説明

有機発光表示装置

【課題】本発明は、視認性及び画像の品質を向上させた有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は有機発光表示装置に関し、本発明の実施形態による有機発光表示装置は基板部材と、前記基板部材上に形成された画素電極と、前記画素電極上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された共通電極と、前記共通電極上に形成されて結晶化された光散乱層と、を含み、前記光散乱層は、a−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq、PBD、及びCuPcの中一つ以上を含む有機膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示装置に関し、より詳しくは視認性及び画像の品質を向上させた有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting diode display)は正孔注入電極と有機発光層及び電子注入電極を有する複数の有機発光素子(organic light emitting diode)を含む。有機発光層内部において電子と正孔が結合して生成された励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発生するエネルギーによって発光し、これを利用して有機発光表示装置は画像を形成表示する。
【0003】
従って、有機発光表示装置は自発光特性を有し、液晶表示装置とは異なって別途の光源を要しないため、厚さと重量を減らすことができる。また、有機発光表示装置は低い消費電力、高い輝度及び高い反応速度などの高品位特性を有するため、携帯用電子機器の次世代の表示装置として注目されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に有機発光表示装置が有する正孔注入電極及び電子注入電極の中一つ以上の電極とその他多くの金属配線は外部から流入される光を反射する。このような外光反射によって明るい所で使用される時に有機発光表示装置は輝度レベルの低い黒い色の画像表示及びコントラストが不良になって視認性が低下する問題があった。
【0005】
また、有機発光表示装置は複数の薄膜と基板を含むため、これらの屈折率の差による光の干渉で同心円模様、つまり、ニュートン・リング(Newton´s ring)が生じる。このようなニュートン・リングは有機発光表示装置が表示する画像の品質を低下させる原因となる。
【0006】
そこで、本発明は前述した背景技術の問題を解決するためのものであって、本発明の目的は視認性及び画像の品質を向上させた有機発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による有機発光表示装置は、基板部材と、前記基板部材上に形成された画素電極と、前記画素電極上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された共通電極、及び前記共通電極上に形成されて結晶化された光散乱層と、を含み、前記光散乱層は、a−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq、PBD、及びCuPcの中一つ以上を含む有機膜である。
【0008】
前記光散乱層は結晶化された有機膜であっても良い。
【0009】
前記光散乱層は熱処理工程を通して結晶化できる。
【0010】
前記光散乱層は非結晶状態の有機膜及び無機膜より相対的に高い表面粗度を有する。
【0011】
前記有機発光表示装置において、前記有機発光層は前記共通電極方向に光を放出して画像を表示できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、有機発光表示装置は外光反射及びニュートン・リングの発生を抑制して、視認性及び画質を向上できる。また、有機発光表示装置は全体的な厚さをスリム化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置の配置図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置において、図1のII−II線に沿って切断して示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置において、図1のIII−III線に沿って切断して示した部分斜視図である。
【図4】比較例と実験例についての実験結果を示したグラフである。
【図5】比較例と実験例についての実験結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
以下、添付図を参照して、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様な形態に具現でき、ここで説明する実施形態に限られない。
【0016】
また、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示したため、本発明が必ずしも示されたものに限られない。
【0017】
また、図面から多くの層及び領域を明確に表示するため厚さを拡大して示してある。また、説明のため、一部の層及び領域の厚さを誇張して表示している。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上に」または「上部に」あるという場合、これはある部分の「直ぐ上に」ある場合だけでなく、その間にまた他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の「直ぐ上に」あるという場合には中間に他の部分がないことを意味する。
【0018】
また、添付図からは、一つの画素に二つの薄膜トランジスター(TFT)と一つの蓄電素子(capacitor)を備えた2Tr−1Cap構造の能動駆動(active matrix、AM)型有機発光表示装置を示しているが、本発明がこれに限定されるものではない。従って、有機発光表示装置は一つの画素に三つ以上の薄膜トランジスターと二つ以上の蓄電素子を備えることができ、別途の配線がさらに形成されて多様な構造を有するように形成しても良い。ここで、画素は画像を表示する最小単位であり、有機発光表示装置は複数の画素を介して画像を表示する。
【0019】
以下、図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は表示基板110を中心に画素の構造を示した配置図である。図2は図1のII−II線に沿って切断して表示基板110と封止部材210を共に示した断面図である。図3は図1のIII−III線に沿って切断して示した表示基板110の部分斜視図である。
【0020】
図1及び図2に示したように、有機発光表示装置100は表示基板110と封止部材210を含む。表示基板110は第1基板部材111上に一つの画素毎に各々形成されたスイッチング薄膜トランジスター10と、駆動薄膜トランジスター20と、蓄電素子80と、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)70と、を有する。さらに表示基板110は一方向に沿って配置されるゲートライン151と、ゲートライン151と絶縁交差されるデータライン171及び共通電源ライン172を含む。ここで、一つの画素はゲートライン151、データライン171及び共通電源ライン172を境界として定義できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0021】
有機発光素子70は画素電極710と、画素電極710上に形成された有機発光層720と、有機発光層720上に形成された共通電極730を含む。ここで、画素電極710は正孔注入電極である正(+)極となり、共通電極730は電子注入電極である負(−)極となる。しかし、本発明の第1実施形態が必ずしもこれに限定されるのではなく、有機発光表示装置100の駆動方法により画素電極710が負極となって、共通電極730が正極となっても良い。画素電極710及び共通電極730から各々正孔と電子が有機発光層720内部に注入される。注入された正孔と電子が結合された励起子(exiton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発光する。
【0022】
また、本発明の第1実施形態において、有機発光表示装置100の有機発光素子70が有機発光層720から画素電極710方向の反対方向、つまり、共通電極730方向に発光して画像を表示する。つまり、有機発光表示装置100は前面発光型で形成される。
【0023】
蓄電素子80は層間絶縁膜160を間において配置された第1蓄電板158と第2蓄電板178を含む。ここで、層間絶縁膜160は誘電体となる。蓄電素子80において蓄電された電荷と両蓄電板158、178の間の電圧によって蓄電容量が決定される。
【0024】
スイッチング薄膜トランジスター10はスイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極152、スイッチングソース電極173及びスイッチングドレーン電極174を含み、駆動薄膜トランジスター20は駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176及び駆動ドレーン電極177を含む。
【0025】
スイッチング薄膜トランジスター10は発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として用いられる。スイッチングゲート電極152はゲートライン151と接続される。スイッチングソース電極173はデータライン171と接続される。スイッチングドレーン電極174はスイッチングソース電極173から離隔配置されて、第1蓄電板158と接続される。
【0026】
駆動薄膜トランジスター20は選択された画素内の有機発光素子70の有機発光層720を発光させるための駆動電源を画素電極710に印加する。駆動ゲート電極155は第1蓄電板158と接続される。駆動ソース電極176及び第2蓄電板178は各々共通電源ライン172と接続される。駆動ドレーン電極177は接続孔(contact hole)182を通して有機発光素子70の画素電極710と接続される。
【0027】
このような構造によって、スイッチング薄膜トランジスター10はゲートライン151に印加されるゲート電圧によって作動し、データライン171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスター20に伝達する役割を果たす。共通電源ライン172から駆動薄膜トランジスター20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスター10から伝送されたデータ電圧の差に相当する電圧が蓄電素子80に保存されて、蓄電素子80に保存された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスター20を通して有機発光素子70に流れて有機発光素子70が発光される。
【0028】
また、表示基板110は画素定義膜190及び光散乱層650をさらに含む。
【0029】
画素定義膜190は画素電極710を露出させる開口部199を有して有機発光素子70の発光領域と非発光領域を定義する。つまり、画素電極710及び画素定義膜190の開口部199は各画素毎に形成される。画素定義膜190の開口部199内で画素電極710、有機発光層720、及び共通電極730が順次に積層されて有機発光層720が発光する。従って、画素定義膜190が形成された部分は実質的に非発光領域となり、画素定義膜190の開口部199は実質的に発光領域となる。
【0030】
光散乱層650は共通電極730上に形成され、外部から流入して有機発光素子70に向かう光を散乱させる。また、光散乱層650は外部から流入して有機発光素子70の共通電極730及び画素電極710と、その他にゲートライン151、データライン171、及び共通電源ライン172等のような多数の導電配線から反射された光を散乱させる。
【0031】
本実施形態における光散乱層650は、一般的なキャッピング層の材料を使用する。つまり、一般的なキャッピング層を結晶化し、光散乱層を形成する。上記キャッピング層は、無機絶縁膜または有機発光層に用いられる材料と類似した有機膜を材料として使用することができる。より具体的には、光散乱層650は結晶化された有機膜及び結晶化された無機膜のうち何れか一つとして形成される。具体的には、光散乱層650はa−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq、LiF、PBD、TLTA、及びCuPcの中一つ以上を含む有機膜を結晶化して形成するか、窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiOx)、及び 酸窒化ケイ素(SiOxNy)等のようにケイ素(Si)を含む無機膜を結晶化して形成する。この時、光散乱層650は熱処理工程を通して結晶化される。
【0032】
また、結晶化された有機膜または無機膜で形成された光散乱層650は結晶化されない有機膜または無機膜に比べて相対的に高い表面粗度を有する。従って、結晶化された光散乱層650は効果的に光を散乱できる。上記の表面粗度は、例えば、AFMを用いることにより測定することができる。
【0033】
このように、光散乱層650は光を散乱させる役割を果たすため、外光反射を抑制して有機発光表示装置100の視認性を向上できる。また、光散乱層650は有機発光素子70から発生された光が効率的に放出されるように助ける役割も果す。特に、光散乱層650が有機発光層720と類似する有機物で形成される場合、光散乱層650は有機発光層720から放出された光がより効果的に放出できるように助ける。
【0034】
また、光散乱層650は光を散乱させて外光反射を抑制すると同時に有機発光表示装置100においてニュートン・リング(Newton´s ring)現象が生じることを効果的に抑制できる。
【0035】
ニュートン・リングは有機発光表示装置100が含む多数の膜の間において生じる。例えば、ニュートン・リングは互いに離隔配置された表示基板110と後述する封止部材210の間で生じる。このようなニュートン・リングは屈折率及び厚さの差がある膜の間に光を通過させると位相差によって干渉現象が起きて生じる。ニュートン・リングが生じる程度は膜の屈折率、膜の厚さ、位相差、及び光の強さに影響される。ニュートン・リングの発生を抑制するためには膜相互間の間隔を適切調節しなければならない。つまり、表示基板110と封止部材210の間においてニュートン・リングの発生を抑制するためには、表示基板110と封止部材210の間に十分な離隔距離を確保しなければならない。
【0036】
しかし、光散乱層650は光を散乱させて、ニュートン・リングの発生を抑制する。つまり、光散乱層650はニュートン・リング防止処理フィルム(anti Newton´s ring film)のような役割を果たす。従って、表示基板110と封止部材210の間の間隔を最少化することができる。これによって、有機発光表示装置100の全体的な厚さもスリム化できる。
【0037】
封止部材210は表示基板110に対向配置されて、薄膜トランジスター10、20、蓄電素子80、及び有機発光素子70等が外部から封止されるようにカバーする。封止部材210は第2基板部材211を含む。また、図示していないが、表示基板110と封止部材210の周縁に沿って配置されたシラントを通して、表示基板110と封止部材210は互いに合着封止されてスペーサのような構造物を介して互いの離隔が維持される。
【0038】
このような構成によって、有機発光表示装置100は外光反射によって視認性が低下することを効果的に抑制できる。また、有機発光素子70から発生した光の損失を最少化して外部に放出できる。
【0039】
また、有機発光表示装置100は光散乱層650によって外光反射を抑制するため、一般に用いられる偏光部材のような構成を省略することができる。また、偏光部材を用いる場合に相対的に落ちた有機発光表示装置100の発光効率を改善することができる。つまり、有機発光表示装置100の輝度及び寿命を向上させることができる。
【0040】
また、有機発光表示装置100においてニュートン・リング現象が生じることを抑制できる。ニュートン・リングが抑制されると、表示基板110と封止部材210の間の間隔を最小化することができて、有機発光表示装置100の全体的な厚さもスリム化できる。
【0041】
以下、本発明の第1実施形態による有機発光表示装置100の構造について積層順に具体的に説明する。また、以下、駆動薄膜トランジスター20を中心に薄膜トランジスターの構造について説明する。また、スイッチング薄膜トランジスター10は駆動薄膜トランジスター20との相違点だけ簡略に説明する。
【0042】
まず、表示基板110から説明する。図2に示したように、第1基板部材111はガラス、石英、セラミック、プラスチックなどで構成された絶縁性基板で形成される。しかし、本発明がこれに限定されるのではない。従って、第1基板部材111がステンレス鋼などで構成された金属性基板で形成されても良い。
【0043】
第1基板部材111の上にバッファー層120が形成される。バッファー層120は不純元素の浸透を防止すると共に、表面を平坦化する役割を果たし、このような役割を遂行できる多様な物質で形成できる。例えば、バッファー層120は窒化ケイ素(SiNx)膜、酸化ケイ素(SiOx)膜、酸窒化ケイ素(SiOxNy)膜のうち何れか一つが用いられる。しかし、バッファー層120は必ずしも必要なものではないため、第1基板部材111の種類及び工程条件により省略できる。
【0044】
バッファー層120の上には駆動半導体層132が形成される。駆動半導体層132は多結晶シリコン膜で形成される。また、駆動半導体層132は不純物がドーピングされないチャンネル領域135と、チャンネル領域135の両側においてp+ドーピングされて形成されたソース領域136及びドレーン領域137を含む。この時、ドーピングされるイオン物質はホウ素(B)のようなP型不純物であり、主にBが使用される。ここで、このような不純物は薄膜トランジスターの種類によって変わる。
【0045】
本発明の第1実施形態においては、駆動薄膜トランジスター20としてP型不純物を用いたPMOS構造の薄膜トランジスターが使用されたが、これに限定されるのではない。従って、駆動薄膜トランジスター20としてNMOS構造またはCMOS構造の薄膜トランジスター全てが用いられる。
【0046】
また、図2に示された駆動薄膜トランジスター20は多結晶シリコン膜を含む多結晶薄膜トランジスターであるが、図2に示されていないスイッチング薄膜トランジスター10は多結晶薄膜トランジスターであっても良く、非晶質シリコン膜を含む非晶質薄膜トランジスターであっても良い。
【0047】
駆動半導体層132の上には窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などで構成されたゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140の上に駆動ゲート電極155を含むゲート配線が形成される。また、ゲート配線はゲートライン151、第1蓄電板158及びその他配線をさらに含む。また、駆動ゲート電極155は駆動半導体層132の少なくとも一部、特にチャンネル領域135と重なるように形成される。
【0048】
ゲート絶縁膜140上には駆動ゲート電極155を覆う層間絶縁膜160が形成される。ゲート絶縁膜140と層間絶縁膜160は駆動半導体層132のソース領域136及びドレーン領域137を露出する複数の貫通孔を共に有する。層間絶縁膜160は、ゲート絶縁膜140と同様に、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)等で形成される。
【0049】
層間絶縁膜160上には駆動ソース電極176及び駆動ドレーン電極177を含むデータ配線が形成される。また、データ配線はデータライン171、共通電源ライン172、第2蓄電板178及びその他配線をさらに含む。また、駆動ソース電極176及び駆動ドレーン電極177は各々層間絶縁膜160及びゲート絶縁膜140に形成された貫通孔を通して、駆動半導体層132のソース領域136及びドレーン領域137と接続される。
【0050】
このように、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176及び駆動ドレーン電極177を含む駆動薄膜トランジスター20が形成される。駆動薄膜トランジスター20の構成は前述した例に限定されず、当該技術分野の通常の知識を有する者が容易に実施できる公知された構成で多様に変形できる。
【0051】
層間絶縁膜160上にはデータ配線172、176、177、178を覆う平坦化膜180が形成される。平坦化膜180はその上に形成される有機発光素子70の発光効率を高めるために段差をなくして平坦化させる役割を果たす。また、平坦化膜180はドレーン電極177の一部を露出させる接続孔182を有する。
【0052】
平坦化膜180は、アクリル系樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(polyamides resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides rein)、不飽和ポリエステル系樹脂(unsaturated polyesters resin)、ポリフェニレン系樹脂(polyphenylenethers resin)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(polyphenylene sulfides resin)、及びベンゾシクロブテン(benzocyclobutene、BCB)の中から選択された少なくとも一つ以上の物質で形成できる。
【0053】
また、本発明の第1実施形態は前述した構造に限定されるのではなく、場合により平坦化膜180と層間絶縁膜160のうち何れか一つは省略できる。
【0054】
平坦化膜180の上には有機発光素子70の画素電極710が形成される。つまり、有機発光表示装置100は複数の画素毎に各々配置された複数の画素電極710を含む。この時、複数の画素電極710は互いに離隔配置される。画素電極710は平坦化膜180の接続孔182を通してドレーン電極177と接続される。
【0055】
また、平坦化膜180の上には各々の画素電極710を露出する複数の開口部199を有する画素定義膜190が形成される。つまり、画素定義膜190の開口部199は各画素に形成される。また、画素電極710は画素定義膜190の開口部199に対応されるように配置される。しかし、画素電極710が必ず画素定義膜190の開口部199にだけ配置されるのではなく、画素電極710の一部が画素定義膜190と重なるように画素定義膜190の下に配置されても良い。画素定義膜190が形成された部分は実質的に非発光領域となり、画素定義膜190の開口部199が形成された部分は実質的に発光領域となる。
【0056】
また、画素定義膜190はポリアクリル系樹脂(polyacrylates resin)及びポリイミド系(polyimides)等の樹脂またはシリカ系の無機物などで形成できる。そして画素定義膜190は写真工程または写真エッチング工程を通して形成できる。
【0057】
画素電極710の上には有機発光層720が形成され、有機発光層720上には共通電極730が形成される。このように、画素電極710、有機発光層720、及び共通電極730を含む有機発光素子70が形成される。この時、有機発光層720は画素定義膜190の開口部199内で画素電極710及び共通電極730の間に隣接配置されて、光を発生する。そして、共通電極730は有機発光層720及び画素定義膜190上に形成される。
【0058】
有機発光層720は低分子有機物及び高分子有機物の少なくともいずれかで構成される。また、有機発光層720は発光層と、正孔注入層(hole injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole transporting layer、HTL)、電子輸送層(electron transportiong layer、ETL)、及び電子注入層(electron injection layer、EIL)のうち一つ以上を含む多重膜で形成できる。これら全てを含む場合、正孔注入層が正極の画素電極710上に配置され、その上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次に積層される。
【0059】
また、図2において有機発光層720は画素定義膜190の開口部199内にだけ配置されるが、本発明の第1実施形態がこれに限定されるのではない。従って、有機発光層720は画素定義膜190の開口部199内において画素電極710の上に形成されるだけでなく、画素定義膜190と共通電極730の間にも配置できる。具体的には、有機発光層720が発光層と共に有する正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、及び電子注入層(EIL)等のような多数の膜のうち発光層を除いた他の正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、及び電子注入層(EIL)は製造過程でオープンマスク(open mask)を用いて、共通電極730と同様に画素電極710の上にだけでなく画素定義膜190の上にも形成できる。つまり、有機発光層720に属する多数の膜の中一つ以上の膜が画素定義膜190と共通電極730の間に配置できる。
【0060】
画素電極710と共通電極730は各々透明な導電性物質で形成されたり半透過型または反射型導電性物質で形成される。画素電極710及び共通電極730を形成する物質の種類によって、有機発光表示装置100は前面発光型、背面発光型または両面発光型となる。
【0061】
一方、本発明の第1実施形態による有機発光表示装置100は前面発光型で形成される。つまり、有機発光素子70は光散乱層650を経て封止部材210方向に光を放出して画像を表示する。
【0062】
透明な導電性物質としては、インジウム錫酸化物(indium tin oxide、ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide、IZO)、ZnO(酸化亜鉛)またはIn(Indium Oxide)等の物質を使用できる。反射型物質としては、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)等の物質を用いることができる。
【0063】
図3に示したように、共通電極730上には光散乱層650が形成される。光散乱層650はa−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq、LiF、PBD、TLTA、及びCuPcの中一つ以上を含む有機膜を結晶化して形成したり、窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiOx)、及び酸窒化ケイ素酸窒化ケイ素(SiOxNy)等のようにケイ素(Si)を含む無機膜を結晶化して形成できる。ここで、a−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq、LiF、PBD、TLTA、及びCuPcの中一つ以上を含む有機膜は有機発光層720が含む発光層、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、及び電子注入層(EIL)等の素材としても用いることができる。また、ケイ素(Si)を含む無機膜は半導体層132の素材としても用いることができる。
【0064】
また、結晶化された有機膜または無機膜で形成された光散乱層650は、結晶化されない有機膜または無機膜に比べて相対的に高い表面粗度を有する。従って光散乱層650は効果的に光を散乱できる。上記の表面粗度は、例えば、AFMを用いることにより測定することができる。
【0065】
このように形成された光散乱層650は基本的に外部から流入されて画素電極710、共通電極730、及びその他導電膜で反射された光を散乱させる役割を果たす。つまり、光散乱層650は外光反射を抑制して有機発光表示装置100の視認性を向上させる。また、光散乱層650が有機発光層720と類似する有機物で形成される場合、光散乱層650は有機発光層720から放出された光がより効果的に放出できるように助ける。
【0066】
また、光散乱層650は光を散乱させて外光反射を抑制すると同時に有機発光表示装置100においてニュートン・リング(Newton´s ring)現象が起こるのを効果的に抑制できる。
【0067】
再び、図2を参照して説明すると、光散乱層650の上には封止部材210が対向配置される。封止部材210の第2基板部材211はガラス及びプラスチックなどのような透明な物質で形成される。
【0068】
また、図示していないが、シラントが表示基板110及び封止部材210の周縁に沿って配置されて表示基板110と封止部材210を互いに合着封止させ、スペーサが表示基板及び封止部材の間の離隔を維持する。
【0069】
このような構成によって、有機発光表示装置100は向上した視認性を有することができる。そして、有機発光素子70から発生された光の損失を最少化して外部に放出することができる。
【0070】
また、有機発光表示装置100においてニュートン・リング現象が生じることを抑制することができる。また、表示基板110と封止部材210の間の間隔を最少化することができ、有機発光表示装置100の全体的な厚さもスリム化することができる。
【実施例】
【0071】
以下、図4及び図5を参照して実験例と比較例を比較してみる。実験例は本発明の第1実施形態により結晶化された光散乱層650を含んでおり、比較例は光散乱層650と同じ位置に配置された結晶化されていない有機層を含んでいる。
【0072】
図4は比較例で表示基板110と封止部材210の間の間隔に対する輝度の変化を測定したグラフである。図4に示されたように、比較例の場合ニュートン・リングが抑制されるためには表示基板110と封止部材210の間の間隔が約12、000nm以上にならなければないことが分かる。
【0073】
図5は実験例で表示基板110と封止部材210の間の間隔別に輝度の変化を測定したグラフである。図5に示されたように、実験例の場合、ニュートン・リングが抑制されるためには表示基板110と封止部材210の間の間隔を約1,000nmにすればよいことが分かる。
【0074】
このような実験を通して、本発明の第1実施形態のように光散乱層650を有する有機発光表示装置100がニュートン・リング現象の発生を効果的に抑制して、表示基板110と封止部材210の間の間隔を最少化できることが分かる。従って、有機発光表示装置100の全体的な厚さもスリム化できる。
【0075】
以上、本発明を望ましい実施形態を通して説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることを本発明が属する技術分野に務める者は簡単に理解できる。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0077】
100 有機発光表示装置
10 スイッチング薄膜トランジスター
20 駆動薄膜トランジスター
70 有機発光素子
80 蓄電素子
110 表示基板
111 基板部材
120 バッファー層
131 スイッチング半導体層
132 駆動半導体層
135 チャンネル領域
136 ソース領域
137 ドレーン領域
151 ゲートライン
152 スイッチングゲート電極
155 駆動ゲート電極
158、178 蓄電板
160 層間絶縁膜
171 データライン
172 共通電源ライン
173 スイッチングソース電極
174 スイッチングドレーン電極
176 駆動ソース電極
177 駆動ドレーン電極
180 平坦化膜
182 接続孔
190 画素定義膜
199 開口部
210 封止部材
211 基板部材
650 光散乱層
710 画素電極
720 有機発光層
730 共通電極



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部材と、
前記基板部材上に形成された画素電極と、
前記画素電極上に形成された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された共通電極と、
前記共通電極上に形成されて結晶化された光散乱層と、
を含み、
前記光散乱層は、a−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq、PBD、及びCuPcの中一つ以上を含む有機膜であることを特徴とする、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記光散乱層は、結晶化された有機膜であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記光散乱層は、熱処理工程を通して結晶化されたことを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記光散乱層は、非結晶状態の有機膜より相対的に高い表面粗度を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記有機発光層は、前記共通電極方向に光を放出して画像を表示することを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機発光表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54245(P2012−54245A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243135(P2011−243135)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2009−264205(P2009−264205)の分割
【原出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】