有機EL装置、有機EL装置の製造方法、電子機器
【課題】輝度ムラが低減され、カラー表示が可能な有機EL装置、有機EL装置の製造方法、電子機器を提供すること。
【解決手段】有機EL装置10は、基板上に少なくとも赤、緑、青の発光色ごとに設けられた発光単位としての有機EL素子20B,20G,20Rと、有機EL素子20B,20G,20Rを駆動制御する駆動回路部を有する発光制御単位Luとを備え、発光制御単位Luが発光単位の下地層を構成し、互いに隣り合って配置された発光制御単位Luに跨る下地層の表面は3つの膜形成領域に区分され、第1膜形成領域は、各駆動回路部の薄膜トランジスター11,12と保持容量13とを含み、第1膜形成領域と第1膜形成領域以外の他の膜形成領域とでは、異なる成膜方法を用いて発光層が形成されている。
【解決手段】有機EL装置10は、基板上に少なくとも赤、緑、青の発光色ごとに設けられた発光単位としての有機EL素子20B,20G,20Rと、有機EL素子20B,20G,20Rを駆動制御する駆動回路部を有する発光制御単位Luとを備え、発光制御単位Luが発光単位の下地層を構成し、互いに隣り合って配置された発光制御単位Luに跨る下地層の表面は3つの膜形成領域に区分され、第1膜形成領域は、各駆動回路部の薄膜トランジスター11,12と保持容量13とを含み、第1膜形成領域と第1膜形成領域以外の他の膜形成領域とでは、異なる成膜方法を用いて発光層が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置、有機EL装置の製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記有機EL装置としては、隔壁によって区画された略矩形状の開口領域に発光層を含む機能層を有し、開口領域には長辺部間の幅が狭められてなる狭窄部が長辺部の長さ方向における中央部に設けられた発光装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、他の有機EL装置として、異なる発光色の画素間を区切る第1の隔壁と、同一発光色の画素間を部分的に仕切る第2の隔壁とを有し、同一発光色の隣接する画素に形成された有機機能層同士が第2の隔壁の非形成領域で繋がっている発光装置が知られている(特許文献2)。
【0004】
上記特許文献1および上記特許文献2の発光装置は、いずれも隔壁の形状や配置が工夫され、隔壁で区画された領域に形成される有機機能層の膜厚のばらつきを低減可能とするものである。また、有機機能層に含まれる発光層は、液滴吐出法(インクジェット法)により発光層形成材料を含む液状組成物を上記隔壁で区画された領域に吐出して、固化することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−103032号公報
【特許文献2】特開2007−227127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および上記特許文献2に開示された発光装置は、アクティブ駆動型の発光装置であり、基板上において駆動回路上に有機機能層を有する発光素子が積層形成されたものである。駆動回路は、少なくとも2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、これらに接続する配線とにより構成されている。
したがって、基板上には、これらの電気的な構成要素が配置されていることから、隔壁により区画された領域の表面は、必ずしも平坦ではなく、段差が生じている。それゆえ、特に液滴吐出法(インクジェット法)を用いて有機機能層を形成すると、吐出された液状組成物が段差の最も低い部分に集まり易く、乾燥後に必ずしも均一な膜厚が得られないというおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。また、以下の形態または適用例において、「上」とは、基板から見て有機EL素子が配置された方向を示し、「○○上に」と記載された場合、○○の上に接するように配置される場合または○○の上に他の構成物を介して配置される場合または○○の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0008】
[適用例1]本適用例の有機EL装置は、基板を含む下地層と、前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部と、前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、第1の色の光を発光可能な第1有機EL素子と、前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光とは異なる第2の色を発光可能な第2有機EL素子と、前記下地層に形成されており、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、前記下地層に形成されており、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部と、を有し、前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、下地層は第1駆動回路部と第2駆動回路部を含むものであり、その表面はこれらの駆動回路部に起因する凹凸が生じ易い。隔壁部は、第1駆動回路部の少なくとも一部及び第2駆動回路部の少なくとも一部を含む第1膜形成領域とそれ以外の第2膜形成領域とを区画している。そして、第1膜形成領域と重なる位置に形成される第1発光層の成膜方法と、第2膜形成領域と重なる位置に形成される第2発光層の成膜方法とを異ならせることにより、それぞれの下地層の凹凸のばらつきに対応した成膜方法を選択して各発光層が設けられる。下地層の凹凸のばらつきが大きい方の膜形成領域には、例えば被覆性が優れた成膜方法を用いて膜厚ばらつきが少ない発光層が形成可能となる。その結果、隔壁部が駆動回路部をすべて含むように下地層を区画して得られた膜形成領域に発光層を設ける場合に比べて、下地層の凹凸のばらつきに起因した発光層の膜厚ムラが低減される。ゆえに、発光層の膜厚ムラに起因する輝度ムラなどが低減され、少なくとも2色の発光が得られる有機EL素子を備えた有機EL装置を提供することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例の有機EL装置において、前記第1膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の表面における凹凸のばらつきは、前記第2膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の凹凸のばらつきよりも大きいことを特徴とする。
この構成によれば、第1膜形成領域が第2膜形成領域に比べて下地層の凹凸のばらつきが大きくても、異なる成膜方法を用いて膜厚ムラが少ない第1発光層を設けることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例の有機EL装置において、前記第2発光層上に、前記第1発光層を形成するのと同一プロセスで形成され、前記第1発光層と同一材料からなる層が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1発光層と第2発光層とをそれぞれ対応する膜形成領域に選択的に設ける場合に比べて、第1発光層形成時に第2膜形成領域のマスキングが不要となり効率よく各発光層を設けることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、薄膜トランジスターおよび保持容量に起因する下地層の凹凸を第1膜形成領域に集中させ、第1膜形成領域に比べて第2膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきを小さくすることができる。すなわち、第2膜形成領域に設けられる第2発光層の膜厚ムラをより低減できる。
【0013】
[適用例5]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されているとしてもよい。
この構成によれば、薄膜トランジスターと保持容量とを第1膜形成領域に配置する場合に比べて、保持容量が第2膜形成領域に配置されるので、保持容量の設計上の自由度を高められる。
【0014】
[適用例6]上記適用例の有機EL装置において、前記隔壁部は、前記第1膜形成領域及び前記第2膜形成領域と隣り合う第3膜形成領域を区画しており、前記下地層上であって、平面視で前記第3膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光及び前記第2の色の光とは異なる第3の色の光を発光可能な第3有機EL素子と、前記下地層に形成されており、前記第3有機EL素子の駆動を制御する第3駆動回路部と、平面視において、前記第2膜形成領域と前記第3膜形成領域の間に配置されると共に、前記第1膜形成領域を横切るように配置された第1データ線及び第2データ線と、を有し、前記第3有機EL素子が有する第3発光層は、前記第1有機EL素子が有する第1発光層とは異なる成膜方法によって形成されており、前記第3駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、前記第1データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部と電気的に接続しており、前記第2データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部であって、前記第1データ線と電気的に接続された駆動回路部以外の駆動回路部と電気的に接続していることを特徴とする。
この構成によれば、隔壁部により区画された第1膜形成領域は第1および第2データ線を跨ぎ、他の第2膜形成領域および第3膜形成領域は第1および第2データ線を跨ぐことなく区画されている。したがって、第1膜形成領域に対して第2膜形成領域および第3膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきを小さくできる。したがって、第2および第3膜形成領域に膜厚ムラが低減された第2発光層、第3発光層を設けることができる。すなわち、膜厚ムラに起因する輝度ムラなどが低減された少なくとも3色の発光が得られる有機EL素子を備えた有機EL装置を提供できる。
【0015】
[適用例7]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されているとしてもよい。
この構成によれば、薄膜トランジスターおよび保持容量に起因する下地層の凹凸を第1膜形成領域に集中させ、第1膜形成領域に比べて第2および第3膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきをより小さくすることができる。すなわち、第2および第3発光層の膜厚ムラをより低減できる。
【0016】
[適用例8]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第1駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第2駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第3駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第3膜形成領域と重なる位置に配置されているとしてもよい。
この構成によれば、膜形成領域ごとに保持容量が配置されているので、第1膜形成領域に3つ分の保持容量を設ける場合に比べて、保持容量の設計上の自由度を上げることができる。
【0017】
[適用例9]上記適用例の有機EL装置において、前記第1発光層は、蒸着法またはスピンコート法によって形成されており、前記第2発光層は、液滴吐出法によって形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきが他の膜形成領域に比べて大きくても、高い被覆性を有する蒸着法またはスピンコート法で第1発光層が形成されているので、ほぼ均一な膜厚を有する第1発光層を設けることができる。また、第2膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきを第1膜形成領域に比べて小さくできるので、液滴吐出法を用いて第2発光層を形成すれば、ほぼ均一な膜厚を有する第2発光層を設けることができる。
【0018】
[適用例10]本適用例の有機EL装置の製造方法は、基板を含む下地層上に、第1有機EL素子と、第2有機EL素子とを有する有機EL装置の製造方法であって、前記下地層内であって、前記基板の上方に、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部とを形成する駆動回路形成工程と、前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部を形成する隔壁部形成工程と、前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に、第1の色の光を発光可能な前記第1有機EL素子を形成すると共に、前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に、前記第1の色とは異なる第2の色の光を発光可能な前記第2有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程とを有し、前記駆動回路形成工程において、前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように形成し、前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、駆動回路形成工程では、第1膜形成領域と重なるように第1駆動回路部の少なくとも一部及び第2駆動回路部の少なくとも一部が形成される。このため、第1膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきが第2膜形成領域に比べて大きくなる。言い換えれば、第2膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきが第1膜形成領域に比べて小さくなる。このような第1および第2膜形成領域に対して異なる成膜方法を採用して各発光層を形成すれば、下地層の凹凸のばらつきを考慮した成膜方法をそれぞれ選択して、膜厚ムラが少ない第1発光層並びに第2発光層を形成することができる。すなわち、すべての発光層を同一の成膜方法で形成する場合に比べて、発光層の膜厚ムラに起因する輝度ムラが低減され、少なくとも2色の発光が得られる有機EL素子を備えた有機EL装置を製造できる。
【0020】
[適用例11]上記適用例の有機EL装置の製造方法において、前記有機EL素子形成工程は、前記第2発光層を液滴吐出法によって形成する第1発光層形成工程と、前記第1発光層を蒸着法またはスピンコート法によって形成する第2発光層形成工程と、を有することが好ましい。
この方法によれば、第2膜形成領域に比べて下地層の凹凸のばらつきが大きい第1膜形成領域には、高い被覆性を有する蒸着法やスピンコート法を用いて第1発光層をほぼ均一に形成することができる。また、第1膜形成領域に比べて下地層の凹凸のばらつきが小さい第2膜形成領域には、液滴吐出法を用いて第2発光層をほぼ均一に且つ発光層形成材料の無駄を省いて効率よく形成することができる。
【0021】
[適用例12]本適用例の電子機器は、上記適用例の有機EL装置を備えることを特徴とする。
この構成によれば、輝度ムラなどが低減され、異なる発光色が得られる有機EL素子を有する有機EL装置を備えているので、高い表示品質を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図2】実施例1の発光単位と発光制御単位の配置を示す概略平面図。
【図3】実施例1の発光制御単位における駆動回路部を示す概略平面図。
【図4】図3のA−A'線で切った発光単位と発光制御単位の概略断面図。
【図5】実施例1の有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図6】(a)〜(c)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略平面図。
【図7】(d)〜(f)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。
【図8】(g)〜(i)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。
【図9】実施例2の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図。
【図10】図9のB−B'線で切った概略断面図。
【図11】実施例3の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図。
【図12】実施例3の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図。
【図13】実施例4の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図。
【図14】実施例4の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図。
【図15】電子機器としての携帯型電話機を示す斜視図。
【図16】変形例の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図。
【図17】実施例4に対する変形例の駆動回路部の配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0024】
(第1実施形態)
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置とその製造方法について、実施例1〜実施例4を挙げて説明する。
【0025】
(実施例1)
<有機EL装置>
図1は実施例1の有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図、図2は実施例1の発光単位と発光制御単位の配置を示す概略平面図、図3は実施例1の発光制御単位における駆動回路部を示す概略平面図、図4は図3のA−A'線で切った発光単位と発光制御単位の概略断面図である。
【0026】
図1に示すように、実施例1の有機EL装置10は、発光単位としての有機EL素子20を駆動するスイッチング素子として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、以下TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0027】
有機EL装置10は、走査線駆動部3に接続された複数の走査線31と、データ線駆動部4に接続された複数のデータ線41と、各走査線31に並列して設けられた複数の電源線42と、を備えている。互いに絶縁され交差する走査線31とデータ線41とによって区画された領域に対応して設けられた発光制御単位Luによって有機EL素子20の発光制御が行われている。
【0028】
各発光制御単位Luは、走査線31を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用のTFT11と、このTFT11を介してデータ線41から供給される画素信号を保持する保持容量13と、該保持容量13によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用のTFT12とを含む駆動回路部を備えている。
発光単位としての有機EL素子20は、駆動用のTFT12を介して電源線42に電気的に接続したときに該電源線42から駆動電流が流れ込む画素電極23と、画素電極23と共通電極27との間に挟み込まれた機能層24とを有している。
これらのTFT11,12に接続する走査線31とデータ線41とを総称して信号線と呼ぶ。
【0029】
走査線31が駆動されてスイッチング用のTFT11がオン状態になると、そのときのデータ線41の電位が保持容量13に保持され、該保持容量13の状態に応じて、駆動用のTFT12のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用のTFT12を介して、電源線42から画素電極23に電流が流れ、さらに機能層24を介して共通電極27に電流が流れる。機能層24は、これを流れる電流量に応じて発光する。なお、発光制御単位Luの駆動回路部の構成は、これに限定されるものではなく、例えば2つ以上の薄膜トランジスターを含むとしてもよい。
【0030】
次に、有機EL装置10における各構成の基板上における配置について、図2および図3を参照して説明する。
【0031】
図2に示すように、格子状に配置され互いに絶縁された走査線31とデータ線41とにより区画された領域に対応して、発光制御単位Luが設けられている。各発光制御単位Luは、前述したように2つのTFT11,12と、保持容量13と、これらに繋がる配線とを有している。
【0032】
走査線31に沿った隣り合う3つの発光制御単位Luに跨った部分は、それぞれがほぼ同じ平面積を有する3つの略矩形状の領域に区分されている。上から順に第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cと呼ぶ。
【0033】
第1膜形成領域7aには、第1有機EL素子としての青色(B)の発光が得られる機能層24bを有する有機EL素子20Bが設けられている。第2膜形成領域7bには、第2有機EL素子としての緑色(G)の発光が得られる機能層24gを有する有機EL素子20Gが設けられている。第3膜形成領域7cには、第3有機EL素子としての赤色(R)の発光が得られる機能層24rを有する有機EL素子20Rが設けられている。言い換えれば、異なる発光色が得られる発光単位としての3つの有機EL素子20B,20G,20Rが走査線31に沿った隣り合う同数(3つ)の発光制御単位Luに跨って設けられている。
また、このような3つの有機EL素子20B,20G,20Rを1つの表示単位として、複数の表示単位が基板上にマトリクス状に設けられている。
【0034】
電源線42は、走査線31に沿うと共に、隣り合う表示単位の第1膜形成領域7aに亘って設けられている。
【0035】
より具体的には、図3に示すように、TFT11,12は、走査線31とデータ線41との交差点近傍に設けられている。TFT11,12には、走査線31やデータ線41、保持容量13に接続する配線と、TFT11(ドレイン)とTFT12(ゲート)とを繋ぐ配線とが設けられている。
TFT12は、3端子(ゲート、ソース、ドレイン)のうちの1つ(ソース)が電源線42に接続し、有機EL素子20に電源線42から流れ込む電流を制御するものであり、有機EL素子20のスイッチングを行うTFT11に比べて耐電流、耐電圧等の関係からより大きな平面積を有する。
【0036】
保持容量13は平面的に略四角形であり、TFT11,12の近傍に設けられ、発光制御単位Luの平面積のほぼ1/6の大きさを占めている。なお、保持容量13の電気容量は、走査信号におけるフレーム周波数や駆動用のTFT12のオフ(OFF)時漏れ電流、有機EL素子20の発光特性を考慮して設計される。それゆえに実際には、適正な電気容量を定めることにより、保持容量13の平面積が決まる。
【0037】
隣り合う3つの発光制御単位LuのTFT11,12と保持容量13とが設けられた領域、すなわち第1膜形成領域7aに亘って、青色(B)の発光が得られる有機EL素子20Bの画素電極23bが設けられている。画素電極23bは、走査線31に沿って配列する3つの発光制御単位Luのうち右端の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0038】
隣り合う3つの発光制御単位Luに跨る第2膜形成領域7bに亘って、緑色(G)の発光が得られる有機EL素子20Gの画素電極23gが設けられている。画素電極23gは、走査線31に沿って配列する3つの発光制御単位Luのうち左端の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0039】
隣り合う3つの発光制御単位Luに跨る第3膜形成領域7cに亘って、赤色(R)の発光が得られる有機EL素子20Rの画素電極23rが設けられている。画素電極23rは、走査線31に沿って配列する3つの発光制御単位Luのうち中央の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0040】
画素電極23g,23rは、実際には配線の都合上、走査線31に沿って隣り合う3つの発光制御単位Luに対して、データ線41に沿って隣り合う他の発光制御単位Luに設けられたTFT12(ドレイン)にそれぞれ接続している。なお、画素電極23b,23g,23rとTFT12との接続方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
次に、有機EL装置10の厚み方向における構造について図4を参照して説明する。
図4に示すように、発光制御単位Luと、各発光色の有機EL素子20(個々には有機EL素子20B、有機EL素子20G、有機EL素子20Rと呼ぶ)とは、基板としての素子基板1上に積層形成されている。発光制御単位Luが発光単位としての有機EL素子20の下地層に含まれる構成となっている。言い換えれば、発光制御単位Luが設けられた下地層上に各有機EL素子20B,20G,20Rが設けられている。
また、本実施例では、下地層には素子基板1、発光制御単位Lu、反射層21、絶縁膜17が含まれている。
【0042】
素子基板1は、透明なガラスや樹脂等の基板あるいは、不透明なシリコン等の基板が用いられる。まず、素子基板1の表面に例えばポリシリコン膜からなる半導体層11a,12a,13aがそれぞれ島状に設けられる。半導体層11aはTFT11を構成するものであり、半導体層12aはTFT12を構成するものである。半導体層13aは、保持容量13を構成するものであり一方の電極となる。したがって、一方の電極13aと呼ぶこともある。半導体層11a,12a,13aの膜厚はおよそ50nmである。
【0043】
島状の半導体層11a,12aの外縁およびゲートと、半導体層13aの一部を除くほぼ全面を覆うようにゲート絶縁膜1aが設けられている。半導体層13aを覆うゲート絶縁膜1aは誘電体層として機能する。ゲート絶縁膜1aの厚みは、およそ50nm〜100nmである。
【0044】
ゲート絶縁膜1a上には、例えばAl(アルミ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、あるいはこれらの金属化合物からなる低抵抗金属配線層が設けられ、これをパターニングすることにより、走査線31、データ線41(図示省略)、TFT11,12の各ゲート電極11d,12dを構成している。また、保持容量13の他方の電極13bや一方の電極13aに繋がる配線(図示省略)を構成している。そして、これらを覆うように層間絶縁膜14が設けられている。該低抵抗金属配線層の厚みはおよそ500nm〜600nmである。層間絶縁膜14の厚みもおよそ500nm〜600nmである。
【0045】
層間絶縁膜14には、TFT11,12のソースやドレインとの接続を図るためのコンタクトホール14a,14b,14c,14dが設けられている。また、保持容量13と電源線42およびTFT12との接続を図るためのコンタクトホール(図示省略)が設けられている。
【0046】
層間絶縁膜14上に例えばAl、Ta、W、あるいはこれらの金属化合物などの低抵抗金属配線層が設けられ、これをパターニングすることにより、電源線42やコンタクトホール14b,14c間を繋ぐ配線、電源線42とコンタクトホール14d間を繋ぐ配線等を構成している。該低抵抗金属配線層の厚みはおよそ500nm〜600nmである。
【0047】
そして、電源線42や層間絶縁膜14を覆うように保護膜15が設けられ、さらに保護膜15を覆うように平坦化層16が設けられている。上述したゲート絶縁膜1a、層間絶縁膜14、保護膜15は、例えばSiNやSiO、SiO2あるいはこれらシリコン化合物などの無機混合物からなる。保護膜15の厚みはおよそ200nm〜300nmである。平坦化層16は、例えばアクリル系やエポキシ系の有機樹脂からなり、厚みはおよそ1μm〜2μmである。
【0048】
このように低抵抗金属配線層や層間絶縁膜14などに比べて厚い平坦化層16を設けても、素子基板1上における平坦化層16の表面には凹凸が生じてしまう。特に、TFT11,12が設けられた第1膜形成領域7aの表面は、TFT11,12に接続を図るためのコンタクトホール14a,14b,14c,14dや配線の形成により、他の第2膜形成領域7bや第3膜形成領域7cに比べてより多くの凹凸を有する。
【0049】
この場合、平坦化層16上の凹凸のばらつきは、TFT11,12や保持容量13、およびこれに繋がる低抵抗金属配線層を有する第1膜形成領域7aが最も大きくなっている。これに対してTFT11,12や保持容量13を有しない第2膜形成領域7bや第3膜形成領域7cの平坦化層16上の凹凸のばらつきは小さくなっている。
ここでいう凹凸のばらつきは、平坦化層16表面の算術平均粗さ(Ra)や平坦化層16表面の基準面からの高さの標準偏差で定義することができる。また、発光時における画素内の輝度分布における標準偏差で定義することもできる。
ちなみに、第1膜形成領域7aにおける表面の段差は、およそ数十nm〜数百nmである。これに対して第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cにおける表面の段差は、図4の断面図上ではほとんど発生していない。あえて取り上げるとすれば、図3に示すように、隣り合う発光制御単位Luにおけるデータ線41を跨ぐように第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cが区分されているため、データ線41を跨いだ部分でわずかに段差が生じている程度である。
【0050】
このような素子基板1における隣り合う3つの発光制御単位Luを含む下地層の段差に応じて、下地層の上層に異なる発光色の有機EL素子20B,20G,20Rが設けられている。具体的には、第1膜形成領域7aに有機EL素子20Bが設けられ、第2膜形成領域7bに有機EL素子20Gが設けられ、第3膜形成領域7cに有機EL素子20Rが設けられている。
【0051】
第1膜形成領域7aに設けられた有機EL素子20Bは、平坦化層16上において順に積層形成された反射層21、絶縁膜17、画素電極23b、機能層24b、共通電極27を含んでいる。他の有機EL素子20G,20Rも同様である。
【0052】
反射層21は、例えばAl−Ndの反射性金属材料からなり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。反射層21を覆う絶縁膜17は、SiNやSiOなど透明な無機材料からなり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。画素電極23b,23g,23rは、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜であり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。
【0053】
各画素電極23b,23g,23rを実質的に区画しているのは、画素電極23b,23g,23rの外縁を覆うように形成された絶縁膜18と、絶縁膜18上に設けられた隔壁部19である。絶縁膜18は、SiO2などの無機絶縁材料からなり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。隔壁部19は、フェノール系あるいはポリイミド系の樹脂材料からなり、厚み(高さ)はおよそ1μm〜2μmである。
【0054】
機能層24g,24rのうち第2発光層としての発光層26gおよび第3発光層としての発光層26rは、隔壁部19によって実質的に区画された第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cに機能性材料を含む液状体を塗布し、塗布された液状体を乾燥することにより成膜する塗布法を用いて形成されている。
機能層24bの第1発光層としての発光層26bは、第1膜形成領域7aに機能性材料を蒸発させて成膜する蒸着法を用いて形成されている。また、隣り合う第2膜形成領域7b(発光層26g)と第3膜形成領域7c(発光層26r)と隔壁部19とを覆うように形成されている。
また、機能層24b,24g,24rは、画素電極23b,23g,23rと発光層26b,26g,26rとの間にそれぞれ正孔注入層25を有している。正孔注入層25は、塗布法を用いて形成されている。詳細については、後述する有機EL装置10の製造方法において述べる。
【0055】
共通電極27は、隔壁部19と各機能層24g,24b,24rとを覆うように設けられている。共通電極27は、ITO、IZOなどの透明導電膜であり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。
【0056】
発光制御単位Luや各有機EL素子20B,20G,20Rが設けられた素子基板1は、透明なガラス等からなる封止基板(図示省略)と接合され、外部から水分や酸素等のガスが機能層24b,24g,24rに浸入しないように封止される。
【0057】
有機EL装置10は、各機能層24b,24g,24rからの発光が反射層21により反射され封止基板側から取り出される、所謂トップエミッション構造が採用されたフルカラー表示が可能な表示装置である。反射層21の下層側に発光制御単位Luが設けられているので、駆動回路部を構成するTFT11,12や保持容量13、およびこれらに接続する配線(走査線31、データ線41、電源線42など)は、機能層24b,24g,24rからの発光の取り出しを妨げない。したがって、これらの駆動回路部の構成要素を素子基板1上に比較的自由に配置することができる。なお、有機EL素子20B,20G,20Rの構成は、これに限定されない。例えば、発光色ごとの輝度を向上させるために、各機能層24b,24g,24rと反射層21との間に光共振構造を導入してもよい。
【0058】
<有機EL装置の製造方法>
次に、有機EL装置10の製造方法について、図5〜図8を参照して説明する。図5は実施例1の有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図6(a)〜(c)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略平面図、図7(d)〜(f)および図8(g)〜(i)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図である。
【0059】
図5に示すように、実施例1の有機EL装置10の製造方法は、素子基板1上に複数の発光制御単位Luを形成する発光制御単位形成工程(ステップS1)と、隣り合う3つの発光制御単位Luごとに下地層の表面を3つの膜形成領域に区分して、膜形成領域ごとに、反射層21を形成する反射層形成工程(ステップS2)と、同じく膜形成領域ごとに発光制御単位Luに電気的に接続するように画素電極23b,23g,23rを形成する画素電極形成工程(ステップS3)と、3つの膜形成領域をそれぞれ区画する隔壁部19を形成する隔壁部形成工程(ステップS4)と、画素電極23b,23g,23r上に機能層24b,24g,24rを形成する機能層形成工程(ステップS5)と、隔壁部19と機能層24b,24g,24rとを覆うように共通電極27を形成する共通電極形成工程(ステップS6)と、素子基板1と封止基板とを接合して封止する封止工程(ステップS7)とを備えている。なお、有機EL素子形成工程は、反射層形成工程、画素電極形成工程、機能層形成工程、共通電極形成工程を少なくとも含む。
【0060】
ステップS1の発光制御単位形成工程(駆動回路形成工程)では、まず図6(a)に示すように、素子基板1上にポリシリコン膜を成膜して、フォトリソグラフィ法により各半導体層11a,12a,13aを島状に形成する。膜厚はおよそ50nmである。ポリシリコン膜の形成方法としては、公知の技術を用いることができ、例えば減圧CVD法等が挙げられる。
そして、TFT11,12に対応する半導体層11a,12aでは、ソースおよびドレイン側をマスクし、半導体層13aでは、電気的な接続部をマスクした状態で、素子基板1を覆うようにゲート絶縁膜1aを形成する。ゲート絶縁膜1aの形成方法としては、例えば、SiNやSiOをターゲットとして、膜厚がおよそ50nm〜100nmとなるように真空中で成膜するスパッタ法などが挙げられる。
【0061】
次に、ゲート絶縁膜1a上に例えば、Alからなる低抵抗金属膜を厚みおよそ500nm〜600nmとなるように同じくスパッタ法などにより成膜する。これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図6(b)に示すように、走査線31、データ線41、走査線31から半導体層11a上に延びてゲート電極11dとなる配線31a、半導体層12a上から半導体層13aの接続部まで延びる配線13c(ゲート電極12dを含む)、保持容量13の他方の電極13bを形成する。このとき、データ線41に対して直交するように延在する走査線31は、一旦、データ線41上を切り欠くように形成しておく。
【0062】
次に、素子基板1のほぼ全面を覆うように層間絶縁膜14を形成する。層間絶縁膜14を形成する方法としては、同じくスパッタ法を用い、SiNやSiOをターゲットとして、膜厚がおよそ500nm〜600nmとなるように真空中で成膜する。このとき、電源線42以外の配線を形成する部分は、予め感光性樹脂材料等を用いてマスクしておく。層間絶縁膜14を形成した後にマスクした部分を取り除けば、図6(c)に示すように、コンタクトホール14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14hを形成することができる。
【0063】
次に、再びAlからなる低抵抗金属膜を厚みおよそ500nm〜600nmとなるように同じくスパッタ法などにより層間絶縁膜14上に成膜する。これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図6(c)に示すように、電源線42と、各種の配線とを形成する。例えば、コンタクトホール14dとコンタクトホール14fとを低抵抗金属膜で埋めることにより、データ線41とTFT11のソースとを繋ぐ配線11eを形成することができる。コンタクトホール14cとコンタクトホール14eとを低抵抗金属膜で埋めることにより、TFT11のドレインとTFT12のゲートとを繋ぐ配線11fを形成することができる。2つのコンタクトホール14g間を低抵抗金属膜で埋めることにより、途切れていた走査線31をデータ線41上において電気的に繋げる配線31cを形成することができる。コンタクトホール14bとコンタクトホール14hとを低抵抗金属膜で埋めることにより、電源線42とTFT12のソースおよび保持容量13の他方の電極13bとを繋ぐことができる。
【0064】
次に、このようにしてできあがった駆動回路部を覆うように保護膜15を成膜する。保護膜15の形成方法としては、例えばSiNをターゲットとして厚みが200nm〜300nmとなるように同じくスパッタ法などにより成膜する。さらに、保護膜15を覆うように平坦化層16を形成する。平坦化層16の形成方法としては、感光性のアクリル系樹脂をスピンコートまたはロールコートなどの方法により厚みおよそ1μm〜2μmで塗布して固化させ、フォトリソグラフィ法によりパターニングする方法が挙げられる。パターニングするのは、主に、各画素電極23b,23g,23rとTFT12のドレインとの接続を図るコンタクトホール14aに連通するコンタクトホール16aである。または、当該コンタクトホール16aの部分をマスクしてから平坦化層形成材料をコーティングしてもよい。
【0065】
次に、ステップS2の反射層形成工程では、図7(d)に示すように、平坦化層16上の段差に応じて区分された第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cごとに反射層21を形成する。反射層21の形成方法としては、前述した反射層形成材料であるAl−Ndを厚みおよそ50nm〜100nmとなるようにスパッタ法で成膜する方法が挙げられる。そして、フォトリソグラフィ法により画素電極23b,23g,23rよりもやや広い平面積を有する反射層21を形成する。続いて、反射層21を覆うように絶縁膜17を成膜する。絶縁膜17の形成方法は、SiNやSiOをターゲットとして、膜厚がおよそ50nm〜100nmとなるように真空中で成膜するスパッタ法などが挙げられる。
【0066】
ステップS3の画素電極形成工程では、図7(d)に示すように、絶縁膜17上にITO膜をスパッタ法などにより厚みおよそ100nmとなるように成膜する。そして、これをフォトグラフィ法によりパターニングして反射層21の上方に各画素電極23b,23g,23rを形成する。また、コンタクトホール16aをITO膜で埋めて画素電極23b,23g,23rとTFT12(ドレイン)とを接続させる。この場合、各画素電極23b,23g,23rの平面積はほぼ同等である。
【0067】
続いて、各画素電極23b,23g,23rの外縁部を覆うように絶縁膜18を形成する。絶縁膜18の形成方法としては、各画素電極23b,23g,23rの外縁部以外をマスクした状態で、SiNやSiOをターゲットとしてスパッタし、厚みが50nm〜100nmとなるように成膜する方法が挙げられる。
【0068】
さらに、ステップS4の隔壁部形成工程では、素子基板1の表面にフェノール系あるいはポリイミド系の感光性樹脂材料を厚みが1μm〜2μmとなるようにコーティングし固化して、露光・現像することにより、絶縁膜18上に隔壁部19を形成する。これにより、図7(d)に示すように、隔壁部19は実質的に第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cを区画する。第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cの平面積もほぼ同等である。
【0069】
次に、ステップS5の機能層形成工程について説明する。本実施形態の機能層形成工程は、正孔注入層形成材料を含む液状体を塗布し固化して正孔注入層25を形成する正孔注入層形成工程と、3つの膜形成領域のうち第1膜形成領域7a以外の第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとに塗布法を用いて機能層24g,24rのうちの発光層26g,26rを形成する第1発光層形成工程と、第1膜形成領域7aに蒸着法を用いて機能層24bのうちの発光層26bを形成する第2発光層形成工程とを含んでいる。
【0070】
正孔注入層形成工程では、図7(d)に示すように、ノズルから液状体を吐出可能な吐出ヘッド(インクジェットヘッド)50を用いて、正孔注入層形成材料を含む所定量の液状体60を液滴として第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cごとに塗布する。液状体60は、例えば溶媒としてジエチレングリコールと水(純水)とを含み、正孔注入層形成材料として、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体にドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT/PSS)を重量比で0.5%含んだ溶液である。粘度がおよそ20mPa・s以下となるように溶媒の割合が調整されている。
なお、PEDOT/PSS以外の正孔注入層形成材料としては、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体が挙げられる。
【0071】
液状体60が塗布された素子基板1を例えばランプアニール等の方法で加熱乾燥して溶媒を蒸発させることにより、図7(e)に示すように、第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cごとに、正孔注入層25を形成する。なお、液状体60を塗布する前に、画素電極23b,23g,23rの表面を親液処理すると共に、隔壁部19の表面を撥液処理する表面処理を素子基板1に施してもよい。親液処理は酸素を処理ガスとしてプラズマ処理する方法、撥液処理はフッソ系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する方法が挙げられる。このようにすれば、画素電極23b,23g,23r上に着弾した液状体60はムラなく濡れ広がる。
【0072】
続いて、第1発光層形成工程では、図7(f)に示すように、緑色の発光が得られる発光層形成材料を含む液状体70Gと赤色の発光が得られる発光層形成材料を含む液状体70Rとをそれぞれ異なる吐出ヘッド50に充填して、対応する第2膜形成領域7bと、第3膜形成領域7cとに液滴として塗布する。
液状体70G,70Rは、例えば溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを含み、発光層形成材料として緑色、赤色の発光が得られるポリフルオレン誘導体(PF)を重量比で0.7%含んだものを用いた。粘度はおよそ14mPa・sである。なお、PF以外の発光層形成材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、PEDOT等のポリチオフェニレン誘導体、ポリメチルフェニレンシラン(PMPS)等を用いることができる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、ルブレン、ナイルレッド、クマリン6、キナクドリン等低分子材料をドープしたものを用いてもよい。
【0073】
塗布された液状体70G,70Rの乾燥方法(固化方法)としては、一般的な加熱乾燥に比べて溶媒成分を比較的均一に乾燥可能な減圧乾燥法を用いている。これにより、図8(g)に示すように、正孔注入層25上に発光層26g,26rを形成することができる。こうして正孔注入層25と発光層26gとを含む機能層24gが形成される。また、同様に正孔注入層25と発光層26rとを含む機能層24rが形成される。第2膜形成領域7bおよび第3膜形成領域7cは、いずれも画素電極23g,23rが形成された下地層の表面における凹凸のばらつきが第1膜形成領域7aに比べて小さくなっている。したがって、吐出ヘッド50から吐出された液状体70G,70Rは、それぞれ対応する第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとにおいてムラ無く濡れ広がり、乾燥後に膜厚がおよそ80nmの発光層26g,26rが形成された。
【0074】
次に、第2発光層形成工程では、図8(h)に示すように、第1膜形成領域7aの正孔注入層25上に発光層26bを蒸着法により形成する。このとき、他の第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cに亘って発光層26bを成膜する。したがって、発光層26gや発光層26rの上にも発光層26bが積層形成される。
発光層形成材料としては、例えばCBPなどのホスト材料にFIrpicなどのドーパント材料を混合したものが挙げられる。膜厚はおよそ50nmである。
蒸着法を用いて発光層26bを成膜するので、下地層の表面が数十nm〜数百nmほどの段差を有する第1膜形成領域7aであっても、正孔注入層25上に膜厚バラツキが少ない状態で発光層26bが形成される。
これにより、正孔注入層25と発光層26bとを含む機能層24b、正孔注入層25と発光層26gおよび発光層26bを含む機能層24g、正孔注入層25と発光層26rおよび発光層26bを含む機能層24rがそれぞれできあがる。
【0075】
なお、機能層形成工程における機能層24b,24g,24rの形成方法は、これに限定されない。例えば、正孔注入層25と発光層26b,26g,26rとの間に、中間層を形成してもよい。中間層形成材料を含む液状体としては、例えば、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを含み、中間層形成材料として、トリフェニルアミン系ポリマーを重量比で0.1%程度含んだものが挙げられる。
中間層は、発光層26b,26g,26rに対する正孔の輸送性(注入性)を向上させると共に、発光層26b,26g,26rから正孔注入層25に電子が浸入することを抑制する機能を有する。
また、発光層26b,26g,26r形成後、正孔ブロック層、電子輸送層を蒸着法により積層してもよい。正孔ブロック層としては、BAlq、BCPがなどが挙げられ、電子輸送層としてはAlq3などが挙げられる。正孔ブロック層は、発光層26b,26g,26rから正孔が漏れ出ることを抑制する機能を有する。電子輸送層は、発光層26b,26g,26rに対する電子の輸送性(注入性)を向上させる機能を有する。
すなわち、これらの中間層、正孔ブロック層、電子輸送層は、発光層26b,26g,26rにおける正孔と電子との結合による発光の効率を改善するものである。
【0076】
次に、ステップS6の共通電極形成工程では、図8(i)に示すように、3つの膜形成領域7a,7b,7cに亘って形成された発光層26bを覆うように、共通電極27を形成する。これにより有機EL素子20B,20G,20Rが完成する。
共通電極27の材料としては、ITOとCa、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物とを組み合わせて用いるのが好ましい。特に機能層24b,24g,24rに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいITOを形成するのが好ましい。また、共通電極27の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、共通電極27の酸化を防止することができる。共通電極27の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に機能層24b,24g,24rの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。
【0077】
次に、ステップS7の封止工程では、発光制御単位Luと有機EL素子20とが形成された素子基板1と、封止基板とを接合することにより有機EL装置10が完成する。素子基板1と封止基板の接合方法としては、素子基板1と封止基板との間に空間をおき、複数の有機EL素子20を取り囲むように接着剤を配置して接合する所謂缶封止と呼ばれる方法や、当該空間に透明な樹脂を充填して封着する方法が挙げられる。
【0078】
このような塗布法と蒸着法とを使い分けた有機EL装置10およびその製造方法によれば、ほぼ同等の平面積を有する3つの膜形成領域7a,7b,7cに対して蒸着法によりすべての発光層26b,26g,26rを選択的に形成する場合に比べて、蒸着マスクを不要としつつ、膜厚ムラが低減された発光層26b,26g,26rを効率よく形成することができる。すなわち、異なる発光色間の輝度が均衡し、且つ輝度ムラが低減されたトップエミッション型のフルカラー表示が可能な有機EL装置10を実現できると共に、効率よく製造することができる。
【0079】
なお、本実施例では、発光層26bを発光層26gや発光層26rの上にも形成する構成としたが、発光層26bの形成時に、第1膜形成領域7a以外を遮るマスクを用いて、発光層26bを蒸着法により形成することで、第1膜形成領域7aだけに発光層26bを形成するようにしてもよい。
【0080】
また、発光層26bを形成する方法として、蒸着法以外にスピンコート法やディップ法等を用いてもよい。この場合も、下地層の表面が数十nm〜数百nmほどの段差を有する場合であっても、膜厚バラツキが少ない状態で発光層26bを形成することが可能である。言い換えれば、各膜形成領域7a,7b,7cにおける下地層の凹凸のばらつきを考慮して、異なる成膜方法を選定し、発光層26b,26g,26rを形成する。
【0081】
この場合、3つの膜形成領域7a,7b,7cの設定に関連する有機EL素子20B,20G,20Rの実質的な発光面積は、必ずしも同じでなくてよい。
主に高分子の発光層形成材料を用いる塗布法は、低分子の発光層形成材料を用いる蒸着法に比べて、現状では形成された発光層の発光寿命が短い傾向にある。また、発光層の発光ピーク波長が長い方が、発光寿命が長い傾向にある。
一方で、発光寿命は発光層を流れる電流量に依存し、輝度は電流量と発光面積に依存する。ゆえに、各発光色を安定した輝度で得ながら発光色間の発光寿命のバランス(均衡)を図る観点では、下地層の凹凸のばらつきが最も大きい部分を含む第1膜形成領域7aには、凹凸の影響を受け難くい高い被覆性を有する蒸着法で所望の膜厚を有する発光層を形成する。これにより、膜厚ムラに起因して部分的に電流が集中して流れ、輝度ムラや発光寿命が短くなってしまうことを防ぐことができる。合わせて、蒸着法を用いて形成する発光層は、赤(R)、緑(G)、青(B)、3色の発光色のうち最も発光ピーク波長が短い青色の発光層26bが好ましい。
さらには、塗布法を用いて形成される発光層26r(赤)と発光層26g(緑)とを比較すると、発光層26g(緑)の方が発光寿命が短くなるおそれがある。したがって、発光層26rが形成される第3膜形成領域7cは、発光層26gが形成される第2膜形成領域7bよりも、その平面積を小さくすることが好ましい。言い換えれば、平面積が大きい方の膜形成領域に発光寿命が短い方の発光層を形成することが好ましい。発光寿命が短い方の発光層を流れる電流量を抑制することにより、発光色間の発光寿命の差を縮小することができる。
【0082】
まとめると、
1)下地層の凹凸のばらつきが大きくなる領域を第1膜形成領域7aとして蒸着法を用いて発光ピーク波長が最も短い青色の発光層26bを形成する。
2)他の第2膜形成領域7bおよび第3膜形成領域7cは、第1膜形成領域7aに比べて高い平坦性を有するように隔壁部19により区画して、発光層26bに比べて発光ピーク波長が長い発光層26g,26rを塗布法(液滴吐出法)により形成する。
3)第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cの平面積すなわち有機EL素子20B,20G,20Rの発光面積は、発光層26b,26g,26rの輝度と発光寿命とを考慮して発光色間でバランスが取れるように設定する。
以降の実施例2〜実施例4においても同じ技術的な思想で塗布法と蒸着法の使い分けがなされている。
【0083】
(実施例2)
次に、実施例2の有機EL装置とその製造方法について、図9および図10を参照して説明する。図9は実施例2の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図、図10は図9のB−B'線で切った概略断面図である。なお、実施例1の有機EL装置10と同じ構成は、同じ符号を付すことにより、詳細の説明は省略する。
【0084】
図9に示すように、実施例2の有機EL装置100は、格子状に配置され互いに絶縁された走査線31とデータ線41とにより区画された領域に対応して、発光制御単位Luが設けられている。各発光制御単位Luは、実施例1の有機EL装置10と同様に2つのTFT11,12と、保持容量13と、これらに繋がる配線とを有している。
【0085】
また、走査線31に沿って隣り合って配置された発光制御単位Luに跨る下地層は、上から順に第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cに区分されている。第1膜形成領域7aには画素電極23bを有する有機EL素子20Bが設けられている。第2膜形成領域7bには画素電極23gを有する有機EL素子20Gが設けられている。第3膜形成領域7cには画素電極23rを有する有機EL素子20Rが設けられている。
【0086】
駆動用のTFT12に対する各画素電極23b,23g,23rの電気的な接続の仕方は、実施例1と同じである。
【0087】
実施例2では、有機EL素子20B,20G,20Rを駆動制御する発光制御単位Luの保持容量13が第2膜形成領域7bに設けられている。言い換えれば、第2膜形成領域7bの下地層は、3つの保持容量13を含んでいる。
【0088】
さらに、電源線42は、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとに亘って設けられていると共に、走査線31に沿って配置された複数の発光制御単位Luに跨って設けられている。すなわち、実施例2は、実施例1に対して保持容量13および電源線42の有機EL素子20B,20G,20Rに対する相対的な配置を変えたものである。
【0089】
より具体的には、図10に示すように、第1膜形成領域7aの下地層はTFT11,12を含み、第2膜形成領域7bの下地層は保持容量13と電源線42とを含み、第3膜形成領域7cは電源線42を含んでいる。したがって、第1膜形成領域7aの下地層は、表面の凹凸のばらつきが最も大きな部分を含んでいる。これに対して第2膜形成領域7bの下地層は、保持容量13を含んでいるものの、保持容量13が誘電体層としてのゲート絶縁膜1aを介して対向配置された一対の電極13a,13bからなるため、その表面の段差は比較的に小さくなる。第3膜形成領域7cの下地層は、ほぼ膜厚が一定しているゲート絶縁膜1a、層間絶縁膜14、電源線42、保護膜15、平坦化層16が順に素子基板1上に積層されたものであるため、他に比べて最も良好な平坦性を有している。
【0090】
そして、実施例1と同様に、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとにおける発光層26g,26rは塗布法(液滴吐出法)により形成され、第1膜形成領域7aにおける発光層26bは蒸着法により形成されている。
【0091】
3つの膜形成領域7a,7b,7cの平面積は、ほぼ同等であるが、実際には様々な大きさに設定されるため、保持容量13や電源線42において所望の電気特性(すなわち、電気容量や電気抵抗)を確保する必要がある。その点において、実施例2の有機EL装置100は、実施例1の有機EL装置10に比べて、保持容量13や電源線42を設ける範囲を平面的に拡大しているので、所望の電気特性を確保するための設計上の自由度が高められている。言い換えれば、有機EL素子20B,20G,20Rからより安定した輝度の発光を得ることができる有機EL装置100を実現している。
【0092】
このような有機EL装置100の製造方法は、保持容量13や電源線42を設ける範囲が拡大されてはいるものの、素子基板1上における各構成要素やその積層状態が実施例1と同じであるため、有機EL装置10の製造方法を適用することができる。なお、後述する実施例3および実施例4も同様である。
【0093】
(実施例3)
次に、実施例3の有機EL装置およびその製造方法について、図11および図12を参照して説明する。図11は実施例3の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図、図12は実施例3の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図である。なお、実施例1の有機EL装置10と同じ構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、図12では駆動回路部の構成のうち主なTFT11,12や保持容量13、電源線42の配置を示し、これらを繋ぐ配線を省略した。
【0094】
図11に示すように、実施例3の有機EL装置200は、格子状に配置され互いに絶縁された走査線31とデータ線41とにより区画された領域に対応して、発光制御単位Luが設けられている。各発光制御単位Luは、実施例1の有機EL装置10と同様に2つのTFT11,12と、保持容量13と、これらに繋がる配線とを有している。
【0095】
また、走査線31に沿って隣り合って配置された発光制御単位Luに跨る下地層は、図面上で一番上が第1膜形成領域7aとなっている。ここまでは、実施例1と同様であるが、第1膜形成領域7aを除く他の下地層は、データ線41を跨がないように走査線31に沿って第4膜形成領域7d、第5膜形成領域7e、第6膜形成領域7f、第7膜形成領域7gの4つに区分されている。
【0096】
第1膜形成領域7aには有機EL素子20Bが設けられている。第4膜形成領域7dと第5膜形成領域7eとに跨って有機EL素子20Rが設けられている。第6膜形成領域7fと第7膜形成領域7gとに跨って有機EL素子20Gが設けられている。
すなわち、実施例3は、実施例1に対して隣り合った発光制御単位Luを含む下地層の表面を合計5つの膜形成領域7a,7d,7e,7f,7gに区分すると共に、有機EL素子20Rと有機EL素子20Gの相対的な配置を変えたものである。
【0097】
より具体的には、図12に示すように、第1膜形成領域7aの下地層は、TFT11,12、保持容量13、画素電極23b、データ線41、電源線42を含んでいる。これに対して、第4膜形成領域7d、第5膜形成領域7e、第6膜形成領域7f、第7膜形成領域7gの下地層は、走査線31やデータ線41、あるいは電源線42などの配線を含まない構成となっている。特に、互いに絶縁された状態で交差して素子基板1上に配置される信号線を含まない構成とすることが平坦性を確保する上で好ましい。
【0098】
また、第4膜形成領域7dおよび第5膜形成領域7eには、塗布法(液滴吐出法)を用いて赤色の発光層形成材料を含む液状体70Rが塗布されて発光層26rが成膜されている。第6膜形成領域7fおよび第7膜形成領域7gには、同じく塗布法(液滴吐出法)を用いて緑色の発光層形成材料を含む液状体70Gが塗布されて発光層26gが成膜されている。そして、これらの発光層26g,26rを覆うと共に、第1膜形成領域7aには蒸着法を用いて電子輸送型の発光層26bが形成されている。
【0099】
実施例3の有機EL装置200およびその製造方法によれば、塗布法を用いて発光層26g,26rが形成される第4膜形成領域7d、第5膜形成領域7e、第6膜形成領域7f、第7膜形成領域7gは、いずれもその下地層が配線を含まない構成となっている。したがって、実施例1や実施例2に比べて該下地層の表面は、高い平坦性を有する。ゆえに、発光層26g,26rの膜厚ムラがより低減される。
【0100】
なお、実施例1で説明したように5つの膜形成領域7a,7d,7e,7f,7gの設定に関連する有機EL素子20B,20G,20Rの実質的な発光面積は、必ずしも同じでなくてよい。
【0101】
(実施例4)
次に、実施例4の有機EL装置およびその製造方法について、図13および図14を参照して説明する。図13は実施例4の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図、図14は実施例4の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図である。なお、実施例1の有機EL装置10と同じ構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、図14では駆動回路部の構成のうち主なTFT11,12や保持容量13、電源線42の配置を示し、これらを繋ぐ配線を省略した。
【0102】
図13に示すように、実施例4の有機EL装置300は、実施例3の有機EL装置200に対して、データ線41の配置を一部変えると共に、これに伴って隣り合う発光制御単位Luにおける駆動回路部の構成要素の配置を異ならせたものである。
【0103】
具体的には、2本のデータ線41が隣り合って延在するように設けられ、該2本のデータ線41を挟んで2つの発光制御単位Luが走査線31に沿って配置されている。
【0104】
2つの発光制御単位Luを含む下地層は、走査線31に沿って2つの発光制御単位Luに跨る第1膜形成領域7aと、一方(図面上では左側)の発光制御単位Luが設けられた範囲内の第8膜形成領域7hと、他方(図面上では右側)の発光制御単位Luが設けられた範囲内の第9膜形成領域7jとからなる3つの膜形成領域に区分されている。
【0105】
第1膜形成領域7aには有機EL素子20Bが設けられている。第8膜形成領域7hには有機EL素子20Rが設けられている。第9膜形成領域7jには有機EL素子20Gが設けられている。実施例1と同様に、有機EL素子20Bは蒸着法を用いて形成された発光層26bを有し、有機EL素子20G(有機EL素子20R)は塗布法(液滴吐出法)を用いて形成された発光層26g(発光層26r)を有するものである。
【0106】
より具体的には、図14に示すように、一方の発光制御単位Luには、2つの有機EL素子20B,20Rを駆動制御するための駆動回路部の構成(TFT11,12、保持容量13、電源線42など)が配置されている。TFT11,12および保持容量13はデータ線41に沿った方向の軸に対して線対称な状態で配置されている。
【0107】
他方の発光制御単位Luには、有機EL素子20Gを駆動制御するための駆動回路部の構成が配置されている。
【0108】
電源線42は、第1膜形成領域7a内に設けられた3つの保持容量13を覆うと共に、走査線31に沿って延在している。
【0109】
有機EL素子20Bの画素電極23bは一方の発光制御単位Luの片方のTFT12(ドレイン)に接続し、有機EL素子20Rの画素電極23rは一方の発光制御単位Luのもう片方のTFT12(ドレイン)に接続している。有機EL素子20Gの画素電極23gは他方の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0110】
実施例4の有機EL装置300によれば、データ線41を含まないように区分された第8膜形成領域7hと第9膜形成領域7jとに塗布法(液滴吐出法)で発光層26g,26rが形成されている。実施例3のように発光層26g,26rがそれぞれ2つの領域に分割されていないので、発光層形成材料を含む液状体70G,70Rの吐出(塗布)が複雑にならずに済む。また、第8膜形成領域7hと第9膜形成領域7jとに行き渡らせることが比較的に容易である。つまり、下地層の平坦性が確保され、より膜厚ムラが少ない発光層26g,26rが形成可能である。
【0111】
さらには、3つの膜形成領域7a,7h,7jの平面積をほぼ同じとしてもよいし、少なくとも1つを異ならせてもよい。特に、2本のデータ線41を跨がずに画素電極23g,23rをそれぞれ設けることが可能であるから、画素電極23g,23rの大きさ、つまりは有機EL素子20G,20Rの発光面積を比較的自由に調整可能である。
【0112】
なお、実施例4における電源線42や保持容量13の配置は、これに限定されない。図17は、実施例4に対する変形例の駆動回路部の配置を示す概略平面図である。
図17に示すように、変形例の有機EL装置500は、実施例4の有機EL装置300に対して電源線42と保持容量13の配置を変えたものである。
具体的には、第1膜形成領域7aと第8膜形成領域7h並びに第9膜形成領域7jに跨るように電源線42が設けられている。とりわけ第1膜形成領域7aでは、TFT11,12が設けられた領域を避け、互いに隣接した2つのデータ線41を跨いで電源線42に沿って保持容量13が設けられている。また、第8膜形成領域7hには、平面的にほぼ画素電極23rの大きさと同じ大きさで画素電極23rと重なる位置に保持容量13hが設けられている。同様に、第9膜形成領域7jには、平面的にほぼ画素電極23gの大きさと同じ大きさで画素電極23gと重なる位置に保持容量13jが設けられている。
このような電源線42および保持容量13,13h,13jの配置とすることにより、各有機EL素子20B,20G,20Rに対応した電気容量を有する保持容量13,13h,13jとすることができる。言い換えれば、保持容量の設計上の自由度を上げることができる。
【0113】
(第2実施形態)
次に、本実施形態の電子機器について携帯型電話機を例に説明する。図15は、電子機器としての携帯型電話機を示す斜視図である。
【0114】
図15に示すように、本実施形態の携帯型電話機1000は、操作ボタン1003を備えた本体1002と、本体1002にヒンジを介して折畳式に取り付けられた表示部1001とを備えている。
表示部1001には、上記第1実施形態の有機EL装置10,100,200,300のいずれかが搭載されている。
したがって、発光層26b,26g,26rの膜厚ムラに起因する輝度ムラが低減され見映えのよいフルカラー表示が可能な携帯型電話機1000を提供することができる。
【0115】
なお、上記有機EL装置10,100,200,300のいずれかが搭載された電子機器は、携帯型電話機1000に限定されない。例えば、パーソナルコンピューターや携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワーなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。
【0116】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0117】
(変形例1)上記第1実施形態の実施例3において、下地層における膜形成領域の区分の仕方は、これに限定されない。図16は変形例の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図である。例えば、図16に示すように、変形例の有機EL装置400は、走査線31に沿って配置された3つの発光制御単位Luに跨るように第1膜形成領域7aが区分されている。データ線41を挟んで2つの発光制御単位Luに跨るように第10膜形成領域7kと第11膜形成領域7Lとがそれぞれ区分されている。第1膜形成領域7aには高い被覆性を有する蒸着法で発光層26bが形成され、第10膜形成領域7kと第11膜形成領域7Lとには塗布法(液滴吐出法)で発光層26r,26gがそれぞれ形成されている。
第10膜形成領域7kと第11膜形成領域7Lとは、それぞれデータ線41を跨いで区分されているものの、実施例3のように発光層26g,26rが形成される領域が分割されておらず、平坦性がある程度確保されているので、膜厚ムラが少ない発光層26r,26gが形成される。
【0118】
(変形例2)上記実施形態1の有機EL装置10,100,200,300は赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の発光色が得られるものに限らず、他の色の発光色が得られる有機EL素子20を備えていてもよい。言い換えれば、1つの表示単位において発光層が形成される膜形成領域の数は、3つに限定されない。より高い色再現性を実現できる。
【0119】
(変形例3)上記第1実施形態の有機EL装置10の製造方法において、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとで平面積が異なる場合、第1発光層形成工程では、平面積が小さいほど塗布後の乾燥が進み易く、乾燥速度の違いで成膜後の膜形状が安定しないおそれがある。したがって、平面積が大きい順に液状体70G,70Rを塗布することが望ましい。これによって、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7c間の乾燥速度の差を抑制して、安定した膜形状の発光層26g,26rを形成することができる。
【0120】
(変形例4)上記第1実施形態の有機EL装置10の製造方法において、第1発光層形成工程では、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとに、それぞれ異なる種類の液状体70G,70Rを塗布すると、後から塗布した液状体の膜形成領域に対する濡れ性が低下する。したがって、異なる種類の液状体70G,70Rのうち膜形成領域に対する濡れ性が低い順に塗布することが望ましい。このようにすれば、液状体70G,70Rの各膜形成領域における濡れ性を安定的に確保してムラなく塗布することができる。
【0121】
(変形例5)上記第1実施形態の有機EL装置10の製造方法において、異なる発光層形成材料を含む液状体70G,70Rのうち、例えば、水分や酸素に曝露されたり、加熱等を受けることによって失活し易い発光層形成材料を含む液状体は、一番最後に塗布することが望ましい。これにより歩留りを向上させることができる。
【符号の説明】
【0122】
1…基板としての素子基板、10,100,200,300,400…有機EL装置、11,12…薄膜トランジスター(TFT)、13,13h,13j…保持容量、19…隔壁部、20B…第1有機EL素子としての青色の有機EL素子、20G…第2有機EL素子としての緑色の有機EL素子、20R…第3有機EL素子としての赤色の有機EL素子、23b,23g,23r…画素電極、24b,24g,24r…機能層、26b…第1発光層としての青色の発光層、26g…第2発光層としての緑色の発光層、26r…第3発光層としての赤色の発光層、27…共通電極、31…走査線、41…データ線、42…電源線、1000…電子機器としての携帯型電話機、Lu…発光制御単位。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置、有機EL装置の製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記有機EL装置としては、隔壁によって区画された略矩形状の開口領域に発光層を含む機能層を有し、開口領域には長辺部間の幅が狭められてなる狭窄部が長辺部の長さ方向における中央部に設けられた発光装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、他の有機EL装置として、異なる発光色の画素間を区切る第1の隔壁と、同一発光色の画素間を部分的に仕切る第2の隔壁とを有し、同一発光色の隣接する画素に形成された有機機能層同士が第2の隔壁の非形成領域で繋がっている発光装置が知られている(特許文献2)。
【0004】
上記特許文献1および上記特許文献2の発光装置は、いずれも隔壁の形状や配置が工夫され、隔壁で区画された領域に形成される有機機能層の膜厚のばらつきを低減可能とするものである。また、有機機能層に含まれる発光層は、液滴吐出法(インクジェット法)により発光層形成材料を含む液状組成物を上記隔壁で区画された領域に吐出して、固化することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−103032号公報
【特許文献2】特開2007−227127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および上記特許文献2に開示された発光装置は、アクティブ駆動型の発光装置であり、基板上において駆動回路上に有機機能層を有する発光素子が積層形成されたものである。駆動回路は、少なくとも2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、これらに接続する配線とにより構成されている。
したがって、基板上には、これらの電気的な構成要素が配置されていることから、隔壁により区画された領域の表面は、必ずしも平坦ではなく、段差が生じている。それゆえ、特に液滴吐出法(インクジェット法)を用いて有機機能層を形成すると、吐出された液状組成物が段差の最も低い部分に集まり易く、乾燥後に必ずしも均一な膜厚が得られないというおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。また、以下の形態または適用例において、「上」とは、基板から見て有機EL素子が配置された方向を示し、「○○上に」と記載された場合、○○の上に接するように配置される場合または○○の上に他の構成物を介して配置される場合または○○の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0008】
[適用例1]本適用例の有機EL装置は、基板を含む下地層と、前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部と、前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、第1の色の光を発光可能な第1有機EL素子と、前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光とは異なる第2の色を発光可能な第2有機EL素子と、前記下地層に形成されており、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、前記下地層に形成されており、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部と、を有し、前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、下地層は第1駆動回路部と第2駆動回路部を含むものであり、その表面はこれらの駆動回路部に起因する凹凸が生じ易い。隔壁部は、第1駆動回路部の少なくとも一部及び第2駆動回路部の少なくとも一部を含む第1膜形成領域とそれ以外の第2膜形成領域とを区画している。そして、第1膜形成領域と重なる位置に形成される第1発光層の成膜方法と、第2膜形成領域と重なる位置に形成される第2発光層の成膜方法とを異ならせることにより、それぞれの下地層の凹凸のばらつきに対応した成膜方法を選択して各発光層が設けられる。下地層の凹凸のばらつきが大きい方の膜形成領域には、例えば被覆性が優れた成膜方法を用いて膜厚ばらつきが少ない発光層が形成可能となる。その結果、隔壁部が駆動回路部をすべて含むように下地層を区画して得られた膜形成領域に発光層を設ける場合に比べて、下地層の凹凸のばらつきに起因した発光層の膜厚ムラが低減される。ゆえに、発光層の膜厚ムラに起因する輝度ムラなどが低減され、少なくとも2色の発光が得られる有機EL素子を備えた有機EL装置を提供することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例の有機EL装置において、前記第1膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の表面における凹凸のばらつきは、前記第2膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の凹凸のばらつきよりも大きいことを特徴とする。
この構成によれば、第1膜形成領域が第2膜形成領域に比べて下地層の凹凸のばらつきが大きくても、異なる成膜方法を用いて膜厚ムラが少ない第1発光層を設けることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例の有機EL装置において、前記第2発光層上に、前記第1発光層を形成するのと同一プロセスで形成され、前記第1発光層と同一材料からなる層が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1発光層と第2発光層とをそれぞれ対応する膜形成領域に選択的に設ける場合に比べて、第1発光層形成時に第2膜形成領域のマスキングが不要となり効率よく各発光層を設けることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、薄膜トランジスターおよび保持容量に起因する下地層の凹凸を第1膜形成領域に集中させ、第1膜形成領域に比べて第2膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきを小さくすることができる。すなわち、第2膜形成領域に設けられる第2発光層の膜厚ムラをより低減できる。
【0013】
[適用例5]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されているとしてもよい。
この構成によれば、薄膜トランジスターと保持容量とを第1膜形成領域に配置する場合に比べて、保持容量が第2膜形成領域に配置されるので、保持容量の設計上の自由度を高められる。
【0014】
[適用例6]上記適用例の有機EL装置において、前記隔壁部は、前記第1膜形成領域及び前記第2膜形成領域と隣り合う第3膜形成領域を区画しており、前記下地層上であって、平面視で前記第3膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光及び前記第2の色の光とは異なる第3の色の光を発光可能な第3有機EL素子と、前記下地層に形成されており、前記第3有機EL素子の駆動を制御する第3駆動回路部と、平面視において、前記第2膜形成領域と前記第3膜形成領域の間に配置されると共に、前記第1膜形成領域を横切るように配置された第1データ線及び第2データ線と、を有し、前記第3有機EL素子が有する第3発光層は、前記第1有機EL素子が有する第1発光層とは異なる成膜方法によって形成されており、前記第3駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、前記第1データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部と電気的に接続しており、前記第2データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部であって、前記第1データ線と電気的に接続された駆動回路部以外の駆動回路部と電気的に接続していることを特徴とする。
この構成によれば、隔壁部により区画された第1膜形成領域は第1および第2データ線を跨ぎ、他の第2膜形成領域および第3膜形成領域は第1および第2データ線を跨ぐことなく区画されている。したがって、第1膜形成領域に対して第2膜形成領域および第3膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきを小さくできる。したがって、第2および第3膜形成領域に膜厚ムラが低減された第2発光層、第3発光層を設けることができる。すなわち、膜厚ムラに起因する輝度ムラなどが低減された少なくとも3色の発光が得られる有機EL素子を備えた有機EL装置を提供できる。
【0015】
[適用例7]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されているとしてもよい。
この構成によれば、薄膜トランジスターおよび保持容量に起因する下地層の凹凸を第1膜形成領域に集中させ、第1膜形成領域に比べて第2および第3膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきをより小さくすることができる。すなわち、第2および第3発光層の膜厚ムラをより低減できる。
【0016】
[適用例8]上記適用例の有機EL装置において、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第1駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第2駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されており、前記第3駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第3膜形成領域と重なる位置に配置されているとしてもよい。
この構成によれば、膜形成領域ごとに保持容量が配置されているので、第1膜形成領域に3つ分の保持容量を設ける場合に比べて、保持容量の設計上の自由度を上げることができる。
【0017】
[適用例9]上記適用例の有機EL装置において、前記第1発光層は、蒸着法またはスピンコート法によって形成されており、前記第2発光層は、液滴吐出法によって形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきが他の膜形成領域に比べて大きくても、高い被覆性を有する蒸着法またはスピンコート法で第1発光層が形成されているので、ほぼ均一な膜厚を有する第1発光層を設けることができる。また、第2膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきを第1膜形成領域に比べて小さくできるので、液滴吐出法を用いて第2発光層を形成すれば、ほぼ均一な膜厚を有する第2発光層を設けることができる。
【0018】
[適用例10]本適用例の有機EL装置の製造方法は、基板を含む下地層上に、第1有機EL素子と、第2有機EL素子とを有する有機EL装置の製造方法であって、前記下地層内であって、前記基板の上方に、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部とを形成する駆動回路形成工程と、前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部を形成する隔壁部形成工程と、前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に、第1の色の光を発光可能な前記第1有機EL素子を形成すると共に、前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に、前記第1の色とは異なる第2の色の光を発光可能な前記第2有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程とを有し、前記駆動回路形成工程において、前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように形成し、前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、駆動回路形成工程では、第1膜形成領域と重なるように第1駆動回路部の少なくとも一部及び第2駆動回路部の少なくとも一部が形成される。このため、第1膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきが第2膜形成領域に比べて大きくなる。言い換えれば、第2膜形成領域における下地層の凹凸のばらつきが第1膜形成領域に比べて小さくなる。このような第1および第2膜形成領域に対して異なる成膜方法を採用して各発光層を形成すれば、下地層の凹凸のばらつきを考慮した成膜方法をそれぞれ選択して、膜厚ムラが少ない第1発光層並びに第2発光層を形成することができる。すなわち、すべての発光層を同一の成膜方法で形成する場合に比べて、発光層の膜厚ムラに起因する輝度ムラが低減され、少なくとも2色の発光が得られる有機EL素子を備えた有機EL装置を製造できる。
【0020】
[適用例11]上記適用例の有機EL装置の製造方法において、前記有機EL素子形成工程は、前記第2発光層を液滴吐出法によって形成する第1発光層形成工程と、前記第1発光層を蒸着法またはスピンコート法によって形成する第2発光層形成工程と、を有することが好ましい。
この方法によれば、第2膜形成領域に比べて下地層の凹凸のばらつきが大きい第1膜形成領域には、高い被覆性を有する蒸着法やスピンコート法を用いて第1発光層をほぼ均一に形成することができる。また、第1膜形成領域に比べて下地層の凹凸のばらつきが小さい第2膜形成領域には、液滴吐出法を用いて第2発光層をほぼ均一に且つ発光層形成材料の無駄を省いて効率よく形成することができる。
【0021】
[適用例12]本適用例の電子機器は、上記適用例の有機EL装置を備えることを特徴とする。
この構成によれば、輝度ムラなどが低減され、異なる発光色が得られる有機EL素子を有する有機EL装置を備えているので、高い表示品質を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図2】実施例1の発光単位と発光制御単位の配置を示す概略平面図。
【図3】実施例1の発光制御単位における駆動回路部を示す概略平面図。
【図4】図3のA−A'線で切った発光単位と発光制御単位の概略断面図。
【図5】実施例1の有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図6】(a)〜(c)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略平面図。
【図7】(d)〜(f)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。
【図8】(g)〜(i)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。
【図9】実施例2の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図。
【図10】図9のB−B'線で切った概略断面図。
【図11】実施例3の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図。
【図12】実施例3の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図。
【図13】実施例4の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図。
【図14】実施例4の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図。
【図15】電子機器としての携帯型電話機を示す斜視図。
【図16】変形例の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図。
【図17】実施例4に対する変形例の駆動回路部の配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0024】
(第1実施形態)
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置とその製造方法について、実施例1〜実施例4を挙げて説明する。
【0025】
(実施例1)
<有機EL装置>
図1は実施例1の有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図、図2は実施例1の発光単位と発光制御単位の配置を示す概略平面図、図3は実施例1の発光制御単位における駆動回路部を示す概略平面図、図4は図3のA−A'線で切った発光単位と発光制御単位の概略断面図である。
【0026】
図1に示すように、実施例1の有機EL装置10は、発光単位としての有機EL素子20を駆動するスイッチング素子として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、以下TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0027】
有機EL装置10は、走査線駆動部3に接続された複数の走査線31と、データ線駆動部4に接続された複数のデータ線41と、各走査線31に並列して設けられた複数の電源線42と、を備えている。互いに絶縁され交差する走査線31とデータ線41とによって区画された領域に対応して設けられた発光制御単位Luによって有機EL素子20の発光制御が行われている。
【0028】
各発光制御単位Luは、走査線31を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用のTFT11と、このTFT11を介してデータ線41から供給される画素信号を保持する保持容量13と、該保持容量13によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用のTFT12とを含む駆動回路部を備えている。
発光単位としての有機EL素子20は、駆動用のTFT12を介して電源線42に電気的に接続したときに該電源線42から駆動電流が流れ込む画素電極23と、画素電極23と共通電極27との間に挟み込まれた機能層24とを有している。
これらのTFT11,12に接続する走査線31とデータ線41とを総称して信号線と呼ぶ。
【0029】
走査線31が駆動されてスイッチング用のTFT11がオン状態になると、そのときのデータ線41の電位が保持容量13に保持され、該保持容量13の状態に応じて、駆動用のTFT12のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用のTFT12を介して、電源線42から画素電極23に電流が流れ、さらに機能層24を介して共通電極27に電流が流れる。機能層24は、これを流れる電流量に応じて発光する。なお、発光制御単位Luの駆動回路部の構成は、これに限定されるものではなく、例えば2つ以上の薄膜トランジスターを含むとしてもよい。
【0030】
次に、有機EL装置10における各構成の基板上における配置について、図2および図3を参照して説明する。
【0031】
図2に示すように、格子状に配置され互いに絶縁された走査線31とデータ線41とにより区画された領域に対応して、発光制御単位Luが設けられている。各発光制御単位Luは、前述したように2つのTFT11,12と、保持容量13と、これらに繋がる配線とを有している。
【0032】
走査線31に沿った隣り合う3つの発光制御単位Luに跨った部分は、それぞれがほぼ同じ平面積を有する3つの略矩形状の領域に区分されている。上から順に第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cと呼ぶ。
【0033】
第1膜形成領域7aには、第1有機EL素子としての青色(B)の発光が得られる機能層24bを有する有機EL素子20Bが設けられている。第2膜形成領域7bには、第2有機EL素子としての緑色(G)の発光が得られる機能層24gを有する有機EL素子20Gが設けられている。第3膜形成領域7cには、第3有機EL素子としての赤色(R)の発光が得られる機能層24rを有する有機EL素子20Rが設けられている。言い換えれば、異なる発光色が得られる発光単位としての3つの有機EL素子20B,20G,20Rが走査線31に沿った隣り合う同数(3つ)の発光制御単位Luに跨って設けられている。
また、このような3つの有機EL素子20B,20G,20Rを1つの表示単位として、複数の表示単位が基板上にマトリクス状に設けられている。
【0034】
電源線42は、走査線31に沿うと共に、隣り合う表示単位の第1膜形成領域7aに亘って設けられている。
【0035】
より具体的には、図3に示すように、TFT11,12は、走査線31とデータ線41との交差点近傍に設けられている。TFT11,12には、走査線31やデータ線41、保持容量13に接続する配線と、TFT11(ドレイン)とTFT12(ゲート)とを繋ぐ配線とが設けられている。
TFT12は、3端子(ゲート、ソース、ドレイン)のうちの1つ(ソース)が電源線42に接続し、有機EL素子20に電源線42から流れ込む電流を制御するものであり、有機EL素子20のスイッチングを行うTFT11に比べて耐電流、耐電圧等の関係からより大きな平面積を有する。
【0036】
保持容量13は平面的に略四角形であり、TFT11,12の近傍に設けられ、発光制御単位Luの平面積のほぼ1/6の大きさを占めている。なお、保持容量13の電気容量は、走査信号におけるフレーム周波数や駆動用のTFT12のオフ(OFF)時漏れ電流、有機EL素子20の発光特性を考慮して設計される。それゆえに実際には、適正な電気容量を定めることにより、保持容量13の平面積が決まる。
【0037】
隣り合う3つの発光制御単位LuのTFT11,12と保持容量13とが設けられた領域、すなわち第1膜形成領域7aに亘って、青色(B)の発光が得られる有機EL素子20Bの画素電極23bが設けられている。画素電極23bは、走査線31に沿って配列する3つの発光制御単位Luのうち右端の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0038】
隣り合う3つの発光制御単位Luに跨る第2膜形成領域7bに亘って、緑色(G)の発光が得られる有機EL素子20Gの画素電極23gが設けられている。画素電極23gは、走査線31に沿って配列する3つの発光制御単位Luのうち左端の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0039】
隣り合う3つの発光制御単位Luに跨る第3膜形成領域7cに亘って、赤色(R)の発光が得られる有機EL素子20Rの画素電極23rが設けられている。画素電極23rは、走査線31に沿って配列する3つの発光制御単位Luのうち中央の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0040】
画素電極23g,23rは、実際には配線の都合上、走査線31に沿って隣り合う3つの発光制御単位Luに対して、データ線41に沿って隣り合う他の発光制御単位Luに設けられたTFT12(ドレイン)にそれぞれ接続している。なお、画素電極23b,23g,23rとTFT12との接続方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
次に、有機EL装置10の厚み方向における構造について図4を参照して説明する。
図4に示すように、発光制御単位Luと、各発光色の有機EL素子20(個々には有機EL素子20B、有機EL素子20G、有機EL素子20Rと呼ぶ)とは、基板としての素子基板1上に積層形成されている。発光制御単位Luが発光単位としての有機EL素子20の下地層に含まれる構成となっている。言い換えれば、発光制御単位Luが設けられた下地層上に各有機EL素子20B,20G,20Rが設けられている。
また、本実施例では、下地層には素子基板1、発光制御単位Lu、反射層21、絶縁膜17が含まれている。
【0042】
素子基板1は、透明なガラスや樹脂等の基板あるいは、不透明なシリコン等の基板が用いられる。まず、素子基板1の表面に例えばポリシリコン膜からなる半導体層11a,12a,13aがそれぞれ島状に設けられる。半導体層11aはTFT11を構成するものであり、半導体層12aはTFT12を構成するものである。半導体層13aは、保持容量13を構成するものであり一方の電極となる。したがって、一方の電極13aと呼ぶこともある。半導体層11a,12a,13aの膜厚はおよそ50nmである。
【0043】
島状の半導体層11a,12aの外縁およびゲートと、半導体層13aの一部を除くほぼ全面を覆うようにゲート絶縁膜1aが設けられている。半導体層13aを覆うゲート絶縁膜1aは誘電体層として機能する。ゲート絶縁膜1aの厚みは、およそ50nm〜100nmである。
【0044】
ゲート絶縁膜1a上には、例えばAl(アルミ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、あるいはこれらの金属化合物からなる低抵抗金属配線層が設けられ、これをパターニングすることにより、走査線31、データ線41(図示省略)、TFT11,12の各ゲート電極11d,12dを構成している。また、保持容量13の他方の電極13bや一方の電極13aに繋がる配線(図示省略)を構成している。そして、これらを覆うように層間絶縁膜14が設けられている。該低抵抗金属配線層の厚みはおよそ500nm〜600nmである。層間絶縁膜14の厚みもおよそ500nm〜600nmである。
【0045】
層間絶縁膜14には、TFT11,12のソースやドレインとの接続を図るためのコンタクトホール14a,14b,14c,14dが設けられている。また、保持容量13と電源線42およびTFT12との接続を図るためのコンタクトホール(図示省略)が設けられている。
【0046】
層間絶縁膜14上に例えばAl、Ta、W、あるいはこれらの金属化合物などの低抵抗金属配線層が設けられ、これをパターニングすることにより、電源線42やコンタクトホール14b,14c間を繋ぐ配線、電源線42とコンタクトホール14d間を繋ぐ配線等を構成している。該低抵抗金属配線層の厚みはおよそ500nm〜600nmである。
【0047】
そして、電源線42や層間絶縁膜14を覆うように保護膜15が設けられ、さらに保護膜15を覆うように平坦化層16が設けられている。上述したゲート絶縁膜1a、層間絶縁膜14、保護膜15は、例えばSiNやSiO、SiO2あるいはこれらシリコン化合物などの無機混合物からなる。保護膜15の厚みはおよそ200nm〜300nmである。平坦化層16は、例えばアクリル系やエポキシ系の有機樹脂からなり、厚みはおよそ1μm〜2μmである。
【0048】
このように低抵抗金属配線層や層間絶縁膜14などに比べて厚い平坦化層16を設けても、素子基板1上における平坦化層16の表面には凹凸が生じてしまう。特に、TFT11,12が設けられた第1膜形成領域7aの表面は、TFT11,12に接続を図るためのコンタクトホール14a,14b,14c,14dや配線の形成により、他の第2膜形成領域7bや第3膜形成領域7cに比べてより多くの凹凸を有する。
【0049】
この場合、平坦化層16上の凹凸のばらつきは、TFT11,12や保持容量13、およびこれに繋がる低抵抗金属配線層を有する第1膜形成領域7aが最も大きくなっている。これに対してTFT11,12や保持容量13を有しない第2膜形成領域7bや第3膜形成領域7cの平坦化層16上の凹凸のばらつきは小さくなっている。
ここでいう凹凸のばらつきは、平坦化層16表面の算術平均粗さ(Ra)や平坦化層16表面の基準面からの高さの標準偏差で定義することができる。また、発光時における画素内の輝度分布における標準偏差で定義することもできる。
ちなみに、第1膜形成領域7aにおける表面の段差は、およそ数十nm〜数百nmである。これに対して第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cにおける表面の段差は、図4の断面図上ではほとんど発生していない。あえて取り上げるとすれば、図3に示すように、隣り合う発光制御単位Luにおけるデータ線41を跨ぐように第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cが区分されているため、データ線41を跨いだ部分でわずかに段差が生じている程度である。
【0050】
このような素子基板1における隣り合う3つの発光制御単位Luを含む下地層の段差に応じて、下地層の上層に異なる発光色の有機EL素子20B,20G,20Rが設けられている。具体的には、第1膜形成領域7aに有機EL素子20Bが設けられ、第2膜形成領域7bに有機EL素子20Gが設けられ、第3膜形成領域7cに有機EL素子20Rが設けられている。
【0051】
第1膜形成領域7aに設けられた有機EL素子20Bは、平坦化層16上において順に積層形成された反射層21、絶縁膜17、画素電極23b、機能層24b、共通電極27を含んでいる。他の有機EL素子20G,20Rも同様である。
【0052】
反射層21は、例えばAl−Ndの反射性金属材料からなり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。反射層21を覆う絶縁膜17は、SiNやSiOなど透明な無機材料からなり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。画素電極23b,23g,23rは、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜であり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。
【0053】
各画素電極23b,23g,23rを実質的に区画しているのは、画素電極23b,23g,23rの外縁を覆うように形成された絶縁膜18と、絶縁膜18上に設けられた隔壁部19である。絶縁膜18は、SiO2などの無機絶縁材料からなり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。隔壁部19は、フェノール系あるいはポリイミド系の樹脂材料からなり、厚み(高さ)はおよそ1μm〜2μmである。
【0054】
機能層24g,24rのうち第2発光層としての発光層26gおよび第3発光層としての発光層26rは、隔壁部19によって実質的に区画された第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cに機能性材料を含む液状体を塗布し、塗布された液状体を乾燥することにより成膜する塗布法を用いて形成されている。
機能層24bの第1発光層としての発光層26bは、第1膜形成領域7aに機能性材料を蒸発させて成膜する蒸着法を用いて形成されている。また、隣り合う第2膜形成領域7b(発光層26g)と第3膜形成領域7c(発光層26r)と隔壁部19とを覆うように形成されている。
また、機能層24b,24g,24rは、画素電極23b,23g,23rと発光層26b,26g,26rとの間にそれぞれ正孔注入層25を有している。正孔注入層25は、塗布法を用いて形成されている。詳細については、後述する有機EL装置10の製造方法において述べる。
【0055】
共通電極27は、隔壁部19と各機能層24g,24b,24rとを覆うように設けられている。共通電極27は、ITO、IZOなどの透明導電膜であり、厚みはおよそ50nm〜100nmである。
【0056】
発光制御単位Luや各有機EL素子20B,20G,20Rが設けられた素子基板1は、透明なガラス等からなる封止基板(図示省略)と接合され、外部から水分や酸素等のガスが機能層24b,24g,24rに浸入しないように封止される。
【0057】
有機EL装置10は、各機能層24b,24g,24rからの発光が反射層21により反射され封止基板側から取り出される、所謂トップエミッション構造が採用されたフルカラー表示が可能な表示装置である。反射層21の下層側に発光制御単位Luが設けられているので、駆動回路部を構成するTFT11,12や保持容量13、およびこれらに接続する配線(走査線31、データ線41、電源線42など)は、機能層24b,24g,24rからの発光の取り出しを妨げない。したがって、これらの駆動回路部の構成要素を素子基板1上に比較的自由に配置することができる。なお、有機EL素子20B,20G,20Rの構成は、これに限定されない。例えば、発光色ごとの輝度を向上させるために、各機能層24b,24g,24rと反射層21との間に光共振構造を導入してもよい。
【0058】
<有機EL装置の製造方法>
次に、有機EL装置10の製造方法について、図5〜図8を参照して説明する。図5は実施例1の有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図6(a)〜(c)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略平面図、図7(d)〜(f)および図8(g)〜(i)は実施例1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図である。
【0059】
図5に示すように、実施例1の有機EL装置10の製造方法は、素子基板1上に複数の発光制御単位Luを形成する発光制御単位形成工程(ステップS1)と、隣り合う3つの発光制御単位Luごとに下地層の表面を3つの膜形成領域に区分して、膜形成領域ごとに、反射層21を形成する反射層形成工程(ステップS2)と、同じく膜形成領域ごとに発光制御単位Luに電気的に接続するように画素電極23b,23g,23rを形成する画素電極形成工程(ステップS3)と、3つの膜形成領域をそれぞれ区画する隔壁部19を形成する隔壁部形成工程(ステップS4)と、画素電極23b,23g,23r上に機能層24b,24g,24rを形成する機能層形成工程(ステップS5)と、隔壁部19と機能層24b,24g,24rとを覆うように共通電極27を形成する共通電極形成工程(ステップS6)と、素子基板1と封止基板とを接合して封止する封止工程(ステップS7)とを備えている。なお、有機EL素子形成工程は、反射層形成工程、画素電極形成工程、機能層形成工程、共通電極形成工程を少なくとも含む。
【0060】
ステップS1の発光制御単位形成工程(駆動回路形成工程)では、まず図6(a)に示すように、素子基板1上にポリシリコン膜を成膜して、フォトリソグラフィ法により各半導体層11a,12a,13aを島状に形成する。膜厚はおよそ50nmである。ポリシリコン膜の形成方法としては、公知の技術を用いることができ、例えば減圧CVD法等が挙げられる。
そして、TFT11,12に対応する半導体層11a,12aでは、ソースおよびドレイン側をマスクし、半導体層13aでは、電気的な接続部をマスクした状態で、素子基板1を覆うようにゲート絶縁膜1aを形成する。ゲート絶縁膜1aの形成方法としては、例えば、SiNやSiOをターゲットとして、膜厚がおよそ50nm〜100nmとなるように真空中で成膜するスパッタ法などが挙げられる。
【0061】
次に、ゲート絶縁膜1a上に例えば、Alからなる低抵抗金属膜を厚みおよそ500nm〜600nmとなるように同じくスパッタ法などにより成膜する。これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図6(b)に示すように、走査線31、データ線41、走査線31から半導体層11a上に延びてゲート電極11dとなる配線31a、半導体層12a上から半導体層13aの接続部まで延びる配線13c(ゲート電極12dを含む)、保持容量13の他方の電極13bを形成する。このとき、データ線41に対して直交するように延在する走査線31は、一旦、データ線41上を切り欠くように形成しておく。
【0062】
次に、素子基板1のほぼ全面を覆うように層間絶縁膜14を形成する。層間絶縁膜14を形成する方法としては、同じくスパッタ法を用い、SiNやSiOをターゲットとして、膜厚がおよそ500nm〜600nmとなるように真空中で成膜する。このとき、電源線42以外の配線を形成する部分は、予め感光性樹脂材料等を用いてマスクしておく。層間絶縁膜14を形成した後にマスクした部分を取り除けば、図6(c)に示すように、コンタクトホール14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14hを形成することができる。
【0063】
次に、再びAlからなる低抵抗金属膜を厚みおよそ500nm〜600nmとなるように同じくスパッタ法などにより層間絶縁膜14上に成膜する。これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図6(c)に示すように、電源線42と、各種の配線とを形成する。例えば、コンタクトホール14dとコンタクトホール14fとを低抵抗金属膜で埋めることにより、データ線41とTFT11のソースとを繋ぐ配線11eを形成することができる。コンタクトホール14cとコンタクトホール14eとを低抵抗金属膜で埋めることにより、TFT11のドレインとTFT12のゲートとを繋ぐ配線11fを形成することができる。2つのコンタクトホール14g間を低抵抗金属膜で埋めることにより、途切れていた走査線31をデータ線41上において電気的に繋げる配線31cを形成することができる。コンタクトホール14bとコンタクトホール14hとを低抵抗金属膜で埋めることにより、電源線42とTFT12のソースおよび保持容量13の他方の電極13bとを繋ぐことができる。
【0064】
次に、このようにしてできあがった駆動回路部を覆うように保護膜15を成膜する。保護膜15の形成方法としては、例えばSiNをターゲットとして厚みが200nm〜300nmとなるように同じくスパッタ法などにより成膜する。さらに、保護膜15を覆うように平坦化層16を形成する。平坦化層16の形成方法としては、感光性のアクリル系樹脂をスピンコートまたはロールコートなどの方法により厚みおよそ1μm〜2μmで塗布して固化させ、フォトリソグラフィ法によりパターニングする方法が挙げられる。パターニングするのは、主に、各画素電極23b,23g,23rとTFT12のドレインとの接続を図るコンタクトホール14aに連通するコンタクトホール16aである。または、当該コンタクトホール16aの部分をマスクしてから平坦化層形成材料をコーティングしてもよい。
【0065】
次に、ステップS2の反射層形成工程では、図7(d)に示すように、平坦化層16上の段差に応じて区分された第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cごとに反射層21を形成する。反射層21の形成方法としては、前述した反射層形成材料であるAl−Ndを厚みおよそ50nm〜100nmとなるようにスパッタ法で成膜する方法が挙げられる。そして、フォトリソグラフィ法により画素電極23b,23g,23rよりもやや広い平面積を有する反射層21を形成する。続いて、反射層21を覆うように絶縁膜17を成膜する。絶縁膜17の形成方法は、SiNやSiOをターゲットとして、膜厚がおよそ50nm〜100nmとなるように真空中で成膜するスパッタ法などが挙げられる。
【0066】
ステップS3の画素電極形成工程では、図7(d)に示すように、絶縁膜17上にITO膜をスパッタ法などにより厚みおよそ100nmとなるように成膜する。そして、これをフォトグラフィ法によりパターニングして反射層21の上方に各画素電極23b,23g,23rを形成する。また、コンタクトホール16aをITO膜で埋めて画素電極23b,23g,23rとTFT12(ドレイン)とを接続させる。この場合、各画素電極23b,23g,23rの平面積はほぼ同等である。
【0067】
続いて、各画素電極23b,23g,23rの外縁部を覆うように絶縁膜18を形成する。絶縁膜18の形成方法としては、各画素電極23b,23g,23rの外縁部以外をマスクした状態で、SiNやSiOをターゲットとしてスパッタし、厚みが50nm〜100nmとなるように成膜する方法が挙げられる。
【0068】
さらに、ステップS4の隔壁部形成工程では、素子基板1の表面にフェノール系あるいはポリイミド系の感光性樹脂材料を厚みが1μm〜2μmとなるようにコーティングし固化して、露光・現像することにより、絶縁膜18上に隔壁部19を形成する。これにより、図7(d)に示すように、隔壁部19は実質的に第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cを区画する。第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cの平面積もほぼ同等である。
【0069】
次に、ステップS5の機能層形成工程について説明する。本実施形態の機能層形成工程は、正孔注入層形成材料を含む液状体を塗布し固化して正孔注入層25を形成する正孔注入層形成工程と、3つの膜形成領域のうち第1膜形成領域7a以外の第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとに塗布法を用いて機能層24g,24rのうちの発光層26g,26rを形成する第1発光層形成工程と、第1膜形成領域7aに蒸着法を用いて機能層24bのうちの発光層26bを形成する第2発光層形成工程とを含んでいる。
【0070】
正孔注入層形成工程では、図7(d)に示すように、ノズルから液状体を吐出可能な吐出ヘッド(インクジェットヘッド)50を用いて、正孔注入層形成材料を含む所定量の液状体60を液滴として第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cごとに塗布する。液状体60は、例えば溶媒としてジエチレングリコールと水(純水)とを含み、正孔注入層形成材料として、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体にドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT/PSS)を重量比で0.5%含んだ溶液である。粘度がおよそ20mPa・s以下となるように溶媒の割合が調整されている。
なお、PEDOT/PSS以外の正孔注入層形成材料としては、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体が挙げられる。
【0071】
液状体60が塗布された素子基板1を例えばランプアニール等の方法で加熱乾燥して溶媒を蒸発させることにより、図7(e)に示すように、第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cごとに、正孔注入層25を形成する。なお、液状体60を塗布する前に、画素電極23b,23g,23rの表面を親液処理すると共に、隔壁部19の表面を撥液処理する表面処理を素子基板1に施してもよい。親液処理は酸素を処理ガスとしてプラズマ処理する方法、撥液処理はフッソ系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する方法が挙げられる。このようにすれば、画素電極23b,23g,23r上に着弾した液状体60はムラなく濡れ広がる。
【0072】
続いて、第1発光層形成工程では、図7(f)に示すように、緑色の発光が得られる発光層形成材料を含む液状体70Gと赤色の発光が得られる発光層形成材料を含む液状体70Rとをそれぞれ異なる吐出ヘッド50に充填して、対応する第2膜形成領域7bと、第3膜形成領域7cとに液滴として塗布する。
液状体70G,70Rは、例えば溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを含み、発光層形成材料として緑色、赤色の発光が得られるポリフルオレン誘導体(PF)を重量比で0.7%含んだものを用いた。粘度はおよそ14mPa・sである。なお、PF以外の発光層形成材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、PEDOT等のポリチオフェニレン誘導体、ポリメチルフェニレンシラン(PMPS)等を用いることができる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、ルブレン、ナイルレッド、クマリン6、キナクドリン等低分子材料をドープしたものを用いてもよい。
【0073】
塗布された液状体70G,70Rの乾燥方法(固化方法)としては、一般的な加熱乾燥に比べて溶媒成分を比較的均一に乾燥可能な減圧乾燥法を用いている。これにより、図8(g)に示すように、正孔注入層25上に発光層26g,26rを形成することができる。こうして正孔注入層25と発光層26gとを含む機能層24gが形成される。また、同様に正孔注入層25と発光層26rとを含む機能層24rが形成される。第2膜形成領域7bおよび第3膜形成領域7cは、いずれも画素電極23g,23rが形成された下地層の表面における凹凸のばらつきが第1膜形成領域7aに比べて小さくなっている。したがって、吐出ヘッド50から吐出された液状体70G,70Rは、それぞれ対応する第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとにおいてムラ無く濡れ広がり、乾燥後に膜厚がおよそ80nmの発光層26g,26rが形成された。
【0074】
次に、第2発光層形成工程では、図8(h)に示すように、第1膜形成領域7aの正孔注入層25上に発光層26bを蒸着法により形成する。このとき、他の第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cに亘って発光層26bを成膜する。したがって、発光層26gや発光層26rの上にも発光層26bが積層形成される。
発光層形成材料としては、例えばCBPなどのホスト材料にFIrpicなどのドーパント材料を混合したものが挙げられる。膜厚はおよそ50nmである。
蒸着法を用いて発光層26bを成膜するので、下地層の表面が数十nm〜数百nmほどの段差を有する第1膜形成領域7aであっても、正孔注入層25上に膜厚バラツキが少ない状態で発光層26bが形成される。
これにより、正孔注入層25と発光層26bとを含む機能層24b、正孔注入層25と発光層26gおよび発光層26bを含む機能層24g、正孔注入層25と発光層26rおよび発光層26bを含む機能層24rがそれぞれできあがる。
【0075】
なお、機能層形成工程における機能層24b,24g,24rの形成方法は、これに限定されない。例えば、正孔注入層25と発光層26b,26g,26rとの間に、中間層を形成してもよい。中間層形成材料を含む液状体としては、例えば、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを含み、中間層形成材料として、トリフェニルアミン系ポリマーを重量比で0.1%程度含んだものが挙げられる。
中間層は、発光層26b,26g,26rに対する正孔の輸送性(注入性)を向上させると共に、発光層26b,26g,26rから正孔注入層25に電子が浸入することを抑制する機能を有する。
また、発光層26b,26g,26r形成後、正孔ブロック層、電子輸送層を蒸着法により積層してもよい。正孔ブロック層としては、BAlq、BCPがなどが挙げられ、電子輸送層としてはAlq3などが挙げられる。正孔ブロック層は、発光層26b,26g,26rから正孔が漏れ出ることを抑制する機能を有する。電子輸送層は、発光層26b,26g,26rに対する電子の輸送性(注入性)を向上させる機能を有する。
すなわち、これらの中間層、正孔ブロック層、電子輸送層は、発光層26b,26g,26rにおける正孔と電子との結合による発光の効率を改善するものである。
【0076】
次に、ステップS6の共通電極形成工程では、図8(i)に示すように、3つの膜形成領域7a,7b,7cに亘って形成された発光層26bを覆うように、共通電極27を形成する。これにより有機EL素子20B,20G,20Rが完成する。
共通電極27の材料としては、ITOとCa、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物とを組み合わせて用いるのが好ましい。特に機能層24b,24g,24rに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいITOを形成するのが好ましい。また、共通電極27の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、共通電極27の酸化を防止することができる。共通電極27の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に機能層24b,24g,24rの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。
【0077】
次に、ステップS7の封止工程では、発光制御単位Luと有機EL素子20とが形成された素子基板1と、封止基板とを接合することにより有機EL装置10が完成する。素子基板1と封止基板の接合方法としては、素子基板1と封止基板との間に空間をおき、複数の有機EL素子20を取り囲むように接着剤を配置して接合する所謂缶封止と呼ばれる方法や、当該空間に透明な樹脂を充填して封着する方法が挙げられる。
【0078】
このような塗布法と蒸着法とを使い分けた有機EL装置10およびその製造方法によれば、ほぼ同等の平面積を有する3つの膜形成領域7a,7b,7cに対して蒸着法によりすべての発光層26b,26g,26rを選択的に形成する場合に比べて、蒸着マスクを不要としつつ、膜厚ムラが低減された発光層26b,26g,26rを効率よく形成することができる。すなわち、異なる発光色間の輝度が均衡し、且つ輝度ムラが低減されたトップエミッション型のフルカラー表示が可能な有機EL装置10を実現できると共に、効率よく製造することができる。
【0079】
なお、本実施例では、発光層26bを発光層26gや発光層26rの上にも形成する構成としたが、発光層26bの形成時に、第1膜形成領域7a以外を遮るマスクを用いて、発光層26bを蒸着法により形成することで、第1膜形成領域7aだけに発光層26bを形成するようにしてもよい。
【0080】
また、発光層26bを形成する方法として、蒸着法以外にスピンコート法やディップ法等を用いてもよい。この場合も、下地層の表面が数十nm〜数百nmほどの段差を有する場合であっても、膜厚バラツキが少ない状態で発光層26bを形成することが可能である。言い換えれば、各膜形成領域7a,7b,7cにおける下地層の凹凸のばらつきを考慮して、異なる成膜方法を選定し、発光層26b,26g,26rを形成する。
【0081】
この場合、3つの膜形成領域7a,7b,7cの設定に関連する有機EL素子20B,20G,20Rの実質的な発光面積は、必ずしも同じでなくてよい。
主に高分子の発光層形成材料を用いる塗布法は、低分子の発光層形成材料を用いる蒸着法に比べて、現状では形成された発光層の発光寿命が短い傾向にある。また、発光層の発光ピーク波長が長い方が、発光寿命が長い傾向にある。
一方で、発光寿命は発光層を流れる電流量に依存し、輝度は電流量と発光面積に依存する。ゆえに、各発光色を安定した輝度で得ながら発光色間の発光寿命のバランス(均衡)を図る観点では、下地層の凹凸のばらつきが最も大きい部分を含む第1膜形成領域7aには、凹凸の影響を受け難くい高い被覆性を有する蒸着法で所望の膜厚を有する発光層を形成する。これにより、膜厚ムラに起因して部分的に電流が集中して流れ、輝度ムラや発光寿命が短くなってしまうことを防ぐことができる。合わせて、蒸着法を用いて形成する発光層は、赤(R)、緑(G)、青(B)、3色の発光色のうち最も発光ピーク波長が短い青色の発光層26bが好ましい。
さらには、塗布法を用いて形成される発光層26r(赤)と発光層26g(緑)とを比較すると、発光層26g(緑)の方が発光寿命が短くなるおそれがある。したがって、発光層26rが形成される第3膜形成領域7cは、発光層26gが形成される第2膜形成領域7bよりも、その平面積を小さくすることが好ましい。言い換えれば、平面積が大きい方の膜形成領域に発光寿命が短い方の発光層を形成することが好ましい。発光寿命が短い方の発光層を流れる電流量を抑制することにより、発光色間の発光寿命の差を縮小することができる。
【0082】
まとめると、
1)下地層の凹凸のばらつきが大きくなる領域を第1膜形成領域7aとして蒸着法を用いて発光ピーク波長が最も短い青色の発光層26bを形成する。
2)他の第2膜形成領域7bおよび第3膜形成領域7cは、第1膜形成領域7aに比べて高い平坦性を有するように隔壁部19により区画して、発光層26bに比べて発光ピーク波長が長い発光層26g,26rを塗布法(液滴吐出法)により形成する。
3)第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cの平面積すなわち有機EL素子20B,20G,20Rの発光面積は、発光層26b,26g,26rの輝度と発光寿命とを考慮して発光色間でバランスが取れるように設定する。
以降の実施例2〜実施例4においても同じ技術的な思想で塗布法と蒸着法の使い分けがなされている。
【0083】
(実施例2)
次に、実施例2の有機EL装置とその製造方法について、図9および図10を参照して説明する。図9は実施例2の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図、図10は図9のB−B'線で切った概略断面図である。なお、実施例1の有機EL装置10と同じ構成は、同じ符号を付すことにより、詳細の説明は省略する。
【0084】
図9に示すように、実施例2の有機EL装置100は、格子状に配置され互いに絶縁された走査線31とデータ線41とにより区画された領域に対応して、発光制御単位Luが設けられている。各発光制御単位Luは、実施例1の有機EL装置10と同様に2つのTFT11,12と、保持容量13と、これらに繋がる配線とを有している。
【0085】
また、走査線31に沿って隣り合って配置された発光制御単位Luに跨る下地層は、上から順に第1膜形成領域7a、第2膜形成領域7b、第3膜形成領域7cに区分されている。第1膜形成領域7aには画素電極23bを有する有機EL素子20Bが設けられている。第2膜形成領域7bには画素電極23gを有する有機EL素子20Gが設けられている。第3膜形成領域7cには画素電極23rを有する有機EL素子20Rが設けられている。
【0086】
駆動用のTFT12に対する各画素電極23b,23g,23rの電気的な接続の仕方は、実施例1と同じである。
【0087】
実施例2では、有機EL素子20B,20G,20Rを駆動制御する発光制御単位Luの保持容量13が第2膜形成領域7bに設けられている。言い換えれば、第2膜形成領域7bの下地層は、3つの保持容量13を含んでいる。
【0088】
さらに、電源線42は、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとに亘って設けられていると共に、走査線31に沿って配置された複数の発光制御単位Luに跨って設けられている。すなわち、実施例2は、実施例1に対して保持容量13および電源線42の有機EL素子20B,20G,20Rに対する相対的な配置を変えたものである。
【0089】
より具体的には、図10に示すように、第1膜形成領域7aの下地層はTFT11,12を含み、第2膜形成領域7bの下地層は保持容量13と電源線42とを含み、第3膜形成領域7cは電源線42を含んでいる。したがって、第1膜形成領域7aの下地層は、表面の凹凸のばらつきが最も大きな部分を含んでいる。これに対して第2膜形成領域7bの下地層は、保持容量13を含んでいるものの、保持容量13が誘電体層としてのゲート絶縁膜1aを介して対向配置された一対の電極13a,13bからなるため、その表面の段差は比較的に小さくなる。第3膜形成領域7cの下地層は、ほぼ膜厚が一定しているゲート絶縁膜1a、層間絶縁膜14、電源線42、保護膜15、平坦化層16が順に素子基板1上に積層されたものであるため、他に比べて最も良好な平坦性を有している。
【0090】
そして、実施例1と同様に、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとにおける発光層26g,26rは塗布法(液滴吐出法)により形成され、第1膜形成領域7aにおける発光層26bは蒸着法により形成されている。
【0091】
3つの膜形成領域7a,7b,7cの平面積は、ほぼ同等であるが、実際には様々な大きさに設定されるため、保持容量13や電源線42において所望の電気特性(すなわち、電気容量や電気抵抗)を確保する必要がある。その点において、実施例2の有機EL装置100は、実施例1の有機EL装置10に比べて、保持容量13や電源線42を設ける範囲を平面的に拡大しているので、所望の電気特性を確保するための設計上の自由度が高められている。言い換えれば、有機EL素子20B,20G,20Rからより安定した輝度の発光を得ることができる有機EL装置100を実現している。
【0092】
このような有機EL装置100の製造方法は、保持容量13や電源線42を設ける範囲が拡大されてはいるものの、素子基板1上における各構成要素やその積層状態が実施例1と同じであるため、有機EL装置10の製造方法を適用することができる。なお、後述する実施例3および実施例4も同様である。
【0093】
(実施例3)
次に、実施例3の有機EL装置およびその製造方法について、図11および図12を参照して説明する。図11は実施例3の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図、図12は実施例3の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図である。なお、実施例1の有機EL装置10と同じ構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、図12では駆動回路部の構成のうち主なTFT11,12や保持容量13、電源線42の配置を示し、これらを繋ぐ配線を省略した。
【0094】
図11に示すように、実施例3の有機EL装置200は、格子状に配置され互いに絶縁された走査線31とデータ線41とにより区画された領域に対応して、発光制御単位Luが設けられている。各発光制御単位Luは、実施例1の有機EL装置10と同様に2つのTFT11,12と、保持容量13と、これらに繋がる配線とを有している。
【0095】
また、走査線31に沿って隣り合って配置された発光制御単位Luに跨る下地層は、図面上で一番上が第1膜形成領域7aとなっている。ここまでは、実施例1と同様であるが、第1膜形成領域7aを除く他の下地層は、データ線41を跨がないように走査線31に沿って第4膜形成領域7d、第5膜形成領域7e、第6膜形成領域7f、第7膜形成領域7gの4つに区分されている。
【0096】
第1膜形成領域7aには有機EL素子20Bが設けられている。第4膜形成領域7dと第5膜形成領域7eとに跨って有機EL素子20Rが設けられている。第6膜形成領域7fと第7膜形成領域7gとに跨って有機EL素子20Gが設けられている。
すなわち、実施例3は、実施例1に対して隣り合った発光制御単位Luを含む下地層の表面を合計5つの膜形成領域7a,7d,7e,7f,7gに区分すると共に、有機EL素子20Rと有機EL素子20Gの相対的な配置を変えたものである。
【0097】
より具体的には、図12に示すように、第1膜形成領域7aの下地層は、TFT11,12、保持容量13、画素電極23b、データ線41、電源線42を含んでいる。これに対して、第4膜形成領域7d、第5膜形成領域7e、第6膜形成領域7f、第7膜形成領域7gの下地層は、走査線31やデータ線41、あるいは電源線42などの配線を含まない構成となっている。特に、互いに絶縁された状態で交差して素子基板1上に配置される信号線を含まない構成とすることが平坦性を確保する上で好ましい。
【0098】
また、第4膜形成領域7dおよび第5膜形成領域7eには、塗布法(液滴吐出法)を用いて赤色の発光層形成材料を含む液状体70Rが塗布されて発光層26rが成膜されている。第6膜形成領域7fおよび第7膜形成領域7gには、同じく塗布法(液滴吐出法)を用いて緑色の発光層形成材料を含む液状体70Gが塗布されて発光層26gが成膜されている。そして、これらの発光層26g,26rを覆うと共に、第1膜形成領域7aには蒸着法を用いて電子輸送型の発光層26bが形成されている。
【0099】
実施例3の有機EL装置200およびその製造方法によれば、塗布法を用いて発光層26g,26rが形成される第4膜形成領域7d、第5膜形成領域7e、第6膜形成領域7f、第7膜形成領域7gは、いずれもその下地層が配線を含まない構成となっている。したがって、実施例1や実施例2に比べて該下地層の表面は、高い平坦性を有する。ゆえに、発光層26g,26rの膜厚ムラがより低減される。
【0100】
なお、実施例1で説明したように5つの膜形成領域7a,7d,7e,7f,7gの設定に関連する有機EL素子20B,20G,20Rの実質的な発光面積は、必ずしも同じでなくてよい。
【0101】
(実施例4)
次に、実施例4の有機EL装置およびその製造方法について、図13および図14を参照して説明する。図13は実施例4の有機EL装置における発光制御単位と発光単位との配置を示す概略平面図、図14は実施例4の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図である。なお、実施例1の有機EL装置10と同じ構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、図14では駆動回路部の構成のうち主なTFT11,12や保持容量13、電源線42の配置を示し、これらを繋ぐ配線を省略した。
【0102】
図13に示すように、実施例4の有機EL装置300は、実施例3の有機EL装置200に対して、データ線41の配置を一部変えると共に、これに伴って隣り合う発光制御単位Luにおける駆動回路部の構成要素の配置を異ならせたものである。
【0103】
具体的には、2本のデータ線41が隣り合って延在するように設けられ、該2本のデータ線41を挟んで2つの発光制御単位Luが走査線31に沿って配置されている。
【0104】
2つの発光制御単位Luを含む下地層は、走査線31に沿って2つの発光制御単位Luに跨る第1膜形成領域7aと、一方(図面上では左側)の発光制御単位Luが設けられた範囲内の第8膜形成領域7hと、他方(図面上では右側)の発光制御単位Luが設けられた範囲内の第9膜形成領域7jとからなる3つの膜形成領域に区分されている。
【0105】
第1膜形成領域7aには有機EL素子20Bが設けられている。第8膜形成領域7hには有機EL素子20Rが設けられている。第9膜形成領域7jには有機EL素子20Gが設けられている。実施例1と同様に、有機EL素子20Bは蒸着法を用いて形成された発光層26bを有し、有機EL素子20G(有機EL素子20R)は塗布法(液滴吐出法)を用いて形成された発光層26g(発光層26r)を有するものである。
【0106】
より具体的には、図14に示すように、一方の発光制御単位Luには、2つの有機EL素子20B,20Rを駆動制御するための駆動回路部の構成(TFT11,12、保持容量13、電源線42など)が配置されている。TFT11,12および保持容量13はデータ線41に沿った方向の軸に対して線対称な状態で配置されている。
【0107】
他方の発光制御単位Luには、有機EL素子20Gを駆動制御するための駆動回路部の構成が配置されている。
【0108】
電源線42は、第1膜形成領域7a内に設けられた3つの保持容量13を覆うと共に、走査線31に沿って延在している。
【0109】
有機EL素子20Bの画素電極23bは一方の発光制御単位Luの片方のTFT12(ドレイン)に接続し、有機EL素子20Rの画素電極23rは一方の発光制御単位Luのもう片方のTFT12(ドレイン)に接続している。有機EL素子20Gの画素電極23gは他方の発光制御単位LuのTFT12(ドレイン)に接続している。
【0110】
実施例4の有機EL装置300によれば、データ線41を含まないように区分された第8膜形成領域7hと第9膜形成領域7jとに塗布法(液滴吐出法)で発光層26g,26rが形成されている。実施例3のように発光層26g,26rがそれぞれ2つの領域に分割されていないので、発光層形成材料を含む液状体70G,70Rの吐出(塗布)が複雑にならずに済む。また、第8膜形成領域7hと第9膜形成領域7jとに行き渡らせることが比較的に容易である。つまり、下地層の平坦性が確保され、より膜厚ムラが少ない発光層26g,26rが形成可能である。
【0111】
さらには、3つの膜形成領域7a,7h,7jの平面積をほぼ同じとしてもよいし、少なくとも1つを異ならせてもよい。特に、2本のデータ線41を跨がずに画素電極23g,23rをそれぞれ設けることが可能であるから、画素電極23g,23rの大きさ、つまりは有機EL素子20G,20Rの発光面積を比較的自由に調整可能である。
【0112】
なお、実施例4における電源線42や保持容量13の配置は、これに限定されない。図17は、実施例4に対する変形例の駆動回路部の配置を示す概略平面図である。
図17に示すように、変形例の有機EL装置500は、実施例4の有機EL装置300に対して電源線42と保持容量13の配置を変えたものである。
具体的には、第1膜形成領域7aと第8膜形成領域7h並びに第9膜形成領域7jに跨るように電源線42が設けられている。とりわけ第1膜形成領域7aでは、TFT11,12が設けられた領域を避け、互いに隣接した2つのデータ線41を跨いで電源線42に沿って保持容量13が設けられている。また、第8膜形成領域7hには、平面的にほぼ画素電極23rの大きさと同じ大きさで画素電極23rと重なる位置に保持容量13hが設けられている。同様に、第9膜形成領域7jには、平面的にほぼ画素電極23gの大きさと同じ大きさで画素電極23gと重なる位置に保持容量13jが設けられている。
このような電源線42および保持容量13,13h,13jの配置とすることにより、各有機EL素子20B,20G,20Rに対応した電気容量を有する保持容量13,13h,13jとすることができる。言い換えれば、保持容量の設計上の自由度を上げることができる。
【0113】
(第2実施形態)
次に、本実施形態の電子機器について携帯型電話機を例に説明する。図15は、電子機器としての携帯型電話機を示す斜視図である。
【0114】
図15に示すように、本実施形態の携帯型電話機1000は、操作ボタン1003を備えた本体1002と、本体1002にヒンジを介して折畳式に取り付けられた表示部1001とを備えている。
表示部1001には、上記第1実施形態の有機EL装置10,100,200,300のいずれかが搭載されている。
したがって、発光層26b,26g,26rの膜厚ムラに起因する輝度ムラが低減され見映えのよいフルカラー表示が可能な携帯型電話機1000を提供することができる。
【0115】
なお、上記有機EL装置10,100,200,300のいずれかが搭載された電子機器は、携帯型電話機1000に限定されない。例えば、パーソナルコンピューターや携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワーなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。
【0116】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0117】
(変形例1)上記第1実施形態の実施例3において、下地層における膜形成領域の区分の仕方は、これに限定されない。図16は変形例の発光制御単位における駆動回路部の構成と膜形成領域との配置を示す概略平面図である。例えば、図16に示すように、変形例の有機EL装置400は、走査線31に沿って配置された3つの発光制御単位Luに跨るように第1膜形成領域7aが区分されている。データ線41を挟んで2つの発光制御単位Luに跨るように第10膜形成領域7kと第11膜形成領域7Lとがそれぞれ区分されている。第1膜形成領域7aには高い被覆性を有する蒸着法で発光層26bが形成され、第10膜形成領域7kと第11膜形成領域7Lとには塗布法(液滴吐出法)で発光層26r,26gがそれぞれ形成されている。
第10膜形成領域7kと第11膜形成領域7Lとは、それぞれデータ線41を跨いで区分されているものの、実施例3のように発光層26g,26rが形成される領域が分割されておらず、平坦性がある程度確保されているので、膜厚ムラが少ない発光層26r,26gが形成される。
【0118】
(変形例2)上記実施形態1の有機EL装置10,100,200,300は赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の発光色が得られるものに限らず、他の色の発光色が得られる有機EL素子20を備えていてもよい。言い換えれば、1つの表示単位において発光層が形成される膜形成領域の数は、3つに限定されない。より高い色再現性を実現できる。
【0119】
(変形例3)上記第1実施形態の有機EL装置10の製造方法において、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとで平面積が異なる場合、第1発光層形成工程では、平面積が小さいほど塗布後の乾燥が進み易く、乾燥速度の違いで成膜後の膜形状が安定しないおそれがある。したがって、平面積が大きい順に液状体70G,70Rを塗布することが望ましい。これによって、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7c間の乾燥速度の差を抑制して、安定した膜形状の発光層26g,26rを形成することができる。
【0120】
(変形例4)上記第1実施形態の有機EL装置10の製造方法において、第1発光層形成工程では、第2膜形成領域7bと第3膜形成領域7cとに、それぞれ異なる種類の液状体70G,70Rを塗布すると、後から塗布した液状体の膜形成領域に対する濡れ性が低下する。したがって、異なる種類の液状体70G,70Rのうち膜形成領域に対する濡れ性が低い順に塗布することが望ましい。このようにすれば、液状体70G,70Rの各膜形成領域における濡れ性を安定的に確保してムラなく塗布することができる。
【0121】
(変形例5)上記第1実施形態の有機EL装置10の製造方法において、異なる発光層形成材料を含む液状体70G,70Rのうち、例えば、水分や酸素に曝露されたり、加熱等を受けることによって失活し易い発光層形成材料を含む液状体は、一番最後に塗布することが望ましい。これにより歩留りを向上させることができる。
【符号の説明】
【0122】
1…基板としての素子基板、10,100,200,300,400…有機EL装置、11,12…薄膜トランジスター(TFT)、13,13h,13j…保持容量、19…隔壁部、20B…第1有機EL素子としての青色の有機EL素子、20G…第2有機EL素子としての緑色の有機EL素子、20R…第3有機EL素子としての赤色の有機EL素子、23b,23g,23r…画素電極、24b,24g,24r…機能層、26b…第1発光層としての青色の発光層、26g…第2発光層としての緑色の発光層、26r…第3発光層としての赤色の発光層、27…共通電極、31…走査線、41…データ線、42…電源線、1000…電子機器としての携帯型電話機、Lu…発光制御単位。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含む下地層と、
前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部と、
前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、第1の色の光を発光可能な第1有機EL素子と、
前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光とは異なる第2の色を発光可能な第2有機EL素子と、
前記下地層に形成されており、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、
前記下地層に形成されており、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部と、を有し、
前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、
前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記第1膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の表面における凹凸のばらつきは、前記第2膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の凹凸のばらつきよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記第2発光層上に、前記第1発光層を形成するのと同一プロセスで形成され、前記第1発光層と同一材料からなる層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記隔壁部は、前記第1膜形成領域及び前記第2膜形成領域と隣り合う第3膜形成領域を区画しており、
前記下地層上であって、平面視で前記第3膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光及び前記第2の色の光とは異なる第3の色の光を発光可能な第3有機EL素子と、
前記下地層に形成されており、前記第3有機EL素子の駆動を制御する第3駆動回路部と、
平面視において、前記第2膜形成領域と前記第3膜形成領域の間に配置されると共に、前記第1膜形成領域を横切るように配置された第1データ線及び第2データ線と、
を有し、
前記第3有機EL素子が有する第3発光層は、前記第1有機EL素子が有する第1発光層とは異なる成膜方法によって形成されており、
前記第3駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、
前記第1データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部と電気的に接続しており、
前記第2データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部であって、前記第1データ線と電気的に接続された駆動回路部以外の駆動回路部と電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第1駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第2駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第3駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第3膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記第1発光層は、蒸着法またはスピンコート法によって形成されており、前記第2発光層は、液滴吐出法によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項10】
基板を含む下地層上に、第1有機EL素子と、第2有機EL素子とを有する有機EL装置の製造方法であって、
前記下地層内であって、前記基板の上方に、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部とを形成する駆動回路形成工程と、
前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部を形成する隔壁部形成工程と、
前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に、第1の色の光を発光可能な前記第1有機EL素子を形成すると共に、前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に、前記第1の色とは異なる第2の色の光を発光可能な前記第2有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程とを有し、
前記駆動回路形成工程において、前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように形成し、
前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項11】
前記有機EL素子形成工程は、前記第2発光層を液滴吐出法によって形成する第1発光層形成工程と、前記第1発光層を蒸着法またはスピンコート法によって形成する第2発光層形成工程と、を有することを特徴とする請求項10に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板を含む下地層と、
前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部と、
前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、第1の色の光を発光可能な第1有機EL素子と、
前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光とは異なる第2の色を発光可能な第2有機EL素子と、
前記下地層に形成されており、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、
前記下地層に形成されており、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部と、を有し、
前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、
前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記第1膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の表面における凹凸のばらつきは、前記第2膜形成領域と平面視において重なる領域の前記下地層の凹凸のばらつきよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記第2発光層上に、前記第1発光層を形成するのと同一プロセスで形成され、前記第1発光層と同一材料からなる層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第1駆動回路部および前記第2駆動回路部がそれぞれ有する、前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記隔壁部は、前記第1膜形成領域及び前記第2膜形成領域と隣り合う第3膜形成領域を区画しており、
前記下地層上であって、平面視で前記第3膜形成領域と重なる位置に形成されると共に、前記第1の色の光及び前記第2の色の光とは異なる第3の色の光を発光可能な第3有機EL素子と、
前記下地層に形成されており、前記第3有機EL素子の駆動を制御する第3駆動回路部と、
平面視において、前記第2膜形成領域と前記第3膜形成領域の間に配置されると共に、前記第1膜形成領域を横切るように配置された第1データ線及び第2データ線と、
を有し、
前記第3有機EL素子が有する第3発光層は、前記第1有機EL素子が有する第1発光層とは異なる成膜方法によって形成されており、
前記第3駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように配置されており、
前記第1データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部と電気的に接続しており、
前記第2データ線は、前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部及び前記第3駆動回路部のうちのいずれか1つの駆動回路部であって、前記第1データ線と電気的に接続された駆動回路部以外の駆動回路部と電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスター及び前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部は、それぞれ2つの薄膜トランジスターと、保持容量と、を有し、
前記第1駆動回路部、前記第2駆動回路部および前記第3駆動回路部がそれぞれ有する、前記2つの薄膜トランジスターは、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第1駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第1膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第2駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第2膜形成領域と重なる位置に配置されており、
前記第3駆動回路部が有する前記保持容量は、平面視において前記第3膜形成領域と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記第1発光層は、蒸着法またはスピンコート法によって形成されており、前記第2発光層は、液滴吐出法によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項10】
基板を含む下地層上に、第1有機EL素子と、第2有機EL素子とを有する有機EL装置の製造方法であって、
前記下地層内であって、前記基板の上方に、前記第1有機EL素子の駆動を制御する第1駆動回路部と、前記第2有機EL素子の駆動を制御する第2駆動回路部とを形成する駆動回路形成工程と、
前記下地層上に形成され、隣り合う第1膜形成領域と第2膜形成領域とを互いに区画する隔壁部を形成する隔壁部形成工程と、
前記下地層上であって、平面視で前記第1膜形成領域と重なる位置に、第1の色の光を発光可能な前記第1有機EL素子を形成すると共に、前記下地層上であって、平面視で前記第2膜形成領域と重なる位置に、前記第1の色とは異なる第2の色の光を発光可能な前記第2有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程とを有し、
前記駆動回路形成工程において、前記第1駆動回路部の少なくとも一部及び前記第2駆動回路部の少なくとも一部は、平面視において前記第1膜形成領域と重なるように形成し、
前記第1有機EL素子が有する第1発光層と前記第2有機EL素子が有する第2発光層とは、異なる成膜方法によって形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項11】
前記有機EL素子形成工程は、前記第2発光層を液滴吐出法によって形成する第1発光層形成工程と、前記第1発光層を蒸着法またはスピンコート法によって形成する第2発光層形成工程と、を有することを特徴とする請求項10に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−28876(P2011−28876A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170879(P2009−170879)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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