説明

有機電界発光素子

【課題】LiFなどの電子注入材料を使用することなく、酸化に強い陰極を使用できる有機EL素子を提供すること。
【解決手段】
陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に少なくとも発光層と電子輸送層からなる複数の有機化合物層が挟持された有機電界発光素子において、前記電子輸送層が下記式(1):


で示されるホウ素化合物を少なくとも1種類含有し、前記陰極の仕事関数が4.0eV以上である有機電界発光素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」という)に関する。詳しくは、特定の電子輸送材料、および特定の陰極を用いた有機ELに関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は陽極と陰極との間に発光性有機化合物を含む1種または複数種の有機化合物を挟んだ構造を持ち、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が、再結合する時のエネルギーを利用して発光性有機化合物を励起させ、発光を得るものである。有機EL素子は電流駆動型の素子と呼ばれ、発光強度は注入された電流に比例する。流れる電流をより効率的に活用するため、素子構造が種々改良されている。
【0003】
有機EL素子の原型はC.W.Tangらによって提案された(非特許文献1)。この素子は、ガラス基板上に成膜した陽極(ITO)、正孔輸送層(ジアミン)、電子輸送性発光層(Alq)、陰極(Mg:Ag合金)からなり、有機化合物はジアミン、Alqの2層である。ここで、正孔輸送層と電子輸送性発光層とを機能分離することにより、注入された正孔と電子の再結合確率が高まり、低電圧での発光が可能となった。
【0004】
安達らはこの素子を改良し、3層型素子を提案した(非特許文献2)。この素子は、ガラス基板上に製膜した陽極(ITO)、正孔輸送層(TPD)、発光層(ペリレンなど)、電子輸送層(PV)、陰極(Mg)からなる。この素子では、発光層と電子輸送層が機能分離され、発光材料によって発光色を選ぶことが可能になった。
【0005】
一方、C.W.Tangらは発光材料のドーピングという方式を提案した(非特許文献3)。この素子では、クマリン等の発光材料をホスト材料であるAlq中に数%ドーピングすることにより高効率発光を実現した。この方式では、膜の均一性はホスト材料によって確保できるため、発光ドーパントは固体量子効率の高い種々の色素材料を用いることができる利点がある。
【0006】
電荷輸送層の機能分離も進んでいる。S.A.Van Slykeらは従来の正孔輸送層と陽極の間に、正孔注入層を設けることを提案した(非特許文献4)。この方式では正孔注入層のイオン化ポテンシャル(HOMO)と陽極の仕事関数のマッチングにより、正孔注入に係るエネルギー障壁が小さくなることや、ITO表面を平滑にするなどの理由によって有機ELが安定駆動できると言われている。
【0007】
一方、電子輸送材料の側でも、L.S.Hungらによって電子注入層を設けることが提案された(非特許文献5)。この方法は、電子輸送層と陰極金属との間に極めて薄い(0.5nm程度)フッ化リチウム(LiF)の電子注入層を設けることで、アルミニウム(Al)が陰極として使えるというものであった。電子輸送層に電子が注入されるとき、分子の観点で見ると最低非占軌道(LUMO)に電子が入ったアニオン状態になる。すなわち、陰極の仕事関数と電子輸送層のLUMOとの差(エネルギー障壁)が小さいほど、電子は注入されやすい。一般に有機化合物のLUMOは高い(数字が小さい)ため、それに応じて仕事関数の小さい金属を使う必要がある。Mg:Ag合金においては、仕事関数は多数派のMgで決まり、3.7eVである。LiFは仕事関数の非常に小さいLi(2.9eV)を含んでおり、このことが仕事関数の大きいAl(4.3eV)の使用を可能にしたと考えられている。以来このLiF/Alを陰極とする方法は1987年のC.W.Tangらの報告したMg:Ag合金を使う方法と共に有機ELの陰極における2大標準となった。
【0008】
Mg:Ag合金を陰極に使う方法は、仕事関数の小さいMgを使用するため、酸素や水分によって容易に酸化されるため、非常に厳重な封止をしなければ駆動安定性に劣るという欠点がある。一方、LiF/Alを陰極に使う方法は、電子注入層であるLiFが元来絶縁体であるため、0.5nm程度と極めて薄く成膜する必要がある。LiFの膜厚によっても性能が変わることが知られているため、非常に精密な成膜技術が必要となり製造上の困難さがあった。
【0009】
このような問題点を克服するため、LUMOの低い化合物を電子輸送材料に用いるか、電子注入性がよく酸素や水に酸化されにくい陰極材料を用いることが求められている。
LUMOの低い電子輸送材料としては、シロール(シラシクロペンタジエン)誘導体が注目されている(特許文献1)。シロール誘導体はSiのσ軌道とブタジエンのπ軌道の相互作用によって低いLUMOが形成される。しかし、シロール誘導体を用いて陰極構造を変更した例は未だ知られていない。
【0010】
陰極金属の検討としては、合金を用いた例が知られている(特許文献2)。ここでは、酸化に強い仕事関数が4.0eVより大きい2種の金属を用いた有機EL素子が提供されている。しかし、実際に合金陰極を動作が実証された素子は電子注入層としてLiFを使用しており、従来のLiF/Al陰極の製造上の困難さを改善する方法を具体的に提示したものではなかった。
【0011】
【非特許文献1】Applied Physics Letters, 51 (1987) 913.
【非特許文献2】Japanese Journal of Applied Physics,27 (1988) L269.
【非特許文献3】Journal of Applied Physics, 85 (1989) 3610.
【非特許文献4】Applied Physics Letters, 69 (1996) 2160.
【非特許文献5】Applied Physics Letters, 70 (1997) 152.
【特許文献1】特開平9−87616号公報
【特許文献2】米国特許第6765349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、酸化に強い陰極を使用できる有機EL素子を提供することである。さらにLiFなどの電子注入材料を使用する必要のない有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、種々検討の結果、分子内でホウ素原子が非共有電子対を供与する原子に配位してホウ素原子を含む環状構造を形成したホウ素化合物を電子輸送層に用い、陰極にアルミニウム、金等の仕事関数の大きな金属を用いた有機EL素子において上述の課題を解決できることを見出して本発明を完成した。
【0014】
本発明は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に少なくとも発光層と電子輸送層とを含む複数の有機化合物層が挟持された有機EL素子において、前記電子輸送層が下記一般式(1):
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、R、RおよびRは、同一または相異なり、置換基を有していてもよいアリール基または複素環基であるか、あるいはR、RおよびRのいずれか2個が互いに結合して環を形成しており;Rは水素原子または置換基であり;mは0〜2の整数であり;mが2である場合、複数個存在するRは同一または相異なり;Qは連結基であり、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子またはセレン原子であり;点線の半円弧はQとXとが共通する環の一部であってもよいことを表し;QとXとの間の点線および実線は単結合または二重結合を表し;XからBに向かう矢印は配位結合を表し:Rは水素または1〜4価の有機骨格であり;nは1〜4の整数であり;nが2〜4の整数である場合、複数個存在するR、R、R、R、m、Q、X、点線の半円弧、ならびに、QとXとの間の点線および実線は、各々、同一または相異なる]で示されるホウ素化合物を少なくとも1種類含有し、前記陰極の仕事関数が4.0eV以上である有機EL素子を提供する。
【0017】
さらに、前記一般式(1)で示される化合物において、好ましくはQおよびXが共通する環の一部である有機EL素子である。
【0018】
より好ましくは、前記共通する環がピリジン環、キノリン環であり、Xが該ピリジン環または該キノリン環の窒素原子である有機EL素子である。
さらには、前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(2):
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、R、R、R、R、m、Q、X、点線の半円弧、QとXとの間の点線および実線、ならびに、XからBに向かう矢印は上記式(1)と同じ意味を有し;mが2である場合、複数個存在するRは同一または相異なり;Rは水素または1価の有機骨格である]で示される化合物である有機EL素子であることが好ましい。
【0021】
前記有機EL素子は、前記一般式(1)または一般式(2)で示される化合物を少なくとも1種類含有した電子輸送層と、前記仕事関数が4.0eV以上である陰極が、他の層を挟まず直接隣り合って配置された有機EL素子であることが好適である。
【0022】
さらに前記仕事関数が4.0eV以上である陰極が、金属であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、酸化に強い陰極を使用した有機EL素子が提供できる。さらにLiFなどの電子注入材料を使用する必要のない有機EL素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の有機EL素子について詳細に説明する。
【0025】
本発明の有機EL素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に少なくとも発光層と電子輸送層とを含む複数の有機化合物層が挟持された有機EL素子において、前記電子輸送層が下記一般式(1):
【0026】
【化3】

【0027】
[式中、R、RおよびRは、同一または相異なり、置換基を有していてもよいアリール基または複素環基であるか、あるいはR、RおよびRのいずれか2個が互いに結合して環を形成しており;Rは水素原子または置換基であり;mは0〜2の整数であり;mが2である場合、複数個存在するRは同一または相異なり;Qは連結基であり、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子またはセレン原子であり;点線の半円弧はQとXとが共通する環の一部であってもよいことを表し;QとXとの間の点線および実線は単結合または二重結合を表し;XからBに向かう矢印は配位結合を表し:Rは水素または1〜4価の有機骨格であり;nは1〜4の整数であり;nが2〜4の整数である場合、複数個存在するR、R、R、R、m、Q、X、点線の半円弧、ならびに、QとXとの間の点線および実線は、各々、同一または相異なる]で示されるホウ素化合物を少なくとも1種類含有し、前記陰極の仕事関数が4.0eV以上であることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の有機EL素子は、有機化合物層として発光層と電子輸送層を有するが、これら以外の有機化合物層として、正孔注入層、正孔輸送層などが適宜配置されていても良い。また、各層は複数の層から構成されていても良い。
【0029】
本発明の有機EL素子で用いられる発光層は、蛍光を利用するものでも燐光を利用するものでも良いが、発光に利用できる励起子の割合としては蛍光で25%、燐光で100%とされており、発光効率の観点から燐光を利用するものの方が好ましい。また、これらの蛍光または燐光物質は単独で発光層を形成しても良いし、ホスト化合物中に分散した状態で発光層を形成しても良い。
【0030】
本発明に使用できる蛍光材料としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリジン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
【0031】
本発明に使用できる燐光材料としては、例えば、遷移金属原子またはランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
【0032】
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金などが挙げられる。より好ましくは、レニウム、イリジウム、白金である。
【0033】
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられる。より好ましくは、ネオジム、ユウロピウム、ガドリニウムである。
【0034】
錯体の配位子としては、例えば、ハロゲン配位子(例えば塩素配位子など)、含窒素ヘテロ環配位子(例えばフェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えばアセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子などが挙げられる。
【0035】
上記錯体は、遷移金属原子またはランタノイド原子を1つ有していてもよいし、2つ以上有する複核錯体であってもよい。また、この錯体は上述の配位子を複数有していても良く、その場合の配位子は1種であっても複数の配位子を組み合わせたものであっても良い。
【0036】
本発明に使用できるホスト材料としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香族テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、カルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第3級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリジン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体などが挙げられる。
【0037】
本発明の有機EL素子で用いられる電子輸送層は、上記一般式(1)で示されるホウ素化合物を少なくとも1種類含有する。以下、一般式(1)について説明する。
、R、Rで表される、置換基を有していてもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基(例えば4−ビフェニル基など)、ナフチル基(例えば、2−ナフチル基など)、テトラヒドロナフチル基(例えば、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル基など)、インデニル基(例えば、1H−インデン−5−イル基など)、インダニル基(例えば、インダン−5−イル基など)、などがあげられるが、これらのアリール基に限定されるものではない。これらのアリール基のうち、フェニル基、ビフェニル基、(例えば4−ビフェニル基など)、ナフチル基(例えば、2−ナフチル基など)が好適である。
【0038】
、R、Rで表される、置換基を有していてもよい複素環基における「複素環基」としては、例えば、ピロリル基(例えば、2−ピロリル基など)、ピリジル基(例えば、2−ピリジル基など)、キノリル基(たとえば、2−キノリル基など)、ピペリジニル基(例えば4−ピペリジニル基など)ピペリジノ基、フリル基(例えば、2−フリル基など)、チエニル基(例えば、2−チエニル基など)が好適である。
【0039】
これらの置換基を有していてもよいアリール基および複素環基における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基など)、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基など)、炭素数5〜7の環状アルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基など)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、各アルキル基が炭素数1〜4であるモノもしくはジアルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、炭素数2〜6のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基など)、炭素数2〜6のアルキニル基(たとえば、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基など)、フェニル基、置換フェニル基(例えば、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基(p−トリル基)、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基など)、カルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基(たとえば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基など)などが挙げられるが、これらの置換基に限定されるものではない。
【0040】
あるいは、R、RおよびRは、いずれか2個が互いに結合して環を形成していてもよい。このような環としては、例えば、RとRとが結合した結果、ボロール環、ベンゾボロール環、ジベンゾボロール環、1,4−ジヒドロボリニン環、1,4−ジヒドロベンゾ[b]ボリニン環、5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e]ボリニン環、4H−1,4−オキサボリニン環、4H−ベンゾ[b][1,4]オキサボリニン環、10H−ジベンゾ[b,e][1,4]オキサボリニン環、1,4−ジヒドロ−1,4−アザボリニン環、1,4−ジヒドロベンゾ[b][1,4]アザボリニン環、5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザボリニン環などを形成した場合;RとRとが結合した結果、5,6−ヒドロベンゾ[b,d]ボリニン環などを形成した場合;さらにこれらの環が置換基を有する場合;などが挙げられるが、これらの環に限定されるものではない。上記式(1)において、Rで表される置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアリール基および複素環基における「置換基」として列挙した上記のような置換基が挙げられるが、これらの置換基に限定されるものではない。
【0041】
上記式(1)において、mは、Xに結合した置換基Rの数であり、Xの原子価や、XとXとの間の結合が単結合または二重結合のいずれであるか、QとXとが共通する環の一部であるか否かなどに応じて、0〜2の整数である。なお、mが2である場合、複数個存在するRは同一または相異なる。
【0042】
上記式(1)において、Qで表される連結基としては、例えば、=C<、=CH−、−CH<、−CH−、−CHCH−、−C−(例えば、−(1,2−C)−など)、−C10−(例えば、−(1,2−C10)−など)、−CO−、−CS−、−CN<、−CN=などが挙げられるが、これらの連結基に限定されるものではない。これらの連結基のうち、=C<、−CH−、−CHCH−が好適である。
【0043】
上記式(1)において、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子またはセレン原子である。これらの原子のうち、窒素原子、酸素原子が好適である。
【0044】
上記式(1)において、点線の半円弧で表されるQとXとが共通する環としては、例えば、ピロール環、ピリジン環、インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、フラン環、ピラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、ホスフィンドール環、イソホスフィンドール環、ホスフィノリン環、イソホスフィノリン環、チオフェン環、チオピラン環、チオクロメン環、イソチオクロメン環、セレノフェン環、セレノピラン環、セレノクロメン環、イソセレノクロメン環などが挙げられるが、これらの環に限定されるものではない。これらの環は、置換基を有していてもよい。これらの環のうち、ピリジン環、キノリン環が好適である。
【0045】
上記式(1)において、Rで表される1価の有機骨格としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基(p−トリル基)、ナフチル基(例えば、2−ナフチル基など)などが挙げられ、Rで表される2価の有機骨格としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、フェニレン基(例えば、1,4−フェニレン基など)、ナフチレン基(例えば、2,6−ナフチレン基など)などが挙げられ、Rで表される3価の有機骨格としては、例えば、メタントリイル基、エタントリイル基(例えば、エタン−1,1,2−トリイル基など)プロパントリイル基(例えば、プロパン−1,2,3−トリイル基など)、ベンゼントリイル基(例えば、ベンゼン−1,3,5−トリイル基など)、ナフタレントリイル基(例えば、ナフタレン−1,4,6−トリイル基など)などが挙げられ、Rで表される4価の有機骨格としては、例えば、メタンテトライル基、エタンテトライル基(例えば、エタン−1,1,2,2−テトライル基など)、プロパンテトライル基(例えば、プロパン−1,1,2,3−テトライル基など)、ベンゼンテトライル基(例えば、ベンゼン−1,2,4,5−テトライル基など)、ナフタレンテトライル基(例えば、ナフタレン−1,4,5,8−テトライル基など)などが挙げられるが、これらの有機骨格に限定されるものではない。
【0046】
上記式(1)において、nは、Rで表される水素または1〜4価の有機骨格に結合した含ホウ素環部分(角括弧で囲まれた部分)の数であり、Rが水素である場合、nは1であり、Rが1〜4価の有機骨格である場合、nは1〜4価の整数である。なお、nが2〜4の整数である場合、複数個存在するR、R、R、R、m、Q、X、点線の半円弧、ならびに、QとXとの間の点線および実線は、各々、同一または相異なる。
【0047】
本発明の有機EL素子で用いられる電子輸送層は、上記一般式(1)で示されるホウ素化合物と、他の電子輸送材料を組み合わせて使用することができる。他の電子輸送材料の例としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香族テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体などが挙げられる。
【0048】
電子輸送層を上記一般式(1)で示されるホウ素化合物と他の電子輸送材料を組み合わせて使用する場合は、仕事関数の大きな陰極からの電子注入を効率よく行うため、上記一般式(1)で示されるホウ素化合物と陰極とが他の電子輸送材料を介さず直接隣り合って配置されることが好ましい。
【0049】
本発明の有機EL素子で用いられる正孔注入層、正孔輸送層として使用できる有機化合物としては、例えばカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第3級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリジン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体などが挙げられる。
【0050】
本発明で用いられる陰極について説明する。本発明で用いられる陰極は仕事関数が4.0eV以上である金属、合金、導電性金属酸化物、またはこれらの混合物などからなる。仕事関数は、紫外線光電子分光(UPS)などの測定によって求めることができる。
金属の仕事関数の詳細なデータは、Journal of Applied Physics、48巻、11号、4729−4733ページ(1977年)に記載されている。仕事関数が4.0eV以上の金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、イリジウム、白金、金などが挙げられる。また、これらの金属は単独で使用してもよいし、合金として使用してもよい。
【0051】
導電性金属酸化物としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などが挙げられる。
【0052】
上記の中でも、陰極としては、金属が好ましい。より好ましくはアルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、白金、金等である。
【0053】
本発明で用いられる陽極としては、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、またはこれらの混合物などが適宜使用できる。例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。陽極は光取り出し側の電極として使用されることが多く、この場合、透明性の高い導電性金属酸化物が、特にITOが好ましい。
【0054】
これらの成膜方法については、特に制限はなく、公知の方法を適宜使用できる。公知の方法とは例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD、プラズマCVD、印刷方式、コーティング方式などが挙げられる。特に有機化合物層の成膜に関しては真空蒸着法や印刷方式が好ましい。
【0055】
本発明の有機EL素子における有機化合物層の膜厚は、特に限定されないが、駆動電圧を下げるために薄いことが好ましく、具体的には合計膜厚で300nm以下、より好ましくは200nm以下にすると良い。有機化合物層が複数存在する場合、各膜厚の比率に制限はないが、陽極、陰極のそれぞれから注入された正孔、電子が、ちょうど発光層で再結合するように調整することが望ましい。
【0056】
本発明の有機EL素子は、必要であれば封止を施しても良い。封止工程としては、公知の方法を適宜使用できる。例えば、不活性ガス中で封止容器を接着する方法や、有機EL素子の上に直接封止膜を形成する方法などが挙げられる。これらに加えて、水分吸収材を封入する方法を併用してもよい。
【0057】
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に電圧(通常は15ボルト以下)を印加することによって発光させることができる。通常は直流電圧を印加するが、交流成分が含まれていても良い。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いた測定装置および測定条件は、次の通りである。
H−NMR>
重クロロホルム(CDCl)を用いて、バリアン社製の「Gemini 2000」により測定した。化学シフトは、テトラメチルシラン(SiMe)から低磁場側での100万分の1(ppm;δスケール)として記録し、NMR溶媒(CDCl)中に含まれるテトラメチルシランの水素核(δ:0ppm)を参照とした。
<電圧印加装置>
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加を行った。
《合成例》
下記式で示される反応による(E)−2−(2−フェニル−2−ジフェニルボリルエテニル)−4−フェニルキノリンの合成
【0059】
【化4】

【0060】
[式中、Phはフェニル基を表し;dbaはジベンジリデンアセトン配位子を表し;DPEPhosはビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルを表し;NからBに向かう矢印は配位結合を表す]
2-クロロ‐4-フェニルキノリンはChemical & Pharmaceutical Bulletin, 28巻, 9号, 2618−2622ページ (1980年)に記載の方法に従って合成した。
窒素雰囲気下、テトラメチルアンモニウム=トリフェニルエチニルボラート(3.18 g、9.31 mmol)、2−クロロ−4−フェニルキノリン(2.10 g、8.86 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジバラジウム・クロロホルム錯体(Pddba・CHCl)(0.18 g、0.18 mmol)およびビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(DPEPhos)(0.23 g、0.43 mmol)をトルエン(44 mL)中、60 ℃で攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)を通過させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残渣をメタノールで洗浄し、(E)−2−(2−フェニル−2−ジフェニルボリルエテニル)−4−フェニルキノリンを収率27%で得た。
【0061】
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl):δ7.10−7.19(m,7H),7.20−7.23(m,3H),7.32−7.44(m,8H),7.58−7.61(m,5H),7.64(s,1H),7.88(dd,J=8.2,1.6,1.2Hz,1H),7.96(d,J=8.0Hz,1H).
《素子作成例1》
無アルカリガラス上にITOを暑さ150nmで成膜した基板(旭硝子株式会社製;シート抵抗10Ω)を29mm×25mmに切断した。この基板を中性洗剤中で5分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。さらにこの基板を超純水、アセトン、イソプロパノール中で、この順にそれぞれ5分間超音波洗浄した。さらにこの基板をエタノールで煮沸洗浄し、乾燥させた。この基板にUV−オゾン処理を施して、透明導電性支持基板として用いた。
【0062】
透明導電性支持基板をアルゴン雰囲気のグローブボックスに連結された真空蒸着装置(株式会社アルバック製)の基板ホルダーに固定した。正孔輸送層としてビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)を別のルツボに入れ、約1×10−4Paまで減圧し、膜厚50nmになるように蒸着した。次に発光層としてルブレンを別のルツボに入れ、約1×10−4Paになるまで減圧し、膜厚35nmになるように蒸着した。次に、電子輸送層として《合成例》で合成した(E)−2−(2−フェニル−2−ジフェニルボリルエテニル)−4−フェニルキノリンを別のルツボに入れ、約1×10−4Paまで減圧し、膜厚15nmになるように蒸着した。次に、陰極としてアルミニウム(仕事関数4.3eV)をタングステン製ボートに入れ、約1×10−3Paになるまで減圧し、膜厚80nmになるように蒸着し、有機EL素子(1)を作成した。このとき、基板にはステンレス製の蒸着マスクを用いて、陰極が直径1mmの円形になるようにした。すなわち、この有機EL素子の発光面積は、0.79cmとした。この素子は封止を行わなかった。
《素子作成例2》
陰極としてアルミニウムの代わりに金(仕事関数5.1eV)を用いた以外は《素子作成例1》と同様にして有機EL素子(2)を作成した。
《比較用素子作成例1》
電子輸送層として(E)−2−(2−フェニル−2−ジフェニルボリルエテニル)−4−フェニルキノリンの代わりにトリス(8−キンリノール)アルミニウム錯体(Alq)を用いた以外は《素子作成例1》と同様にして有機EL素子(3)を作成した。
《比較用素子作成例2》
電子輸送層として(E)−2−(2−フェニル−2−ジフェニルボリルエテニル)−4−フェニルキノリンの代わりにトリス(8−キンリノール)アルミニウム錯体(Alq)を用いた以外は《素子作成例2》と同様にして有機EL素子(4)を作成した。
《素子作成例3》
陰極としてアルミニウムの代わりにマグネシウム(Mg):銀(Ag)合金(組成比10:1)(仕事関数3.7eV)を用いた以外は《素子作成例1》と同様にして有機EL素子(5)を作成した。
《評価例1》
アルゴングローブボックス中で、《素子作成例1〜2》、および《比較用素子作成例1〜3》で作成した有機EL素子(1)〜(5)に、0V〜15Vまでの直流電圧を印加した時の、発光の有無と発光開始電圧を調べた。発光開始電圧の結果を表1に示した。括弧内の数字は、対応する素子番号を表した。
【0063】
【表1】

【0064】
本発明の有機EL素子(1)と比較用素子(3)とを比較すると、本発明の有機EL素子の方が低電圧で発光が確認できた。一方で、本発明の有機EL素子(1)の発光開始電圧は、比較用素子(5)と発光開始電圧が同じであり、同等の初期性能を持っていることが分かった。
【0065】
また、本発明の有機EL素子(2)と比較用素子(4)を比較すると本発明の有機EL素子は発光したのに対し、比較用素子(4)では15Vまで発光が見られなかった。
【0066】
これらの結果から、仕事関数の大きな陰極を用いた場合、従来の電子輸送層を用いた有機EL素子よりも、本発明の有機EL素子の方が高い性能を持っていることが明らかになった。
《評価例2》
《素子作成例1》で作成した有機EL素子(1)、および《比較用素子作成例3》で作成した比較用素子(5)を、アルゴングローブボックスから出して大気雰囲気下に8日間暴露した後、再度アルゴングローブボックス中に移し、0V〜15Vまでの直流電圧を印加した時の、発光の有無と発光開始電圧を調べた。発光開始電圧の結果を表2に示した。括弧内の数字は、対応する素子番号を表した。
【0067】
【表2】

【0068】
本発明の有機EL素子(1)と比較用素子(5)とを比較すると、本発明の有機EL素子の方は大気暴露に対する劣化が抑えられていた。《評価例1》で、同等の初期性能を持っていた両素子であったが、酸素や水分に対する耐久性に関しては、本発明の素子の方が優れていることが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に少なくとも発光層と電子輸送層とを含む複数の有機化合物層が挟持された有機電界発光素子において、前記電子輸送層が下記一般式(1):
【化1】

[式中、R、RおよびRは、同一または相異なり、置換気を有していてもよいアリール基または複素環基であるか、あるいはR、RおよびRのいずれか2個が互いに結合して環を形成しており;Rは水素原子または置換基であり;mは0〜2の整数であり;mが2である場合、複数個存在するRは同一または相異なり;Qは連結基であり、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子またはセレン原子であり;点線の半円弧はQとXとが共通する環の一部であってもよいことを表し;QとXとの間の点線および実線は単結合または二重結合を表し;XからBに向かう矢印は配位結合を表し:Rは水素または1〜4価の有機骨格であり;nは1〜4の整数であり;nが2〜4の整数である場合、複数個存在するR、R、R、R、m、Q、X、点線の半円弧、ならびに、QとXとの間の点線および実線は、各々、同一または相異なる]で示されるホウ素化合物を少なくとも1種類含有し、前記陰極の仕事関数が4.0eV以上である有機電界発光素子。
【請求項2】
前記一般式(1)で示される化合物において、QおよびXが共通する環の一部である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記共通する環がピリジン環、キノリン環であり、Xが該ピリジン環または該キノリン環の窒素原子であり、mが0である請求項1〜2のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(2):
【化2】

[式中、R、R、R、R、m、Q、X、点線の半円弧、QとXとの間の点線および実線、ならびに、XからBに向かう矢印は上記式(1)と同じ意味を有し;mが2である場合、複数個存在するRは同一または相異なり;Rは水素または1価の有機骨格である]で示される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記一般式(1)または(2)で示される化合物を少なくとも1種類含有した電子輸送層と、前記仕事関数が4.0eV以上である陰極が、他の層を挟まず直接隣り合って配置された請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記仕事関数が4.0eV以上である陰極が、金属である請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。

【公開番号】特開2010−114232(P2010−114232A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284953(P2008−284953)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】