説明

有機電界発光素子及びその製造方法

【課題】定電流駆動で高い色純度の具現が可能な有機電界発光素子の提供。
【解決手段】フルカラー有機電界発光素子によって、従来の蛍光物質を用いて表現される赤色と緑色と青色のうち、赤色及び青色のサブ画素が燐光物質を含み、緑色のサブ画素が蛍光物質を含んだ発光層とを含み、燐光物質で形成された発光層上にのみホール遮断層(HBL)を形成する。これを用いた能動マトリックス型表示素子の提供を可能にし、並びに、表示素子の消費電力を低減し製品の競争力を高た大面積フルカラー表示素子の製作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光素子に関し、特に、低電流駆動で高い色純度の具現が可能な有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、有機電界発光素子は、蛍光または燐光効率が優秀な有機化合物を用いているために分子設計及び合成によって多様なバンドギャップを有する物質を容易に開発でき、製作温度が低いためにガラスだけでなくプラスチック基板等にも製作できるので応用可能性が高い。
【0003】
図1は、従来の有機電界発光素子の概略的な断面図である。
図示したように、有機電界発光素子10は、電子注入電極である第1電極12と正孔注入電極である第2電極14と、前記2つの電極間に介在する有機膜16で構成される。
【0004】
前記有機膜16は、前記第1電極12と接触したホール輸送層(Hole Transporting Layer:HTL)16aと、前記第2電極14と接触した電子輸送層(Electron Transporting Layer:ETL)16cと、前記ホール輸送層16aと電子輸送層16c間で印加された電界によって発光する電界発光有機膜(以下「発光層」と称する)16bで構成される。
【0005】
前述した構成を有する有機電界発光素子10は、前記第1電極と第2電極から発光層(light Emitting Material Layer:EML)内部に注入された電子と正孔が結合した励起子が励起状態から基底状態に落ちる時発光する素子である。
【0006】
前記電子輸送層16cとホール輸送層16aを前述のように構成すれば、量子効率を高めることができ、キャリアを直接注入せずに輸送層通過の2段階注入過程を通して駆動電圧を低めることができる長所がある。
【0007】
また、前記発光層16bに注入された電子とホールが発光層を経て反対側電極に移動するときに反対側輸送層に塞がることによって再結合調節が可能になる。これによって発光効率を向上させることができる。
【0008】
前述したような動作特性を有する有機電界発光素子10を表示素子で用いる場合、複数の画素領域が定義された大面積基板に前述したような基本構造の有機電界発光素子を製作すればよい。
このとき、前記画素領域は、赤色と緑色と青色を表示するサブ画素領域で構成され、前記異なる光を表現するために各サブ画素領域毎に異なる有機物質を用いてパターニングする。
【0009】
図2は、従来のフルカラー有機電界発光素子の概略的な断面図である。
一般的に、受動マトリックス型有機電界発光素子の平面的構成は、基板30上に平面的に相互離隔して1方向に構成された複数の第1電極32と、前記第1電極32上部に構成された多層有機膜34と、前記有機膜34の上部に構成された、前記第1電極32と垂直に交差する、サブ画素領域R、G及びBを定義する、1方向に所定間隔離隔して形成された第2電極36で構成される。
【0010】
前記多層有機膜34は、正孔注入層(Hole Induced Layer:HIL)34aと正孔輸送層(Hole Transporting Layer:HTL)34bと発光層34cと電子輸送層34dからなる多層で構成される。
【0011】
前記多層有機膜34と前記第2電極36は、縦方向に構成されたサブ画素領域R、G、Bの上部で複数の画素に沿って延ばして形成される。
すなわち、前記有機膜34と第2電極36は、前記縦方向に構成された画素部の上部に相互独立的に構成される。
【0012】
フルカラーを具現する有機電界発光素子を前述した構成にする場合には各サブ画素領域(R、G、B)毎に異なる発光層34cを独立的にパターニングする。
【0013】
図3は、前記発光物質のエネルギー状態を示した図面である。
一般的に、発光は前記第1電極と第2電極から注入された電子と正孔が再結合した励起子が基底状態になるときに起こる。
このとき、スピンS=1/2である前記電子と正孔が励起子を形成し、2スピンが逆対称で配列されるS=0である一重項状態20と、2スピンが対称で配列されるS=1である三重項状態22が1対3の比率で生成される。
【0014】
交換相互作用エネルギーによって一重項状態より三重項状態22のエネルギーのほうが低いが、一重項状態20から三重項状態に転移することはスピンが変わるので許容されない。しかしスピン軌道結合によって一重項状態は三重項状態22に転移することができる。
【0015】
有機分子の底状態24は、スピン一重項状態であるので、量子力学的選択率によると三重項励起子は一重項である底状態で光を出して遷移することが禁止されるが、一重項励起子は光を出して底状態に遷移して蛍光を発する。ところでスピン−軌道結合のような攝動によって三重項励起子も光を出して遷移できるがこれを燐光という。
【0016】
したがって、蛍光物質を用いる素子の場合、三重項励起子が総発光に寄与できないことにより一重項励起子のみを利用するためのエネルギー効率や物質の寿命を考慮すれば、三重項励起子を利用する燐光物質を用いることが効率的なことが分かる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来は、主に多く商品化されている蛍光物質を利用して、発光層を形成してきた。
しかし、前記発光層を形成するために蛍光物質のみを用いると十分な効率が得られなくなる。
すなわち、蛍光物質のみを用いる場合、各赤色と緑色と青色に発光する有機物質毎に発光効率が同一でないために、ある有機物質が同一のレベルの電流で駆動する場合、残りの色を発光する有機膜に比べて発光効率が低くなることがある。
【0018】
したがって、フルカラー有機電界発光素子の製作時に、白色の色純度を合わせるために、一部有機物質の駆動電流を高める方法で発光効率を大きくして白色純度を合わせた。
しかし、これは高い駆動電流を必要とするために消費電力が高まる問題がある。
【0019】
本発明は前述したような問題を解決する目的で案出されたものであり、本発明によるフルカラー有機電界発光素子によって、従来の蛍光物質を用いて表現される赤色と緑色と青色のうち発光効率が低い色には燐光物質を用い、残りの色には蛍光物質を用いた能動マトリックス型表示素子を製作する。
【0020】
前述したような本発明による構成は、表示素子の消費電力を低減し製品の競争力を高める一方で大面積フルカラー表示素子の製作を可能にすることを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述したような目的を達成するための有機電界発光素子は、赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域が定義された基板と、前記基板上に構成された駆動素子と、前記駆動素子と接触する、ホールを注入する第1電極と、前記第1電極の上部に構成された、電子を注入する第2電極と、前記第1電極と第2電極間において、前記複数のサブ画素領域中少なくとも一つのサブ画素領域に燐光物質で形成された発光層を含む。
【0022】
また、前述したような目的を達成するための他の有機電界発光素子は、赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域が定義された基板と、前記基板上に第1方向に形成された、ホールを注入する第1電極と、前記第1電極の上部に前記第1方向に垂直な第2方向に形成された、前記第1電極と一緒に前記複数のサブ画素領域を定義する、電子を注入する第2電極と、前記第1電極と第2電極間において、前記複数のサブ画素領域中少なくとも一つのサブ画素領域に燐光物質で形成された発光層を含む。
【0023】
また、前述したような目的を達成するための有機電界発光素子の製造方法は、赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域が定義された基板上に駆動素子を形成する段階と、前記駆動素子と接触する、ホールを注入する第1電極を形成する段階と、前記第1電極の上部に、前記複数のサブ画素領域中少なくとも一つのサブ画素領域に燐光物質で形成される発光層を形成する段階と、前記発光層上部に電子を注入する第2電極を形成する段階とを含む。
【0024】
また、前述したような目的を達成するための他の有機電界発光素子の製造方法は、赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域が定義された基板上にホールを注入する第1電極を第1方向に形成する段階と、前記第1電極の上部に、前記複数のサブ画素領域中少なくとも一つのサブ画素領域に燐光物質で形成される発光層を形成する段階と、前記発光層上部に、前記第1電極とともに前記複数のサブ画素領域を定義する、電子を注入する第2電極を前記第1方向に垂直な第2方向に形成する段階とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照しながら本発明による望ましい実施例を説明する。
本発明の一つの実施例はフルカラー能動マトリックス型有機電界発光素子を構成する発光層の一部を電気燐光物質で形成することを特徴とする。
【0026】
図4は本発明の一つの実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
図示したように、画素領域(図示せず)が定義された透明なプラスチック基板またはガラス基板100上に駆動素子Tを形成する。
前記画素領域は赤色、緑色、青色のための複数のサブ画素領域R、G、Bで構成され、サブ画素領域R、G、Bの一側にはスイッチング素子(図示せず)が形成され、駆動素子Tはスイッチング素子の信号によって第1電極112を駆動する。
【0027】
前記スイッチング素子と駆動素子Tは、ゲート電極102とソース電極及びドレイン電極104、106とアクティブ層108からなる薄膜トランジスタTを用いる。
前記サブ画素領域R、G、Bの一側には前記スイッチング素子及び駆動素子Tと連結されたストレージキャパシタ(図示せず)を構成する。
【0028】
前述した構成で、前記サブ画素領域R、G、Bに多層有機膜120を構成し、前記有機膜120をはさんで第1電極112と第2電極124を構成する。
一般的に、前記第1電極112は仕事関数が高い金属中インジウム−スズ−オキサイド(ITO)またはインジウム−酸化亜鉛(IZO)のような透明な導電性金属を用いて形成し、前記第2電極124は仕事関数が低い金属中カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等で構成された金属中の一つを選択して、あるいはフッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)のような二重金属層で形成する。
【0029】
前記第1電極112は、前記有機膜120にホールを注入するホール注入電極であって、前記ドレイン電極106と連結されて信号電流の印加を受ける。
前記第2電極124は、前記有機膜120に電子を注入する電子注入電極であって、基板上に別途に構成された共通配線(図示せず)に連結されて形成される。
前記スイッチング素子(図示せず)は、基板100に1方向で構成されたゲート配線(図示せず)とデータ配線(図示せず)と連結されて構成される。
【0030】
図示したように、赤色と緑色と青色を表示するサブ画素領域R、G、Bが集まって単一画素領域をなし、各画素領域には第1電極112とホール注入層120aとホール輸送層120bと発光層120cと電子輸送層120eと第2電極124が構成される。
【0031】
本発明は、赤色と青色と緑色を表示する各サブ画素領域R、G、Bの発光効率を同一にするために燐光物質と蛍光物質を選択的に用いることを特徴とし、特に前記一つの実施例は、効率が低い赤色サブ画素領域Rの発光層120cを燐光物質で形成し、残りの緑色及び青色サブ画素領域G、Bの発光層は蛍光物質で形成することを特徴とする。他の実施例では緑色または青色サブ画素領域G、B中の一つの発光層を燐光物質で形成して残りのサブ画素領域の発光層は蛍光物質で形成することが可能なことは明白である。
【0032】
このような構成で、前記赤色を表示するサブ画素領域Rの発光層120cは燐光物質を蒸着しパターン形成する。
前記燐光物質は、前述した理由によって低電流駆動で発光効率が向上するために鮮明な赤色を表示することができる。
【0033】
前述のように燐光物質を利用して発光層をパターニングする場合には、前記発光層の上部に各々正孔遮断層120dを別途でさらに構成する。
前記燐光物質を用いて形成した発光層の上部に前記正孔遮断層120dをさらに形成する理由は、一般的に三重項発光物質と一重項発光物質ではエネルギーバンドの位置が異なるが、前記三重項物質は一重項物質と異なって電子とホールの再結合確率が少ないためである。
【0034】
したがって、前記ホールと電子の再結合確率を高めるためには前記ホールが前記発光層120cの内部に長く止まるようにする必要があり、前記正孔遮断層(HBL)120dは前記ホールを前記発光層120cの内部にさらに長く止まるようにする機能を持つ。
【0035】
また、前記正孔注入層(HIL)120aは、前記正孔注入層と前記第1電極112とのエネルギー障壁を低めるバッファ層の役割をして、前記第1電極112から正孔輸送層(HTL)120bへのホールの注入が円滑になされるようにする。
【0036】
以下、図5は他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
前記他の実施例は、赤色と青色を表示するサブ画素領域の発光層を燐光物質で形成することを特徴とする。
図示したように、画素領域が定義された透明なプラスチック基板またはガラス基板200上に駆動素子Tを構成する。
前記画素領域は、複数のサブ画素領域R、G、Bで構成され、複数のサブ画素領域R、G、Bの一側にはスイッチング素子(図示せず)が形成され、前記駆動素子Tはスイッチング素子の信号によって第1電極212を駆動する。
【0037】
前述したように、前記スイッチング素子と駆動素子はゲート電極202とソース電極及びドレイン電極204、206とアクティブ層208からなる薄膜トランジスタTを用いる。
前記複数のサブ画素領域R、G、Bの一側にはスイッチング素子及び駆動素子Tと連結されたストレージキャパシタ(図示せず)を構成する。
【0038】
前述した構成で、前記画素Pに多層有機膜220を構成し、前記有機膜220をはさんで第1電極212と第2電極224を構成する。
一般的に、前記第1電極212はインジウム−スズ−オキサイド(ITO)またはインジウム−酸化亜鉛(IZO)のような透明な導電性金属を用いて形成し、前記第2電極220はカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等で構成された金属中の一つを選択して、あるいはフッ化リチウム/アルミニウムのような二重金属層で形成する。
【0039】
前記第1電極212は、前記有機膜220にホールを注入するホール注入電極であって、前記ドレイン電極206と連結されて信号電流の印加を受ける。
前記第2電極224は、前記有機膜220に電子を注入する電子注入電極であって、基板上に別途に構成された共通配線(図示せず)に連結されて形成される。
前記スイッチング素子(図示せず)は、基板200に1方向で構成されたゲート配線(図示せず)とデータ配線(図示せず)と連結されて構成される。
【0040】
前記他の一つの実施例は、赤色と青色を表示するサブ画素領域R、Bに燐光物質を利用して発光層220cを形成し、残りの緑色サブ画素領域Gには蛍光物質を利用して発光層220cを形成することを特徴とする。他の実施例では赤色、緑色、青色中異なる二対の色を表示するサブ画素領域の発光層を燐光物質で形成して残りの色を表示するサブ画素領域の発光層は蛍光物質で形成することもできることは明白である。
【0041】
前述したように、燐光物質で発光層220cを構成したサブ画素領域には、第1電極212とホール注入層220aとホール輸送層220bと発光層220cとホール遮断層220dと電子輸送層220eと第2電極224が構成される。
反面、蛍光物質で発光層を構成したサブ画素領域には前記ホール遮断層220dを構成しなくても良い。
【0042】
前述したような構成で、前記ホール注入層220aとホール輸送層220bは、前記各画素R、G、B毎に独立的な物質を用いて各サブ画素領域に構成した発光層220cが最大効率を示すことができるように設計する。
例えば、前記発光層220cに用いられた燐光物質がCBP(4,49−N,N9−dicarbazole−biphenyl)である場合、前記ホール遮断層としてはBCPとBAlqを用いることができる。
【0043】
図6A、図6B及び図6Cは、各々本発明によるCBP、Ir(ppy)及びPtOEPの例示的な化合物組成を示した図面であるが、図示されたIr(ppy)とPtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18−octaethyl−21H,23H−porphineplatinum(II))を各々緑色と赤色用発光層のドーパントとして用いることができる。
このとき、前記電子輸送層220eは、各サブ画素領域R、G、B毎に同一な物質を用いることができる。
【0044】
本発明によるまた他の実施例は、赤色と緑色と青色を表示する画素すべてに燐光物質を用いて発光層を形成することを特徴とする。
【0045】
図7は、本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
図示したように、画素領域(図示せず)が定義された透明なプラスチック基板またはガラス基板300上に駆動素子Tを構成する。
前記画素領域は、複数のサブ画素領域R、G、Bで構成され、複数のサブ画素領域R、G、Bの一側にはスイッチング素子(図示せず)が形成され、前記駆動素子Tはスイッチング素子の信号によって第1電極312を駆動する。
前記スイッチング素子と駆動素子は、ゲート電極302とソース電極及びドレイン電極304、306とアクティブ層308からなる薄膜トランジスタTを用いる。
画素の一側には前記スイッチング素子及び駆動素子Tと連結されたストレージキャパシタ(図示せず)を構成する。
【0046】
前述した構成で、前記画素Pに多層有機膜320を構成し、前記有機膜320をはさんで第1電極312と第2電極324を構成する。
前記有機膜320は、ホール注入層320aとホール輸送層320bと前記各画素R、G、B毎に独立的に構成された発光層320cとホール遮断層320dと電子輸送層320eで構成される。
【0047】
前述した構成で、前記第1電極312は、一般的にインジウム−スズ−オキサイドまたはインジウム−酸化亜鉛のような仕事関数が高い透明な導電性金属で形成し、前記第2電極324は仕事関数が低いアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)中の一つを選択して、あるいはフッ化リチウム/アルミニウムのような二重金属層で形成する。
このとき、前記発光層320cは、前記各サブ画素領域R、G、B毎に独立的に構成し、前述したように赤色、緑色と青色を表示するサブ画素領域R、G、Bに燐光物質を蒸着しパターニングして発光層320cを形成する。
【0048】
前記第1電極312は、前記有機膜320にホールを注入するホール注入電極であって、前記ドレイン電極306と連結されて信号電流の印加を受ける。
前記第2電極324は、前記有機膜320に電子を注入する電子注入電極であって、基板上に別途に構成された共通配線(図示せず)に連結されて形成される。
前記スイッチング素子(図示せず)は、基板300に1方向で構成されたゲート配線(図示せず)とデータ配線(図示せず)と連結されて構成される。
【0049】
前述したように、燐光物質で形成した発光層320cが構成されたサブ画素領域R、G、Bには第1電極312とホール注入層320aとホール輸送層320bと発光層320cとホール遮断層320dと電子輸送層320eと第2電極324が構成される。
【0050】
図4、5及び7では、本発明を駆動素子とスイッチング素子を利用するアクティブ型有機電界発光素子に適用したが、本発明はパッシブ型有機電界発光素子にも適用されうる。
【0051】
図8は、本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
画素領域(図示せず)が定義された透明なプラスチック基板またはガラス基板400上に第1方向に沿って第1電極412を形成する。
前記画素領域は、赤色、緑色、青色のための複数のサブ画素領域R、G、Bで構成され、第2電極424が第1方向と垂直に第2方向に沿って第1電極上を経由しながら形成される。
前記サブ画素領域R、G、Bは、第1及び第2電極412、424の交差によって定義される。
【0052】
前述した構成で、前記サブ画素領域R、G、Bに多層有機膜420を構成し、前記有機膜420をはさんで第1電極412と第2電極424を構成する。
一般的に、前記第1電極412は仕事関数が高い金属中インジウム−スズ−オキサイド(ITO)またはインジウム−酸化亜鉛(IZO)のような透明な導電性金属を用いて形成し、前記第2電極424は仕事関数が低い金属中カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等で構成された金属中の一つを選択して、あるいはフッ化リチウム/アルミニウムのような二重金属層で形成する。
【0053】
前記第1電極412は、前記有機膜420にホールを注入するホール注入電極であって外部回路(図示せず)と連結されている。
前記第2電極424は、前記有機膜420に電子を注入する電子注入電極であってやはり外部回路(図示せず)と連結されている。
【0054】
図示したように、赤色と緑色と青色を表示するサブ画素領域R、G、Bが集まって単一画素領域をなし、各画素領域には第1電極412とホール注入層420aとホール輸送層420bと発光層420cと電子輸送層420eと第2電極424が構成される。
【0055】
本発明は、赤色と青色と緑色を表示する各サブ画素領域R、G、Bの発光効率を同一にするために燐光物質と蛍光物質を選択的に用いることを特徴とし、特に前記また他の実施例は効率が低い赤色サブ画素領域Rの発光層420cを燐光物質で形成し、残りの緑色及び青色サブ画素領域G、Bの発光層は蛍光物質で形成することを特徴とする。他の実施例では緑色または青色サブ画素領域G、B中の一つの発光層を燐光物質で形成して残りのサブ画素領域の発光層は蛍光物質で形成することが可能なことは明白である。
【0056】
このような構成で、前記赤色を表示するサブ画素領域Rの発光層420cは燐光物質を蒸着してパターン形成する。
前記燐光物質は、前述した理由によって低電流駆動で発光効率が向上するために鮮明な赤色を表示することができる。
【0057】
前述のように燐光物質を利用して発光層をパターニングする場合には、前記発光層の上部に各々正孔遮断層420dを別途でさらに構成する。
前記燐光物質を用いて形成した発光層の上部に前記正孔遮断層420dをさらに形成する理由は、一般的に三重項発光物質と一重項発光物質ではエネルギーバンドの位置が異なるが、前記三重項物質は一重項物質と異なって電子とホールの再結合確率が少ないためである。
【0058】
したがって、前記ホールと電子の再結合確率を高めるためには前記ホールが前記発光層420cの内部に長く止まるようにする必要があり、前記正孔遮断層420dは前記ホールを前記発光層420cの内部にさらに長く止まるようにする機能を持つ。
【0059】
また、前記正孔注入層420aは、前記正孔注入層と前記第1電極412とのエネルギー障壁を低めるバッファ層の役割をして、前記第1電極412で正孔輸送層420bへのホールの注入が円滑になされるようにする。
【0060】
図9は本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
前記また他の実施例は、赤色と青色を表示するサブ画素領域に燐光物質で発光層を形成することを特徴とする。
図示したように、画素領域(図示せず)が定義された透明なプラスチック基板またはガラス基板500上に第1方向に沿って第1電極512を形成する。
前記画素領域は、赤色、緑色、青色のための複数のサブ画素領域R、G、Bで構成され、第2電極524が第1方向と垂直に第2方向に沿って第1電極上を経由しながら形成される。
【0061】
前述した構成で、前記サブ画素領域R、G、Bに多層有機膜520を構成し、前記有機膜520をはさんで第1電極512と第2電極524を構成する。
一般的に、前記第1電極512は、仕事関数が高い金属中インジウム−スズ−オキサイド(ITO)またはインジウム−酸化亜鉛(IZO)のような透明な導電性金属を用いて形成し、前記第2電極524は仕事関数が低い金属中カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等で構成された金属中の一つを選択して、あるいはフッ化リチウム/アルミニウムのような二重金属層で形成する。
【0062】
前記第1電極512は、前記有機膜520にホールを注入するホール注入電極であって外部回路(図示せず)と連結されている。
前記第2電極524は、前記有機膜520に電子を注入する電子注入電極であってやはり外部回路(図示せず)と連結されている。
【0063】
図示したように、赤色と緑色と青色を表示するサブ画素領域R、G、Bが集まって単一画素領域をなし、各画素領域には第1電極512とホール注入層520aとホール輸送層520bと発光層520cと電子輸送層520eと第2電極524が構成される。
【0064】
前記他の一つの実施例は、赤色と青色を表示するサブ画素領域R、Bに燐光物質を利用して発光層520cを形成し、残りの緑色サブ画素領域Gには蛍光物質を利用して発光層520cを形成することを特徴とする。他の実施例では赤色、緑色、青色中異なる二対の色を表示するサブ画素領域の発光層を燐光物質で形成して残りの色を表示するサブ画素領域の発光層は蛍光物質で形成することもできることは明白である。
【0065】
前述したように、燐光物質で発光層520cを構成したサブ画素領域には、第1電極512とホール注入層520aとホール輸送層520bと発光層520cとホール遮断層520dと電子輸送層520eと第2電極524が構成される。
反面、蛍光物質で発光層を構成したサブ画素領域には前記ホール遮断層520dを構成しなくても良い。
【0066】
前述したような構成で、前記ホール注入層520aとホール輸送層520bは、前記各画素R、G、B毎に独立的な物質を用いて各サブ画素領域に構成した発光層520cが最大効率を示すことができるように設計する。
【0067】
図10は、本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
図示したように、画素領域(図示せず)が定義された透明なプラスチック基板またはガラス基板600上に第1方向に沿って第1電極612を形成する。
前記画素領域は、赤色、緑色、青色のための複数のサブ画素領域R、G、Bで構成され、第2電極624が第1方向と垂直に第2方向に沿って第1電極上に経由しながら形成される。
【0068】
前述した構成で、前記サブ画素領域R、G、Bに多層有機膜620を構成し、前記有機膜620をはさんで第1電極612と第2電極624を構成する。
一般的に、前記第1電極612は仕事関数が高い金属中インジウム−スズ−オキサイド(ITO)またはインジウム−酸化亜鉛(IZO)のような透明な導電性金属を用いて形成し、前記第2電極624は仕事関数が低い金属中カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等で構成された金属中の一つを選択して、あるいはフッ化リチウム/アルミニウムのような二重金属層で形成する。
このとき、前記発光層620cは、前記各サブ画素領域R、G、B毎に独立的に構成し、前述したように赤色、緑色と青色を表示するサブ画素領域R、G、Bに燐光物質を蒸着しパターニングして発光層620cを形成する。
【0069】
前記第1電極612は、前記有機膜620にホールを注入するホール注入電極であって外部回路(図示せず)と連結されている。
前記第2電極624は、前記有機膜620に電子を注入する電子注入電極であってやはり外部回路(図示せず)と連結されている。
【0070】
図示したように、赤色と緑色と青色を表示するサブ画素領域R、G、Bが集まって単一画素領域をなし、各画素領域には第1電極612とホール注入層620aとホール輸送層620bと発光層620cとホール遮断層620dと電子輸送層620eと第2電極624が構成される。
【0071】
前記実施例に説明したような構成によって、低電流駆動でも高い色純度を表現するフルカラー有機電界発光素子を製作することができ、既存に比べて寿命を30%以上延ばすことができる。
【0072】
(発明の効果)
前述したように本発明によって有機電界発光素子を製作すれば、高い発光効率を通して赤色と緑色と青色を表示する各サブ画素領域の色純度を同一に表現できるので鮮明な画質を有する表示装置を製作することができる。
また、低電流駆動が可能であるために消費電力を低減できると同時に素子の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】従来の有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図2】従来のフルカラー有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図3】蛍光物質のエネルギー状態を示した図面である。
【図4】本発明の一つの実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図5】本発明の他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図6】図6A、図6B及び図6C各々本発明によるCBP、Ir(ppy)及びPtOEPの例示的な化合物組成を示した図面である。
【図7】本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図8】本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図9】本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【図10】本発明のまた他の実施例による有機電界発光素子の概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0074】
100:基板
102:ゲート電極
104:ソース電極
106:ドレイン電極
108:アクティブ層
112:第1電極
120a:ホール注入層
120b:ホール輸送層
120c:発光層
120d:ホール遮断層
120e:電子輸送層
124:第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域が定義された基板と;
前記基板上に構成された駆動素子と;
前記駆動素子と接触する、ホールを注入する第1電極と;
前記第1電極の上部に構成された、電子を注入する第2電極と;
前記第1電極と第2電極間に配置された発光層であって、赤色及び青色のサブ画素が燐光物質を含み、緑色のサブ画素が蛍光物質を含んだ発光層と
を含み、
燐光物質で形成された発光層上にのみホール遮断層(HBL)が形成されることを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項2】
前記第1電極は、インジウム−スズ−オキサイド(ITO)及びインジウム−酸化亜鉛(IZO)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記第2電極は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記第2電極は、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)の二重金属層で形成したことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記第1電極と発光層の間にはホール注入層(HIL)とホール輸送層(HTL)がさらに構成され、前記第2電極と発光層の間には電子輸送層(ETL)がさらに構成されたことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記燐光物質で形成された発光層と前記電子輸送層(ETL)の間にホール遮断層(HBL)がさらに構成されたことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
基板と;
前記基板上に第1方向に形成された、ホールを注入する第1電極と;
前記第1電極の上部に前記第1方向に垂直な第2方向に形成された、前記第1電極と一緒に複数のサブ画素領域を定義する、電子を注入する第2電極と;
第1電極と第2電極の交差地点に配置された、赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域と;
前記第1電極と第2電極間に配置された発光層であって、赤色及び青色のサブ画素が燐光物質を含み、緑色のサブ画素が蛍光物質を含んだ発光層と、
を含み、
燐光物質を含む発光層上にのみホール遮断層(HBL)が形成されることを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項8】
前記第1電極は、インジウム−スズ−オキサイド(ITO)及びインジウム−酸化亜鉛(IZO)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記第2電極は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記第2電極は、フッ化リチウム/アルミニウムの二重金属層で形成したことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記第1電極と発光層の間にはホール注入層(HIL)とホール輸送層(HTL)がさらに構成され、前記第2電極と発光層の間には電子輸送層(ETL)がさらに構成されたことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記燐光物質で形成された発光層と前記電子輸送層(ETL)の間にホール遮断層(HBL)がさらに構成されたことを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域を基板上に形成する段階と;
前記基板上に駆動素子を形成する段階と;
前記駆動素子と接触する、ホールを注入する第1電極を形成する段階と;
前記第1電極上部に電子を注入する第2電極を形成する段階と;
前記第1電極と第2電極間に配置された発光層であって、赤色及び青色のサブ画素が燐光物質を含み、緑色のサブ画素が蛍光物質を含んだ発光層を形成する段階と
燐光物質を含む発光層上にのみホール遮断層(HBL)が形成される段階と、
を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記第1電極は、インジウム−スズ−オキサイド(ITO)及びインジウム−酸化亜鉛(IZO)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記第2電極は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記第2電極は、フッ化リチウム/アルミニウムの二重金属層で形成したことを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記第1電極と発光層の間にホール注入層(HIL)とホール輸送層(HTL)を形成する段階と;
前記第2電極と発光層の間に電子輸送層(ETL)を形成する段階とをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記燐光物質で形成された発光層と前記電子輸送層(ETL)の間にホール遮断層(HBL)を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項19】
基板上にホールを注入する第1電極を第1方向に形成する段階と;
前記第1電極上部に、電子を注入する第2電極を前記第1方向に垂直な第2方向に形成する段階と;
前記第1電極と第2電極の交差地点に、赤色と緑色と青色を表示する複数のサブ画素領域を形成する段階と;
前記第1電極と第2電極間において配置された発光層であって、赤色及び青色のサブ画素が燐光物質を含み、緑色のサブ画素が蛍光物質を含んだ発光層を形成する段階と
燐光物質を含む発光層上にのみホール遮断層(HBL)が形成される段階と、を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記第1電極は、インジウム−スズ−オキサイド(ITO)及びインジウム−酸化亜鉛(IZO)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項19に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項21】
前記第2電極は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)中一つを選択して形成したことを特徴とする請求項19に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記第2電極は、フッ化リチウム/アルミニウムの二重金属層で形成したことを特徴とする請求項19に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項23】
前記第1電極と発光層の間にホール注入層(HIL)とホール輸送層(HTL)を形成する段階と;
前記第2電極と発光層の間に電子輸送層(ETL)を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項24】
前記燐光物質で形成された発光層と前記電子輸送層(ETL)の間にホール遮断層(HBL)を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の有機電界発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−147691(P2008−147691A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6475(P2008−6475)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【分割の表示】特願2002−248152(P2002−248152)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】