説明

有機電界発光素子

【課題】高電子輸送性材料を用いて駆動電圧の低電圧化を図るとともに、四座配位子白金錯体の燐光発光材料を用いることにより高い発光効率を維持することが可能となる有機電界発光素子の提供。
【解決手段】陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有してなり、前記有機層における少なくとも1層が、特定の含窒素複素環誘導体から選択される少なくとも1種を含有し、かつ前記有機層における少なくとも1層が、特定の電子輸送性燐光発光材料を含有する有機電界発光素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、「有機エレクトロルミネッセント素子」、「有機EL素子」と称することもある)に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自発光、高速応答などの特長を持ち、フラットパネルディスプレイへの適用が期待されており、特に、正孔輸送性の有機薄膜(正孔輸送層)と電子輸送性の有機薄膜(電子輸送層)とを積層した2層型(積層型)のものが報告されて以来、10V以下の低電圧で発光する大面積発光素子として関心を集めている。積層型の有機EL素子は、正極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極、を基本構成とし、このうち発光層は、前記2層型の場合のように前記正孔輸送層又は前記電子輸送層にその機能を兼ねさせてもよい。
【0003】
このような有機EL素子において、低電圧化と高い発光効率の両立を実現するため、種々の検討がなされている。例えば特許文献1では、電子注入層及び電子輸送層に高電子輸送性材料として特定の含窒素複素環誘導体を用いることにより、低電圧化と高効率化が可能になるとされている。確かに、特許文献1の高電子輸送性材料を用いると駆動電圧を下げることができるが、発光層に燐光発光材料を用いた場合には、発光効率低下を招いてしまう問題点があった。これは一般的に用いられる正孔輸送性材料をホストとした場合、燐光発光材料もその多くが正孔輸送性であり、電子輸送性材料を用いて発光層への電子の注入が高まりすぎると、発光層内で電子の流れが滞ってしまうため、電子と正孔のキャリアバランスが崩れ、その結果発光効率の低下が起きてしまったと考えられる。
このように特許文献1には、蛍光発光素子を用いた実施例は示されているが、燐光発光材料を用いた実施例はなく、燐光発光材料を用いた場合の効率低下の問題点などについても指摘されておらず、燐光発光材料を用いる場合に必要となる技術については開示も示唆もされていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−217547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、駆動電圧の低電圧化を図れると共に、高い発光効率を維持することが可能となる有機電界発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、電子輸送性の高い燐光発光材料と、高電子輸送性材料とを組み合わせて用いることで、発光層での電子の流れが高められ、正孔と電子のキャリアバランスが改善され、低電圧化と高効率を両立させることが可能となり、特に、四座配位子白金錯体の燐光発光材料を用いた場合に、高い効率と低い駆動電圧を実現できることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有してなり、
前記有機層における少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される含窒素複素環誘導体から選択される少なくとも1種を含有し、かつ前記有機層における少なくとも1層が、下記一般式(2)で表される電子輸送性燐光発光材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子である。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基である。Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。L及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。Rは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環又は炭素環式芳香族環を形成していてもよい。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。X、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<2> 一般式(1)で表される含窒素複素環誘導体が、下記一般式(3)で表される含窒素複素環誘導体である前記<1>に記載の有機電界発光素子である。
【化3】

ただし、前記一般式(3)中、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基であり、Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。
及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。
R’は、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。
<3> 一般式(3)で表される含窒素複素環誘導体が、下記一般式(4)で表される含窒素複素環誘導体である前記<2>に記載の有機電界発光素子である。
【化4】

ただし、前記一般式(4)中、A及びAは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。
Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基である。Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。
及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。
R’及びR”は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R’及びR”は同一でも異なっていてもよい。
<4> 一般式(1)、(3)、及び(4)の少なくともいずれかで表される含窒素複素環誘導体において、前記L及びLの少なくともいずれかが、下記構造式で表される基から選択される前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【化5】

<5> 一般式(1)、(3)、及び(4)の少なくともいずれかで表される含窒素複素環誘導体において、Arが、下記一般式(5)から(14)で表される基である前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【化6】

ただし、前記式中、R〜R92は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の核炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核炭素数12〜80のジアリールアミノ基、置換もしくは無置換の核炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜40のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数18〜120のジアリールアミノアリール基を表す。Lは、単結合、及び下記構造式で表される置換基を表す。
【化7】

<6> 一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(15)で表される化合物である前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【化8】

ただし、前記一般式(15)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<7> 一般式(15)で表される化合物が、下記一般式(15a−1)で表される化合物である前記<6>に記載の有機電界発光素子である。
【化9】

ただし、前記一般式(15a−1)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53、X54及びX55は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53、X54及びX55を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<8> 一般式(15a−1)で表される化合物が、下記一般式(15a−2)で表される化合物である前記<7>に記載の有機電界発光素子である。
【化10】

ただし、前記一般式(15a−2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合もしくは2価の連結基を表す。
<9> 一般式(15a−2)で表される化合物が、下記一般式(15a−3)で表される化合物である前記<8>に記載の有機電界発光素子である。
【化11】

ただし、前記一般式(15a−3)中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<10> 一般式(15)で表される化合物が、下記一般式(15b−1)で表される化合物である前記<6>に記載の有機電界発光素子である。
【化12】

ただし、前記一般式(15b−1)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X61は、炭素原子又は窒素原子を表す。X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X61、炭素原子、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<11> 一般式(15b−1)で表される化合物が、下記一般式(15b−2)で表される化合物である前記<10>に記載の有機電界発光素子である。
【化13】

ただし、前記一般式(15b−2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X94及びX95は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X94及びX95の少なくともいずれか一方は、炭素原子を表す。R93は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<12> 一般式(15b−2)で表される化合物が、下記一般式(15b−3)で表される化合物である前記<11>に記載の有機電界発光素子である。
【化14】

ただし、前記一般式(15b−3)中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X94及びX95は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X94及びX95の少なくともいずれか一方は、炭素原子を表す。R93は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
<13> 一般式(2)で表される部分構造を有する多座配位子の金属錯体化合物、並びに一般式(15)、(15a−1)、(15a−2)、(15a−3)、(15b−1)、(15b−2)、及び(15b−3)で表される四座配位子の白金錯体化合物の少なくとも一種が、発光層に含有される前記<1>から<12>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<14> 一般式(2)で表される部分構造を有する多座配位子の金属錯体化合物、並びに一般式(15)、(15a−1)、(15a−2)、(15a−3)、(15b−1)、(15b−2)、及び(15b−3)で表される四座配位子の白金錯体化合物の少なくとも一種と、少なくとも一種のホスト材料が、発光層に含有される前記<1>から<13>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<15> 少なくとも一種のホスト材料が正孔輸送性である前記<14>に記載の有機電界発光素子である。
<16> 含窒素複素環誘導体が、電子注入材料及び電子輸送材料の少なくともいずれかとして用いられている前記<1>から<15>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<17> 含窒素複素環誘導体を含有する層が、還元性ドーパントを含有する前記<1>から<16>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<18> 還元性ドーパントが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体、及び希土類金属の有機錯体の中から選ばれる少なくとも一種である前記<17>に記載の有機電界発光素子である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、駆動電圧の低電圧化を図れると共に、高い発光効率を維持することが可能となる有機電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(有機電界発光素子)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有してなり、
前記有機層における少なくとも1層が、特定の含窒素複素環誘導体から選択される少なくとも1種を含有し、かつ前記有機層における少なくとも1層が、特定の電子輸送性燐光発光材料を含有する。
【0011】
<含窒素複素環誘導体>
前記含窒素複素環誘導体としては、下記一般式(1)で表される含窒素複素環誘導体から選択される少なくとも1種を含有する。
【化15】

ただし、前記一般式(1)中、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基である。Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。L及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。Rは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環又は炭素環式芳香族環を形成していてもよい。
【0012】
前記一般式(1)で表される含窒素複素環誘導体としては、下記一般式(3)で表される含窒素複素環誘導体であることが好ましい。
【化16】

ただし、前記一般式(3)中、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基であり、Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。
及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。
R’は、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。
【0013】
前記一般式(3)で表される含窒素複素環誘導体としては、下記一般式(4)で表される含窒素複素環誘導体であることが好ましい。
【化17】

ただし、前記一般式(4)中、A及びAは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。
Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基である。Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。
及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。
R’及びR”は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R’及びR”は同一でも異なっていてもよい。
【0014】
前記一般式(1)、(3)、及び(4)の少なくともいずれかで表される含窒素複素環誘導体において、前記L及びLの少なくともいずれかが、下記構造式で表される基から選択されることが好ましい。
【化18】

【0015】
前記一般式(1)、(3)、及び(4)の少なくともいずれかで表される含窒素複素環誘導体において、Arが、下記一般式(5)から(14)で表される基であることが好ましい。
【化19】

ただし、前記式中、R〜R92は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の核炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核炭素数12〜80のジアリールアミノ基、置換もしくは無置換の核炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜40のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数18〜120のジアリールアミノアリール基を表す。Lは、単結合、及び下記構造式で表される置換基を表す。
【化20】

【0016】
本発明に用いることができる含窒素複素環誘導体の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【化21】

【0017】
前記含窒素複素環誘導体は、電子注入材料及び電子輸送材料の少なくともいずれかとして用いられることが好ましい。
前記含窒素複素環誘導体は、有機層における少なくとも1層に含有されるが、電子注入層及び電子輸送層の少なくともいずれかが好ましい。
前記電子注入層及び電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
【0018】
前記含窒素複素環誘導体を含有する層(有機層、電子注入層、電子輸送層)は、還元性ドーパントを含有することが好ましい。
前記還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体、及び希土類金属の有機錯体の中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
前記還元性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料又は電子注入材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、0.3質量%〜80質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
【0019】
前記電子輸送層及び電子注入層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、湿式製膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。
前記電子輸送層の厚みは、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましいく、1nm〜50nmであることが更に好ましい。
前記電子注入層の厚みは、1nm〜200nmが好ましく、1nm〜100nmがより好ましいく、1nm〜50nmであることが更に好ましい。
【0020】
<電子輸送性燐光発光材料>
前記電子輸送性燐光発光材料としては、下記一般式(2)で表される電子輸送性燐光発光材料を含有することが好ましい。
【化22】

ただし、前記一般式(2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。X、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0021】
前記一般式(2)で表される化合物としては、下記一般式(15)で表される化合物であることが好ましい。
【化23】

ただし、前記一般式(15)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0022】
前記一般式(15)で表される化合物としては、下記一般式(15a−1)で表される化合物であることが好ましい。
【化24】

ただし、前記一般式(15a−1)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53、X54及びX55は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53、X54及びX55を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0023】
前記一般式(15a−1)で表される化合物としては、下記一般式(15a−2)で表される化合物であることが好ましい。
【化25】

ただし、前記一般式(15a−2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合もしくは2価の連結基を表す。
【0024】
前記一般式(15a−2)で表される化合物としては、下記一般式(15a−3)で表される化合物であることが好ましい。
【化26】

ただし、前記一般式(15a−3)中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0025】
前記一般式(15)で表される化合物としては、下記一般式(15b−1)で表される化合物であることが好ましい。
【化27】

ただし、前記一般式(15b−1)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X61は、炭素原子又は窒素原子を表す。X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X61、炭素原子、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0026】
前記一般式(15b−1)で表される化合物としては、下記一般式(15b−2)で表される化合物であることが好ましい。
【化28】

ただし、前記一般式(15b−2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X94及びX95は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X94及びX95の少なくともいずれか一方は、炭素原子を表す。R93は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0027】
前記一般式(15b−2)で表される化合物としては、下記一般式(15b−3)で表される化合物であることが好ましい。
【化29】

ただし、前記一般式(15b−3)中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X94及びX95は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X94及びX95の少なくともいずれか一方は、炭素原子を表す。R93は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0028】
本発明に用いることができる電子輸送性燐光発光材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【化30】

【0029】
【化31】

【0030】
【化32】

【0031】
前記一般式(2)で表される部分構造を有する多座配位子の金属錯体化合物、並びに一般式(15)、(15a−1)、(15a−2)、(15a−3)、(15b−1)、(15b−2)、及び(15b−3)で表される四座配位子の白金錯体化合物の少なくとも一種は、有機層における少なくとも1層に含有されるが、発光層に含有されることが好ましい。
【0032】
前記一般式(2)で表される部分構造を有する多座配位子の金属錯体化合物、並びに一般式(15)、(15a−1)、(15a−2)、(15a−3)、(15b−1)、(15b−2)、及び(15b−3)で表される四座配位子の白金錯体化合物の少なくとも一種と、少なくとも一種のホスト材料が、発光層に含有されることが好ましく、アダマンタンなどの添加剤が含まれてもよい。
この場合、前記発光性ドーパントとしての電子輸送性燐光発光材料の含有量は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜90質量%であることが好ましく、1質量%〜50質量%がより好ましく、1質量%〜25質量%が更に好ましい。
【0033】
前記ホスト材料としては、電子輸送性ホスト、正孔輸送性ホストいずれも好ましく用いることができ、電子輸送性ホスト、正孔輸送性ホストを併用してもよい。
【0034】
<電子輸送性ホスト材料>
本発明に用いられる電子輸送性ホスト材料としては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.4eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.3eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
好ましい最低三重項励起準位(以下T1とする)は好ましくは2.2eV以上3.7eV以下であり、更に好ましくは2.4eV以上3.7eV以下であり、最も好ましくは2.4eV以上3.4eV以下である。
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、及びそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
【0035】
電子輸送性ホストとして好ましくは、金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体等)であり、中でも、本発明においては耐久性の点から金属錯体化合物が好ましい。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、又はパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、又はパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、又はパラジウムイオンである。
【0036】
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」、裳華房社、山本明夫著、1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
【0037】
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であってもよい。好ましくは2座以上6座以下の配位子である。また、2座以上6座以下の配位子と単座の混合配位子も好ましい。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる。)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる。)、芳香族炭化水素アニオン配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニルアニオン、ナフチルアニオン、アントラニルアニオンなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環アニオン配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜25、特に好ましくは炭素数2〜20であり、例えばピロールアニオン、ピラゾールアニオン、ピラゾールアニオン、トリアゾールアニオン、オキサゾールアニオン、ベンゾオキサゾールアニオン、チアゾールアニオン、ベンゾチアゾールアニオン、チオフェンアニオン、ベンゾチオフェンアニオンなどが挙げられる。)、インドレニンアニオン配位子などが挙げられ、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、又はシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、又は芳香族ヘテロ環アニオン配位子である。
【0038】
金属錯体電子輸送性ホスト材料の例としては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0039】
このような電子輸送性ホスト材料としては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【化33】


【化34】


【化35】

【0040】
<正孔輸送性ホスト材料>
本発明の発光層に用いられる正孔輸送性ホスト材料としては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.1eV以上6.4eV以下であることが好ましく、5.4eV以上6.2eV以下であることがより好ましく、5.6eV以上6.0eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが1.2eV以上3.1eV以下であることが好ましく、1.4eV以上3.0eV以下であることがより好ましく、1.8eV以上2.8eV以下であることが更に好ましい。
好ましい最低三重項励起準位(以下T1とする)は好ましくは2.2eV以上3.7eV以下であり、更に好ましくは2.4eV以上3.7eV以下であり、最も好ましくは2.4eV以上3.4eV以下である。
【0041】
前記正孔輸送性ホスト材料としては、例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
これらの中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にインドール骨格、カルバゾール骨格、アザインドール骨格、アザカルバゾール骨格、又は芳香族第三級アミン骨格を複数個有するものが好ましい。
また、本発明においてはホスト材料の水素を一部又はすべて重水素に置換したホスト材料を用いることができる(特願2008−126130号明細書、特表2004−515506号公報)。
【0042】
このような正孔輸送性ホスト材料としての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化36】

【0043】
【化37】

【0044】
【化38】

【0045】
【化39】

【0046】
【化40】

【0047】
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
前記発光層は、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
【0048】
前記発光層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、2nm〜500nmが好ましく、外部量子効率の観点から、3nm〜200nmがより好ましく、10nm〜200nmが更に好ましい。また、前記発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
【0049】
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極の間に、発光層を含む有機層を有してなり、目的に応じてその他の層を有していてもよい。
前記有機層は、少なくとも前記発光層を有し、電子輸送層、電子注入層、更に必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、などを有していてもよい。
【0050】
<正孔注入層、正孔輸送層>
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。該正孔注入層及び正孔輸送層は、単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
これらの層に用いられる正孔注入材料、又は正孔輸送材料としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
前記正孔注入材料、又は正孔輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記正孔注入層、及び正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。
前記電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
前記無機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン等のハロゲン化金属;五酸化バナジウム、三酸化モリブデン等の金属酸化物、などが挙げられる。
前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基等を有する化合物;キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレン、などが挙げられる。
これらの電子受容性ドーパントは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料又は正孔注入材料に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.05質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が更に好ましい。
【0052】
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の厚さは、1nm〜500nmが好ましく、5nm〜200nmがより好ましく、10nm〜100nmが更に好ましい。
【0053】
<正孔ブロック層、電子ブロック層>
前記正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記正孔ブロック層を構成する化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
前記電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
【0054】
前記電子ブロック層及び正孔ブロック層は、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記正孔ブロック層及び電子ブロック層の厚さは、1nm〜200nmであるのが好ましく、1nm〜50nmであるのがより好ましく、3nm〜10nmであるのが更に好ましい。また正孔ブロック層及び電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0055】
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極とを含む。前記有機電界発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明であることが好ましい。通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。
前記電極としては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
前記電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
【0056】
−陽極−
前記陽極を構成する材料としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、又はこれらとITOとの積層物、などが挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが特に好ましい。
【0057】
−陰極−
前記陰極を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0058】
前記電極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば印刷方式、コーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式;CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などが挙げられる。これらの中でも、前記電極を構成する材料との適性を考慮し、適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料としてITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って形成することができる。陰極の材料として金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って形成することができる。
【0059】
なお、前記電極を形成する際にパターニングを行う場合は、フォトリソグラフィー等による化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザー等による物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0060】
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に設けられていることが好ましく、電極と基板とが直接接する形で設けられていてもよいし、中間層を介在する形で設けられていてもよい。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料、などが挙げられる。
【0061】
前記基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。基板は透明でも不透明でもよく、透明な場合は無色透明でも有色透明でもよい。
【0062】
前記基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、例えば窒化珪素、酸化珪素等の無機物などが挙げられる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
【0063】
−保護層−
有機電界発光素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
前記保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばIn、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属;MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物;SiNx、SiNxOy等の金属窒化物;MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、などが挙げられる。
【0064】
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法などが挙げられる。
【0065】
−封止容器−
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体が封止されていてもよい。更に、前記封止容器と有機電界発光素子の間の空間には、水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
前記水分吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム、などが挙げられる。
前記不活性液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパラフィン類、流動パラフィン類;パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;塩素系溶剤、シリコーンオイル類、などが挙げられる。
【0066】
−樹脂封止層−
本発明の有機電界発光素子は、大気からの酸素や水分による素子性能劣化を樹脂封止層により封止することで抑制することが好ましい。
前記樹脂封止層の樹脂素材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、エステル系樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、水分防止機能の点からエポキシ樹脂が特に好ましい。前記エポキシ樹脂の中でも熱硬化型エポキシ樹脂、又は光硬化型エポキシ樹脂が好ましい。
【0067】
前記樹脂封止層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂溶液を塗布する方法、樹脂シートを圧着又は熱圧着する方法、蒸着やスパッタリング等により乾式重合する方法、などが挙げられる。
【0068】
−封止接着剤−
本発明に用いられる封止接着剤は、端部よりの水分や酸素の侵入を防止する機能を有する。
前記封止接着剤の材料としては、前記樹脂封止層で用いる材料と同じものを用いることができる。これらの中でも、水分防止の点からエポキシ系の接着剤が好ましく、光硬化型接着剤あるいは熱硬化型接着剤が特に好ましい。
前記封止接着剤にフィラーを添加することも好ましい。前記フィラーとしては、例えばSiO、SiO(酸化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)、SiN(窒化ケイ素)等の無機材料が好ましい。該フィラーの添加により、封止接着剤の粘度が上昇し、加工適正が向上し、及び耐湿性が向上する。
前記封止接着剤は、乾燥剤を含有してもよい。前記乾燥剤としては、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、などが挙げられる。前記乾燥剤の添加量は、前記封止接着剤に対し0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.05質量%〜15質量%がより好ましい。前記添加量が、0.01質量%未満であると、乾燥剤の添加効果が薄れることになり、20質量%を超えると、封止接着剤中に乾燥剤を均一分散させることが困難になることがある。
本発明においては、前記乾燥剤の入った封止接着剤をディスペンサー等により任意量塗布し、塗布後第2基板を重ねて、硬化させることにより封止することができる。
【0069】
図1は、本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。有機EL素子10は、ガラス基板1上に形成された陽極2(例えばITO電極)と、正孔注入層3と、正孔輸送層4と、発光層5と、電子輸送層6と、電子注入層7と、陰極8(例えばAl−Li電極)とをこの順に積層してなる層構成を有する。なお、陽極2(例えばITO電極)と陰極8(例えばAl−Li電極)とは電源を介して互いに接続されている。
【0070】
−駆動−
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子は、薄膜トランジスタ(TFT)によりアクティブマトリックスへ適用することができる。薄膜トランジスタの活性層としてアモルファスシリコン、高温ポリシリコン、低温ポリシリコン、微結晶シリコン、酸化物半導体、有機半導体、カーボンナノチューブ等を適用することができる。
本発明の有機電界発光素子は、例えばWO2005/088726号パンフレット、特開2006−165529号公報、米国特許出願公開2008/0237598A1明細書などに記載の薄膜トランジスタを適用することができる。
【0071】
本発明の有機電界発光素子は、特に制限はなく、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板、ITO層、有機層の屈折率を制御する、基板、ITO層、有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の有機電界発光素子からの光取り出し方式は、トップエミッション方式であってもボトムエミッション方式であってもよい。
【0072】
本発明の有機電界発光素子は、共振器構造を有してもよい。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は、特開平9−180883号公報に記載されている。第2の態様の場合の計算式は、特開2004−127795号公報に記載されている。
【0073】
−用途−
本発明の有機電界発光素子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
前記有機ELディスプレイをフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する有機EL素子を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の有機電界発光素子による白色発光をカラーフィルターを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の有機電界発光素子による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。また、上記方法により得られる異なる発光色の有機電界発光素子を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色、緑色、赤色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、などが挙げられる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0075】
(比較例1)
−有機電界発光素子の作製−
0.5mm厚み、2.5cm角のガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。このガラス基板上に真空蒸着法にて以下の各層を蒸着した。なお、以下の実施例及び比較例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。また、以下の各層厚は水晶振動子を用いて測定した。
【0076】
まず、ガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚み100nmにスパッタ蒸着した。
次に、陽極(ITO)上に、正孔注入層として2−TNATA(4,4’,4”−Tris(N−(2−naphtyl)−N−phenyl−amino)−triphenylamine)を厚み140nmに蒸着した。
次に、正孔注入層上に、正孔輸送層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−pheny]benzidine)を厚み7nmに蒸着した。
次に、正孔輸送層上に、第二の正孔輸送層として下記構造式で表されるアミン化合物1を厚み3nmに蒸着した。
【化41】

【0077】
次に、第二の正孔輸送層上に、正孔輸送性ホスト材料である下記構造式で表されるH−4〔mCP;(N,N’−dicarbazolyl−3,5−benzene)〕と、該mCPに対して6.0質量%の正孔輸送性燐光発光材料であるFirpic〔iridium(III)bis[4,6−di−fluorophenyl]−pyridinato−)picolinate〕をドープした発光層を30nmの厚みとなるように蒸着した。
【化42】

【0078】
次に、発光層上に、電子輸送層として一般式(1)に含まれる高電子輸送性材料である下記構造式で表される含窒素複素環誘導体1を厚み40nmに蒸着した。
【化43】

次に、電子輸送層上に、電子注入層としてLiFを厚み1nmとなるように蒸着した。
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウムを厚み100nmとなるように蒸着した。
以上により作製した積層体を、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、比較例1の有機電界発光素子を作製した。
【0079】
(比較例2)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、電子輸送層として低電子輸送性材料であるBAlq〔Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium−(III)〕を用いた以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0080】
(比較例3)
−有機電界発光素子の作製−
比較例2において、発光材料として一般式(2)に含まれる電子輸送性燐光発光材料である下記構造式で表されるD−1を用いた以外は、比較例2と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化44】

【0081】
(実施例1)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、発光材料としてFirpicの代わりに上記構造式で表されるD−1を用いた以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0082】
(実施例2)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、電子輸送層として下記構造式で表される含窒素複素環誘導体2を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化45】

【0083】
(実施例3)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、電子輸送層として下記構造式で表される含窒素複素環誘導体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化46】

【0084】
(実施例4)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、電子輸送層として下記構造式で表される含窒素複素環誘導体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化47】

【0085】
(実施例5)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、発光材料として下記構造式で表されるD−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化48】

【0086】
(実施例6)
−有機電界発光素子の作製−
実施例5において、ホスト材料として下記構造式で表されるH−24を用い、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体2を用いた以外は、実施例5と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化49】

【0087】
(実施例7)
−有機電界発光素子の作製−
実施例5において、ホスト材料として下記構造式で表されるH−27を用い、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体3を用いた以外は、実施例5と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化50】

【0088】
(実施例8)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、ホスト材料として下記構造式で表されるH−17を用い、発光材料として下記構造式で表されるD−3を用い、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化51】

【化52】

【0089】
(実施例9)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、発光材料として下記構造式で表されるD−4を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化53】

【0090】
(実施例10)
−有機電界発光素子の作製−
実施例9において、ホスト材料として上記構造式で表されるH−24を用い、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体2を用いた以外は、実施例9と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0091】
(実施例11)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、発光材料として下記構造式で表されるD−5を用い、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化54】

【0092】
(実施例12)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、発光材料として下記構造式で表されるD−9を用い、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化55】

【0093】
(実施例13)
−有機電界発光素子の作製−
実施例12において、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体1を用いた以外は、実施例12と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0094】
(実施例14)
−有機電界発光素子の作製−
実施例2において、発光材料として下記構造式で表されるD−10を用いた以外は、実施例2と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化56】

【0095】
(実施例15)
−有機電界発光素子の作製−
実施例14において、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体3を用いた以外は、実施例14と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0096】
(実施例16)
−有機電界発光素子の作製−
実施例4において、発光材料として下記構造式で表されるD−14を用いた以外は、実施例4と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化57】

【0097】
(実施例17)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、発光材料として下記構造式で表されるD−15を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化58】

【0098】
(実施例18)
−有機電界発光素子の作製−
実施例2において、発光材料として下記構造式で表されるD−23を用いた以外は、実施例2と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化59】

【0099】
(実施例19)
−有機電界発光素子の作製−
実施例3において、発光材料として下記構造式で表されるD−24を用いた以外は、実施例3と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化60】

【0100】
(実施例20)
−有機電界発光素子の作製−
実施例19において、電子輸送層として上記構造式で表される含窒素複素環誘導体4を用いた以外は、実施例19と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0101】
次に、作製した実施例1〜20及び比較例1〜3について、以下のようにして、駆動電圧、及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
<駆動電圧の測定>
東陽テクニカ株式会社製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し、発光させた。電流が10mA/cmとなったときの電圧を駆動電圧として測定した。
【0103】
<外部量子効率の測定>
東陽テクニカ株式会社製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し、発光させた。発光スペクトル・輝度はトプコン社製スペクトルアナライザーSR−3を用いて測定し、これらの数値をもとに電流が10mA/cmにおける外部量子効率を輝度換算法により算出した。
【0104】
【表1】

表1の結果から、比較例1と比較例2を比較した場合、正孔輸送性燐光発光材料であるFirpicを用いた場合は、電子輸送層を低電子輸送性材料であるBAlqから高電子輸送性材料である含窒素複素環誘導体1に変えたところ、確かに駆動電圧は低下しているが、外部量子効率の低下が生じてしまい、せっかくの燐光発光による高い量子効率と低電圧化を両立させることができなかった。
しかし、電子輸送性燐光発光材料率のである四座配位子白金錯体(D−1)を用いた比較例3と実施例1を比較すると、電子輸送層をBAlqから含窒素複素環誘導体1に変えることにより、大幅な低電圧化が見られ、更に外部量子効率は高い効率を維持させることができた。また、実施例2〜4では一般式(1)を満たす含窒素複素環誘導体3種類で同様の効果が認められ、実施例5〜20では一般式(2)を満たす電子輸送性燐光発光材料においてやはり同様の効果が認められた。
【0105】
(比較例4)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、正孔注入層の2−TNATAを、DNTPD(N,N’−bis−[4-(di−m−tolylamino)phenyl]−N,N’−diphenylbiphenyl−4,4’−diamine)に代えた以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【0106】
(実施例21)
−有機電界発光素子の作製−
比較例4において、発光材料としてFirpicを下記構造式で表されるD−1に代えた以外は、比較例4と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化61】

【0107】
(実施例22)
−有機電界発光素子の作製−
実施例21において、電子輸送層として下記構造式で表される含窒素複素環誘導体2を用いた以外は、実施例21と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化62】

【0108】
(実施例23)
−有機電界発光素子の作製−
実施例21において、電子輸送層として下記構造式で表される含窒素複素環誘導体3を用いた以外は、実施例21と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
【化63】

【0109】
得られた比較例4及び実施例21〜23について、実施例1と同じ方法により、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表2に示す。
【0110】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の有機電界発光素子は、駆動電圧の低電圧化を図れると共に、高い発光効率を維持することが可能となるので、例えば表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0112】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
10 有機電界発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有してなり、
前記有機層における少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される含窒素複素環誘導体から選択される少なくとも1種を含有し、かつ前記有機層における少なくとも1層が、下記一般式(2)で表される電子輸送性燐光発光材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化64】

ただし、前記一般式(1)中、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基である。Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。L及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。Rは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環又は炭素環式芳香族環を形成していてもよい。
【化65】

ただし、前記一般式(2)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。X、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【請求項2】
一般式(1)で表される含窒素複素環誘導体が、下記一般式(3)で表される含窒素複素環誘導体である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化66】

ただし、前記一般式(3)中、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基であり、Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。
及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。
R’は、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。
【請求項3】
一般式(3)で表される含窒素複素環誘導体が、下記一般式(4)で表される含窒素複素環誘導体である請求項2に記載の有機電界発光素子。
【化67】

ただし、前記一般式(4)中、A及びAは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。
Arは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基である。Arは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。ただし、Ar及びArのいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数10〜60の縮合環基、又は置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のモノヘテロ縮合環基である。
及びLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無置換のフルオレニレン基である。
R’及びR”は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R’及びR”は同一でも異なっていてもよい。
【請求項4】
一般式(1)、(3)及び(4)の少なくともいずれかで表される含窒素複素環誘導体において、L及びLの少なくともいずれかが、下記構造式で表される基から選択される請求項1から3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化68】

【請求項5】
一般式(1)、(3)及び(4)の少なくともいずれかで表される含窒素複素環誘導体において、Arが、下記一般式(5)から(14)で表される基である請求項1から4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化69】

ただし、前記式中、R〜R92は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の核炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核炭素数12〜80のジアリールアミノ基、置換もしくは無置換の核炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の核炭素数3〜40のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換の核炭素数18〜120のジアリールアミノアリール基を表す。Lは、単結合、及び下記構造式で表される置換基を表す。
【化70】

【請求項6】
一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(15a−3)で表される化合物である請求項1から5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化71】

ただし、前記一般式(15a−3)中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【請求項7】
一般式(2)で表される部分構造を有する多座配位子の金属錯体化合物、及び一般式(15a−3)で表される四座配位子の白金錯体化合物の少なくとも一種が、発光層に含有される請求項1から6のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
一般式(2)で表される部分構造を有する多座配位子の金属錯体化合物、及び一般式(15a−3)で表される四座配位子の白金錯体化合物の少なくとも一種と、少なくとも一種のホスト材料が、発光層に含有される請求項1から7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
少なくとも一種のホスト材料が正孔輸送性である請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
含窒素複素環誘導体が、電子注入材料及び電子輸送材料の少なくともいずれかとして用いられている請求項1から9のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
含窒素複素環誘導体を含有する層が、還元性ドーパントを含有する請求項1から10のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
還元性ドーパントが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体、及び希土類金属の有機錯体の中から選ばれる少なくとも一種である請求項11に記載の有機電界発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2010−171205(P2010−171205A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12389(P2009−12389)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】