説明

有機電子デバイスの製造方法

【課題】 極薄の基板を用いた有機電子デバイスを簡便な方法で製造すること。
【解決手段】 基板の第一表面を研磨する第一工程と、第一表面に保護高分子層を設ける第二工程と、基板の第一表面の裏側にある第二表面をエッチングにより基板の厚みを薄くする第三工程と、エッチングされた第二表面上に高分子材料を含んだ高分子層を設ける第四工程と、保護高分子層を除去する第五工程と、保護高分子層が除去された第一表面に有機電子デバイスを形成する第六工程を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可撓性基体を用いた有機電子デバイスの製造方法に関し、例えば、有機EL発光デバイスや有機半導体デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
可撓性基体を用いた有機電子デバイスは、ユピキタス社会が提唱され、それを支えるユピキタス電子機器への応用が期待されるようになってきている。その中でも有機EL発光デバイスは、無機EL素子より低電圧で発光させることができる。また、自己発光型であるため、視認性も高く、基体を可撓性基体にすることで、ユピキタス電子機器用のディスプレイや発光源としての応用が期待されている。
【0003】
しかし、可撓性基体として多く用いられる高分子材料の場合、構成材料が有機物であるため、わずかながらも透湿性を有する場合がほとんどである。有機EL発光デバイスを始めとする有機電子デバイスは微量の水分でも劣化を起こし特性を失われてしまう場合が多い。このように、有機電子デバイスの基体に高分子を使おうとした場合、基体の通過する水分を遮断することが実用化への大きな課題となっている。
【0004】
そこで、極薄いガラス基板と高分子フィルムを複合化した基体を用いる方法が上述した課題を解決する有効な方法として知られている(例えば、特許文献1を参照)。ガラス基板そのものは、透湿性は全く無いが、可撓性に欠け、少しの曲げ応力でも破壊してしまう。しかし、ガラスの破壊はガラス材料そのものの強度の問題ではなく、表面にある無数のキズが破壊起点となり弱い力でも破壊してしまうというのが定説となっている。そのキズを技術文献1に開示されているようにガラスの片面を高分子で覆うことによってガラスの曲げに対する強度を格段に向上させることが出来る。しかし、このような複合基体の具体的製造方法になると、特許文献1には「DESAG AG(ドイツ国)等から入手できる30μm程度のガラスはなお極めて取り扱いが困難であり、極めて注意深く取り扱わない限り、極めて容易に破損し得る。」(4ページ31−34行目)という記述があるだけで、複合化した後は充分な強度が得られるが、その複合材料をどのようにして確実に製造するかについての記述は見られず、薄く壊れ易いガラスを製造工程中にどのように扱うかの開示も見られない。
【特許文献1】特開平11−329715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、最初から極薄のガラス基板を用い、高分子との複合材料を作製する場合は、かなり注意深くガラスを取り扱ったとしてもガラス基板の破損は避けられず、期待される製造歩留まりは、かなり低いものに止まってしまう。
【0006】
また、大画面ディスプレイや生産効率を向上させるための多数個取り等のため基板を大型化しようとすると、極薄ガラス自体を大面積で製造することは困難となり、製造できたとしても、工程での取り扱いの困難さは容易に予想される。
【0007】
このような課題を抱えていては、折角の優れた性能も、市場に見合ったコストで提供することは困難で大きな問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、ガラスと高分子との複合された可撓性基体を簡便に製造するために、本発明の有機電子デバイスの製造方法は、基板の第一の表面を研磨する第一工程と、第一の表面に保護高分子層を設ける第二工程と、第一の表面の裏側にある第二の表面をエッチングにより除去して基板の厚みを薄くする第三工程と、エッチングされた第二の表面上に高分子材料を含んだ高分子層を設ける第四工程と、保護高分子層を除去する第五工程と、保護高分子層が除去された第一の表面に有機電子デバイスを形成する第六工程と、を備えることとした。
【0009】
ここで、高分子層として、脂肪族もしくは脂環式ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂、カルド系樹脂のいずれかを主成分とする膜を用い、コーティングにより基板の第二の表面上に形成することとした。あるいは、高分子層として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂のいずれかを主成分とする高分子膜を用い、接着剤により基板の第二の表面に貼り付けることとした。
【0010】
さらに、保護高分子層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂、アクリル樹脂、フェノールノボラック樹脂のいずれかを主成分として含むこととした。
【0011】
また、基板には0.3mm以上の厚みを持つガラス基板を用い、第三の工程により0.2mm以下の厚みになることとした。
【発明の効果】
【0012】
上述したような手段で製造される、可撓性を有する有機電子デバイスは簡便な方法にもかかわらず、平滑な基体表面に形成された有機電子デバイスは性能が高く、基体から透過する水分による劣化も無く、且つ、基体が可撓性を有するため、曲げても破壊されない強度の強いデバイスが実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の有機電子デバイスの製造方法は、基板の第一の表面を研磨する第一工程と、第一の表面に保護高分子層を設ける第二工程と、第一の表面の裏側にある第二の表面をエッチングして基板の厚みを薄くする第三工程と、エッチングされた第二の表面上に高分子材料を含んだ高分子層を設ける第四工程と、保護高分子層を除去する第五工程と、保護高分子層が除去された第一の表面に有機電子デバイスを形成する第六工程を備えている。
【0014】
有機電子デバイスを形成する基板の表面は平坦である必要があり、第一の工程で行う研磨処理は重要である。また、研磨工程に導入できる実用的な基板厚みも0.3mmが限度である。基板としては、大面積基板が可能で且つ工程上破損しないように取り扱える、0.3mm以上の厚みの基板を選択した。材料としては、ソーダガラス,ホウケイ酸ガラス,無アルカリガラス等を用途によって選択できる。
【0015】
また、以降の工程で平坦化処理した表面を保護するため、さらに、薄くなったガラスを保持(ガラス強度の補強の役目)して以降の工程を安定して行えるために、第二工程で研磨面に保護高分子層を設けている。保護高分子層の材料としては、高分子材料、それらと無機化合物の複合材料などが用いられ、形態としては基体にコーティングしても良いしフィルム膜を貼り付けても良い。この保護膜の形成は、厚いガラス基材に対して行われるので、上述したようにガラス基材を破損させる虞はない。
【0016】
次に、平坦化された表面を保護した状態で、基板の反対面をエッチングし、基板の厚みを減らして行く。ガラス基板の場合、可撓性が発現するガラス厚は、ガラスの材質によって異なるが、0.1mmより薄くなればかなり可撓性が現れる。全ての種類のガラスを考えても、0.2mmより薄くなれば可撓性が発現すると考えられる。この状態、すなわちガラスと高分子が複合化された状態で、本発明の可撓性があり且つ高い強度を持つ基材を使った有機電子デバイスが実現されるが、この状態では有機電子デバイスを作成するガラス面はエッチング表面であり、どうしても平坦性に欠け、有機電子デバイスの欠陥に繋がってしまう。また、高分子側表面に有機電子デバイスを形成する考えもあるが、高分子はガラスに比べると、熱による膨張収縮が激しく、微細な有機電子デバイスの場合、デバイスの精度が保証されず特性がばらついてしまう。そのため、本発明では基板のエッチング面上に高分子層を設けた後で、保護高分子層を除去してガラスの研磨面を露出させ、この面に有機電子デバイスを形成することとした。これにより、研磨されたガラス表面を有機電子デバイスの形成面とすることを可能にした。
【0017】
ここで、高分子層は主に高分子から成り、適宜、フィラー等の無機微粒子等を混合させても良く、コーティングもしくはフィルムとして貼り付けることで形成する。この際、研磨面に形成されている保護高分子層は極薄のガラスに対する支持フィルムの役割を担い、この工程中に基板が破損するのを防いでいる。次に第五工程では、今まで基板の研磨面を保護していた保護コーティングもしくは保護フィルムを剥離除去し、基板の研磨面を露出させる。この工程以降は、極薄基板の支持フィルムの役割は、エッチング面に形成された高分子膜が担うこととなる。
【0018】
以下に本発明の有機電子デバイスの製造方法について、さらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本実施例による有機電子デバイスの製造方法を図1に模式的に示す。図1(a)は基体11を示す断面図である。本実施例では厚みが0.5mmの無アルカリガラスを用いた。このガラスの少なくとも一方の表面が、ラップフィルムや研磨材を用いて研磨され、平坦化処理が施されており、面精度は0.1μm以下となっている。
【0020】
図1(b)は平坦化処理された表面上、すなわち、基体11の研磨面に保護高分子層12が設けられたことを表す断面図である。高分子フィルムと粘着剤を用いて、ラミネート等の方法により保護高分子層を形成してもよい。高分子フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド等から成る高分子フィルムを用いることができる。粘着層として、アクリル樹脂やシリコン樹脂などを用いることができる。ここで用いる粘着層は後に述べる剥離工程を容易に行うために、粘着性が、光や熱や溶剤浸漬等により失われるタイプのものを使用することが望ましい。
【0021】
図1(c)において、保護高分子層12が形成された基体11を、フッ酸等のエッチング液に浸漬し、ガラスエッチングを行い、厚みを0.15mmまで薄くした。この状態ではガラスそのものの強度は弱いので、このまま保護高分子層を剥離しようとすると、基体は容易に破壊されてしまう。
【0022】
図1(d)において、エッチングされた基体11のエッチング面に、脂肪族もしくは脂環式ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂、カルド系樹脂のいずれかを主成分とする膜を形成する。
【0023】
脂肪族もしくは脂環式ポリイミド樹脂の例としては、脂肪族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンを重縮合させたポリマーをγ−ブチロラクトンに溶解させた溶液などが用いられる。この溶液中にガラスとの密着性を向上させるために、適宜カップリング剤等の添加剤を混入させても良い。ポリアミドイミド樹脂の例としては、東洋紡製「バイロマックス」等があり、熱硬化性ビニルエステル樹脂の例としては、昭和高分子製「スーパーポリエステルSSPシリーズ」等がある。熱硬化性ビスフェノールA樹脂の例としては昭和高分子製「リゴライト500」等があり、カルド系樹脂の例としては新日鐵化学製「V−259」等がある。
【0024】
これらの材料は、基体上にロールコーター,バーコーター,スリットコーター等により塗布され熱硬化もしくは紫外線硬化等により、適宜硬化処理がなされ、高分子層13と成る。高分子層13の膜厚は、50μmとした。
【0025】
図1(e)において、光や熱や溶剤浸漬もしくは機械的除去手段等の補助手段を借りながら、保護高分子層12を剥離して基体1の研磨面を露出させる。この工程で、ガラス基材が50μmの高分子膜で保護されているので、剥離工程でのガラス基材の破壊は見られなかった。
【0026】
以上の工程で、有機電子デバイス用の可撓性基体が作成され、この基体は軽く、曲げなどにも強く、且つ、ガラス研磨面側は平坦な表面を維持していた。
【0027】
次に本発明による基体を用いて作製した、有機電子デバイスの一例である有機EL発光デバイスを図2に示す。図2において、21は前記の図1に示した方法で作成した基板である。基板21上に、スパッタや蒸着,CVD等の方法でITOやIZO等から成る透明導電膜で形成された陽極22が形成される。陽極が形成される面はガラス面であるため、洗浄クリーニング処理以外に特別な処理は必要とせず陽極が形成できた。陽極22上には、銅フタロシアニンや芳香族アミンからなるホール注入層23、同じく芳香族アミンである、α−NPDやTPD誘導体等からなるホール輸送層24を真空蒸着によって積層する。その上には、発光層25として、Alq3,BAlq3,Bebq2等の8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体等からなるホスト材料に、ペリレン,キナクリドン,クマリン,ルブレン,DCJTB等の蛍光発光色素をドーパントとして含有する層が共蒸着によって形成される。そして、Alq3やBebq2等からなる電子輸送層26、さらに、LiF薄膜上にAlを積層した陰極27が真空蒸着によって形成される。
【0028】
そして、この有機EL発光層を形成した基体と同じように、ガラスと高分子材料が複合された可撓性基体28をシール接着剤29により貼り合わせ封止して有機EL発光デバイスを作製した。
【0029】
このように作製された有機EL発光デバイスは簡便且つ実用的な方法で作製したにもかかわらず、水分侵入による劣化のない安定した発光特性を示し、可撓性があり携帯性に優れたデバイスであった。
【実施例2】
【0030】
同様に、図1を用いて本実施例を説明する。図1(a)で示す基体11は厚みが0.4mmのホウケイ酸ガラスである。このガラスの少なくとも片面が、ラップフィルムや研磨材を用いて研磨され平坦化処理を施され、面精度は0.1μm以下とされる。
【0031】
図1(b)において、基体11の研磨面に、ポリイミド、ポリアミド、環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂、アクリル樹脂、フェノールノボラック樹脂のいずれかを主成分とする高分子から成るコーティング膜を形成する。これらの高分子は溶液もしくは前駆体溶液とされ、これらの材料は、基体上にロールコーター,バーコーター,スリットコーター等により塗布され乾燥固化,熱硬化もしくは紫外線硬化等により、適宜硬化処理がなされ、保護高分子層12と成る。保護高分子層12の膜厚は、100μmとしたが、膜厚は薄くしたガラスを充分補強できる程度のものであればこれに限定されるものではない。この際の保護高分子層は後に述べる剥離工程を容易に行うために、光や熱や溶剤浸漬等により容易に溶解もしくは剥離されるタイプのものを使用することが望ましい。
【0032】
図1(c)において、保護高分子層12が形成された基体11を、フッ酸等のエッチング液に浸漬し、ガラスエッチングを行い、厚みを0.1mmまで薄くした。この状態ではガラスそのものの強度は弱いので、このまま保護高分子層を剥離しようとすると、基体は容易に破壊されてしまう。
【0033】
図1(d)において、エッチングされた基体11のエッチング面に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂のいずれかを主成分とする高分子膜を接着剤により、ガラス基体に貼り付ける事によって高分子層13を形成する。
【0034】
ポリエチレンテレフタレートフィルムの例としては、帝人製「テフレックス」があり、ポリエチレンナフタレートフィルムの例としては、帝人製「テオネックス」、また、ポリカーボネートフィルムの例としては、帝人製「パンライト」等がある。ポリアリレートフィルムの例としては、鐘淵化学製「クリスタレート」があり、ポリエーテルサルフォンフィルムの例としては、住友ベークライト製「スミライトFS−1300」等があり、ポリサルフォンフィルムの例としては、住友ベークライト製「スミライトFS−1200」等がある。ポリエーテルイミドフィルムの例としては、三菱樹脂製「スペリオ」等があり、ポリイミドフィルムの例としては、鐘淵化学のフッ素化ポリイミド等があり、ポリアミドフィルムの例としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体フィルムの例としては、JSR製「アートン」,日本ゼオン製「ゼオノア」等が挙げられる。また、熱硬化性ビニルエステル樹脂フィルムの例としては、昭和高分子製「リゴライト」等があり、熱硬化性ビスフェノールA樹脂の例としては、昭和高分子製「リゴライト500」等がある。
【0035】
これらの材料は、基体上にアクリル系やシリコン系の粘着剤により貼り付けられる。使用する粘着剤はガラス基体との密着性に優れるものが好ましい。貼り付けられたフィルムは高分子層13と成り、高分子層13の膜厚は、100μmとした。
【0036】
図1(e)において、光や熱や溶剤浸漬もしくは機械的除去手段等の補助手段を借りながら、保護高分子層12を剥離して基体1の研磨面を露出させる。この工程で、ガラス基材が100μmの高分子フィルムで保護されているので、剥離工程でのガラス基材の破壊は見られなかった。
【0037】
以上の工程で、有機電子デバイス用の可撓性基体が作成され、この基体は軽く、曲げなどにも強く、且つ、ガラス研磨面側は平坦な表面を維持していた。
【0038】
以下、実施例1と同様に有機EL発光デバイスを作製したところ、実施例1と同様の効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上、実施例で示した有機電子デバイスの一例である、有機EL発光デバイスは、自動車のダッシュボードの曲面光源や、軽量性・薄型を生かして、携帯型のユピキタスディスプレー、例えば、地上波デジタル受信装置や携帯型ブラウザやデジタルカメラ・ビデオカメラのモニタ等、今後の電子機器のマンマシーンインターフェースの主役となり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による有機電子デバイス用基体の製造方法を示す模式図である。
【図2】本発明による有機電子デバイスを示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
11 基体
12 保護高分子層
13 高分子層
21 基板
22 陽極
23 ホール注入層
24 ホール輸送層
25 発光層
26 電子輸送層
27 陰極
28 可撓性基体
29 シール接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第一の表面を研磨する第一工程と、前記第一の表面に保護高分子層を設ける第二工程と、前記基板の前記第一の表面の裏側にある第二の表面をエッチングにより除去して前記基板の厚みを薄くする第三工程と、エッチングされた第二の表面上に高分子材料を含んだ高分子層を設ける第四工程と、前記保護高分子層を除去する第五工程と、前記保護高分子層が除去された第一の表面に有機電子デバイスを形成する第六工程と、を備えることを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記基板は0.3mm以上の厚みを持つガラス基板であり、第三の工程により0.2mm以下の厚みになることを特徴とする請求項1に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記高分子層が、脂肪族もしくは脂環式ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂、カルド系樹脂のいずれかを主成分とする膜であり、コーティングにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記高分子層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂のいずれかを主成分とする高分子膜であり、接着剤により前記第二の表面に貼り付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記保護高分子層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、環状オレフィンポリマーもしくはその共重合体、熱硬化性ビニルエステル樹脂、熱硬化性ビスフェノールA樹脂、アクリル樹脂、フェノールノボラック樹脂のいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記保護高分子層が除去された第一の表面に形成される有機電子デバイスが有機EL発光デバイスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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