基のうち、少なくとも一つの基を含むことが好ましい。下記式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、6員環以上の環から構成される2価の複素環基及び金属錯体構造を有する2価の基からなる群より選ばれる官能基を示し、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基及び6員環以上の環から構成される2価の複素環基からなる群より選ばれる官能基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる官能基を示し、Xは−CR=CR−及び−C≡C−からなる群より選ばれる官能基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基を示す。aは、0又は1である。但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。
【化5】

【0014】
上記共役系高分子化合物が、上記式(A)、(B)又は(C)で表される任意追加基のうち、少なくとも一つの基を含むことにより、電荷輸送及び電荷注入効率に優れた共役系高分子化合物となる。また、有機発光素子に用いたときに、輝度寿命を一層向上させることができる。
【0015】
上記共役系高分子化合物は、上記式(A)、(B)、(C)で表される任意追加基のモル数及びこれら以外の任意追加基のモル数を、それぞれN、N、N及びNM’としたときに、N、N、N、N及びNM’が下記式(II)を満たすことが好ましい。
40≦(N+N+N)×100/(N+N+N+N+NM’)<100 (II)
【0016】
上記共役系高分子化合物は、上記式(A)で表される任意追加基を含むことが好ましい。これにより、電子輸送及び電子注入効率に優れた共役系高分子化合物となり、有機発光素子の電荷輸送層(特に電子輸送層)に好適に用いることができる。上記共役系高分子化合物は、上記式(B)で表される任意追加基を含むことが好ましい。これにより、正孔輸送及び正孔注入効率に優れた共役系高分子化合物となり、有機発光素子の電荷輸送層(特に正孔輸送層)に好適に用いることができる。上記共役系高分子化合物は、上記式(A)で表される任意追加基及び上記式(B)で表される任意追加基を含むことが好ましい。これにより、正孔と電子の結合により励起エネルギーを効率良く形成することができる共役系高分子化合物となり、有機発光素子の発光層に好適に用いることができる。
【0017】
本発明はまた、発光材料、正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料と、上記共役系高分子化合物と、を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、有機発光素子の発光層、電荷(正孔又は電子を意味し、以下、同様である。)輸送層又は電荷注入層の製造に用いることができ、製造効率を向上させることができる。
【0018】
本発明はまた、上記共役系高分子化合物と、有機溶媒と、を含むインク組成物を提供する。インク組成物は有機溶媒を含むため、上記共役系高分子化合物を含む薄膜を積層・成膜させるにあたり、インク組成物を塗布した後、乾燥により有機溶媒を除去するだけでよく、製造上非常に有利である。
【0019】
本発明はまた、共役系高分子化合物Zを含有する、有機発光素子X及び有機発光素子Yを提供する。
【0020】
本発明はさらに、上記有機発光素子を備えた面状光源及び表示装置を提供する。上記有機発光素子は、輝度寿命が顕著に向上しているため、耐久性に優れた面状光源及び表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有機発光素子は、輝度寿命が向上した素子である。また、本発明の共役系高分子化合物は、有機発光素子の電荷注入層、電荷輸送層又は発光層に含有させることで有機発光素子の輝度寿命を向上させることが可能である。
【0022】
更に、本発明によれば、上記共役系高分子化合物を含有する組成物及びインク組成物、上記共役系高分子化合物、並びに、上記有機発光素子を有する面状光源、表示装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施形態に係る有機薄膜トランジスタの模式断面図である。
【図2】一実施形態に係る有機薄膜トランジスタの模式断面図である。
【図3】一実施形態に係る有機発光素子(構成i)の模式断面図である。
【図4】一実施形態に係る有機発光素子(構成e)の模式断面図である。
【図5】一実施形態に係る面状光源の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、tert−ブチル基を「t−Bu」、フェニル基を「Ph」とそれぞれ表記する場合がある。
【0025】
<用語の説明>
以下、本明細書において共通して用いられる用語について、必要に応じて具体例を挙げて説明する。
【0026】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0027】
「C〜C」(x、yはx<yを満たす正の整数である。)という用語は、この用語の直後に記載された官能基名に該当する部分構造の炭素原子数が、x〜y個であることを意味する。即ち、「C〜C」の直後に記載された有機基が、複数の官能基名を組み合わせて命名された有機基(例えば、C〜Cアルコキシフェニル基)である場合、複数の官能基名のうち「C〜C」の直後に記載された官能基名(例えば、アルコキシ)に該当する部分構造の炭素原子数が、x〜y個であることを意味する。例えば、「C〜C12アルキル基」は炭素原子数が1〜12個であるアルキル基を意味し、「C〜C12アルコキシフェニル基」は「炭素原子数が1〜12個であるアルコキシ基」を有するフェニル基を意味する。
【0028】
アルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基(即ち、シクロアルキル基)のいずれであってもよい。アルキル基としては、直鎖状アルキル基及び環状アルキル基が好ましく、非置換のアルキル基及びハロゲン原子等で置換されたアルキル基が好ましい。
【0029】
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、これらの基に含まれる水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい(以下、「置換基」というときは、特記しない限り、同様の基を例示できる。)。
【0030】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0031】
アルキル基の炭素原子数は、直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基である場合、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜12であることがさらに好ましく、環状アルキル基である場合、3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜12であることがさらに好ましい。C〜C12アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0032】
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルコキシ基、分岐状アルコキシ基及び環状アルコキシ基(即ち、シクロアルコキシ基)のいずれであってもよい。アルコキシ基としては、直鎖状アルコキシ基及び環状アルコキシ基が好ましく、非置換のアルコキシ基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基等で置換されたアルコキシ基が好ましい。
【0033】
置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
アルコキシ基の炭素原子数は、直鎖状アルコキシ基又は分岐状アルコキシ基である場合、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルコキシ基である場合、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜12である。C〜C12アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
アルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキルチオ基、分子鎖状アルキルチオ基及び環状アルキルチオ基(即ち、シクロアルキルチオ基)のいずれであってもよい。アルキルチオ基としては、直鎖状アルキルチオ基及び環状アルキルチオ基が好ましく、非置換のアルキルチオ基及びハロゲン原子等で置換されたアルキルチオ基が好ましい。
【0036】
置換基を有していてもよいアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ドデシルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
【0037】
アルキルチオ基の炭素原子数は、直鎖状アルキルチオ基又は分岐状アルキルチオ基である場合、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルキルチオ基である場合、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜12である。C〜C12アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ドデシルチオ基等が挙げられる。
【0038】
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、置換基を有していてもよい。アリール基としては、非置換のアリール基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリール基が好ましい。アリール基としては、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基、並びに、ベンゼン環及び/又は縮合環が2個以上、単結合又は2価の有機基(例えば、ビニレン基等のアルキレン基)を介して結合した基等が含まれる。アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。
【0039】
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−フルオレニル基、ペンタフルオロフェニル基、ビフェニリル基、C〜C12アルコキシビフェニリル基、C〜C12アルキルビフェニリル基等が挙げられ、中でも、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基、ビフェニリル基、C〜C12アルコキシビフェニリル基、C〜C12アルキルビフェニリル基が好ましい。
【0040】
〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、イソブチルオキシフェニル基、tert−ブチルオキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基等が挙げられる。
【0041】
〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
【0042】
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールオキシ基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールオキシ基である。アリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。
【0043】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられ、中でもC〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0044】
〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブチルオキシフェノキシ基、イソブチルオキシフェノキシ基、tert−ブチルオキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0045】
〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
【0046】
アリールチオ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールチオ基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールチオ基である。アリールチオ基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。置換基を有していてもよいアリールチオ基としては、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
【0047】
アリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは、非置換のアリールアルキル基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルキル基である。アリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜60、より好ましくは7〜48、さらに好ましくは7〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルキル基としては、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基等が挙げられる。
【0048】
アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルコキシ基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルコキシ基である。アリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7〜60、より好ましくは7〜48、さらに好ましくは7〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基としては、フェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
【0049】
アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルキルチオ基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルキルチオ基である。アリールアルキルチオ基の炭素原子数は、好ましくは7〜60、より好ましくは7〜48、さらに好ましくは7〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基としては、フェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基等が挙げられる。
【0050】
アルケニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10である。アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。
【0051】
アリールアルケニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルケニル基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルケニル基である。アリールアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは8〜60、より好ましくは8〜48、さらに好ましくは8〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルケニル基としては、フェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C〜C12アルケニル基等が挙げられ、中でもC〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基が好ましい。C〜C12アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。
【0052】
アルキニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基のいずれであってもよい。アルキニル基の炭素原子数は、直鎖状アルキニル基及び分岐状アルキニル基では、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10であり、環状アルキニル基では、好ましくは10〜20、より好ましくは10〜15である。置換基を有していてもよいアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基及びアリールアルキニル基等が挙げられる。
【0053】
アリールアルキニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルキニル基、及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルキニル基である。アリールアルキニル基の炭素原子数は、好ましくは8〜60、より好ましくは8〜48、さらに好ましくは8〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルキニル基としては、フェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C〜C12アルキニル基等が挙げられ、中でもC〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基が好ましい。C〜C12アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基等が挙げられる。
【0054】
1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団であり、置換基を有していてもよい。1価の複素環基としては、非置換の1価の複素環基、及び、アルキル基等の置換基で置換された1価の複素環基が好ましい。1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20である。複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含むものをいう。置換基を有していてもよい1価の複素環基としては、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられ、中でもチエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基が好ましい。なお、1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
【0055】
1価の複素環チオ基は、チオール基の水素原子が上記1価の複素環基で置換された基であり、置換基を有していてもよい。1価の複素環チオ基としては、例えば、ピリジルチオ基、ピリダジニルチオ基、ピリミジニルチオ基、ピラジニルチオ基、トリアジニルチオ基等のヘテロアリールチオ基が挙げられる。
【0056】
アミノ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアミノ基並びにアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1又は2個の置換基で置換されたアミノ基(以下、「置換アミノ基」という。)である。該置換基はさらに置換基(以下、有機基の有する置換基が、さらに有する置換基を、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。置換アミノ基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜60、より好ましくは2〜48、さらに好ましくは2〜40である。
【0057】
置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ビス(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、C〜C12アルキルフェニルアミノ基、ビス(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジニルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0058】
シリル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のシリル基、並びに、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたシリル基(以下、「置換シリル基」という。)である。置換基は二次置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1〜60、より好ましくは3〜48、さらに好ましくは3〜40である。
【0059】
置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0060】
アシル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアシル基、及び、ハロゲン原子等で置換されたアシル基である。アシル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0061】
アシルオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアシルオキシ基、及び、ハロゲン原子等で置換されたアシルオキシ基である。アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0062】
イミン残基は、一般式:H−N=C(RY1又は一般式:H−CRX1=N−RY1の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、上記一般式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、RX1は水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を示す。式中、RY1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を示す。但し、RY1が2個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、また、2個のRY1は相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素原子数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン又はアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。イミン残基の具体例としては、以下の構造式で示される基が挙げられる。
【0063】
【化6】

【0064】
アミド化合物残基は、一般式:H−NRX2−CORY2及び一般式:H−CO−N(RY2の少なくとも一方で表される構造を有するアミド化合物から、上記一般式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、RX2及びRY2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を表す。アミド化合物残基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アミド化合物残基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
【0065】
酸イミド残基は、一般式:RX3−CO−NH−CO−RY3で表される構造を有する酸イミドから、上記一般式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、RX3及びRY3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を表すか、又は、RX3及びRY3がともに構成原子となって形成される環構造を表す。酸イミド残基の炭素原子数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜16である。酸イミド残基としては、例えば、以下に示す基が挙げられる。
【0066】
【化7】

【0067】
アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つ基を含む。アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜18である。該炭素原子数は置換基の炭素原子数は含まない。アリーレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等のフェニレン基;2,7−ビフェニリレン基、3,6−ビフェニリレン基等のビフェニリレン基;1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基等のナフタレンジイル基;1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等のアントラセンジイル基;2,7−フェナントレンジイル基等のフェナントレンジイル基;1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等のナフタセンジイル基;2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基等のフルオレンジイル基;1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基等のピレンジイル基;3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基等のペリレンジイル基等が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。これらのうち、好ましくは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基である。
【0068】
2価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、置換基を有していてもよい。2価の複素環基としては、非置換の2価の複素環基及びアルキル基等で置換された2価の複素環基が好ましい。2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは4〜12である。
【0069】
2価の複素環基としては、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等のピリジンジイル基;2,6−キノリンジイル基等のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等のイソキノリンジイル基;5,8−キノキサリンジイル基等のキノキサリンジイル基;2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基等の2,1,3−ベンゾチアジアゾール基;4,7−ベンゾチアゾールジイル基等のベンゾチアゾールジイル基;2,7−カルバゾールジイル基、3,6−カルバゾールジイル基等のカルバゾールジイル基;3,7−フェノキサジンジイル基等のフェノキサジンジイル基;3,7−フェノチアジンジイル基等のフェノチアジンジイル基;2,7−ジベンゾシロールジイル基等のジベンゾシロールジイル基等が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。これらのうち、好ましくは置換基を有していてもよい2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基、置換基を有していてもよいフェノキサジンジイル基、置換基を有していてもよいフェノチアジンジイル基である。なお、2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基が好ましい。
【0070】
<一般式(1)で表される構造を有する化合物及び一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物>
一般式(1)で表される構造を有する化合物及び一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物について説明する。
【化8】


一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。但し、水素原子を有する上記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。
として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましく、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基であり、さらに好ましくは水素原子である。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0071】
一般式(1)で表される構造を有する化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化9】

【0072】
一般式(1)で表される構造から誘導される基とは、一般式(1)中の1又は複数のRを除いた残りの原子団からなる基である。
【0073】
一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。例えば、分子量が3,000以下の化合物とすることができる。
【0074】
一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する高分子化合物において、この基は、高分子化合物の主鎖に含有されていてもよく、側鎖に含有されていてもよい。また、主鎖に含有される場合、高分子化合物の末端に含有されていてもよい。
【0075】
高分子化合物としては、例えば、一般式(1)のRを1個除いた原子団からなる基を含有する高分子化合物、一般式(1)のRを1個除いた原子団からなる基を末端に含有する高分子化合物、一般式(1)のRを2個除いた原子団からなる基を含有する高分子化合物が挙げられる。なお、これらの高分子化合物には、一般式(1)中の1又は複数のRを除いた残りの原子団からなる基が1つ又は複数含有される。
【0076】
一般式(1)のRを1個除いた原子団からなる基を含有する高分子化合物は、例えば、この基を側鎖に含有する高分子化合物又はこの基を主鎖の末端に含有する高分子化合物が挙げられる。この基を主鎖の末端に含有する高分子化合物は、例えば、重合反応を止める際に使用する末端封止剤として一般式(1)のRを1個除いた原子団からなる基を含むものを用いることにより得ることができる。
【0077】
一般式(1)のRを2個除いた原子団からなる基を含有する高分子化合物は、例えば、この基を主鎖に含有する高分子化合物が挙げられる。この基を主鎖に含有する高分子化合物は、例えば、一般式(1)のRを2個取り除いた部分が重合の反応点となるような場合、一般式(1)のRを2個取り除いた部分が連結基を介して重合の反応点となるような場合に得ることができる。
【0078】
一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する高分子化合物としては、一般式(1)のRを2個除いた原子団からなる基を含有するものが好ましく、より好ましくは一般式(1)のRを2個取り除いた部分が重合の反応点となるようにして得ることができるものである。
【0079】
一般式(1)のRを2個除いた原子団からなる基としては、下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表される基が好ましい。より好ましくは下記式(2)、式(3)、式(5)、式(6)又は式(7)で表される基であり、特に好ましくは下記式(2)で表される基である。
【化10】

【0080】
上記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表される基の具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。
【化11】

【0081】
<一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する共役系高分子化合物>
一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する高分子化合物は、電荷注入性及び電荷輸送性がより良好になるので、共役系高分子化合物であることが好ましい。「共役系高分子化合物」とは、主鎖における全結合の50〜100%、特には70〜100%、とりわけ90〜100%が共役している高分子化合物を意味する。
【0082】
上記の共役系高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を繰り返し単位として有することが好ましい。ここで、「繰り返し単位として有する」とは、電子共役系を構成するように含まれることを意味する。
【0083】
上記の共役系高分子化合物は、縮合重合で合成され、一般式(1)で表される構造から誘導される基及びその基とは相違する任意追加基が上記縮合重合により導入されたものである。また、共役系高分子化合物全体における一般式(1)で表される構造から誘導される基及び任意追加基のモル数を、それぞれ、N及びNとしたときに、下記式(i)で計算される値が0.01以上20以下である。
×100/(N+N) (i)
【0084】
式(i)で計算される値は、縮合重合に供した化合物を単位とし、縮合重合により共役系高分子化合物に導入された化合物の合計を100モル%としたときの、一般式(1)で表される構造から誘導される基のモル含有率を示す。本発明の共役系高分子化合物において、式(i)で計算される値は、好ましくは0.03以上15以下であり、より好ましくは0.1以上12.5以下である。
【0085】
上記の共役系高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算の数平均分子量が、好ましくは1×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜5×10である。数平均分子量が1×10以上の場合は、電荷注入性及び電荷輸送性がより優れ、かつ、成膜性が向上し易く、1×10以下の場合は、塗布法による成膜性が良好になり易い。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは5×10〜1×10である。重量平均分子量が1×10以上の場合は、電荷注入性及び電荷輸送性がより優れ、かつ、成膜性が向上し易く、5×10以下の場合は、塗布法による成膜性が良好になり易い。
【0086】
上記任意追加基としては、例えば、「導電性高分子材料」(シーエムシー出版)、「導電性高分子の最新応用技術」(シーエムシー出版)、「導電性高分子の基礎と応用」(株式会社アイピーシー、吉野勝美 編著)、「導電性ポリマー」(高分子学会 編集、吉村進一 著)、「高分子EL材料」(高分子学会 編集 大西敏博・小川珠美 著)等に記載の共役系高分子化合物を構成する基(モノマーから誘導される基)が挙げられ、これらのうち、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基が好ましい。
【0087】
上記の共役系高分子化合物は、一般式(1)で表される構造から誘導される基と任意追加基の間の結合、及び、任意追加基と任意追加基の間の結合のうち、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上が、直接結合、窒素原子、ビニレン基又はアセチレン基により連結された化合物であることが好ましい。
【0088】
上記の共役系高分子化合物は、電荷輸送性、電荷注入性及び輝度寿命が優れるので、上記任意追加基として、下記一般式(A)で表される任意追加基(以下、「任意追加基A」という。)、下記一般式(B)で表される任意追加基(以下、「任意追加基B」という。)、及び下記一般式(C)で表される任意追加基(以下、「任意追加基C」という。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を含有することが好ましい。
【化12】


一般式(A)〜(C)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、6員環以上の環から構成される2価の複素環基及び金属錯体構造を有する2価の基からなる群より選ばれる官能基を示し、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基及び6員環以上の環から構成される2価の複素環基からなる群より選ばれる官能基を示す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる官能基を示し、Xは−CR=CR−及び−C≡C−からなる群より選ばれる官能基を示す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基を示す。
aは、0又は1である。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。ここで、6員環以上の環から構成される2価の複素環基は、好ましくは6員環より大きい2価の複素環基である。
【0089】
また、本発明の共役系高分子化合物に含まれる上記一般式(1)で表される構造から誘導される基のモル数をNとし、共役系高分子化合物に含まれる任意追加基A、任意追加基B、任意追加基C及びこれら以外の任意追加基のモル数を、それぞれ、N、N、N及びNM’としたときに、下記式(ii)で計算される値が、40以上100未満であることが好ましく、さらに好ましくは50以上100未満であり、より好ましくは70以上100未満であり、特に好ましくは80以上100未満である。
(N+N+N)×100/(N+N+N+N+NM’) (ii)
【0090】
−一般式(A)で表される任意追加基−
上記一般式(A)において、Arで表される基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0091】
上記一般式(A)中、Arで表される置換基を有していてもよいアリーレン基におけるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つ基を含む。このアリーレン基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
上記一般式(A)中、Arで表される置換基を有していてもよいアリーレン基におけるアリーレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントリレン基、5,12−ナフタセニレン基、2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基、2,6−キノリンジイル基、1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基等が挙げられ、好ましくは、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、1,6−ピレンジイル基、3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基、2,6−キノリンジイル基、1,4−イソキノリンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基であり、より好ましくは、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基であり、特に好ましくは、1,4−フェニレン基、2,7−フルオレンジイル基である。
【0092】
上記一般式(A)中、Arで表される置換基を有していてもよい6員環以上の環から構成される2価の複素環基としては、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基、3,7−フェノチアジンジイル基等が挙げられ、好ましくは、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基である。
【0093】
上記一般式(A)中、Arで表される置換基を有していてもよい金属錯体構造を有する2価の基としては、イリジウム錯体又は白金錯体から水素原子2個を取り除いた残りの原子団(即ち、イリジウム錯体又は白金錯体の残基)等が挙げられ、下記式M−1、M−2、M−3、M−4、M−5、M−6及びM−7で表される基が好ましい。式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
【化13】


【化14】

【0094】
これらの中でも、Arで表される基としては、下記式(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)で表される基からなる群より選択される少なくとも一種であることが望ましい。
【化15】


式(D)中、R10は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。これらの基に含まれる水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。fは0〜4の整数である。R10が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【化16】


式(E)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を示す。
【化17】


式(F)中、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。これらの基に含まれる水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【化18】


式(G)中、R15は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を示す。
【化19】


式(H)中、R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を示す。
【0095】
上記式(D)中、R10は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、アシル基、1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アシル基、1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0096】
上記式(D)中、fは、好ましくは0〜2の整数である。
【0097】
上記式(E)中、R11、R12は、好ましくは、アルキル基、アリール基、1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基である。
【0098】
上記式(F)中、R13及びR14は、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、1価の複素環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基であり、特に好ましくは、水素原子である。
【0099】
上記式(G)中、R15は、好ましくは、アルキル基、アリール基、1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、更に好ましくは、アリール基である。
【0100】
上記式(H)中、R16は、好ましくは、アルキル基、アリール基、1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、更に好ましくは、アリール基である。
【0101】
−一般式(B)で表される任意追加基−
上記一般式(B)において、Ar、Ar及びArで表される基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0102】
上記一般式(B)中、Ar、Ar及びArで表される置換基を有していてもよいアリーレン基におけるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つ基を含む。このアリーレン基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
【0103】
上記一般式(B)中、Ar、Ar及びArで表される置換基を有していてもよいアリーレン基におけるアリーレン基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,8−ペリレンジイル基等が挙げられる。
【0104】
上記一般式(B)中、Ar、Ar及びArで表される置換基を有していてもよい6員環以上の環から構成される2価の複素環基における2価の複素環基は、炭素原子数が、通常、4〜60であり、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9である。上記一般式(B)中、Ar、Ar及びArで表される置換基を有していてもよい2価の複素環基における2価の複素環基としては、N−メチル−2,5−ピロールジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基、3,6−カルバゾールジイル基等が挙げられる。
【0105】
上記一般式(B)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、好ましくは、置換基を有していてもよいアリーレン基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよい1,3−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−ナフタレンジイル基、置換基を有していてもよい2,6−ナフタレンジイル基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−ナフタレンジイル基であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。
【0106】
上記一般式(B)中、Arは、好ましくは、置換基を有していてもよい1,3−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−ナフタレンジイル基、置換基を有していてもよい2,7−フルオレンジイル基、置換基を有していてもよい4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、置換基を有していてもよい3,7−フェノキサジンジイル基であり、好ましくは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−ナフタレンジイル基、置換基を有していてもよい2,7−フルオレンジイル基であり、更に好ましくは置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。
【0107】
上記一般式(B)中、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくは、アルキル基、アリール基、1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、更に好ましくは、アリール基である。
【0108】
上記一般式(B)で表される任意追加基としては、以下の式(3B−1)、(3B−3)及び(3B−4)で表される基が挙げられる。なお、式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基を示す。但し、水素原子を有する上記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0109】
【化20】


【化21】

【0110】
−一般式(C)で表される任意追加基−
上記一般式(C)中、Arで表される置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい6員環以上の環から構成される2価の複素環基及び置換基を有していてもよい金属錯体構造を有する2価の基は、Arの項で説明し例示した基と同じである。
【0111】
上記一般式(C)中、Xである−CR=CR−で示される官能基において、R及びRは、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基であり、より好ましくは、水素原子、アリール基である。
【0112】
上記一般式(C)で表される任意追加基としては、以下の式(4A−1)、(4A−2)、(4A−3)、(4A−4)、(4A−5)、(4A−6)、(4A−7)、(4A−8)、(4A−9)、(4A−10)及び(4A−11)で表される基が挙げられる。
【化22】


【化23】

【0113】
<一般式(1)で表される構造を有する化合物の製造方法>
アズレン(一般式(1)において、Rが全て水素原子の化合物)は、市販されており入手可能である。また、アズレンから、例えば、芳香族求電子置換反応、芳香族求核置換反応等により、アズレン環に直接結合している水素原子と、任意の官能基とを置換することによって、一般式(1)で表される構造を有する化合物を製造することができる。
【0114】
<一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物の製造方法>
−高分子化合物の製造方法−
以下、本発明の化合物が、好ましい実施形態である高分子化合物の場合(以下、「本発明の高分子化合物」と言う。)について、説明する。
一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物は、例えば、該高分子化合物に含まれる基に対応するモノマーを重合して得ることができる。モノマーは、予め合成し単離したものを用いてもよく、反応系中で合成してそのまま用いてもよい。得られる高分子化合物を有機発光素子に用いる場合、モノマーの純度が有機発光素子の性能に影響を与えることがある。そのため、これらのモノマーは蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製されていることが好ましい。
【0115】
重合方法としては、Suzukiカップリング反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457−2483頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,第51巻,2091頁(1978年))、Ni(0)触媒により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Progress in Polymer Science),第17巻,1153〜1205頁,1992年)、Stilleカップリング反応を用いる方法(ヨーロピアン ポリマー ジャーナル(European Polymer Journal),第41巻,2923−2933頁(2005年))等が挙げられる。これらのうち、原料の合成のし易さ、重合反応操作の簡便性の観点からは、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が好ましく、高分子化合物の構造制御のし易さの観点からは、Suzukiカップリング反応、Grignard反応、Stilleカップリング反応等のアリール−アリールクロスカップリング反応により重合する方法がより好ましく、Suzukiカップリング反応により重合する反応が特に好ましい。
【0116】
Suzukiカップリング反応により重合する方法を選択する場合は、合成が簡便であり、かつ、各化合物が取り扱い易いので、重合反応により結合する一方のモノマーは、重合反応を生じる基として、下記置換基A群を有することが好ましく、他方のモノマーは、重合反応を生じる基として、下記置換基B群を有することが好ましい。
(置換基A群)
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)(Rはアルキル基、又は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を示す。)で表される基。
(置換基B群)
−B(ORB1(RB1は水素原子又はアルキル基を示し、2個存在するRB1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)で表される基、−BF(Qはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの1価の陽イオンを示す。)で表される基、−Sn(RB2(RB2は水素原子又はアルキル基を示し、3個存在するRB2は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)で表される基、−MgY(Yは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、−ZnY(Yは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基。
【0117】
重合方法としては、各モノマーを、必要に応じて適切な触媒や塩基とともに反応させる方法が挙げられる。Suzukiカップリング反応により重合する方法を選択する場合、所望の分子量を有する高分子化合物を得るためには、各モノマーが有する重合反応を生じる基として置換基A群から選ばれた基(例えば、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子)の合計モル数と、置換基B群から選ばれた基(例えば、−B(ORB1)の合計モル数との比率を調整すればよい。通常、前者のモル数に対する後者のモル数の比率を、0.95〜1.05とすることが好ましく、0.98〜1.02とすることがより好ましく、0.99〜1.01とすることがさらに好ましい。
【0118】
本発明の高分子化合物は、一般式(1)で表される構造から、1又は2つのRを置換基A群及び置換基B群からなる群より選ばれる官能基で置換したモノマー(以下、「本発明に関連するモノマー」という。)と、置換基A群及び置換基B群からなる群より選ばれる官能基を有する任意のモノマーとを重合反応させることで得ることができる。
【0119】
本発明の高分子化合物の製造方法においては、本発明に関連するモノマーの全モノマーに対する仕込み比率を、0.01モル%以上20モル%以下とすることが好ましい。これにより、高分子化合物全体における一般式(1)で表される構造から誘導される基及び任意追加基のモル数を、それぞれ、N及びNとしたときに、下記式(i)で計算される値が0.01以上20以下である高分子化合物を容易に製造することができる。
×100/(N+N) (i)
【0120】
−低分子化合物の製造方法−
一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する低分子化合物は、例えばsuzukiカップリング反応、yamamotoカップリング反応、negishiカップリング反応などのカップリング反応を用いて合成することが可能である。suzukiカップリング反応を用いて上記低分子化合物を合成する例としては、上述した高分子化合物の製造方法において、重合反応させるモノマーの種類及びモル数を制御することにより得ることができる。例えば、一般式(1)で表される構造から、1つのRを置換基A群から選択した官能基で置換したモノマーと、置換基B群から選択した官能基を1つ有する任意のモノマーとを、Suzukiカップリング反応により、一般式(1)で表される構造から誘導される基と任意追加基からなる化合物を得ることができる。
【0121】
<組成物>
本発明の組成物は、本発明の共役系高分子化合物と、発光材料、正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含む。上記発光材料は、発光機能を有する低分子化合物から誘導される基を含有する高分子化合物、又は、本発明の共役系高分子化合物とは異なる構造を有し、発光機能を有する共役系高分子化合物が好ましい。上記電荷輸送材料は、電荷輸送機能を有する低分子化合物から誘導される基を含有する高分子化合物、又は、本発明の共役系高分子化合物とは異なる構造を有し、電荷輸送機能を有する共役系高分子化合物が好ましい。
【0122】
上記発光材料については、一般的な発光材料を用いることができる。発光材料として好ましくは、「有機ELディスプレイ」(時任静夫、安達千波矢、村田英幸 共著 株式会社オーム社 平成16年刊 第1版第1刷発行)17〜48頁、83〜99頁、101〜120頁に記載の蛍光材料又は三重項発光材料が利用できる。低分子の蛍光材料としては、例えば、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等が挙げられ、より具体的には、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報に記載されているもの等を用いることができる。その他にも、上記発光材料としては、例えば、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報等に開示されているポリフルオレン、その誘導体の共重合体、ポリアリーレン、その誘導体の共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体の共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
【0123】
上記発光材料は、共役系高分子化合物である発光材料であることが好ましく、上記一般式(A)で表される任意追加基、上記一般式(B)で表される任意追加基及び上記一般式(C)で表される任意追加基からなる群から選ばれる少なくとも一種の任意追加基を有する高分子化合物である発光材料であることが特に好ましい。
【0124】
上記正孔輸送材料及び電子輸送材料は、主に電荷バランスの調整の役割を担う。
【0125】
上記正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されたもの、また、上記一般式(B)で表される任意追加基を含有する共役系高分子化合物が挙げられる。正孔輸送材料として、好ましくは、上記一般式(B)で表される任意追加基を含有する共役系高分子化合物である。
【0126】
本発明の組成物における正孔輸送材料の含有割合は、本発明の共役系高分子化合物100質量部に対して、電荷バランスが良好になるので、好ましくは3〜30質量部であり、より好ましくは3〜20質量部であり、特に好ましくは3〜10質量部である。
【0127】
上記電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載された高分子化合物、また上記一般式(A)で表される任意追加基を含む共役系高分子化合物が挙げられる。電子輸送材料として、好ましくは上記一般式(A)で表される任意追加基を含む共役系高分子化合物である。
【0128】
本発明の組成物における電子輸送材料の含有割合は、本発明の共役系高分子化合物100質量部に対して、電荷バランスが良好になるので、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは5〜30質量部であり、特に好ましくは5〜20質量部である。
【0129】
本発明の共役系高分子化合物は、有機溶媒と混合することにより、溶液又は分散液とすることができる。溶液又は分散液とすることにより、塗布法による成膜を行うことができる。この溶液又は分散液は、一般的に、インク組成物、液状組成物等と呼ばれる(以下、「インク組成物」と言う。)。このインク組成物は、上述した本発明の組成物において、有機溶媒を含む実施形態でもある。
【0130】
本発明のインク組成物に含まれる有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。なお、これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらの溶媒のうち、ベンゼン環を含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を含むと、粘度及び成膜性が優れるので好ましい。
【0131】
本発明のインク組成物は有機溶媒を含むため、本発明の共役系高分子化合物を含む薄膜を積層・成膜させるにあたり、本発明のインク組成物を塗布した後、乾燥により有機溶媒を除去するだけでよく、有機発光素子等の有機デバイスの製造上非常に有利である。なお、乾燥の際には、50〜150℃に加温した状態で乾燥させてもよく、また、10−3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
【0132】
積層・成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0133】
本発明のインク組成物の好ましい粘度は、用いる塗布法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲が好ましく、インクジェットプリント法等、本発明のインク組成物が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまり及び飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において0.5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0134】
<薄膜>
本発明に係る薄膜は、本発明の共役系高分子化合物を含むものである。この薄膜は、上述の積層・成膜の方法により、本発明のインク組成物から容易に製造することができる。本発明に係る薄膜は、本発明の共役系高分子化合物を含むものであるため、例えば、本発明に係る薄膜を電荷輸送層又は発光層に有する有機発光素子は、輝度寿命が向上した素子となる。
【0135】
<有機デバイス>
本発明の有機発光素子の構成は、その他の有機デバイスにも適用できる。
【0136】
その他の有機デバイスとしては、有機半導体素子、有機発光素子が挙げられる。有機半導体素子の例としては、有機太陽電池、有機トランジスタが挙げられる。
【0137】
−有機半導体素子−
上記有機半導体素子は、上記薄膜を備える。この有機半導体素子としては、有機薄膜太陽電池、有機薄膜トランジスタが例示される。その製造には、本発明の組成物及び本発明に係る薄膜が好適に用いられる。具体的には、例えば、SiO等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に上記薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、電界効果型有機トランジスタとすることができる。
【0138】
有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となり薄膜からなる有機半導体層(即ち、活性層)、電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を備えるものであり、電界効果型、静電誘導型が例示される。
【0139】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。
【0140】
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。
【0141】
図1は、有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す有機薄膜トランジスタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔をもって形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆うようにして基板1上に形成された有機半導体層2と、有機半導体層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の絶縁層3の領域を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、を備える。
【0142】
図2は、有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の他の実施形態を示す模式断面図である。図2に示す有機薄膜トランジスタ110は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域を一部覆うように、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を一部覆うように絶縁層3上に形成された有機半導体層2と、を備える。
【0143】
上述した有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層2は、上述した本発明に係る薄膜から構成されており、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流通路(チャネル)となる。また、ゲート電極4は、電圧を印加することにより有機半導体層2における電流通路(チャネル)を通る電流量を制御する。
【0144】
有機薄膜トランジスタのうち、電界効果型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。また、静電誘導型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、例えば、特開2004−006476号公報に記載の方法により製造することができる。
【0145】
−有機発光素子−
本実施形態に係る有機発光素子は、陽極と、陰極と、該陽極及び該陰極の間に存在する有機層と、を有し、該有機層には、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が含まれる。一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物としては、本発明の共役系高分子化合物であることが好ましい。
【0146】
本実施形態に係る有機発光素子としては、以下の(a)〜(d)の構造を有する素子が挙げられる。なお、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを示す。以下、同様である。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
【0147】
発光層とは、発光する機能を有する層である。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層である。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。
正孔輸送層と電子輸送層を総称して電荷輸送層と言う。
発光層に隣接した正孔輸送層をインターレイヤー層と言う場合がある。
上記の一般式(1)で表される構造を有する化合物又は一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物は、発光層又は電荷輸送層(特に正孔輸送層)に含まれることが好ましい。
一般式(1)で表される構造を有する化合物又は一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が発光層に含まれる場合、一般式(1)で表される構造の骨格の割合は0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、また、一般式(1)で表される構造を有する化合物又は一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が電荷輸送層(特に正孔輸送層)に含まれる場合、一般式(1)で表される構造の骨格の割合は0.01質量%〜50質量%であることが好ましい。
【0148】
各層の積層・成膜は、それぞれ各層の材料を含む溶液を用いて行うことができる。溶液からの積層・成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0149】
発光層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0150】
本実施形態に係る有機発光素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、上記した本発明の組成物に含まれる正孔輸送材料と同様のものが挙げられる。正孔輸送層の成膜は、如何なる方法で行ってもよいが、使用される正孔輸送材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーとの混合液から成膜することが好ましい。使用される正孔輸送材料が高分子化合物である場合には、溶液から成膜することが好ましい。溶液からの成膜には、塗布法として例示した方法を用いることができる。
【0151】
正孔輸送材料と混合する高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しない化合物であって、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましい。高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0152】
正孔輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0153】
本実施形態に係る有機発光素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては、上記した本発明の組成物に含まれる電子輸送材料と同様のものが挙げられる。電子輸送層の成膜は、如何なる方法で行ってもよいが、電子輸送材料が低分子化合物である場合には、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が好ましい。電子輸送材料が高分子化合物である場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が好ましい。溶液又は溶融状態からの成膜には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜には、塗布法として例示した方法を用いることができる。
【0154】
電子輸送材料と混合する高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しない化合物であって、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましい。高分子バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0155】
電子輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0156】
電極と電荷輸送層の間に、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有する電荷注入層を有していてもよい。更に、電極との密着性向上や電極からの電荷注入効率の改善のために、電極に隣接して上記の電荷注入層又は絶縁層を設けてもよく、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。なお、積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して選択すればよい。
【0157】
電荷注入層を設けた有機発光素子としては、以下の(e)〜(i)の構造を有する素子が挙げられる。
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(f)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0158】
正孔注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層等が挙げられる。
【0159】
電子注入層としては、導電性高分子を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
【0160】
電荷注入層が導電性高分子を含む層である場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm〜10S/cmであることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm〜10S/cmであることがより好ましく、10−5S/cm〜10S/cmであることがさらに好ましい。かかる範囲を満たすために、導電性高分子に適量のイオンをドープしてもよい。
【0161】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げられ、カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0162】
電荷注入層の厚さは、例えば、1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0163】
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等が挙げられる。
【0164】
絶縁層は、電荷注入を容易にする機能を有するものである。この絶縁層の平均厚さは、通常、0.1nm〜20nmであり、好ましくは0.5nm〜10nm、より好ましくは1nm〜5nmである。絶縁層に用いる材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。
【0165】
絶縁層を設けた有機発光素子としては、以下の(j)〜(y)の構造を有する素子が挙げられる。
(j)陽極/絶縁層/発光層/陰極
(k)陽極/発光層/絶縁層/陰極
(l)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(m)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
(n)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(o)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(p)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
(q)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(r)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(s)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(t)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(u)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(x)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/電子注入層/絶縁層/陰極
【0166】
本実施形態に係る有機発光素子を形成する基板は、電極及び有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の基板が挙げられる。不透明な基板の場合には、該基板により近い電極と反対側の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0167】
本実施形態において、通常は、陽極及び陰極からなる電極の少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
【0168】
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性無機化合物を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられる。陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよい。
【0169】
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
【0170】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、更に好ましくは40nm〜500nmである。
【0171】
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2種以上の合金、或いはそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。
【0172】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。
【0173】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、更に好ましくは50nm〜500nmである。
【0174】
陰極と発光層又は陰極と電子輸送層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよく、陰極作製後、発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該発光素子を長期安定的に用いるためには、発光素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0175】
保護層としては、樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、該保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴン等の不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、更に酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。
【0176】
図3は、本実施形態に係る有機発光素子(上記(i)の構成を有する有機発光素子)の模式断面図である。図3に示す有機発光素子200は、基板20と、該基板20上に形成された陽極22、正孔注入層23、正孔輸送層24、発光層25、電子輸送層26、電子注入層27及び陰極28と、を有している。陽極22は、基板20と接するように基板20上に設けられており、陽極22の基板20とは反対側には、正孔注入層23、正孔輸送層24、発光層25、電子輸送層26、電子注入層27及び陰極28が、この順で積層されている。
【0177】
図4は、本実施形態に係る有機発光素子(上記(e)の構成を有する有機発光素子)の模式断面図である。図4に示す有機発光素子220は、基板20と、該基板20上に形成された陽極22、正孔注入層23、正孔輸送層24、発光層25及び陰極28と、を有している。陽極22は、基板と接するように基板20上に設けられており、陽極22の基板20と反対側には、正孔注入層23、正孔輸送層24、発光層25及び陰極28が、この順で積層されている。
【0178】
有機発光素子の場合、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が含まれる層は、発光層、正孔輸送層又は電子輸送層であることが好ましい。
【0179】
また、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が含まれる層が複数あってもよい。例えば、一般式(1)で表される構造を有する化合物又は一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を、正孔輸送層及び発光層に含有する有機発光素子、電子輸送層及び発光層に含有する有機発光素子、正孔輸送層及び電子輸送層に含有する有機発光素子、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層に含有する有機発光素子とすることができる。
【0180】
また、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物としては、本発明の共役系高分子化合物として有機発光素子に含有されていることが好ましい。これにより、有機発光素子の輝度寿命が一層向上する。
【0181】
本発明の共役系高分子化合物が正孔輸送層に含有される場合、当該共役系高分子化合物は正孔注入性及び正孔輸送性が良好になるので、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基及び2価の芳香族アミン残基を含有している共役系高分子化合物であることが好ましく、2価の芳香族アミン残基としては、上記一般式(B)で表される任意追加基であることがさらに好ましい。
【0182】
本発明の共役系高分子化合物が電子輸送層に含有される場合、電子注入性及び電子輸送性が良好になるので、上記一般式(1)で表される構造から誘導される基及び上記一般式(A)で表される任意追加基を含有している共役系高分子化合物であることが好ましい。
【0183】
本発明の共役系高分子化合物が発光層に含有される場合、電荷(正孔及び電子)注入性及び輸送性が良好になり、かつ、正孔と電子の結合により励起エネルギーを効率良く形成することができるので、当該共役系高分子化合物は、
上記一般式(1)で表される構造から誘導される基、上記一般式(A)で表される任意追加基及び上記一般式(B)で表される任意追加基を含有する共役系高分子化合物、
上記一般式(1)で表される構造から誘導される基、上記一般式(B)で表される任意追加基及び上記一般式(C)で表される任意追加基を含有する共役系高分子化合物、
又は上記一般式(1)で表される構造から誘導される基、上記一般式(A)で表される任意追加基、上記一般式(B)で表される任意追加基及び上記一般式(C)で表される任意追加基を含む共役系高分子化合物が好ましい。
これらのうち、一般式(1)で表される構造から誘導される基、一般式(A)で表される任意追加基及び一般式(B)で表される任意追加基を含有する共役系高分子化合物がより好ましい。
【0184】
上記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を含有する層が有機発光素子等の有機デバイスに含有される場合、一般式(1)で表される構造を有する化合物又は一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物の含有量は、有機デバイスの種類及び有機デバイス中に用いる層の種類により選択することができる。
【0185】
有機発光素子の場合、各層における、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は上記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物の含有量については、
当該層が発光層である場合、発光層に含有される有機化合物全量に対して、一般式(1)で表される構造に換算して、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.03質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.05質量%〜3質量%であることがさらに好ましく、また、
当該層が電荷輸送層の場合、電荷輸送層に含有される有機化合物全量に対して、一般式(1)で表される構造に換算して、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.01質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。
なお、「一般式(1)で表される構造の骨格」とは、一般式(1)で表される構造中の全てのRを除いた残りの原子団を意味する。
当該層が、一般式(1)で表される構造を有する化合物及び一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物のいずれをも含有する場合は、上記含有量はこれらの含有量の合計値である。
【0186】
<面状光源、表示装置>
本発明に係る有機発光素子は、曲面状光源、平面状光源等の面状光源(例えば、照明);セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックスのフラットディスプレイ)、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置、液晶ディスプレイのバックライト)等の表示装置等に有用である。
【0187】
白色照明の一部として、本発明に係る有機発光素子を用いる場合は、白色の色純度を得るために青色以外の発光材料を有機発光素子の発光層にさらに含有していてもよいし、有機発光素子が青色以外の発光材料を有する第二の発光層を有していてもよい。
【0188】
本実施形態に係る有機発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、該面状の有機発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、陽極若しくは陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。更に、ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
【0189】
図5は、本実施形態に係る面状光源の模式断面図である。図5に示す面状光源300は、基板30と、陽極31と、正孔注入層32と、発光層33と、陰極34と、保護層35と、から構成されている。陽極31は、基板30と接するように基板30上に設けられており、陽極31の基板30と反対側には、正孔注入層32、発光層33及び陰極34がこの順で積層されている。また、保護層35は、基板30上に形成された陽極31、電荷注入層32、発光層33及び陰極34を全て覆うように、かつ、端部で基板30と接するように、形成されている。発光層33には、本発明に係る一般式(1)で表される構造を有する化合物、本発明に係る一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物又は本発明の共役系高分子化合物が含まれる。
【0190】
図5に示す面状光源300は、発光層33以外の発光層をさらに複数備えるものとし、それぞれの発光層に赤色発光材料、青色発光材料及び緑色発光材料を用い、それぞれの発光層の駆動を制御することで、カラー表示装置とすることができる。
【0191】
なお、本発明に係る一般式(1)で表される構造を有する化合物、又は本発明に係る一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光を発する発光性薄膜材料、高分子電界効果トランジスタの材料等としても有用である。
【実施例】
【0192】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0193】
(数平均分子量及び重量平均分子量)
ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。測定する高分子化合物は、約0.5質量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)に溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相にはTHFを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0194】
(NMR測定)
単量体のNMR測定は、以下の条件で行った。
装置 : 核磁気共鳴装置、INOVA300(商品名)、バリアン社製
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム又は重水素化テトラヒドロフラン
サンプル濃度 : 約1質量%
測定温度 : 25℃
【0195】
LC−MSの測定は、以下の方法で行った。測定試料を2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に1μL注入した。LC−MSの移動相には、イオン交換水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン又はそれらの混合液を用い、必要に応じて酢酸を添加した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒子径3μm)を用いた。こうした条件で、測定試料をLC−MSにて測定し、解析した。
【0196】
<合成例1A:化合物1Aの合成>
化合物1Aは、Eur.J.Org.Chem.2005年,pp.2207に記載の方法に従って、合成した。
窒素雰囲気下、3口ナスフラスコにアズレン(3.0質量部)を仕込み、ヘキサンを加えて攪拌した。氷浴を用いて0℃まで冷却し、そこに、NBS(N−ブロモスクシンイミド)(10.4質量部)を反応温度を保ちながら少しずつ加えた。反応終了後、得られた混合物を室温で2時間攪拌し、その後溶媒を除去した。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、及び、ヘキサンを用いた再結晶を行い精製した。目的とする化合物1Aは、再結晶からの回収分として3.75質量部(HPLC純度100%)、及び、ろ液からの回収分として2.83質量部(HPLC純度99.6%)が得られた。全収率は99.1%であった。化合物1Aの構造はNMRにより確認した。
【0197】
【化24】


H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=8.32(d,12Hz,2H),7.81(s,1H),7.68(t,12Hz,1H),7.27(m,2H).
13C−NMR(75MHz,CDCl):δ(ppm)=140.36,138.50,137.01,136.07,124.33,102.99.
【0198】
<合成例1B:化合物1Bの合成>
アルゴン気流下、反応容器に1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(20.0質量部)とテトラヒドロフランを加え、均一溶液を調製し、該溶液を−69℃まで冷却した。該溶液に2.76Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼンに対して1モル当量)を−68℃で1.5時間かけて滴下し、さらに該溶液を−70℃で1.5時間撹拌した。次いで、化合物1B−1(9.0質量部)とテトラヒドロフランとからなる溶液を−70℃で1時間かけて滴下し、−70℃で2時間撹拌した。次いで、該溶液に−70℃にてメタノール及び蒸留水を加え撹拌した後、室温まで昇温し、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、ヘプタン及び水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。該有機層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウムを加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮し、化合物1Bを23.4質量部得た。
【0199】
【化25】

【0200】
<合成例2B:化合物2Bの合成>
アルゴン気流下、反応容器に化合物1B(48.0質量部)及びジクロロメタンを加え、均一溶液を調製し、−30℃に冷却した。該溶液に三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Bに対して1モル当量)を30分間かけて滴下し、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を−20℃に冷却し、蒸留水を加え、1時間撹拌した。その後、反応液を静置して分液させることにより、水層を除去して、有機層を得た。次いで、その有機層に水を加え撹拌し、静置して分液させることにより、水層を除去して、有機層を得た。得られた有機層に10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え撹拌し、静置して分液させることにより、水層を除去して、有機層を得た。この有機層を濃縮し溶媒を除去した。次いで、この有機層を、トルエン及びヘプタンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、得られた濃縮物に対して、酢酸ブチルとメタノールを用い再結晶することにより、目的とする化合物2Bを23.2質量部得た。
【0201】
【化26】

【0202】
<合成例3B:化合物3Bの合成>
アルゴン気流下、4口フラスコに化合物2B(9.5質量部)、化合物3B−1(6.6質量部)、1,4−ジオキサン、酢酸カリウム(7.05質量部)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf、0.1質量部)及び1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(PdCl(dppf)・CHCl、0.15質量部)を加え、100〜102℃で5時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライト及びシリカゲルを敷き詰めたろ過器でろ過し、得られたろ液を濃縮して溶媒を除去した。次いで、得られた濃縮物にヘキサンを加えて調製した溶液に、活性炭を加え、ヘキサンが還流する温度にて1時間撹拌した。得られた混合液を室温まで冷却後、セライトを敷き詰めたろ過器でろ過し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、トルエン及びアセトニトリルで再結晶を行うことにより、目的とする化合物3Bを10.1質量部得た。
【0203】
【化27】

【0204】
<合成例1C:化合物1Cの合成>
不活性雰囲気下、3口フラスコに、3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼン(26.2質量部)及び無水テトラヒドロフランを加え均一溶液とし、−70℃に冷却した。得られた溶液に、2.5Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼンに対して0.93モル当量)を、溶液の温度が−70℃に保たれるように滴下し、同温度にて4時間撹拌し、溶液(以下、「溶液A」と言う。)を調製した。
別途、2口フラスコに、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル(16.0質量部)及び無水テトラヒドロフランを加え、溶液(以下、「溶液B」と言う。)を調製した。
溶液Aに溶液Bを、溶液Aの温度が−70℃に保たれるように滴下し、撹拌した。次いで、反応液を室温にて15時間撹拌した。次いで、反応液に水を0℃にて加え、撹拌した。次いで、減圧下で濃縮操作により溶媒を留去し、残留物にヘキサン及び水を加え、撹拌した。得られた混合液を静置して分液させることにより、水層を除去して、有機層を得た。この有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、減圧下で濃縮することにより、下記式で表される化合物1Cを白色固体として得た。
【0205】
【化28】

【0206】
<合成例2C:化合物2Cの合成>
不活性雰囲気下、3口フラスコに、化合物1C(30.0質量部)及び無水ジクロロメタンを加え、5℃に冷却した。得られた混合物に、温度が0〜5℃の範囲内に保たれるように、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Cに対して4.2モル当量)を滴下した後、室温にて終夜撹拌した。反応液を、氷水に注意深く注ぎ、30分撹拌し、静置して分液させることにより、水層を除去して、有機層を得た。この有機層に10質量%リン酸カリウム水溶液を加え、2時間撹拌した後、静置して分液させることにより、水層を除去して、有機層を得た。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮することにより溶媒を留去し、オイル状の液体を得た。このオイル状の液体にメタノールを加えたところ、固体が生じた。この固体をn−ブチルアセテート及びメタノールを用いて再結晶を行うことにより、下記式で表される化合物2Cを24.0質量部得た。
【0207】
【化29】

【0208】
<合成例3C:化合物3Cの合成>
3口フラスコに、化合物2C(8.0質量部)、ビス(ピナコレート)ジボロン(6.6質量部)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(Pd(dppf)・CHCl、0.15質量部)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.099質量部)、無水1,4−ジオキサン及び酢酸カリウム(7.0質量部)を加え、100℃で20時間撹拌した。反応液を室温に冷却した後、シリカゲルを通液させ、シリカゲルをトルエンで洗浄し、得られた溶液の溶媒を濃縮することにより留去し、褐色の液体を得た。この液体を、ヘキサンを展開溶媒とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した後、濃縮することにより得られた液体にアセトニトリルを加え、固体を得た。この固体をアセトニトリル及びトルエンを用いて再結晶を1回行い、ジクロロメタン及びメタノールを用いて再結晶を1回行い、得られた有機層を減圧下で乾燥させることにより、下記式で表される化合物3Cを2.9質量部得た。
【0209】
【化30】

【0210】
<合成例1D:化合物1Dの合成>
3口フラスコ内の気体を窒素で置換し、3口フラスコ内で、1−ブロモ−3−n−ヘキシルベンゼン22.6質量部を、無水テトラヒドロフランに溶解させた。得られた溶液を−75℃以下に冷却し、2.5M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−3−n−ヘキシルベンゼンに対して0.96モル当量)を滴下し、−75℃以下に保ちながら5時間撹拌した。反応液を−70℃に保ちながら、そこに、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル15.0質量部を無水テトラヒドロフランに溶解させた溶液を滴下した。得られた溶液を室温までゆっくりと昇温後、終夜撹拌した。反応液を0℃で撹拌しながら、水を滴下した。反応液から溶媒を留去した後、残渣に水を加え、ヘキサンで3回抽出した。得られた有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、水層をヘキサンで再抽出した。その後、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、溶媒を留去したところ、26.4質量部の化合物1Dの粗生成物を得た。
【0211】
【化31】

【0212】
<合成例2D:化合物2Dの合成>
3口フラスコ内で、上記で合成した化合物1D 26.4質量部を、ジクロロメタンに溶解させ、該フラスコ内の気体を窒素で置換した。得られた溶液を0℃以下に冷却した後、該溶液を5℃以下に保ちながら、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Dに対して5モル当量)を滴下した。室温までゆっくり昇温後、終夜撹拌した。反応液を氷水中に撹拌しながら注ぎ、30分撹拌した。反応液を分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、10質量%リン酸カリウム水溶液を加えて分液し、有機層を水2回で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、溶媒を留去することによりオイル状の液体が得られた。このオイル状の液体をトルエンに溶解させ、シリカゲルを敷いたグラスフィルターに通し、ろ過した。ろ液から溶媒を留去した後、メタノールを加えて激しく撹拌したところ、結晶が得られた。この結晶をろ過し、メタノールで洗浄した。洗浄した結晶をヘキサンと酢酸ブチルとの混合溶媒で再結晶して、化合物2Dを12.1質量部得た。
【0213】
【化32】


H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=0.86(t,6H),1.26(m,12H),1.52(m,4H),2.51(t,4H),6.87(d,2H),7.00(s,2H),7.04(d,2H),7.12(t,2H),7.46(dd,2H),7.48(d,2H),7.55(d,2H).
【0214】
<合成例3D:化合物3Dの合成>
3口フラスコに化合物2D 5.0質量部を加え、該フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、無水テトラヒドロフランを加え、−70℃以下に冷却した。得られた溶液を−70℃以下に保ちながら2.5M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(化合物2Dに対して2.2モル当量)を滴下した。滴下後、温度を保ちながら4時間撹拌した。そこに、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(化合物2Dに対して2.8モル当量)を加えた後、室温までゆっくり昇温し、終夜撹拌した。反応液を−30℃に冷却し、そこに2M塩酸/ジエチルエーテル溶液を滴下した後、室温まで昇温した。反応液から溶媒を留去した後、生じた固体を、トルエンを加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルを敷いたグラスフィルターに通してろ過し、ろ液の溶媒を留去して、5.0質量部の粗生成物を得た。この粗生成物を、窒素雰囲気下でトルエンとアセトニトリルとの混合溶媒で再結晶して、化合物3Dを3.4質量部得た。
【0215】
【化33】


H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=0.86(t,6H),1.26−1.29(m,12H),1.31(s,24H),1.52−1.53(m,4H),2.50(t,4H),6.92(d,2H),7.00(d,2H),7.08(t,2H),7.13(s,2H),7.77(d,2H),7.81−7.82(m,4H).
【0216】
<合成例1F:化合物1Fの合成>
3口フラスコに、3,5−ジブロモフェノール9.6質量部、3,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)フェニルボロン酸30.9質量部(特開2005−82730号公報に記載の方法に従って合成した。)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド95.0質量部(20質量%水溶液)を加えた後、フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、トルエン及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.15質量部を加え、100℃で8時間加熱した。その後、得られた混合液を放冷すると、結晶が析出した。この結晶を、クロロホルムを加えて溶解させ、得られた溶液に1N塩酸を加えて酸性にし、分液した。得られた水層をクロロホルムで抽出し、抽出後のクロロホルムを有機層と合わせ、水、飽和食塩水の順で洗浄した。洗浄後の有機層を、シリカゲルを敷いたグラスフィルターに通してろ過し、ろ液から溶媒を留去したところ、41.8質量部の粗生成物を得た。これに、ヘキサンを加え、還流温度まで昇温後、室温までゆっくり放冷し、ろ過し、得られた残渣をヘキサンで洗浄したところ、下記式で表される化合物1Fを28.0質量部得た。
【0217】
【化34】


LC−MS(APPI−MS,posi):775([M+H],exact mass=774).
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=1.35(s,36H),5.19(s,1H),7.15(s,2H),7.47(d,8H),7.59(s,1H),7.60(d,8H),7.78(s,6H).
13C−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=31.8,34.9,113.9,119.6,125.2,125.7,126.2,127.4,138.6,142.1,142.6,144.0,150.9,156.6.
【0218】
<合成例2F:化合物2Fの合成>
4口フラスコ内の気体を窒素で置換し、4口フラスコ内で化合物1F 28.0質量部及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン13.0質量部を脱水ジクロロメタンに溶解させ、0℃に冷却した。そこに、無水トリフルオロメタンスルホン酸25.0質量部を30分かけて滴下した。そして、20分撹拌後、冷浴を外し、1.5時間撹拌を継続した。得られた混合液を、シリカゲルを敷いたグラスフィルターに通し、ろ過し、得られた残渣をトルエンで洗浄して、混合液とした。得られた混合液から溶媒を留去したところ、下記式で表される化合物2Fを28.9質量部得た。
【0219】
【化35】


LC−MS(ESI−MS,positive):945([M+K]、exact mass=906).
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=1.38(s,36H),7.52(d,8H),7.57(s,2H),7.64(d,8H),7.77(s,4H),7.85(s,2H),7.97(s,1H).
13C−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=31.7,34.9,119.3.
【0220】
<合成例3F:化合物3Fの合成>
4口フラスコ内の気体を窒素で置換し、フェノキサジン6.1質量部を入れ、脱水トルエンに溶解させた。そこに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.71質量部、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン0.86質量部及び炭酸セシウム15.2質量部を加え、110℃に加熱した。そこに、化合物2F 28.9質量部を窒素バブリングした脱水トルエンに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。そして、20時間撹拌後、得られた混合物をシリカゲルを敷いたグラスフィルターで熱時ろ過し、得られた残渣をトルエンで洗浄した。得られた混合液から溶媒を留去したところ、33.0質量部の粗生成物を得た。この粗生成物をトルエンに溶解させ、得られた溶液をメタノール1L中に滴下し、再沈殿させた。得られた溶液を、ろ過し、得られた沈殿をメタノールで洗浄したところ、50.0質量部の粗生成物を得た。そこに、トルエンを加え、加熱して溶解させ、エタノールを滴下し、再結晶した。さらに、得られた生成物を、ろ過し、エタノールで洗浄したところ、24.8質量部の生成物を得た。この生成物を、トルエンとエタノールとの混合溶媒を用いて再結晶したところ、下記式で表される化合物3Fを16.6質量部得た。
【0221】
【化36】


LC−MS(APCI,positive):940([M+H]、exact mass=939).
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=1.37(s,36H),6.13−6.16(m,2H),6.62−6.71(m,6H),7.50(d,8H),7.64(d,8H),7.72(s,2H),7.83(s,6H),8.11(s,1H).
13C−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=31.7,34.9,113.7,115.8,121.7,123.7,125.0,126.0,126.1,126.3,127.4,128.8,134.6,138.4,140.4,141.1,142.8,144.3,145.3,151.0.
【0222】
<合成例4F:化合物4Fの合成>
4口フラスコ内の気体を窒素で置換し、化合物3F 16.6質量部を加え、クロロホルムに溶解させた。得られた溶液を冷浴を用いて0℃に冷却し、そこに、6.3質量部のNBSをDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解させた溶液を50分かけて滴下した。そして、10分撹拌後、冷浴を外し、3時間撹拌を継続した。得られた混合液を、再度0℃に冷却し、そこに、0.1質量部のNBSをDMFに溶解させた溶液を滴下した。混合液を室温で1.5時間撹拌した後、そこに、水を滴下し分液した。得られた水層をトルエンで2回抽出し、得られたトルエン溶液を有機層と合わせ、更にトルエンを加えた後、得られた混合液を、水及び飽和食塩水の順で洗浄した。洗浄後の混合液を、シリカゲルを敷いたグラスフィルターに通してろ過し、得られた残渣をトルエンで洗浄した。得られた混合液から溶媒を留去したところ、下記式で表される化合物4Fを25.1質量部得た。
【0223】
【化37】


LC−MS(APCI,positive):1096([M+H]、exact mass=1095).
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=1.37(s,36H),5.99(d,2H),6.75(d,2H),6.85(brs,2H),7.50(d,8H),7.61−7.65(m,10H),7.82(d,6H),8.11(s,1H).
13C−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=31.7,34.9,113.3,114.9,119.0,125.0,126.2,126.7,127.3,128.2,129.3,133.5,138.3,139.6,140.7,142.9,144.5,145.6,151.1.
【0224】
<合成例1G:化合物1Gの合成>
不活性雰囲気下で、3口フラスコに酢酸225質量部を入れ、5−tert−ブチル−m−キシレン24.3質量部を加えた。次いで、そこに、臭素31.2質量部を加えた後、15〜20℃で3時間反応させた。反応液を水500mLに加え、析出した沈殿をろ過した。得られた沈殿を水250mLで2回洗浄し、白色の固体である化合物1Gを34.2質量部得た。
【0225】
【化38】


H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=1.3(s,9H),2.4(s,6H),7.1(s,2H).
MS(FD+):M 241.
【0226】
<合成例2G:化合物2Gの合成>
不活性雰囲気下で、3口フラスコに脱気した脱水トルエンを入れ、トリ(tert−ブチル)ホスフィン0.63質量部を加えた。次いで、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.41質量部、化合物1G9.6質量部、tert−ブトキシナトリウム5.2質量部及びN,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン4.7質量部を加えた後、100℃で3時間反応させた。反応液を飽和食塩水に加え、約50℃に温めたクロロホルムで抽出した。得られた有機層から溶媒を留去したところ、固体が生じた。そこに、トルエンを加えて、固体が溶解するまで加熱した。次いで、放冷した後、沈殿をろ過し、白色の固体である化合物2Gを9.9質量部得た。
【0227】
【化39】

【0228】
<合成例3G>(化合物3Gの合成)
不活性雰囲気下で、3口フラスコに、脱水N,N−ジメチルホルムアミドを入れ、化合物2G5.2質量部を溶解した後、氷浴下でN−ブロモスクシンイミド3.5質量部をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を滴下し、一昼夜反応させた。反応液に水を加え、析出した沈殿をろ過し、得られた沈殿をメタノールで2回洗浄し、白色の固体である化合物3Gを4.4質量部得た。
【0229】
【化40】


H−NMR(300MHz,THF−d8):δ(ppm)=1.3(s,18H),2.0(s,12H),6.6〜6.7(d,4H),6.8〜6.9(br,4H),7.1(s,4H),7.2〜7.3(d,4H).
MS(FD+):M 738.
【0230】
<重合例1:高分子化合物1の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(2.688g,2.96mmol)、下記式:
【化41】


で表される化合物1H(1.640g,1.80mmol)、下記式:
【化42】


で表されるF8BR(0.411g,0.75mmol)、下記式:
【化43】


で表される化合物1J(0.238g,0.45mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及びトルエン(62mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、3時間20分還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(36.8mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)、及び水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、更に16時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下、濾取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物1を3.12g得た。高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は8.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×10であった。
【0231】
高分子化合物1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【化44】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化45】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化46】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化47】


で表される繰り返し単位とを、50:30:12.5:7.5のモル比で含有するランダム共重合体である。
【0232】
<重合実施例1:高分子化合物2の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(1.7922g,1.98mmol)、化合物1A(0.1430g,0.50mmol)、化合物1H(1.0930g,1.20mmol)、化合物1J(0.1584g,0.30mmol)、酢酸パラジウム(0.70mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.30mg)、1−ヘキセン(30.1mg)及びトルエン(53mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7.5mL)を滴下し、3.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(25.4mg)、酢酸パラジウム(0.70mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.28mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7.5mL)を加え、更に17時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下し、生じた沈澱を濾取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物2を1.95g得た。高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量は3.5×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.4×10であった。
【0233】
高分子化合物2は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【化48】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化49】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化50】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化51】


で表される繰り返し単位とを、50:12.5:30:7.5のモル比で含有するランダム共重合体である。
【0234】
<重合例2:高分子化合物3の合成>
不活性雰囲気下、化合物3C(2.2749g,2.97mmol)、F8BR(0.3290g,0.60mmol)、化合物2D(1.2375g,1.92mmol)、化合物3G(0.1330g,0.18mmol)、化合物4F(0.3295g,0.30mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及びトルエン(76mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、2時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(37mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)、トルエン(6mL)、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、更に14.5時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下し、生じた沈澱を濾取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物3を2.42g得た。高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量は1.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.9×10であった。
【0235】
高分子化合物3は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【化52】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化53】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化54】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化55】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化56】


で表される繰り返し単位とを、50:10:32:3:5のモル比で含有するランダム共重合体である。
【0236】
<重合実施例2:高分子化合物4の合成>
不活性雰囲気下、化合物3C(1.5135g,1.97mmol)、F8BR(0.2193g,0.40mmol)、化合物2D(0.7477g,1.16mmol)、化合物3G(0.0886g,0.12mmol)、化合物4F(0.2196g,0.20mmol)、化合物1A(0.0344g,0.12mmol)、酢酸パラジウム(0.62mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.23mg)、1−ヘキセン(15.0mg)及びトルエン(52mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7mL)を滴下し、4時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(25mg)、酢酸パラジウム(0.63mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.26mg)、トルエン(4mL)、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7mL)を加え、更に19時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下し、生じた沈澱を濾取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物4を1.55g得た。高分子化合物4のポリスチレン換算の数平均分子量は7.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.1×10であった。
【0237】
高分子化合物4は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【化57】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化58】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化59】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化60】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化61】


で表される繰り返し単位と、下記式:
【化62】


で表される繰り返し単位とを、50:10:29:3:5:3のモル比で含有するランダム共重合体である。
【0238】
<実施例1:有機発光素子1の製造と評価>
スパッタ法により45nmの厚さでITO膜を付けたガラス基板に、正孔注入材料としてポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)を用いてスピンコートにより50nmの厚さで成膜し、ホットプレート上で170℃、15分間乾燥した。
【0239】
次に、高分子化合物2を0.7質量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚さに成膜した。その後、窒素雰囲気下においてホットプレート上で180℃、60分間加熱した。
【0240】
次に、高分子化合物3を1.2質量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約60nmの厚さに成膜した。その後、窒素雰囲気下においてホットプレート上で130℃、10分間加熱した。陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機発光素子1を作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0241】
得られた有機発光素子1に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0242】
上記で得られた有機発光素子1を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は257時間後に半減した。
【0243】
<比較例1:有機発光素子C1の製造と評価>
実施例1における高分子化合物2に代えて、高分子化合物1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子C1を作製した。得られた有機発光素子C1に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0244】
上記で得られた有機発光素子C1を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は83時間後に半減した。
【0245】
<実施例2:有機発光素子2の作製と評価>
実施例1における高分子化合物2のキシレン溶液に代えて、高分子化合物2と高分子化合物1をそれぞれキシレンに溶解させた溶液を用いて、混合比率を、高分子化合物2:高分子化合物1=75:25(質量比)とした溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子2を作製した。得られた有機発光素子2に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0246】
上記で得られた有機発光素子2を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は220時間後に半減した。
【0247】
<実施例3:有機発光素子3の作製と評価>
実施例1における高分子化合物2のキシレン溶液に代えて、高分子化合物2と高分子化合物1をそれぞれキシレンに溶解させた溶液を用いて、混合比率を、高分子化合物2:高分子化合物1=50:50(質量比)とした溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子3を作製した。得られた有機発光素子3に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0248】
上記で得られた有機発光素子3を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は222時間後に半減した。
【0249】
<実施例4:有機発光素子4の作製と評価>
実施例1における高分子化合物2のキシレン溶液に代えて、高分子化合物2と高分子化合物1をそれぞれキシレンに溶解させた溶液を用いて、混合比率を、高分子化合物2:高分子化合物1=25:75(質量比)とした溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子4を作製した。得られた有機発光素子4に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0250】
上記で得られた有機発光素子4を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は172時間後に半減した。
【0251】
<実施例5:有機発光素子5の作製と評価>
実施例1における高分子化合物3のキシレン溶液に代えて、高分子化合物4と高分子化合物3をそれぞれキシレンに溶解させた溶液を用いて、混合比率を、高分子化合物4:高分子化合物3=7.5:92.5(質量比)とした溶液を用いたこと、及び、高分子化合物2のキシレン溶液に代えて、高分子化合物1のキシレン溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子5を作製した。得られた有機発光素子5に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3及び高分子化合物4に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0252】
上記で得られた有機発光素子5を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は206時間後に半減した。
【0253】
<実施例6:有機発光素子6の作製と評価>
実施例1における高分子化合物3のキシレン溶液に代えて、高分子化合物4と高分子化合物3をそれぞれキシレンに溶解させた溶液を用いて、混合比率を、高分子化合物4:高分子化合物3=10:90(質量比)とした溶液を用いたこと、及び、高分子化合物2のキシレン溶液に代えて、高分子化合物1のキシレン溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子6を作製した。得られた有機発光素子6に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3及び高分子化合物4に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0254】
上記で得られた有機発光素子6を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は193時間後に半減した。
【0255】
<実施例7:有機発光素子7の作製と評価>
実施例1における高分子化合物3のキシレン溶液に代えて、高分子化合物4と高分子化合物3をそれぞれキシレンに溶解させた溶液を用いて、混合比率を、高分子化合物4:高分子化合物3=12.5:87.5(質量比)とした溶液を用いたこと、及び、高分子化合物2のキシレン溶液に代えて、高分子化合物1のキシレン溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子7を作製した。得られた有機発光素子7に電圧を印加したところ、この素子から高分子化合物3及び高分子化合物4に由来する460nmにピークを有するEL発光が得られた。
【0256】
上記で得られた有機発光素子7を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は186時間後に半減した。
【0257】
実施例と比較例の結果を下記にまとめた。
【表1】

【符号の説明】
【0258】
1…基板、2…有機半導体層、3…絶縁層、4…ゲート電極、5…ソース電極、6…ドレイン電極、20…基板、22…陽極、23…正孔注入層、24…正孔輸送層、25…発光層、26…電子輸送層、27…電子注入層、28…陰極、30…基板、31…陽極、32…正孔注入層、33…発光層、34…陰極、35…保護層、100…有機薄膜トランジスタ、110…有機薄膜トランジスタ、200…有機発光素子(構成i)、220…有機発光素子(構成e)、300…面状光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を備え、
前記発光層が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を含有し、かつ、
前記発光層において、前記発光層に含有される有機化合物全量に対する、前記一般式(1)で表される構造の骨格の割合が0.01質量%〜20質量%である、有機発光素子。
【化1】


[式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
発光層と、該発光層に隣接する電荷輸送層とを備え、
前記電荷輸送層が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物を含有し、かつ、
前記電荷輸送層において、前記電荷輸送層に含有される有機化合物全量に対する、前記一般式(1)で表される構造の骨格の割合が0.01質量%〜50質量%である、有機発光素子。
【化2】


[式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記一般式(1)で表される構造から誘導される基を有する化合物が、共役系高分子化合物である、請求項1又は2に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記共役系高分子化合物が、前記一般式(1)で表される構造から誘導される基を繰り返し単位として有する、請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項5】
縮合重合で合成され、
下記一般式(1)で表される構造から誘導される基及び当該基とは相違する任意追加基が前記縮合重合により導入されており、
前記一般式(1)で表される構造から誘導される基及び前記任意追加基のモル数を、それぞれN及びNとしたときに、N及びNが下記式(I)を満たす、共役系高分子化合物。
0.01≦N×100/(N+N)≦20 (I)
【化3】


[式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項6】
前記一般式(1)で表される構造から誘導される基が、下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表される、請求項5に記載の共役系高分子化合物。
【化4】


[式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基、又は、水素原子を示す。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項7】
前記任意追加基として、下記式(A)、(B)及び(C)で表される基のうち、少なくとも一つの基を含む、請求項5又は6に記載の共役系高分子化合物。
【化5】


[式中、
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、6員環以上の環から構成される2価の複素環基及び金属錯体構造を有する2価の基からなる群より選ばれる官能基を示し、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基及び6員環以上の環から構成される2価の複素環基からなる群より選ばれる官能基を示す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる官能基を示し、
は−CR=CR−及び−C≡C−からなる群より選ばれる官能基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群より選ばれる官能基を示す。
aは、0又は1である。
但し、水素原子を有する前記官能基は、該水素原子が置換基で置換されていてもよい。]
【請求項8】
前記式(A)、(B)、(C)で表される任意追加基のモル数及びこれら以外の任意追加基のモル数を、それぞれN、N、N及びNM’としたときに、前記N、N、N、N及びNM’が下記式(II)を満たす、請求項7に記載の共役系高分子化合物。
40≦(N+N+N)×100/(N+N+N+N+NM’)<100 (II)
【請求項9】
前記式(A)で表される任意追加基を含む、請求項7又は8に記載の共役系高分子化合物。
【請求項10】
前記式(B)で表される任意追加基を含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の共役系高分子化合物。
【請求項11】
前記式(A)で表される任意追加基及び前記式(B)で表される任意追加基を含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の共役系高分子化合物。
【請求項12】
発光材料、正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料と、
請求項5〜11のいずれか一項に記載の共役系高分子化合物と、を含む組成物。
【請求項13】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の共役系高分子化合物と、有機溶媒と、を含むインク組成物。
【請求項14】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の共役系高分子化合物を含有する、請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項15】
請求項1〜4及び14のいずれか一項に記載の有機発光素子を備えた面状光源。
【請求項16】
請求項1〜4及び14のいずれか一項に記載の有機発光素子を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−146968(P2012−146968A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280123(P2011−280123)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】