説明

有機発光装置、有機発光装置の製造方法及び電子機器

【課題】マイクロディスプレイであっても意図しない領域における発光を抑えることが可能な有機発光装置、有機発光装置の製造方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の有機発光装置は、基板と、基板上に形成された複数の第1電極と、第1電極の端部を覆うとともに当該第1電極の一部を露出させる開口が設けられた絶縁層と、第1電極と対向して形成された第2電極と、第1電極と第2電極との間に形成された有機発光層と、を有し、絶縁層の第1電極の端部と重なる部分は、第1部分と、第1部分よりも基板に垂直な方向の厚さが薄い第2部分と、を有し、第2部分は、第1部分よりも開口側に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置、有機発光装置の製造方法及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上に有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を発光素子として形成し、発光素子の発光光を基板と反対側に取り出すトップエミッション方式の有機発光装置が電子機器の表示装置などとして多用されている。トップエミッション方式は、発光素子(有機EL素子)を挟み基板側に形成された一方の電極(例えば陽極)と基板との間に反射層を形成し、発光素子を挟む他方の電極(例えば陰極)側から光を取り出す方式であって、光の利用効率が高い方式である。このような有機EL素子は、薄型・軽量といった特徴を有し、直視型ディスプレイや各種の照明用途としての応用が提案されている。
【0003】
現在、対角1インチ未満のマイクロディスプレイが提案されている。例えば、特許文献1においては、デジタルカメラ向けの電子ビューファインダーが開示されている。このようなマイクロディスプレイの用途として有機ELディスプレイを応用する場合、精細度の制約上からRGBに対応する発光層を形成する際に各色の発光材料の塗り分けが難しい。微細なマスクの製造が困難であったり、有機ELパネルの製造プロセスにおける位置合わせ等が困難になるなど、実現が難しい。
【0004】
そこで、白色の発光材料を用いて各色の画素に共通する発光層を形成し、その上方にRGBのカラーフィルターを重ねることによって各色の合成を行う構成が知られている。この場合、キャビティ構造を用いて光路長をRGB毎に変えることにより各画素で異なる共振構造を形成する(例えば、特許文献2)。これにより、RGBの各スペクトルを持つ光を生成することができるとともに、カラーフィルターを光が通過することでさらにスペクトルピークが高められた光が出射されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−96800号公報
【特許文献2】特開平08−213174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイのサイズが数インチ以上の場合、各画素を形成するための基板側の画素電極(陽極)のサイズが数10μm〜100μm以上のオーダーであり、それに対して100〜300nmの膜厚を有する有機EL素子を形成していたため、基板側の画素電極の直上の発光層のみが発光するのが通常であった。
しかしながら、マイクロディスプレイの場合には、各画素を形成するための画素電極のサイズが数μmのオーダーであり、このような画素電極上に100〜300nmの膜厚を有する発光層を形成することになる。このため、特に、低電圧を画素電極に印加した場合、その直上の発光層だけでなく、横方向へもキャリアが移動してしまい、画素電極が存在しない領域の発光層も発光してしまうという不具合が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、マイクロディスプレイであっても意図しない領域における発光を抑えることが可能な有機発光装置、有機発光装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機発光装置は、基板と、前記基板上に形成された複数の第1電極と、前記第1電極の端部を覆うとともに当該第1電極の一部を露出させる開口が設けられた絶縁層と、前記第1電極と対向して形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された有機発光層と、を有し、前記絶縁層の前記第1電極の前記端部と重なる部分は、第1部分と、前記第1部分よりも前記基板に垂直な方向の厚さが薄い第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第1部分よりも前記開口側に形成されていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、第1電極の端部を覆う絶縁膜のうち開口周辺の膜厚が他の部分よりも薄くなっているので、第1電極と絶縁層との間に絶縁層の膜厚に応じて形成される段差を緩和することができる。これにより、第1電極と第2電極との間に第1電極および絶縁膜との間に形成される段差を覆うようにして形成される有機発光層が部分的に薄く形成されることを抑制することができる。これにより、第1電極と第2電極との間に電圧を印加した際に有機発光層の膜厚が薄い部分に優先的に電流が流れてリーク成分となるのを防止して、発光に寄与しない電流を少なくすることができる。これにより、電流効率を高めることができる。
【0010】
また、前記第2部分は、前記開口を囲んでいる構成としてもよい。
これによれば、第2部分が開口を囲んでいる構成のため、開口周辺全体の膜厚が他の部分よりも薄くなり、第1電極と絶縁層との間に、絶縁層の膜厚に応じて形成される開口周辺の段差を緩和することができる。
【0011】
また、前記第1部分は第1絶縁膜と、第2絶縁膜とを含み、前記第2部分は前記第1絶縁膜を含み、前記第2絶縁膜を含まない構成としてもよい。
これによれば、第2部分の膜厚が第1部分の膜厚よりも薄くなるので、第1電極と絶縁層との間に絶縁層の膜厚に応じて形成される開口周辺の段差を緩和することができる。
【0012】
また、前記絶縁層は、前記第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に積層された第2絶縁膜と、を有し、前記第1絶縁膜には前記開口が設けられており、前記第2絶縁膜には前記開口よりも広い第2の開口が設けられている構成としてもよい。
これによれば、第1絶縁膜に設けられた開口よりも、第1絶縁膜上に積層された第2絶縁膜に設けられた開口の方が広い開口とされているので、第1絶縁膜に設けられた開口周辺の厚さが薄くなり、第1電極と第1絶縁膜との間に、第1絶縁膜の膜厚に応じて形成される開口周辺の段差を緩和することができる。
【0013】
また、前記第1絶縁膜と、前記第2絶縁膜とは、無機材料からなる構成としてもよい。
これによれば、第1絶縁膜と、第2絶縁膜とを、有機材料を用いた場合と比較して薄く形成することができるので、第1電極の端部を覆う絶縁層の開口周辺の段差を緩和するのに適している。これにより、絶縁層の開口周辺において有機発光層が薄く形成されることをより軽減することができる。また、第1絶縁膜および第2絶縁膜を無機材料で形成すれば、これらの絶縁膜を有機材料で形成した場合と比較して水分を含有する割合が極めて低いため、有機発光層の劣化を抑制でき、すぐれた表示品位を保つことができる。
【0014】
また、前記基板上に、光を反射する反射層と、前記複数の第1電極と、前記絶縁層と、前記有機発光層と、前記第2電極と、が順に形成されており、前記第1電極は画素ごとに膜厚を異ならせて形成され、前記開口は前記第1電極に対応して複数形成されている構成としてもよい。
これによれば、第1電極の膜厚を画素ごとに異ならせて形成することにより、反射層との第2電極との間に光路長に応じた波長を有する光が各画素に応じて形成された開口からそれぞれ射出される。
【0015】
本発明の有機発光装置の製造方法は、基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に、前記第1電極の端部を覆うとともに当該第1電極の一部を露出させる開口が設けられた絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層上に第2電極を形成する工程と、を有し、前記絶縁層を形成する工程は、前記開口が前記第1電極の一部を露出させるように開口を形成する工程と、前記絶縁層の、前記第1電極の端部を覆っている部分に、第1部分と、前記第1部分よりも前記基板に垂直な方向の厚さが薄い第2部分とを、前記第2部分を前記第1部分よりも前記開口側に形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
これによれば、第1電極の端部を覆っている部分に、第1部分と、第1部分よりも基板に垂直な方向の厚さが薄い第2部分とを形成するとともに、第2部分を第1部分よりも開口側に形成することにより、第1電極の端部を覆う絶縁膜のうち開口周辺の膜厚が他の部分よりも薄くなるため、第1電極と絶縁層との間に絶縁層の膜厚に応じて形成される段差を緩和することができる。これにより、第1電極と第2電極との間に第1電極および絶縁膜との間に形成される段差を覆うようにして形成される有機発光層が部分的に薄く形成されることを抑制することができる。これにより、第1電極と第2電極との間に電圧を印加した際に有機発光層の膜厚が薄い部分に優先的に電流が流れてリーク成分となるのを防止して、発光に寄与しない電流を少なくすることができる。これにより、電流効率を高めることができる。
【0017】
本発明の電子機器は、上記の有機発光装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、マイクロディスプレイであっても意図しない領域における発光を抑えることが可能な有機発光装置を備えているので、良好な表示を行える電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態である有機発光装置の全体構成を示す平面図。
【図2】実施形態における有機発光装置の全体構成を示す回路図。
【図3】表示単位画素の構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図4】アクティブマトリクスの構成を1画素に着目して示す平面図。
【図5】有機発光装置の構成を示す部分断面図。
【図6】第2実施形態の有機発光装置の要部を拡大して示す断面図。
【図7】膜厚の異なる陰極に対応する絶縁膜の開口から得られる各色の発光スペクトルを示す図。
【図8】各サブ画素に対応する絶縁層の開口から得られる発光スペクトルと、膜厚50nmの絶縁層における開口周縁上の有機EL発光層からの発光スペクトルを示す図。
【図9】各サブ画素に対応する絶縁層の開口から得られる発光スペクトルと、膜厚50nmの絶縁層における開口周縁上の有機EL発光層からの発光スペクトルを示す図。
【図10】各サブ画素に対応する絶縁層の開口から得られる発光スペクトルと、膜厚50nmの絶縁層における開口周縁上の有機EL発光層からの発光スペクトルを示す図。
【図11】サブ画素に対応する絶縁層の開口から得られる発光スペクトルと、膜厚10nmの絶縁層上の有機EL発光層からの発光スペクトルを示す図。
【図12】サブ画素に対応する絶縁層の開口から得られる発光スペクトルと、膜厚10nmの絶縁層上の有機EL発光層からの発光スペクトルを示す図。
【図13】サブ画素に対応する絶縁層の開口から得られる発光スペクトルと、膜厚10nmの絶縁層上の有機EL発光層からの発光スペクトルを示す図。
【図14】各実施形態の有機発光装置を備えた電子機器の例について示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態である有機発光装置の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の有機発光装置100は、基板10A上の表示領域4には、R,G,Bに対応して設けられたサブ画素3R,3G,3Bがマトリクス状に規則的に配置されている。これらR,G,Bに対応する3つのサブ画素3R,3G,3Bが一つの基本単位となって表示単位画素3を構成しており、これによって、表示単位画素3は、RGBの光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。このとき、各サブ画素3R,3G,3Bの配列は、一方向にR,G,Bが繰り返し並ぶように配列されている。
【0021】
図2は、本実施形態における有機発光装置の全体構成を示す回路図である。
図2に示すように、本実施形態の有機発光装置100は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に平行して延在する複数の電源供給線103とがそれぞれ配列された回路構成を有するとともに、走査線101および信号線102の各交点付近に、R,G,Bに対応するサブ画素3R,3G,3Bが設けられている。これら3つのサブ画素3R,3G,3Bは、走査線101の延在方向に沿ってこの順番に設けられる。
【0022】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタおよびアナログスイッチ等を備えるデータ側駆動回路90が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタ等を備える走査側駆動回路80が接続されている。
【0023】
サブ画素3R,3G,3Bの各々には、走査線101を介して走査線信号がゲート電極に供給されるスイッチングトランジスタ112と、このスイッチングトランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量113と、この保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動トランジスタ123と、この駆動トランジスタ123を介して電源供給線103に電気的に接続したときに当該電源供給線103から駆動電流が与えられる陽極(第1電極)16と、この陽極16と陰極(第2電極)18との間に有機EL発光層19が挟み込まれてなる有機EL素子7と、が設けられている。
【0024】
図3は、表示単位画素の構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図3(a),(b)に示すように、表示単位画素3を構成するサブ画素3R,3G,3Bは、絶縁層22によって区画された画素領域を有し、この画素領域ごとに発光領域17を有している。発光領域17とは、陰極18、有機EL発光層(有機発光層)19および各陽極16R,16G,16Bが重なって積層形成された領域である。本実施形態では、表示単位画素3内における各サブ画素3R,3G,3Bどうしの距離L1は1.5μmとなっている。さらに、表示単位画素間距離L2は、サブ画素間距離L1よりも大きく、L1<L2の関係となっている。
【0025】
図4は、アクティブマトリクスの構成を1画素に着目して示す平面図である。
図4に示すように、サブ画素3R,3G,3Bに対応して設けられた陽極16R,16G,16B上には、その表面161の一部を露出させる開口22Aを有した絶縁層22が形成されている。絶縁層22のうち、開口22Aを囲むようにしてその周囲に存在する第2部分222の膜厚は他の部分(第1部分221)の膜厚よりも薄く形成されている。各開口22Aの周辺に存在する絶縁層22と陽極16R,16G,16Bとの間に形成される段差は、第2部分222の膜厚に相当する。そのため、第2部分222を有さない従来の構成よりも段差は小さくなる。
【0026】
図5は、有機発光装置の構成を示す部分断面図である。
本実施形態の有機発光装置100は、トップエミッション構造であって、基板10A上の表示領域4内におけるサブ画素3R,3G,3Bごとに、図5に示すように、有機EL素子7とこの有機EL素子7を発光駆動させる駆動回路8とが設けられたアクティブマトリクス基板10と、アクティブマトリクス基板10上に対向配置されたカラーフィルター基板20とを備えている。
【0027】
以下、各構成要素について具体的に述べる。
図5に示すように、基板10A上に形成されたデバイス層12は、スイッチングトランジスタ(不図示)、駆動トランジスタ123、保持容量113等を含む層で、駆動回路8はこのデバイス層12の内部に形成されている。
駆動トランジスタ123は、基板10A上に形成された半導体層41aのドレイン領域に接続されたドレイン電極41dと、半導体層41aのソース領域と接続されたソース電極41cと、半導体層41aを覆うゲート絶縁膜41b上に形成されたゲート電極41eとで構成されている。そして、ドレイン電極41dは、電源供給線103に接続され、ソース電極41cは、ソース電極41cおよびドレイン電極41dを覆うように形成されたカバー層44および平坦化層45,46を貫通して形成された各コンタクトホールHを介して対応する各陽極16R,16G,16Bと接続されている。
なお、本実施形態においては駆動トランジスタが薄膜トランジスタである場合を示したが、駆動トランジスタは半導体基板を用いて形成される電界効果トランジスタ(MISFET)であってもよい。
【0028】
本実施形態の有機発光装置100はトップエミッション構造を有していることから、有機EL素子7の発光光が陰極18側から射出するように、陽極16R,16G,16Bと基板10Aとの間には各サブ画素3R,3G,3Bに対応する反射層14が複数形成されている。
反射層14は、デバイス層12の表面上にサブ画素3R,3G,3Bごとにパターン形成されたものであり、光反射率の高い材料より形成されている。反射層14の形成材料として、例えば、アルミニウム、銀、あるいは銀の合金などが挙げられる。反射層14は、有機EL素子7の発光光のうち、陽極16R,16G,16Bを透過して基板10A側に射出される光を反射して陰極18側へと射出させる。なお、反射層14は、デバイス層12の表面上の領域(コンタクトホールHの形成領域を除く領域)全体に形成されていてもよい。
【0029】
デバイス層12(平坦化層46)の表面上には、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる陽極16R,16G,16Bが形成されている。この陽極16R,16G,16Bは、ITOなどの透明電極膜からなり、その全てが平面視において反射層14と重なる領域に形成されている。
【0030】
各陽極16R,16G,16Bにおける膜厚Tr,Tg,Tbの関係は、膜厚Tb<膜厚Tg<膜厚Trとなっている。具体的に、サブ画素3Rに対応する陽極16Rの膜厚Trは100nm、サブ画素3Gに対応する陽極16Gの膜厚Tgは60nm、サブ画素3Bに対応する陽極16Bの膜厚Tbは20nmである。なお、平面視矩形状を呈する陽極16R,16G,16Bの大きさ(表面積)は互いに等しい。
これら陽極16R,16G,16B上には、各々の周縁部(端部)162を覆うとともに各表面161の一部を露出させる開口22Aが画素ごとに設けられた絶縁層22が形成されている。
【0031】
絶縁層22は、デバイス層12の表面12a(露出した部分)を覆うとともに該表面12aから陽極16R,16G,16Bの各表面161上に一部乗り上げるようにして形成され、陽極16R,16G,16Bの周縁部162を覆っている。ここで、隣り合う陽極16R,16G,16Bどうしの膜厚は異なるものの、隣り合うサブ画素3R,3G,3B間に形成される絶縁層22の厚さは一定とされ、本実施形態における絶縁層22の膜厚は20nmである。デバイス層12の表面12aと各陽極16R,16G,16Bの表面161との間には、陽極16R,16G,16Bの膜厚に応じた段差Q1が生じることになるが、この段差Q1を覆うようにして絶縁層22が存在する。
なお、本明細書において「一定、同じ、等しい」とは、製造プロセス上生じる誤差を含む。
【0032】
また、絶縁層22は、陽極16R,16G,16Bの端部を覆うようにして形成されるとともに、陽極16R,16G,16Bの各表面161の中央側を部分的に露出させる開口22Aを有している。絶縁層22のうち、平面視において陽極16R,16G,16Bの端部(周縁部162)と重なる重畳部(部分)220は、陽極16R,16G,16Bのエッジ部分を確実に被覆可能な膜厚を有する第1部分221と、第1部分221よりも薄い膜厚の第2部分222と、により構成され、開口22A側に向かって薄膜化されている。第1部分221よりも開口22A側に存在する第2部分222は、所定の発光領域を確保可能な幅を有し、第1部分221の内周面に沿って枠状に形成されたものである。
【0033】
重畳部220を構成する第1部分221の膜厚は1nm以上20nm未満であり、第2部分222の膜厚は50nm以上である。絶縁層22は無機材料を用いて形成され、例えばSiO,SiN,SiONのいずれかからなる。
このような絶縁層22とその各開口22Aから露出する陽極16R,16G,16Bの表面161を覆うようにして有機EL発光層19が形成されている。
【0034】
なお、陽極16R,16G,16Bと駆動回路8とをコンタクトさせるための接続領域には反射層14を形成することができないため共振構造とすることができない。そのため、この接続領域上に存在する有機EL発光層19の一部が発光しないように絶縁層22でカバーする。
【0035】
有機EL発光層19は、陽極16R,16G,16B側から、例えば、有機EL発光層19は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、赤色発光層(R−EML)、キャリア輸送層(CTL)、青色発光層(B−EML)、緑色発光層(G−EML)、電子注入層(EIL)が順に積層されてなり、発光領域から白色光を射出するように構成されている。積層された複数の機能層の層厚は、RGBの各サブ画素3R,3G,3Bにおいて同じ厚さである。本実施形態では、有機EL発光層19の総膜厚が100nmとなっている。
【0036】
なお、有機EL素子7を構成する各機能層はこれに限定されず、正孔注入層と正孔輸送層とが同一層とされた構成や、有機EL発光層19の全ての機能層を兼ねた構成など、他の構成であっても良い。
【0037】
陰極18は、半透過反射性を有する材料を用いて、有機EL発光層19の表面全体に形成されている。上記した陽極16は、導電性を有するとともに光透過性を有する材料で形成されているが、光路中に存在する陰極18は、例えば光が透過する程度に薄く形成された金属材料や、光透過性と光反射性とを両方備えた材料(半透過反射性を有する材料)で形成されている。これにより、反射層14において反射された光は陽極16を透過して陰極18へと入射し、その一部が陽極16側へ反射され、再び反射層14で反射されることになる。この結果、反射層14と陰極18との間の光路長に応じた波長を有する光が反射層14と陰極18との間で共振し、この共振した光が陰極18側から射出されることになる。本実施形態の陰極18は、マグネシウムと銀の共蒸着薄膜により、膜厚10〜15nmで構成されている。
【0038】
アクティブマトリクス基板10上に対向配置されるカラーフィルター基板20は、ガラス基板などの透明基板20A上に遮光膜21によって区画されたRフィルター2R、Gフィルター2G、Bフィルター2Bが各色に対応するサブ画素3R,3G,3Bの配列に合わせて形成されたものであって、各フィルター2R,2G,2Bが各サブ画素3R,3G,3Bの発光領域と重なるように配置されている。各フィルター2,2,2の表面積は、絶縁層22の開口22Aの開口面積に等しい。
【0039】
そして、サブ画素3R,3G,3Bの各発光領域から射出された各発光は、各フィルター2R,2G,2Bによってそれぞれさらに最適化されたR光,G光,B光に変換される。よって、各発光領域の明るさに応じた色の光が各フィルター2R,2G,2Bから射出されることによって、それぞれ各サブ画素3R,3G,3Bを形成してカラー画像が表示される。
【0040】
本実施形態の有機発光装置100は、白色の有機EL発光層19が形成される基板10A側には光の三原色であるRGB内にそれぞれ膜厚の異なる陽極16R,16G,16Bが形成されている。このように、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる陽極16R,16G,16Bを形成することで、反射層14と陰極18との間にそれぞれ異なる光共振器構造を形成することができる。これにより、反射層14と陰極18との間に光路長に応じた波長を有する光が反射層14と陰極18との間で共振し、共振した光が陰極18側から射出されることになる。このようにして、白色の有機EL発光層19からRGBに対応した3種類の異なる発光スペクトルが得られる構成になっている。
【0041】
本実施形態のように、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる陽極16R,16G,16Bを有する共振器構造の場合、これら陽極16R,16G,16Bの各表面161とデバイス層12の表面12aとの間には、陽極16R,16G,16Bの膜厚に応じた段差Q1が生じてしまう。そのため、このような段差が存在している基板10A上に一様に有機EL発光層19を成膜した場合、上記段差Q1が陰となってその部分の有機EL発光層19の膜厚が他の部分に比べて薄い膜厚になってしまう場合がある。この場合、陽極16と陰極18との間に電界をかけた際に有機EL発光層19の膜厚の薄い部分に優先的に電流が流れる。これが所謂リーク成分になって表示に必要な発光に寄与しない電流になるため、電流効率が低下してしまう。このリーク電流(リーク成分)は、特に陽極16R,16G,16Bと陰極18との間に低電圧を印加した際に生じやすい。
【0042】
そのため、陽極16R,16G,16Bの周縁部分に形成される段差Q1を覆うようにして絶縁層22を形成する。絶縁層22が少なくとも陽極の先端を覆うことで、段差Q1の影響が緩和される。これによって有機EL発光層19と陽極16とが接する部分が平坦になるので、有機EL発光層19のうち膜厚が薄くなった部分に優先的に電流が流れることが防止されるため、電流効率を高めることができる。
【0043】
ただし、上述したように陽極16R,16G,16Bの周縁部分に生じる段差Q1を覆うように絶縁層22を設けた場合、絶縁層22の開口22A側にも、陽極16R,16G,16Bと絶縁層22との間に、絶縁層22の膜厚に応じた段差Q2が形成されてしまう。そのため、このような段差Q2が存在している状態で一様に有機EL発光層19を成膜した場合、上記段差Q2が陰となってその部分の有機EL発光層19の膜厚が他の部分に比べて薄い膜厚になってしまう。この問題は、通常の大きさのディスプレイに比べ画素ピッチ(サブ画素間距離L1、表示単位画素間距離L2)の狭いマイクロディスプレイにおいて特に顕著になる。この場合も、上記したように薄膜化した有機EL発光層19の一部に優先的に電流が流れて絶縁層22上の有機EL発光層19が発光してしまい、電流効率が低下するという問題が生じる。また、本実施形態のように共振器構造を設けた場合、絶縁層22上の有機EL発光層19から射出された発光は、その上に形成される陰極18と反射層14との間の距離(光路長)が他の部分と異なり、意図しないスペクトルの光がサブ画素3R,3G,3Bの周辺で射出されて純粋な色の光が得られない。通常の大きさのディスプレイに比べサブ画素の面積が小さいマイクロディスプレイは、上記のようなサブ画素の周縁で射出され、本来意図した発光とは異なる色の発光が、サブ画素全体から射出される発光に占める割合が大きい。これが色ずれの原因となる。
【0044】
よって、このような段差Q2に起因する有機EL発光層19の部分的な薄膜化を防止するために、本実施形態では絶縁層22の開口22Aの周縁部分の膜厚を他の部分よりも薄く形成することで、開口22A側に生じる段差Q2を緩和するような構成となっている。ここでは、陽極16R,16G,16Bの周縁部162を覆う重畳部220のうち、第1部分221は、陽極16R,16G,16Bのエッジ部分を確実に被覆可能な膜厚を有し、第1部分221よりも開口22A側に位置する第2部分222は、第1部分221よりも薄い膜厚を有するため、第1部分221と陽極16R,16G,16Bとの間に形成される段差Q2が緩和されて小さくなる。
【0045】
開口22Aから露出する陽極16R,16G,16Bの各表面161上に有機EL発光層19の蒸着材料を付着させるためには、開口周辺に存在する絶縁層22の膜厚が薄ければ薄いほど良い。開口22Aの周辺の絶縁層22の厚さが厚ければ、蒸着源から飛来する蒸着材料は開口22Aの蒸着源との位置関係によっては、開口22Aの内側の被蒸着面となる陽極16R,16G,16Bの各表面161上に、絶縁層22の陰が大きく生じてしまう。特に、絶縁層22のパターン形状のエッジにあたる部分(陽極16R,16G,16Bの表面161と絶縁層22との角部)への到達の支障となり、開口22A上に形成される有機EL発光層19の膜厚の不均一性が顕著になる。
本実施形態のように、開口22Aの周辺に存在する絶縁層22の膜厚を薄くしておくことにより、有機EL発光層19を蒸着形成する際に開口22Aの内側に陰が生じにくくなるため、絶縁層22および陽極16R,16G,16B上には均一な膜厚の有機EL発光層19が成膜されるのである。
【0046】
これにより、陽極16R,16G,16Bと陰極18との間に低電圧を印加した際にも有機EL発光層19の一部分に優先的に電流が流れることが防止される。その結果、発光に寄与しないリーク電流を減らすことができるので、電流効率を高めることができる。
したがって、マイクロディスプレイのような微細な電極構造の場合であっても、サブ画素周辺の意図しない領域における発光を抑えることが可能となり、純粋なRGBの各光を得ることができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の有機発光装置について述べる。
本実施形態の基本構成は上記第1実施形態と同様であるが、絶縁膜の構成において異なる。よって以下の説明では、先の実施形態と異なる箇所を中心に説明し、共通の箇所については説明を省略する。
【0048】
図6は、第2実施形態の有機発光装置の要部を拡大して示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態の有機発光装置200は、積層構造とされた絶縁層52を有する。絶縁層52は、第1絶縁膜53とその上に積層された第2絶縁膜54とにより構成されたもので、サブ画素3R,3G,3Bに対応して形成された複数の開口52Aを有する。
【0049】
第1絶縁膜53は、デバイス層12の表面12aと、膜厚の異なる陽極16R,16G,16Bの各周縁部162を覆うようにして形成され、第2絶縁膜54は、第1絶縁膜53の一部53a(開口52Aの周縁部)を露出させる開口54Aを有して第1絶縁膜53上に積層されている。そのため、陽極16R,16G,16Bの周縁部162上は第1絶縁膜53および第2絶縁膜54の2層構造とされている。ここで、第1絶縁膜53および第2絶縁膜54の積層部分が第1部分に対応し、開口(第2の開口)54Aから露出する第1絶縁膜53の一部53aが第2部分に対応する。
【0050】
本実施形態では、絶縁層22のうち開口52Aの周縁に存在する絶縁膜が第1絶縁膜53のみとなっており、2層構造とされた他の部分の膜厚よりも薄くなっている。よって、本実施形態においても上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0051】
[参考例]
以下に、有機EL素子の構造と、各サブ画素において得られる発光スペクトルについて述べる。
有機EL素子7は、反射層14、陽極16、絶縁層22、有機EL発光層19および陰極18により構成され、このうち、有機EL発光層19は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、赤色発光層(R−EML)、キャリア輸送層(CTL)、青色発光層(B−EML)、緑色発光層(G−EML)、電子注入層(EIL)よりなる。
【0052】
本実施例では、反射層14にAl、絶縁層22にSiO、陽極16R,16G,16BにITO、正孔注入層(HIL)に出光興産製のHI406、正孔輸送層(HTL)にHT320、赤色発光層(R−EML)に出光興産製のBH215+RD001、電子輸送層を構成する機能層の一つであるキャリア輸送層(CTL)にHT320、青色発光層(B−EML)にBH215+BD102、緑色発光層(G−EML)にBH215+GD206、電子注入層(EIL)にAlq(tris(8−hydroxyquinolinato)aluminium)をそれぞれ用いた。
【0053】
このような素子構造の有機EL素子7において、陽極16R,16G,16Bの膜厚のみを変更して、RGBのサブ画素3R,3G,3Bに対応して形成された絶縁層22の各開口22Aから得られるRGB各色の発光スペクトルを図7に示す。
【0054】
表1に、有機EL発光素子の各機能層の膜厚を示す。
ここでは、図7に示す各色の発光スペクトルに対応して、ITOからなる陽極16R,16G,16Bの膜厚がRGBごとに異なる。陽極16Rの膜厚Trは130nm、陽極16Gの膜厚Tgは70nm、陽極16Bの膜厚Tbは30nmであり、長波長側へシフトするに従い膜厚も厚くなる。つまり、サブ画素3Rの陽極16Rの膜厚が最も大きい。また、陽極16R,16G,16B以外の各機能層の膜厚は各サブ画素3R,3G,3Bで等しい。
【0055】
【表1】

【0056】
陽極16R,16G,16Bの膜厚を異ならせることで、反射層14と陰極18との間の光路長に応じた波長を有する光がサブ画素3R,3G,3Bからそれぞれ射出される。
本実施例では、各サブ画素3R,3G,3Bからの発光スペクトルが等しくなるように、色ごとに開口22Aの開口面積、あるいはカラーフィルター基板20における各フィルター2R,2G,2Bの表面積を異ならせている。波長の大きいR画素の発光面積が最も小さく、続いてG画素の発光面積、B画素の発光面積が最も大きい。これにより、各サブ画素3R,3G,3Bからの発光強度が等しくなり、カラーバランスの取れた表示が可能である。
【0057】
次に、絶縁膜における開口周辺部分の膜厚が異なる構成について述べる。
表2に、絶縁膜における開口周辺部分の膜厚の違いを示す。
【0058】
【表2】

【0059】
[比較例]
まず、RGBの各サブ画素3R,3G,3Bにおいて、陽極16R,16G,16Bの周縁部分に重なるように膜厚50nmの絶縁層22が形成されている例について考える。
図8、図9、図10は、各サブ画素3R,3G,3Bに対応する絶縁層22の開口22Aから得られる発光スペクトルと、膜厚50nmの絶縁層22における開口周縁上の有機EL発光層19からの発光スペクトルを示す図である。
【0060】
陽極16R,16G,16Bの周縁部分では、RGB毎に異なる陽極16R,16G,16Bの膜厚に加え、周縁部162上の絶縁層22の膜厚分を含む光路長が形成される。つまり、重畳部220上の有機EL発光層19上へ注入キャリアが広がって流れて重畳部220上の有機EL発光層19が発光してしまうと、開口22Aにおいて得られる発光スペクトルとは異なる発光スペクトルの光が射出されてしまう。
【0061】
図8〜図10に、陽極16R,16G,16B上の重畳部220の膜厚が50nmの場合に、その重畳部220上の有機EL発光層19の一部領域から射出される発光スペクトルと、各開口22Aから得られる発光スペクトルを示すが、これによれば、陽極16R,16G,16Bの重畳部220上の有機EL発光層19の一部領域から射出される発光スペクトルは、開口22Aから得られる発光スペクトルに比べて長波長側に大きくシフトしており、その結果、本来得るべき開口22Aからの発光スペクトルおよび色度からずれた光となってしまう。
【0062】
[実施例]
次に、RGBのサブ画素において、陽極16R,16G,16Bの周縁部162に重なるように形成された絶縁層22の膜厚が、開口周縁において薄く形成されている例について考える。
図11、図12、図13は、サブ画素3R,3G,3Bに対応する絶縁層22の開口22Aから得られる発光スペクトルと、膜厚10nmの絶縁層22上の有機EL発光層19からの発光スペクトルを示す図である。
上記した実施例2に対し、本実施例では、陽極16R,16G,16Bの周縁部162を覆う絶縁層22の重畳部220が2段階の膜厚構造とされている。この場合、開口22Aの周縁に存在する第2部分222の膜厚が他の部分に比べて薄い膜厚を有しており、重畳部220のうち、第1部分221の膜厚は50nm、第2部分222の膜厚は10nmとなっている。
【0063】
図11〜図13に、陽極16R,16G,16B上の重畳部220のうち開口22A側である第2部分222の膜厚が10nmである場合に、その第2部分222上の有機EL発光層19の一部領域から射出される発光スペクトルと、各開口22Aから得られる発光スペクトルを示すが、これによれば、陽極16R,16G,16Bの膜厚にこの第2部分222の膜厚分の光路長が形成されたとしても、開口22Aにおける光路長との差は第1部分111における光路長に比べて小さい。そのため、第2部分222上の有機EL発光層19の一部領域から射出される発光スペクトルは、開口22Aから得られる発光スペクトルに比べて長波長側に僅かにシフトする程度であり、本来得るべき発光スペクトルおよび色度からのズレは少ないものとなる。
【0064】
表3に、各発光スペクトルから算出したCIE色度座標を示す。
【0065】
【表3】

【0066】
まず、参考例における絶縁層22の開口22Aのみから得られるRGB発光の各色度から計算すると、NTSC比は115.2%と広色域の色再現範囲が得られる。
それに対し、比較例における開口周縁部分の絶縁層22の膜厚が50nmの場合、開口22Aと重畳部220上の有機EL発光層19から得られるRGBの各発光による色再現範囲は、絶縁層22上の有機EL発光層19の発光が影響してNTSC比は63%まで低下してしまう。
そこで、開口周縁部分の絶縁層22(第2部分222)の膜厚を10nmにすることで、開口22Aと重畳部220(第2部分222)上の有機EL発光層19から得られるRGBの各発光による色再現範囲のNTSC比を92.8%まで改善させることができる。
【0067】
(電子機器)
次に、前記実施形態の有機発光装置を備えた電子機器の例について説明する。
【0068】
図14(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図14(a)において、符号1000は携帯電話本体(電子機器)を示し、符号1001は有機発光装置を備えた表示部を示している。
【0069】
図14(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図14(b)において、符号1100は時計本体(電子機器)を示し、符号1101は有機発光装置を備えた表示部を示している。
【0070】
図14(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図14(c)において、符号1200は情報処理装置(電子機器)、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理本体、符号1206は有機発光装置を備えた表示部を示している。
【0071】
図14(a)〜(c)に示す電子機器は、先の実施形態に示した有機発光装置が備えられたものであるので、表示特性が良好な電子機器となる。
【0072】
なお、電子機器としては、上記以外にも、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャー、テレビ、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などを挙げることができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0074】
3…画素、10A…基板、14…反射層、16…陽極(第1電極)、18…陰極(第2電極)、19…有機EL発光層(有機発光層)、22,52…絶縁層、22A,22R,52A,221a,222a…開口、53…絶縁膜、53…第1絶縁膜、54…第2絶縁膜、54A…開口(第2の開口)、Tb,Tg,Tr…膜厚、100,200…有機発光装置、111,221…第1部分、162…周縁部(端部)、220…重畳部(部分)、221…第1部分、222…第2部分、1000…携帯電話本体(電子機器)、1100…時計本体(電子機器)、1200…情報処理装置(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された複数の第1電極と、
前記第1電極の端部を覆うとともに当該第1電極の一部を露出させる開口が設けられた絶縁層と、
前記第1電極と対向して形成された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に形成された有機発光層と、を有し、
前記絶縁層の前記第1電極の前記端部と重なる部分は、第1部分と、前記第1部分よりも前記基板に垂直な方向の厚さが薄い第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記第1部分よりも前記開口側に形成されている
ことを特徴とする有機発光装置。
【請求項2】
前記第2部分は、前記開口を囲んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記第1部分は第1絶縁膜と、第2絶縁膜とを含み、
前記第2部分は前記第1絶縁膜を含み、前記第2絶縁膜を含まない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、前記第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に積層された第2絶縁膜と、を有し、
前記第1絶縁膜には前記開口が設けられており、
前記第2絶縁膜には前記開口よりも広い第2の開口が設けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記第1絶縁膜と、前記第2絶縁膜とは、無機材料からなる
ことを特徴とする請求項3または4のいずれか一項に記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記基板上に、光を反射する反射層と、前記複数の第1電極と、前記絶縁層と、前記有機発光層と、前記第2電極と、が順に形成されており、
前記第1電極は画素ごとに膜厚を異ならせて形成され、
前記開口は前記第1電極に対応して複数形成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の有機発光装置。
【請求項7】
基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に、前記第1電極の端部を覆うとともに当該第1電極の一部を露出させる開口が設けられた絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に有機発光層を形成する工程と、
前記有機発光層上に第2電極を形成する工程と、を有し、
前記絶縁層を形成する工程は、
前記開口が前記第1電極の一部を露出させるように開口を形成する工程と、
前記絶縁層の、前記第1電極の端部を覆っている部分に、第1部分と、前記第1部分よりも前記基板に垂直な方向の厚さが薄い第2部分とを、前記第2部分を前記第1部分よりも前記開口側に形成する工程と、を有する
ことを特徴とする有機発光装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の有機発光装置を備えたことを特徴とする、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−89444(P2013−89444A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228636(P2011−228636)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】