説明

有機EL表示パネルの検査方法及び検査システム

【課題】有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合でも、異物によりリーク性の暗点となる有機発光素子を検出できる有機EL表示パネルの検査方法を提供する。
【解決手段】有機EL表示パネル5の全画素を、第1電流に基づいて発光させるステップS21と、周辺画素の第1発光輝度とは異なる第2発光輝度である画素を注目画素として特定させるステップS24と、注目画素及び周辺画素を、第2電流に基づいて発光させるステップS25と、周辺画素の第3発光輝度及び注目画素の第4発光輝度を算出させるステップS27と、第1輝度比と第2輝度比との差が所定値を超えているかを確認させ、その差が所定値を超えている場合には、注目画素に含まれる有機発光素子はショートしていると判定させるステップS29と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electro Luminescence)素子を利用した有機EL表示パネルの検査方法及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アノード(陽極)とカソード(陰極)との間に有機発光層が介在されてなる有機発光素子(有機EL素子)を備えた有機EL表示パネルがある。この有機EL表示パネルを製造する製造工程において、有機発光素子を構成する陽極と陰極との間に異物が混入することがある。
【0003】
この場合、すなわち、有機発光素子に異物が混入した場合、陽極と陰極との間に流れる電流は、本来有機発光層に流れるべき電流が異物を介して流れてしまうため、発光輝度が低下してしまう。換言すると、有機発光素子に異物が混入した場合、陽極と陰極との間に流れる電流が異物を介してリークすることになる。ここで、異物の混入により発光輝度が低下した有機EL素子を「リーク性の暗点」とも称する。
【0004】
有機EL表示パネルを製造後に出荷する前には、有機EL表示パネルを検査し、リーク性の暗点となる有機発光素子があった場合には、それを特定する。そして、特定したリーク性の暗点となる有機素子に対して種々のリペア方法を用いて絶縁化するなどの対応を行い、その対応後に出荷する。
【0005】
リーク性の暗点となる有機発光素子を検出する方法としては、複数の有機発光素子の各々に対応する各駆動トランジスタの電圧−電流特性における線形領域の電圧を用いて、各有機EL発光素子に電流を流し、各有機EL発光素子の発光輝度を測定し、比較することで検出する方法がある(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1では、有機発光素子に供給する駆動電流を制御するための駆動トランジスタをその電圧−電流特性における線形領域で動作させ、有機発光素子を発光レベルとする。そして、その発光レベルの発光輝度またはカソード電流に基づき、リーク性の暗点となる有機発光素子として、有機発光素子のショートに起因した滅点欠陥を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−64806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の検査方法では、駆動トランジスタをその電圧−電流特性における線形領域で動作させた場合、ショートパスの抵抗が高い画素ほど正常輝度に近い輝度およびカソード電流になってしまい、欠陥の検出が困難であるという問題がある。すなわち従来の検査方法では欠陥(リーク性の暗点となる有機発光素子)を見逃してしまうという問題がある。
【0009】
具体的には、リーク性の暗点を発生させる異物が低抵抗のものである場合、異物が有機発光層より低抵抗であるため、陽極と陰極との間において有機発光層を流れる電流より異物を介して流れる電流の方が多くなり、異物が混在した有機発光素子による発光輝度は低下する。この場合、従来の検査方法を用いて、異物が混在した有機発光素子と正常な有機発光素子との識別はできる。
【0010】
一方、リーク性の暗点を発生させる異物が高抵抗のものである場合、リーク量は異物が低抵抗のものである場合と比較して少なくなる。そのため、異物が高抵抗のものである場合、異物が有機発光層より高抵抗であるため、本来有機発光層に流れるべき電流が異物を介して流れることも相対的に少なく、発光輝度の低下も小さい傾向にある。
【0011】
したがって、この場合、従来の検査方法では、リーク性の暗点となる有機発光素子として検出することができず、リーク性の暗点となる有機発光素子が有機EL表示パネルに残存する可能性が高い。
【0012】
さらに、高抵抗の異物が有機EL表示パネルに残存した場合、高抵抗の異物は熱源となるため、異物を含む有機発光素子の周辺の正常な有機発光素子にも影響を与えてしまい、正常な有機発光素子の寿命を劣化させる可能性がある。
【0013】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたもので、有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合でも、異物によりリーク性の暗点となる有機発光素子を検出できる有機EL表示パネルの検査方法及び検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る有機EL表示パネルの検査方法は、陰極電極及び陽極電極の間に有機発光層を介在させた有機発光素子と、当該有機発光素子を駆動させるための駆動トランジスタとをそれぞれ含み行列状に配列された画素を有する有機EL表示パネルと、前記有機EL表示パネルが発光した際の画像である発光画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置にて撮像された発光画像に基づいて前記有機EL表示パネルに含まれる各画素の発光輝度を求める情報処理装置と、を含むシステムを用いて前記有機EL表示パネルを検査する有機EL表示パネルの検査方法であって、前記有機EL表示パネルが有する全画素を、第1電流に基づいて発光させる第1ステップと、前記撮像装置に、前記第1電流に基づいて発光された前記有機EL表示パネルの第1発光画像を撮像させる第2ステップと、前記情報処理装置は、前記第1発光画像に基づき前記有機EL表示パネルの各画素の発光輝度を算出する第3ステップと、前記情報処理装置は、所定の画素における周辺画素の第1発光輝度と当該所定の画素の第2発光輝度との第1輝度比を算出し、当該第1輝度比が輝度比基準値より低い場合に、当該所定画素を注目画素として特定する第4ステップと、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を、前記第1電流とは異なる第2電流に基づいて発光させる第5ステップと、前記撮像装置に、前記第2電流に基づいて発光された、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を含む前記有機EL表示パネルの第2発光画像を撮像させる第6ステップと、前記情報処理装置は、前記第2発光画像に基づく前記周辺画素の第3発光輝度及び前記注目画素の第4発光輝度を算出する第7ステップと、前記情報処理装置に、前記第3発光輝度と前記第4発光輝度との第2輝度比を算出させる第8ステップと、前記情報処理装置は、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が所定値を超えているかを確認させ、前記差が所定値を超えている場合には、前記注目画素に含まれる有機発光素子には異物によるリークパスが形成されていると判定する第9ステップと、を含む。
【0015】
それにより、素子駆動トランジスタをその飽和領域で動作させ、発光輝度又はカソード電流の条件を2条件以上で暗点明度(注目画素の輝度とその周囲輝度の比)の条件間での変化に基づくことで、EL素子のショートに起因した滅点欠陥を検出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合でも、異物によりリーク性の暗点となる有機発光素子を検出できる有機EL表示パネルの検査方法及び検査システムを実現できる。それにより、異物によるリークパスが形成されている有機発光素子を含む欠陥画素つまりショート起因の欠陥画素を見逃さず検査でき、品質および信頼性の高い表示装置を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における有機EL表示パネルの検査システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態における情報処理装置の処理を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における有機EL表示パネルの構成を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における有機EL表示パネルの有する一画素部の回路構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における検査システムの検査方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態における検査システムの検査方法の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図7A】図7Aは、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化することを説明するための図である。
【図7B】図7Bは、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化することを説明するための図である。
【図8A】図8Aは、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化することを説明するための図である。
【図8B】図8Bは、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化することを説明するための図である。
【図9】図9は、リークパスを形成する異物の抵抗が高い場合の測定結果の一例を示す図である。
【図10】図10は、有機発光素子に印加して得られる周辺画素との輝度比をまとめた表を示す図である。
【図11】図11は、駆動トランジスタが飽和状態である場合のIV特性を模式的に示す図である。
【図12】図12は、駆動トランジスタが線形状態である場合のIV特性を模式的に示す図である。
【図13】図13は、ショートしていると判定された暗点画素の有機発光素子のリペア工程を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の態様の有機EL表示パネルの検査方法は、陰極電極及び陽極電極の間に有機発光層を介在させた有機発光素子と、当該有機発光素子を駆動させるための駆動トランジスタとをそれぞれ含み行列状に配列された画素を有する有機EL表示パネルと、前記有機EL表示パネルが発光した際の画像である発光画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置にて撮像された発光画像に基づいて前記有機EL表示パネルに含まれる各画素の発光輝度を求める情報処理装置と、を含むシステムを用いて前記有機EL表示パネルを検査する有機EL表示パネルの検査方法であって、前記有機EL表示パネルが有する全画素を、第1電流に基づいて発光させる第1ステップと、前記撮像装置に、前記第1電流に基づいて発光された前記有機EL表示パネルの第1発光画像を撮像させる第2ステップと、前記情報処理装置は、前記第1発光画像に基づき前記有機EL表示パネルの各画素の発光輝度を算出する第3ステップと、前記情報処理装置は、所定の画素における周辺画素の第1発光輝度と当該所定の画素の第2発光輝度との第1輝度比を算出し、当該第1輝度比が輝度比基準値より低い場合に、当該所定画素を注目画素として特定する第4ステップと、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を、前記第1電流とは異なる第2電流に基づいて発光させる第5ステップと、前記撮像装置に、前記第2電流に基づいて発光された、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を含む前記有機EL表示パネルの第2発光画像を撮像させる第6ステップと、前記情報処理装置は、前記第2発光画像に基づく前記周辺画素の第3発光輝度及び前記注目画素の第4発光輝度を算出する第7ステップと、前記情報処理装置に、前記第3発光輝度と前記第4発光輝度との第2輝度比を算出させる第8ステップと、前記情報処理装置は、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が所定値を超えているかを確認させ、前記差が所定値を超えている場合には、前記注目画素に含まれる有機発光素子には異物によるリークパスが形成されていると判定する第9ステップと、を含む。
【0019】
本態様によると、まず、同一電流(第1電流)に基づいて有機EL表示パネルに含まれる全画素を発光させている。これは、有機EL表示パネルに含まれる全画素を同一電流(第1電流)に基づいて発光させた場合、前記有機EL表示パネルに含まれる各画素に異常がなければ、同一電流(第1電流)に基づいて発光された発光画像から算出する各画素の発光輝度は同一となるからである。つまり、同一電流(第1電流)に基づいて発光された発光像から算出されたある画素の発光輝度がその画素の周辺画素の発光輝度と異なれば、その画素は異常であると判定できるからである。
【0020】
ここで、この異常の原因として2つ考えられる。1つ目は注目画素に含まれる有機発光素子中の有機発光層の劣化である。2つ目は、注目画素に含まれる有機発光素子の有機発光層は劣化していないが、製造過程で有機発光素子に混入した異物の存在により、発光輝度が低下することである。
【0021】
そして、この2つ目の原因は、有機発光素子において陰極電極と陽極電極との間に異物が混入すると、陰極電極と陽極電極との間で有機発光層を流れる電流とは別に、陰極電極と陽極電極との間で異物を介して電流が流れることである。それにより、有機発光素子の発光輝度が低下する。なお、陰極電極と陽極電極との間で異物を介して電流が流れる経路をリークパスと称する。
【0022】
上記2つの原因のいずれの原因により、異常が生じたのかを判別するために、本発明者は、検出した注目画素(暗点画素)がリーク起因かどうかを判定する方法を想到した。なぜなら、異常の原因が1つ目の原因であれば、注目画素(暗点画素)を検出したステップ時に用いた電流(第1電流)とは異なる電流(第2電流)を流せば、発光輝度の変化量も電流の変化量に比例して変動すると考えられる。そのため、1回目の電流値による輝度比と2回目の電流値による輝度比とで輝度比は同じになるからである。一方、異常の原因が2つ目の原因であれば、第1電流と異なる電流(第2電流)を流せば、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化すると考えられる。そのため、1回目の電流値による第1輝度比と2回目の電流値による第2輝度比とでは輝度比が異なるからである。
【0023】
上記のように、まず、前記有機EL表示パネルに含まれる全画素に対して同一電流(第1電流)に基づいて発光をさせ、各画素の発光輝度とその周辺画素の第1発光輝度とに基づき、周辺画素の発光輝度(第1発光輝度)とは異なる第2発光輝度である画素を注目画素として特定する。
【0024】
次に、注目画素及びその周辺画素に対して同一電流(第1電流)とは異なる電流に基づく発光をさせ、前記周辺画素の第3発光輝度と注目画素の第4発光輝度とを算出する。
【0025】
その上で、第1輝度比(第1発光輝度及び第2発光輝度の比)と第2輝度比(第3発光輝度及び第4発光輝度の比)との差が所定値を超える場合、注目画素に含まれる有機発光素子はショートして(異物によるリークパスが形成されて)おり、注目画素はリーク性起因の暗点画素と判定することができる。
【0026】
これによると、周辺画素より発光輝度が暗い画素があった場合に、その原因が注目画素に含まれる発光素子中の有機発光層の劣化であるのか、又は、注目画素に含まれる有機発光素子に異物が混入してリークパスが形成されたためか、を識別できる。
【0027】
上記のように、リークパスを形成する異物の抵抗が高い場合、陰極と陽極との間で異物を流れる電流より陰極と陽極との間で有機発光層を流れる電流の方が多くなる。この場合、陰極と陽極との間に異物が介在する場合であっても、陰極と陽極との間に異物が介在しない発光素子と比較して発光輝度の差はあまり大きくならない傾向になる。
【0028】
そのため、従来の方法では、リーク性の暗点となった有機発光素子を識別することができなかった。それに対して、本態様では、第1電流と第2電流との差を大きくすれば、リークパスを形成する異物の抵抗が高いためにリークパスを流れる電流より陰極と陽極との間で有機発光層を流れる電流の方が多い場合でも、得られる第1輝度比と第2輝度比に差が現れる。これにより、リークパスを形成する異物の抵抗が高い場合においても、有機発光素子に異物が混入してリークパスが形成されたためか否か、を確実に識別することができる。
【0029】
これにより、有機発光素子に混入した異物が高抵抗のものであっても、リーク性の暗点となった有機発光素子を効果的に検出できる。従って、高抵抗の異物が有機EL表示パネルに残存することを防止し、高抵抗の異物が残存することにより高抵抗の異物が熱源となるのを防ぐことができる。その結果、高抵抗の異物を含む有機発光素子の周辺の正常な有機発光素子にも影響を与えて、正常な有機発光素子の寿命を劣化させる可能性を低減できる。
【0030】
第2の態様の有機EL表示パネルの検査方法において、前記第2電流は、前記第1電流よりも大きい。
【0031】
第3の態様の有機EL表示パネルの検査方法において、前記第1電流は、前記有機発光素子の電圧−輝度特性の低階調に属する電圧に対応する電流であり、前記低階調は、各画素で表示可能な最大階調の10%より大きく25%以下の階調である。
【0032】
第4の態様の有機EL表示パネルの検査方法において、前記第2電流は、前記有機発光素子の電圧−輝度特性の高階調に属する電圧に対応する電流であり、記高階調は、各画素で表示可能な最大階調の40%以上100%以下の階調である。
【0033】
第5の態様の有機EL表示パネルの検査方法においては、前記第9ステップにおいて、前記情報処理装置に、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、前記注目画素に含まれる有機発光素子の有機発光層は劣化していると判定させる。
【0034】
さらに、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が所定値以下の場合、注目画素に含まれる有機発光層が劣化していると判定する。
【0035】
これによると、周辺画素より発光輝度が暗い画素があった場合に、その原因が前記注目画素の有する有機発光素子中の有機発光層の劣化であるのか、又は、前記注目画素の有する有機発光素子に異物が混入してリークパスが形成されたためか、を確実に判定できる。
【0036】
第6の態様の有機EL表示パネルの検査方法において、前記所定値とは、0又は0に近似した値である。
【0037】
第7の態様の有機EL表示パネルの検査方法においては、前記第1ステップにおいて、前記第1電流に基づいて前記全画素を発光させる際に用いる電圧は、前記全画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられ、前記第5ステップにおいて、前記第2電流に基づいて前記注目画素及び前記周辺画素を発光させる際に用いる電圧は、前記注目画素及び前記周辺画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる。
【0038】
有機発光素子に異物が混入してリークパスが形成されている場合、異物が混入した有機発光素子は、その周辺画素の有機発光素子と特性が異なる有機発光素子と考えることができる。駆動トランジスタの電圧−電流特性における線形領域の電圧を印加した場合、異物が混入した有機発光素子と異物が混入していない有機発光素子に同一電流に基づく発光をさせることは困難である。
【0039】
そこで、本態様によると、第1ステップにおいて、駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧を用いて第1電流に基づき全画素を発光させ、前記第5ステップにおいて、駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧を用いて第1電流とは異なる第2電流に基づいて注目画素及び周辺画素を発光させる。
【0040】
すなわち、有機発光素子に異物が混入してリークパスが形成されている場合、異物が混入した有機発光素子は、その周辺画素の有機発光素子と特性が異なる有機発光素子と考えることができる。異なる特性の有機発光素子が混在する全画素に対して同一電流を流させるには、駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧を用いる必要がある。
【0041】
これにより、異物が混入する暗点画素を含めた全画素を、同一電流に基づいて発光させることができる。
【0042】
第8の態様の有機EL表示パネルの検査方法において、前記周辺画素は、前記注目画素の周辺の複数の画素であり、前記第1発光輝度及び前記第3発光輝度は、前記周辺画素の平均発光輝度である。
【0043】
第9の態様の有機EL表示パネルの検査方法は、前記第4ステップにおいて、特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないかどうかを判定する判定ステップを含み、当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないと判定した場合に、前記第5ステップを行う。
【0044】
本態様によると、第4ステップにおいて特定された注目画素の数が所定の基準値より少ない場合、第5ステップ以降の処理に進む。この場合、有機EL表示パネルに含まれる周辺画素の第1発光輝度とは異なる第2発光輝度である注目画素(暗点画素等の異常画素)の数が、比較的少ないことになる。そのため、以降の処理において、注目画素の異常の原因を判定し、その異常の原因がリークパスであれば、その後のリペア処理などを施すことにより、有機EL表示パネルを救済することができる。
【0045】
第10の態様の有機EL表示パネルの検査方法は、当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値以上であると判定した場合には、前記有機EL表示パネルを不良パネルと判定する。
【0046】
本態様によると、第4ステップにおいて特定された注目画素の数が所定の基準値以上の場合、有機EL表示パネルをNGのパネル(不良パネル)と判定する。この場合、有機EL表示パネルに含まれる注目画素(暗点画素等の異常画素)の数が、比較的多いので、その後にリペア処理などを施しても、有機EL表示パネルを救済して出荷することができない。そのため、注目画素の異常の原因は判定しないで検査を終了する。すなわち、第5ステップ以降の処理には進まない。
【0047】
第11の態様の有機EL表示パネルの検査方法は、前記第9ステップにおいて、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、さらに、前記情報処理装置に、前記注目画素における前記駆動トランジスタの電圧−電流特性の線形領域の電圧を、前記注目画素に印加させて、前記注目画素の電流値を検出させる検出ステップを含み、前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が予め定められた値以上の場合、前記情報処理装置に、前記注目画素はショートしていると判定させ、前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が前記予め定められた値より小さい場合、前記情報処理装置に、前記注目画素に含まれる有機発光素子は劣化していると判定させる。
【0048】
本態様によると、前記第1発光輝度と前記第2発光輝度との差が前記所定範囲以内の場合、注目画素に含まれる有機発光素子は劣化している場合のほかに、リークパスを形成する異物の抵抗が低い可能性も存在する。
【0049】
即ち、リークパスを形成する異物の抵抗が低い場合、陰極と陽極との間で異物を流れる電流が陰極と陽極との間で有機発光層を流れる電流と同程度以上になる。そのため、前記注目画素に対応する有機発光素子が劣化していると確実に判定できない。
【0050】
この場合には、駆動トランジスタの電圧−電流特性における線形領域の電圧を用いて判定してもよい。
【0051】
第12の態様の有機EL表示パネルの検査方法は、第1の態様〜第11の態様のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法により、ショートしていると判定された有機発光素子に対して、前記有機発光素子に含まれる陰極電極及び陽極電極の少なくともいずれか一方を絶縁化させて、前記陰極電極と前記陽極電極との間に電流が流れない状態にするリペア工程を含む。
【0052】
本態様により、高抵抗の異物が混入して「リーク性の暗点」となった有機発光素子に対して、リペア処理を施すことにより、高抵抗の異物が有機EL表示パネルに残存することを防止するだけでなく、高抵抗の異物が残存することにより高抵抗の異物が熱源となるのを防ぐことができる。従って、高抵抗の異物を含む有機発光素子の周辺の正常な有機発光素子にも影響を与えて、正常な有機発光素子の寿命を劣化させる可能性を低減できる。その結果、品質改善が施された有機EL表示パネルを提供できる。
【0053】
第13の態様の有機EL表示パネルの検査システムは、有機EL表示パネルの検査システムであって、陰極電極及び陽極電極の間に有機発光層を介在させた有機発光素子と、当該有機発光素子を駆動させるための駆動トランジスタとをそれぞれ含み行列状に配列された画素を有する有機EL表示パネルと、前記有機EL表示パネルが発光した際の画像である発光画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置にて撮像された発光画像に基づいて前記有機EL表示パネルに含まれる各画素の発光輝度を求める情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記有機EL表示パネルが有する全画素を、第1電流に基づいて発光させる第1ステップと、前記撮像装置に、前記第1電流に基づいて発光された前記有機EL表示パネルの第1発光画像を撮像させる第2ステップと、前記第1発光画像に基づき前記有機EL表示パネルの各画素の発光輝度を算出する第3ステップと、前記情報処理装置は、所定の画素における周辺画素の第1発光輝度と当該所定の画素の第2発光輝度との第1輝度比を算出し、当該第1輝度比が輝度比基準値より低い場合に、当該所定画素を注目画素として特定する第4ステップと、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を、前記第1電流とは異なる第2電流に基づいて発光させる第5ステップと、前記撮像装置に、前記第2電流に基づいて発光された、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を含む前記有機EL表示パネルの第2発光画像を撮像させる第6ステップと、前記第2発光画像に基づく前記周辺画素の第3発光輝度及び前記注目画素の第4発光輝度を算出する第7ステップと、前記第3発光輝度と前記第4発光輝度との第2輝度比を算出する第8ステップと、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が所定値を超えているかを確認させ、前記差が所定値を超えている場合には、前記注目画素に含まれる有機発光素子には異物によるリークパスが形成されていると判定する第9ステップと、を実行する。
【0054】
第14の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいて、前記情報処理装置は、前記第9ステップにおいて、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、前記注目画素に含まれる有機発光素子の有機発光層は劣化していると判定する。
【0055】
第15の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいて、前記所定値とは、0又は0に近似した値である。
【0056】
第16の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいては、前記第1ステップにおいて、前記第1電流に基づいて前記全画素を発光させる際に用いる電圧は、前記全画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられ、前記第5ステップにおいて、前記第2電流に基づいて前記注目画素及び前記周辺画素を発光させる際に用いる電圧は、前記注目画素及び前記周辺画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる。
【0057】
第17の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいて、前記周辺画素は、前記注目画素の周辺の複数の画素であり、前記第1発光輝度及び前記第3発光輝度は、前記周辺画素の平均発光輝度である。
【0058】
第18の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいて、前記情報処理装置は、前記第4ステップにおいて、特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないかどうかを判定する判定ステップを実行し、当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないと判定した場合に、前記第5ステップを実行する。
【0059】
第19の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいて、前記情報処理装置は、当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値以上であると判定した場合には、前記有機EL表示パネルをNGのパネルと判定する。
【0060】
第20の態様の有機EL表示パネルの検査システムにおいて、前記情報処理装置は、前記第9ステップにおいて、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、さらに、前記注目画素における前記駆動トランジスタの電圧−電流特性の線形領域の電圧を、前記注目画素に印加させて、前記注目画素の電流値を検出する検出ステップを実行し、前記情報処理装置は、前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が予め定められた値以上の場合、前記注目画素はショートしていると判定し、前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が前記予め定められた値より小さい場合、前記注目画素に含まれる有機発光素子は劣化していると判定する。
【0061】
(実施の形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0062】
図1は、本発明の実施の形態における有機EL表示パネルの検査システムの構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態における情報処理装置の処理を示す図である。
【0063】
図1に示す検査システムは、表示装置1と、撮像装置3と、情報処理装置4とで構成される。
【0064】
表示装置1は、製造された有機EL表示パネル5と有機EL表示パネル5を制御するための制御回路2とで構成されている。ここで、有機EL表示パネル5は、陰極電極及び陽極電極の間に有機発光層を介在させた有機発光素子と、当該有機発光素子を駆動させるための駆動トランジスタとをそれぞれ含み行列状に配列された画素を有する。なお、有機EL表示パネル5では、RGBそれぞれの発光色を示す有機発光素子を含む画素が並べたり、RGBを配列したカラーフィルタをさらに備えたりすることで、色も発光することができる。
【0065】
表示装置1の制御回路2は、情報処理装置4の命令により(S11)、有機EL表示パネル5を制御して(S12)、発光させる。具体的には、制御回路2は、所望の電流値を駆動トランジスタに印加するよう、有機EL表示パネル5を制御して、有機EL表示パネル5を発光させる。
【0066】
撮像装置3は、情報処理装置4の命令により(S13)、有機EL表示パネル5が発光した際の全画素の画像である発光画像を撮像する。
【0067】
情報処理装置4は、上述したように、表示装置1と、撮像装置3とを制御し、撮像装置3で撮像された発光画像に基づいて、有機EL表示パネル5に含まれる各画素の発光輝度を算出する。
【0068】
この検査システムは、詳細は後述するが、有機EL表示パネル5にリーク性の暗転となる有機発光素子換言すると異物によるリークパスが形成されている有機発光素子が存在する場合には、それを効果的に検出することができる。
【0069】
次に、有機EL表示パネル5の詳細構成について説明する。
【0070】
図3は、本発明の実施の形態における有機EL表示パネルの構成を説明するための図である。図4は、本発明の実施の形態における有機EL表示パネルの有する一画素部の回路構成を示す図である。
【0071】
有機EL表示パネル5は、走査線駆動回路6と、データ線駆動回路7と、行列状に配列された画素部10と、対応する画素部10にデータ信号(信号電圧)を伝達するためのデータ線20と、対応する画素部10に走査信号を伝達するための走査線21とを備える。
【0072】
有機EL表示パネル5は、走査線駆動回路6及びデータ線駆動回路7に入力される制御回路2からの信号に基づき、映像を表示する。換言すると、有機EL表示パネル5は、行列状に配列された複数の画素部10を備え、外部から有機EL表示パネル5へ入力された輝度信号に基づいて画像を表示する。
【0073】
ここで、画素部10の回路構成について図4を参照しながら詳細に説明する。
【0074】
画素部10は、本発明の画素に相当し、図4に示すように、電流発光素子である有機発光素子D1と、駆動トランジスタT1と、スイッチングトランジスタT2と、保持コンデンサCsと、参照トランジスタT3と、分離トランジスタT4とを備える。また、画素部10には、走査線21と、信号電圧を供給するためのデータ線20と、マージ線23と、駆動トランジスタT1のドレイン電極の電位を決定するための高電圧側電源線24と、有機発光素子D1の第2電極に接続された低電圧側電源線25と、保持コンデンサCsの第1電極の電圧値を規定する第1の基準電圧を供給する基準電圧電源線26と、リセット線27とが接続されている。
【0075】
有機発光素子D1は、本発明の有機発光素子に相当し、駆動トランジスタT1の駆動電流により発光する。有機発光素子D1は、カソードが、低電圧側電源線25に接続され、アノードが、駆動トランジスタT1のソースに接続されている。ここで、低電圧側電源線25に供給されている電圧はVssであり、例えば0(v)である。
【0076】
駆動トランジスタT1は、本発明の駆動トランジスタに相当し、画素部10の有機発光素子D1を駆動させる。具体的には、駆動トランジスタT1は、有機発光素子D1に電流を流すことで有機発光素子D1を発光させる電圧駆動の駆動素子である。駆動トランジスタT1は、ゲートが、分離トランジスタT4及びスイッチングトランジスタT2を介してデータ線20に接続され、ソースが有機発光素子D1のアノードに接続され、ドレインが、高電圧側電源線24に接続されている。ここで、高電圧側電源線24に供給されている電圧はVDDであり、例えば20(v)である。これにより、駆動トランジスタT1は、ゲートに供給された信号電圧(データ信号)を、その信号電圧(データ信号)に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流を有機発光素子D1に供給する。
【0077】
保持コンデンサCsは、駆動トランジスタT1の流す電流量を決める信号電圧を保持する機能を有する。具体的には、保持コンデンサCsは、駆動トランジスタT1のソース(低電圧側電源線25)と駆動トランジスタT1のゲートとの間に接続されている。
【0078】
保持コンデンサCsは、例えば、スイッチングトランジスタT2がオフ状態となった後も、直前の信号電圧を維持し、継続して駆動トランジスタT1から有機発光素子D1へ駆動電流を供給させる機能を有する。なお、保持コンデンサCsは、信号電圧を、その信号電圧に静電容量を積算した電荷で保持する。
【0079】
スイッチングトランジスタT2は、一方の端子がデータ線20に接続され、他方の端子が保持コンデンサCsの第2電極に接続され、データ線20と保持コンデンサCsの第2電極との導通及び非導通を切り換える。具体的には、スイッチングトランジスタT2は、映像信号に応じた信号電圧(データ信号)を保持コンデンサCsに書き込むための機能を有する。スイッチングトランジスタT2は、ゲートが、走査線21に接続されており、ドレインまたはソースがデータ線20に接続されている。そして、スイッチングトランジスタT2は、データ線20の信号電圧(データ信号)を駆動トランジスタT1のゲートに供給するタイミングを制御する機能を有する。
【0080】
参照トランジスタT3は、保持コンデンサCsの第1電極と基準電圧電源線26との導通及び非導通を切り換える。具体的には、参照トランジスタT3は、駆動トランジスタT1の閾値電圧Vthを検出するときに駆動トランジスタT1のゲートに基準電圧(Vr)を与える機能を有する。参照トランジスタT3は、ドレインおよびソースの一方が、駆動トランジスタT1のゲートに接続され、ドレインおよびソースの他方が、参照電圧(Vr)を印加するための基準電圧電源線26に接続されている。また、参照トランジスタT3は、ゲートがリセット線27に接続されている。
【0081】
分離トランジスタT4は、一方の端子が駆動トランジスタT1のソース電極に接続され、他方の端子が保持コンデンサCsの第2電極に接続され、駆動トランジスタT1のソース電極と保持コンデンサCsの第2電極との導通及び非導通を切り換える。具体的には、分離トランジスタT4は、保持コンデンサCsに電圧を書き込む書き込み期間において保持コンデンサCsと駆動トランジスタT1とを切り離す機能を有する。分離トランジスタT4は、ドレインおよびソースの一方が、駆動トランジスタT1のソースに接続され、ドレインおよびソースの他方が、保持コンデンサCsの第2電極に接続されている。また、分離トランジスタT4は、ゲートがマージ線23と接続されている。また、分離トランジスタT4は、発光期間において保持コンデンサCsと駆動トランジスタT1のソース電極とを接続する。これにより、駆動トランジスタT1のゲート電極−ソース電極間に保持コンデンサCsに保持された信号電圧(データ信号)を印加する。その結果、駆動トランジスタT1は、有機発光素子D1に信号電圧(データ信号)応じた電流を供給する。
【0082】
なお、駆動トランジスタT1、スイッチングトランジスタT2、参照トランジスタT3及び分離トランジスタT4はそれぞれ、例えばNチャンネル薄膜トランジスタであり、エンハンスメント型トランジスタである。もちろん、チャネル薄膜トランジスタであってもよいし、デプレッション型トランジスタであってもよい。
【0083】
以上のように画素部10は構成される。
【0084】
再び、図3に戻って説明を続ける。
【0085】
走査線駆動回路6は、走査線21に接続されており、画素部10のスイッチングトランジスタT2の導通・非導通を制御する機能を有する。具体的には、走査線駆動回路6は、図3において行方向に配列された画素部10に共通に接続された走査線21にそれぞれ独立に走査信号scanを供給する。
【0086】
データ線駆動回路7は、データ線20に接続されており、映像信号に応じた信号電圧(データ信号)を出力して、駆動トランジスタT1に流れる信号電流を決定する機能を有する。具体的には、データ線駆動回路7は、図3において列方向に配列された画素部10に共通に接続されたデータ線20にそれぞれ独立に信号電圧(データ信号)を供給する。
【0087】
また、上記では、高電圧側電源線24と基準電圧電源線26とは別の電源線としているが、共通の電源線としてもよい。
【0088】
次に、図1に示す検査システムが、撮像装置3で撮像された発光画像に基づいて、有機EL表示パネル5に含まれる各画素の発光輝度を求める検査方法について説明する。
【0089】
図5は、本発明の実施の形態における検査システムの検査方法を示すフローチャートである。
【0090】
まず、情報処理装置4は、制御回路2を介して、有機EL表示パネル5に含まれる全画素(全画素部10)を第1電流に基づいて発光させる(S21)。
【0091】
なお、この第1電流に基づいて発光をさせる際に用いる電圧は、全画素の各々に含まれる駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる。
【0092】
次に、情報処理装置4は、撮像装置3に、第1電流に基づいて発光された有機EL表示パネル5の第1発光画像を撮像させる(S22)。ここで、第1発光画像とは、有機EL表示パネル5の全画素部10が第1電流に基づいて発光した際の画像である。
【0093】
次に、情報処理装置4は、第1発光画像に基づき有機EL表示パネル5が有する各画素部10の発光輝度を算出する(S23)。
【0094】
次に、情報処理装置4は、所定の画素とその周辺の画素との発光輝度比に基づき注目画素を特定する(S24)。具体的には、情報処理装置4は、所定の画素における周辺画素の第1発光輝度と所定の画素の第2発光輝度との第1輝度比を算出し、当該第1輝度比が輝度比基準値より低い場合に、当該所定画素を注目画素として特定する。ここで、周辺画素は、暗点画素(注目画素)の周囲(周辺)にある複数の画素であり、第1発光輝度は、例えば周辺画素の平均発光輝度である。
【0095】
次に、情報処理装置4は、少なくとも注目画素及び周辺画素を、第1電流とは異なる第2電流に基づいて発光させる(S25)。ここで、情報処理装置4は、第2電流に基づいて有機EL表示パネル5の全画素を発光させるとしてもよい。以下では、全画素を発光させたとして説明する。
【0096】
次に、情報処理装置4は、撮像装置3に、第2電流に基づいて発光された有機EL表示パネル5の第2発光画像を撮像させる(S26)。ここで、第2発光画像とは、有機EL表示パネル5の全画素部10が第2電流に基づいて発光した際の画像である。
【0097】
なお、この第2電流に基づいて発光をさせる際に用いる電圧は、全画素の各々に含まれる駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる。
【0098】
次に、情報処理装置4は、注目画素及びその周辺画素の発光輝度を算出する(S27)。具体的には、情報処理装置4は、第2発光画像に基づき周辺画素が発光する輝度である第3発光輝度及び第2発光画像に基づき注目画素が発光する輝度である第4発光輝度を算出する(S27)。ここで、第3発光輝度は、上述したように、例えば周辺画素の平均発光輝度である。
【0099】
次に、情報処理装置4は、第2電流に対応する注目画素と周辺画素の輝度比について算出する(S28)。具体的には、情報処理装置4は、第2電流に対応する注目画素と周辺画素の輝度比すなわち第3発光輝度と第4発光輝度との第2輝度比を算出する。
【0100】
次に、情報処理装置4は、第1電流及び第2電流それぞれに対応する注目画素と周辺画素の輝度比の差が所定値を超しているかを確認する(S29)。具体的には、情報処理装置4は、第1輝度比と第2輝度比との差が所定値を超しているかを確認する。ここで、所定値とは、0又は0に近似する値であり、例えば、0.005等、0.1未満の値である。
【0101】
そして、情報処理装置4は、第1輝度比と第2輝度比との差が所定値を超えている場合には、注目画素に含まれる有機発光素子D1は異物によりリークパスが形成されている(ショートしている)と判定する。
【0102】
以上のようにして、本発明の形態における検査システムは、有機EL表示パネル5にリーク性の暗転となる有機発光素子D1が存在する場合には、それを検出することができる。
【0103】
以下、さらに、図5を用いて説明した有機EL表示パネル5の検査方法の詳細について説明する。
【0104】
図6は、本発明の実施の形態における検査システムの検査方法の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0105】
まず、情報処理装置4が輝度を測定する色を決定する(S30)。具体的には、有機EL表示パネル5が発光する色を決定し、撮像装置3を決定した色を撮像できるように撮像装置3を調整する。
【0106】
次に、リーク性の暗点となる可能性のある有機発光素子D1を含む画素部10(暗点画素)を検出する(S31)。
【0107】
具体的には、まず、撮像装置3が撮像(測定)する階調を決定する(S311)。ここで、決定する階調は、後述する理由から、低階調であることが好ましい。ここで、低階調とは、有機発光素子の電圧−輝度特性において、各画素で表示可能な最大階調の10%より大きく25%以下の階調に対応する階調である。
【0108】
続いて、決定した色に対応する全ての画素部10(全サブ画素)を、決定した階調に応じた電圧を印加し、発光させる(S312)。
【0109】
ここで、S312は、上述したS21の具体的な1つの態様である。すなわち、S21における全画像は、決定した色に対応する全ての画素部10に対応し、第1電流は、決定した階調に応じた電圧を対応する画素部10に印加した際に駆動トランジスタT1に流れる電流に相当する。
【0110】
続いて、情報処理装置4は、撮像装置3で、有機EL表示パネル5の発光画像(第1発光画像)を撮像(測定)する(S313)。ここで、S313は、上述したS22の具体的な1つの態様である。
【0111】
続いて、情報処理装置4は、撮像装置3で、撮像した発光画像(第1発光画像)を取得し、画像処理により、各サブ画素の輝度値を算出する(S314)。ここで、S314は、上述したS23の具体的な1つの態様である。
【0112】
続いて、各サブ画素の輝度値とその周辺画素(周囲画素)の輝度値との輝度比(第1輝度比)を算出し、輝度比基準値と照合することで、注目画素を特定(選別)する(S315)。この輝度比基準値は、例えば、0.5である。そして、基準値により特定(選別)された注目画素の位置情報とその輝度比(第1輝度比)をメモリに格納する。ここで、S315は、上述したS24の具体的な1つの態様である。
【0113】
このようにして、S31において、リーク性の暗点となる可能性のある有機発光素子D1を含む画素部10(暗点画素)を検出する。
【0114】
S31では、有機EL表示パネル5が有する全サブ画素を同一電流(第1電流)に基づいて発光をさせている。これは、有機EL表示パネル5が有する全サブ画素を同一電流に基づいて発光させた場合、有機EL表示パネル5が有する各サブ画素に異常がなければ、同一電流に基づいて発光された発光画像から算出する各サブ画素の発光輝度は同一となるからである。つまり、同一電流に基づいて発光された発光画像から算出されたある画素部10の発光輝度がその画素部10の周辺画素の発光輝度と異なれば、その画素部は異常であると判定できるからである。
【0115】
次に、S31において選別された注目画素の数が基準値より少ないかどうかを判定する(S32)。そして、選別(特定)された注目画素の数が基準値より少ないと判定した場合には(S32でYes)、次のS33に進む。
【0116】
すなわち、S32でYesの場合、有機EL表示パネル5に含まれる周辺画素の第1発光輝度とは異なる第2発光輝度である注目画素(暗点画素等の異常画素)の数が、比較的少ないことになる。そのため、以降の処理において、注目画素の異常の原因を判定し、その異常の原因がリークパスであれば、その後のリペア処理などを施すことにより、有機EL表示パネル5を救済することができる。
【0117】
一方、選別(特定)された注目画素の数が基準値以上であると判定した場合には(S32でNo)、有機EL表示パネルをNGのパネル(不良パネル)と判定し、検査を終了する。
【0118】
すなわち、S32でNoの場合、有機EL表示パネル5に含まれる注目画素(暗点画素等の異常画素)の数が、比較的多いので、その後にリペア処理などを施しても、有機EL表示パネル5を救済して出荷することができない。そのため、注目画素の異常の原因は判定しないで検査を終了する。すなわち、S33以降の処理には進まない。
【0119】
次に、S33において、S31で検出した注目画素(暗点画素)がリーク起因かどうか(有機発光素子に異物によるリークパスが形成されているかどうか)どうかを判定する。
【0120】
具体的には、まず、撮像装置3が撮像(測定)する階調を決定する(S331)。ここで、決定する階調は、後述する理由から、高階調であることが好ましい。ここで、高階調とは、有機発光素子の電圧−輝度特性において、各画素で表示可能な最大階調の40%以上100%以下の階調に対応する階調である。
【0121】
続いて、決定した色に対応する全ての画素部10(全サブ画素)を、決定した階調(高階調)に応じた電圧を印加し、発光させる(S332)。
【0122】
ここで、S332は、上述したS25の具体的な1つの態様である。すなわち、S21における全画像は、決定した色に対応する全ての画素部10に対応し、第2電流は、決定した階調(高階調)に応じた電圧を対応する画素部10に印加した際に駆動トランジスタT1に流れる電流に相当する。
【0123】
続いて、情報処理装置4は、撮像装置3で、有機EL表示パネル5の発光画像(第2発光画像)を撮像(測定)する(S333)。ここで、S333は、上述したS26の具体的な1つの態様である。
【0124】
続いて、情報処理装置4は、撮像装置3で、撮像した発光画像(第2発光画像)を取得し、画像処理により、選別(特定)された注目画素とその周辺画素の輝度値を算出する(S334)。ここで、S334は、上述したS27の具体的な1つの態様である。
【0125】
続いて、選別(特定)された注目画素とその周辺画素の輝度値との輝度比(第2輝度比)を算出し、S31で算出した輝度比(第1輝度比)との差分が所定値を超えているかを確認する(S335)。そして、その差分が所定値を超えている注目画素の位置情報をメモリに格納する。ここで、S335は、上述したS28及びS29の具体的な1つの態様である。
【0126】
このようにして、S33では、S31で検出した注目画素(暗点画素)がリーク起因かどうかを判定する。
【0127】
次に、S33において算出した差分値が所定値以下となる注目画素があるか否かを判定する(S34)。
【0128】
S33において算出した差分値が所定値以下となる注目画素がない場合(S34でNo)、全色(RGB)に対応するサブ画素の発光画像の撮像が終了したかを確認する(S36)。そして、全色の撮像が終了していない場合には(S36でNo)、全色の撮像が終了するまで、S30〜S35の処理を繰り返し、全色の撮像が終了した場合に(S36でYes)、検査を終了する。
【0129】
一方、S33において算出した差分値が所定値以下となる注目画素がある場合(S34でYes)、情報処理装置4は、その注目画素が有する有機発光素子D1の有機発光層が劣化していると判定する。つまり、その注目画素(暗点画素)は、リーク起因ではない暗点画素であると判定される。このようにして、情報処理装置4は、周辺画素より発光輝度が暗い画素(暗点画素)があった場合に、その原因がその注目画素の有する有機発光素子D1中の有機発光層の劣化であるのか、又は、その注目画素の有する有機発光素子D1に異物が混入してリークパスが形成されたためかを確実に判定できる。
【0130】
しかし、S34のYesの場合、さらに、S35に進み、従来技術として知られている電流測定などを用いて、本当にリーク起因ではないつまり注目画素に含まれる有機発光素子D1中の有機発光層の劣化であるのかを判定する。
【0131】
具体的には、差分値が所定値以下となる注目画素に対して、さらに、電流測定(従来技術)を行い、予め定められた値以上の電流値を示すかを確認し(S35)、S36の判定に進む。ここで、その注目画素が予め定められた値以上の電流値を示す場合には、その注目画素の位置情報をメモリに格納する。
【0132】
より詳細には、S35において、情報処理装置4は、ある注目画素について第1輝度比と第2輝度比との差が所定値以下の場合、その注目画素に、注目画素が有する駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における線形領域の電圧を印加することにより、その注目画素の電流値を検出する。そして、情報処理装置4は、検出された電流値が予め定められた値(所定値)以上である場合には、その注目画素はショートしている(リーク起因の暗点画素である)と判定し、その注目画素の位置情報をメモリに格納する。反対に、検出された電流値が予め定められた値(所定値)より小さい場合は、その注目画素に含まれる有機発光素子は劣化していると判定する。
【0133】
このようにして、S35では、S33において算出した差分値が所定値以下となる注目画素(暗点画素)が本当にリーク起因ではないつまり注目画素に含まれる有機発光素子D1中の有機発光層の劣化であるのかを再度判定する。
【0134】
以上のようにして、図1に示す検査システムで有機EL表示パネル5の検査を行う。
【0135】
以下、本発明における検査方法を想到した着眼点について説明する。
【0136】
まず、S31において、周辺画素の発光輝度(第1発光輝度)と異なる発光輝度(第2発光輝度)である画素を注目画素として特定する。なぜなら、上述したように同一電流に基づいて発光された発光画像から算出されたある画素部10の発光輝度がその画素部10の周辺画素の発光輝度と異なれば、その画素部10(暗点画素)は、異常であると判定できるからである。
【0137】
しかし、この異常の原因としては次の2つの原因が考えられる。1つ目の原因は注目画素が有する有機発光素子D1中の有機発光層の劣化である。2つ目の原因は、注目画素が有する有機発光素子の有機発光層は劣化していないが、製造過程で有機発光素子D1に混入した異物の存在により、発光輝度が低下することである。
【0138】
そして、この2つ目の原因は、有機発光素子D1において陰極電極及び陽極電極の間に異物が混入すると、陰極電極及び陽極電極の間で有機発光層を流れる電流とは別に、陰極電極及び陽極電極の間で異物を介して電流が流れることである。それにより、有機発光素子D1の発光輝度が低下する。上述したように、陰極電極及び陽極電極の間で異物を介して電流が流れる経路をリークパスと称する。
【0139】
上記2つの原因のいずれの原因により、異常が生じたのかを判別するために、本発明者は、S33において、S31で検出した注目画素(暗点画素)がリーク起因か(異物が混入してリークパスが形成されたためか)を判定する方法を想到した。なぜなら、異常の原因が1つ目の原因である場合、S33において、S31とは異なる電流を注目画素に流せば、発光輝度の変化量も電流の変化量に比例して変動すると考えられる。そして、1回目(S31)の電流値による輝度比と2回目(S33)の電流値による輝度比とは同じになるからである。一方、異常の原因が2つ目の原因である場合には、S31とは異なる電流を注目画素に流せば、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化すると考えられる。そして、1回目(S31)の電流値による第1輝度比と2回目(S33)の電流値による第2輝度比とは異なるからである。
【0140】
次に、注目画素が、リーク起因の暗点画素である場合に、異なる電流を注目画素に流せば、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化することを検証した結果について説明する。
【0141】
図7A〜図10は、リークパスを介して流れる電流の割合が電流の変化に応じて変化することを説明するための図である。
【0142】
図7Aは、リークパスの発生メカニズムを示しており、有機発光素子D1の構造を示す一例であり、例えば、陽極電極(AM:Anode Metal)上に、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)と、発光層(EML:Emission Layer)と、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)と、陰極電極(CAT:Cathode)と、封止層とがこの順に構成されている。また、正孔注入層(HIL)と、発光層(EML)とは、隔壁(BNK:Bank)で囲まれている。
【0143】
また、図7Aの模式図では、有機発光素子D1の陽極電極(AM)の層内又は下方に存在する異物または空洞などにより、陽極電極(AM)が凸形状に変形し、陽極電極(AM)と陰極電極(CAT)との間に、発光パスとは別にリークパスが存在していることを示している。
【0144】
このような有機発光素子D1を含む暗点画素は、図7Bに示す等価回路で示すことができる。ここで、図7Bは、暗点画素の等価回路を示す図である。
【0145】
図7Bに示す等価回路と図3に示す回路図とを比較すればわかるように、暗点画素では、有機発光素子D1と並行にリークパスとなる経路30が形成されていることになる。
【0146】
ここで、有機発光素子D1の発光パスに流れる電流をI_ELとし、この有機発光素子D1を駆動する駆動トランジスタT1に流れる電流をI_localとする。また、リークパスとなる経路30を流れる電流をI_leak passとする。また、有機発光素子D1に印加される電圧をVELとする。
【0147】
図8Aは、有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合の暗点画素のIV特性を示している。図8Bは、有機発光素子に混入した異物が低抵抗の異物である場合の暗点画素のIV特性を示している。また、図8A及び図8Bには、点A及び点Bに対応する電圧VELが有機発光素子D1に印加されたときの、当該有機発光素子D1を含む暗点画素の輝度とその周辺画素の輝度との比を示している。なお、この輝度比の値は、陰極と陽極との間に異物が介在しない有機発光素子D1である周辺画素の輝度を1としたときの比に相当する。
【0148】
ここで、図8Aを参照し、第1電流が低階調に対応する電流であることが好ましい理由について述べる。有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合の暗点画素を含む画素部10に低階調に対応する電圧(例えば図8Aの点A)を印加したとする。
【0149】
この場合、リークパスがある画素(暗点画素)では、有機発光素子D1の発光パスに流れる電流I_ELとリークパスとなる経路30を流れる電流I_leak passとの電流量の比は、4a:6aとなる。ここで、リークパスがない周辺画素の有機発光素子D1の発光パスに流れる電流I_ELを10aとしている。
【0150】
輝度は電流量に応じるため、周辺画素に対する暗点画素(リークパスである経路30が形成される画素)の輝度比は0.4となる。このように、第1電流が低階調に対応する電流とする場合には、周辺画素と暗点画素(リークパスである経路30が形成される画素)と輝度の差が顕著に表れる。
【0151】
一方、仮に、第1電流が高階調に対応する電流とする場合について説明する。すなわち、有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合の暗点画素を含む画素部10に高階調に対応する電圧(例えば図8Aの点B)を印加したとする。
【0152】
この場合、リークパスがある画素(暗点画素)では、有機発光素子D1の発光パスに流れる電流I_ELとリークパスとなる経路30を流れる電流I_leak passとの電流量の比は、9b:1bとなる。これは、リークパスとなる経路30が高抵抗のためである。ここで、リークパスがない周辺画素の有機発光素子D1の発光パスに流れる電流I_ELを10bとしている。
【0153】
輝度は電流量に応じるため、周辺画素に対する暗点画素(リークパスである経路30が形成される画素)の輝度比は0.9となる。このように、第1電流が高階調に対応する電流とする場合には、周辺画素と暗点画素(リークパスである経路30が形成される画素)と輝度の差は僅差でしか表れない。その結果、周辺画素と暗点画素(リークパスである経路30が形成される画素)と輝度の差の識別が困難、あるいは識別できなくなる。
【0154】
したがって、上述の理由により、第1電流を低階調に対応する電流にし、第1電流を流すことで、注目画素の識別を容易に行うことができるので、注目画素(暗点画素)を検出できる。
【0155】
次に、図8Bに示すように、リークパスを形成する異物の抵抗が低い場合、有機発光層を流れる電流I_ELのよりも、異物を流れる電流I_leak passの方が多くなる。この場合すなわち陰極と陽極との間に異物が介在する場合には、陰極と陽極との間に異物が介在しない有機発光素子D1と比較すると発光輝度の差は大きい。
【0156】
一方、図8Aに示すように、リークパスを形成する異物の抵抗が高い場合、異物を流れる電流I_ELより有機発光層を流れる電流I_leak passの方が多くなる。この場合、すなわち陰極と陽極との間に異物が介在する場合であっても、陰極と陽極との間に異物が介在しない有機発光素子D1と比較しても、発光輝度の差はあまり大きくならない傾向がある。
【0157】
しかし、図8Aに示すように、例えば点Aと点Bとのように大きく異なる電圧(電流)を有機発光素子D1に印加して得られる周辺画素との輝度比には差が現れる。ここで、リークパスを形成する異物の抵抗が高い場合の測定結果の一例を図9に示す。なお、図9では、周辺画素の輝度の平均を周辺画素の輝度としている。
【0158】
図8A及び図9に示すように、有機発光素子D1に印加する電圧の差を大きくすれば、リークパスを形成する異物の抵抗が高く、リークパスを流れる電流より有機発光層を流れる電流の方が多い場合、得られる周辺画素との輝度比に大きな差が現れる。一方、図8Bに示すように、リークパスを形成する異物の抵抗が低い場合でも、得られる周辺画素との輝度比には小さいながらも差が現れる。すなわち、上記理由により、第1電流が低階調に対応する電流であった場合、第2電流は高階調に対応する電流であることが好ましい。
【0159】
また、設定する第1電流について説明する。第1電流は、低階調であることが好適であることは上述の通りである。さらに、撮像装置3の光の検出精度を考慮すると、輝度が大きい方が撮像装置3の光の検出精度は高くなる。
【0160】
それを鑑みると、第1電流は低階調でありつつ、低階調のうちで最大輝度に対応する電流に設定されることが好適である。なお、この第1電流を設定する具体的方法は、同じ製造ラインの他のパネルの検査により、得られる複数の有機発光素子の電圧−輝度特性の平均に基づいて決めるとしてもよい。
【0161】
それに対して、暗点画素となった原因が有機発光素子D1の発光パスの劣化の場合には、得られる周辺画素との輝度比には差はない。なお、以上をまとめた表を図10に示している。
【0162】
これにより、リークパスを形成する異物の抵抗が高い場合においても、有機発光素子D1に異物が混入してリークパスが形成されたためか否かを確実に識別することができるのがわかる。
【0163】
次に、S21及びS25(S312及びS332)において、有機発光素子D1を発光させる際に用いる電圧は、駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる理由について説明する。
【0164】
図11は、駆動トランジスタが飽和状態である場合のIV特性を模式的に示す図である。図12は、駆動トランジスタが線形状態である場合のIV特性を模式的に示す図である。図11及び図12において、線Xは、リークパスがある場合の有機発光素子D1(暗点画素の有機EL素子)のIV特性を示しており、線Yは、リークパスがない場合の有機発光素子D1(周辺画素の有機EL素子)のIV特性を示している。また、線Z1は駆動トランジスタT1が飽和状態である場合のIV特性を示しており、線Z2は駆動トランジスタT1が線形状態である場合のIV特性を示している。
【0165】
有機発光素子D1(暗点画素の有機EL素子)に異物が混入してリークパスが形成されている場合(線X)、その有機発光素子D1は、周辺画素の正常な有機発光素子D1(線Y)と特性が異なる有機発光素子D1と考えることができる。そのため、駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における線形領域の電圧(線Z2)を全画素の有機発光素子D1に印加した場合、異物が混入した有機発光素子D1と異物が混入していない有機発光素子D1に同一電流(第1電流)に基づく発光をさせることは困難である。
【0166】
そこで、本実施の形態では、S21(S312)において、駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における飽和領域の電圧(線Z1)を用いて第1電流に基づき全画素を発光させる。そして、S25(S332)において、駆動トランジスタT1の電圧−電流特性における飽和領域の電圧を用い第2電流に基づいて注目画素及び周辺画素を発光させる。
【0167】
すなわち、有機発光素子D1に異物が混入してリークパスが形成されている場合、異物が混入した有機発光素子D1は、その周辺画素の正常な有機発光素子D1と特性が異なる有機発光素子D1と考えることができる。しかし、図11に示すように、駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧(線Z2)を異なる特性の有機発光素子D1が混在する全画素に印加することで、全画素に同一電流を流させることができる。
【0168】
これにより、異物が混入する有機発光素子D1を有する暗点画素を含めた全画素を、同一電流に基づいて発光させることができる。
【0169】
以上のように、上述した本実施の形態の検査方法によれば、有機発光素子に混入した異物が高抵抗のものであっても、リーク性の暗点となった有機発光素子を効果的に検出できる。
【0170】
それにより、リーク性の暗点画素すなわちショートしている(異物が混入してリークパスが形成された)と判定された暗点画素の有機発光素子をリペアすることができる。
【0171】
図13は、ショートしていると判定された暗点画素の有機発光素子のリペア工程を説明するためのフローチャートである。図13には、上記で説明した検査方法後の、リペア方法の一例が示されている。
【0172】
具体的には、S33でリーク起因と判定された暗点画素の異物の位置を検出する(S41)。例えば、顕微鏡などを用いて、リーク起因と判定された暗点画素の位置情報をメモリから読み出して、その暗点画素の異物の位置を検出する。
【0173】
次に、検出した異物を、既存の方法を用いてリペアする(S42)。
【0174】
具体的には、検出した異物を含む有機発光素子D1に対して、例えばレーザー照射を行うなどで、有機発光素子D1に含まれる陰極電極及び陽極電極の少なくともいずれか一方を絶縁化させて、陰極電極と陽極電極との間に電流が流れない状態にする。
【0175】
以上のようにして、高抵抗の異物が混入して、リーク性の暗点となった有機発光素子D1に対して、リペア処理を施すことができる。
【0176】
それにより、高抵抗の異物が有機EL表示パネル5の画素部10に残存することを防止し、残存した高抵抗の異物が熱源となるのを防ぐことができる。
【0177】
したがって、高抵抗の異物を含む有機発光素子D1の周辺の正常な有機発光素子D1にも影響を与え、正常な有機発光素子D1の寿命を劣化させる可能性も低減できる。その結果、より品質改善が施された有機EL表示パネル5を提供できるという効果を奏する。
【0178】
以上、本発明に係る有機EL表示パネルの検査方法及び検査システムによれば、有機発光素子に混入した異物が高抵抗の異物である場合でも、異物によりリーク性の暗点となる有機発光素子を検出できる有機EL表示パネルの検査方法及び検査システムを実現できる。それにより、異物によるリークパスが形成されている有機発光素子を含む欠陥画素つまりショート起因の欠陥画素を見逃さず検査でき、品質および信頼性の高い表示装置を製造できる。
【0179】
具体的には、まず、有機EL表示パネル5に含まれる全サブ画素に対して同一電流(第1電流)に基づいて発光をさせ、各サブ画素の発光輝度とその周辺画素の発光輝度(第1発光輝度)とに基づき、周辺画素の発光輝度(第1発光輝度)と異なる発光輝度(第2発光輝度)である画素を注目画素として特定する。なぜなら、上述したように同一電流に基づいて発光された発光画像から算出されたある画素部10の発光輝度がその画素部10の周辺画素の発光輝度と異なれば、その画素部10は、リーク性の暗点となる可能性のある有機発光素子D1を含む画素部10(暗点画素)であると判定できるからである。
【0180】
次に、注目画素及びその周辺画素に対して第1電流とは異なる電流(第2電流)に基づく発光をさせ、周辺画素の発光輝度(第3発光輝度)と注目画素の発光輝度(第4発光輝度)を算出する。その上で、第1輝度比(第1発光輝度及び第2発光輝度の比)と第2輝度比(第3発光輝度及び第4発光輝度の比)との差が所定範囲(所定値)を超える場合、注目画素に含まれる有機発光素子D1はショートしており、注目画素はリーク性起因の暗点画素と判定することができる。
【0181】
これにより、有機発光素子D1に混入した異物が高抵抗のものであっても、リーク性の暗点となった有機発光素子D1を効果的に検出できる。従って、高抵抗の異物が有機EL表示パネルに残存することを防止し、高抵抗の異物が残存することにより高抵抗の異物が熱源となるのを防ぐことができる。その結果、高抵抗の異物を含む有機発光素子D1の周辺の正常な有機発光素子D1にも影響を与えて、正常な有機発光素子D1の寿命を劣化させる可能性を低減できる。
【0182】
さらに、図14に示す有機EL表示装置に、本発明の有機EL表示パネル5を用いた場合には、暗点画素の少なく、長寿命な高画質な有機EL表示装置を実現することができる。
【0183】
以上、本発明の有機EL表示パネルの検査方法及び検査システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明は、特にテレビ等の有機EL表示装置に内蔵される有機EL表示パネル検査方法及び検査システムに有用であり、暗点画素の少なく、長寿命な高画質な有機EL表示装置の製造方法等として用いるのに最適である。
【符号の説明】
【0185】
1 表示装置
2 制御回路
3 撮像装置
4 情報処理装置
5 表示パネル
6 走査線駆動回路
7 データ線駆動回路
10 画素部
20 データ線
21 走査線
23 マージ線
24 高電圧側電源線
25 低電圧側電源線
26 基準電圧電源線
27 リセット線
30 経路
Cs 保持コンデンサ
D1 有機発光素子
T1 駆動トランジスタ
T2 スイッチングトランジスタ
T3 参照トランジスタ
T4 分離トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極電極及び陽極電極の間に有機発光層を介在させた有機発光素子と、当該有機発光素子を駆動させるための駆動トランジスタとをそれぞれ含み行列状に配列された画素を有する有機EL表示パネルと、前記有機EL表示パネルが発光した際の画像である発光画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置にて撮像された発光画像に基づいて前記有機EL表示パネルに含まれる各画素の発光輝度を求める情報処理装置と、を含むシステムを用いて前記有機EL表示パネルを検査する有機EL表示パネルの検査方法であって、
前記有機EL表示パネルが有する全画素を、第1電流に基づいて発光させる第1ステップと、
前記撮像装置に、前記第1電流に基づいて発光された前記有機EL表示パネルの第1発光画像を撮像させる第2ステップと、
前記情報処理装置は、前記第1発光画像に基づき前記有機EL表示パネルの各画素の発光輝度を算出する第3ステップと、
前記情報処理装置は、所定の画素における周辺画素の第1発光輝度と当該所定の画素の第2発光輝度との第1輝度比を算出し、当該第1輝度比が輝度比基準値より低い場合に、当該所定画素を注目画素として特定する第4ステップと、
少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を、前記第1電流とは異なる第2電流に基づいて発光させる第5ステップと、
前記撮像装置に、前記第2電流に基づいて発光された、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を含む前記有機EL表示パネルの第2発光画像を撮像させる第6ステップと、
前記情報処理装置は、前記第2発光画像に基づく前記周辺画素の第3発光輝度及び前記注目画素の第4発光輝度を算出する第7ステップと、
前記情報処理装置に、前記第3発光輝度と前記第4発光輝度との第2輝度比を算出させる第8ステップと、
前記情報処理装置は、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が所定値を超えているかを確認させ、前記差が所定値を超えている場合には、前記注目画素に含まれる有機発光素子には異物によるリークパスが形成されていると判定する第9ステップと、を含む、
有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項2】
前記第2電流は、前記第1電流よりも大きい、
請求項1に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項3】
前記第1電流は、
前記有機発光素子の電圧−輝度特性の低階調に属する電圧に対応する電流であり、
前記低階調は、各画素で表示可能な最大階調の10%より大きく25%以下の階調である、
請求項1または2に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項4】
前記第2電流は、
前記有機発光素子の電圧−輝度特性の高階調に属する電圧に対応する電流であり、
前記高階調は、各画素で表示可能な最大階調の40%以上100%以下の階調である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項5】
前記第9ステップにおいて、
前記情報処理装置に、前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、前記注目画素に含まれる有機発光素子の有機発光層は劣化していると判定させる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項6】
前記所定値とは、0又は0に近似した値である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項7】
前記第1ステップにおいて、
前記第1電流に基づいて前記全画素を発光させる際に用いる電圧は、前記全画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられ、
前記第5ステップにおいて、
前記第2電流に基づいて前記注目画素及び前記周辺画素を発光させる際に用いる電圧は、前記注目画素及び前記周辺画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項8】
前記周辺画素は、前記注目画素の周辺の複数の画素であり、
前記第1発光輝度及び前記第3発光輝度は、前記周辺画素の平均発光輝度である、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項9】
前記第4ステップにおいて、特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないかどうかを判定する判定ステップを含み、
当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないと判定した場合に、前記第5ステップを行う、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項10】
当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値以上であると判定した場合には、前記有機EL表示パネルを不良パネルと判定する、
請求項9に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項11】
前記第9ステップにおいて、
前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、さらに、前記情報処理装置に、前記注目画素における前記駆動トランジスタの電圧−電流特性の線形領域の電圧を、前記注目画素に印加させて、前記注目画素の電流値を検出させる検出ステップを含み、
前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が予め定められた値以上の場合、前記情報処理装置に、前記注目画素はショートしていると判定させ、
前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が前記予め定められた値より小さい場合、前記情報処理装置に、前記注目画素に含まれる有機発光素子は劣化していると判定させる、
請求項1に記載の有機EL表示パネルの検査方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査方法により、ショートしていると判定された有機発光素子に対して、前記有機発光素子に含まれる陰極電極及び陽極電極の少なくともいずれか一方を絶縁化させて、前記陰極電極と前記陽極電極との間に電流が流れない状態にするリペア工程を含む、
有機EL表示パネルの製造方法。
【請求項13】
有機EL表示パネルの検査システムであって、
陰極電極及び陽極電極の間に有機発光層を介在させた有機発光素子と、当該有機発光素子を駆動させるための駆動トランジスタとをそれぞれ含み行列状に配列された画素を有する有機EL表示パネルと、
前記有機EL表示パネルが発光した際の画像である発光画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置にて撮像された発光画像に基づいて前記有機EL表示パネルに含まれる各画素の発光輝度を求める情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記有機EL表示パネルが有する全画素を、第1電流に基づいて発光させる第1ステップと、
前記撮像装置に、前記第1電流に基づいて発光された前記有機EL表示パネルの第1発光画像を撮像させる第2ステップと、
前記第1発光画像に基づき前記有機EL表示パネルの各画素の発光輝度を算出する第3ステップと、
前記情報処理装置は、所定の画素における周辺画素の第1発光輝度と当該所定の画素の第2発光輝度との第1輝度比を算出し、当該第1輝度比が輝度比基準値より低い場合に、当該所定画素を注目画素として特定する第4ステップと、
少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を、前記第1電流とは異なる第2電流に基づいて発光させる第5ステップと、
前記撮像装置に、前記第2電流に基づいて発光された、少なくとも前記注目画素及び前記周辺画素を含む前記有機EL表示パネルの第2発光画像を撮像させる第6ステップと、
前記第2発光画像に基づく前記周辺画素の第3発光輝度及び前記注目画素の第4発光輝度を算出する第7ステップと、
前記第3発光輝度と前記第4発光輝度との第2輝度比を算出する第8ステップと、
前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が所定値を超えているかを確認させ、前記差が所定値を超えている場合には、前記注目画素に含まれる有機発光素子には異物によるリークパスが形成されていると判定する第9ステップと、を実行する、
有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項14】
前記情報処理装置は、前記第9ステップにおいて、
前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、前記注目画素に含まれる有機発光素子の有機発光層は劣化していると判定する、
請求項13に記載の有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項15】
前記所定値とは、0又は0に近似した値である、
請求項13または14に記載の有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項16】
前記第1ステップにおいて、
前記第1電流に基づいて前記全画素を発光させる際に用いる電圧は、前記全画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられ、
前記第5ステップにおいて、
前記第2電流に基づいて前記注目画素及び前記周辺画素を発光させる際に用いる電圧は、前記注目画素及び前記周辺画素の各々に含まれる駆動トランジスタの電圧−電流特性における飽和領域の電圧が用いられる、
請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項17】
前記周辺画素は、前記注目画素の周辺の複数の画素であり、
前記第1発光輝度及び前記第3発光輝度は、前記周辺画素の平均発光輝度である、
請求項13〜16のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項18】
前記情報処理装置は、前記第4ステップにおいて、特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないかどうかを判定する判定ステップを実行し、
当該判定ステップにおいて、前記特定された注目画素の数が所定の基準値より少ないと判定した場合に、前記第5ステップを実行する、
請求項13〜17のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項19】
前記情報処理装置は、当該判定ステップにおいて、
前記特定された注目画素の数が所定の基準値以上であると判定した場合には、前記有機EL表示パネルをNGのパネルと判定する、
請求項18に記載の有機EL表示パネルの検査システム。
【請求項20】
前記情報処理装置は、前記第9ステップにおいて、
前記第1輝度比と前記第2輝度比との差が前記所定値以下の場合、さらに、前記注目画素における前記駆動トランジスタの電圧−電流特性の線形領域の電圧を、前記注目画素に印加させて、前記注目画素の電流値を検出する検出ステップを実行し、
前記情報処理装置は、
前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が予め定められた値以上の場合、前記注目画素はショートしていると判定し、
前記検出ステップにおいて、前記検出された電流値が前記予め定められた値より小さい場合、前記注目画素に含まれる有機発光素子は劣化していると判定する、
請求項13に記載の有機EL表示パネルの検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−62086(P2013−62086A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198731(P2011−198731)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】