説明

有機EL表示装置の製造方法

【課題】高効率、長寿命かつ高精細の有機EL表示装置を低コストで製造できる有機EL表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも低分子有機EL材料を含む有機化合物層12、13a、19、14を形成する工程と、有機化合物層の上に中間層21、22を形成する工程と、中間層上にレジスト層23を形成する工程と、レジスト層23にパターン状の遮光部を有するフォトマスクを介して紫外光を照射し、紫外光が照射された領域のレジスト層を部分的に除去する工程と、レジスト層が除去された領域の有機化合物層を除去する工程と、を有しており、レジスト層23はポジ型レジストで構成される層であり、中間層は、有機化合物層を溶解しない溶媒に対して選択的に溶解可能な、鎖状構造を有する高分子有機材料からなる層21を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は、複数の有機EL素子をマトリクス状に配列させてなる表示装置(ディスプレイ)である。有機EL表示装置は、コントラストが高く、薄型化が容易なことから、フラットパネルディスプレイの有力候補として注目されている。また、有機EL表示装置は、液晶に比べて応答速度が非常に速く、動画表示に適していると考えられている。
【0003】
有機EL表示装置の表示領域は、例えば、赤・緑・青の3色の有機EL素子のいずれかを含む副画素によって、2次元的に高精細に分割されている。各副画素の発光量を制御することにより、所望のフルカラーの画像を得ることができる。
【0004】
高精細化された有機EL表示装置を作製する方法に関しては、様々な方法が提案されている。そのうちの1つとしてフォトリソグラフィーを利用した方法がある。例えば、特許文献1では、基板全面に成膜した有機化合物層をフォトリソグラフィー法によりパターニングを行ない、所定の場所にのみ当該有機化合物層を残す工程を3色分繰り返した後に共通電極を成膜する方法が開示されている。また特許文献2では、有機材料層上に光吸収材料を含有するアルコール可溶性ナイロンからなる中間層及びレジスト材料層を形成する工程と、それらをパターニングする工程を有する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3839276号公報
【特許文献2】特許第4507759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし発明者らが鋭意研究した結果、フォトリソグラフィー法を利用して有機EL素子を構成する有機化合物層のパターニングを行なう際に、以下のような問題が存在することが明らかになった。
【0007】
それは、フォトリソグラフィー法で用いる露光用の光源から発する光が紫外領域の光を有するため、この紫外領域の光によって有機EL素子の構成材料の劣化が生じる可能性がある、という問題である。一般的な有機EL素子の構成材料である有機化合物に含まれる炭素−炭素結合の結合エネルギーは3eV(波長413nm)程度である。このため、フォトリソグラフィー法で用いる光源から発する光に紫外光が含まれていると、有機EL素子の構成材料がこの紫外光に晒されることになる。そうすると有機EL素子の構成材料である有機化合物が有する炭素−炭素結合等の結合が切断され、その結果、有機EL素子の発光効率及び発光寿命が低下する場合があった。
【0008】
また特許文献2に開示されている方法、即ち、光吸収材料を含有する中間層を有機EL素子の構成材料上に設ける方法も、この中間層の膜厚を十分に厚くしないと紫外光の遮光が十分でない場合があった。また特許文献2に開示されている方法では、使用される光吸収材料が中間層を除去する際に残渣として残る場合があり、この残渣が有機EL素子の発光特性を低下させる原因になっていた。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高効率、長寿命かつ高精細の有機EL表示装置を低コストで製造できる有機EL表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、フォトリソグラフィー法による有機化合物層のパターニング工程を有する有機EL表示装置の製造方法であって、
少なくとも低分子有機EL材料を含む有機化合物層を形成する工程と、
前記有機化合物層の上に中間層を形成する工程と、
前記中間層上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層にパターン状の遮光部を有するフォトマスクを介して紫外光を照射し、前記紫外光が照射された領域の前記レジスト層を部分的に除去する工程と、
前記レジスト層が除去された領域の前記有機化合物層を除去する工程と、を有しており、
前記レジスト層はポジ型レジストで構成される層であり、
前記中間層は、前記有機化合物層を溶解しない溶媒に対して選択的に溶解可能な、鎖状構造を有する高分子有機材料からなる層を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高効率、長寿命かつ高精細の有機EL表示装置を低コストで製造できる有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
【0012】
本発明の製造方法では、フォトリソグラフィー法による有機化合物層の加工の際に、加工の対象となる有機化合物層を残したい領域にポジ型レジストが設けられており、このポジ型レジストがフォトマスク(の遮光部分)と共に露光光源の光を遮断する。このため、残存する有機化合物層には、露光工程で使用されるフォトレジスト感光用の紫外光が照射されないため、装置内に備える有機EL素子のダメージがなくなる。一方、所定の溶媒に選択的に溶解可能な高分子材料は、その構造ゆえに低分子有機EL材料よりエッチングされにくく残渣が残りやすい。その代表例として、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。ただし、所定の溶媒に対する溶解性を確保するため、塗布した後に架橋構造が形成される樹脂とは異なり、その構造は三次元に網目状に結合されたものではなく、鎖状の高分子である。このため、エッチングが不均一に行われやすくエッチング後に残渣が残りやすい場合がある。本発明では、エッチングされる部分について、パターニング用のマスクを挟んで露光工程で使用するUV光を照射することができる。このため、ドライエッチングに先立って予め、高分子材料の分解を進めておくことができるので、残渣を低減することができる。従って、有機EL素子の発光特性を低下させる原因となっていた中間層除去後の残渣が少なくなり、有機EL素子の良好な発光特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の製造方法によって作製される有機EL表示装置の例を示す断面模式図である。
【図2A】本発明の有機EL表示装置の製造方法における実施形態の例を示す断面模式図である。
【図2B】本発明の有機EL表示装置の製造方法における実施形態の例を示す断面模式図である。
【図3】図2(b)乃至(d)の工程を詳細化した図である。
【図4】図3(b)の部分拡大図である。
【図5】実施例1で作製した有機EL表示装置に含まれる緑色副画素の発光効率の測定・評価結果を示すグラフである。
【図6】比較例1で作製した有機EL表示装置に含まれる緑色副画素の発光効率の測定・評価結果を示すグラフである。
【図7】比較例1における有機化合物層の加工工程を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の製造方法は、フォトリソグラフィー法によるパターニング工程を有する有機EL表示装置の製造方法である。
【0015】
本発明において、フォトリソグラフィー法にて使用するレジストはポジ型レジストである。また本発明において、フォトリソグラフィー法にて使用するフォトマスクの遮光部の光透過率と、ポジ型レジストの光透過率と、の合計が、露光光源の光に対して1%以下である。尚、光透過率の評価がなされるポジ型レジストというのは、フォトリソグラフィー法によるパターニング工程を行った後になってもパターニングされた層上に残存しているポジ型のフォトレジストをいうものである。
【0016】
本発明の製造方法は、少なくとも下記工程(A)乃至(E)を有している。
(A)低分子有機EL材料を含む有機化合物層を形成する工程(有機化合物層形成工程)
(B)有機化合物層の上に中間層を形成する工程(中間層形成工程)
(C)中間層上にレジスト層を形成する工程(レジスト層形成工程)
(D)レジスト層にパターン状の遮光部を有するフォトマスクを介して紫外光を照射し、紫外光が照射された領域のレジスト層を部分的に除去する工程(露光・現像工程)
(E)レジスト層が除去された領域の前記有機化合物層を除去する工程(有機化合物層の加工工程)
【0017】
本発明において、工程(C)で形成されるレジスト層は、ポジ型レジストで構成される層である。また本発明において、工程(B)で形成される中間層は、有機化合物層を保護するために設けられ、有機化合物層を溶解しない溶媒に対して選択的に溶解可能な、鎖状構造を有する高分子有機材料からなる層を含んでいる。
【0018】
以下、図面を適宜参照しながら、本発明について詳細に説明する。尚、以下に説明する有機EL表示装置の製造方法は、本発明の具体例として、有機EL表示装置に含まれる有機EL素子の構成材料を有機低分子化合物とし、真空蒸着法とフォトリソグラフィー法とを併用し、トップエミッション型の表示装置を作製する方法である。ただし、本発明はこの具体例に限定されるものではない。例えば、有機EL素子の構成材料を高分子化合物とし、成膜プロセスを材料に合わせてスピンコーターやディップ等の塗布プロセスを採用してもよい。また本発明は、ボトムエミッション型の有機EL表示装置を製造する際にも適用可能である。
【0019】
図1は、本発明の製造方法によって作製される有機EL表示装置の例を示す断面模式図である。尚、図1は、実際に作製される有機EL表示装置の一部分を示す図である。図1の有機EL表示装置1は、三種類の有機EL素子、即ち、第一有機EL素子、第二有機EL素子及び第三有機EL素子がそれぞれ1個ずつ設けられている。また第一有機EL素子は第一副画素の構成部材であり、第二有機EL素子は第二副画素の構成部材であり、第三有機EL素子は第三副画素の構成部材である。さらに図1にて示される三種類の有機EL素子の1組が画像を構成する色情報の最小単位となり、この1組の有機EL素子が2次元的に配列することによって、有機EL表示装置が構成される。尚、図1に示される三種類の有機EL素子は、それぞれ青色有機EL素子、緑色有機EL素子又は赤色有機EL素子のいずれかであるが、各有機EL素子の発光色は任意に決めることができる。
【0020】
ここで第一有機EL素子は、基板10上に、下部電極11a、正孔輸送層12a、発光層13a、正孔ブロック層19a、電子輸送層14a、電子注入層15及び上部電極16がこの順で設けられている。尚、以下の説明において、第一有機EL素子に含まれる電極(下部電極11a、上部電極16)及び電子注入層15以外の各層(12a、13a、14a等)で構成されている積層体を、第一有機化合物層2aと呼ぶことがある。
【0021】
また第二有機EL素子は、基板10上に、下部電極11b、正孔輸送層12b、発光層13b、電子輸送層14b、電子注入層15及び上部電極16がこの順で設けられている。尚、以下の説明において、第二有機EL素子に含まれる電極(下部電極11b、上部電極16)及び電子注入層15以外の各層(12b、13b、14b等)で構成されている積層体を、第二有機化合物層2bと呼ぶことがある。
【0022】
また第三有機EL素子は、基板10上に、下部電極11c、正孔輸送層12c、発光層13c、電子輸送層14c、電子注入層15及び上部電極16がこの順で設けられている。尚、以下の説明において、第三有機EL素子に含まれる電極(下部電極11c、上部電極16)及び電子注入層15以外の各層(12c、13c、14c等)で構成されている積層体を、第三有機化合物層2cと呼ぶことがある。
【0023】
尚、有機化合物層(2a、2b、2c)は、それぞれ発光層(13a、13b、13c)を有していれば、その層構成は特に限定されるものではない。ここで有機化合物層(2a、2b、2c)に含まれ得る層としては、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層等が挙げられる。
【0024】
また、図1では省略されているが、下部電極11a、11b、11cがTFT(薄膜電界トランジスタ)に接続されていてもよい。また基板10上に平坦化膜を設けてもよい。特に、基板10がにTFTを含んでいる場合は、TFTによって生じた凹凸を埋めるために平坦化膜を設けるのが好ましい。
【0025】
本発明の製造方法によって製造される有機EL表示装置において、有機EL表示装置に含まれる有機化合物層の構成材料として、公知の有機化合物を使用することが可能である。その中でも、露光機の光源の波長に対して吸収を有する有機材料を使用するのが好ましい。また有機化合物層の構成材料として、アントラセン骨格、クリセン骨格、フルオレン骨格、フルオランテン骨格、フェナントロリン骨格、カルバゾール骨格、トリフェニレン骨格、トリフェニルアミン骨格、アザトリフェニレン骨格及びアリルアミン骨格のうち少なくとも一の骨格を含む有機化合物が含まれていることが好ましい。
【0026】
次に、本発明の有機EL表示装置の製造方法について説明する。図2は、本発明の有機EL表示装置の製造方法における実施形態の例を示す断面模式図である。尚、図2にて示されるプロセスは、図1の有機EL表示装置1の作製プロセスに相当する。
【0027】
(下部電極付基板)
まず、下部電極(11a、11b、11c)が形成された基板10を用意する。ここでトップエミッション型の有機EL素子を作製する際には、下部電極は可視光に対して反射率の高いものが望ましい。
【0028】
(第一有機化合物層の形成工程)
次に、1色目の副画素となる第一副画素を形成するために、基板10の上に、第一有機化合物層2aを構成する層を順次積層する(図2(a))。尚、図2(a)では、正孔輸送層12、第一発光層13a、正孔ブロック層19、電子輸送層14をこの順で形成しているが、本発明において第一有機化合物層2aとして形成すべき層はこれらに限定されるものではない。また第一有機化合物層2aを構成する各層を成膜・形成する方法としては、スピンコートによる塗布法、真空蒸着法、ディップ法等が考えられるが、特に限定されない。尚、真空蒸着法を利用して有機化合物層を成膜・形成する際に、基板端を覆うマスクを用いる場合がある。ただし係る場合において、後の工程でフォトリソグラフィー法によるパターニングを実施することを考慮すると、高精細マスクは必要ない。
【0029】
(中間層の形成工程)
次に、先程形成した第一有機化合物層2aを、レジストや現像液、酸素、水等から保護するための中間層(21、22)を設ける(図2(b))。尚、図2(b)では、中間層は二層構成となっており、具体的には、第一有機化合物層2a側から第一中間層21と、第二中間層22と、がこの順に積層されている。
【0030】
ここで第一中間層21の構成材料は、有機化合物層を溶解しない溶媒に対して選択的に溶解可能な鎖状構造を有する高分子有機材料である。例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルカプロラクタム(PVCAP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ビニルピロリドンコポリマー等の水溶性ポリマー材料が挙げられる。ただし、本発明においてはこれに限定されるものではなく、アルコール可溶性ポリマー材料であるナイロンなどを用いることもできる。アルコール可溶性ポリマー材料としてCM4000(東レ製)等が挙げられる。
【0031】
また第二中間層22は無機材料からなる層である。第二中間層22の構成材料として窒化シリコン、アモルファスシリコン、酸化シリコン等が挙げられるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0032】
(中間層の加工工程)
次に、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによって、1色目の副画素である第一副画素上にのみ中間層(21、22)が残存するように中間層の加工工程を行う(図2(b)〜(d))。ここで中間層の加工工程は、例えば、以下の工程(i)乃至(iv)で行われる。
(i)レジスト層の形成工程(図2(b))
(ii)露光工程
(iii)現像工程(図2(c))
(iv)中間層のエッチング工程(図2(d))
【0033】
以下、中間層の加工工程について詳しく説明する。
【0034】
まず、第二中間層22上に、スピンコーター等を用いてフォトレジストを塗布しレジスト層23を形成する(図2(b))。尚、フォトレジストを塗布する前に、凝着の助触媒としてHMDS(ヘキサメチルジシラザン)等を用いてもよい。またフォトレジストを塗布した後は、必要に応じて、ベイクを実施する。
【0035】
図3は、レジスト層の形成工程から有機化合物層の加工工程までを示す断面概略図である。尚、図3は、図2(b)乃至(d)の工程を詳細化した図である。図3(a)に示されるようにフォトレジスト層23を形成する。その後、露光工程を行う際には、図3(b)に示されるように、レジスト層23の上方に所望の形状のフォトマスク30を設置又はレジスト層23上にフォトマスク30を密着した上で露光を行う。これにより、フォトマスクに形成されたパターンはフォトレジスト層に転写される(露光工程)。ここで本発明において使用されるフォトレジストは、ポジ型のフォトレジストである。このため、露光工程の後に行われる現像工程において、レジスト層23のうち露光されていない領域23aについては現像工程後も残存する一方で、露光されている領域23bについては現像工程時において第二中間層22上から除去される(図3(c))。
【0036】
露光工程では、ポジレジストの材質に応じて露光光源が使用される。例えば、g線(435nm)、h線(405nm)、i線(365nm)、フッ化クリプトン(KrF:248nm)、フッ化アルゴン(ArF:193nm)等が使用される。これら露光光源の中でも、好ましくは、g線(436nm)である。ただし上述したように、露光光源の波長が有機化合物に一般的に含まれる炭素−炭素結合の結合エネルギーである約3eV(波長413nm)以下の光を含んでいると、炭素−炭素結合等の結合が切断され、有機EL素子の発光効率及び発光寿命が低下する場合がある。そこで、本発明においては、露光機の光源の波長に対するフォトマスク30の遮光部31の光透過率と、レジスト層23(ポジ型フォトレジスト)の光透過率と、の合計を1%以下とするのが望ましい。このように、レジスト層23の構成材料としてポジ型レジストを用いて、フォトマスク30の遮光部31とレジスト層23との光透過率の合計を極めて小さくすることにより、所定の有機化合物層(第一有機化合物層2a)を露光工程で使用される光から保護できる。つまり、露光工程の際に、所定の有機化合物層(第一有機化合物層2a)の上面に当たる可能性がある光をフォトマスク30の遮光部31及びレジスト層23で遮ることができる。
【0037】
ただし、露光工程において、光の回折や反射等により、露光光源から放出された光が側面方向からフォトマスクの遮光部31やレジスト層23で覆われた領域に到達する場合がある。このため、露光光源から放出された光が、側面方向から所定の有機化合物層(第一有機化合物層2a)に到達しないようになるべく遮断する必要がある。
【0038】
図4は、図3(b)の部分拡大図である。図4は、具体的には、遮光領域とその周辺の領域を拡大したものである。本発明においては、図4のように、フォトマスク30の遮光部31と非遮光部32の境界L1と、発光領域Aと非発光領域Bとの境界L2と、の平面方向の距離Dを十分に長くするのが好ましい。そして距離Dは、フォトリソグラフィー法の解像度の半分以上とするのがより好ましい。
【0039】
また、隣り合う副画素の下部電極の間に設けられている部材の光透過率を低くすることによって、水平方向の伝搬光を少なくすることも有効である。本発明において、隣接する二つの副画素の下部電極の間に設けられている部材の光透過率は、露光光源から放出される波長の光に対して、好ましくは85%以下であり、より好ましくは15%以下である。例えば、隣接する二つの副画素の下部電極の間にポリイミドあるいは窒化珪素などからなる画素分離膜を形成し、露光光源から放出される光に対する光透過率が85%以下となるようを制御することが考えられる。
【0040】
一方、本発明においては、各有機EL素子から出力される光が取り出される側の電極である透明電極の光透過率は、露光光源の光に対して、90%以下であることが好ましい。
【0041】
他方、有機EL表示装置を構成する基板10に平坦化膜が含まれている場合、この平坦化膜の光透過率は、露光光源の光に対して、1%以下であることが好ましい。
【0042】
露光工程にて使用されるフォトマスク30は、所定の領域に設けられている有機化合物層に紫外光等の光が照射しないようにするための遮光領域を有し、この遮光領域には、例えば、石英等の透明ガラス基板上に遮光材料であるCr等の金属薄膜が設けられている。尚、フォトマスク30に含まれる遮光材料は、本発明の要件を満たしていれば特に限定はされない。
【0043】
このように本発明では、有機化合物層の加工工程において、所定の領域に有機化合物層が残るように有機化合物層を加工する際に、当該所定の領域に設けられる有機化合物層に露光機から照射される光が当たることはない。このため、当該所定の領域に設けられる有機化合物層は、露光機から照射される光によってその特性が変化するのを抑制することができる。
【0044】
露光工程を行った後、現像及びベイクを行なう(現像工程、図2(c)、図3(c))。尚、この現像工程を行った時点で、1色目の副画素(第一副画素)上だけにレジスト層が残っている。
【0045】
現像工程を行った後、パターニングされたレジストに対して、ドライエッチングを行ない、1色目以外の副画素(第二副画素、第三副画素)上に設けられている中間層(21、22)を除去するエッチング工程を行う(図2(d)、図3(d))。このエッチング工程を行う際には、公知のドライエッチング法を採用することができるが、第二中間層22が窒化ケイ素からなる場合は、四フッ化炭素ガス(CF4ガス)を用いたドライエッチングを行なうのが好ましい。このエッチングを行うことにより、図2(d)や図3(d)に示されるように1色目の副画素(青色副画素)上にのみ二層(第一中間層21、第二中間層22)からなる中間層が残っている。尚、図2(d)や図3(d)に示されるように、中間層の加工工程を行う際にレジスト層23aは残存させてもよいが、中間層の加工工程を行う過程でレジスト層23aを除去してもよい。
【0046】
(第一有機化合物層の加工工程)
次に、パターニングされた中間層(21、22)をマスクとして、ドライエッチングを行なうことで、1色目の副画素以外の副画素(第二副画素、第三副画素)上に設けられている第一有機化合物層2aを除去する(図2(e)、図3(e))。第一有機化合物層2aの加工工程を行う際には、公知のドライエッチング法を採用することができるが、酸素をエッチングガスとしたエッチングが好ましい。
【0047】
本工程(第一有機化合物層の加工工程)を行う前に、1色目の副画素以外の副画素(第二副画素、第三副画素)に設けられる中間層には、露光光源の光が照射されているため、露光光源に含まれる紫外線により分解されやすくなっている。このため本工程において、1色目の副画素以外の副画素(第二副画素、第三副画素)が設けられている領域には残渣が残りにくい。
【0048】
残渣が残りにくい理由を以下に詳しく説明する。中間層の構成材料として用いられる、有機化合物層を溶解しない溶媒に対して選択的に溶解可能な高分子材料は、その構造ゆえに低分子有機EL材料よりエッチングされにくくエッチング後において残渣が残りやすい。中間層を構成する高分子材料としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。これら高分子材料は、有機化合物層を溶解しない溶媒に対する溶解性を確保するため、塗布した後に架橋構造を形成する樹脂とは異なり、塗布時の分子構造が三次元に網目状に結合されたものではなく、鎖状の高分子である。このため、さらにエッチングが不均一におこなわれるために残渣が残りやすい場合がある。ここで本発明では、エッチングされる部分については、露光光源であるUV光をパターニング用のマスクに遮られることなく照射できるので、ドライエッチングに先立って予め、高分子材料の分解をある程度進めておくことができる。従って、本工程において生じ得る残渣を低減することができる。
【0049】
以上説明したプロセスにより、1色目の副画素、即ち、第一副画素に第一有機化合物層2aが選択的に設けられることになる。尚、2色目の副画素(第二副画素)や3色目の副画素(第三副画素)についても、1色目の副画素と同様の方法により、有機化合物層(2b、2c)及び中間層(21、22)を順次成膜し、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングを行う。これにより、2色目の副画素(第二副画素)や3色目の副画素(第二副画素)に、それぞれ所望の有機化合物層(2b、2c)が形成される。
【0050】
以上により、所定の領域に3色の有機化合物層(2a、2b、2c)が選択的に形成されることになる(図2(f))。尚、本発明においては有機化合物層の成膜順は制限されるものではない。
【0051】
ところで以上に説明した有機化合物層のパターニングを、フォトリソグラフィー法を利用して行うと、一般的なマスク露光機を使用したときの解像度、即ち、数十μm以下の解像度という高い精細度で有機化合物層のパターニングを行うことが可能となる。このため、従来用いられた高精細メタルマスクを使ったパターン形成方法と比べてより高精細の有機EL表示装置を作製することができる。
【0052】
(中間層の除去工程)
有機化合物層の加工工程を終えた直後において、各有機化合物層(2a、2b、2c)上には、第一中間層21と第二中間層22とからなる中間層が残存している。このため次の工程として中間層を除去する工程を実施する(図2(g)〜(h))。例えば、第一中間層21がポリビニルピロリドン(PVP)で形成されている場合、PVPは水溶性であるため、水で処理すれば、第一中間層21が水に溶けて有機化合物層(2a、2b、2c)の表面から除去される。これを利用することで第一中間層21の上に形成された第二中間層22も一括して除去することができる。尚、水等の溶媒を利用して中間層(21、22)を除去した場合は、溶媒による処理を行った後、有機化合物層(2a、2b、2c)の表面あるいは側面に付着した溶媒を加熱等により除去する必要がある。
【0053】
尚、本発明において、第一中間層21の構成材料は上述したPVPに限定されるものではない。例えば、同じ水溶性のポリマー材料であるポリビニルアルコール(PVA)やアルコール可溶性のポリマー材料であるナイロンを使用してもよい。
【0054】
また中間層の除去方法は、溶媒を利用した方法に限定されるものではなく、第二中間層22、第一中間層21の順にドライエッチング処理を行って各中間層を除去してもよい(図2(f)乃至(h))。
【0055】
(共通層、共通電極の形成工程)
次に、各副画素に共通する層(共通層)と、各副画素に共通する電極(共通電極)と、を形成する(図2(i))。以下、共通層、共通電極の形成工程の具体例について説明する。
【0056】
まず有機化合物層(2a、2b、2c)上に、電子注入層15を形成する。電子注入層15の構成材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物等が挙げられる。また電子注入層15は、真空蒸着法等により形成する。
【0057】
次に、共通電極である上部電極16を形成する。上部電極16の構成材料としては、公知の導電性の材料が適用可能であるが、仕事関数の小さい金属を用いることが好ましい。また上部電極16上に光学干渉層(不図示)等の光学調整層を設けてもよい。
【0058】
(封止工程)
電子注入層15及び上部電極16を形成した後、真空雰囲気あるいは水分量が制限された雰囲気内で、画素や有機EL素子が設けられた発光領域を水分等から保護するための封止部材を設ける封止工程が行われる。
【0059】
以上にて説明した方法は、全ての副画素において共通する層(共通層)や共通する電極(共通電極)を有する有機EL表示装置1において適用することができる。ただし、本発明の製造方法は、以上にて説明した方法に限定されるものではない。例えば、上部電極まで形成した後でフォトリソグラフィー法を用いたパターニングを行う工程を繰り返す実施される態様にも本発明の製造方法を適用することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により、本発明をより詳しく説明する。ただし本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものはない。
【0061】
[実施例1]
図1に示される有機EL表示装置を、以下に示す方法により作製した。
【0062】
(第一有機化合物層(緑色有機化合物層)の形成工程)
まず真空蒸着法で形成した後フォトリソグラフィー法によりパターニングされた、24.5μm×70.0μmのサイズの下部電極(11a、11b、11c)が設けられている基板10上に、下記式で表わされる有機材料を成膜し正孔輸送層12を形成した。このとき正孔輸送層12の膜厚を150nmとした。
【0063】
【化1】

【0064】
次に、真空蒸着法により、正孔輸送層12上に、下記式に示される三種類の材料を共蒸着して第一発光層13aとなる緑色発光層を形成した。このとき緑色発光層の膜厚は20nmであった。
【0065】
【化2】

【0066】
次に、真空蒸着法により、第一発光層13a(緑色発光層)上に、下記式で表わされる有機材料を成膜し正孔ブロック層19を形成した。このとき正孔ブロック層19の膜厚を10nmとした。
【0067】
【化3】

【0068】
次に、真空蒸着法により、正孔ブロック層19上に、下記式で表わされる有機材料を成膜し電子輸送層14を形成した。このとき電子輸送層14の膜厚を10nmとした。
【0069】
【化4】

【0070】
以上により、正孔輸送層12、第一発光層13a、正孔ブロック層19及び電子輸送層14がこの順に積層されている第一有機化合物層2a(緑色有機化合物層)を形成した。
【0071】
(第一有機化合物層の加工工程)
次に、第一有機化合物層2a上に、PVP(ポリビニルピドリドン)膜及び窒化ケイ素膜を、この順で形成した。尚、PVP(ポリビニルピドリドン)膜は、第一中間層21として機能し、窒化ケイ素膜は第二中間層22として機能する。
【0072】
次に、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによって、第一の副画素(緑色副画素)上にのみ第一中間層21と第二中間層22とが残存するように二つの中間層を加工した。以下に、中間層の加工工程の具体的なプロセスについて説明する。
【0073】
まず、第二中間層22上に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)を塗布した後、スピンコーターを用いてAZエレクトリックマテリアルズ製のポジ型フォトレジストAZ1500を塗布した。次に、必要に応じて、プリベイクすることで1μmのレジスト層23を形成した。尚、次に行われる露光工程で使用されるフォトマスクの遮光部には、31.5μm×94.5μmのサイズの約200nmの膜厚のクロム膜がパターン状に設けられていた。ここで上記クロム膜と、ポジ型レジストで構成されるレジスト層23と、の光透過率の合計は極めて小さく、有機EL素子の構成材料の吸収波長及び可視光の波長に対する光透過率は合わせて1%以下であった。また、有機EL素子の発光領域となる第一電極のサイズに対して、フォトマスクのサイズが一回り大きくなるように設計した。このため、図4で示すフォトマスク30の遮光部31と非遮光部32の境界L1と、発光領域Aと非発光領域Bとの境界L2との平面方向の距離Dは、フォトリソグラフィー法の解像度3.5μmの半分以上となっている。従って、露光工程を行う際に、露光機の光が第一有機化合物層2a(緑色有機化合物層)に照射されることはない。露光工程を行った後、現像及びポストベイクを行なった。この時点で、レジスト層23は、緑色副画素が設けられている領域にのみ残存していた。
【0074】
次に、パターニングされたレジスト層をマスクとして、四フッ化炭素ガス(CF4ガス)をエッチングガスとするドライエッチングを行なうことで、緑色副画素が設けられている領域以外の領域に設けられている中間層(21、22)を除去した。この時点で、緑色副画素が設けられている領域にのみ中間層(21、22)が残っていた。次に、パターニングされた中間層(21、22)をマスクとして、酸素ガスをエッチングガスとするドライエッチングを行なうことで、1色目の副画素(緑色副画素)以外の領域に設けられている第一有機化合物層2aを除去した。
【0075】
(第二有機化合物層の形成工程)
次に、真空蒸着法により、少なくとも下部電極11b上に、正孔輸送層12と、第二発光層13bと、正孔ブロック層19と、電子輸送層14と、からなる第二有機化合物層2bを形成した。尚、第二発光層13bには、赤色発光材料が含まれていた。
【0076】
(第二有機化合物層の加工工程)
次に、上述した第一有機化合物層2aの加工工程と同様のプロセスを実施することで、2色目の副画素(赤色副画素)以外の領域に設けられている第二有機化合物層2bが除去されるように加工した。
【0077】
(第三有機化合物層の形成工程)
次に、真空蒸着法により、少なくとも下部電極11c上に、正孔輸送層12と、第三発光層13cと、正孔ブロック層19と、電子輸送層14と、からなる第三有機化合物層2cを形成した。尚、第三発光層13cには、青色発光材料が含まれていた。
【0078】
(第三有機化合物層の加工工程)
次に、上述した第一有機化合物層2aの加工工程と同様のプロセスを実施することで、3色目の副画素(青色副画素)以外の領域に設けられている第三有機化合物層2cが除去されるように加工した。
【0079】
(中間層の除去工程)
次に、三種類の有機化合物層(2a、2b、2c)が形成されている基板10を水に浸漬し、第一中間層21を第二中間層22ごと除去した。尚、第一中間層21の構成材料であるPVPは水溶性であるため、基板10を水に浸漬したときにまず第一中間層21が水に溶けた後、この第一中間層21の溶解によって第二中間層22が有機化合物層(2a、2b、2c)上から剥離除去された。次に、有機化合物層の表面あるいは側面に付着した水分を除去するために100℃でベイクした。
【0080】
(共通層の形成工程)
次に、有機化合物層(2a、2b、2c)上に、下記式に示される有機材料と炭酸セシウムとを共蒸着させることにより各副画素に共通する層(共通層)である電子注入層15を形成した。このとき電子注入層15の膜厚を20nmとした。
【0081】
【化5】

【0082】
(共通電極の形成工程)
次に、スパッタリング法により、電子注入層15上に銀を成膜して共通電極である上部電極16を形成した。このとき上部電極16の膜厚を10nmとした。
【0083】
(封止工程)
最後に、窒素で充満されたグローブボックス内において、キャップガラスを用いて有機EL表示装置を封止した。以上により、有機EL表示装置を得た。
【0084】
(有機EL表示装置の評価)
得られた有機EL表示装置について、装置に含まれる緑色副画素の発光効率を測定・評価した。その結果、図5に示されるグラフが得られた。
【0085】
(画素領域の表面観察)
得られたEL表示装置に対して、有機顕微鏡観察を実施したが、第一有機化合物層、第二有機化合物層、第三有機化合物層のすべての画素領域ともに残渣は観察されなかった。
【0086】
[比較例1]
実施例1において、第一有機化合物層の加工工程で使用されるレジストを、ポジ型レジストに代えてネガ型レジストを使用した。これを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。図7は、本比較例における有機化合物層の加工工程を示す断面模式図を示す。実施例1と同様に、第一有機化合物層からレジスト層23までを形成し(図7(a))、第一有機化合物層を除去するパターンに応じた遮光部31と被遮光部32を有するフォトマスク30を用いてレジスト層23を露光する(図7(b))。その後、現像およびポストベイクを行う。本比較例ではネガ型レジストを用いているので、現像により、非遮光部31によって光が遮られ、露光されなかった領域のレジスト層23が除去される(図7(c))。次に、第二保護層22の表面に残るレジスト層をマスクとして、中間層(21、22)を除去し、さらに第一有機化合物層2aを除去した(図7(d))。
【0087】
得られた有機EL表示装置について、装置に含まれる緑色副画素の発光効率を測定・評価した。その結果、図6に示されるグラフが得られた。つまり、本比較例の有機EL表示装置は発光特性の一つである発光効率が実施例1の有機EL表示装置よりも劣っていることがわかった。
【0088】
図7は、本比較例における有機化合物層の加工工程を示す断面模式図である。ネガ型レジストを用いた場合、特に、図7(b)に示されるように、露光工程において露光機からの光が有機EL素子を構成する有機化合物層に到達し得る状況にあるといえる。このため有機化合物層(特に、第一発光層)の構成材料が露光機からの光によって変化(劣化)していることが確認された。一方、得られたEL表示装置に対して、有機顕微鏡観察を実施すると、第二有機化合物層、第三有機化合物層の画素領域に残渣が観察された。残渣に対して、二次イオン質量分析(SIMS)を実施したところ、PVP(ポリビニルピロリドン)であることが特定できた。これは、ネガレジストを使用したため、除去するべき副画素領域に対して、露光が行なわれていないために、中間層材料に紫外線が照射されず、分解されにくく、残渣となったと考えられる。
【符号の説明】
【0089】
1:有機EL表示装置、2a:第一有機化合物層、2b:第二有機化合物層、2c:第三有機化合物層、10:基板、11a(11b、11c)下部電極、12(12a、12b、12c):正孔輸送層、13a:第一発光層、13b:第二発光層、13c:第三発光層、14(14a、14b、14c)電子輸送層、15:電子注入層、16:上部電極、19(19a、19b、19c)正孔ブロック層、21(21a、21b、21c):第一中間層、22(22a、22b、22c):第二中間層、23(23a、23b、23c):レジスト層、30:フォトマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリソグラフィー法による有機化合物層のパターニング工程を有する有機EL表示装置の製造方法であって、
少なくとも低分子有機EL材料を含む有機化合物層を形成する工程と、
前記有機化合物層の上に中間層を形成する工程と、
前記中間層上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層にパターン状の遮光部を有するフォトマスクを介して紫外光を照射し、前記紫外光が照射された領域の前記レジスト層を部分的に除去する工程と、
前記レジスト層が除去された領域の前記有機化合物層を除去する工程と、を有しており、
前記レジスト層はポジ型レジストで構成される層であり、
前記中間層は、前記有機化合物層を溶解しない溶媒に対して選択的に溶解可能な、鎖状構造を有する高分子有機材料からなる層を含むことを特徴とする、有機EL表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記鎖状構造を有する高分子有機材料が、水溶性ポリマー材料又はアルコール可溶性ポリマー材料であることを特徴とする、請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記鎖状構造を有する高分子有機材料が、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記中間層が、前記鎖状構造を有する高分子有機材料からなる層の上に積層される無機材料からなる層を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記無機材料が、窒化シリコンであることを特徴とする、請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記フォトマスクの遮光部の光透過率と、前記ポジ型レジストで構成されるレジスト層の光透過率と、の合計が、前記紫外光に対して1%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記有機EL表示装置に含まれ、かつ互いに隣接する副画素がそれぞれ有する下部電極の間に設けられた部材の光透過率が、前記紫外光に対して85%以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記有機EL表示装置に含まれる互いに隣接する副画素がそれぞれ有する下部電極の間に設けられた部材の光透過率が、前記紫外光に対して15%以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機EL表示装置に含まれる透明電極の光透過率が、前記紫外光に対して90%以下であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機EL表示装置に含まれる平坦化膜の光透過率が、前記紫外光に対して1%以下であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84576(P2013−84576A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189766(P2012−189766)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】