有機電界発光装置及びその製造方法
【課題】光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法の提供。
【解決手段】陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも含む有機電界発光部と、前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層と、前記発光層から発光される光の光路を制御するレンズとを有し、前記封止層と前記レンズの間であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有する有機電界発光装置である。
【解決手段】陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも含む有機電界発光部と、前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層と、前記発光層から発光される光の光路を制御するレンズとを有し、前記封止層と前記レンズの間であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有する有機電界発光装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光装置は、自発光型の表示装置であり、ディスプレイや照明の用途に用いられる。有機ELディスプレイは、従来のCRTやLCDと比較して視認性が高い、視野角依存性がないといった表示性能の利点を有する。また、ディスプレイを軽量化、薄層化できるといった利点もある。
【0003】
このように有機電界発光装置は、優れた特徴を有するが、一般に、発光層を含め表示装置を構成する各層の屈折率は空気より高い。例えば、有機電界発光装置では、発光層などの有機薄膜層の屈折率は1.6〜2.1である。このため、発光した光は界面で全反射しやすく、その光取出し効率は20%に満たず、大部分の光を損失している。
例えば、一般的に知られる有機電界発光装置における有機電界発光部は、基板上に、一対の電極層の間に配される有機化合物層を備えて構成されている。該有機化合物層は、発光層を含み、有機電界発光装置は、該発光層から発光される光を光取出し面側から出射させている。この場合、光取出し面や電極層と有機化合物層の界面において、臨界角以上の光である全反射成分を取出すことができないため、光の取出し効率が低いという問題がある。
【0004】
このようなことから、光取出し効率を向上させるため、発光層から発光される光の光路を制御し、該発光層から発光される光を光取出し面側から出射させるレンズ等の光取り出し部材を、光路上に配する有機電界発光装置が種々提案されている。
【0005】
例えば特許文献1には、発光層の上部にレンズを配置し、光取り出し効率を向上させることが提案されている。しかし、この提案のように、発光層の大きさと同等のレンズを用いた場合、図1に示すように、レンズ14の中央部から発光した光は外部に出射されるが、レンズの周縁部の光はレンズと全反射してレンズ内に閉じ込められてしまい、ほとんど外部に出射せず、その結果、光取り出し効率が低下してしまうという問題があった。なお、図1中、12及び15は、封止層及び有機電界発光部を表す。
また、このようにレンズ周縁部の光が外部に出射されにくいことについては、例えば特許文献2にも開示されており、従来からの解決課題の重要な一つであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−128879号公報
【特許文献2】特開2003−31353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、封止層とレンズの間の領域であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を設けることにより、レンズの周縁部の光を反射部材によって再利用することで、より光取り出し効率を向上できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも含む有機電界発光部と、
前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層と、
前記発光層から発光される光の光路を制御するレンズと、を有する有機電界発光装置において、
前記封止層と前記レンズの間の領域であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有することを特徴とする有機電界発光装置である。
<2> 反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から1/2R以上外側に位置する領域に配された前記<1>に記載の有機電界発光装置である。
<3> 反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から3/5R以上外側に位置する領域に配された前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<4> 反射部材が、リング状である前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<5> 反射部材が、アルミニウム、銀、金、マグネシウム及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<6> 反射部材が、無機粒子、有機粒子、及び気泡の少なくとも1種を含む拡散反射材からなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の有機電界発光装置を製造する方法であって、
有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層上に反射部材を所定のパターン状に形成する反射部材形成工程と、
前記パターン状の反射部材及び封止層上にレンズを形成するレンズ形成工程と、を含むことを特徴とする有機電界発光装置の製造方法である。
<8> レンズの形成が、インプリント法及びインクジェット法のいずれかで行われる前記<7>に記載の有機電界発光装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、従来の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の有機電界発光装置の他の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の有機電界発光装置の更に他の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の有機電界発光装置におけるレンズ及び反射部材の配列状態の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の有機電界発光装置におけるレンズ及び反射部材の配列状態の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略断面図である。
【図8】図8は、製造例1の有機電界発光装置において、レンズの中心からの距離を変えて取り出し効率を求める様子を示す図である。
【図9】図9は、製造例1の有機電界発光装置におけるレンズの中心からの距離と光取り出し効率との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例1及び2におけるB/Aを求めるための図である。
【図11】図11は、実施例1におけるB/Aと取り出し効率比との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例2におけるB/Aと取り出し効率比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(有機電界発光装置)
本発明の有機電界発光装置は、有機電界発光部と、封止層と、レンズと、反射部材とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0013】
<反射部材>
本発明においては、前記封止層と前記レンズの間の領域であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有する。これにより、従来外部に取り出すことができなかった光成分を取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。
前記反射部材は、前記封止層と前記レンズの間の領域である、封止層直上、あるいは別の層を介して封止層上に配することができる。
【0014】
ここで、前記反射部材が前記レンズの周縁部に配されるとは、具体的には、前記反射部材が、レンズにおける封止層との接触部であって、該レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から1/2R以上外側に位置する領域に配されることが好ましく、レンズの中心から3/5R以上外側に位置する領域に配されることがより好ましい。前記レンズの中心から1/2R未満外側に位置する領域に配されると、もともと取り出される光成分を減少させてしまうことがある。
なお、前記レンズが半球状でない場合には、レンズ付基板に対して垂直な方向から見た際の、レンズの投影直径を2Rとすることで半径Rを求めることができる。
【0015】
前記反射部材は、その形状、構造、材料等については適宜選択することができ、前記反射部材の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
前記反射部材の形状としては、リング状(環状)であることが、異方性をなくすことができる点で好ましい。
前記反射部材の材料としては、例えばアルミニウム、銀、金、マグネシウム、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、銀が特に好ましい。
また、反射部材が、無機粒子、有機粒子、及び気泡の少なくとも1種を含む拡散反射材からなることが好ましい。前記無機粒子としては、例えば酸化チタン、ジルコニア、又は酸化亜鉛からなる粒子などが挙げられる。前記有機粒子としては、例えばアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、又はウレタン系樹脂からなる粒子などが挙げられる。
【0016】
前記反射部材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば後述する有機電界発光装置の製造方法により形成することができる。
前記反射部材の厚みは、10nm〜1,000nmであることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。
【0017】
<レンズ>
前記レンズは、前記発光層から発光される光の光路を制御する機能を有する。
前記レンズは、前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層上に形成されており、レンズの周縁部には反射部材が配されているので、レンズは、反射部材上及び封止層直上あるいは別の層を介して封止層上に配される。
【0018】
前記レンズとしては、その形状、配列、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば球状、半球状、楕円状、台形状などが挙げられる。これらの中でも、半球状レンズが正面輝度の向上の点で特に好ましい。
前記レンズの配列としては、例えば正方格子状、ハニカム状などが挙げられる。
前記レンズの材質としては、透明樹脂、ガラス、透明結晶、透明セラミックなどが挙げられる。
前記レンズの大きさとしては、半球状レンズの場合には、その有効直径が10μm〜1,000μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましい。
前記レンズは、1つの発光層(画素)上に1つ配することが好ましいが、1つの発光層(画素)上に複数個配することもできる。
前記レンズの屈折率は、1.4〜2.1であることが好ましく、1.5〜1.8であることがより好ましい。
【0019】
<封止層>
前記封止層は、前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する層である。前記陰極表面には、陰極表面以外にも、有機電界発光部の表面(露出面)を広く含む。
前記封止層としては、大気中の酸素、水分、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等の透過を防ぐ機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記封止層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiN、SiON、などが挙げられる。
【0020】
前記封止層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CVD法、真空蒸着法、などが挙げられる。
前記封止層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜5,000nmが好ましく、7nm〜3,000nmがより好ましい。前記封止層の厚みが、5nm未満であると、大気中の酸素及び水分の透過を防ぐバリア機能が不充分であることがあり、5,000nmを超えると、光線透過率が低下し、透明性を損なうことがある。
前記封止層の光学的性質は、光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
前記封止層の屈折率は、1.4〜2.5であることが好ましく、1.6〜2.1であることがより好ましい。
【0021】
本発明においては、前記有機電界発光部は、色純度を高めることができる点でマイクロキャビティ構造を形成する場合もある。
ここで、前記マクロキャビティ構造とは、光出射側の半透過層と光出射と逆側の反射電極層とが干渉する構造を意味する。
【0022】
ここで、前記マイクロキャビティ構造の光学長(光学距離)Lは、L=2×Σnidi(ただし、iは積層数で1〜iまでの整数を表す)及び反射による位相シフトで表され、陽極と陰極の間に形成される各層の厚さdとその層の屈折率nの積の和で表される。
前記光学長Lは、発光波長λに対し、光学長L(λ)=mλ(m=1:1次、m=2:2次、m=3:3次)に示す関係があり、光学長L(λ)は、下記数式で表される。
【数1】
ただし、式中、L(λ)は光学長〔=2Σnjdj+ΣABS(φmiλ/2π)〕、λは、発光波長、iは、金属反射層を示すサフィックス、jは、金属反射層以外の金属層間の層(有機層や誘電体層等)を示すサフィックスを表す。
【0023】
本発明においては、有機電界発光部の陰極からレンズまでの距離dと、レンズの有効直径φとの比(φ/d)が10以下であることが好ましく、5以下がより好ましい。前記比(d/φ)が、10を超えると、取り出し効率の向上効果が得られないことがある。
【0024】
<有機電界発光部>
前記有機電界発光部は、陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも有し、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
【0025】
−陽極−
前記陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、又はこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。
前記陽極の厚みは、特に制限はなく、材料により適宜選択可能であるが、10nm〜5μmが好ましく、50nm〜1μmがより好ましく、100nm〜500nmが更に好ましい。
【0026】
前記陽極としては、通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。
前記基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、0.2mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0027】
前記透明樹脂基板としては、バリアフィルムを用いることもできる。該バリアフィルムとは、プラスチック支持体上にガス不透過性のバリア層を設置したフィルムである。バリアフィルムとしては、酸化ケイ素や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特公昭53−12953号公報、特開昭58−217344号公報)、有機無機ハイブリッドコーティング層を有するもの(特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報)、無機層状化合物を有するもの(特開2001−205743号公報)、無機材料を積層したもの(特開2003−206361号公報、特開2006−263989号公報)、有機層と無機層を交互に積層したもの(特開2007−30387号公報、米国特許第6413645号明細書、Affinitoら著 Thin Solid Films 1996年 290-291頁)、有機層と無機層を連続的に積層したもの(米国特許出願公開公報2004−46497号明細書)などが挙げられる。
【0028】
前記陽極の作製には、材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。陽極は洗浄その他の処理により、表示装置の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UVによるオゾン処理などが効果的である。
【0029】
−陰極−
前記陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの陰極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。
前記陰極の材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)又はそのフッ化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)又はそのフッ化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金又はそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらの中でも、仕事関数が4eV以下の材料が好ましく、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属が特に好ましい。
【0030】
前記陰極の厚みは、特に制限はなく、材料により適宜選択可能であるが、10nm〜5μmが好ましく、50nm〜1μmがより好ましく、100nm〜1μmが更に好ましい。
前記陰極の作製には、例えば電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。更に、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
前記陽極及び陰極のシート抵抗は、低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0031】
−発光層−
前記発光層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、電界印加時に陽極又は正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に、陰極又は電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものなどを用いることができる。
【0032】
前記発光層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体;ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記発光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1nm〜5μmが好ましく、5nm〜1μmがより好ましく、10nm〜500nmが更に好ましい。
前記発光層の形成方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、LB法などの方法が挙げられる。これらの中でも、抵抗加熱蒸着、コーティング法が特に好ましい。
【0033】
−正孔注入層、正孔輸送層−
前記正孔注入層及び正孔輸送層の材料としては、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の材料としては、例えばカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の形成方法としては、例えば真空蒸着法、LB法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解又は分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解乃至分散することができる。
前記樹脂成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)樹脂、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば1nm〜5μmが好ましく、5nm〜1μmがより好ましく、10nm〜500nmが更に好ましい。
【0035】
−電子注入層、電子輸送層−
前記電子注入層及び電子輸送層の材料としては、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電子注入層及び電子輸送層の材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記電子注入層及び電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記電子注入層及び電子輸送層の形成方法としては、例えば真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解乃至分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解乃至分散することができ、前記樹脂成分としては、例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
前記電子注入層又は電子輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1nm〜5μmが好ましく、5nm〜1μmがより好ましく、10nm〜500nmが更に好ましい。
【0037】
−基板−
前記基板としては、その形状、構造、大きさ等を適宜選択すればよく、一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。前記基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0038】
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)樹脂等の有機材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記基板としてガラスを用いる場合には、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したもの(例えば、バリアフィルム基板)を使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0040】
前記熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0041】
(有機電界発光装置の製造方法)
本発明の有機電界発光装置の製造方法は、本発明の前記有機電界発光装置を製造する方法であって、
反射部材形成工程と、レンズ形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0042】
<反射部材形成工程>
前記反射部材形成工程は、有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層直上あるいは別の層を介して反射部材を所定のパターン状に形成する工程である。
前記所定のパターン状としては、特に制限はなく、有機電界発光素子からなる画素の配列などに応じて適宜選択することができ、例えば正方格子状、ハニカム状、非周期構造などが挙げられる。具体的には、図5及び図6に示すような配列パターンなどが挙げられる。
【0043】
前記反射部材の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば反射部材を設けない封止層部分をマスクしてから、CVD法、真空蒸着法、などを行うことにより、封止層上に所定のパターン状の反射部材を形成することができる。
【0044】
<レンズ形成工程>
前記レンズ形成工程は、前記パターン状の反射部材及び封止層上にレンズを形成する工程である。
【0045】
前記レンズの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばインクジェット法、インプリント法、フォトリソグラフィ法、などが挙げられる。これらの中でも、インプリント法が特に好ましい。
【0046】
前記インプリント法としては、例えば、前記パターン状の反射部材及び封止層上に、レンズに対応した凹部を有する透明なガラスモールドに離型樹脂を塗布した後、アクリル系樹脂を塗布し、ガラスモールドを有機電界発光素子の画素にアライメントして圧接させる。その後、ガラスモールドを取り外すことにより、半球状レンズを形成することができる。
【0047】
前記インクジェット法としては、例えば、前記パターン状の反射部材及び封止層上に、マスクを有機電界発光素子の画素にアライメントしてSiO2膜をRFスパッタで形成する。UVクリーニングを行った後、パターンニングされたSiO2膜上に、アクリル系樹脂をインクジェット法で塗布する。その後UV光を照射し、硬化させることにより、半球状レンズを形成することができる。
【0048】
<その他の工程>
本発明の有機電界発光装置は、その他の工程として有機電界発光部を構成する各層を形成する工程などが挙げられる。
【0049】
ここで、図2は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。この図2の有機電界発光装置は、マイクロキャビティ構造の有機電界発光部(反射電極層1、発光層6、透過電極層11)を被覆する封止層12上に、レンズ14が配され、レンズの周縁部には反射部材13が設けられている。反射部材13は、図3に示すように、リング状であることが好ましい。
また、本発明の有機電界発光装置は、図4に示すように、マイクロキャビティ構造の有機電界発光部(反射電極層1、発光層6、透過電極層11)を被覆する封止層12上に、3つのレンズ14、14、14を隣接配置している。このように隣接している場合には、反射部材13は、隣接する2つのレンズに跨って形成することができる。
【0050】
図7は、本発明の有機電界発光装置の一例であるトップエミッション型の有機電界発光装置を示す概略断面図である。
この図7のトップエミッション型の有機電界発光装置は、陽極1、ホール注入層2、第1ホール輸送層3、第2ホール輸送層4、第3ホール輸送層5、発光層6、第1電子輸送層7、第2電子輸送層8、第1電子注入層9、第2電子注入層10、及び陰極11からなる有機電界発光部15上に、封止層12及びレンズ14を有し、レンズの周縁部に反射部材13が設けられている。
なお、「光出射方向」は、発光層からの光が、光取り出し面から有機電界発光装置の外部に出射される方向を示す。図7に示すトップエミッション型の有機電界発光装置の場合、発光層6からみて図面に平行に上方に向かう方向を示す。
【0051】
本発明の有機電界発光装置は、フルカラーで表示し得る装置として構成されてもよい。
本発明の有機電界発光装置をフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する層構造を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の層構造による白色発光をカラーフィルタを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の層構造による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
【0052】
また、上記方法により得られる異なる発光色の層構造を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色、緑色、及び赤色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、等である。
【0053】
本発明の有機電界発光装置は、例えば、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】
(製造例1)
ガラス基板として、厚みが0.7mm、屈折率が1.5のイーグル2000(コーニング社製)を用いた。
次に、ガラス基板上に、陽極としてアルミニウム(Al)を、厚みが100nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、アルミニウム(Al)膜上に、ホール注入層として2−TNATA〔4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン〕とMnO3を7:3(質量比)の割合で、厚みが20nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、ホール注入層上に、第1のホール輸送層として2−TNATAにF4−TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8tetracyanoquinodimethane)を1.0質量%ドープして11nmの厚さとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第1のホール輸送層上に、第2のホール輸送層としてα−NPD〔N,N’−(ジナフチルフェニルアミノ)ピレン〕を、厚みが10nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第2のホール輸送層上に、第3のホール輸送層材料として下記構造式で表されるホール輸送材料Aを、厚みが3nmとなるように、真空蒸着により形成した。
【化1】
【0056】
次に、第3のホール輸送層上に、発光層を、ホスト材料としてCBP(4,4’−ジカルバゾール−ビフェニル)と、発光材料として下記構造式で表される発光材料Aを、85:15(質量比)の割合で、厚みが20nmとなるように、真空共蒸着により形成した。
【化2】
【0057】
次に、発光層上に、第1の電子輸送層としてBAlq(Aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)-4-phenylphenolate)を、厚みが39nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第1の電子輸送層上に、第2の電子輸送層としてBCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthrolin)を、厚みが1nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第2の電子輸送層上に、第1の電子注入層としてLiFを、厚みが1nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第1の電子注入層上に、第2の電子注入層としてアルミニウム(Al)を、厚みが1nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、電子注入層上に、陰極としてAgを、厚みが20nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、陰極上に、封止層としてSiONを、厚みが3,000nmとなるように、真空蒸着により形成した。以上により、有機電界発光素子を作製した。
【0058】
作製した有機電界発光装置について、図8に示すように、レンズ中心からの距離を0mm〜10mmまで1mmずつ変化させて、各位置での光取り出し効率を、光線追跡ソフトにより計算した。結果を図9に示す。
なお、図9において、各発光点からの発光光量を1としたときの外部に取り出される光量を取り出し効率と定義した。
図9の結果から、レンズの中心から6mmより外の周縁領域の光は、レンズと全反射してレンズ内に閉じ込められてしまい、ほとんど外に出ないことが分かった。
【0059】
(実施例1)
−インプリント法による有機電界発光装置の作製−
製造例1の有機電界発光素子における封止層上に、マスクを用いて、図10に示すB/A(ただし、Aは半球状レンズの外径、Bは反射部材が設けられていない部分の外径を表す)が0.9となるようにAgをリング形状に蒸着し、厚み100nmの反射層を形成した。この反射層上に、UV硬化樹脂(PAK−01、東洋合成株式会社製)をスピンコート法により塗布し、レンズに対応した凹部を有する石英モールドを押し付け、UV硬化を行い、反射層付レンズを形成した。以上により、実施例1の有機電界発光装置を作製した。
次に、マスクサイズを変化させ、B/Aを0.1〜1まで変化させた各有機電界発光装置を作製した。なお、Aは12μmであった。
【0060】
得られた各有機電界発光装置について、以下のようにして、取り出し光量を測定した。結果を図11に示す。
図11の結果から、0.3<B/Aにおいて、取り出し光量の向上が認められた。
【0061】
<取り出し光量の測定>
作製した各有機電界発光素子について、外部量子効率測定装置(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、0.025mA/cm2の電流投入時の取り出し光量をレンズ及び反射層を付けない場合を1として、取り出し光量の測定を行った。
【0062】
(実施例2)
−インクジェット法による有機電界発光装置の作製−
封止層上に、有機フッ化物(サイトップ、旭ガラス株式会社製)をスピンコートし、撥油層として厚み3,000nmの有機フッ化膜を形成した。有機フッ化膜を形成した有機電界発光部を、100℃でポストベーキングした。
次に、有機フッ化膜上に、マスクをアライメントした後に、図10に示すB/A(ただし、Aは半球状レンズの外径、Bは反射部材が設けられていない部分の外径を表す)が0.9となるようにAgをリング形状に蒸着し、厚み100nmの反射層を形成した。この反射層上にUVインクをインクジェット法でパターニングした。その後、UV光を照射してUVインクを硬化させ、反射層付レンズを形成した。以上により、実施例2の有機電界発光装置を作製した。
次に、マスクサイズを変化させ、B/Aが0.1〜1まで変化させた各有機電界発光装置を作製した。なお、Aは12μmであった。
【0063】
得られた各有機電界発光装置について、実施例1と同様にして、取り出し光量を測定した。結果を図12に示す。
図12の結果から、0.4<B/Aにおいて、取り出し光量の向上が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の有機電界発光装置は、例えば、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 陽極
2 ホール注入層
3 第1ホール輸送層
4 第2ホール輸送層
5 第3ホール輸送層
6 発光層
7 第1電子輸送層
8 第2電子輸送層
9 第1電子注入層
10 第2電子注入層
11 陰極
12 封止層
13 反射部材
14 レンズ
15 有機電界発光部
21 画素
22 レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光装置は、自発光型の表示装置であり、ディスプレイや照明の用途に用いられる。有機ELディスプレイは、従来のCRTやLCDと比較して視認性が高い、視野角依存性がないといった表示性能の利点を有する。また、ディスプレイを軽量化、薄層化できるといった利点もある。
【0003】
このように有機電界発光装置は、優れた特徴を有するが、一般に、発光層を含め表示装置を構成する各層の屈折率は空気より高い。例えば、有機電界発光装置では、発光層などの有機薄膜層の屈折率は1.6〜2.1である。このため、発光した光は界面で全反射しやすく、その光取出し効率は20%に満たず、大部分の光を損失している。
例えば、一般的に知られる有機電界発光装置における有機電界発光部は、基板上に、一対の電極層の間に配される有機化合物層を備えて構成されている。該有機化合物層は、発光層を含み、有機電界発光装置は、該発光層から発光される光を光取出し面側から出射させている。この場合、光取出し面や電極層と有機化合物層の界面において、臨界角以上の光である全反射成分を取出すことができないため、光の取出し効率が低いという問題がある。
【0004】
このようなことから、光取出し効率を向上させるため、発光層から発光される光の光路を制御し、該発光層から発光される光を光取出し面側から出射させるレンズ等の光取り出し部材を、光路上に配する有機電界発光装置が種々提案されている。
【0005】
例えば特許文献1には、発光層の上部にレンズを配置し、光取り出し効率を向上させることが提案されている。しかし、この提案のように、発光層の大きさと同等のレンズを用いた場合、図1に示すように、レンズ14の中央部から発光した光は外部に出射されるが、レンズの周縁部の光はレンズと全反射してレンズ内に閉じ込められてしまい、ほとんど外部に出射せず、その結果、光取り出し効率が低下してしまうという問題があった。なお、図1中、12及び15は、封止層及び有機電界発光部を表す。
また、このようにレンズ周縁部の光が外部に出射されにくいことについては、例えば特許文献2にも開示されており、従来からの解決課題の重要な一つであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−128879号公報
【特許文献2】特開2003−31353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、封止層とレンズの間の領域であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を設けることにより、レンズの周縁部の光を反射部材によって再利用することで、より光取り出し効率を向上できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも含む有機電界発光部と、
前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層と、
前記発光層から発光される光の光路を制御するレンズと、を有する有機電界発光装置において、
前記封止層と前記レンズの間の領域であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有することを特徴とする有機電界発光装置である。
<2> 反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から1/2R以上外側に位置する領域に配された前記<1>に記載の有機電界発光装置である。
<3> 反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から3/5R以上外側に位置する領域に配された前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<4> 反射部材が、リング状である前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<5> 反射部材が、アルミニウム、銀、金、マグネシウム及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<6> 反射部材が、無機粒子、有機粒子、及び気泡の少なくとも1種を含む拡散反射材からなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機電界発光装置である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の有機電界発光装置を製造する方法であって、
有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層上に反射部材を所定のパターン状に形成する反射部材形成工程と、
前記パターン状の反射部材及び封止層上にレンズを形成するレンズ形成工程と、を含むことを特徴とする有機電界発光装置の製造方法である。
<8> レンズの形成が、インプリント法及びインクジェット法のいずれかで行われる前記<7>に記載の有機電界発光装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、光取出し効率が高く、かつ画像のにじみが少ない有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、従来の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の有機電界発光装置の他の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の有機電界発光装置の更に他の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の有機電界発光装置におけるレンズ及び反射部材の配列状態の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の有機電界発光装置におけるレンズ及び反射部材の配列状態の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略断面図である。
【図8】図8は、製造例1の有機電界発光装置において、レンズの中心からの距離を変えて取り出し効率を求める様子を示す図である。
【図9】図9は、製造例1の有機電界発光装置におけるレンズの中心からの距離と光取り出し効率との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例1及び2におけるB/Aを求めるための図である。
【図11】図11は、実施例1におけるB/Aと取り出し効率比との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例2におけるB/Aと取り出し効率比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(有機電界発光装置)
本発明の有機電界発光装置は、有機電界発光部と、封止層と、レンズと、反射部材とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0013】
<反射部材>
本発明においては、前記封止層と前記レンズの間の領域であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有する。これにより、従来外部に取り出すことができなかった光成分を取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。
前記反射部材は、前記封止層と前記レンズの間の領域である、封止層直上、あるいは別の層を介して封止層上に配することができる。
【0014】
ここで、前記反射部材が前記レンズの周縁部に配されるとは、具体的には、前記反射部材が、レンズにおける封止層との接触部であって、該レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から1/2R以上外側に位置する領域に配されることが好ましく、レンズの中心から3/5R以上外側に位置する領域に配されることがより好ましい。前記レンズの中心から1/2R未満外側に位置する領域に配されると、もともと取り出される光成分を減少させてしまうことがある。
なお、前記レンズが半球状でない場合には、レンズ付基板に対して垂直な方向から見た際の、レンズの投影直径を2Rとすることで半径Rを求めることができる。
【0015】
前記反射部材は、その形状、構造、材料等については適宜選択することができ、前記反射部材の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
前記反射部材の形状としては、リング状(環状)であることが、異方性をなくすことができる点で好ましい。
前記反射部材の材料としては、例えばアルミニウム、銀、金、マグネシウム、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、銀が特に好ましい。
また、反射部材が、無機粒子、有機粒子、及び気泡の少なくとも1種を含む拡散反射材からなることが好ましい。前記無機粒子としては、例えば酸化チタン、ジルコニア、又は酸化亜鉛からなる粒子などが挙げられる。前記有機粒子としては、例えばアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、又はウレタン系樹脂からなる粒子などが挙げられる。
【0016】
前記反射部材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば後述する有機電界発光装置の製造方法により形成することができる。
前記反射部材の厚みは、10nm〜1,000nmであることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。
【0017】
<レンズ>
前記レンズは、前記発光層から発光される光の光路を制御する機能を有する。
前記レンズは、前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層上に形成されており、レンズの周縁部には反射部材が配されているので、レンズは、反射部材上及び封止層直上あるいは別の層を介して封止層上に配される。
【0018】
前記レンズとしては、その形状、配列、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば球状、半球状、楕円状、台形状などが挙げられる。これらの中でも、半球状レンズが正面輝度の向上の点で特に好ましい。
前記レンズの配列としては、例えば正方格子状、ハニカム状などが挙げられる。
前記レンズの材質としては、透明樹脂、ガラス、透明結晶、透明セラミックなどが挙げられる。
前記レンズの大きさとしては、半球状レンズの場合には、その有効直径が10μm〜1,000μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましい。
前記レンズは、1つの発光層(画素)上に1つ配することが好ましいが、1つの発光層(画素)上に複数個配することもできる。
前記レンズの屈折率は、1.4〜2.1であることが好ましく、1.5〜1.8であることがより好ましい。
【0019】
<封止層>
前記封止層は、前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する層である。前記陰極表面には、陰極表面以外にも、有機電界発光部の表面(露出面)を広く含む。
前記封止層としては、大気中の酸素、水分、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等の透過を防ぐ機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記封止層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiN、SiON、などが挙げられる。
【0020】
前記封止層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CVD法、真空蒸着法、などが挙げられる。
前記封止層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜5,000nmが好ましく、7nm〜3,000nmがより好ましい。前記封止層の厚みが、5nm未満であると、大気中の酸素及び水分の透過を防ぐバリア機能が不充分であることがあり、5,000nmを超えると、光線透過率が低下し、透明性を損なうことがある。
前記封止層の光学的性質は、光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
前記封止層の屈折率は、1.4〜2.5であることが好ましく、1.6〜2.1であることがより好ましい。
【0021】
本発明においては、前記有機電界発光部は、色純度を高めることができる点でマイクロキャビティ構造を形成する場合もある。
ここで、前記マクロキャビティ構造とは、光出射側の半透過層と光出射と逆側の反射電極層とが干渉する構造を意味する。
【0022】
ここで、前記マイクロキャビティ構造の光学長(光学距離)Lは、L=2×Σnidi(ただし、iは積層数で1〜iまでの整数を表す)及び反射による位相シフトで表され、陽極と陰極の間に形成される各層の厚さdとその層の屈折率nの積の和で表される。
前記光学長Lは、発光波長λに対し、光学長L(λ)=mλ(m=1:1次、m=2:2次、m=3:3次)に示す関係があり、光学長L(λ)は、下記数式で表される。
【数1】
ただし、式中、L(λ)は光学長〔=2Σnjdj+ΣABS(φmiλ/2π)〕、λは、発光波長、iは、金属反射層を示すサフィックス、jは、金属反射層以外の金属層間の層(有機層や誘電体層等)を示すサフィックスを表す。
【0023】
本発明においては、有機電界発光部の陰極からレンズまでの距離dと、レンズの有効直径φとの比(φ/d)が10以下であることが好ましく、5以下がより好ましい。前記比(d/φ)が、10を超えると、取り出し効率の向上効果が得られないことがある。
【0024】
<有機電界発光部>
前記有機電界発光部は、陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも有し、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
【0025】
−陽極−
前記陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、又はこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。
前記陽極の厚みは、特に制限はなく、材料により適宜選択可能であるが、10nm〜5μmが好ましく、50nm〜1μmがより好ましく、100nm〜500nmが更に好ましい。
【0026】
前記陽極としては、通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。
前記基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、0.2mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0027】
前記透明樹脂基板としては、バリアフィルムを用いることもできる。該バリアフィルムとは、プラスチック支持体上にガス不透過性のバリア層を設置したフィルムである。バリアフィルムとしては、酸化ケイ素や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特公昭53−12953号公報、特開昭58−217344号公報)、有機無機ハイブリッドコーティング層を有するもの(特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報)、無機層状化合物を有するもの(特開2001−205743号公報)、無機材料を積層したもの(特開2003−206361号公報、特開2006−263989号公報)、有機層と無機層を交互に積層したもの(特開2007−30387号公報、米国特許第6413645号明細書、Affinitoら著 Thin Solid Films 1996年 290-291頁)、有機層と無機層を連続的に積層したもの(米国特許出願公開公報2004−46497号明細書)などが挙げられる。
【0028】
前記陽極の作製には、材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。陽極は洗浄その他の処理により、表示装置の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UVによるオゾン処理などが効果的である。
【0029】
−陰極−
前記陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの陰極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。
前記陰極の材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)又はそのフッ化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)又はそのフッ化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金又はそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらの中でも、仕事関数が4eV以下の材料が好ましく、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属が特に好ましい。
【0030】
前記陰極の厚みは、特に制限はなく、材料により適宜選択可能であるが、10nm〜5μmが好ましく、50nm〜1μmがより好ましく、100nm〜1μmが更に好ましい。
前記陰極の作製には、例えば電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。更に、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
前記陽極及び陰極のシート抵抗は、低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0031】
−発光層−
前記発光層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、電界印加時に陽極又は正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に、陰極又は電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものなどを用いることができる。
【0032】
前記発光層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体;ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記発光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1nm〜5μmが好ましく、5nm〜1μmがより好ましく、10nm〜500nmが更に好ましい。
前記発光層の形成方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、LB法などの方法が挙げられる。これらの中でも、抵抗加熱蒸着、コーティング法が特に好ましい。
【0033】
−正孔注入層、正孔輸送層−
前記正孔注入層及び正孔輸送層の材料としては、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の材料としては、例えばカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の形成方法としては、例えば真空蒸着法、LB法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解又は分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解乃至分散することができる。
前記樹脂成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)樹脂、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば1nm〜5μmが好ましく、5nm〜1μmがより好ましく、10nm〜500nmが更に好ましい。
【0035】
−電子注入層、電子輸送層−
前記電子注入層及び電子輸送層の材料としては、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電子注入層及び電子輸送層の材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記電子注入層及び電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記電子注入層及び電子輸送層の形成方法としては、例えば真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解乃至分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解乃至分散することができ、前記樹脂成分としては、例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
前記電子注入層又は電子輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1nm〜5μmが好ましく、5nm〜1μmがより好ましく、10nm〜500nmが更に好ましい。
【0037】
−基板−
前記基板としては、その形状、構造、大きさ等を適宜選択すればよく、一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。前記基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0038】
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)樹脂等の有機材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記基板としてガラスを用いる場合には、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したもの(例えば、バリアフィルム基板)を使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0040】
前記熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0041】
(有機電界発光装置の製造方法)
本発明の有機電界発光装置の製造方法は、本発明の前記有機電界発光装置を製造する方法であって、
反射部材形成工程と、レンズ形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0042】
<反射部材形成工程>
前記反射部材形成工程は、有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層直上あるいは別の層を介して反射部材を所定のパターン状に形成する工程である。
前記所定のパターン状としては、特に制限はなく、有機電界発光素子からなる画素の配列などに応じて適宜選択することができ、例えば正方格子状、ハニカム状、非周期構造などが挙げられる。具体的には、図5及び図6に示すような配列パターンなどが挙げられる。
【0043】
前記反射部材の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば反射部材を設けない封止層部分をマスクしてから、CVD法、真空蒸着法、などを行うことにより、封止層上に所定のパターン状の反射部材を形成することができる。
【0044】
<レンズ形成工程>
前記レンズ形成工程は、前記パターン状の反射部材及び封止層上にレンズを形成する工程である。
【0045】
前記レンズの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばインクジェット法、インプリント法、フォトリソグラフィ法、などが挙げられる。これらの中でも、インプリント法が特に好ましい。
【0046】
前記インプリント法としては、例えば、前記パターン状の反射部材及び封止層上に、レンズに対応した凹部を有する透明なガラスモールドに離型樹脂を塗布した後、アクリル系樹脂を塗布し、ガラスモールドを有機電界発光素子の画素にアライメントして圧接させる。その後、ガラスモールドを取り外すことにより、半球状レンズを形成することができる。
【0047】
前記インクジェット法としては、例えば、前記パターン状の反射部材及び封止層上に、マスクを有機電界発光素子の画素にアライメントしてSiO2膜をRFスパッタで形成する。UVクリーニングを行った後、パターンニングされたSiO2膜上に、アクリル系樹脂をインクジェット法で塗布する。その後UV光を照射し、硬化させることにより、半球状レンズを形成することができる。
【0048】
<その他の工程>
本発明の有機電界発光装置は、その他の工程として有機電界発光部を構成する各層を形成する工程などが挙げられる。
【0049】
ここで、図2は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。この図2の有機電界発光装置は、マイクロキャビティ構造の有機電界発光部(反射電極層1、発光層6、透過電極層11)を被覆する封止層12上に、レンズ14が配され、レンズの周縁部には反射部材13が設けられている。反射部材13は、図3に示すように、リング状であることが好ましい。
また、本発明の有機電界発光装置は、図4に示すように、マイクロキャビティ構造の有機電界発光部(反射電極層1、発光層6、透過電極層11)を被覆する封止層12上に、3つのレンズ14、14、14を隣接配置している。このように隣接している場合には、反射部材13は、隣接する2つのレンズに跨って形成することができる。
【0050】
図7は、本発明の有機電界発光装置の一例であるトップエミッション型の有機電界発光装置を示す概略断面図である。
この図7のトップエミッション型の有機電界発光装置は、陽極1、ホール注入層2、第1ホール輸送層3、第2ホール輸送層4、第3ホール輸送層5、発光層6、第1電子輸送層7、第2電子輸送層8、第1電子注入層9、第2電子注入層10、及び陰極11からなる有機電界発光部15上に、封止層12及びレンズ14を有し、レンズの周縁部に反射部材13が設けられている。
なお、「光出射方向」は、発光層からの光が、光取り出し面から有機電界発光装置の外部に出射される方向を示す。図7に示すトップエミッション型の有機電界発光装置の場合、発光層6からみて図面に平行に上方に向かう方向を示す。
【0051】
本発明の有機電界発光装置は、フルカラーで表示し得る装置として構成されてもよい。
本発明の有機電界発光装置をフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する層構造を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の層構造による白色発光をカラーフィルタを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の層構造による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
【0052】
また、上記方法により得られる異なる発光色の層構造を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色、緑色、及び赤色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、等である。
【0053】
本発明の有機電界発光装置は、例えば、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】
(製造例1)
ガラス基板として、厚みが0.7mm、屈折率が1.5のイーグル2000(コーニング社製)を用いた。
次に、ガラス基板上に、陽極としてアルミニウム(Al)を、厚みが100nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、アルミニウム(Al)膜上に、ホール注入層として2−TNATA〔4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン〕とMnO3を7:3(質量比)の割合で、厚みが20nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、ホール注入層上に、第1のホール輸送層として2−TNATAにF4−TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8tetracyanoquinodimethane)を1.0質量%ドープして11nmの厚さとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第1のホール輸送層上に、第2のホール輸送層としてα−NPD〔N,N’−(ジナフチルフェニルアミノ)ピレン〕を、厚みが10nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第2のホール輸送層上に、第3のホール輸送層材料として下記構造式で表されるホール輸送材料Aを、厚みが3nmとなるように、真空蒸着により形成した。
【化1】
【0056】
次に、第3のホール輸送層上に、発光層を、ホスト材料としてCBP(4,4’−ジカルバゾール−ビフェニル)と、発光材料として下記構造式で表される発光材料Aを、85:15(質量比)の割合で、厚みが20nmとなるように、真空共蒸着により形成した。
【化2】
【0057】
次に、発光層上に、第1の電子輸送層としてBAlq(Aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)-4-phenylphenolate)を、厚みが39nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第1の電子輸送層上に、第2の電子輸送層としてBCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthrolin)を、厚みが1nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第2の電子輸送層上に、第1の電子注入層としてLiFを、厚みが1nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、第1の電子注入層上に、第2の電子注入層としてアルミニウム(Al)を、厚みが1nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、電子注入層上に、陰極としてAgを、厚みが20nmとなるように、真空蒸着により形成した。
次に、陰極上に、封止層としてSiONを、厚みが3,000nmとなるように、真空蒸着により形成した。以上により、有機電界発光素子を作製した。
【0058】
作製した有機電界発光装置について、図8に示すように、レンズ中心からの距離を0mm〜10mmまで1mmずつ変化させて、各位置での光取り出し効率を、光線追跡ソフトにより計算した。結果を図9に示す。
なお、図9において、各発光点からの発光光量を1としたときの外部に取り出される光量を取り出し効率と定義した。
図9の結果から、レンズの中心から6mmより外の周縁領域の光は、レンズと全反射してレンズ内に閉じ込められてしまい、ほとんど外に出ないことが分かった。
【0059】
(実施例1)
−インプリント法による有機電界発光装置の作製−
製造例1の有機電界発光素子における封止層上に、マスクを用いて、図10に示すB/A(ただし、Aは半球状レンズの外径、Bは反射部材が設けられていない部分の外径を表す)が0.9となるようにAgをリング形状に蒸着し、厚み100nmの反射層を形成した。この反射層上に、UV硬化樹脂(PAK−01、東洋合成株式会社製)をスピンコート法により塗布し、レンズに対応した凹部を有する石英モールドを押し付け、UV硬化を行い、反射層付レンズを形成した。以上により、実施例1の有機電界発光装置を作製した。
次に、マスクサイズを変化させ、B/Aを0.1〜1まで変化させた各有機電界発光装置を作製した。なお、Aは12μmであった。
【0060】
得られた各有機電界発光装置について、以下のようにして、取り出し光量を測定した。結果を図11に示す。
図11の結果から、0.3<B/Aにおいて、取り出し光量の向上が認められた。
【0061】
<取り出し光量の測定>
作製した各有機電界発光素子について、外部量子効率測定装置(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、0.025mA/cm2の電流投入時の取り出し光量をレンズ及び反射層を付けない場合を1として、取り出し光量の測定を行った。
【0062】
(実施例2)
−インクジェット法による有機電界発光装置の作製−
封止層上に、有機フッ化物(サイトップ、旭ガラス株式会社製)をスピンコートし、撥油層として厚み3,000nmの有機フッ化膜を形成した。有機フッ化膜を形成した有機電界発光部を、100℃でポストベーキングした。
次に、有機フッ化膜上に、マスクをアライメントした後に、図10に示すB/A(ただし、Aは半球状レンズの外径、Bは反射部材が設けられていない部分の外径を表す)が0.9となるようにAgをリング形状に蒸着し、厚み100nmの反射層を形成した。この反射層上にUVインクをインクジェット法でパターニングした。その後、UV光を照射してUVインクを硬化させ、反射層付レンズを形成した。以上により、実施例2の有機電界発光装置を作製した。
次に、マスクサイズを変化させ、B/Aが0.1〜1まで変化させた各有機電界発光装置を作製した。なお、Aは12μmであった。
【0063】
得られた各有機電界発光装置について、実施例1と同様にして、取り出し光量を測定した。結果を図12に示す。
図12の結果から、0.4<B/Aにおいて、取り出し光量の向上が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の有機電界発光装置は、例えば、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 陽極
2 ホール注入層
3 第1ホール輸送層
4 第2ホール輸送層
5 第3ホール輸送層
6 発光層
7 第1電子輸送層
8 第2電子輸送層
9 第1電子注入層
10 第2電子注入層
11 陰極
12 封止層
13 反射部材
14 レンズ
15 有機電界発光部
21 画素
22 レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも含む有機電界発光部と、
前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層と、
前記発光層から発光される光の光路を制御するレンズと、を有する有機電界発光装置において、
前記封止層と前記レンズの間であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有することを特徴とする有機電界発光装置。
【請求項2】
反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から1/2R以上外側に位置する領域に配された請求項1に記載の有機電界発光装置。
【請求項3】
反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から3/5R以上外側に位置する領域に配された請求項1から2のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項4】
反射部材が、リング状である請求項1から3のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項5】
反射部材が、アルミニウム、銀、金、マグネシウム及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含有する請求項1から4のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項6】
反射部材が、無機粒子、有機粒子、及び気泡の少なくとも1種を含む拡散反射材からなる請求項1から5のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の有機電界発光装置を製造する方法であって、
有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層上に反射部材を所定のパターン状に形成する反射部材形成工程と、
前記パターン状の反射部材及び封止層上にレンズを形成するレンズ形成工程と、を含むことを特徴とする有機電界発光装置の製造方法。
【請求項8】
レンズの形成が、インプリント法及びインクジェット法のいずれかで行われる請求項7に記載の有機電界発光装置の製造方法。
【請求項1】
陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも含む有機電界発光部と、
前記有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層と、
前記発光層から発光される光の光路を制御するレンズと、を有する有機電界発光装置において、
前記封止層と前記レンズの間であって、かつ前記レンズの周縁部に反射部材を有することを特徴とする有機電界発光装置。
【請求項2】
反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から1/2R以上外側に位置する領域に配された請求項1に記載の有機電界発光装置。
【請求項3】
反射部材が、レンズの半径をRとしたとき、レンズの中心から3/5R以上外側に位置する領域に配された請求項1から2のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項4】
反射部材が、リング状である請求項1から3のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項5】
反射部材が、アルミニウム、銀、金、マグネシウム及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含有する請求項1から4のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項6】
反射部材が、無機粒子、有機粒子、及び気泡の少なくとも1種を含む拡散反射材からなる請求項1から5のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の有機電界発光装置を製造する方法であって、
有機電界発光部の陰極表面を被覆する封止層上に反射部材を所定のパターン状に形成する反射部材形成工程と、
前記パターン状の反射部材及び封止層上にレンズを形成するレンズ形成工程と、を含むことを特徴とする有機電界発光装置の製造方法。
【請求項8】
レンズの形成が、インプリント法及びインクジェット法のいずれかで行われる請求項7に記載の有機電界発光装置の製造方法。
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−60606(P2011−60606A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209566(P2009−209566)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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