説明

有機EL表示装置およびその駆動方法

【課題】有機EL表示装置が作動している周囲で、所定周波数の電波を用いて通信を行う電子機器が使用される場合、有機EL表示装置から発せられるノイズが電子機器に対して誤動作を起こさせないようにする。
【解決手段】複数の有機EL素子E1,1〜E4,4のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、走査期間中に複数の有機EL素子E1,1〜E4,4に形成される寄生容量C1,1〜C4,4に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機EL表示装置10において、駆動部11は、リセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子キーシステム等の電子機器が送受信する電波の所定周波数と同一になるリセット期間を用いて、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子を発光させるための有機EL表示装置およびその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL素子のリセット駆動を行う有機EL駆動回路が例えば特許文献1で提案されている。この有機EL駆動回路は、複数の走査電極それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に複数の有機EL素子を備え、さらに、各走査電極とGNDとの間に電流制限抵抗を備えている。
【0003】
これによると、リセット開始状態となるときにすべての走査電極を通じて流れるサージ電流が電流制限抵抗によって制限される。また、リセット解除状態のときに走査電極選択スイッチのうちオフのままとされるものの走査電極を通じて流れるサージ電流が電流制限抵抗によって制限される。よって、サージ電流に起因する高周波ノイズが発生することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−93729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、有機EL駆動回路に流れるサージ電流は電流制限抵抗により制限されるが、サージ電流が全く流れなくなったのではない。このため、従来の有機EL駆動回路により複数の有機EL素子を発光させる有機EL表示装置が作動すると、有機EL表示装置はノイズを発生するノイズ発生源となってしまう。
【0006】
そして、ノイズを発生する有機EL表示装置が作動している周囲で、所定周波数の電波を用いて通信を行う電子機器が使用される場合がある。この場合、電子機器が送受信する所定周波数の電波が、有機EL表示装置から発せられた所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズの影響を受けてしまう。これにより、電子機器が誤動作を起こしてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、有機EL表示装置が作動している周囲で、所定周波数の電波を用いて通信を行う電子機器が使用される場合、有機EL表示装置から発せられるノイズが電子機器に対して誤動作を起こさせないように、所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発明者らが、送信または受信の少なくとも一方を行う電子機器の所定周波数と、有機EL素子をリセット駆動する際のリセット期間の長さやDuty駆動する際のパルス幅と、の関係から所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズを低減することができることを見出したものである。
【0009】
以下の請求項1〜14に記載の発明は、有機EL表示装置の駆動方法について記載したものである。また、請求項15〜28に記載の発明は請求項1〜14に記載の発明を装置として記載したものである。
【0010】
請求項1に記載の発明では、単純マトリクス方式の有機EL表示装置の駆動方法であって、駆動部(11)は、リセット期間の逆数が駆動部(11)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になるリセット期間を用いて、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする。
【0011】
このように、リセット期間の逆数と電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行うときの電波の所定周波数とが同一になるリセット期間を用いて有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させているので、駆動部(11)から発せられるノイズ成分のうち、電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行うときの電波の所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズレベルを他の周波数に含まれるノイズレベルよりも相対的に低減することができる。したがって、有機EL表示装置から発せられるノイズが電子機器(21、22)に対して誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、電子機器(21、22)が駆動部(11)の周囲に複数位置し、複数の電子機器(21、22)それぞれが所定周波数の電波をそれぞれ送信または受信の少なくとも一方を行うようになっており、駆動部(11)は、リセット期間の逆数が複数の電子機器(21、22)のうちの最も低い所定周波数で使用されている電子機器(21、22)の所定周波数と同一になるリセット期間を用いて、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする。
【0013】
これによると、駆動部(11)から発せられるノイズ成分のうち高周波成分のノイズレベルは元々小さいので、リセット期間の逆数と複数の所定周波数のうち最も低い所定周波数とが同一になるリセット期間を用いることにより、最も低い所定周波数と同じ周波数のノイズレベルを低減することができる。これにより、ノイズの影響を最も受けやすい低周波の所定周波数と同じ周波数のノイズレベルを低減することができるので、最も低い所定周波数を扱う電子機器(21、22)に対して誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、駆動部(11)は、リセット期間を整数倍し、当該整数倍したリセット期間を用いて、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする。
【0015】
これによると、整数倍したリセット期間の逆数に相当する周波数それぞれのノイズレベルが他の周波数のノイズレベルよりも相対的に低減させることができ、ひいては電子機器(21、22)の誤作動を防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、パルス幅をもったDuty駆動電圧を印加することにより、パルス幅の期間だけ発光させる有機EL表示装置の駆動方法であって、駆動部(15)は、複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、パルス幅の逆数が駆動部(15)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする。
【0017】
このように、パルス幅の逆数と送信または受信の少なくとも一方を行う電子機器(21、22)の電波の所定周波数とが同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を用いているので、駆動部(15)から発せられるノイズ成分のうち、電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行うときの電波の所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズレベルを他の周波数に含まれるノイズレベルよりも相対的に低減することができる。したがって、有機EL表示装置から発せられるノイズが電子機器(21、22)に対して誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、電子機器(21、22)が駆動部(15)の周囲に複数位置し、複数の電子機器(21、22)それぞれが所定周波数の電波をそれぞれが送信または受信の少なくとも一方を行うようになっており、駆動部(15)は、複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、パルス幅の逆数が複数の電子機器(21、22)の各所定周波数のうち最も低い所定周波数と同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする。
【0019】
これによると、駆動部(15)から発せられるノイズ成分のうち高周波成分のノイズレベルはもともと小さいので、パルス幅の逆数と複数の所定周波数のうち最も低い所定周波数とが同一になるパルス幅を用いることにより、最も低い所定周波数と同じ周波数のノイズレベルを低減することができる。これにより、駆動部(15)から発せられるノイズ成分のうちノイズレベルが元々高い低周波成分のノイズレベルを小さくすることができ、複数の電子機器(21、22)に対して誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、駆動部(15)は、パルス幅を整数倍し、当該整数倍したパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする。これによると、整数倍したパルス幅の逆数に相当する周波数それぞれでノイズレベルを低減することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明では、有機EL表示装置は、車両(20)に搭載されるものであることを特徴とする。これにより、電波が用いられる車両(20)において、電子機器(21、22)の誤作動を防止することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明では、単純マトリクス方式の有機EL表示装置の駆動方法であって、有機EL表示装置は、車両(20)に搭載されるものであり、車両(20)が走行していない場合に用いられるリセット期間を第1のリセット期間とし、車両(20)が走行している場合に用いられるリセット期間を第1のリセット期間とは異なる第2のリセット期間とすると、駆動部(11)は、車両(20)が走行していない場合、第1のリセット期間の逆数が駆動部(11)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になる第1のリセット期間を用いて、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる一方、車両(20)が走行している場合、第2のリセット期間を用いて複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする。
【0023】
これによると、車両(20)が走行していない場合、第1のリセット期間の逆数と電子機器(21、22)が送信または受信のうち少なくともいずれか一方を行うときの電波の所定周波数とが同一になる第1のリセット期間を用いて有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させているので、駆動部(11)から発せられるノイズ成分のうち、電子機器(21、22)が送信または受信のうち少なくともいずれか一方を行うときの電波の所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズレベルを他の周波数に含まれるノイズレベルよりも相対的に低減することができる。したがって、有機EL表示装置から発せられるノイズが電子機器(21、22)に対して誤動作を起こさせないようにすることができる。一方、車両(20)が走行している場合、第2のリセット期間を用いて複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることができる。以上のように、車両(20)が走行しているか否かに応じて、リセット期間の長さを変化させて素子を発光させることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明では、第2のリセット期間は、第1のリセット期間よりも短いことを特徴とする。
【0025】
これによると、1周期(1Hsync)においてリセット期間が長くなると有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる期間が短くなるので、有機EL素子(E1,1〜E4,4)に流す電流を大きくして輝度を確保しなければならない。しかし、電子機器(21、22)から電波が送受信されていない第2のリセット期間を用いる場合、第1のリセット期間よりも第2のリセット期間を短くすることにより、有機EL素子(E1,1〜E4,4)に流す電流を小さくできるので、有機EL素子(E1,1〜E4,4)の寿命を長くすることができる。
【0026】
請求項10に記載の発明では、駆動部(11)は、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して電流を流すことにより当該有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっており、第1のリセット期間を用いて複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる場合には複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に第1の電流を流し、第2のリセット期間を用いて複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる場合には複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に第1の電流とは異なる大きさの第2の電流を流すことを特徴とする。
【0027】
このように、リセット期間の長さに応じて有機EL素子(E1,1〜E4,4)に流す電流の大きさを変化させることができる。
【0028】
請求項11に記載の発明では、第2の電流は、第1の電流よりも小さいこと特徴とする。
【0029】
これによると、車両(20)が走行している場合、すなわち第2のリセット期間を用いる場合の第2の電流が、第1のリセット期間を用いる場合の第1の電流よりも小さいので、第2のリセット期間を用いる場合に有機EL素子(E1,1〜E4,4)に流す電流を小さくすることができる。したがって、車両(20)が走行している場合の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の寿命を長くすることができる。
【0030】
請求項12に記載の発明では、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とリセット期間との和をPW[Hsync]とし第1のリセット期間をPW[res1]とし、第2のリセット期間をPW[res2]とし、第1の電流をI1とし、第2の電流をI2とすると、駆動部(11)は、I2={(PW[Hsync]−PW[res1])/(PW[Hsync]−PW[res2])}×I1により取得した第2の電流を用いることを特徴とする。
【0031】
このように、走査期間とリセット期間との和である1周期の長さと各リセット期間とを用いて第2の電流の大きさを規定することができる。
【0032】
請求項13に記載の発明では、駆動部(11)は、車両(20)が走行しているか否かに関わらず、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して流す電流の大きさを調節することにより、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の表示輝度を一定とすることを特徴とする。
【0033】
これにより、車両(20)の走行状態によりリセット期間が異なったとしても、複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の表示輝度を一定にしているので、常に一定の輝度の画像を表示することができる。
【0034】
請求項14に記載の発明では、電子機器(21、22)は、車両(20)に搭載された電子キーシステムの電子キー(21)であることを特徴とする。
【0035】
これにより、電子機器(21、22)として車両のドアの開閉に用いられる電子キー(21)の誤作動を防止することができる。
【0036】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置が車両に搭載された様子を示した図である。
【図2】図1に示された有機EL表示装置の全体回路図である。
【図3】駆動部の各スイッチRS〜RS、CS〜CSをオン/オフするための駆動信号である。
【図4】リセット期間を変化させたときに有機EL表示装置から発せられるノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果を示した図である。
【図5】実際の駆動波形によるFFT結果の図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置の全体回路図である。
【図7】図6に示される有機EL表示装置を7セグメントに適用した場合の模式図である。
【図8】第4実施形態において、1Hsync=100μsのDuty駆動電圧信号のパルス幅を変化させたときのノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果を示した図である。
【図9】第4実施形態において、1Hsync=200μsのDuty駆動電圧信号のパルス幅を変化させたときのノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果を示した図である。
【図10】第4実施形態において、1Hsync=50μsのDuty駆動電圧信号のパルス幅を変化させたときのノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL表示装置10を車両20に搭載した様子を示した図である。この図に示されるように、車両20には、有機EL表示装置10や電子キーシステムが採用されている。
【0040】
電子キーシステムとは、例えば、ユーザが電子キーを所持していれば、メカニカルキーを使用することなく、ドアのロック・アンロックやエンジンのスタート等の操作ができるシステムである。このような電子キーシステムは、ユーザに所持される電子キー21と、車両20に搭載されると共に電子キー21の操作に従ってドアのロック・アンロック等の指令を行うECU22と、を備えて構成されている。
【0041】
そして、電子キーシステムでは、ECU22と電子キー21との間で信号のやりとりを行うべく、所定周波数として例えば134kHzの周波数の電波が用いられる。すなわち、有機EL表示装置10は、電子キーシステムの電波が用いられる環境に設置されている。
【0042】
図2は、本実施形態に係る有機EL表示装置10の全体回路図である。図2では、いわゆる単純マトリクス方式の有機EL素子を駆動するための有機EL駆動回路を含んだ有機EL表示装置10を示している。
【0043】
図2に示されるように、有機EL表示装置10には、駆動部11と、駆動部11から引き出された複数の走査線および複数のデータ線の交点それぞれに配置されたマトリクス状の複数の有機EL素子E1,1〜E4,4と、が備えられている。複数の有機EL素子E1,1〜E4,4は、実際には、画素数分マトリクス状に並べられるのであるが、ここでは簡便化して4×4のマトリクスとして示してある。
【0044】
駆動部11は、データ電極駆動回路12、走査電極駆動回路13、および制御回路14と、を備えて構成されている。
【0045】
データ電極駆動回路12は、データ電極Col〜Colに対して印加する電位を制御するためのものである。データ電極駆動回路12は、データ電極Col〜Colそれぞれに対して備えられた定電流源CC〜CCと、データ電極選択スイッチCS〜CSと、を備えている。
【0046】
定電流源CC〜CCは、所定電源12aから印加される所定の電圧Vcolに基づいて定電流を形成する。データ電極選択スイッチCS〜CSは、各データ電極Col〜Col側が可動接点とされ、GND(0V)に接続される固定接点と定電流源CC〜CCに接続される固定接点のいずれか一方に可動接点を接触させられるものとなっている。
【0047】
走査電極駆動回路13は、走査電極Row〜Rowに対して印加する電位を制御するためのものであり、走査電極選択スイッチRS〜RSを備えている。走査電極選択スイッチRS〜RSは、各走査電極Row〜Row側が可動接点とされ、GND(0V)に接続される固定接点と所定の電圧Vrowを印加する所定電源13aに接続される固定接点のいずれか一方に可動接点を接触させられるものとなっている。
【0048】
制御回路14は、データ電極駆動回路12におけるデータ電極選択スイッチCS〜CSおよび走査電極駆動回路13における走査電極選択スイッチRS〜RSのオンオフを駆動するものである。具体的には、制御回路14は、外部から入力される画像データを処理してデータ電極駆動回路12および走査電極駆動回路13に出力することにより、発光画素として選択した画素を発光させ、その他の画素を非発光とするべく、データ電極選択スイッチCS〜CSおよび走査電極選択スイッチRS〜RSのオンオフを制御する。
【0049】
このような制御回路14は、上記の駆動を実現するべく、例えばメモリや論理回路を備えて構成されている。
【0050】
メモリは記憶手段であり、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、走査期間中に複数の有機EL素子E1,1〜E4,4に形成される寄生容量C1,1〜C4,4に充電された電荷を放電するリセット期間が記憶されている。
【0051】
このリセット期間は、当該リセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子キーシステムの電子キー21やECU22が送受信する電波の所定周波数と同一になる値である。例えば、所定周波数が250kHzの場合、リセット期間の逆数は1/(250×10)であるので、リセット期間は4μsである。
【0052】
論理回路は、メモリに記憶されたリセット期間に従って、データ電極駆動回路12および走査電極駆動回路13を制御することにより複数の有機EL素子E1,1〜E4,4のうち選択されたものを発光させるように構成されている。
【0053】
このような構成によると、駆動部11は、複数の走査電極Row〜Rowおよび複数のデータ電極Col〜Colへの印加電圧を制御することで、複数本の走査線および複数本のデータ線を介して、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、当該駆動電圧が印加された有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる。
【0054】
次に、本実施形態に係る有機EL表示装置10における有機EL素子E1,1〜E4,4の駆動方法について説明する。
【0055】
有機EL素子E1,1〜E4,4の駆動は、まず、走査電極Rowを走査して、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうちのいずれかを光らせたのち、リセット期間をおいて、次の走査に移り、走査電極Rowを走査して、複数の有機EL素子E2,1〜E4,4を光らせる、という発光動作を繰り返していく。以下では、リセット前状態からリセット開始状態を経て有機EL素子E1,1、E1,2を光らせたのち、リセット期間をおいて、リセット前状態からリセット開始状態を経て有機EL素子E2,3とE2,4を光らせる場合について説明する。
【0056】
まず、リセット前状態においては、走査選択スイッチRSをオン(選択)し、アース電位(0V)に固定する。他の走査電極選択スイッチRS〜RSをオフ(非選択)し、逆バイアス電圧Vrowを印加する。
【0057】
また、データ選択スイッチCS、CSをオン(発光)し、定電流制御回路CC、CCから順バイアスを印加する。他のデータ選択スイッチCS、CSをオフ(非発光)し、アース電位(0V)に固定する。これにより、発光画素として選択された有機EL素子E1,1、E1,2に電流I1,1、I1,2が流れ、これらが発光する。
【0058】
この際、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち選択となっているもの(RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち発光となっているもの(CS、CS)の交点に存在する画素の寄生容量C1,1、C1,2、に対しては電位差Vcol1’(=Vcolから定電流源CC〜CCでの電圧ドロップ、およびデータ側、走査側のそれぞれの配線抵抗による電圧ドロップを差し引いたもの)で充電される。
【0059】
また、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち非選択となっているもの(RS〜RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち非発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C2,3、C2,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に対しては電位差Vrowで充電される。
【0060】
そして、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち非選択となっているもの(RS〜RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に対しては電位差(Vrow−Vcol1’)で充電される。
【0061】
このとき、(Vrow−Vcol1’)はたかだか数V程度であるため、寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2の画素の電荷は、寄生容量C2,3をはじめとする電位差Vcol’や電位差Vrowで充電されている画素の電荷に比べると非常に小さいものとなる。
【0062】
なお、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち選択となっているもの(RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち非発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C1,3、C1,4に対しては電位差がほぼ0Vであるため、電荷は充電されない。
【0063】
続いて、リセット開始状態においては、走査選択スイッチRSはオンのままアース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS〜RSはオフがすべてオンに切替わり、アース電位(0V)に固定となる。データ選択スイッチはCS、CSがオフ(非発光)し、アース電位(0V)に固定となる。他のデータ選択スイッチはオフ(非発光)のままアース電位(0V)に固定となる。
【0064】
この際、寄生容量C1,1、C1,2に蓄積していた順バイアスの電荷は、走査電極Rowからデータ電極Col、Colを通じる経路で、走査電極駆動回路13側からデータ電極駆動回路12側へ抜けていく。寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に蓄積していた逆バイアスの電荷は、データ電極Col、Colから走査電極Row〜Rowを通じる経路で、データ電極駆動回路12側から走査電極駆動回路13側から抜けていく。また、寄生容量C2,3、C2,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に蓄積していた逆バイアスの電荷は、データ電極Col、Colから走査電極Row〜Rowを通じる経路で、データ電極駆動回路12側から走査電極駆動回路13側から抜けていく。
【0065】
この後のリセット期間中には、すべての走査電極Row〜Rowおよびデータ電極Col〜Colがアース電位(0V)に固定されるため、どこにも電荷の移動は発生しない。
【0066】
次に、リセット解除状態においては、走査選択スイッチRSはオンのままアース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS、RS、RSはオンがすべてオフに切替わり、逆バイアス電圧Vrowが印加開始される。データ選択スイッチCS、CSはオフ(非発光)のまま、アース電位(0V)に固定となる。発光に切り替わるデータ選択スイッチCS、CSはオフ(非発光)からオンに切替わり、定電流制御回路CC、CCから順バイアスが印加開始される。これにより、発光画素として選択された有機EL素子E2,3、E2,4に電流I2,3、I2,4が流れ、これらが発光する。
【0067】
この際、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち選択となっているもの(RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C2,3、C2,4に対しては、データ電極Col、Colから走査電極Rowを通じる経路により、電位差Vcol2’で順バイアスの電荷を充電しに行く。
【0068】
走査電極選択スイッチRS〜RSのうち非選択となっているもの(RS、RS、RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C1,3、C1,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に対しては、走査電極Row、Row、Rowからデータ電極Col、Colを通じる経路により、逆バイアスの電荷を充電しに行く。このため、最終的に寄生容量C1,3、C1,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4は電位差(Vrow−Vcol2’)で充電される。
【0069】
また、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち非選択となっているもの(RS、RS、RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち非発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C1,1、C1,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に対しては、それぞれの走査電極Row、Row、Rowからデータ電極Col、Colを通じる経路にて、電位差Vrowで逆バイアスの電荷を充電しに行く。
【0070】
なお、走査電極選択スイッチRS〜RSのうち選択となっているもの(RS)とデータ選択スイッチCS〜CSのうち非発光となっているもの(CS、CS)との交点に存在する画素の寄生容量C2,1、C2,2に対しては電位差がほぼ0Vであるため、電荷は充電されない。以上のようにして、有機EL素子の駆動が行われる。
【0071】
次に、上記のように駆動部11により複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる場合、リセット期間を当該リセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子キーシステムの電子キー21やECU22が送受信する電波の所定周波数と同一としたことについて、図を参照して説明する。
【0072】
上述のように、有機EL表示装置10からは多少なりともノイズが発せられ、有機EL表示装置10の周囲に位置する電子機器の電波に影響を及ぼしている。本実施形態では、車両20に電子キーシステムが採用されているので、電子機器としてECU22や電子キー21の電波が有機EL表示装置10から発せられるノイズの影響を受けることとなる。
【0073】
そこで、発明者らは、走査期間中に複数の有機EL素子E1,1〜E4,4に形成される寄生容量C1,1〜C4,4に充電された電荷を放電するリセット期間に着目し、リセット期間と所定周波数との関係について調べた。これにより、リセット期間と所定周波数との間でノイズの影響が低減される条件があることがわかった。
【0074】
まず、発明者らは、リセット期間を変更したときのノイズの発生についてシミュレーションを行った。図3は、駆動部11の各スイッチRS〜RS、CS〜CSをオン/オフするための駆動信号であり、横軸は時間(TIME)、縦軸は信号の振幅(Amplitude)である。1Hsync=100μsとし、リセット期間(PW(res))は2μs〜10μsである。
【0075】
図4は、リセット期間(PW(res))を2μs、4μs、6μs、8μs、10μsとしたときに有機EL表示装置10から発せられるノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果である。図4の各図のうち、横軸はノイズの周波数(FREQUENCY)、縦軸はノイズレベル(Amplitude)である。
【0076】
図4に示されるように、リセット期間(PW(res))を2μs、4μs、6μs、8μs、10μsと変化させると、ノイズのノイズレベルが周波数に応じて変化することがわかる。特に、ノイズレベルが0.6の場合を基準とすると、リセット期間(PW(res))の長さに応じてノイズレベルが相対的に変化する。
【0077】
ノイズの周波数が250kHzのときに注目すると、リセット期間(PW(res))が2μs、6μs、10μsの場合ではノイズレベルはおよそ0.6であるが、リセット期間(PW(res))が4μsおよび8μsでは、ノイズレベルはほぼ0となる。言い換えると、有機EL表示装置10において、リセット期間(PW(res))を2μs、6μs、10μsとすると、250kHzのノイズを発すると言え、リセット期間(PW(res))を4μsまたは8μsとすると250kHzのノイズを発しないと言える。同じ所定周波数でありながら、リセット期間の長さに応じてノイズレベルが変化するのである。
【0078】
ここで、リセット期間(PW(res))が4μsの場合、この4μsの逆数は250kHzである。すなわち、有機EL表示装置10の周囲で用いられる電子機器の電波の所定周波数が250kHzの場合、当該電子機器は有機EL表示装置10から発せられる250kHzのノイズの影響を受けずに正常動作できるのである。ということは、有機EL表示装置10の周囲で用いられる電子機器の電波の所定周波数が予めわかっていれば、当該所定周波数の逆数をリセット期間(PW(res))として有機EL表示装置10に記憶しておくことにより、当該所定周波数の電波にノイズの影響を与えないようにすることが可能となる。
【0079】
このような結果に基づき、リセット期間(PW(res))を当該リセット期間(PW(res))の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子機器(電子キーシステムの電子キー21やECU22)が送受信する電波の所定周波数と同一とした。
【0080】
また、リセット期間(PW(res))が8μsの場合についても、250kHzのノイズレベルはほぼ0である。8μsの逆数は125kHzであり、125kHzのノイズレベルもほぼ0である。これは、リセット期間(PW(res))を4μsとしたときの整数倍のリセット期間(PW(res))についてもノイズレベルがほぼ0になることを意味している。言い換えると、リセット期間(PW(res))が8μsの場合は、125kHzの整数倍の周波数のノイズがほぼ0になる。
【0081】
実際、図4に示される周波数の範囲では、リセット期間(PW(res))が4μsの場合、250kHz、500kHzのノイズレベルがほぼ0になっている。また、リセット期間(PW(res))が8μsの場合、125kHz、250kHz、および375kHzのノイズレベルがほぼ0になっている。すなわち、所定周波数を一定としてリセット期間(PW(res))を整数倍した場合やリセット期間(PW(res))を一定として所定周波数を整数倍した場合には、扱う周波数のノイズレベルが他の周波数のノイズレベルよりも相対的に小さくなる。
【0082】
具体的には、所定周波数を250kHzとしたとき、リセット期間(PW(res))の4μsを整数倍した4μs、8μs、12μs、16μs、・・・、ではノイズレベルが相対的に下がる。また、リセット期間(PW(res))を8μsとしたとき、所定周波数を125kHz、250kHz、375kHz、500kHz、・・・、ではノイズレベルが相対的に下がる。
【0083】
なお、リセット期間(PW(res))の逆数と所定周波数とを同一としている、つまり、所定周波数をf(elc)とすると1/PW(res)=f(elc)という反比例の条件を満たすとしているので、所定周波数を整数倍するということは、リセット期間(PW(res))を整数倍することと同じことである。
【0084】
リセット期間(PW(res))の逆数に相当する所定周波数のノイズレベルが他の周波数のノイズレベルに対して相対的に低いのは、当該所定周波数がノイズ波形の節の周波数だからである。リセット期間(PW(res))を整数倍した場合や所定周波数を整数倍した場合も、所定周波数がノイズ波形の節の周波数となるので、ノイズレベルが他の周波数のノイズレベルよりも相対的に低下するのである。
【0085】
また、図4では、リセット期間(PW(res))を偶数倍の値としたときのシミュレーション結果を示しているが、発明者らは3μs、5μs、7μs、9μsの場合の周波数とノイズとの関係についても同様に調べた。その結果は図示しないが、所定周波数を250kHzとしたときのノイズレベルはいずれも0.6に近いものとなり、リセット期間(PW(res))が3μs、5μs、7μs、9μsの場合、すなわち上記条件に当てはまらない場合には電子機器の電波に影響を与えるであろうことが確認できた。
【0086】
さらに、発明者らは、実際の駆動波形による高速フーリエ変換(FFT)を行った。その結果を図5に示す。図5に示されるFFT結果は、駆動波形の駆動周波数を110Hz(≒1Hsync:162μs)または92Hz(≒1Hsync:194μs)とし、リセット期間を4μs、6μs、8μsのいずれかとしたときの駆動波形に対するFFT結果を示したものである。
【0087】
図5に示される各マスの上側に駆動波形を示し、下側にFFT結果をそれぞれ示してある。駆動波形の横軸は時間、縦軸は振幅の大きさを示し、FFT結果の横軸は周波数、縦軸はノイズの大きさを示している。また、駆動波形は例えばロウ56ライン時の駆動波形である。なお、ロウ56ラインとは、走査線のうち56番目のラインに相当する。
【0088】
上述のように車両20に電子キーシステムが採用された場合にECU22や電子キー21が送受信する電波の所定周波数は134kHzであるので、図5に示されるFFT結果を参照する際に134kHzのノイズに注目することとする。図5には134kHzを示す破線を引いてある。
【0089】
まず、所定周波数は134kHzであるので、所定周波数の逆数は7.46μsであり、およそ8μsである。図5に示されるように、リセット期間が4μsおよび6μsの場合、134kHzのノイズのノイズレベルは高い。このような高いノイズレベルは、駆動周波数を110Hzから92Hzに下げたとしても変わらない。
【0090】
一方、リセット期間が所定周波数の逆数に相当する8μsの場合、134kHzのノイズのノイズレベルはリセット期間が4μsや6μsの場合よりも相対的に低くなっている。これは、駆動周波数を110Hzから92Hzに下げたとしてもノイズレベルは低く維持されている。
【0091】
そして、リセット期間を所定周波数の逆数である7.46μsとすれば、134kHzのノイズはノイズ波形の節に位置することになり、ノイズはほぼ0になる。
【0092】
ここで、駆動部11の制御回路14の設定でリセット期間を7.46μsとすることができるならば良いが、小数点以下の数値の設定ができないものもある。そうすると、リセット期間が7.46μsでなければノイズの影響を受けるか、というと、必ずしもそうは言えない。図5に示されるように、リセット期間が7.46μsでなくても、7.46μsに近い8μsとすれば、リセット期間が4μsや6μsの場合よりもノイズレベルは明らかに下がっている。
【0093】
このため、「リセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子機器(電子キーシステムの電子キー21やECU22)が送受信する電波の所定周波数と同一になるリセット期間」というときの「同一」とは、小数点以下の数値までまったく同一であることを意味するだけでなく、駆動部11の回路設定の性質上、小数点以下の数値まで設定できないような場合も考慮して「リセット期間の逆数が所定周波数と同一になるようなリセット期間」という意味も含んでいる。つまり、「同一にする」とは、ノイズレベルが下がるようにリセット期間を「最適化する」ということである。
【0094】
したがって、電子キーシステムで用いられる電波の所定周波数が134kHzの場合にはリセット期間は正確には7.46μsとなるが、これを8μsとすることは「リセット期間を最適化する」ことであり、「リセット期間の逆数と所定周波数とを同一にする」ことと同じである。
【0095】
このように、所定周波数とリセット期間とが反比例の関係にあることから、所定周波数の電波がノイズの影響を受けないリセット期間を定めることが可能である。すなわち、本実施形態では、車両20に電子キーシステムを採用し、ECU22と電子キー21との間で所定周波数として134kHzの電波を用いるため、駆動部11の制御回路14にリセット期間を予め8μsと設定しておけば、ECU22と電子キー21との間でやりとりされる電波が有機EL表示装置10から発せられるノイズの影響を受けることはない。
【0096】
以上のように、本実施形態では、リセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子機器が送受信する電波の所定周波数と同一になるリセット期間を予め駆動部11の制御回路14に設定し、このリセット期間を用いて有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させることが特徴となっている。
【0097】
これにより、駆動部11から発せられるノイズ成分のうち、ECU22や電子キー21が送受信する電波の所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズレベルを他の周波数に含まれるノイズレベルよりも相対的に低減することができる。したがって、有機EL表示装置10から発せられるノイズが車両20に搭載された電子キーシステムに影響を及ぼさないようにすることができ、電子キーシステムの誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0098】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、ECU22や電子キー21が特許請求の範囲の電子機器に対応する。
【0099】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、車両20には電子キーシステムが採用された場合のみが示されているが、車両20には電子キーシステムの他に電波を用いる電子機器が複数備えられている。
【0100】
例えば、カーナビゲーションシステムに用いられるGPSやカーラジオ等が電波を用いる電子機器に相当する。すなわち、これらの電子機器が有機EL表示装置10の駆動部11の周囲に複数位置し、複数の電子機器それぞれから所定周波数の電波をそれぞれ送受信するようになっている。各電子機器が送受信する電波の所定周波数はそれぞれ異なる。例えば、GPSであれば所定周波数は1575.42MHzであり、AMラジオであれば所定周波数はおおよそ500〜1600kHzである。
【0101】
このように、電波を送受信する電子機器が駆動部11の周囲に複数位置する場合、駆動部11の制御回路14のメモリには、リセット期間の逆数が複数の電子機器のうちの最も低い所定周波数で使用されている電子機器の所定周波数と同一になるリセット期間が記憶されている。これにより、駆動部11は、リセット期間の逆数が複数の電子機器の各所定周波数のうち最も低い所定周波数と同一になるリセット期間を用いて、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させることになる。
【0102】
このように、リセット期間の逆数が最も低い所定周波数と同一になるリセット期間を用いるのは、ノイズ成分のうち低周波成分のノイズレベルは高くて高周波成分のノイズレベルは元々小さいので、最も低い所定周波数の電波が最も影響を受けやすいからである。したがって、リセット期間の逆数と複数の所定周波数のうち最も低い所定周波数とが同一になるリセット期間を用いることにより、最も低い所定周波数と同じ周波数のノイズレベルを他の周波数のノイズレベルに対して相対的に低減することができる。
【0103】
このようにして、リセット期間の逆数と最も低い所定周波数とを同一にすることにより、最もノイズの影響を受けやすい低周波の所定周波数と同じ周波数のノイズレベルを低減することができ、最も低い所定周波数を扱う電子機器に対して優先的に誤動作を起こさせないようにすることができる。高周波の所定周波数を扱う電子機器については、ノイズの高周波成分は元々小さいので、電波がノイズの影響を受けることはない。
【0104】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第1実施形態で述べたように、所定周波数を一定としてリセット期間を整数倍した場合やリセット期間を一定として所定周波数を整数倍した場合にも、ノイズレベルが相対的に低減する。これを利用して、駆動部11の制御回路14のメモリには、電子キー21で用いられる所定周波数の逆数と同一のリセット期間を整数倍し、当該整数倍したリセット期間を記憶させておく。したがって、駆動部11は、整数倍されたリセット期間を用いて、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させることになる。
【0105】
これによると、整数倍したリセット期間の逆数に相当する周波数それぞれのノイズレベルが他の周波数のノイズレベルよりも相対的に低減するので、電子キーシステムの誤作動を防止することができる。また、様々な長さのリセット期間を使用することができるようになり、素子の駆動の幅が広がる。
【0106】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記各実施形態では、有機EL表示装置10が有機EL素子E1,1〜E4,4をリセット駆動するものについて説明したが、本実施形態では素子をDuty駆動するものであることが特徴となっている。
【0107】
図6は、本実施形態に係る有機EL表示装置10の全体回路図である。図6に示されるように、有機EL表示装置10には、駆動部15と、駆動部15から引き出された複数のコモン線(COM)および複数のデータ線の交点それぞれに配置されたマトリクス状の複数の有機EL素子E1,1〜E1,4と、が備えられている。
【0108】
駆動部11は、データ電極駆動回路12、コモン電極駆動回路16、および制御回路14と、を備えて構成されている。このうち、データ電極駆動回路12は第1実施形態で示されたものと同じ構成である。
【0109】
コモン電極駆動回路16は、GNDに接続されたコモン電極16aを備えている。このコモン電極16aにコモン線(COM)が接続されている。したがって、コモン電極16aに接続されるコモン線と複数のデータ電極Col〜Colそれぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に複数の有機EL素子E1,1〜E1,4が配置されている。
【0110】
制御回路14は、データ電極駆動回路12におけるデータ電極選択スイッチCS1〜CS4のオンオフを駆動するものであり、第1実施形態と同様に、メモリと論理回路とを備えている。
【0111】
本実施形態に係る制御回路14のメモリには、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうちの選択されたものにDuty駆動電圧を印加する際に素子を発光させる期間に対応するパルス幅が記憶されている。
【0112】
このパルス幅は、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうちの選択されたものに対して、パルス幅の逆数が駆動部15の周囲に位置する電子キーシステムの電子キー21やECU22が送受信する電波の所定周波数と同一になる値である。例えば、所定周波数が250kHzの場合、パルス幅の逆数は1/(250×10)であるので、パルス幅は4μsである。
【0113】
論理回路は、メモリに記憶されたパルス幅に従って、データ電極駆動回路12を制御することにより複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうち選択されたものを発光させるように構成されている。
【0114】
このような構成によると、駆動部15は、複数のデータ電極Col〜ColへのDuty印加電圧を制御することで、コモン線(COM)および複数本のデータ線を介して、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうちの選択されたものに対してDuty駆動電圧を印加することにより、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4を発光させる。
【0115】
本実施形態に係る有機EL表示装置10は、上述のように表示期間をDuty駆動する場合の表示器例として一般的な7セグメントに採用される。図7は、有機EL表示装置10を7セグメントに適用した場合の模式図である。なお、コモン線(COM)に関しては、1/1(DC)を例に挙げる。もちろん、その他の方式も同等である。
【0116】
図6では、4つの素子が示されているが、図7に示されるように7セグメントを構成する場合には7つの素子が備えられ、各素子はデータ電極駆動回路12によりDuty駆動制御される。これにより、図7に示されるa〜gまでの各発光部分のいずれかを発光させることにより、有機ELパネルに所望の数字を表示できるようになっている。
【0117】
次に、上記のように駆動部15により複数の有機EL素子E1,1〜E1,4を発光させる場合、パルス幅を当該パルス幅の逆数が駆動部15の周囲に位置する電子キーシステムの電子キー21やECU22が送受信する電波の所定周波数と同一としたことについて、図を参照して説明する。
【0118】
発明者らは、第1実施形態と同様に、Duty駆動する場合のパルス幅に着目し、パルス幅と所定周波数との関係について、パルス幅を変更したときのノイズの発生についてシミュレーションを行った。
【0119】
図8は、1Hsync=100μsのDuty駆動電圧信号の駆動波形と、Duty駆動電圧信号のパルス幅(PW(on))を2μs、4μs、6μs、8μs、10μsとしたときに有機EL表示装置10から発せられるノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果である。Duty駆動電圧信号については、横軸は時間(TIME)、縦軸は信号の振幅(Amplitude)である。ノイズ波形については、横軸は周波数(FREQUENCY)、縦軸はノイズレベル(Amplitude)である。
【0120】
図8に示されるように、パルス幅(PW(on))を2μs、4μs、6μs、8μs、10μsと変化させると、ノイズのノイズレベルが周波数に応じて変化することがわかる。そして、ノイズレベルが0.6、ノイズの周波数が250kHzのときに注目すると、パルス幅(PW(on))が2μs、6μs、10μsの場合ではノイズレベルは0.6に近いレベルであるが、パルス幅(PW(on))が4μsおよび8μsでは、ノイズレベルはほぼ0となる。
【0121】
ここで、パルス幅(PW(on))が4μsの場合、この4μsの逆数は250kHzであるから、有機EL表示装置10の周囲で用いられる電子機器の電波の所定周波数が250kHzの場合、電子機器は有機EL表示装置10から発せられる250kHzのノイズの影響を受けずに正常動作できる。この結果は、第1実施形態で示されたリセット期間の場合と同様のノイズ低減効果を示している。
【0122】
したがって、上記の結果に基づき、パルス幅(PW(on))を当該パルス幅(PW(on))の逆数が駆動部15の周囲に位置する電子機器(電子キーシステムの電子キー21やECU22)が送受信する電波の所定周波数と同一とした。
【0123】
また、パルス幅(PW(on))が8μsの場合、8μsの逆数は125kHzであり、125kHzのノイズレベルはほぼ0である。そして、250kHzのノイズレベルもほぼ0である。これは、パルス幅(PW(on))を4μsとしたときの整数倍のパルス幅(PW(on))である8μsついてもノイズレベルがほぼ0になることを意味している。言い換えると、パルス幅(PW(on))が8μsの場合は125kHzの整数倍の周波数のノイズがほぼ0になる。
【0124】
すなわち、第1実施形態と同様に、所定周波数を一定としてパルス幅(PW(on))を整数倍した場合やパルス幅(PW(on))を一定として所定周波数を整数倍した場合には、扱う周波数のノイズレベルが他の周波数のノイズレベルよりも相対的に小さくなる。
【0125】
具体的には、所定周波数を250kHzとしたとき、パルス幅(PW(on))の4μsを整数倍した4μs、8μs、12μs、16μs、・・・、ではノイズレベルが相対的に下がる。また、パルス幅(PW(on))を8μsとしたとき、所定周波数を125kHz、250kHz、375kHz、500kHz、・・・、ではノイズレベルが相対的に下がる。
【0126】
また、発明者らは、1Hsyncの長さを変化させた場合についてもノイズレベルの変化を調べた。図9は1Hsync=200μsの場合、図10は1Hsync=50μsの場合についてのDuty駆動電圧信号の駆動波形と、Duty駆動電圧信号のパルス幅(PW(on))を2μs、4μs、6μs、8μs、10μsとしたときに有機EL表示装置10から発せられるノイズの周波数とそのノイズレベルとの関係をシミュレーションした結果である。これら、図9および図10に示されるように、1Hsyncの長さが変化すると、周波数に対するノイズのノイズレベルも変化する。
【0127】
そして、図9に示されるように、ノイズレベルが0.25、ノイズの周波数が250kHzのときに注目すると、図8に示された結果と同様に、パルス幅(PW(on))が2、6、10μsの場合ではノイズレベルは0.25に近いが、パルス幅(PW(on))が4μsおよび8μsでは、ノイズレベルはほぼ0となる。
【0128】
さらに、図10に示されるように、ノイズレベルが1.1、ノイズの周波数が250kHzのときに注目すると、図8および図9に示された結果と同様に、パルス幅(PW(on))が2μs、6μs、10μsの場合ではノイズレベルは1.1に近いが、パルス幅(PW(on))が4μsおよび8μsでは、ノイズレベルはほぼ0となる。
【0129】
なお、図10では、例えばパルス幅(PW(on))が2μs、6μs、10μsの場合、250kHzのノイズレベルは低くなっているように見受けられるが、これらのパルス幅(PW(on))において250kHzという周波数は、周波数に対して大きな変化を表したノイズ波形の山の一部に位置している。したがって、有機EL表示装置10の回路構成等の条件により周波数が少しでもずれるとノイズレベルが急激に増加する場合があるので、250kHzにおいてノイズレベルが低いまま安定しているとは言えない。一方、パルス幅(PW(on))が4μsおよび8μsの場合、これらのパルス幅(PW(on))における250kHzという周波数は周波数に対して大きな変化を表したノイズ波形の節に位置している。したがって、周波数が少しずれただけでノイズレベルが急激に増加するということもなく、ノイズレベルが低いまま安定している。
【0130】
また、本実施形態についても、パルス幅(PW(on))の逆数が駆動部15の周囲に位置する電子機器(電子キーシステムの電子キー21やECU22)が送受信する電波の所定周波数と同一になるパルス幅(PW(on))」というときの「同一」の意味は第1実施形態で説明した意味と同じである。
【0131】
以上説明したように、有機EL表示装置10において、駆動部15のDuty駆動により複数の有機EL素子E1,1〜E1,4を発光させる場合において、パルス幅の逆数と電子キーシステムが送受信する電波の所定周波数とが同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を用いることが特徴となっている。これにより、駆動部15から発せられるノイズ成分のうち、電子キーシステムが送受信電波の所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズレベルを他の周波数に含まれるノイズレベルよりも相対的に低減することができる。したがって、有機EL表示装置10から発せられるノイズが電子キーシステムに対して誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0132】
(第5実施形態)
本実施形態では、第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、第2実施形態と同様に、電子キーシステムのような電波を送受信する電子機器が駆動部15の周囲に複数位置し、複数の電子機器それぞれから所定周波数の電波を送受信するようになっている。複数の電子機器とは、電子キーシステムやカーナビゲーションシステム、AMラジオ等である。各電子機器が送受信する電波の所定周波数はそれぞれ異なる。
【0133】
すなわち、有機EL表示装置10がDuty駆動により複数の有機EL素子E1,1〜E1,4を発光させるものにおいて、駆動部15の制御回路14のメモリには、パルス幅の逆数が複数の電子機器の各所定周波数のうち最も低い所定周波数と同一になるパルス幅が記憶されている。そして、駆動部15は、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうちの選択されたものに対して、パルス幅の逆数が複数の電子機器の各所定周波数のうち最も低い所定周波数と同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4を発光させることになる。
【0134】
これにより、最も低い所定周波数と同じ周波数のノイズレベルを他の周波数のノイズレベルに対して相対的に低減することができ、ノイズの影響を受けやすい低周波の領域において電子機器の誤動作を防止することができる。
【0135】
(第6実施形態)
本実施形態では、第4、第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、第4実施形態で述べたように、駆動部15の制御回路14のメモリには、電子キー21で用いられる所定周波数の逆数と同一のパルス幅を整数倍し、当該整数倍したパルス幅を記憶させておく。
【0136】
したがって、駆動部15は、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4のうちの選択されたものに対して、整数倍されたパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、複数の有機EL素子E1,1〜E1,4を発光させることになる。これによると、整数倍されたパルス幅の逆数に相当する周波数それぞれでノイズレベルを他の周波数のノイズレベルよりも相対的に低減することができる。
【0137】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、車両20が走行している場合と走行していない場合とで異なるリセット期間を用いることが特徴となっている。
【0138】
本実施形態に係る有機EL表示装置10の構成は、第1実施形態で示されたものと同じである。さらに、本実施形態では、駆動部11には車両20の車速を示す信号が入力されるようになっている。この車速を示す信号は制御回路14に入力され、車両が走行しているか否かの判定に用いられる。
【0139】
ここで、車速を示す信号が車両20は走行していないことを示す場合に用いられるリセット期間を第1のリセット期間とし、車速を示す信号が車両20は走行していることを示す場合に用いられるリセット期間を第1のリセット期間とは異なる第2のリセット期間とする。
【0140】
また、駆動部11の制御回路14のメモリには、第1のリセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子キーシステム等の電子機器が送受信する電波の所定周波数と同一になると共に車両20が走行していない場合に用いられる第1のリセット期間と、車両20が走行している場合に用いられる第2のリセット期間と、が記憶されている。
【0141】
したがって、駆動部11は、車両20が走行していない場合、すなわち車速を示す信号が車両20は走行していないことを示す場合、第1のリセット期間の逆数が駆動部11の周囲に位置する電子キーシステム等の電子機器が送受信する電波の所定周波数と同一になる第1のリセット期間を用いて、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる。
【0142】
これにより、第1実施形態で示されたように、駆動部11から発せられるノイズ成分のうち、電子キーシステム等の電子機器が送受信する電波の所定周波数と同じ周波数に含まれるノイズレベルを他の周波数に含まれるノイズレベルよりも相対的に低減することができる。例えば、電子キーシステムは車両20が走行していない状況で用いられることがほとんどであるので、車両20が走行していない場合に効果的に電子キーシステムに誤動作を起こさせないようにすることができる。
【0143】
一方、駆動部11は、車両20が走行している場合、すなわち車速を示す信号が車両20は走行していることを示す場合、第2のリセット期間を用いて複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる。
【0144】
これによると、車両20が走行している場合には電子キーシステムのような低周波を用いる電子機器が作動する状況ではないので、車両が走行している場合には電子機器に対するノイズ対策を行う必要がない。したがって、第1のリセット期間を用いる必要もないので、第2のリセット期間を用いて複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させることができる。例えば、電子機器としてカーナビゲーションシステムが用いられていたとしても、上述のようにGPSの周波数は電子キーシステムで用いられる電波の周波数よりも大きい。したがって、このような電子機器は元々ノイズの影響を受けにくいので問題はない。
【0145】
(第8実施形態)
本実施形態では、第7実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第7実施形態では、車両20が走行しているか否かに応じて、リセット期間を第1のリセット期間または第2のリセット期間としていた。本実施形態では、各リセット期間の長さの関係を規定したことが特徴となっている。
【0146】
具体的には、第2のリセット期間は、第1のリセット期間よりも短い期間になっており、各リセット期間が駆動部11の制御回路14のメモリに記憶されている。駆動部11は、車両20が走行しているか否かにより、メモリに記憶されたリセット期間を用いてリセット駆動を行う。
【0147】
これによると、車両20が走行している場合には第1のリセット期間よりも短い第2のリセット期間を用いてリセット駆動を行うこととなる。リセット期間が短くなるということは、1周期において有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる期間が長くなるので、素子に流す電流を小さくすることができる。
【0148】
したがって、車両20が走行していない場合には第1のリセット期間を用いることにより、電子キーシステムの誤動作を防止できる。一方、車両が走行している場合には有機EL素子E1,1〜E4,4に流す電流を小さくできるので、素子の寿命を長くすることができる。
【0149】
(第9実施形態)
本実施形態では、第7、第8実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第7、第8実施形態では、車両が走行しているか否かにより、異なる長さのリセット期間を用いてリセット駆動することについて説明したが、本実施形態では、リセット期間の長さに応じて有機EL素子E1,1〜E4,4に流す電流の大きさを異ならせることが特徴となっている。
【0150】
具体的には、駆動部11は、第1のリセット期間を用いて複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる場合には複数の有機EL素子E1,1〜E4,4に第1の電流を流す。一方、駆動部11は、第2のリセット期間を用いて複数の有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させる場合には複数の有機EL素子E1,1〜E4,4に第1の電流とは異なる大きさの第2の電流を流す。このような電流値の制御は、制御回路14からデータ電極駆動回路12に対する指令により行われる。
【0151】
このように、リセット期間の長さに応じて有機EL素子E1,1〜E4,4に流す電流の大きさを変化させることができる。これにより、リセット期間の長さに応じて素子の輝度を制御することができる。
【0152】
(第10実施形態)
本実施形態では、第9実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、第1の電流と第2の電流との関係を規定したことが特徴となっている。具体的には、第2の電流は、第1の電流よりも小さい値になっており、各電流値が駆動部11の制御回路14のメモリに記憶されている。
【0153】
これにより、車両20が走行している場合、すなわち第2のリセット期間を用いる場合に有機EL素子E1,1〜E4,4に流れる電流が小さくなるので、有機EL素子E1,1〜E4,4の寿命を長くすることができる。
【0154】
(第11実施形態)
本実施形態では、第10実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、一定の式を用いて第2の電流を取得し、取得した第2の電流を車両が走行している場合に用いることが特徴となっている。
【0155】
まず、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4のうち選択されたものを発光させる走査期間とリセット期間との和をPW[Hsync]とし、第1のリセット期間をPW[res1]とし、第2のリセット期間をPW[res2]とし、第1の電流をI1とし、第2の電流をI2とする。そして、第2の電流を以下の数式1から求める。
(数式1)
I2={(PW[Hsync]−PW[res1])/(PW[Hsync]−PW[res2])}×I1
上述のように、PW[res1]>PW[res2]であり、(PW[Hsync]−PW[res1])<(PW[Hsync]−PW[res2])となるので、数式1により得られるI2は必ずI1よりも小さい値となる。そして、駆動部11は、車両が走行している場合、数式1により取得した第2の電流を用いて有機EL素子E1,1〜E4,4を発光させることとなる。
【0156】
このように、数式1により第2の電流の大きさを規定することができる。もちろん、数式1は第2の電流を求めるための1つの方法であり、他の数式により第2の電流を求めるようにしても構わない。
【0157】
(第12実施形態)
本実施形態では、第7〜第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、駆動部11は、車両20が走行しているか否かに関わらず、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4のうちの選択されたものに対して流す電流の大きさを調節することにより、複数の有機EL素子E1,1〜E4,4の表示輝度を一定とする。これにより、リセット期間の長さが異なっていたり、有機EL素子E1,1〜E4,4に流す電流の大きさが異なっていたとしても、常に一定の輝度で画像を表示することができる。
【0158】
(他の実施形態)
上記第1〜第6実施形態では、有機EL表示装置10は車両20に搭載された場合について説明したが、有機EL表示装置10を車両20に搭載せずに用いても良い。この場合、有機EL表示装置10の周囲に電波を送受信する電子機器が配置されることとなる。
【0159】
また、上記各実施形態では、電子機器の一例として主に電子キーシステムについて説明したが、有機EL表示装置10の周囲に他の電子機器が配置されても良い。例えば、車両20に搭載されるものとしては、例えばエンジンスタータやタイヤ空気圧センサ等の電波を用いる電子機器が挙げられる。
【0160】
さらに、上記各実施形態では、電子機器は、電子キーシステムのように、所定周波数の電波を「送受信して」通信を行うものであったが、電子機器は電波を送受信するものに限られず、電子機器は「送信のみ」を行うものや「受信のみ」を行うものでも良い。したがって、電子機器は送信または受信の少なくとも一方を行うものであると言える。
【符号の説明】
【0161】
10 有機EL表示装置
11、15 駆動部
16a コモン電極
20 車両
21 電子キーシステムの電子キー
22 電子キーシステムのECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査電極(Row〜Row)それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極(Col〜Col)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)と、
前記複数の走査電極(Row〜Row)および前記複数のデータ電極(Col〜Col)への印加電圧を制御することで、前記複数本の走査線および前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、当該駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる駆動部(11)と、を備え、
前記駆動部(11)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、前記走査期間中に前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に形成される寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機EL表示装置の駆動方法であって、
前記駆動部(11)は、前記リセット期間の逆数が前記駆動部(11)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になるリセット期間を用いて、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記電子機器(21、22)が前記駆動部(11)の周囲に複数位置し、前記複数の電子機器(21、22)それぞれから所定周波数の電波がそれぞれ送信または受信の少なくとも一方を行うようになっており、
前記駆動部(11)は、前記リセット期間の逆数が前記複数の電子機器(21、22)のうちの最も低い所定周波数で使用されている電子機器(21、22)の所定周波数と同一になるリセット期間を用いて、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記駆動部(11)は、前記リセット期間を整数倍し、当該整数倍したリセット期間を用いて、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項4】
コモン電極(16a)に接続されるコモン線と複数のデータ電極(Col〜Col)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)と、
前記複数のデータ電極(Col〜Col)への印加電圧を制御することで、前記コモン線および前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、パルス幅をもったDuty駆動電圧を印加し、当該Duty駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1〜E1,4)を前記パルス幅の期間だけ発光させる駆動部(15)と、を備えた有機EL表示装置の駆動方法であって、
前記駆動部(15)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、前記パルス幅の逆数が前記駆動部(15)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記電子機器(21、22)が前記駆動部(15)の周囲に複数位置し、前記複数の電子機器(21、22)それぞれから所定周波数の電波がそれぞれ送信または受信の少なくとも一方を行うようになっており、
前記駆動部(15)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、前記パルス幅の逆数が前記複数の電子機器(21、22)の各所定周波数のうち最も低い所定周波数と同一になるパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記駆動部(15)は、前記パルス幅を整数倍し、当該整数倍したパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記有機EL表示装置は、車両(20)に搭載されるものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項8】
複数の走査電極(Row〜Row)それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極(Col〜Col)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)と、
前記複数の走査電極(Row〜Row)および前記複数のデータ電極(Col〜Col)への印加電圧を制御することで、前記複数本の走査線および前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、当該駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる駆動部(11)と、を備え、
前記駆動部(11)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、前記走査期間中に前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に形成される寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機EL表示装置の駆動方法であって、
前記有機EL表示装置は、車両(20)に搭載されるものであり、前記車両(20)が走行していない場合に用いられる前記リセット期間を第1のリセット期間とし、前記車両(20)が走行している場合に用いられる前記リセット期間を前記第1のリセット期間とは異なる第2のリセット期間とすると、
前記駆動部(11)は、前記車両(20)が走行していない場合、前記第1のリセット期間の逆数が前記駆動部(11)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になる第1のリセット期間を用いて、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる一方、前記車両(20)が走行している場合、前記第2のリセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させることを特徴とする有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記第2のリセット期間は、前記第1のリセット期間よりも短いことを特徴とする請求項8に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項10】
前記駆動部(11)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して電流を流すことにより当該有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっており、前記第1のリセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる場合には前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に第1の電流を流し、前記第2のリセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる場合には前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に前記第1の電流とは異なる大きさの第2の電流を流すことを特徴とする請求項8または9に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記第2の電流は、前記第1の電流よりも小さいこと特徴とする請求項10に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項12】
前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間と前記リセット期間との和をPW[Hsync]とし、前記第1のリセット期間をPW[res1]とし、前記第2のリセット期間をPW[res2]とし、前記第1の電流をI1とし、前記第2の電流をI2とすると、
前記駆動部(11)は、I2={(PW[Hsync]−PW[res1])/(PW[Hsync]−PW[res2])}×I1により取得した第2の電流を用いることを特徴とする請求項10または11に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項13】
前記駆動部(11)は、前記車両(20)が走行しているか否かに関わらず、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して流す電流の大きさを調節することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の表示輝度を一定とすることを特徴とする請求項8ないし12のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記電子機器(21、22)は、車両(20)に搭載された電子キーシステムの電子キー(21)であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項15】
複数の走査電極(Row〜Row)それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極(Col〜Col)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)と、
前記複数の走査電極(Row〜Row)および前記複数のデータ電極(Col〜Col)への印加電圧を制御することで、前記複数本の走査線および前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、当該駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる駆動部(11)と、を備え、
前記駆動部(11)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、前記走査期間中に前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に形成される寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機EL表示装置であって、
前記駆動部(11)は、前記リセット期間の逆数が前記駆動部(11)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になるリセット期間を有し、当該リセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項16】
前記電子機器(21、22)が前記駆動部(11)の周囲に複数位置し、前記複数の電子機器(21、22)それぞれから所定周波数の電波をそれぞれ送信または受信の少なくとも一方を行うようになっており、
前記駆動部(11)は、前記リセット期間の逆数が前記複数の電子機器(21、22)のうちの最も低い所定周波数で使用されている電子機器(21、22)の所定周波数と同一になるリセット期間を有し、当該リセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっていることを特徴とする請求項15に記載の有機EL表示装置。
【請求項17】
前記駆動部(11)は、前記リセット期間として整数倍されたリセット期間を有し、当該整数倍したリセット期間を用いて、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっていることを特徴とする請求項15または16に記載の有機EL表示装置。
【請求項18】
コモン電極(16a)に接続されるコモン線と複数のデータ電極(Col〜Col)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)と、
前記複数のデータ電極(Col〜Col)への印加電圧を制御することで、前記コモン線および前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、パルス幅をもったDuty駆動電圧を印加し、当該Duty駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1〜E1,4)を前記パルス幅の期間だけ発光させる駆動部(15)と、を備えた有機EL表示装置であって、
前記駆動部(15)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、前記パルス幅の逆数が前記駆動部(15)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になるパルス幅を有し、このパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させるようになっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項19】
前記電子機器(21、22)が前記駆動部(15)の周囲に複数位置し、前記複数の電子機器(21、22)それぞれから所定周波数の電波をそれぞれ送信または受信の少なくとも一方を行うようになっており、
前記駆動部(15)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)のうちの選択されたものに対して、前記パルス幅の逆数が前記複数の電子機器(21、22)の各所定周波数のうち最も低い所定周波数と同一になるパルス幅を有し、このパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させることを特徴とする請求項18に記載の有機EL表示装置。
【請求項20】
前記駆動部(15)は、前記パルス幅として整数倍されたパルス幅を有し、当該整数倍されたパルス幅のDuty駆動電圧を印加することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E1,4)を発光させるようになっていることを特徴とする請求項18または19に記載の有機EL表示装置。
【請求項21】
前記有機EL表示装置は、車両(20)に搭載されるものであることを特徴とする請求項15ないし20のいずれか1つに記載の有機EL表示装置。
【請求項22】
複数の走査電極(Row〜Row)それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極(Col〜Col)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)と、
前記複数の走査電極(Row〜Row)および前記複数のデータ電極(Col〜Col)への印加電圧を制御することで、前記複数本の走査線および前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、当該駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる駆動部(11)と、を備え、
前記駆動部(11)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、前記走査期間中に前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に形成される寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機EL表示装置であって、
前記有機EL表示装置は、車両(20)に搭載されるものであり、前記駆動部(11)には前記車両(20)の車速を示す信号が入力されるようになっており、さらに、前記車速を示す信号が前記車両(20)は走行していないことを示す場合に用いられる前記リセット期間を第1のリセット期間とし、前記車速を示す信号が前記車両(20)は走行していることを示す場合に用いられる前記リセット期間を前記第1のリセット期間とは異なる第2のリセット期間とすると、
前記駆動部(11)は、前記車速を示す信号が前記車両(20)は走行していないことを示す場合、前記第1のリセット期間の逆数が前記駆動部(11)の周囲に位置する電子機器(21、22)が送信または受信の少なくとも一方を行う電波の所定周波数と同一になる第1のリセット期間を用いて、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる一方、前記車速を示す信号が前記車両(20)は走行していることを示す場合、前記第2のリセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項23】
前記駆動部(11)は、前記第2のリセット期間として、前記第1のリセット期間よりも短い第2のリセット期間を有していることを特徴とする請求項22に記載の有機EL表示装置。
【請求項24】
前記駆動部(11)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して電流を流すことにより当該有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させるようになっており、前記第1のリセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる場合には前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に第1の電流を流すようになっており、前記第2のリセット期間を用いて前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)を発光させる場合には前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に前記第1の電流とは異なる大きさの第2の電流を流すようになっていることを特徴とする請求項22または23に記載の有機EL表示装置。
【請求項25】
前記駆動部(11)は、前記第2の電流として、前記第1の電流よりも小さい第2の電流を流すようになっていること特徴とする請求項24に記載の有機EL表示装置。
【請求項26】
前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間と前記リセット期間との和をPW[Hsync]とし、前記第1のリセット期間をPW[res1]とし、前記第2のリセット期間をPW[res2]とし、前記第1の電流をI1とし、前記第2の電流をI2とすると、
前記駆動部(11)は、I2={(PW[Hsync]−PW[res1])/(PW[Hsync]−PW[res2])}×I1により取得した第2の電流を、前記第2のリセット期間に用いるようになっていることを特徴とする請求項24または25に記載の有機EL表示装置。
【請求項27】
前記駆動部(11)は、前記車両(20)が走行しているか否かに関わらず、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して流す電流の大きさを調節することにより、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の表示輝度を一定とするようになっていることを特徴とする請求項22ないし26のいずれか1つに記載の有機EL表示装置。
【請求項28】
前記電子機器(21、22)は、車両(20)に搭載された電子キーシステムの電子キー(21)であることを特徴とする請求項15ないし27のいずれか1つに記載の有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−59393(P2011−59393A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209257(P2009−209257)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】