説明

有機電界発光素子

【課題】寿命向上を達成可能な有機電界発生素子を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、複数の有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合した正孔輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子に関し、詳しくは、特定の正孔輸送性高分子を用いた有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子(以下、「EL素子」と称することがある。)は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。しかし、従来のEL素子としては無機螢光体を用いたものが主流であり、例えば無機材料のII−VI族化合物半導体であるZn、CaS、SrS等に、発光中心であるMnやEu、Ce、Tb、Sn等の希土類元素をドープしたものが一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子は、駆動に200V以上の交流電圧が必要なため製造コストが高く、フルカラー化が困難であり、輝度も不十分である等の問題点を有している。
【0003】
しかし、近年、タン(Tang)らは、陽極と陰極との間に2つの極めて薄い層(電荷輸送層と発光層)を真空蒸着で積層したEL素子を考案し、低い駆動電圧で高輝度を実現した(例えば、非特許文献1参照。)。この種の積層型有機ELデバイスはその後も活発に研究されている。またさらに、電荷輸送と発光の機能を分離した3層構造のEL素子が報告されており、発光色を決める発光層の色素の選定に際しても電荷輸送性能の制約が緩和され選択の自由度が増し、さらには中央の発光層に正孔と電子(あるいは励起子)を有効に閉じ込めて発光の向上を図る可能性も示唆される。
【0004】
このような研究開発の経過を経て、有機EL素子は、数V〜数十V程度の直流低電圧で、発光が可能となり、また蛍光性有機化合物の種類を選択することにより、種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能となってきた。
【0005】
また、EL素子の熱安定性に関する問題の解決のために、正孔輸送材料として安定なアモルファスガラス状態が得られるスターバーストアミンを用いることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、ポリフォスファゼンの側鎖にトリフェニルアミンを導入したポリマーを用いることが報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0006】
一方、単層構造のEL素子についても研究・開発が進められ、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の導電性高分子を用いた素子が報告されている(例えば、非特許文献4参照。)。さらに、ホール輸送性ポリビニルカルバゾール中に電子輸送性材料と螢光色素を混入した素子が提案されている(例えば、非特許文献5参照。)。
以上のような特徴を有する有機EL素子は、種々の発光素子、表示素子等への応用が期待されている。
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.51,913(1987)
【非特許文献2】第40回応用物理学関係連合講演会予稿集30a−SZK−14(1993)
【非特許文献3】第42回高分子討論会予稿集20J21(1993)
【非特許文献4】Nature, Vol.357, 477(1992)
【非特許文献5】第38回応用物理学関係連合講演会予稿集31p−G−12(1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような有機EL素子をフラットパネル・ディスプレイの分野に応用する際の大きな課題の一つとして、素子の長寿命化が挙げられる。この素子の長寿命化は、長時間発光させると共に非発光領域(ダークスポット)が広がるという形で現れ、有機EL素子を形成している有機EL層の劣化が、この原因の一つとして挙げられ、重要な問題となっている。
【0008】
本発明は、従来の技術の上記問題点に鑑みてなされたものであって、寿命向上を達成可能な有機電界発生素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機電界発光素子は、
【0010】
(1)少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合した正孔輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子である。
【0011】
(2)少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも一種の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合した電子輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子である。
【0012】
(3)前記正孔輸送性材料が正孔輸送性低分子である上記(2)に記載の有機電界発光素子である
【0013】
(4)前記正孔輸送性材料が正孔輸送性高分子である上記(2)に記載の有機電界発光素子である。
【0014】
(5)前記電子輸送性材料が前記発光性材料である上記(1)に記載の有機電界発光素子である。
【0015】
(6)前記発光性材料が発光性高分子である上記(1)に記載の有機電界発光素子である。
【0016】
(7)前記電子輸送性材料が電子輸送性高分子である上記(1)に記載の有機電界発生素子である。
【0017】
(8)前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(I-1)または(I-2)で表わされる構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位の部分構造として含有することを特徴とする上記(1)に記載の有機電界発光素子である。
【0018】
【化1】



【0019】
一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換もしくは未置換の芳香環数1〜10の1価の多核芳香環、または、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香環を表し、Xは置換または未置換の2価の芳香族基を示し、k、lはそれぞれ0又は1を示し、Tは炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を示す。
【0020】
(9) 前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)のいずれかで表される繰り返し構造から選択される何れかを含むことを特徴とする上記(8)に記載の有機電界発光素子である。
【0021】
【化2】



【0022】
上記一般式(II)、(III)、(IV)、及び(V)中、Aは、上記一般式(I-1)又は(I-2)を表わし、Bは−O−(Y’−O)m’−、またはZ’を示し、Y、Y’、Z、及びZ’は2価の炭化水素基を表わし、m、及びm’は1〜5の整数、nは0または1を表わし、pは5〜500の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜3500の整数をそれぞれ表す。
【0023】
(10)前記発光性材料がπ共役系高分子である上記(1)に記載の有機電界発光素子である。
【0024】
(11)前記電子輸送性材料が前記発光性材料であることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発光素子である。
【0025】
(12)前記発光性材料が発光性高分子であることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発光素子である。
(13)前記電子輸送性材料が電子輸送性高分子であることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発生素子である。
【0026】
(14)前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(I-1)または(I-2)で表わされる構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位の部分構造として含有することを特徴とする上記(4)に記載の有機電界発光素子である。
【0027】
【化3】



【0028】
[一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換もしくは未置換の芳香環数1〜10の1価の多核芳香環、または、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香環を表し、Xは置換または未置換の2価の芳香族基を示し、k、lはそれぞれ0又は1を示し、Tは炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を示す。]
【0029】
(15)前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)のいずれかで表される繰り返し構造から選択される何れかを含むことを特徴とする上記(14)に記載の有機電界発光素子。
【0030】
【化4】



【0031】
[上記一般式(II)、(III)、(IV)、及び(V)中、Aは、上記一般式(I-1)又は(I-2)を表わし、Bは−O−(Y’−O)m’−、またはZ’を示し、Y、Y’、Z、及びZ’は2価の炭化水素基を表わし、m、及びm’は1〜5の整数、nは0または1を表わし、pは5〜500の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜3500の整数をそれぞれ表す。]
【0032】
(16)前記発光性材料がπ共役系高分子であることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発光素子である。
【0033】
本発明の有機電界発光素子によれば、正孔輸送層の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合することにより、発光に寄与しなかった電子を電子輸送性材料によって正孔輸送層から取り除き、電子の蓄積を防ぎ、長寿命の有機電界発光素子を得ることができる。
また、本発明の他の有機電界発光素子によれば、電子輸送層の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合することにより、発光に寄与しなかった正孔を正孔輸送性材料によって電子輸送層から取り除き、正孔の蓄積を防ぎ、長寿命の有機電界発光素子を得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の有機電界発光素子によれば、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合した正孔輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有する。また、本発明の有機電界発光素子によれば、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも一種の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合した電子輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有する。このため、発光に寄与しなかった電子・正孔が正孔輸送層または電子輸送層に蓄積されることを抑制することができ、有機電界発光素子の長寿命化を図ることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」という場合がある)について説明する。
【0036】
本発明の有機電界素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合した正孔輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有することを特徴としている。
【0037】
本発明のような、複数の有機化合物層により構成される有機電界発光素子では、陽極から注入された正孔は、正孔輸送層によって発光層へ輸送され、陰極から注入され発光層へ輸送された電子と発光層バルク中あるいは正孔輸送層と発光層との界面において再結合する。この再結合に基づいて、有機電界素子は発光する。
【0038】
しかし、ここで、正孔と再結合せず、発光に寄与しなかった電子の一部は、再度正孔輸送層に注入されるという問題がある。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を主成分とし正孔を輸送するための層であり、正孔を輸送する機能については優れているものの、電子輸送能力には劣っている。このため、発光に寄与せず正孔輸送層に注入されてしまった電子は、正孔輸送層内に残留してしまい、内部電場を低くしてしまうばかりでなく、正孔輸送材料自体を劣化させてしまう原因の一つとなる。
【0039】
つまり、発光に寄与せずに残留した電子が、正孔輸送層に蓄積してしまった場合、素子寿命が短くなるという問題がある。
【0040】
そこで、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合することにより、電子輸送性材料によって発光に寄与しなかった電子を正孔輸送層から取り除き、電子の蓄積を防ぎ、長寿命の有機EL素子を得ることができる。
【0041】
一方、電子と再結合せず、発光に寄与しなかった正孔の一部は、複数の有機化合物層に電子輸送層が含まれる場合には、再度この電子輸送層に注入されるという問題がある。電子輸送層は、電子を輸送するための層であり、電子を輸送する機能については優れているものの、正孔輸送能力には劣っている。このため、発光に寄与しなかった正孔は、電子輸送層内に残留してしまい、内部電場を低くしてしまうばかりでなく、電子輸送層自体を劣化させてしまう原因の一つとなる。
つまり、発光に寄与せずに残留した正孔が、電子輸送層に蓄積してしまった場合についても同様に、素子寿命が短くなるという問題がある。
【0042】
そこで、本発明の他の有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、複数の有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも一種の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合した電子輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有する。
このように、電子輸送層の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合することにより、発光に寄与しなかった正孔を電子輸送層から取り除き、電子輸送層への正孔の蓄積を防ぎ、長寿命の有機EL素子を得ることができる。
【0043】
次に、本発明の有機電界発光素子の層構成について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層により構成される。
【0044】
本発明の有機電界発光素子においては、上記複数の有機化合物層の少なくとも一つは発光層であり、他の有機化合物層は、正孔輸送層、電子輸送層、あるいは正孔輸送層及び電子輸送層よりなるものを意味する。
【0045】
具体的には、本発明の有機電界発光素子は、例えば、少なくとも発光層及び電子輸送層から構成、少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層から構成、または、少なくとも正孔輸送層及び発光層から構成され、正孔輸送層が、少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合してなり、電子輸送層が、少なくとも一種の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合してなる。
【0046】
なお、本発明の有機電界発光素子では、正孔輸送層に電子輸送性材料が混合された状態、及び電子輸送層に正孔輸送性材料が混合された状態の双方が実現されていてもよく、また、正孔輸送層に電子輸送層性材料が混合された状態及び電子輸送層に正孔輸送性材料が混合された状態の何れか一方の状態のみが実現されていてもよい。
【0047】
以下、図面を参照しつつ、本発明の有機電界発光素子の層構成についてより詳細に説明するが、これらに限定されるわけではない。
【0048】
図1〜図3は、本発明の有機電界発光素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、及び図3は、有機化合物層を複数層備えた有機電界発光素子を示す一例である。なお、図1〜図3において、同様の機能を有する層には同一符号を付与して説明する。
【0049】
図1に示す有機電界発光素子10は、透明絶縁体基板18上に、透明電極20、発光層24、電子輸送層26、及び背面電極30を順次積層して構成されている。
【0050】
図2に示す有機電界発光素子12は、透明絶縁体基板18上に、透明電極20、正孔輸送層22、発光層24、電子輸送層26、及び背面電極30を順次積層して構成されている。
【0051】
図3に示す有機電界発光素子14は、透明絶縁体基板18上に、透明電極20、正孔輸送層22、発光層24、及び背面電極30を順次積層して構成されている。
【0052】
なお、本発明における少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合した正孔輸送層は、図2の正孔輸送層22、及び図3の正孔輸送層22に相当する。
また、本発明における、少なくとも一種の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合した電子輸送層は、図1、及び図2各々に示される電子輸送層26に相当する。
【0053】
まず、本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層に含まれる、または電子輸送層に混合される(詳細後述)、正孔輸送性高分子について説明する。
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側、すなわち発光層に輸送する機能を有する。このため、正孔輸送層を構成する正孔輸送性高分子の正孔移動度は、1×10-8cm/(V・s)〜1×10-2cm/(V・s)の範囲内であることが好ましいが、これに限られるものではない。
なお、この正孔移動度は、電荷キャリアの移動量について過渡光電流波形を測定し、その時の印加電圧と測定サンプルの厚さとから求めたものである。これは、当該技術分野において、いわゆるタイムオブフライト法(TOF法)として普通に知られている電荷キャリア移動度の測定方法である。
【0054】
このような条件を満たすような、本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層に含まれる正孔輸送性高分子としては、低分子系正孔輸送材料、高分子系正孔輸送材料等を用いることができ、特に好ましくは、高分子系正孔輸送材料であることが好ましい。
【0055】
上記高分子系正孔輸送材料としては、下記一般式(I-1)(I-2)のいずれかで表わされる構造の1種以上をくり返し単位の部分構造として含有する正孔輸送性高分子が挙げられる。
【0056】
【化5】



【0057】
但し、一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換もしくは未置換の芳香環数1〜10の1価の多核芳香環、または、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香環を表し、Xは置換または未置換の2価の芳香族基を示し、k、lはそれぞれ0又は1を示し、Tは炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を示す。
【0058】
なお、当該多核芳香環及び縮合芳香環とは、本発明においては、具体的には以下に定義される芳香族炭化水素であることを意味する。
すなわち、「多核芳香環」とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、芳香環同士が炭素一炭素結合によって結合している炭化水素を表す。具体的には、ビフェニル、ターフェニル等が挙げられる。また、「縮合芳香環」とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、芳香環同士が1対の炭素原子を共有している炭化水素を表す。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等が挙げられる。
【0059】
多核芳香環または縮合芳香環の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルコキシル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
【0060】
アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる、アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
また、置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる
【0061】
一般式(I−1)および(I−2)中、Xは置換または未置換の2価の芳香族基を表し、具体的には下記の式(1)〜(7)から選択された基が挙げられる。
【0062】
【化6】



【0063】
上記一般式(1)〜(7)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、R〜R14は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のアラルキル基、またはハロゲン原子を表し、aは0または1を意味し、Vは下記の式(8)〜(17)から選択された基を表す。
【0064】
【化7】



【0065】
上記式(8)〜式(17)中、bは1〜10の整数を意味し、cは1〜3の整数を意味する。
【0066】
また、一般式(I−1)および(I−2)中、Tは、炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を示す。なお、Tが、直鎖状である場合は、炭素数は1〜6の範囲が好ましく、2〜6の範囲がより好ましく、分枝状である場合には、炭素数は2〜10の範囲が好ましく、3〜7の範囲がより好ましい。
以下に、Tで示される基の具体的な構造の例(炭化水素基T−1〜炭化水素基T−32)を示す。
【0067】
【化8】



【0068】
以下、表1から表8に、上記一般式(I-1)で示される部分構造の具体例を示し、表9から表16に、上記一般式(I-2)で示される部分構造の具体例を示す。本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。
【0069】
なお、表1〜表8において、「部分構造」の欄に記載された番号各々に対応する、「X」の欄に記載される構造は、一般式(I―1)中のXに対応し、「Ar」の欄に記載される構造は、一般式(I−1)中のArに対応し、「k」の欄に記載される数字は、一般式(I―1)中のkを意味する。また、「T」の欄に記載される値は、一般式(I−1)中のTを意味し、上記に具体的に示した炭化水素基の構造式に付した番号(T−1)〜(T−32)を意味する。
また、表1〜表8において、「結合位置」に示される値は、前記一般式(I−1)におけるベンゼン環に記載されている数値の箇所に結合していることを示す。また、一般式(I−1)で表される構造の具体例において、kが1の場合、( )内のベンゼン環も数字が記載されているベンゼン環と同様の箇所に結合していることを示す。
【0070】
また、表9〜表16において、「部分構造」の欄に記載された番号各々に対応する、「X」の欄に記載される構造は、一般式(I―2)中のXに対応し、「Ar」の欄に記載される構造は、一般式(I−2)中のArに対応し、「k」の欄に記載される数字は、一般式(I―2)中のkを意味する。また、「T」の欄に記載される値は、一般式(I−2)中のTを意味し、同一値を示す上記一般式(T−1)〜(T−32)の化合物に対応する。
また、表9〜表16において、「結合位置」に示される値は、前記一般式(I−2)におけるベンゼン環に記載されている数値の箇所に結合していることを示す。また、一般式(I−2)で表される構造の具体例において、kが1の場合、( )内のベンゼン環も数字が記載されているベンゼン環と同様の箇所に結合していることを示す。
【0071】
【表1】



【0072】
【表2】



【0073】
【表3】



【0074】
【表4】



【0075】
【表5】



【0076】
【表6】



【0077】
【表7】



【0078】
【表8】



【0079】
【表9】



【0080】
【表10】



【0081】
【表11】



【0082】
【表12】



【0083】
【表13】



【0084】
【表14】



【0085】
【表15】



【0086】
【表16】



【0087】
なお、以上に説明したような一般式(I−1)及び一般式(I−2)で表される構造から選択される少なくとも1種以上を、繰り返し単位構造に含む正孔輸送性高分子は、下記一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)のいずれかで表されるような繰り返し構造を有する正孔輸送性ポリエステルまたは正孔輸送性ポリカーボネートであることが更に好ましい。
【0088】
【化9】

【0089】
上記一般式(II)、(III)、(IV)、及び(V)中、Aは、上記一般式(I-1)又は(I-2)を表わし、Bは−O−(Y’−O)m’−、またはZ’を示し、m、及びm’は1〜5の整数を表し、nは0または1を表し、pは5〜500の整数を表し、qは1〜5000の整数を表し、rは1〜3500の整数を表す。
【0090】
また、上記一般式(II)、(III)、(IV)、及び(V)中、Y、Y’、Z、及びZ’は2価の炭化水素基を表わす。Y、Y’、Z、及びZ’としては、具体的には、以下の基(18)〜(24)で示される炭化水素基を挙げることができる。
【0091】
【化10】



【0092】
上記基(18)〜(24)中、d、eは1〜10の整数を示し、f、gは0、1又は2を示し、h、iは0又は1を示す。
また、R13及びR14は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のアラルキル基、またはハロゲン原子を表し、Vは、上記式(8)〜(17)から選択された基を表す。
【0093】
以下に、上記一般式(II)で示される正孔輸送性高分子の具体例を表17に示し、上記一般式(III)で示される正孔輸送性高分子の具体例を表18に示した。更に、上記一般式(IV)で示される正孔輸送性高分子の具体例を表19に示し、上記一般式(V)で示される正孔輸送性高分子の具体例を表20〜表24に示した。
なお、本発明の正孔輸送性高分子はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0094】
なお、表17〜表24中に示される、「部分構造」の「構造」の欄に示される番号は、上記表1〜表16に示される「部分構造」欄に示された番号の化合物(上記一般式(I−1)または一般式(I−2)の具体例)に対応しており、2種類以上の番号が示されている場合には、各々の番号に対応する「構造」の欄に示される番号に対応する化合物の分子中の比率を、「部分構造」の「比率」の欄に示した。
【0095】
また、表17中の「Y」の欄に示される構造は、一般式(II)中のYに対応し、「m」の欄に示される数値は、一般式(II)中のmに対応し、「p」の欄に示される数値は、一般式(II)中のpに対応する。
同様に、表18中の「Y」の欄に示される構造は、一般式(III)中のYに対応し、「Z」の欄に示される構造は、一般式(III)中のZに対応し、「m」の欄に示される数値は、一般式(III)中のmに対応し、「p」の欄に示される数値は、一般式(III)中のpに対応する。
【0096】
また、表19中の「B」の欄に示される構造は、一般式(IV)中のBに対応し、「n」の欄に示される数値は、一般式(IV)中のnに対応し、「p」の欄に示される数値は、一般式(IV)中のpに対応する。
同様に、表20〜表24中の「Y」の欄に示される構造は、一般式(V)中のYに対応し、「Z」の欄に示される構造は、一般式(V)中のZに対応し、「m」の欄に示される数値は、一般式(V)中のmに対応し、「q」の欄に示される数値は、一般式(V)中のqに対応し、「r」の欄に示される数値は、一般式(V)中のrに対応する。
【0097】
また、以下の説明において、表17〜24中に示す「化合物」の欄に示される番号Xに対応した化合物を指す場合には、「例示化合物(X)」と称す
【0098】
【表17】



【0099】
【表18】



【0100】
【表19】



【0101】
【表20】



【0102】
【表21】



【0103】
【表22】



【0104】
【表23】



【0105】
【表24】



【0106】
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層は、上記正孔輸送性高分子を少なくとも1種含有することにより構成されると共に、電子輸送性材料が混合される。
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層を構成する正孔輸送性高分子に混合される電子輸送性材料としては、具体的には、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体等の縮合多核環化合物、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム誘導等の金属キレート錯体化合物が挙げられる。ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等を挙げることができる。また、正孔輸送層を構成する正孔輸送性高分子に混合される電子輸送性材料として、発光材料を用いるようにしてもよい。
【0107】
上記、電子輸送性材料の内、本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層を構成する正孔輸送性高分子に混合される電子輸送性材料としては、発光効率の上昇の観点から、発光材料を用いることが好ましい。正孔輸送層に、電子輸送性材料として発光材料を混合することによって、発光層のみではなく、該発光材料が混合された正孔輸送層においても発光反応が生じ、発光効率を向上させることができる。
【0108】
なお、この発光材料は、本発明の有機電界発光素子の発光層を構成する材料としても用いることができる。
【0109】
発光材料により発光層を構成する場合には、発光材料が有機低分子の場合、真空蒸着法もしくは低分子と結着樹脂を含む溶液または分散液を塗布・乾燥することにより良好な薄膜形成が可能であることが条件である。また、同様に、発光材料により発光層を構成する場合には、発光材料が高分子(以下、適宜、発光性高分子という)の場合、それ自身を含む溶液または分散液を塗布・乾燥することにより良好な薄膜形成が可能であることが条件である。
【0110】
電子輸送性材料として発光材料を正孔輸送層に混合する場合に、条件(正孔輸送層を構成する正孔輸送性高分子と強い電子相互作用を示さない有機化合物)を満たす発光材料としては、好適には、発光材料が有機低分子の場合、キレート型有機金属錯体、多核または縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体等が用いられる。
【0111】
また、発光材料が高分子の場合、π共役系高分子、色素含有系高分子、非共役系高分子をいう。前記発光性高分子としては、π共役系高分子であることが好ましい。π共役系高分子とは、二重結合と単結合が交互に並ぶ構造を持つ高分子であり、本発明においては、それぞれ置換基を有しても良いベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環等の芳香環もしくは複素芳香環直接結合したもの、あるいは置換基を有していてもよいビニレン基を介して結合したものが好ましい。
【0112】
π共役系高分子として好適には、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフローレン誘導体が挙げられる。具体的には、フルオレン、チオフェン、ビニレン、チエニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、もしくはこれらの置換体が挙げられる。また、π共役系高分子として好適には、これら基(フルオレン、チオフェン、ビニレン、チエニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン)もしくはその置換体の2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数xが4〜10の整数であるオリゴマー、もしくは該繰返し単位の数xが10以上の整数である高分子化合物が挙げられる。
【0113】
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層に混合される電子輸送性材料としての発光性高分子として、好適には下記の化合物(VI-1)〜化合物(VI-15)が具体例として示されるが、これらに限られるものではない。
【0114】
【化11】



【0115】
【化12】



【0116】
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層の正孔輸送性高分子に混合する電子輸送性材料は、正孔輸送層として求められる十分な正孔移動度を確保するために、正孔輸送層に含まれる正孔輸送性高分子に対して、0.01質量%以上50質量%以下の範囲内で混合されることが好ましく、0.05質量%以上30質量%以下の範囲内で混合されることが特に好ましい。
【0117】
正孔輸送層の正孔輸送性高分子に混合する電子輸送性材料の含有量が0.01質量%未満であると、電子輸送能が得られないという問題があり、50質量%より多いと、正孔輸送能を阻害するという問題がある。
【0118】
なお、発光材料を発光層に用いる場合には、有機電界発生素子の耐久性向上、或いは発光効率の向上を目的として、上記の発光材料中にゲスト材料として発光材料と異なる色素化合物をドーピングしてもよい。
このドーピングは、真空蒸着によって発光層を形成する場合には、共蒸着によってドーピングを行うようにすればよい。また、溶液または分散液を塗布・乾燥することで発光層を形成する場合には、溶液または分散液中に混合することでドーピングを行うようにすればよい。発光層中における色素化合物のドーピングの割合としては0.001質量%〜40質量%程度、好ましくは0.001質量%〜10質量%程度である。このようなドーピングに用いられる色素化合物としては、発光材料との相容性が良く、かつ発光層の良好な薄膜形成を妨げない有機化合物が用いられ、好適にはDCM誘導体、キナクリドン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン等が用いられる。好適な具体例として、下記の化合物(VII-1)〜(VII-4)があげられるが、これらに限られるものではない。
【0119】
【化13】



【0120】
なお、発光層は、真空蒸着や溶液または分散液を塗布・乾燥することで形成可能であるが、良好な薄膜とならないものや、明確な電子輸送性を示さないものを、発光層に用いる場合には、有機電界発生素子の耐久性向上或いは発光効率の向上を目的として、図1及び図2に示すように、発光層24と背面電極30との間に電子輸送層26を挿入してもよい。
【0121】
本発明の有機電界発光素子の電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側、すなわち発光層に輸送する機能を有する。このため、電子輸送層を構成する電子輸送性材料の電子移動度は1×10-8cm/(V・s)〜1×10-2cm/(V・s)の範囲内であることが好ましい。
なお、この電子移動度は、電荷キャリアの移動量について過渡光電流波形を測定し、その時の印加電圧と測定サンプルの厚さとから求めたものである。これは、当該技術分野において、いわゆるタイムオブフライト法(TOF法)として普通に知られている電荷キャリア移動度の測定方法である。
【0122】
このような電子輸送層26に用いられる電子輸送性材料としては、有機低分子の場合、真空蒸着法により良好な薄膜形成が可能な有機化合物が好ましく用いられ、具体的にはオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等を挙げることができる。また、高分子の場合、それ自身を含む溶液または分散液を塗布・乾燥することにより良好な薄膜形成が可能であることが条件である。
電子輸送層26に用いられる電子輸送性材料としては、具体的に下記の化合物(VIII-1)〜(VIII-3)、(IX)があげられるが、これらに限られるものではない。また、他の汎用の樹脂等と混合して用いてもよい。
【0123】
なお、このような電子輸送層に用いられる電子輸送性材料を、上記正孔輸送層に混合される電子輸送性材料として用いることも可能である。また、反対に、上記正孔輸送層に混合される電子輸送性材料を、電子輸送層に用いる電子輸送性材料として用いることも可能である。
【0124】
【化14】



【0125】
また、本発明の有機電界発光素子の電子輸送層に用いられる電子輸送性材料が、電子輸送性高分子の場合には、下記一般式(X―1)で表わされる部分構造の1種以上をくり返し単位構造として含む高分子を好適に挙げることができる。
【0126】
【化15】



【0127】
但し、上記一般式(X―1)中、Ar1、Ar2、Ar3はそれぞれ独立に置換あるいは未置換のアリーレン基、2価のヘテロ環基、または、これらの組合せからなる基を表し、上記一般式(X―1)中T1、T2は、炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を表し、nは3〜5の整数を表す。
【0128】
上記一般式(X―1)中の、Ar1、Ar2、Ar3を構成するアリーレン基として好ましくは炭素数6〜60の単環または縮環のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基が挙げられる。
【0129】
上記一般式(X―1)中の、Ar1、Ar2、Ar3を構成するアリーレン基の具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、フェナントロリンジイル、ピレンジイル、トリフェニレンジイル、ベンゾフェナントロリンジイル、ペリレンジイル、ペンタフェニレンジイル、ペンタセンジイルなどが挙げられ、好ましくはフェニレン、ビフェニレン、ナフタレンジイル、アンラセンジイル、ピレンジイル、ペリレンジイルであり、特に好ましくはフェニレン、ビフェニレン、トリフェニレンである。
【0130】
上記一般式(X―1)中の、Ar1、Ar2、Ar3を構成する2価のヘテロ環基としては、好ましくは炭素数4〜60の単環または縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも一つを含有する炭素数4〜60の単環または縮環のヘテロ服基であり、更に好ましくは炭素数4〜30の5員または6員のヘテロ環基である。
【0131】
上記一般式(X―1)中の、Ar1、Ar2、Ar3を構成する2価のヘテロ環基の具体例としてはピロールジイル、フランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、シンノリンジイル、キナゾリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイル、プテリジンジイル、アクリジンジイル、フェナジンジイル、フェナントロリンジイルなどが挙げられ、好ましくはフランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイルであり、より好ましくはテエニレン、ピリジンジイルである。
【0132】
上記一般式(X―1)中の、Ar1、Ar2、Ar3を構成するアリーレン基またはヘテロ環基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズテアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。
【0133】
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
上述したヘテロ環基の置換基を更に置換する置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアリール基、芳香族ヘテロ環基である。
【0134】
なお、上記一般式(X―1)中のAr2で表されるヘテロ環基は、更にN、OまたはS原子の少なくとも一つを含む3〜10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であることが好ましく、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0135】
このようなヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフオリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。
【0136】
上記一般式(X―1)中の、Ar2で表されるより好ましいヘテロ環基としては、5〜6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはチオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールであり、更に好ましくはチオフェン、フラン、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリンである。
【0137】
上記一般式(X―1)中の、T1、T2は、炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を表し、炭素数が1〜4の範囲内であることがより好ましい。具体例としては例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。
【0138】
以下に、上記一般式(X―1)で示される高分子電子輸送材料の具体例を表25〜41(化合物No.(A1)〜化合物No.(A119))に示す。
【0139】
【表25】



【0140】
【表26】



【0141】
【表27】



【0142】
【表28】



【0143】
【表29】



【0144】
【表30】



【0145】
【表31】



【0146】
【表32】



【0147】
【表33】



【0148】
【表34】



【0149】
【表35】



【0150】
【表36】



【0151】
【表37】



【0152】
【表38】



【0153】
【表39】



【0154】
【表40】



【0155】
【表41】



【0156】
本発明の他の有機電界発光素子の電子輸送層は、上記電子輸送性材料の内の少なくとも1種に正孔輸送性材料が混合されて構成される。
なお、本発明の有機電界発光素子の電子輸送層を構成する電子輸送性材料に混合される正孔輸送性材料としては、下記に示す正孔輸送性低分子あるいは上記正孔輸送層に含まれる上述した正孔輸送性高分子と、同一の化合物を用いることができる。
正孔輸送性低分子としては、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物等を挙げることができ、好適な具体例としては、下記例示化合物(C−1)〜(C−10)を挙げることが出来るが、これらに限定されるわけではない。また、単独ではなく複数の正孔輸送性材料と組み合わせてもよい。
【0157】
【化16】



【0158】
【化17】



【0159】
電子輸送層の電子輸送性材料に混合する正孔輸送性材料は、電子輸送層が電子輸送性材料として求められる十分な電子移動度を確保するために、電子輸送層に含まれる電子輸送性材料に対して、0.01質量%以上50質量%以下の範囲内で混合されることが好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲内で混合されることが特に好ましい。
【0160】
電子輸送層の電子輸送性材料に混合する正孔輸送性材料の含有量が0.01質量%未満であると、正孔輸送能が得られないという問題があり、50質量%より多いと、電子輸送能を阻害するという問題がある。
【0161】
次に、図1〜図3各々に示される、有機電界発光素子の各部材やその他の層の構成材料、及びその形成方法について説明する。
透明絶縁体基板18は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、プラスチックフィルム等が用いられる。また、透明電極20は、透明絶縁体基板18と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが好ましく、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、および蒸着或いはスパッタされた金、白金、パラジウム等が用いられる。
【0162】
背面電極30には、真空蒸着可能で、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属が使用されるが、特に好ましくはマグネシウム、アルミニウム、銀、インジウムおよびこれらの合金である。また、背面電極30上には、さらに素子の水分や酸素による劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Alなどの金属、MgO、SiO2、TiO2等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用できる。
【0163】
図1〜図3各々に示される有機電界発光素子10、有機電界発光素子12、及び有機電界発光素子14各々は、まず透明絶縁体基板18上に形成された透明電極20の上に有機電界発光素子10、有機電界発光素子12、有機電界発光素子14、及び有機電界発光素子16各々の層構成に応じて、正孔輸送層22、または発光層24を形成する。正孔輸送層22、または発光層24は、上記各材料を有機溶媒中に溶解或いは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極20上にスピンコーティング法、ディップ法等を用いて製膜することにより形成する。
【0164】
形成される正孔輸送層22、発光層24、及び電子輸送層26の膜厚は、各々0.1μm以下、特に0.03μm〜0.08μmの範囲内であることが好ましい。
【0165】
上記各層に含まれる材料の分散状態は分子分散状態でも微粒子分散状態でも構わない。塗布液を用いた製膜法の場合、分子分散状態とするためには、分散溶媒は上記各材料の共通溶媒を用いる必要があり、微粒子分散状態とするために分散溶媒は上記各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する必要がある。微粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ボールミル、ホモジェナイザー、超音波法等が利用できる。
【0166】
そして、最後に、電子輸送層26、または発光層24の上に背面電極30を真空蒸着法により形成することにより有機電界発生素子が完成される。
【0167】
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極間に、例えば、1V〜20Vで、電流密度1mA/cm2〜500mA/cm2の直流電圧を印加することによって発光させることができる。
【実施例】
【0168】
以下、実施例によって本発明を説明する。
【0169】
(実施例1)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料(下記一般式(VIII−1))を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光材料として昇華精製した化合物(下記一般式(VI−1))をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、正孔輸送層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した。
この時の真空度は10-4Paであった。続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0170】
(実施例2)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料(下記一般式(31))を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0171】
(実施例3)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料(下記一般式(VIII−1))を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光材料として昇華精製した化合物(下記一般式(VI−1))をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、正孔輸送層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した。
この時の真空度は10-4Paであった。続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0172】
(実施例4)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料(下記一般式(31))を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0173】
(実施例5)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料として発光性高分子(下記一般式(32))を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0174】
(実施例6)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料として発光性高分子(下記一般式(34))を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(34))1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0175】
(実施例7)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料として発光性高分子(下記一般式(32)を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32)1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
電子輸送層の電子輸送性材料として昇華精製した電子輸送性材料(下記一般式(VIII−1))をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、発光層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した。
この時の真空度は10-4Paであった。続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0176】
(実施例8)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例1と同様に素子を作製した。
【0177】
(実施例9)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例2と同様に素子を作製した。
【0178】
(実施例10)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例3と同様に素子を作製した。
【0179】
(実施例11)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例4と同様に素子を作製した。
【0180】
(実施例12)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例5と同様に素子を作製した。
【0181】
(実施例13)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例6と同様に素子を作製した。
【0182】
(実施例14)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を用いた以外は、実施例7と同様に素子を作製した。
【0183】
(実施例15)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))の代わりに、正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−108(下記一般式(35))を用いた以外は、実施例5と同様に素子を作製した。
【0184】
(実施例16)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部と、正孔輸送性高分子(表1の部分構造「1−4」を含有する正孔輸送性高分子)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0185】
(実施例17)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部と、正孔輸送性高分子(表6の部分構造「1−47」を含有する正孔輸送性高分子)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0186】
(実施例18)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部と、正孔輸送性高分子(表1の部分構造「1−4」を含有する正孔輸送性高分子)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0187】
(実施例19)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部と、正孔輸送性高分子(表6の部分構造「1−47」を含有する正孔輸送性高分子)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0188】
(実施例20)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))を1質量部と、電子輸送性材料として発光性高分子(下記一般式(32)を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部と、正孔輸送性高分子(表1の部分構造「1−4」を含有する正孔輸送性高分子)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
【0189】
(実施例21)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−7(下記一般式(33))を1質量部と、電子輸送性材料として発光性高分子(下記一般式(32)を0.3質量部混合し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部と、正孔輸送性高分子(表1の部分構造「1−4」を含有する正孔輸送性高分子)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
【0190】
(実施例22)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(一般式(32))1質量部と、下記正孔輸送性低分子(一般式(36)(上記例示化合物(C−1)と同一))を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0191】
(実施例23)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(一般式(32))1質量部と、下記正孔輸送性低分子(一般式(37) (上記例示化合物(C−2)と同一))を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0192】
(実施例24)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
【0193】
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(一般式(32))1質量部と、正孔輸送性低分子(上記例示化合物(C−4))を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0194】
(実施例25)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
【0195】
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(一般式(32))1質量部と、正孔輸送性低分子(上記例示化合物(C−9))を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0196】
(実施例26)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(一般式(32))1質量部と、正孔輸送性低分子(上記例示化合物C−10)を0.3質量部混合し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0197】
(比較例1)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光材料として昇華精製した化合物をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、正孔輸送層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した。
この時の真空度は10-4Paであった。続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0198】
(比較例2)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部をモノクロロベンゼンにて溶解し、1質量%モノクロロベンゼン溶液を調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
最後にCaを蒸着し、その上からAlを蒸着することにより、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0199】
(比較例3)
正孔輸送性高分子として正孔輸送性ポリエステル(例示化合物CTP−1(下記一般式(30))1質量部を、1質量%モノクロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板を洗浄後、スピンコート法により塗布して膜厚0.04μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光性高分子として化合物(下記一般式(32))1質量部をキシレンにて溶解し、1質量%キシレン溶液を調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、上記正孔輸送層上にスピンコート方により塗布して膜厚0.06μmの発光層を形成した。
電子輸送層に用いる電子輸送性材料(下記一般式(VIII−1))をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、発光層上に膜厚0.05μmの電子輸送層を形成した。
この時の真空度は10-4Paであった。続いてMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
【0200】
【化18】



【0201】
【化19】



【0202】
【化20】



【0203】
【化21】



【0204】
【化22】



【0205】
【化23】



【0206】
【化24】



【0207】
【化25】



【0208】
【化26】



【0209】
【化27】



【0210】
(評価)
以上のように作製した有機電界発光素子を、真空中(1.3×10-3Pa(10-3Torr))でITO電極側をプラス、Mg-Ag背面電極をマイナスとして7V直流電圧を印加し、発光について測定を行い、このときの最高輝度を評価した。
また、乾燥窒素中で有機EL素子の発光寿命の測定を行った。発光寿命の評価は、初期輝度が100cd/m2となるように電流値を設定し、定電流駆動により輝度が初期値から半減するまでの時間を素子寿命(hour)とした。
測定結果を表42に示す。
【0211】
【表42】



【0212】
表42の実施例1〜実施例26に示されるように、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層に電子輸送性材料が混合されていない、または電子輸送層に正孔輸送性高分子が混合されていない比較例1〜3に比べて、最高輝度が高いにもかかわらず、発光寿命の長寿命化を図ることができていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0214】
10、12、14 有機電界発光素子
18 透明絶縁体基板
20 透明電極
22 正孔輸送層
24 発光層
26 電子輸送層
28 キャリア輸送能をもつ発光層
30 背面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の正孔輸送性高分子に電子輸送性材料を混合した正孔輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項2】
少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも一種の電子輸送性材料に正孔輸送性材料を混合した電子輸送層であり、複数の前記有機化合物層の少なくとも一層が発光性材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項3】
前記正孔輸送性材料が正孔輸送性低分子であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記正孔輸送性材料が正孔輸送性高分子であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記電子輸送性材料が前記発光性材料であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記発光性材料が発光性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記電子輸送性材料が電子輸送性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発生素子。
【請求項8】
前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(I-1)または(I-2)で表わされる構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位の部分構造として含有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化1】



[一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換もしくは未置換の芳香環数1〜10の1価の多核芳香環、または、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香環を表し、Xは置換または未置換の2価の芳香族基を示し、k、lはそれぞれ0又は1を示し、Tは炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を示す。]
【請求項9】
前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)のいずれかで表される繰り返し構造から選択される何れかを含むことを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
【化2】



[上記一般式(II)、(III)、(IV)、及び(V)中、Aは、上記一般式(I-1)又は(I-2)を表わし、Bは−O−(Y’−O)m’−、またはZ’を示し、Y、Y’、Z、及びZ’は2価の炭化水素基を表わし、m、及びm’は1〜5の整数、nは0または1を表わし、pは5〜500の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜3500の整数をそれぞれ表す。]
【請求項10】
前記発光性材料がπ共役系高分子であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記電子輸送性材料が前記発光性材料であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記発光性材料が発光性高分子であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記電子輸送性材料が電子輸送性高分子であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発生素子。
【請求項14】
前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(I-1)または(I-2)で表わされる構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位の部分構造として含有することを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
【化3】



[一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換もしくは未置換の芳香環数1〜10の1価の多核芳香環、または、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香環を表し、Xは置換または未置換の2価の芳香族基を示し、k、lはそれぞれ0又は1を示し、Tは炭素数1〜10の直鎖状の2価の炭化水素基または炭素数1〜10の分枝状の2価の炭化水素基を示す。]
【請求項15】
前記正孔輸送性高分子が、下記一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)のいずれかで表される繰り返し構造から選択される何れかを含むことを特徴とする請求項14に記載の有機電界発光素子。
【化4】



[上記一般式(II)、(III)、(IV)、及び(V)中、Aは、上記一般式(I-1)又は(I-2)を表わし、Bは−O−(Y’−O)m’−、またはZ’を示し、Y、Y’、Z、及びZ’は2価の炭化水素基を表わし、m、及びm’は1〜5の整数、nは0または1を表わし、pは5〜500の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜3500の整数をそれぞれ表す。]
【請求項16】
前記発光性材料がπ共役系高分子であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−201407(P2007−201407A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221507(P2006−221507)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】