説明

有機EL素子、および、有機EL素子の製造方法

【解決課題】 内部への水分の浸入が少なく、従来の封止方法に比べて、発光寿命を維持しつつ表示部外のエリアを小さくした有機EL素子を提供する。
【解決手段】 基板上に、第1電極22と、有機発光層を含む有機EL層23と、第2電極24と、上記第1電極および/または上記第2電極と電気的に接続した少なくとも1本の外部駆動用回路との接続用のフレキシブルケーブル26と、外部封止層25とを備えた有機EL素子であって、上記フレキシブルケーブルの端部が、表面改質され、上記第1電極と上記外部封止層との間に挟まれており、上記外部封止層が、上記第1電極、有機EL層、第2電極、および、フレキシブルケーブル端部を被覆するように、接着剤を介さずに積層していることを特徴とする有機EL素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成した有機EL素子において周囲環境からの水分浸透による素子劣化を防止するために有機EL素子上に形成したパッシベーション膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板上に形成した有機ELディスプレイを使って説明する。色変換方式の場合には、図1に示すように基板1上にカラーフィルタ層2及び色変換層3を形成し、その後カラーフィルタ層2及び色変換層3の段差を埋めるために平坦化層4を形成する。その後、平坦化層4中の残留水分及び溶剤が有機EL層7に拡散を防止するためにSiNx、SiON、SiO2等のパッシベーション層5を設ける。この上にITO(IndiumTinOxide)やIZO(IndiumZincOxide)等の透明電極6の膜を形成し、次いで有機EL層7を蒸着、アルミニウムの陽極8を形成する。このままでは、アルミ電極8の欠陥部分を通じて雰囲気中の水分が有機EL素子に達してしまい、DA(ダークエリア)やDS(ダークスポット)等を発生してしまう。
そこで、カバーガラス9と有機ELデバイスを備えたガラス等からなるパッシベーション層5とを、紫外線硬化型のエポキシ樹脂等の接着剤10を介して、吸湿剤11を封入したうえで接着して、水分の侵入を防いでいる。
【0003】
また、有機EL層に電荷を注入するためには有機ELディスプレイと外部回路との接続が必要である。この為には、外部回路との接続領域を封止領域の外側に配置するか、パッシベーション膜が外部回路との接続用電極部分を被覆しないようにパターニングしなければならない。
前者の方法では、しかしながら、カバーガラスの厚さが1mm程度に達し、また封止するためには1mm程度の接着代(しろ)を確保しなければならないので、基板サイズや厚さが、表示部分に比べて大きくなるという欠点があった。
一方、後者の方法の場合、厚さが数μmにも達するパッシベーション膜を、メタルマスクでの成膜やドライエッチング等によりパターニングしなければならないので困難となる。
【0004】
そこで、カバーガラス9による封止に代えて、SiN、SiON、SiO2等の無機の薄膜をスパッタリング法やCVD法により形成し、無機物と高分子膜との積層膜を数μmの厚さに形成して大気中の水分を遮断するという試みがされている。(例えば、特許文献1および2を参照。)
【0005】
外部回路との接続を封止領域内、又は、封止領域で行うことが提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。しかしながら、この構造は、素子基板102の外周縁部分とガラスからなる蓋状の封止キャップ6の開口縁部分との間の接合部分を接着するものであり、封止ガラスを接着する際に紫外線硬化樹脂等の接着剤を使用しているので、外部環境との完全な隔離は難しいという問題があった。
【特許文献1】特開2003−217829号公報
【特許文献2】特開2002−56971号公報
【特許文献3】特開2000−357585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明の目的は、上記現状に鑑み、内部への水分の浸入が少なく、従来の封止方法に比べて、発光寿命を維持しつつ表示部外のエリアを小さくした有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の有機EL素子は、基板上に、第1電極と、有機発光層を含む有機EL層と、第2電極と、上記第1電極および/または上記第2電極と電気的に接続した少なくとも1本の外部駆動用回路との接続用のフレキシブルケーブルと、外部封止層とを備えた有機EL素子であって、上記フレキシブルケーブルの端部が、表面改質され、上記第1電極と上記外部封止層との間に挟まれており、上記外部封止層が、上記第1電極、有機EL層、第2電極、および、フレキシブルケーブル端部を被覆するように、接着剤を介さずに積層していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、内部への水分の浸入が少なく、発光寿命を維持しつつ表示部外のエリアを小さくした有機EL素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によれば、上記の目的を達成するための手段は、例えば、以下のとおりである。
基板上に形成した有機EL素子において予め、外部駆動用回路との接続用のフレキシブルケーブルが取り付けられている。次に周囲環境からの水分の浸透による素子の劣化を防止するために形成するパッシベーション膜を全面に成膜する。この際に、フレキシブルケーブル表面にUV処理等の表面改質を行うことでパッシベーション膜との密着性を確保する。
【0010】
以下に本発明をガラス基板上に形成したボトムエミッション型の色変換方式有機EL素子を例に挙げて図2を用いて説明する。
まず、図1に示す従来の素子と同様に、ガラス基板上にカラーフィルタ層及び色変換層を形成し、その後表面の凹凸を埋めるために平坦化層を形成し、次いで、平坦化層中の残留水分や溶剤が有機EL層に拡散してDA(ダークエリア)、DS(ダークスポット)等の非発光欠陥が発生するのを防止するために、パッシベーション層21を設ける。
パッシベーション層21の上に第1電極22をスパッタ法にて形成し、有機EL層23を蒸着により形成した後にアルミニウム等を含む第2電極24を製膜する。
その後図2に示すようにフレキシブルケーブル26を取り出し電極部分31に加熱しながら圧着して固定する。この際、フレキシブルケーブル26は、図3に示すように、異方性導電膜や導電粒子32を混合してなる接着剤33が付着していることが好ましい。
【0011】
本発明の有機EL素子は、外部封止層25が、上記第1電極22、有機EL層23、第2電極24、および、上記フレキシブルケーブル26端部を被覆するように、接着剤を介さずに積層していることを特徴とする。
外部封止層25は、1種類の無機化合物により形成される単層構造、1種類の有機化合物により形成される単層構造、2種類以上の有機化合物により形成される積層構造、2種類以上の無機化合物により形成される積層構造、又は、1種もしくは2種以上の無機化合物と1種もしくは2種以上の有機化合物とにより形成される積層構造のいずれであってもよい。上記有機化合物としては、シリコン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー等を採用することができる。上記無機化合物としては、SiNx、SiON、SiO2、Al23、TiO2層等を採用することができる。上記有機化合物と無機化合物との積層構造としては、例えば、シリコン系ポリマー/Si34、ウレタン系ポリマー/Si34、シリコン系ポリマー/SiO2等が挙げられる。特に、外部封止層を積層構造とすることにより、積層界面において侵入した水分の拡散経路をいったん遮る効果があるので、パッシベーション性を向上させるという利点がある。
上記外部封止層は、ボトムエミッションの場合には特に透明である必要はないが、トップエミッション型の場合には有機EL層からの発光を透過しなければならないので、可視領域(波長域400nm〜700nm)で透明であることが必要である。
外部封止層は、厚さを1〜5μmとすることができる。より好ましい下限は、
1.5μm、より好ましい上限は、4μmである。
【0012】
本発明の有機EL素子の製造方法において、上記外部封止層を形成する際の蒸着ガス圧力は、50〜250Paであることが好ましい。蒸着ガス圧力のより好ましい下限は、100Pa、より好ましい上限は、200Paである。
蒸着ガス圧を上記範囲内とすることにより、外部封止層の内部応力を充分に小さい値とすることができ、結果、有機EL層やアルミの陰極に剥離が生じず、有機EL素子からなるパネルの発光寿命を維持することができる。
【0013】
本発明の有機EL素子は、上記第1電極と上記外部封止層との間に、表面改質した外部駆動用回路接続用のフレキシブルケーブル端部を挟むものである。
フレキシブルケーブル端部は、ポリイミド等からなるケーブル被覆を有している。該ケーブル被覆に対し表面改質を行うことにより、外部回路接続用のフレキシブルケーブルと封止膜との密着性を向上させることができる。表面改質の方法としては、UV照射やプラズマ処理を採用することができる。UV照射により、ケーブル被覆表面のC−H基等の疎水性基は、親水性基に置換され接着性を改善できる。
【0014】
本発明の有機EL素子は、色変換方式のボトムエミッション型である場合、例えば、基板上に、カラーフィルタと、色変換層と、平坦化層と、パッシベーション層と、第1電極(透明電極)と、有機発光層を含む有機EL層と、第2電極とを順次形成して構成することができる。
基板1としては、ボトムエミッション型の場合、可視領域で透明な材質であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、SiO2ガラス等が挙げられる。
【0015】
カラーフィルタは、有機発光層から発光された光の波長を選択的に吸収又は透過させることによって出射される光の色純度を向上させる機能を有するフィルタである。例えば3原色を用いたフルカラーディスプレイ等では、青色(B)であれば400nm〜550nm、緑色であれば500nm〜600nm、赤色であれば600nm以上の波長を透過させて色純度を高めている。製法としては、感光性樹脂層に染料や顔料を分散させた着色感材を材料として、これを塗布、露光、現像と繰り返してパターンを形成させる方法が一般的であり、特に最近では耐性面から染料よりも顔料を分散させたカラーフィルタが多くなっている。分散材として用いられる代表的な顔料としては、アゾレーキ系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、アントラキノン系、ベリノン系、チオイン系、ベリレン系、これらの混合系等がある。
【0016】
色変換層は、有機発光層から発光された近紫外領域ないし可視領域の光を蛍光色素が吸収して異なる可視光を発する機能を有する層である。これは蛍光色素と入射させる光の組み合わせによって、様々な波長領域の蛍光を発することができる。また、例えば、青色に発光された光を吸収して赤色領域の蛍光を発することによって、波長を選択的に透過させて赤色領域の光を出射するよりも強い光を出力することも可能であり、これらは色変換方式の有機EL素子に応用されている。製法としては、感光性樹脂層に蛍光色素を分散させた着色感材を材料として、これを塗布、露光、現像と繰り返してパターンを形成させる方法が一般的である。青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)等のクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料である、ベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等)も蛍光性があれば使用することができる。また青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2等のローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)等のピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素等が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等)も蛍光性があれば使用することができる。
【0017】
平坦化層は、上述したように、透明電極および補助配線がショートまたは切断しないように、基板上への各層の形成によって生じた段差を埋める役割を有する。
平坦化層の材質としては、イミド変性シリコーン樹脂;TiO,Al23、SiO2等の無機金属化合物をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散したもの;紫外線硬化型樹脂としてエポキシ変性アクリレート樹脂;アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂;レジスト用樹脂;フッ素系樹脂等の光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂等が挙げられる。平坦化層の材質としては、無機酸化物、無機窒化物等を用いてもよい。
【0018】
パッシベーション層は、ディスプレイ駆動時に発生する熱等により揮発した有機層中の水分や有機溶媒成分と発光素子とが直接接触して発光素子が劣化するのを防止する機能を有する層である。
本明細書において、上記パッシベーション層は、水分や有機溶媒成分が発光素子を劣化させるのを防止する機能を有する層である点で上述の外部封止層と共通するが、本明細書では区別して用いている。後述する外部パッシベーション膜は、外部封止層の一部である。
パッシベーション層の材質として例えば、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素等が好ましく用いられる。
【0019】
第1電極または第2電極のいずれか一方は、透光性導電性材料からなる膜であり、例えば、In−Tin酸化物(ITO)、In−Zn酸化物(IZO)等が好ましく用いられる。もう一方の電極としては、Mg/Ag、Al、AlLi等の導電性かつ反射性の材料を用いることが好ましい。
第2電極は、有機EL層の第1電極と反対側の表面に直接、あるいは上記保護膜を介して形成される。
【0020】
有機EL層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層から構成することができるが、該構成には特に限定されず、第1電極および第2電極に電圧が印加されることによって生じる正孔および電子が再結合することで発光する有機発光層を少なくとも含む構造であればよい。具体的には、有機EL層は、例えば、以下に示すような構造が挙げられる。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
【0021】
有機EL層における各層の材料としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することが可能である。有機発光層の材料は、所望する色調に応じて選択することが可能であり、例えば青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物等を使用することが可能である。
電子注入層の材料としては、Li、Na、K、またはCs等のアルカリ金属;Ba、SI等のアルカリ土類金属;希士類金属;あるいはそれらのフッ化物、アルミキレート(Alq)等を使用することが可能であるが、これらに限定するものではない。さらに、電子輸送層の材料としては、Alq3、ベンズアズールを使用することが可能であるが、これらに限定するものではない。
正孔注入層としては、銅フタロシアニンを使用することが可能であるが、これに限定するものではない。正孔輸送層としては、4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、トリフェニルジアミン(TPD)等を使用することが可能であるが、これに限定するものではない。
【0022】
有機EL層の、第1電極と反対側の面には、ダイヤモンドライクカーボン膜、アモルファスカーボン膜等からなる図示しない保護膜を設けてもよい。
以下、本発明を例に基づき説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
実施例1
図1に示すように第2電極のアルミニウムまで作成した後に、O2濃度:1ppm以下、H2O濃度:1ppm以下の窒素雰囲気に置換されているグローブボックスへ移動し、第1電極側及び第2電極側の取り出し電極部分と、ポリイミド樹脂(カプトン、東レ・デュポン社製)からなる被覆を片面剥離したフレキシブルケーブル端部とを電気的に接続した。電気的接続には、フィラーとしてAgを含有する接着剤(ドータイトFA−353N、藤倉化成社製)を用いた。フレキシブルケーブル端部は、取り出し電極部に圧着し、150℃の熱を30分かけて硬化し固定した。
その後、取り出し電極部分に接続したフレキシブルケーブル端部のうち、ポリイミド樹脂(カプトン、東レ・デュポン社製)からなる被覆が残っている表面にUV照射(波長254nm、20分)を行い、表面改質した。
最後に、フレキシブルケーブルの他方の端をパネル裏側へ曲げ、外部封止層としてSi34膜を、フレキシブルケーブルの電極接続端部を含むパネル全面を被覆するように、CVD法(蒸着時Si34ガス圧150Pa)により厚さにして3μm形成した。
【0024】
実施例2
実施例1と同様にしてポリイミド樹脂(カプトン、東レ・デュポン社製)からなる被覆を片面剥離したフレキシブルケーブルの一端と、取り出し電極部分とを電気的に接続した後、被覆が残っている該ケーブル端部の表面にUV照射を行った。その後フレキシブルケーブルの他方の端をパネル裏側へ曲げ、フレキシブルケーブルの電極接続端部を含むパネル全面を被覆するように、第一の外部パッシベーション膜としてシリコン系ポリマー(KF854、信越化学工業社製)をスリットコーティングで1μm形成し、150℃の熱を30分かけて硬化した。その後に第二の外部パッシベーション膜としてSi34膜を、CVD法(蒸着時Si34ガス圧150Pa)により厚さにして3μm形成することにより外部封止層とした。
【0025】
比較例1
陰極のAlまで形成した後に、O2濃度:1ppm以下、H2O濃度:1ppm以下の窒素雰囲気に置換されているグローブボックスへ移動させ、封止用の無アルカリガラスの外周の接着部分にディスペンサーでエポキシ系紫外線硬化接着剤(3121、スリーボンド社製)を塗布した後、波長365nmのUV光を120秒照射して硬化し、その後加熱炉に入れて80℃で1時間加熱した。その後に、陽極側及び陰極側の取り出し電極部分にフレキシブルケーブルを接続した。
【0026】
実施例1、実施例2および比較例1の輝度半減寿命を測定した。輝度半減寿命の測定は、室温で100cd/m2でパネル点灯させた時の輝度の半減する時間を測定した。結果は下表のようになり本発明の封止方法を行っても輝度半減寿命に変化はなかった。
【0027】
【表1】

【0028】
また、本発明の封止方法によれば、比較例1に比べ、表示部以外の面積を小さくすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、色変換方式のボトムエミッション型有機EL素子における従来の封止構造の断面図である。
【図2】図2は、本発明の有機EL素子における封止構造の一例を示す断面図である。
【図3】図3は、図2左側のフレキシブルケーブル接続部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 基板
2 カラーフィルタ層
3 色変換層
4 平坦化層
5、21 パッシベーション層
6 透明電極
7、23 有機EL層
8 アルミ電極
9 カバーガラス
10、33 接着剤
11 吸湿剤
22 第1電極
24 第2電極
25 外部封止層
26 フレキシブルケーブル
31 取り出し電極
32 導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1電極と、有機発光層を含む有機EL層と、第2電極と、前記第1電極および/または前記第2電極と電気的に接続した少なくとも1本の外部駆動用回路との接続用のフレキシブルケーブルと、外部封止層とを備えた有機EL素子であって、
前記フレキシブルケーブルの端部が、表面改質され、前記第1電極と前記外部封止層との間に挟まれており、
前記外部封止層が、前記第1電極、有機EL層、第2電極、および、前記フレキシブルケーブル端部を被覆するように、積層していることを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記外部封止層が、可視領域で透明であって、1種もしくは2種以上の有機化合物、および/または、1種もしくは2種以上の無機化合物により形成される請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
基板上に、第1電極と、有機発光層を含む有機EL層と、第2電極と、前記第1電極および/または前記第2電極と電気的に接続した少なくとも1本の外部駆動用回路との接続用のフレキシブルケーブルと、前記第1電極、有機EL層、第2電極、および、前記フレキシブルケーブルの端部を被覆する外部封止層とを備えた有機EL素子の製造方法であって、
前記外部封止層の形成に先立ち、前記フレキシブルケーブルの端部をUV処理またはプラズマ処理により表面改質する工程を含む
ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項4】
前記外部封止層を形成する際の蒸着ガス圧力が、50〜250Paである請求項3に記載の有機EL素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−71561(P2008−71561A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247664(P2006−247664)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】