説明

有機金属化合物を含む排ガスの処理装置および処理方法

【課題】 比較的簡便な構成で、効率よく有機金属化合物を処理し、その金属成分の回収が可能で、安全かつ操作性のよい有機金属化合物を含む排ガスの処理装置および処理方法を提供することにある。
【解決手段】 排ガスが導入される排ガス導入口1と、導入された排ガスが酸素を含む処理用ガスと混合され加熱状態で1次酸化処理される1次酸化部3と、1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする1次トラップ部4aと、1次トラップ処理された被処理ガスが酸化触媒層に導入され2次酸化処理される2次酸化部5と、2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次トラップ部4bと、を有するとともに、1次酸化処理および2次酸化処理によって生成された粉状の金属酸化物を清浄流体により逆洗する機能を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化合物を含む排ガスの処理装置に関するもので、例えば、半導体や太陽電池等の生産装置や研究設備等において使用された材料ガス中の有機金属化合物を含む排ガスの処理装置および処理方法に関するものである。ここで、「有機金属化合物」とは、ジエチル亜鉛(DEZn)、トリメチルアルミ二ウム(TMA)やトリメチルホウ素(TMB)など後述するような金属成分と有機成分の結合体を含む化合物をいう。
【背景技術】
【0002】
最近、新規材料ガスとして、DEZn、TMAやTMBなど種々の有機金属化合物を含むガスが開発され、半導体や太陽電池等を生産する製造装置や新たな素材を開発する研究設備等において多く使用されている。こうした材料ガスは、有害成分や危険物を含むことが多く、こうした製造装置や設備からの排ガスを、所定の除害処理を行い、安全性が確保された後に排出されている。また、こうした材料ガスとともに、種々の有機溶剤が使用され、同時に除害処理を行うことが求められている。従来、こうした有機金属化合物を含む排ガスの処理方法としては、燃焼方式と乾式処理方式が知られている。
【0003】
例えば、(i)排ガスをプロパンや水素等により燃焼処理し、未反応の有機金属化合物およびその減成残留物を二酸化炭素(CO)や水(HO)と金属に分解する方法や、(ii)金属酸化物単独または金属酸化物と金属との混合物からなる触媒、具体的には金属酸化物が酸化銅(CuO)、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe)の内より選択される少なくとも1種であり、金属がニッケル(Ni)、コバルト(Co)、白金(Pt)の内より選択される少なくとも1種である触媒と接触させて排ガスを除害処理する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、(iii)排ガス中の特定の成分に対しては、その選択的処理に適した特殊な処理剤を用いて、除害処理する方法が提案されている。具体的には、シラン等のケイ素の水素化物を除く揮発性無機水素化物の除害処理として、排ガスを、硫酸ビスマスを反応主成分とする処理剤に接触させることによって、ケイ素の水素化物を主成分とするガス中に存在する不純物としての微量のアルシンやホスフィンを除去することができる例を挙げることができる(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−57761号公報
【特許文献2】特開平09−122437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような有機金属化合物を含む排ガス処理装置では、以下の課題が生じることがあった。
(i)燃焼処理方式
燃焼バーナを用いた燃焼処理においては、プロパンや水素等の燃料を必要とし、こうした危険物の取扱いが必要となり、処理加熱源として直火を用いるために、設備上の十分な保安対策を必要となる。また、処理後の排ガスを冷却するために水スクラバーによる処理等を必要とするため、処理対象ガスが禁水性を有する場合には、装置立ち上げ時など処理が不十分となる可能性がある場合(入口ガス濃度上昇あるいは流量増加など)には、処理水と著しく反応するおそれがあるとともに、こうした処理水用の廃水処理設備が必要となる。さらに、燃焼によって発生した金属は、排気中に微粉となって放出されるため、鉛系、ビスマス系有機金属化合物を使用する場合には、これらの処理が必要となる。このように排ガス処理装置に付帯して、燃料ガスの安定供給設備や排ガス中金属粉を捕集する装置等種々の設備が必要となり、設備全体が複雑かつ大型化し実用的ではない(例えば特許文献1参照)。
【0007】
(ii)酸化触媒を用いた酸化処理方式
上記のような金属酸化物単独または金属酸化物と金属との混合物からなる触媒を用いた場合には、排ガス中の有機金属化合物、具体的にはその金属成分による金属酸化物の表面の被毒の影響が大きく、触媒の酸化機能の低下を招き、頻繁な触媒の交換が必要となる。特に、まず酸化されやすい有機成分が除去された有機金属化合物から発生した原子状の金属が、金属酸化物中の酸素原子と結合して触媒表面に蓄積し被覆することによって、金属酸化物の酸化触媒機能を低下させることとなる。また、有機金属化合物中の金属は、排ガスとともに排出される場合にはこれらの処理が必要となり、処理装置の排ガス流路に付着あるいは残留した場合にはさらに回収することが難しい。現状、当該技術分野において、新規材料ガスとしての有機金属化合物を触媒酸化処理する方式が実用化された例はない。
【0008】
(iii)選択性を有する処理剤を用いた燃焼方式
特定の成分に対して選択的に処理する特殊な処理剤の使用は、その選定が困難であるとともに、上記同様、特定の成分あるいはそれを構成する金属成分によって被毒されることが多く、その処理剤の交換が頻繁に必要とされることが多い。また、有機金属化合物中の金属の処理については、上記と同様の課題を有している。
【0009】
本発明の目的は、比較的簡便な構成で、効率よく有機金属化合物を処理し、その金属成分の回収が可能で、安全かつ操作性のよい有機金属化合物を含む排ガスの処理装置および処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す有機金属化合物を含む排ガスの処理装置によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
本発明は、有機金属化合物を含む排ガスの処理装置であって、有機金属化合物を含む排ガスが導入される排ガス導入口と、導入された排ガスが酸素を含む処理用ガスと混合され加熱状態で1次酸化処理される1次酸化部と、1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする1次トラップ部と、1次トラップ処理された被処理ガスが酸化触媒層に導入され2次酸化処理される2次酸化部と、2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次トラップ部と、を有するとともに、1次酸化処理および2次酸化処理によって生成された粉状の金属酸化物を清浄流体により逆洗する機能を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、有機金属化合物を含む排ガスの処理方法であって、
有機金属化合物を含む排ガスの処理、回収プロセスにおいて、
(1)導入された排ガスを、酸素を含む処理用ガスと混合し、加熱状態で酸化処理する1次処理プロセスと、
(2)1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次処理プロセスと、
(3)1次トラップ処理された被処理ガスを、酸化触媒層に導入し、2次酸化処理する3次処理プロセスと、
(4)2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする4次処理プロセスと、
によって、排ガスの処理を行うとともに、
前記プロセスにおいて生成された粉状の金属酸化物を、清浄流体により逆洗し回収するプロセスを有することを特徴とする。
【0013】
こうした構成を有する処理装置または処理方法により、有機金属化合物を含む排ガスを徐々に効率よく酸化処理することによって、既述の従来方式に比べて、低エネルギー、低コストでの処理が可能となる。特に、助燃用あるいは逆洗用の空気等入手容易な媒体以外の手段を必要とせず、こうした酸化処理以外の別途付随した後処理を必要としない点においても優れている。また、有機金属化合物と同時に使用される有機溶剤の処理も可能であり、比較的簡便な構成で、効率よく有機金属化合物を処理し、その金属成分の回収が可能で、安全かつ操作性のよい有機金属化合物を含む排ガスの処理装置または処理方法を提供することが可能となった。つまり、排ガスの処理、回収プロセスにおいて、2つの異なる機能を有する酸化処理と、各酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物に対する2段階のトラップ処理を行うことによって、以下のような個々の処理における優れた技術的効果を得ることが可能となった。
【0014】
(i)1次酸化処理として、排ガスを空気などの支燃性ガスと混合し、加熱状態とすることによって、まず排ガス中に含まれる有機金属化合物中の有機成分が分解され、徐々に金属成分から分離した有機成分あるいは有機成分自体が酸化される。このとき、有機成分自体が燃料として使用でき、分解反応により酸化効率を向上させることができる。一方、有機成分が分離した金属成分の一部は、互いに結合し合い粉状物を形成する。また、その表面において酸化反応によって金属酸化物が形成される。こうした空気酸化によって形成された化学的に安定な金属酸化物あるいは金属表面での金属酸化物の層(被膜)は、後段での触媒表面での被毒作用が弱く、触媒の長期間の活性維持に有用である。つまり、触媒と有機金属化合物との直接の接触による酸化反応においては、有機金属化合物の分解と同時に、活性化された触媒表面において分解された金属成分から原子状金属成分が発生し易く、これが触媒の表面に結合し活性度を低下させることとなる。1次酸化処理は、こうした酸化反応を形成することによって、本発明における多次の酸化処理における事前の酸化処理機能を有している。
【0015】
(ii)2次酸化処理として、1次酸化処理において有機金属化合物中に残留する有機成分および被処理ガス中に残留する有機成分を、酸化触媒によって酸化処理するとともに、酸化反応によって金属成分から金属酸化物が形成される。このとき、1次酸化処理において加熱された被処理ガスの潜熱によって、触媒自体を予熱することができることによるエネルギーの効率化を図ることができる。また、金属成分の粉状化が進むとともに、形成された金属酸化物あるいはその表面の金属酸化物の皮膜によって、酸化触媒に対して、既述のような被毒の発生を抑制することができる。このように、2次酸化処理は、高い酸化反応を維持できる反応条件を形成することによって、本発明における多次の酸化処理において、主要な反応処理機能を有している。
【0016】
(iii)また、こうした酸化処理によって生成された粉状の金属酸化物は、各処理段階ごとに捕集あるいは分離して回収することができる。つまり、酸化触媒層の上下流に、セラミック系素材の粒状体(セラミックボール)などの粉状物の捕集機能を有するトラップ材を有するトラップ部を設けることによって、金属酸化物のフィルタとしての機能を果たしている。こうしてトラップされた金属酸化物を含む粉状物は、定期的あるいは随時、清浄流体により逆洗することによって、触媒表面に付着した粉状物とともに、効率よく回収することができる。また、酸化触媒層の上流に設けられたトラップ材は、蓄熱機能を有するとともに、後段の酸化触媒層の保温効果を有している。
【0017】
本発明は、上記有機金属化合物を含む排ガスの処理装置であって、前記処理用ガスとして空気を用い、前記酸化触媒層として、白金系の粒状酸化触媒またはハニカム状触媒を用いることを特徴とする。
【0018】
有機金属化合物を含む排ガス処理においては、有機金属化合物に対する酸化効率が重要であるとともに、酸化触媒として、被毒性が少なく耐性を有することが要求される。また本発明においては、2次の各酸化処理における機能を活かす処理剤が重要となる。各種の検証の結果、1次酸化処理においては、空気が、有機金属化合物からの有機成分の分解およびCOやHOへの変換を図るとともに、金属成分の一部を酸化し、後段の酸化触媒による酸化処理を事前に補助する適性を有することが判った。また、2次酸化処理においては、以下の酸化触媒が、上記要請に加え成型容易で非常に高い酸化効率を維持することができるという適性を有することの確証を得た。これによって、効率よく有機金属化合物を処理し、その金属成分の回収が可能で、操作性のよい排ガスの処理装置を構成することが可能となった。
【0019】
具体的に、2次酸化処理として使用する触媒としては、白金系の粒状酸化触媒またはハニカム状触媒を挙げることができる。粒状酸化触媒は、その大きな表面によって、酸化反応がより迅速に形成されるとともに、その表面に順次形成される金属酸化物の皮膜が、触媒同士あるいは粉状の金属酸化物の凝集体によって破壊されることによって粒状触媒の表面活性を維持することができる。また、ハニカム状触媒は、その表面積の大きさと被処理ガスに対する低い圧力損失を維持できることから、比較的大流量の酸化処理において優位性がある。要求される仕様に対応した触媒の選択により、高い反応処理機能を確保することができる。また、本発明においては、前段において1次酸化処理が行われ、粉状物の1次トラップ処理が行われることから、酸化触媒の負荷は比較的小さいことから、本来の活性度の高い酸化反応を確保することが可能となり、非常に効率の高い酸化処理を行うことができる。また、既に形成された金属酸化物は、その表面の皮膜によって、触媒表面に対する被毒作用も少ない。このように、2次酸化処理は、負荷が少なく高い酸化反応を維持できる反応条件を形成することによって、本発明における多次の酸化処理において、高い反応処理機能を有している。
【0020】
本発明は、上記有機金属化合物を含む排ガスの処理装置であって、前記逆洗された金属酸化物を含む粉状物が貯留される所定の容量を有する粉状物貯蔵タンクと、前記1次酸化部および2次酸化部からの該粉状物が粉状物貯蔵タンクに給送可能な流路と、該粉状物貯蔵タンク内の粉状物のレベルを検出するレベルセンサと、該粉状物を排出する排出弁を備え、所定の貯留量を超えた場合に該排出弁を開として前記粉状物を排出する機能を有することを特徴とする。
【0021】
上記のように、粉状の金属酸化物を回収するプロセスが、長期的に安定した酸化処理を行う上において重要となる。本発明は、酸化処理によって発生した粉状物を2次の各プロセスの実動中において回収ができるように、貯留可能タンクと各酸化部を接続する流路を設けるとともに、清浄流体による逆洗時において、該流路を介して強制的に貯留可能タンクに回収し、回収効率の向上を図った。また、貯留された粉状物のレベルを監視することによって、所定量の系外への排出を自動的に行い、安定した回収効率の確保を図ることを可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、有機金属化合物を含む排ガスの処理装置であって、導入された排ガスが酸素を含む処理用ガスと混合され加熱状態で1次酸化処理される1次酸化部と、1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする1次トラップ部と、1次トラップ処理された被処理ガスが酸化触媒層に導入され2次酸化処理される2次酸化部と、2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次トラップ部と、を有するとともに、1次酸化処理および2次酸化処理によって生成された粉状の金属酸化物を清浄流体により逆洗する機能を有することを特徴とする。
【0023】
ここで、有機金属化合物を含む排ガスとしては、後述する有機金属化合物が共存するガスであれば、各種プロセスガスを含め特に限定されないが、具体的には、半導体製造装置用の材料ガスとして使用された後の排ガスや太陽電池製造の材料ガスとして使用された後の排ガス、あるいはこれらの研究用設備において使用された排ガスやペトロケミカル系プロセスの排ガスなどを挙げることができる。また、こうした排ガス中には、有機金属化合物の溶剤として使用された各種の有機溶媒が含まれることがあり、これらが含有された排ガスも対象となる。有機溶剤の具体例としては、ヘキサン(C14)、ヘプタン(C16)、オクタン(C18)などのパラフィン系有機溶剤、酢酸ブチル(CHCOO(CH)CH)などのエステル系有機溶剤、シクロヘキサン(C12)などの環状炭化水素系有機溶剤、イソプロピルアルコール((CHCHOH)などのアルコール系有機溶剤等を挙げることができる。
【0024】
また、本発明における有機金属化合物としては、以下に例示するアルキル基(R−CH)またはアルコシド基(R−OH)を含む化合物が対象となる。本装置においては、こうした有機金属化合物中の金属成分が回収され、再使用あるいは別用途の素材として使用される。
(i)アルキル基を有する有機金属化合物の例
ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、テトラメチル錫、テトラエチル錫、トリエチルアルシン、トリメチルアルシン、t−ブチルアルシン等、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAHf)、テトラキスエチルメチルジルコニウム(TEMAZ)、テトラキスジメチルアルアルミノチタニウム(TDMAT)、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタリウム(PDMAT)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)等
(ii)アルコシド基を有する有機金属化合物の例
トリメチルホウ素(B(OCH:TMB)、トリエチルホウ素(B(OC:TEB)、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリエチルホウ素(TEB)、トリメチルフォスフェート(TEPO)、トリメチルホスフェート(TMP)、ペンタエトキシタンタル(PET)、ジメチルエチルジメトキシシラン(DMDMOS)等
【0025】
<本発明に係る排ガスの処理装置の基本構成例(第1構成例)>
図1は、本発明に係る排ガスの処理装置(以下「本装置」という)の基本構成例(第1構成例)を示す概略図であり、図2は、その主要部10を拡大して示すものである。排ガスが導入される排ガス導入口1と、処理用ガスとして空気が導入される空気導入口2と、1次酸化処理される1次酸化部3と、1次トラップ処理される1次トラップ部4aと、2次酸化処理される2次酸化部5と、2次トラップ処理される2次トラップ部4bと、被処理ガスが排出される被処理ガス排出口6と、粉状物を貯蔵する粉状物貯蔵タンク7と、逆洗手段B1〜B4が設けられている。排ガス導入口1から導入された排ガスと空気導入口2から導入された空気は、1次酸化部3、1次トラップ部4a、2次酸化部5および2次トラップ部4bを経由して、清浄化されて被処理ガス排出口6から排出される。また、排ガスは、排ガス導入部1aから流路L1を介して排ガス導入口1に供給される一方、本装置の起動準備時等、本装置および触媒温度が適切な処理温度でないときは、排ガス導入部1aから流路L2に切換えて排ガスがバイパスされる。処理済みのガスあるいはバイパスされた排ガスは、流路L3を介して水槽8によって冷却された後排出される。一方、処理用ガスとしての空気は、フィルタ9aからポンプ9bによって吸引された後2分され、一方は加熱部9cによって加熱されて空気導入口2に供給され、他方は、そのまま空気導入口2に供給され、両者は切換弁9dによって切換可能とし、高温あるいは低温の空気を供給することができる。あるいは短時間の切換によって、1次酸化部3に供給される空気温度を調整することができる。流路L1,L2には各流路の開閉を担う開閉弁V1,V2が設けられ、流路L1には導入されるガスの圧力を監視する圧力計P1が設けられている。
【0026】
このとき、排ガスに含まれる有機金属化合物中の金属性(M)および有機成分(CxHyOz)あるいは排ガス中に含まれる有機溶剤等の可燃性成分(Cx’Hy’Oz’)は、各酸化部3〜5において、下記反応式1および反応式2のように酸化処理される。有機成分および可燃性成分は、COやHOに変換されてガス体として排出される。金属成分は、金属酸化物(MOn)として粉状物を形成し、逆洗によって粉状物貯蔵タンク7に貯蔵された後、所定量単位で回収される。
MCxHyOz+mO→xCO(g)+y/2HO(g)+MOn(S)・・式1
Cx’Hy’Oz’+pO→x’CO(g)+y’/2HO(g)・・式2
ここで、gは気体、Sは固体(粉体)を示す。
【0027】
処理用ガスとしては、排ガス中の有機成分および金属成分の酸化処理が可能な酸素を含むことを条件とする。具体的には、高純度酸素や空気等を挙げることができる。組成が安定なガスを用いることによって、安定な酸化処理を行うことができる。また、入手の容易性から空気が好ましい。さらに、後段での触媒による酸化反応の事前処理として、適正な酸化条件を確保する観点からも空気が好ましい。
【0028】
(1)1次酸化部について
排ガスは、支燃性ガスである空気と混合され、1次酸化部3において、有機金属化合物中の有機成分が分解され、徐々に金属成分から分離した有機成分あるいは有機成分自体が酸化される。また、金属成分の一部は、互いに結合し合い粉状物を形成し、その表面に金属酸化物が形成される。これによって、こうした事前の酸化処理を経ずに、いきなり活性化された触媒(Cat)表面において酸化処理を行った場合に生じる、下式3,4に示すような、分解された金属成分からの原子状金属成分Mの発生という過度の酸化反応を抑えることができる。
MCxHyOz+mO→xCO(g)+y/2HO(g)+M ・・式3
+Cat→Cat−M ・・式4
このとき、有機成分あるいは可燃性成分自体が燃料として使用でき、分解反応により酸化効率を向上させることができる。1次酸化部3には、その内部に温度センサ3aが設けられ、所望の温度に管理維持される。
また、排ガス中に他の可燃性成分が含まれる場合(有機金属化合物を含む有機溶媒)においても、こうした可燃性成分も同時に酸化される。このとき、1次酸化部3は、2次酸化処理の事前の酸化処理だけでなく、加熱された空気と混ぜることで、後段の酸化触媒での有機溶媒の分解反応を促進する機能を有している。
【0029】
ここで、1次酸化部3での酸化処理温度は、150〜250℃程度が好ましい。150℃以下では有機金属化合物中の有機成分の分解反応が起こりにくく、250℃を超えると反応過程において原子状金属成分が生成し易く、後段の触媒表面への付着による被毒のおそれがある。また、酸化処理温度への加熱は、排ガス中の有機金属化合物や可燃性成分の一時的な濃縮状態の発生(例えば凝縮物や残留濃縮物の発生等)に伴う危険性を回避する等の観点から、混合する空気の事前加熱あるいは1次酸化部3の外周の加熱が好ましい。さらに、こうした1次酸化部3での加熱処理は、後段での触媒の酸化反応活性を確保するための予熱処理としての機能を果たしている。排ガスおよび空気の流量は、処理量あるいは排ガス中の有機金属化合物の種類や濃度によって異なるが、例えば、後述するジエチル亜鉛(DEZn)が約2%含まれる窒素ベースの排ガスを対象とする場合にあっては、排ガス流量および空気を各々0.5〜1.0slm程度とすることが好ましい。
【0030】
(2)1次トラップ部について
1次酸化部3で生成した金属酸化物を含む粉状物は、そのまま後段の酸化触媒層に導入されると、触媒表面や各酸化部3,5の流路壁面に付着し易く、これらが固化すると触媒活性にも影響を与えることがある。1次トラップ部4aは、こうした酸化触媒の被毒を防止するとともに、トラップされた粉状物を逆洗によって回収することを目的とする。つまり、こうした無機系の粉状物は、例えばセラミックス系素材等の無機系吸着剤などに対する付着性も強い。従って、1次酸化部3での酸化処理によって生じた粉状物をその下流に設けた無機系吸着剤(トラップ材)によりトラップすることによって、後段での酸化処理に影響を与えず本来有する機能を十分に活かすことできる。また、こうしたトラップ材によってトラップされた粉状物は、逆洗によって比較的容易に脱離することができる。従って、効率よく有機金属化合物を処理し、その金属成分の回収が可能で、操作性のよい排ガスの処理装置および処理方法を構成することが可能となった。さらに、こうしたトラップ材は蓄熱効果が高いことにより、後段の酸化触媒の保温効果を有するとともに、加温を促進することができる。
【0031】
1次トラップ部4aにおけるトラップ材の形状や数量は、特に限定されず、仕様に応じて任意に選択可能であるが、化学的に安定であり、トラップ能力が高いセラミックス系素材の粒状体(セラミックボール)が好適である。また、逆洗時の粉状物のトラップ材からの脱離性を高めるために、粒状酸化触媒を用いた場合にはこの触媒よりも大きく、約5〜20mm程度の粒径が好ましい。また、比表面積は、トラップ効率を確保する一方、過大な容量は、むしろエネルギーのロスが多くなることから、約100〜200m/g程度のものを使用することが好ましい。
【0032】
(3)2次酸化部について
1次酸化部3で、その多くを酸化処理された排ガス(被処理ガス)は、酸素が十分存在する条件で、酸化触媒が充填され酸化触媒層を形成した2次酸化部5に導入される。2次酸化部5において、有機金属化合物中に残留する有機成分および被処理ガス中に残留する有機成分が、酸化触媒によって酸化処理されるとともに、酸化反応によって金属成分から金属酸化物が形成される。また、金属成分の粉状化が進むとともに、形成された金属酸化物あるいはその表面の金属酸化物の皮膜によって、酸化触媒に対する被毒の発生を抑制することができる。このとき、1次酸化処理において加熱された被処理ガスの潜熱によって、粒状触媒自体を予熱することができる。2次酸化部5には、その内部に温度センサ5aが、その周囲にヒータ5bが設けられ、所望の温度に管理維持される。具体的に、2次酸化処理として使用する触媒としては、例えば白金系の粒状の酸化触媒(粒状触媒)またはハニカム状の酸化触媒(ハニカム触媒)を挙げることができる。要求される仕様に対応した触媒の選択により、高い反応処理機能を確保することができる。また、本装置においては、前段において1次酸化処理および粉状物の1次トラップ処理が行われることから、酸化触媒の負荷は比較的小さく、本来の活性度の高い酸化反応を確保することが可能となり、非常に効率の高い酸化処理を行うことができる。また、既に形成された金属酸化物は、その表面の皮膜によって、触媒表面に対する被毒作用も少ない。このように、2次酸化部5は、負荷が少なく高い酸化反応を維持できる反応条件を形成することによって、本発明における多次の酸化処理において、高い反応処理機能を有している。
【0033】
ここで、粒状触媒は、その大きな表面によって、酸化反応がより迅速に形成されるとともに、その表面に順次形成される金属酸化物の皮膜が、触媒同士あるいは粉状の金属酸化物の凝集体によって破壊されることによって、粒状触媒の表面活性を維持することができる。また、粒状触媒は、有機金属化合物に対する高い酸化触媒機能を有し、被毒性が少なく耐性を有することが必要であり、例えば白金系触媒やパラジウム(Pd)系触媒あるいはこれらの共触媒などを挙げることができる。特に、成型容易で非常に高い酸化効率を維持することから白金系触媒が好ましい。粒状触媒の形状や数量は、特に限定されず、仕様に応じて任意に選択可能であるが、粒径は、被処理ガスとの接触時間を確保する一方、粉状物の付着の影響を低減するために、約4〜10mm程度が好ましい。また、比表面積は、触媒効率を確保する一方、過大な容量は、むしろエネルギーのロスや粉状物の付着量が多くなり回収率の低下を招くことから、約100〜200m/g程度のものを使用することが好ましい。2次酸化部5での酸化処理温度は、350〜500℃程度が好ましい。350℃以下では下式4のように有機成分の酸化反応が不十分であり、アルコール成分などが生成し易くなり、500℃を超えると触媒自体のシンタリングにより酸化効率を低下させてしまうことがあるとともに、生成された金属酸化物の熱分解による原子状金属成分が生成し易く、触媒表面への付着による被毒のおそれがある。また、エネルギーロスも大きい。
【0034】
ハニカム触媒は、その表面積の大きさと被処理ガスに対する低い圧力損失を維持できることから、比較的大流量の酸化処理において優位性がある。また、ハニカム触媒は、上記粒状触媒と同様、有機金属化合物に対する高い酸化触媒機能を有し、被毒性が少なく耐性を有することが必要であり、例えば白金系触媒やパラジウム(Pd)系触媒あるいはこれらの共触媒などを挙げることができる。特に、成型容易で非常に高い酸化効率を維持することから白金系触媒が好ましい。また、本装置におけるハニカム触媒は、その圧力損失が少なければ透孔形状や透孔数は限定されず、その製造方法についても、特に限定されるものではない。ハニカム触媒の比表面積は、粒状触媒同様約100〜200m/g程度のものを使用することが好ましい。2次酸化部5での酸化処理温度は、2次酸化部5と同様の理由から、350〜500℃程度が好ましい。
【0035】
(4)2次トラップ部について
上記(3)のように、2次酸化部5での酸化反応によって、新たな金属酸化物を含む粉状物が生成する。2次トラップ部4bは、こうした粉状物をトラップし、逆洗によって回収することを目的とする。つまり、基本的な機能は、上記(2)1次トラップ部4aと同様であり、上流側にある酸化触媒層に対する保温効果をも有している。また、トラップ材の素材や数量等も同様であるが、2次トラップ部4bは、前段の酸化触媒がフィルタとして蓄積する粉状物をトラップするとともに、これを逆洗によって脱離しやすいものが望ましく、その形状は、粒状触媒を用いた場合には、これより細かいことが好ましい。具体的には、約2〜5mm程度の粒径が好ましい。また、比表面積は、同様に約100〜200m/g程度のものを使用することが好ましい。
【0036】
〔逆洗機構について〕
本装置は、図1および図2に例示するような逆洗手段B1〜B4からなる機構を有している。酸化処理によって生成された粉状物は、各処理段階ごとに流路壁面や触媒表面あるいはトラップ材に付着あるいは捕集されている。従って、こうした粉状物を清浄流体による逆洗によって、分離して回収することができる。つまり、粒状触媒やハニカム触媒は、その表面において金属酸化物の被膜あるいは粉状物が形成されることによって、金属酸化物のフィルタとしての機能を果たしている。そこで、逆洗手段B1〜B4から定期的あるいは随時、清浄流体を噴射することによって、流路壁面や触媒表面に付着した粉状物を各酸化処理において生成した金属酸化物とともに、効率よく回収することができる。なお、緊急時には、清浄流体として窒素を用いて逆洗することによって、各酸化部3,5での酸化反応を抑制することができ、流路の冷却速度を向上させることができる。
【0037】
逆洗手段B1は1次酸化部3の上流側流路の内壁に付着した粉状物、逆洗手段B2は1次酸化部3の下流側流路の内壁に付着した粉状物、逆洗手段B3は2次酸化部5の入口近傍および流路内壁に付着した粉状物、逆洗手段B4は2次酸化部5の酸化触媒表面、流路内壁およびトラップ部4a,4bに付着した粉状物をパージしながら、粉状物貯蔵タンク7の排出弁7aを開にすることによってこれらを粉状物貯蔵タンク7に給送し貯留することができる。清浄流体としては、通常窒素などの不活性ガスを用いるが、粉状物の逆洗が難しい場合には、洗浄水などの液体や気液混合物などによる逆洗を行うことも可能である。逆洗手段B1〜B4には、清浄流体の供給のON−OFFを作動する開閉弁S1〜S4が設けられている。
【0038】
〔粉状物貯蔵タンクについて〕
本装置は、図1および図2に例示するような粉状物が貯留される所定の容量を有する粉状物貯蔵タンク7を備えている。流路7bを介して各酸化部3、5からの粉状物が粉状物貯蔵タンク7に給送される。粉状物貯蔵タンク7内には、粉状物のレベルを検出するレベルセンサ7cと、粉状物を排出する排出弁7aを備え、所定の貯留量を超えた場合に開閉弁7dから清浄流体を供給し排出弁7aを開として粉状物を排出することができる。また、流路7bを各酸化部3、5の下部に配設することによって、粉状物を本装置の実動中においても、粉状物貯蔵タンク7への自重落下による回収ができる。さらに、清浄流体による逆洗時において、流路7aを介して強制的に粉状物貯蔵タンク7に回収し、回収効率の向上を図ることができる。また、貯留された粉状物のレベルをレベルセンサ7cを用いて監視することによって、所定量の系外への排出を自動的に行い、安定した回収効率の確保を図ることを可能にした。粉状物貯蔵タンク7には、その内部に温度センサ7eが設けられ、所望の温度に管理維持される。
【0039】
〔本装置における排ガスの処理方法〕
本装置においては、以下の排ガスの処理プロセスおよび金属酸化物の回収プロセスに沿って酸化処理、回収処理が行われるが、緊急時等においては、上記各構成要素の機能を活かした種々の対応が可能となる。
(1)導入された排ガスを、酸素を含む処理用ガスと混合し、加熱状態で酸化処理する1次処理プロセス
(2)1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次処理プロセス
(3)1次トラップ処理された被処理ガスを、酸化触媒層に導入し、2次酸化処理する3次処理プロセス
(4)2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする4次処理プロセス
【0040】
(A)排ガスの処理プロセス
緊急時においては、以下の対応が可能である。
(i)清浄流体として窒素などの酸素を含まない不活性ガスを用いて逆洗することによって、各プロセスにおける酸化反応を抑制することができるとともに、各プロセスの温度を急速に冷却することができる。
(ii)開閉弁V1を閉、V2を開とすることによって、排ガス導入部1aからの排ガスをバイパスし、各プロセスへの排ガスの導入を停止する。
【0041】
(B)金属酸化物の回収プロセス
(i)有機金属化合物が流れてこない状態を外部装置との信号入力で確認した場合や流路L1の圧力上昇によって上記処理プロセス流路が粉状物による詰まりを感知したときには、開閉弁V1を開とし、清浄流体として窒素などの不活性ガスを用いて開閉弁S1〜S4を開放することで大流量の不活性ガスが逆洗され、処理プロセス流路の粉状物を落とし、粉状物貯蔵タンク7へ運び出すことができる。
(ii)粉状物の回収を促進させることを目的として、逆洗時の開閉弁S1〜S4を開放するだけでなく、粉状物貯蔵タンク7に取り付けられた排出弁7aを断続的にパルス開放することでパージすることができる。
【0042】
<本装置における処理効率の検証>
本装置の機能およびその処理効率を以下の通り検証した。
(A)有機金属化合物がジエチル亜鉛(DEZn)の場合
アルキル基を有する有機金属化合物であるDEZnについて、本装置に用いたPt触媒での酸化分解の実験を行った。DEZnの酸化分解反応は下式5で表わされる。
(CZn+7O→4CO(g)+5HO(g)+ZnO(S)・・式5
(A−1)処理条件
図3に示す実験装置を用い、DEZn2.2%を含むNベースの排ガスを流量0.75slmで供給し、処理用ガスとして空気0.75slmを供給して、両者を混合して、温度150〜400℃に加熱されたPt触媒に導入した。Pt触媒通過後の被処理ガスおよびガスの反応生成物を、FTIR(フーリエ変換赤外線分光計、MIDAC社製:型式I−2000V)にて分析を行った。
【0043】
(A−2)実験結果
その結果を図4〜6に示す。図4は触媒層入口でFTIRによりジメチル亜鉛を分析した結果、図5および図6は触媒層出口でFTIRにより分解により生成したガスを分析した結果である。触媒層が150、200、300℃の場合、導入されたジメチル亜鉛2.2%は添加された空気と触媒との酸化分解により、ガスの分解生成物としてアルコール(エタノールとメタノール)、CO、HOが生成することがわかった(図5)。450℃の場合、ガスの反応生成物はCO,HOのみであった(図6)。また、評価後、触媒を充填したカートリッジを開放した際、白色粉体である酸化亜鉛が観察された。以上のことにより、450℃でジエチル亜鉛は空気添加による触媒により、上式5と同様に、CO、HOおよび酸化亜鉛に分解処理できることがわかった。また、アルコールおよび有害な反応生成物は生成されないこともわかった。
【0044】
(B)有機溶媒がオクタンの場合
有機溶媒としてオクタンを用い、本装置に用いたPt触媒での酸化分解の実験を行った。オクタンの加熱空気による触媒上での酸化分解は、下式6に示す。
18+25/2O→8CO(g)+9HO(g)・・式6
(B−1)処理条件
図3に示す実験装置を用い、オクタン導入量(液体換算)を1.4L/minとし、加熱された空気を流量300slm、および900slmで導入し、両者を混合して、処理開始前の温度200℃に加熱されたPt触媒に導入した。Pt触媒通過後の被処理ガスおよびガスの反応生成物を、FTIR(フーリエ変換赤外線分光計、MIDAC社製:型式I−2000V)にて分析を行った。
【0045】
(B−2)実験結果
その結果を表1に示す。空気の量を300slm、900slmと変えてオクタンの処理実験を行った結果、両条件下でもオクタンをTLVの300ppm以下まで処理することができた。また、オクタン処理後の生成物は、COとHOのみであった。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る排ガスの処理装置の基本構成例を示す概略図
【図2】基本構成例の主要部を例示する説明図
【図3】本発明に係る排ガスの処理装置の検証用の実験装置を例示する説明図
【図4】本発明に係る排ガスの処理装置の検証結果を例示する説明図
【図5】本発明に係る排ガスの処理装置の検証結果を例示する説明図
【図6】本発明に係る排ガスの処理装置の検証結果を例示する説明図
【符号の説明】
【0047】
1 排ガス導入口
2 空気導入口
3 1次酸化部
3a〜5a 温度センサ
4a 1次トラップ部
4b 2次トラップ部
5 2次酸化部
5b ヒータ
6 被処理ガス排出口
7 粉状物貯蔵タンク
8 水槽
9a フィルタ
9b ポンプ
9c 加熱部
9d 切換弁
10 主要部
B1〜B4 逆洗手段
L1〜L3 流路
S1〜S4,V1,V2 開閉弁
T1〜T3 トラップ材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機金属化合物を含む排ガスが導入される排ガス導入口と、導入された排ガスが酸素を含む処理用ガスと混合され加熱状態で1次酸化処理される1次酸化部と、1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする1次トラップ部と、1次トラップ処理された被処理ガスが酸化触媒層に導入され2次酸化処理される2次酸化部と、2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次トラップ部と、を有するとともに、1次酸化処理および2次酸化処理によって生成された粉状の金属酸化物を清浄流体により逆洗する機能を有することを特徴とする有機金属化合物を含む排ガスの処理装置。
【請求項2】
前記処理用ガスとして空気を用い、前記酸化触媒層として、白金系の粒状酸化触媒またはハニカム状触媒を用いることを特徴とする請求項1記載の有機金属化合物を含む排ガスの処理装置。
【請求項3】
前記逆洗された金属酸化物を含む粉状物が貯留される所定の容量を有する粉状物貯蔵タンクと、前記1次酸化部および2次酸化部からの該粉状物が粉状物貯蔵タンクに給送可能な流路と、該粉状物貯蔵タンク内の粉状物のレベルを検出するレベルセンサと、該粉状物を排出する排出弁を備え、所定の貯留量を超えた場合に該排出弁を開として前記粉状物を排出する機能を有することを特徴とする請求項1または2記載の有機金属化合物を含む排ガスの処理装置。
【請求項4】
有機金属化合物を含む排ガスの処理、回収プロセスにおいて、
(1)導入された排ガスを、酸素を含む処理用ガスと混合し、加熱状態で酸化処理する1次処理プロセスと、
(2)1次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする2次処理プロセスと、
(3)1次トラップ処理された被処理ガスを、酸化触媒層に導入し、2次酸化処理する3次処理プロセスと、
(4)2次酸化処理により生成した金属酸化物を含む粉状物をトラップする4次処理プロセスと、
によって、排ガスの処理を行うとともに、
前記プロセスにおいて生成された粉状の金属酸化物を、清浄流体により逆洗し回収するプロセスを有することを特徴とする有機金属化合物を含む排ガスの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−149082(P2010−149082A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332351(P2008−332351)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000109428)日本エア・リキード株式会社 (53)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】