説明

有機EL表示装置及びその製造方法

【課題】有機層が基板上の所定領域からずれたエリアに形成されるのを抑制し、輝度が高く画素欠陥の少ない有機EL表示装置を製造する。
【解決手段】有機EL表示装置100の製造方法は、基板110上に、該基板110上に配設された複数のマスクスペーサ123を介してマスク200を設け、該基板110下方からの蒸着により該基板110表面の所定部分に有機層124を形成する有機層蒸着工程を備えている。複数のマスクスペーサ123は、基板110上の表示領域に設けられていると共に、マスク200を基板110上に設けた際に該マスク200によってスペーサ頂部が包絡されるようにスペーサ頂部包絡手段を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理機器の多様化に伴い、陰極線管(CRT)よりも消費電力が少なく、薄型化が可能であるフラットパネルディスプレイに対する需要が高まってきている。低電圧駆動、全固体型、高速応答性、自発光性等の点で優れたフラットパネルディスプレイとしては、有機EL素子を備えた有機EL表示装置が挙げられる。
【0003】
フルカラー表示を行う有機EL表示装置の方式としては、赤色発光有機EL素子、緑色発光有機EL素子、及び青色発光有機EL素子を並置して画素を構成したRGB塗り分け方式や、白色発光有機EL素子と赤色、緑色、及び青色のカラーフィルタとを組み合わせたカラーフィルタ方式、青色発光有機EL素子と赤色・緑色への色変換フィルタとを組み合わせた色変換方式等が挙げられる。これらのうち、消費電力や色再現範囲に優れる点から、RGB塗り分け方式が広く採用されている。
【0004】
RGB塗り分け方式の有機EL表示装置において、各色の発光層をパターニングする方法として蒸着マスクを用いた真空蒸着法が挙げられる。
【0005】
特許文献1には、有機EL表示装置の発光層を蒸着マスクを用いた真空蒸着法で形成する方法において、表示領域内に隔壁部が形成されると共に、表示領域を取り囲む周辺領域内にスペーサ部が隔壁部よりも低い高さとなるように形成することが開示されている。
【特許文献1】特開2007−123023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蒸着マスクを用いて発光層を形成する場合、蒸着しようとする所定領域内からずれたエリアに発光層が形成されてしまうという問題がある。特に、フルカラー表示を行う有機EL素子においては、発光層が所定領域からずれて、隣接する他色の発光層の領域に形成されると、その部分が混色し有機EL表示装置全体としての輝度が低下してしまったり、蒸着されない部分が欠陥となり表示品位が低下したりする問題がある。
【0007】
本発明は、発光層が所定領域からずれて形成されるのを抑制して、表示輝度の高い有機EL表示装置を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、基板上に、該基板上に配設された複数のマスクスペーサを介してマスクを設け、該基板下方からの蒸着により該基板表面の所定部分に有機層を形成する有機層蒸着工程を備えたものであって、
複数のマスクスペーサは、基板上の表示領域に設けられていると共に、マスクを基板上に設けた際に該マスクによってスペーサ頂部が包絡されるようにスペーサ頂部包絡手段を構成していることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、基板にマスクの重ね合わせを行ったときに、マスクスペーサがスペーサ頂部包絡手段を構成しているので、マスクがスペーサ頂部を包絡した状態で保持される。これにより、マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合と比較して、表示領域中央においても表示領域周辺部においても基板とマスクとの距離を小さくすることができる。その結果として、基板上に有機層を蒸着する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができる。
【0010】
上記スペーサ頂部包絡手段は、複数のマスクスペーサの配設密度が不均一である構成であってもよい。
【0011】
その場合、上記複数のマスクスペーサの配設密度は、表示領域中央において最も大きく且つ該表示領域中央から外側に向かうに従って小さくなることが好ましい。
【0012】
或いは、上記複数のマスクスペーサの配設密度は、表示領域中央を含む直線状領域において最も大きく且つ該直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、マスクスペーサの配設密度が不均一であるので、マスクを重ね合わせると配設密度が小さい領域ではマスクスペーサが圧縮されてスペーサ高さが低くなる。そのため、マスクがスペーサ頂部を包絡するように位置付けることができる。
【0014】
上記スペーサ頂部包絡手段は、複数のマスクスペーサの頂面の面積が不均一である構成であってもよい。
【0015】
その場合、上記複数のマスクスペーサの頂面の面積は、表示領域中央において最も大きく且つ該表示領域中央から外側に向かうに従って小さくなることが好ましい。
【0016】
或いは、上記複数のマスクスペーサの頂面の面積は、表示領域中央を含む直線状領域において最も大きく且つ該直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、マスクスペーサの頂面の面積が不均一であるので、マスクを重ね合わせると頂面の面積が小さい領域ではマスクスペーサが圧縮されてスペーサ高さが低くなる。そのため、マスクがスペーサ頂部を包絡するように位置付けることができる。
【0018】
上記スペーサ頂部包絡手段は、複数のマスクスペーサの高さが不均一である構成であってもよい。
【0019】
その場合、上記複数のマスクスペーサの高さは、表示領域中央において最も高く且つ該表示領域中央から外側に向かうに従って低くなることが好ましい。
【0020】
或いは、上記複数のマスクスペーサの高さは、表示領域中央を含む直線状領域において最も高く且つ該直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って低くなってもよい。
【0021】
また、上記有機層蒸着上底の前に、基板上に連続多重露光によるフォトリソグラフィ技術により高さが不均一である複数のマスクスペーサを形成するスペーサ形成工程をさらに備えていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、マスクスペーサのスペーサ高さがマスクの撓みの形状に沿うように形成されるので、表示領域周辺部のマスクスペーサを圧縮して縮めるための外力をマスクに付与することなく、スペーサ頂部がマスクに包絡されるように基板に重ね合わせることができる。
【0023】
本発明の有機EL表示装置は、上記の有機EL表示装置の製造方法を用いて製造されたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、基板上に、該基板上に配設された複数のマスクスペーサを介してマスクを設け、該基板下方からの蒸着により該基板表面の所定部分に有機層を形成する有機層蒸着工程を備え、複数のマスクスペーサは、基板上の表示領域に設けられていると共に、マスクを基板上に設けた際に該マスクによってスペーサ頂部が包絡されるようにスペーサ頂部包絡手段を構成しているので、有機層が基板上の所定領域からずれて形成されるのを抑制することができ、結果として、輝度の高く、欠陥の少ない高品位の有機EL表示装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
《実施形態1》
(有機EL表示装置)
図1及び2は、実施形態1のRGBフルカラー表示の有機EL表示装置100を示す。この有機EL表示装置100は、例えば、携帯電話やカーナビ等のディスプレイとして用いられる。
【0027】
有機EL表示装置100は、TFT基板110上に有機EL素子120が設けられ、これらが不活性ガス雰囲気下で接着剤を介して設けられたガラス、フィルム等からなる封止部材(それぞれ不図示)により封止された構造を有する。そして、それらによって複数の画素130がマトリクス状に構成されており、画素130によって画像表示を行う。なお、各画素130のそれぞれは、赤色補助画素131R、緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bの3つの補助画素で構成されている。
【0028】
TFT基板110は、絶縁基板110上に複数のゲート線が横方向に並行に延びるように設けられていると共に、複数のソース線がゲート線の延びる方向と角度をなす方向(典型的には直交方向)に並行に延びるように設けられ、ゲート線とソース線との各交差部に対応してTFTが設けられている。TFTは、各画素130に対応するようにマトリクス状に複数配設されており、対応するゲート線及びソース線のそれぞれに電気的に接続されている。また、TFT基板110には、TFTの上層に平坦化膜が設けられている。TFT基板110は、例えばガラス又はプラスチック等の絶縁性の材料で構成されている。TFT基板110は、例えば厚さが0.7〜1.1mm、縦長さが400〜500mm、及び横長さが300〜400mmである。
【0029】
有機EL素子120は、TFT基板110表面に設けられており、TFT基板110上に第1電極121がパターン形成され、画素表示を行わない領域にエッジカバー122及びマスクスペーサ123が設けられていると共に、画素表示部分には有機層124及び第2電極125が順に積層された構成を有する。
【0030】
第1電極121は、導電性材料で形成されており、TFT基板110の平坦化膜上に各画素130に対応するように設けられている。第1電極121は、有機層124にホール(正孔)を注入する機能を有する。第1電極121は、例えばITO,IZO,ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の導電性の材料で構成されている。第1電極121は、例えば厚さが50〜150nmである。
【0031】
第1電極121上には、画素130と画素130との間の部分や補助画素131と補助画素131との間の部分に、絶縁性の材料でエッジカバー122が設けられている。エッジカバー122は、隣り合う補助画素131同士を隔てる隔壁部としての機能を有すると共に、第1電極121の端部を被覆することにより端部での第1電極121と第2電極125との短絡を防止する機能を有する。エッジカバー122は、例えば幅が10〜100μm及び高さが0.3〜2μmの壁状に形成されている。エッジカバー122を形成している材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ゾル−ゲル樹脂、ノボラック樹脂等の感光性樹脂が挙げられる。また、アクリル系樹脂としては、例えばJSR社製のオプトマーシリーズ等を用いることができる。
【0032】
エッジカバー122の所定部分には、基板110とは反対の方向に突出するように柱状のマスクスペーサ123が設けられている。マスクスペーサ123は、後述する有機EL表示装置100の製造において、蒸着の際に蒸着マスク200を重ね合わせるときのスペーサとしての機能を有する。これにより、蒸着の際に蒸着マスク200が基板110に直接接触して基板110の表面が損傷を受けることを防止できる。マスクスペーサ123を形成している材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ゾル−ゲル樹脂、ノボラック樹脂等の感光性樹脂が挙げられる。また、アクリル系樹脂としては、例えばJSR社製のオプトマーシリーズ等を用いることができる。マスクスペーサ123は、エッジカバー122と同一の材料で形成されていても、異種の材料で形成されていてもよい。マスクスペーサ123のそれぞれは、例えば、断面形状が径4〜70μmの円形であって、高さが0.3〜6μmである。
【0033】
ここで、マスクスペーサ123が単位面積あたりに配設されている本数を配設密度という。マスクスペーサ123は、図3に示すように、基板110上の表示領域の中央部において配設密度が最も大きく、表示領域中央から外側に向かうに従って、配設密度が小さくなっている。そして、複数のマスクスペーサ123の配設密度が不均一であることが、後述の製造工程におけるスペーサ頂部包絡手段を構成している。マスクスペーサ123の配設密度は、表示領域中央においては例えば400〜850本/mmであり、また、表示領域周辺部においては例えば7〜45本/mmである。表示領域中央から表示領域周辺部にかけてのマスクスペーサ123の配設密度の分布は、製造において蒸着の際に蒸着マスク200を重ね合わせたときに、蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うような高さ分布となるように設計されている。この分布については、製造方法の項において詳細に後述する。なお、この配設密度の分布は、例えば、基板平面上に略同心円状に広がっていてもよい。
【0034】
有機層124は、第1電極121側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層が順に積層された構造を有する。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は必須ではなく、必要に応じて積層すればよく、削除することも可能である。
【0035】
正孔注入層及び正孔輸送層は、それぞれ発光層への正孔注入効率及び正孔輸送効率を高める機能を有する。正孔注入層及び正孔輸送層の材料としては、例えば、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、或いはこれらの誘導体、又は、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物或いはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマー或いはポリマー等が挙げられる。正孔注入層及び正孔輸送層は、それぞれ独立に構成されていても一体に構成されていてもよく、後者の場合は、例えば厚さが10〜100nmである。
【0036】
発光層は、第1電極121側から注入されたホール(正孔)と第2電極125側から注入された電子とを再結合させて光を出射させる機能を有する。発光層は、低分子蛍光色素、蛍光性の高分子、金属錯体等の発光効率が高い材料で形成されている。発光層の材料としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、インデン、フェナントレン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン、アントラセン、ペリレン、ピセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、ペンタフェン、ペンタセン、コロネン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、或いはこれらの誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体ジトルイルビニルビフェニルが挙げられる。発光層は、例えば厚さが30〜100nmである。
【0037】
電子輸送層及び電子注入層は、それぞれ、第2電極125から発光層への電子輸送効率及び電子注入効率を高める機能を有する。電子輸送層及び電子注入層の材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、又はこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリン又はこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。電子輸送層及び電子注入層は、それぞれ独立に構成されていても一体に構成されていてもよく、後者の場合は、例えば厚さが10〜100nmである。
【0038】
第2電極125は、有機層124に電子を注入する機能を有する。第2電極125の材料としては、例えば、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム、仕事関数の小さい金属等が挙げられる。第2電極125は、例えば厚さが50〜100nmである。
【0039】
第2電極125を覆うように保護膜(図示せず)が設けられていてもよい。保護膜は、絶縁性や導電性の材料で形成されており、厚さが例えば100〜1000nmである。保護膜は、水や酸素が有機層124へ混入するのを阻止する機能を有する。
【0040】
封止部材は、例えば、ガラスやシリコンで形成されている。封止部材は、例えば熱硬化性樹脂の接着剤でTFT基板110に接着されており、有機層124に水や酸素等が混入しないように有機EL素子120を封止する機能を有する。微量に混入した水や酸素を捕捉するために、さらに乾燥剤が封入されていてもよい。
【0041】
封止部材やTFT基板110の外側表面にはそれぞれ偏光板が設けられていてもよい。
【0042】
以上の構成の有機EL表示装置100では、各画素130において、TFTがオンとなった際に、有機層124に対し、第1電極121からホール(正孔)が注入されると共に第2電極125から電子が注入され、それらのホールと電子とが発光層で再結合し、それによって放出されたエネルギーが発光層の発光材料を励起させ、励起された発光材料が励起状態から基底状態に戻るときに蛍光や燐光を放出し、その蛍光や燐光が有機層124の発光として外部に出射され、画素130全体として所定の画像を表示することとなる。
【0043】
なお、本実施形態では、第1電極121が陽極及び第2電極125が陰極である構成としたが、第1電極121が陰極及び第2電極125が陽極の逆構造型有機EL素子であってもよい。この場合、第1電極121から有機層124に電子が注入されると共に第2電極125から有機層124にホールが注入されて両者が再結合することにより有機層124が発光し、画素130全体として所定の画像を表示を行う。
【0044】
また、本実施形態ではTFTアレイが形成されたアクティブ型の有機EL表示装置100について説明したが、特にこれに限られるものではなく、例えばTFTアレイが形成されていないパッシブ型の有機EL表示装置であってもよい。
【0045】
さらに、本実施形態ではRGBの3色の補助画素131で1画素130が構成されているとしたが、特にこれに限られず、例えば白色発光を行う白色補助画素を加えたRGBWの4色の補助画素で1画素が構成されていてもよい。また、各補助画素131が図1等に示すように矩形に形成されていてもよく、その他の形状であってもよい。また、各補助画素131の配置も特にこれに限定されるものではない。
【0046】
さらに、本実施形態では、基板110側から光を取り出すボトムエミッション型の構成としたが、封止部材側から光を取り出すトップエミッション型の構成としてもよい。その場合、第1電極121は例えばアルミニウムや銀合金(APC等)の反射性の材料で形成され、第2電極125は光透過性の材料で例えば10〜30nmの厚さとなるように形成される。
【0047】
(有機EL表示装置の製造方法)
次に、上記有機EL表示装置100の製造方法について説明する。この有機EL表示装置100の製造方法は、第1電極等形成工程、有機層蒸着工程、及び第2電極等形成工程を備えている。
【0048】
<第1電極等形成工程>
まず、公知の方法により作製したTFT基板110の平坦化膜に各TFT毎にドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成する。そして、スパッタ法によって、そのコンタクトホールと電気的に接続するように第1電極121となるITO膜を形成し、フォトリソグラフィを用いてパターニングを行い、さらに、エッチング液として塩化第2鉄を用いてエッチングをすることにより、各画素表示領域に対応する形状の第1電極121を形成する。
【0049】
次に、補助画素131の発光領域以外の部分に対応するようにエッジカバー122を形成する。まず、例えばスピンコート法によって絶縁膜を形成し、フォトリソグラフィを用いてパターニングを行い、その後に熱硬化を行ってエッジカバー122を形成する。
【0050】
続いて、エッジカバー122上の所定の領域に柱状のマスクスペーサ123を形成する。
【0051】
まず、例えばスピンコート法によって、アクリルからなる感光性樹脂を6μm程度の膜厚となるようにして塗布する。なお、感光性樹脂膜を塗布した後にプリベークを行った後に、再度塗布とプリベークの工程を繰り返すことによって感光性樹脂膜を任意の厚さに成膜してもよい。
【0052】
感光性樹脂膜を塗布した後、これを任意のパターン形状が描かれた露光マスクで覆って露光し、露光マスクの形成されていない部分をエッチングして、所定のパターン形状のマスクスペーサ123を形成する。感光性樹脂膜の露光は、ステッパ露光方式等の分割露光方式で行ってもよく、ミラープロジェクション露光方式等の一括露光方式で行ってもよい。
【0053】
このとき、マスクスペーサ123の配設密度が、表示領域中央において最も大きく、且つ、その表示領域中央から外側に向かうに従って小さくなるようにパターニングする。この配設密度の分布は、後工程である有機層蒸着工程において蒸着マスク200を重ね合わせたときに蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うような高さ分布となるように計算した配設密度の分布とする。
【0054】
なお、フックの法則を用いて配設密度の分布を計算する。具体的には、加わる力をF,1画素あたりのマスクスペーサ面積をS,マスクスペーサのひずみ量をε、ヤング率をE,マスクスペーサの変形量をΔL、マスクスペーサの元の長さをL,1画素あたりのマスクスペーサの個数をη、及び、マスクスペーサの面積をsとして、以下の数1で表される。
【0055】
【数1】

【0056】
これより、ひずみ量εは、1画素あたりのマスクスペーサの面積に反比例することが分かる。つまり、マスクスペーサの配設密度が小さくなると、マスクスペーサの圧縮による変形量が大きくなる。
【0057】
数1に基づいて所定のひずみ量となるように計算を行った計算例を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1において、マスク撓み変化率は、その位置における単位長さ当たりに対する撓み量の変化度合いを示している。また、スペーサ高さ変化率はその位置における単位長さ当たりに対するスペーサ高さの変化度合いを示している。なお、ここではスペース高さ変化率がマスク撓み変化率を超えないように規定している。これにより、マスクスペーサ123の変形によって蒸着マスク200と基板110との間に想定しない空隙が発生することを抑制することができる。このマスク撓み変化率に従ってマスクスペーサ123が分布するようにパターニングする。
【0060】
<有機層蒸着工程>
次いで、蒸着マスク200を用いた真空蒸着法によって、第1電極121上に有機層124を形成する。具体的には、例えば、有機層124が低分子型の有機層124である場合、まず、NPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl-benzidene)の正孔注入層兼正孔輸送層を成膜し、次に、発光層を成膜した後、Alq3(アルミニウムキノリノール錯体(aluminato-tris-8-hydroxyquinolate))の電子輸送層兼電子注入層を成膜することにより形成する。
【0061】
以下、この真空蒸着法について詳述する。この真空蒸着法では、蒸着マスク200と、基板ホルダ41、マスクホルダ42、及び蒸着源43を備えた真空チャンバとを使用する。真空チャンバには蒸着源43が複数設けられていてもよい。蒸着マスク200は、例えば、インバー、ニッケル等で構成されている。蒸着マスク200は、例えば、縦長さが400〜500mm、横長さが300〜400mm、及び厚さが10〜100μmであり、マスクフレームで固定されている。マスクフレームは例えば幅40mm、厚さ30mmである。なお、蒸着源43は、基板110の下方に位置している。基板110の上方から有機物の蒸着を行った場合、蒸着分子同士が結合して大きな塊(クラスタ)となり、基板上に形成する膜が不揃いの大きさの粒子で構成されることとなり好ましくないが、基板の下方から蒸着した場合、クラスタは自重により下方(蒸着源43側)に落ちてしまうので、基板上には均一な大きさの粒子からなる膜を形成することができる。
【0062】
まず、図4に示すようにTFT基板110を基板ホルダ41に取り付ける。このとき、有機層124を形成する面が下になるようにする。
【0063】
次に、マスクホルダ42に蒸着マスク200を取り付ける。このとき、マスクホルダ42で保持した部分を上方に引き上げる力を加え、蒸着マスク200がマスクスペーサ123に密着するような張力を与える。なお、ここでいう密着とは、マスクスペーサ123の配設密度が小さい部分に圧力がかかる程度に蒸着マスク200がマスクスペーサ123に密着していればよく、全てのマスクスペーサ123が蒸着マスク200と接することを要さない。
【0064】
図5及び6は、マスクスペーサ123の配設密度の分布を示す図である。図7(a)に示す配設密度の大きい表示領域中央においては、蒸着マスク200に上向きの張力が付与されても、マスクスペーサ123が圧縮されてスペーサ高さが低くなることはない。一方、図7(b)に示す配設密度の小さい表示領域周辺部においては、蒸着マスク200に上向きの張力が付与されることにより、マスクスペーサ123が圧縮されて、表示領域中央よりもスペーサ高さが低くなる。これによってマスクスペーサのスペーサ高さが不均一化されるので、蒸着マスク200をマスクホルダ42に取り付けることにより、マスクスペーサ123が蒸着マスク200に包絡されるように位置する状態となる。
【0065】
続いて、蒸着源43を加熱して蒸着を行う。このときの蒸着条件は、例えば、温度が200〜300℃、圧力が10−5〜10−4Pa,及び蒸着速度が0.05〜0.1nm/secである。この蒸着を行うことによってTFT基板110上に有機層124を形成する。
【0066】
なお、蒸着マスク200を用いた真空蒸着法によって有機層124を形成するとして説明したが、少なくとも発光層をこの方法によって形成すればよく、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層については、パターニングを行って形成する必要のないときは蒸着マスク200を使用しない。
【0067】
<第2電極等形成工程>
続いて、例えば真空蒸着法等を用いて、画素領域の全体に第2電極125を形成する。
【0068】
そして、イオンビームスパッタ法等によって第2電極125を覆うように保護膜を形成する。続いて、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で有機EL素子が形成された基板を封止樹脂及び封止ガラスで封止する。また、必要に応じてカラーフィルタ基板や偏光板等を貼り合わせる。このようにして有機EL表示装置100が製造される。
【0069】
−実施形態1の効果−
実施形態1の構成によれば、マスクスペーサ123の配設密度が表示領域中央において最も大きく、且つ表示領域周辺部に向かうに従って小さくなっているので、基板に蒸着マスク200を重ね合わせると、配設密度の小さい表示領域周辺部に設けられたマスクスペーサ123が圧縮されて表示領域中央のマスクスペーサ123よりもスペーサ高さが低くなる。こうして、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持される。
【0070】
蒸着マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合には、基板と蒸着マスクとの距離は、表示領域中央においてはマスクスペーサの長さに蒸着マスクの撓み分を加えた長さとなっている。また、表示領域周辺部においてはマスクスペーサの長さとなっている。しかしながら、実施形態1によれば、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持されているので、基板と蒸着マスク200との距離は、表示領域中央においては、図8(a)に示すようにスペーサ高さの長さとなっている。また、表示領域周辺部においては、図8(b)に示すように圧縮されて縮められたスペーサ高さの長さとなっている。したがって、表示領域中央においても表示領域周辺部においても基板と蒸着マスク200との距離を小さくすることができる。その結果、基板上に有機層を蒸着形成する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができて高輝度で画素欠陥の少ない高品位の有機EL表示装置を得ることができる。さらに、蒸着ずれが抑制されることにより、各補助画素の領域の境界部分での混色が抑制されるので、コントラスト比の優れた有機EL表示装置が得られる。
【0071】
また、実施形態1にかかるスペーサ頂部包絡手段は、マスクスペーサ123の形成パターンを工夫することによって設けることができるので、製造方法に複雑な工程を追加することなく容易に上記の効果を得ることができる。
【0072】
《実施形態2》
(有機EL表示装置)
実施形態2にかかる有機EL表示装置100は、マスクスペーサ123の形成パターンを除いて、実施形態1にかかる有機EL表示装置100と同一の構成を有する。なお、同一名称の構成については、実施形態1と共通の参照符号を用いて説明する。
【0073】
図9は、実施形態2にかかるマスクスペーサ123の配設レイアウトを示す。
【0074】
複数のマスクスペーサ123は、基板110上の表示領域の中央部を含む直線状領域(図9では、基板中央の縦方向の直線状領域)において配設密度が最も大きく、この直線状領域の両側のそれぞれの外側(図9では、左方及び右方)に向かうに従って、配設密度が小さくなっている。マスクスペーサ123の配設密度は、直線状領域においては例えば400〜850本/mmであり、また、その周辺部においては例えば7〜45本/mmである。表示領域中央から表示領域周辺部にかけてのマスクスペーサ123の配設密度の分布は、製造において蒸着の際に蒸着マスク200を重ね合わせたときに、蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うような高さ分布となるように設計されている。図10及び11は、マスクスペーサ123の配設密度の分布を示す図である。
【0075】
なお、図9では基板の縦方向が直線状領域の直線方向となっているが、特にこれに限られるものではなく、例えば基板の斜め方向が直線状領域の直線方向であってもよい。
【0076】
(有機EL表示装置の製造方法)
実施形態2の有機EL表示装置の製造方法は、マスクスペーサ123の配設密度が、表示領域の中央部を含む直線状領域において最も大きく、直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなるようにマスクスペーサ123を形成することを除いて、実施形態1と同一である。
【0077】
なお、赤色補助画素131R、緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bが図9に示すようにそれぞれ矩形であって、三者が横に並列して配されており、さらに、隣り合う画素130同士において赤色補助画素131Rと赤色補助画素131R、緑色補助画素131Gと緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bと青色補助画素131Bが隣り合うように配置されている(以下、「ライン状に並んで配されている」という)とき、ライン方向と直線状領域の直線方向とが一致するようにマスクスペーサ123の配設密度の分布を設けることが好ましい。この場合、直線方向には配設密度の分布を設けないので直線方向の蒸着ずれの抑制効果は実施形態1の場合に比べて劣るものの、直線方向には同じ色の発光を行う有機層124が設けられるので、蒸着ずれが起こったとしても異なる色同士の混色は生じない。
【0078】
−実施形態2の効果−
実施形態2の構成によれば、マスクスペーサ123の配設密度が表示領域中央を含む直線状領域において最も大きく、且つその直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなっているので、基板に蒸着マスク200を重ね合わせると、配設密度の小さい外側の領域に設けられたマスクスペーサ123が圧縮されて直線状領域のマスクスペーサ123よりもスペーサ高さが低くなる。こうして、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持される。
【0079】
蒸着マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合には、基板と蒸着マスクとの距離は、直線状領域においてはマスクスペーサの長さに蒸着マスクの撓み分を加えた長さとなっている。また、外側の領域においてはマスクスペーサの長さとなっている。しかしながら、実施形態2によれば、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持されているので、基板と蒸着マスク200との距離は、直線状領域においてはスペーサ高さの長さとなっている。また、外側の領域においては圧縮されて縮められたスペーサ高さの長さとなっている。したがって、直線状領域においてもその外側の領域においても基板と蒸着マスク200との距離を小さくすることができる。その結果、基板上に有機層を蒸着形成する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができて高輝度で画素欠陥の少ない高品位の有機EL表示装置を得ることができる。さらに、蒸着ずれが抑制されることにより、各補助画素の領域の境界部分での混色が抑制されるので、コントラスト比の優れた有機EL表示装置が得られる。
【0080】
また、実施形態2にかかるスペーサ頂部包絡手段は、マスクスペーサ123の形成パターンを工夫することによって設けることができるので、製造方法に複雑な工程を追加することなく容易に上記の効果を得ることができる。しかも、直線状領域の直線方向には配設密度の分布を設けないので、実施形態1よりも容易に設計することができる。特にマスクスペーサ123のパターニングをステッパ露光方式によって行う場合には、使用する露光枚数を低減できる可能性があり、有機EL表示装置100の製造が容易になる。
【0081】
なお、各色補助画素131がライン状に並んで配された有機EL表示装置100の場合、直線方向に配設密度の分布を設けないので実施形態1と比較して直線方向の蒸着ずれの抑制効果が低減されるものの、直線方向には同じ色の発光を行う有機層124が設けられるので、異なる色同士の混色は生じない。
【0082】
《実施形態3》
(有機EL表示装置)
実施形態3にかかる有機EL表示装置100は、マスクスペーサ123の形成パターンを除いて実施形態1と同一の構成を有する。
【0083】
図12は、実施形態3にかかるマスクスペーサ123の配設レイアウトを示す。ここでは、基板110上の表示領域におけるマスクスペーサ123の配設密度は一定となっている。複数のマスクスペーサ123は、頂面の面積が不均一であり、スペーサ頂部包絡手段を構成している。なお、マスクスペーサ123の頂面の面積とは、蒸着マスク200を基板に重ね合わせる時に蒸着マスク200と接する部分の面積を意味する。
【0084】
複数のマスクスペーサ123は、基板110上の表示領域中央部のマスクスペーサ123の頂面の面積が最も大きく、表示領域中央から外側に向かうに従って、マスクスペーサ123の頂面の面積が小さくなるように設けられている。それぞれのマスクスペーサ123の頂面の面積は、表示領域中央においては例えば700〜4000μmであり、また、表示領域周辺部においては例えば13〜80μmである。表示領域中央から表示領域周辺部にかけてのマスクスペーサ123の頂面の面積の分布は、蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うような高さ分布となるように設計されている。
【0085】
(有機EL表示装置の製造方法)
次に、上記有機EL表示装置100の製造方法について説明する。この有機EL表示装置100の製造方法は、第1電極等形成工程、有機層蒸着工程、及び第2電極等形成工程を備えている。
【0086】
<第1電極等形成工程>
まず、実施形態1と同一の方法によって、TFT基板110、第1電極121、及びエッジカバー122を形成する。
【0087】
次に、実施形態1と同様に、エッジカバー122上にマスクスペーサ123を形成する。このとき、実施形態1とは異なったパターニングを行ってマスクスペーサ123を形成する。すなわち、表示領域におけるマスクスペーサ123の配設密度は一定である一方、複数のマスクスペーサ123のそれぞれの頂面の面積が示領域中央において最も大きく、且つ、その表示領域中央から外側に向かうに従って小さくなるように形成する。この頂面の面積の分布は、後工程である有機層蒸着工程において蒸着マスク200を重ね合わせたときに蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うような高さ分布となるように計算した分布とする。
【0088】
なお、フックの法則を用いて頂面の面積の分布を計算する。具体的には、加わる力をF,1画素あたりのマスクスペーサ面積をS,マスクスペーサのひずみ量をε、ヤング率をE,マスクスペーサの変形量をΔL、及び、マスクスペーサの元の長さをLとして、以下の数2で表される。
【0089】
【数2】

【0090】
これより、ひずみ量εは、1画素あたりのマスクスペーサの面積Sに反比例することが分かる。つまり、マスクスペーサの配設密度が一定のまま1画素あたりのマスクスペーサの頂面の面積が小さくなると、マスクスペーサの圧縮による変形量が大きくなる。
【0091】
数2に基づいて所定のひずみ量となるように計算を行った計算例を表2に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
表2において、マスクスペーサ頂面面積比は、表示領域中央に設けられたマスクスペーサの頂面の面積を1としたときのマスクスペーサの頂面の面積の比を示す。このマスクスペーサ頂面面積比に従ってマスクスペーサ123が分布するようにパターニングする。図13及び14は、マスクスペーサ123の頂面の面積の分布を示す図である。
【0094】
<有機層蒸着工程>
実施形態1と同一の方法によって、真空蒸着法を用いて有機層124を形成する。このとき、図15(a)に示す頂面の面積の大きい表示領域中央においては、蒸着マスク200に上向きの張力が付与されても、マスクスペーサ123が圧縮されてスペーサ高さが低くなることはない。一方、図15(b)に示す頂面の面積の小さい表示領域周辺部においては、蒸着マスク200に上向きの張力が付与されることにより、マスクスペーサ123が圧縮されて、表示領域中央よりもスペーサ高さが低くなる。これによってマスクスペーサのスペーサ高さが不均一化されるので、蒸着マスク200をマスクホルダ42に取り付けることにより、マスクスペーサ123が蒸着マスク200に包絡されるように位置する状態となる。
【0095】
<第2電極等形成工程>
実施形態1と同一の方法によって、第2電極125、保護膜、封止部材等を形成する。これにより、実施形態3にかかる有機EL表示装置100が完成する。
【0096】
−実施形態3の効果−
実施形態3の構成によれば、マスクスペーサ123の頂面の面積が表示領域中央において最も大きく、且つ表示領域周辺部に向かうに従って小さくなっているので、基板に蒸着マスク200を重ね合わせると、頂面の面積の小さい表示領域周辺部に設けられたマスクスペーサ123が圧縮されて表示領域中央のマスクスペーサ123よりもスペーサ高さが低くなる。こうして、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持される。
【0097】
蒸着マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合には、基板と蒸着マスクとの距離は、表示領域中央においてはマスクスペーサの長さに蒸着マスクの撓み分を加えた長さとなっている。また、表示領域周辺部においてはマスクスペーサの長さとなっている。しかしながら、実施形態1によれば、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持されているので、基板と蒸着マスク200との距離は、表示領域中央においてはスペーサ高さの長さとなっている。また、表示領域周辺部においては圧縮されて縮められたスペーサ高さの長さとなっている。したがって、表示領域中央においても表示領域周辺部においても基板と蒸着マスク200との距離を小さくすることができる。その結果、基板上に有機層を蒸着形成する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができて高輝度の有機EL表示装置を得ることができる。さらに、蒸着ずれが抑制されることにより、各補助画素の領域の境界部分での混色が抑制されるので、コントラスト比の優れた有機EL表示装置が得られる。
【0098】
また、実施形態3にかかるスペーサ頂部包絡手段は、マスクスペーサ123の形成パターンを工夫することによって設けることができるので、製造方法に複雑な工程を追加することなく容易に上記の効果を得ることができる。
【0099】
《実施形態4》
(有機EL表示装置)
実施形態4にかかる有機EL表示装置100は、マスクスペーサ123の形成パターンを除いて、実施形態3にかかる有機EL表示装置100と同一の構成を有する。
【0100】
図16は、実施形態4にかかるマスクスペーサ123の配設レイアウトを示す。
【0101】
複数のマスクスペーサ123は、基板110上の表示領域の中央部を含む直線状領域(図16では、基板中央の縦方向の直線状領域)において頂面の面積が最も大きく、この直線状領域の両側のそれぞれの外側(図16では、左方及び右方)に向かうに従って、頂面の面積が小さくなっている。マスクスペーサ123の頂面の面積は、直線状領域においては例えば700〜4000μmであり、また、その周辺部においては例えば13〜80μmである。表示領域中央から表示領域周辺部にかけてのマスクスペーサ123の頂面の面積の分布は、製造において蒸着の際に蒸着マスク200を重ね合わせたときに、蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うような高さ分布となるように設計されている。図17及び18は、マスクスペーサ123の頂面の面積の分布を示す図である。
【0102】
(有機EL表示装置の製造方法)
実施形態4の有機EL表示装置の製造方法は、マスクスペーサ123の頂面の面積が、表示領域の中央部を含む直線状領域において最も大きく、直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなるようにマスクスペーサ123を形成することを除いて、実施形態3と同一である。
【0103】
なお、赤色補助画素131R、緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bが図9に示すようにそれぞれ矩形であって、三者が横に並列して配されており、さらに、隣り合う画素130同士において赤色補助画素131Rと赤色補助画素131R、緑色補助画素131Gと緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bと青色補助画素131Bがライン状に並んで配されているとき、ライン方向と直線状領域の直線方向とが一致するようにマスクスペーサ123の配設密度の分布を設けることが好ましい。この場合、直線方向には頂面の面積の分布を設けないので直線方向の蒸着ずれの抑制効果は実施形態1の場合に比べて劣るものの、直線方向には同じ色の発光を行う有機層124が設けられるので、蒸着ずれが起こったとしても異なる色同士の混色は生じない。
【0104】
−実施形態4の効果−
実施形態4の構成によれば、マスクスペーサ123の頂面の面積が表示領域中央を含む直線状領域において最も大きく、且つその直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなっているので、基板に蒸着マスク200を重ね合わせると、頂面の面積の小さい外側の領域に設けられたマスクスペーサ123が圧縮されて直線状領域のマスクスペーサ123よりもスペーサ高さが低くなる。こうして、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持される。
【0105】
蒸着マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合には、基板と蒸着マスクとの距離は、直線状領域においてはマスクスペーサの長さに蒸着マスクの撓み分を加えた長さとなっている。また、外側の領域においてはマスクスペーサの長さとなっている。しかしながら、実施形態4によれば、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持されているので、基板と蒸着マスク200との距離は、直線状領域においてはスペーサ高さの長さとなっている。また、外側の領域においては圧縮されて縮められたスペーサ高さの長さとなっている。したがって、直線状領域においてもその外側の領域においても基板と蒸着マスク200との距離を小さくすることができる。その結果、基板上に有機層を蒸着形成する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができて高輝度で画素欠陥の少ない高品位の有機EL表示装置を得ることができる。さらに、蒸着ずれが抑制されることにより、各補助画素の領域の境界部分での混色が抑制されるので、コントラスト比の優れた有機EL表示装置が得られる。
【0106】
また、実施形態4にかかるスペーサ頂部包絡手段は、マスクスペーサ123の形成パターンを工夫することによって設けることができるので、製造方法に複雑な工程を追加することなく容易に上記の効果を得ることができる。しかも、直線状領域の直線方向には頂面の面積の分布を設けないので、実施形態3よりも容易に設計することができる。特にマスクスペーサ123のパターニングをステッパ露光方式によって行う場合には、使用する露光枚数を低減できる可能性があり、有機EL表示装置100の製造が容易になる。
【0107】
なお、各色補助画素131がライン状に並んで配された有機EL表示装置100の場合、直線方向に頂面の面積の分布を設けないので実施形態3と比較して直線方向の蒸着ずれの抑制効果が低減されるものの、直線方向には同じ色の発光を行う有機層124が設けられるので、異なる色同士の混色は生じない。
【0108】
《実施形態5》
(有機EL表示装置)
実施形態5にかかる有機EL表示装置100は、マスクスペーサ123の形成パターン及びスペーサ高さを除いて実施形態1と同一の構成を有する。
【0109】
図19は、実施形態5にかかるマスクスペーサ123の配設レイアウトを示す。ここでは、基板110上の表示領域におけるマスクスペーサ123の配設密度は一定となっており、また、マスクスペーサ123の頂面の面積も全て一定となっている。複数のマスクスペーサ123は、それぞれの高さが不均一であり、後述の製造工程におけるスペーサ頂部包絡手段を構成している。
【0110】
複数のマスクスペーサ123は、基板上の表示領域中央部のマスクスペーサ123の高さが最も高く、表示領域中央から外側に向かうに従って、マスクスペーサ123の高さが低くなるように設けられている。それぞれのマスクスペーサ123の高さは、表示領域中央においては例えば5〜6μmであり、また、表示領域周辺部においては例えば0.3〜1.5μmである。表示領域中央から表示領域周辺部にかけてのマスクスペーサ123の高さの分布は、製造において蒸着の際に蒸着マスク200を重ね合わせたときに、蒸着マスク200によって圧縮変形されて蒸着マスク200の撓み形状に沿うように設計されている。
【0111】
(有機EL表示装置の製造方法)
次に、上記有機EL表示装置100の製造方法について説明する。この有機EL表示装置100の製造方法は、第1電極等形成工程、有機層蒸着工程、及び第2電極等形成工程を備えており、第1電極等形成工程はスペーサ形成工程をさらに備えている。
【0112】
<第1電極等形成工程>
まず、実施形態1と同一の方法によって、TFT基板110、第1電極121、及びエッジカバー122を形成する。
【0113】
−スペーサ形成工程−
次に、エッジカバー122上にマスクスペーサ123を形成する。このとき、表示領域におけるマスクスペーサ123の配設密度は一定であり、複数のマスクスペーサ123のそれぞれの頂面の面積も均一である一方、スペーサ高さが、表示領域中央部のマスクスペーサ123の高さが最も高く、表示領域中央から外側に向かうに従って、マスクスペーサ123の高さが低くなるようにマスクスペーサ123を形成する。なお、例えば連続多重露光を行って、スペーサ高さが一様ではないマスクスペーサ123の形成を行う。
【0114】
まず、実施形態1と同様にマスクスペーサ123を形成する。このとき、基板110の表示領域全体において配設密度及び頂面の面積が一様であって且つスペーサ高さの均一なパターンとなるようにマスクスペーサ123を形成する。
【0115】
次いで、スペース高さが均一なマスクスペーサ123に連続多重露光を行ってスペーサ高さを調整する。ここでは、図20に示すように、表示領域中央を第1領域110A、第1領域110Aを囲む領域を第2領域110B、第2領域110Bを囲む領域を第3領域110C、第3領域110Cを囲む領域を第4領域110D、及び、第4領域110Dを囲む領域であって表示領域周辺部を第5領域110Eとする。
【0116】
まず、第1領域110Aをマスクして、マスクスペーサ123のパターニングを行う時の露光よりも弱い強度で露光を行う。これにより、第2〜第5領域におけるマスクスペーサ123を、図21(a)に示す第1領域110Aと同じ高さの状態から、図21(b)に示したそれよりも低い高さに形成する。
【0117】
次に、第1領域110A及び第2領域110Bをマスクして、マスクスペーサ123のパターニングを行う時の露光よりも弱い強度で露光を行う。これにより、図21(c)に示すように、第3〜第5領域におけるマスクスペーサ123のスペーサ高さが第1、第2領域よりも低くなる。
【0118】
さらに弱い強度での露光を繰り返すことによって、マスクスペーサ123のスペーサ高さは図20(a)に示すように、第1領域110Aにおいて最も高く、表示領域周辺部に行くに従って低くなるようにマスクスペーサ123を形成することができる。
【0119】
マスクスペーサ123のそれぞれの高さの分布は、後工程である有機層蒸着工程において蒸着マスク200を重ね合わせたときに、蒸着マスク200の撓み形状に沿うような分布となるように計算した高さの分布とする。
【0120】
マスクスペーサ123の高さの分布の計算を行った計算例を表3に示す。このマスクスペーサ123の高さに従ってマスクスペーサ123が分布するようにパターニングする。
【0121】
【表3】

【0122】
なお、ここでは第1〜第5領域に分けて説明したが、特にこれに限られるものではなく、領域数が4以下であっても6以上であってもよい。
【0123】
<有機層蒸着工程>
実施形態1と同一の方法によって、真空蒸着法を用いて有機層124を形成する。このとき、マスクスペーサ123が表示領域中央部のマスクスペーサ123の高さが最も高く、表示領域中央から外側に向かうに従ってマスクスペーサ123の高さが低くなるように設けられているので、蒸着マスク200をマスクホルダ42に取り付けることにより、マスクスペーサ123が蒸着マスク200に包絡されるように位置する状態となる。
【0124】
<第2電極等形成工程>
実施形態1と同様に、第2電極125、保護膜、封止部材等を形成する。これにより、実施形態5にかかる有機EL表示装置100が完成する。
【0125】
−実施形態5の効果−
実施形態5の構成によれば、マスクスペーサ123のスペーサ高さが表示領域中央において最も高く、且つ表示領域周辺部に向かうに従って低くなっているので、基板に蒸着マスク200を重ね合わせると、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持される。
【0126】
蒸着マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合には、基板と蒸着マスクとの距離は、表示領域中央においてはマスクスペーサの長さに蒸着マスクの撓み分を加えた長さとなっている。また、表示領域周辺部においてはマスクスペーサの長さとなっている。しかしながら、実施形態5によれば、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持されているので、基板と蒸着マスク200との距離は、表示領域中央においてはスペーサ高さの長さとなっている。また、表示領域周辺部においては表示領域中央よりも低く形成されたスペーサ高さの長さとなっている。したがって、表示領域中央においても表示領域周辺部においても基板と蒸着マスク200との距離を小さくすることができる。その結果、基板上に有機層を蒸着形成する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができて高輝度で画素欠陥の少ない高品位の有機EL表示装置を得ることができる。さらに、蒸着ずれが抑制されることにより、各補助画素の領域の境界部分での混色が抑制されるので、コントラスト比の優れた有機EL表示装置が得られる。
【0127】
《実施形態6》
(有機EL表示装置)
実施形態6にかかる有機EL表示装置100は、マスクスペーサ123のそれぞれの高さの分布の仕方を除いて、実施形態5にかかる有機EL表示装置100と同一の構成を有する。なお、マスクスペーサ123の配設レイアウトは、図19に示す実施形態5のものと同一である。
【0128】
複数のマスクスペーサ123は、それぞれの高さが、基板110上の表示領域の中央部を含む直線状領域(図19では、基板中央の縦方向の直線状領域)において最も高く、この直線状領域の両側のそれぞれの外側(図19では、左方及び右方)に向かうに従って低くなっている。マスクスペーサ123の高さは、直線状領域においては例えば5〜6μmであり、また、その周辺部においては例えば0.3〜1.5μmである。表示領域中央から表示領域周辺部にかけてのマスクスペーサ123の高さの分布は、製造において蒸着の際に蒸着マスク200を重ね合わせたときの蒸着マスク200の撓み形状に沿うよう高さとなるように設計されている。図22及び23は、マスクスペーサ123のスペーサ高さの分布を示す図である。
【0129】
(有機EL表示装置の製造方法)
実施形態6の有機EL表示装置の製造方法は、マスクスペーサ123のスペーサ高さが、表示領域の中央部を含む直線状領域において最も高く、直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って低くなるようにマスクスペーサ123を形成することを除いて、実施形態5と同一である。
【0130】
なお、赤色補助画素131R、緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bが図9に示すようにそれぞれ矩形であって、三者が横に並列して配されており、さらに、隣り合う画素130同士において赤色補助画素131Rと赤色補助画素131R、緑色補助画素131Gと緑色補助画素131G、及び青色補助画素131Bと青色補助画素131Bがライン状に並んで配されているとき、ライン方向と直線状領域の直線方向とが一致するようにマスクスペーサ123の配設密度の分布を設けることが好ましい。この場合、直線方向にはスペーサ高さの分布を設けないので直線方向の蒸着ずれの抑制効果は実施形態1の場合に比べて劣るものの、直線方向には同じ色の発光を行う有機層124が設けられるので、蒸着ずれが起こったとしても異なる色同士の混色は生じない。
【0131】
−実施形態6の効果−
実施形態6の構成によれば、マスクスペーサ123のスペーサ高さが表示領域中央を含む直線状領域において最も高く、且つその直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って低くなっているので、基板に蒸着マスク200を重ね合わせると、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持される。
【0132】
蒸着マスクを重ね合わせたときに複数のマスクスペーサが一様なスペーサ高さとなっている場合には、基板と蒸着マスクとの距離は、直線状領域においてはマスクスペーサの長さに蒸着マスクの撓み分を加えた長さとなっている。また、外側の領域においてはマスクスペーサの長さとなっている。しかしながら、実施形態6によれば、蒸着マスク200がスペーサ頂部に包絡された状態で保持されているので、基板と蒸着マスク200との距離は、直線状領域においてはスペーサ高さの長さとなっている。また、外側の領域においては直線状領域よりも低く形成されたスペーサ高さの長さとなっている。したがって、直線状領域においてもその外側の領域においても基板と蒸着マスク200との距離を小さくすることができる。その結果、基板上に有機層を蒸着形成する際に蒸着物の拡散が小さくなり、有機層が所定領域からずれて形成されるのを抑制することができて高輝度で画素欠陥の少ない高品位の有機EL表示装置を得ることができる。さらに、蒸着ずれが抑制されることにより、各補助画素の領域の境界部分での混色が抑制されるので、コントラスト比の優れた有機EL表示装置が得られる。
【0133】
なお、各色補助画素131がライン状に並んで配された有機EL表示装置100の場合、直線方向にスペーサ高さの分布を設けないので実施形態5と比較して直線方向の蒸着ずれの抑制効果が低減されるものの、直線方向には同じ色の発光を行う有機層124が設けられるので、異なる色同士の混色は生じない。
【0134】
《その他の実施形態》
その他、例えば複数のマスクスペーサ123が配設密度が不均一であって且つそれぞれの頂面の面積が不均一なレイアウトで形成されており、これらがスペーサ頂部包絡手段を構成している有機EL表示装置100であっても、本発明の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
以上説明したように、本発明は有機EL表示装置及びその製造方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】有機EL表示装置の表示領域を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−IIにおける断面図である。
【図3】実施形態1にかかる基板上のマスクスペーサの配設レイアウトを示す図である。
【図4】基板と蒸着マスクとの支持状態を示す断面図である。
【図5】実施形態1のマスクスペーサの配設密度を示す図である。
【図6】実施形態1のマスクスペーサの配設密度を示すグラフである。
【図7】実施形態1にかかる(a)表示領域中央の画素及び(b)周辺部画素のマスクスペーサの配設レイアウトの拡大図である。
【図8】(a)表示領域中央の画素及び(b)周辺部画素の蒸着マスクの取り付け状態を示す説明図である。
【図9】実施形態2にかかる基板上のマスクスペーサの配設レイアウトを示す図である。
【図10】実施形態2のマスクスペーサの配設密度を示す図である。
【図11】実施形態2のマスクスペーサの配設密度を示すグラフである。
【図12】実施形態3にかかる基板上のマスクスペーサの配設レイアウトを示す図である。
【図13】実施形態3のマスクスペーサの頂部の面積の分布を示す図である。
【図14】実施形態3のマスクスペーサの頂部の面積の分布を示すグラフである。
【図15】実施形態3にかかる(a)表示領域中央の画素及び(b)周辺部画素のマスクスペーサの配設レイアウトの拡大図である。
【図16】実施形態4にかかる基板上のマスクスペーサの配設レイアウトを示す図である。
【図17】実施形態4のマスクスペーサの頂部の面積の分布を示す図である。
【図18】実施形態4のマスクスペーサの頂部の面積の分布を示すグラフである。
【図19】実施形態5にかかる基板上のマスクスペーサの配設レイアウトを示す図である。
【図20】実施形態5のマスクスペーサの高さの分布を示す図である。
【図21】任意のマスクスペーサの高さを得るための連続多重露光の説明図である。
【図22】実施形態6のマスクスペーサの高さの分布を示す図である。
【図23】実施形態6のマスクスペーサの高さの分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0137】
100 有機EL表示装置
110 基板(TFT基板)
123 マスクスペーサ
130 画素
200 マスク(蒸着マスク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、該基板上に配設された複数のマスクスペーサを介してマスクを設け、該基板下方からの蒸着により該基板表面の所定部分に有機層を形成する有機層蒸着工程を備えた有機EL表示装置の製造方法であって、
複数のマスクスペーサは、基板上の表示領域に設けられていると共に、マスクを基板上に設けた際に該マスクによってスペーサ頂部が包絡されるようにスペーサ頂部包絡手段を構成していることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記スペーサ頂部包絡手段は、複数のマスクスペーサの配設密度が不均一である構成であることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記複数のマスクスペーサの配設密度は、表示領域中央において最も大きく且つ該表示領域中央から外側に向かうに従って小さくなることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記複数のマスクスペーサの配設密度は、表示領域中央を含む直線状領域において最も大きく且つ該直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記スペーサ頂部包絡手段は、複数のマスクスペーサの頂面の面積が不均一である構成であることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記複数のマスクスペーサの頂面の面積は、表示領域中央において最も大きく且つ該表示領域中央から外側に向かうに従って小さくなることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記複数のマスクスペーサの頂面の面積は、表示領域中央を含む直線状領域において最も大きく且つ該直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って小さくなることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記スペーサ頂部包絡手段は、複数のマスクスペーサの高さが不均一である構成であることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記複数のマスクスペーサの高さは、表示領域中央において最も高く且つ該表示領域中央から外側に向かうに従って低くなることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記複数のマスクスペーサの高さは、表示領域中央を含む直線状領域において最も高く且つ該直線状領域の両側のそれぞれの外側に向かうに従って低くなることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記有機層蒸着工程の前に、基板上に連続多重露光によるフォトリソグラフィ技術により高さが不均一である複数のマスクスペーサを形成するスペーサ形成工程をさらに備えた有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載された有機EL表示装置の製造方法を用いて製造された有機EL表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図5】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−140852(P2010−140852A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318343(P2008−318343)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】