説明

有機ELパネル

【課題】 種々の色での表示が可能であり、且つ、表示輝度が低くなる虞が少ない有機ELパネルを提供する。
【解決手段】 有機ELパネルは、第一電極17と有機層20と第二電極21とを有する積層体13を基板12に形成したものである。積層体13は、有機層20が発した光の色を変換させる有色層14と、有機層20が発した光を透過させる透明層15と、有色層14及び透明層15を覆う平滑化層16と、を更に有する。第一電極17はストライプ状に形成された陽極部17aを有し、第二電極21は陽極部17aに交差する方向のストライプ状に形成された陰極部21aを有する。陽極部17aと陰極部21aの対向箇所からなりマトリクス状に設けられた画素S1,S2に、有色層14及び透明層15の一方が夫々設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一電極と第二電極の間に有機層を挟持した有機EL素子を含む積層体を基板上に形成した有機ELパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機ELパネルを種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。有機ELパネル1は、ガラス基板2上に積層体3を形成したものであり、この積層体3は、第一電極4,絶縁層5,有機層6,アルミニウム(Al)からなる第二電極7を有する(図8参照)。第一電極4は、ITO(Indium Tin Oxide)からなるものである。有機層6は、蒸着等の方法によって正孔注入層,正孔輸送層,発光層,電子輸送層及び電子注入層を順次形成したものである。
【0003】
積層体3は封止ガラス8に覆われており、この封止ガラス8はガラス基板2に紫外線硬化性の接着剤9で固着されている。第一電極4は、陽極部4aと、陰極端子部4bとを有している。有機層6は、陽極部4aと第二電極7に挟持されており、第二電極7は、陰極端子部4bに電気的に接続されている。陽極部4a及び陰極端子部4bに電源を接続し、陽極部4aと第二電極7の間に駆動電圧を印加することにより、有機層6が発光する。
【0004】
また、有機層6が発した光を着色させるカラーフィルタを用いた有機ELパネルが提案されており、例えば特許文献2に開示されている。斯かる有機ELパネルは、R(赤),G(緑),B(青)の3色のカラーフィルタを有するものであって、有機層6が発した白色光がカラーフィルタを透過することによって色変換され、カラー表示が可能になるものである。
【特許文献1】特開2003−288984号公報
【特許文献2】特開2003−217852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラーフィルタは所定の透過率(例えば50%)を有しており、有機層6が発した光をカラーフィルタによって他の色に変換すると、カラーフィルタを用いない場合と比較して、有機ELパネル1の表示輝度が低くなるという問題を有していた。この問題を解決するため、駆動電圧を上げることによって、有機層6の発光輝度を上げることが考えられるが、駆動電圧を上げると有機ELパネル1の寿命が短くなるので、駆動電圧を高くすることは好ましくない。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、種々の色での表示が可能であり、且つ、表示輝度が低くなる虞が少ない有機ELパネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、請求項1に記載したように、少なくとも第一電極17と有機層20と第二電極21とを有する積層体13を基板12に形成した有機ELパネル11において、前記積層体13は、前記有機層20が発した光の色を変換させる有色層14と、前記有機層20が発した光を透過させる透明層15と、前記有色層14及び前記透明層15を覆う平滑化層16と、を更に有し、前記第一電極17は前記平滑化層16に形成されてなるものである。
【0007】
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記第一電極17はストライプ状に形成された陽極部17aを有し、前記第二電極21は前記陽極部17aに交差する方向のストライプ状に形成された陰極部21aを有するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項3に記載したように、前記陽極部17aと前記陰極部21aの対向箇所からなりマトリクス状に設けられた画素S1,S2,S3,S4に、前記有色層14及び前記透明層15の一方が夫々設けられてなるものである。
【0009】
また、本発明は、請求項4に記載したように、前記有機層20が発する光は白色であるものである。
【発明の効果】
【0010】
有機層が発した光は、透明層15での減衰が小さいため、表示輝度が低くなる虞が少なく、且つ、種々の色での表示が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を添付の図面に基づいて説明する。図1乃至図6は第一実施形態を示すものである。
有機ELパネル11は、ガラス基板12上に積層体13を形成したものである。積層体13は、有色層14,透明層15,平滑化層16,第一電極17,絶縁層18,リブ部19,有機層20,第二電極21を有している。
【0012】
有色層14は、アンバー色のカラーフィルタからなるものであり、ガラス基板12に形成されている。透明層15は、略無色のフィルタからなるものであり、ガラス基板12に形成されている。透明層15の透過率は、波長が470nm付近で70%以上、且つ、500nm付近で70%以上であることが望ましい。有色層14及び透明層15は、正面視で矩形状になっており、有色層14と透明層15とが所定間隔を開けて横方向で交互に配置されている。平滑化層16は、アクリル系材料からなるものであり、有色層14及び透明層15を覆うようにガラス基板12に形成されている。
【0013】
第一電極17は、酸化インジウム(InO)と酸化スズ(SnO)の混合物であるITO(Indium
Tin Oxide)からなるものであり、スパッタリング或いは蒸着等の手段によって、平滑化層16上に形成されている。第一電極17は、所定間隔をあけて配置された縦方向のストライプ状の陽極部17aと、第二電極21の陰極部21aに導通される陰極端子部17bとを有している。
【0014】
絶縁層18は、ポリイミド系の絶縁材料からなるものであり、フォトリソグラフィー法等の手段によって形成されている。絶縁層18は、有機層20よりも広い領域に形成されており、マトリクス状に配置されたサブピクセルS1,S2(画素)に対応する矩形の開口18aと、陰極端子部17bと陰極部21aを電気的に接続させるコンタクトホール18bとを有している。
【0015】
リブ部19は、フェノール系の絶縁材料からなるものであり、フォトリソグラフィー法等の手段によって形成されている。リブ部19は、絶縁層18上に形成されており、逆テーパ形状になっている。リブ部19は、陽極部17aと直交する方向に平行線状に設けられており、有機層20及び第二電極21をストライプ状に分断する。
【0016】
有機層20は、正孔注入層20a,正孔輸送層20b,発光層20c及び電子輸送層20dからなるものであり、白色発光するものである(図4参照)。なお、有機層20は、少なくとも発光層20cがあれば良いが、本実施形態のように正孔注入層20a,正孔輸送層20b及び電子輸送層20dを設けることにより、発光輝度を向上させることができる。第二電極21は、アルミニウム(Al)からなるものであり、リブ部19によって、第一電極17の陽極部17aに直交する方向のストライプ状に分断され、陰極部21aが形成されている。
【0017】
有機ELパネル11のピクセルPは、一対のサブピクセルS1,S2から構成されている(図5参照)。サブピクセルS1には有色層14が設けられておりサブピクセルS2には透明層15が設けられている。
【0018】
本実施形態によれば、サブピクセルS1及びサブピクセルS2を適宜オン/オフさせることにより、種々の色での表示が可能になる。且つ、サブピクセルS2においては、有機層20が発した光は、透明層15での減衰が小さいため、表示輝度が従来よりも高くなる。なお、サブピクセルS1においては、有色層14の透過率に応じて表示輝度が低くなるが、ピクセルPとしては従来よりも表示輝度が向上する。
【0019】
なお、図7に示す第二実施形態のように、サブピクセルS3の幅をサブピクセルS4の幅よりも小さくすることによって、サブピクセルS3の面積をサブピクセルS4の面積の1/2にして、サブピクセルS3には有色層24を設け、サブピクセルS4には透明層25を設けても良く、第一実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明は、第一,第二実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、有色層14,24はアンバー色に限定されるものではなく、他の色であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施形態を示す正面図。
【図2】同上実施形態を示す断面図。
【図3】同上実施形態を示す断面図。
【図4】同上実施形態を示す有機層の拡大正面図。
【図5】同上実施形態を示すピクセルの拡大図。
【図6】同上実施形態を示す要部拡大断面図。
【図7】本発明の第二実施形態を示すピクセルの拡大図。
【図8】従来例を示す断面図。
【符号の説明】
【0022】
11 有機ELパネル
12 ガラス基板(基板)
13 積層体
14 有色層
15 透明層
16 平滑化層
17 第一電極
17a 陽極部
17b 陰極端子部
20 有機層
21 第二電極
21a 陰極部
P ピクセル
S1 サブピクセル(画素)
S2 サブピクセル(画素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一電極と有機層と第二電極とを有する積層体を基板に形成した有機ELパネルにおいて、
前記積層体は、前記有機層が発した光の色を変換させる有色層と、前記有機層が発した光を透過させる透明層と、前記有色層及び前記透明層を覆う平滑化層と、を更に有し、前記第一電極は前記平滑化層に形成されてなることを特徴とする有機ELパネル。
【請求項2】
前記第一電極はストライプ状に形成された陽極部を有し、前記第二電極は前記陽極部に交差する方向のストライプ状に形成された陰極部を有することを特徴とする請求項1に記載の有機ELパネル。
【請求項3】
前記陽極部と前記陰極部の対向箇所からなりマトリクス状に設けられた画素に、前記有色層及び前記透明層の一方が夫々設けられてなることを特徴とする請求項2に記載の有機ELパネル。
【請求項4】
前記有機層が発する光は白色であることを特徴とする請求項1に記載の有機ELパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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