有機EL装置、有機EL装置の製造方法及び電子機器
【課題】 発熱による劣化や、それに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置、有機EL装置の製造方法及び電子機器を提供すること。
【解決手段】 有機バンク層36内の流通路に冷媒を流通させることで、当該流通路の周囲の熱を吸収することができる。有機層30は当該流通路が形成された有機バンク層36に囲まれているため、有機EL装置1を駆動したときには、有機層30から発生した熱が効率的に吸収される。これにより、有機EL装置1が熱により表示不良や動作不良を起こすことも無い。また、冷媒を流通させる流通路を有機バンク層36内に設けたことで、有機EL装置1を厚く形成しなくても済むので、薄型化を実現できる。
【解決手段】 有機バンク層36内の流通路に冷媒を流通させることで、当該流通路の周囲の熱を吸収することができる。有機層30は当該流通路が形成された有機バンク層36に囲まれているため、有機EL装置1を駆動したときには、有機層30から発生した熱が効率的に吸収される。これにより、有機EL装置1が熱により表示不良や動作不良を起こすことも無い。また、冷媒を流通させる流通路を有機バンク層36内に設けたことで、有機EL装置1を厚く形成しなくても済むので、薄型化を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置、有機EL装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、例えばガラス基板上に有機EL素子が形成された構成となっている。有機EL素子は、有機機能層と、この有機機能層を挟むように設けられる電極(陽極及び陰極)とで構成されている。有機機能層は、例えば正孔注入層/輸送層、発光層が陽極上にこの順に積層されてなる。
【0003】
陽極及び陰極に電圧を印加すると、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子が、発光層で再結合して発光する。有機EL装置は、電子・正孔の再結合や、電子回路の駆動の際に発熱するが、有機機能層は熱に弱く劣化しやすいため、結果として有機EL装置の表示不良や動作不良の原因となる。このため、例えば有機EL素子の基板に冷媒を流通させる流通路を設けた基板を貼り合わせた構成とすることで有機EL素子を冷却する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−6792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、貼り合わせた基板の厚さ分だけ有機EL装置が厚く形成されるため、薄型化の妨げとなってしまう。
本発明の目的は、発熱による劣化や、それに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置、有機EL装置の製造方法及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に設けられた、発光層を含む有機機能層と、前記基板上に前記有機機能層を囲むように設けられた隔壁と、前記隔壁内に設けられ、冷媒を流通させる流通路とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明では、隔壁内の流通路に冷媒を流通させることで、当該流通路の周囲の熱を吸収することができる。有機機能層は当該流通路が形成された隔壁に囲まれているため、有機EL装置を駆動したときには、有機機能層から発生した熱を効率的に吸収することができる。その結果、有機EL装置の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路を隔壁内に設けたことで、有機EL装置の薄型化を実現できる。
【0007】
本発明の別の観点に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、発光層を含む有機機能層と、前記絶縁層内に前記有機機能層の位置に平面的に重なるように設けられ、冷媒を流通させる流通路とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明では、基板上に形成する絶縁層内の流通路に冷媒を流通させることで、流通路の周囲の熱を吸収することができる。当該流通路と有機機能層とが平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置を駆動したときには、有機機能層から発生した熱を効率的に吸収することができる。その結果、有機EL装置の熱により劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路を隔壁内に設けたことで、有機EL装置の薄型化を実現できる。
【0009】
本発明の別の観点に係る有機EL装置は、基板と、前記基板内に設けられ、冷媒を流通させる流通路と、前記基板上に前記流通路の位置に平面的に重なるように設けられ、発光層を含む有機機能層とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明では、基板内の流通路に冷媒を流通させることで、流通路の周囲の熱を吸収することができる。当該流通路と有機機能層とは平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置を駆動したときには、有機機能層から発生した熱を効率的に吸収することができる。その結果、有機EL装置の熱により劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路を隔壁内に設けたことで、有機EL装置の薄型化を実現できる。
【0011】
また、前記冷媒が、不活性の液体であることが好ましい。
冷媒が固体であれば、当該冷媒が流通路を流通しにくい。また、冷媒が気体であれば、流通路を流通しやすくなるものの、熱の吸収効率が低くなってしまう。本発明では、冷媒を液体とすることで、固体とした場合と比べて冷媒が流通路を流通しやすくすることができ、気体とした場合と比べて熱の吸収効率を高くすることができる。また、不活性な冷媒を用いることで、流通路の外壁(隔壁、基板又は絶縁層)を侵食させないようにすることができる。
【0012】
また、前記冷媒が、絶縁材料からなる液体であることが好ましい。
これにより、流通路内を流通する冷媒を介して電流が流れてしまうのを防ぐことができる。
【0013】
また、前記有機機能層が複数設けられ、当該複数の有機機能層がマトリクス状に配置され、前記流通路がマトリクスの行方向及び列方向にそれぞれ設けられていることが好ましい。
例えばアクティブマトリクス型の有機EL装置等のように複数の有機機能層がマトリクス状に配置される場合、有機EL装置から発生する熱量も多くなる。本発明によれば、流通路がマトリクスの行方向及び列方向にそれぞれ設けられており、どの有機機能層から発生する熱でも吸収することができる。したがって、発熱量が多くなっても有機機能層内にこもらないので、熱により当該有機機能層が劣化するのを防ぐことができる。
【0014】
また、行方向の流通路と列方向の流通路とが繋がってしまうと、冷媒がスムーズに流通しなくなってしまう。本発明では、行方向に設けられた流通路と、列方向に設けられた流通路が交差しないよう配置することで、双方向の流通路が繋がってしまうことも無く、冷媒を各方向の流通路にスムーズに流通させることができる。
【0015】
また、前記流通路が、装置外部から前記冷媒を流入させる流入口と、装置外部へ前記冷媒を排出する排出口とを有することが好ましい。
これにより、有機EL装置の外部から冷媒を流通させることができるので、流通路で冷媒の流通が滞ることも無く、熱の移動をスムーズに行わせることができる。例えば、流入口と排出口とに管を取り付けて、ポンプにより冷媒を流通させるようにしても良い。
【0016】
本発明の別の観点に係る有機EL装置の製造方法は、基板上に芯部材を形成する芯部材形成工程と、前記芯部材を覆うように、かつ、発光層を含む有機機能層が形成される領域を囲むように、前記基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁で覆われた前記芯部材を前記隔壁の外に取り出す取出工程と、前記基板上の前記隔壁で囲まれた領域に、前記有機機能層を形成する有機機能層形成工程とを具備することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、芯部材を隔壁の外へ取り出すことにより、芯部材が存在していた部分に空洞を形成することができる。この空洞が、冷媒の流れる流通路として機能することになる。この方法であれば、例えばアクティブマトリクス型の有機EL装置のように隔壁が格子状に設けられる場合であっても簡単に流通路を形成することができる。
【0018】
また、前記有機機能層を液滴吐出法により形成することが好ましい。
有機機能層を液滴吐出法により形成することで、隔壁に囲まれた領域に高分子材料を吐出することにより、簡単にかつ材料を無駄にすること無く当該有機機能層を形成することができる。
【0019】
また、前記取出工程では、前記芯部材を溶融させて取り出すことが好ましい。
芯部材を溶融させることで、当該芯部材を隔壁の外側に取り出しやすくすることができる。芯部材を溶融させる方法としては、例えば芯部材を加熱して溶融する方法や、芯部材を液体に溶解させる方法等が挙げられる。加熱する場合は、例えば芯部材を構成する材料に、隔壁を構成する材料の融点よりも低い融点を有する材料を用いて加熱することが好ましい。また、溶融した芯部材にポンプなどで圧力を加えて隔壁の外部に取り出すようにしても良い。
【0020】
また、前記取出工程では、前記芯部材に外力を加えて固体のまま取り出すことが好ましい。
これにより、芯部材を外部に取り出す際には、芯部材を溶融するなどの工程を経ることなく、加熱手段やポンプ等も用いることも無い。これにより、隔壁の外部に芯部材を簡単に取り出すことができる。例えば芯部材を金属等の外力に強い材料で形成し、当該芯部材を引き抜いて取り出す方法が挙げられる。
【0021】
本発明の別の観点に係る電子機器は、上記の有機EL装置が搭載されていることを特徴とする。
本発明によれば、発熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置が搭載されているので、表示特性に優れた薄型の電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。
図1は、有機EL装置1の全体構成を概略的に示す分解斜視図である。
有機EL装置1は、基板2に配線や絶縁層等が形成された基体10と、この基体10上に形成された有機EL素子部3と、基体10の端部2aに取り付けられた駆動部4とを有しており、駆動部4から供給される電気信号に応じて有機EL素子部3が発光することで、画像や動画等を表示できるようになっている。また、有機EL素子部3及び基体10を覆うように封止部5が形成されている。本実施形態では、薄膜トランジスタ(Thin film Transistor:TFT)が形成されたアクティブマトリクス型であり、有機EL素子部3により発生した光が基体10を透過して取り出されるボトムエミッション型である有機EL装置1を例に挙げて説明する。
【0023】
図2は、有機EL装置1の平面図である。この図では、有機EL素子部3及び封止部5を省略している。図3は、有機EL装置1のA−A断面を概略的に示す図である。図4は、有機EL装置1のB−B断面を概略的に示す図である。
【0024】
図2に示すように、基体10は、画素部7(一点鎖線内の領域)と周縁部8(当該一点鎖線の外の領域)とに区画されており、画素部7内では、実表示領域P(二点鎖線内の領域)とダミー領域Q(一点鎖線と二点鎖線との間の領域)とに更に区画されている。また、画素部7の実表示領域Pは、有機EL素子部3からの光が通過する画素領域Kと、電極や配線等が配置される画素間Lとに区画されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、基体10の構成要素である基板2は、例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等からなる透明基板である。本実施形態に係る有機EL装置1はボトムエミッション型のものであり、光を取り出すには基板2を透明にする必要がある。なお、基板2を透明にすることで、外部からの光が基板2を透過して内部に到達する場合もある。基板2の表面2bには、下地として例えばSiO2等の透明な下地保護層11が形成されている。
【0026】
画素部7の実表示領域Pでは、下地保護層11上に、シリコン膜12、第1絶縁層(ゲート絶縁層)13、ゲート配線15、第2絶縁層16、ソース配線17、ソース電極17a、ドレイン電極18、第3絶縁層19が形成されている。これらは画素間Lに形成される。また、画素部7のダミー領域Qでは、下地保護層11上に、走査駆動回路20、データ駆動回路21、検査回路22等が形成されている。また、駆動部4に接続された電源線(図示せず)が形成されている。
【0027】
シリコン膜12は、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を有する駆動用トランジスタである。シリコン膜12のうち、ゲート絶縁層13を挟んでゲート配線15と重なる領域がチャネル領域12aである。チャネル領域12aのソース側には、低濃度ソース領域12b及び高濃度ソース領域12sが形成され、チャネル領域12aのドレイン側には、低濃度ドレイン領域12c及び高濃度ドレイン領域12dが形成されている。このようにシリコン膜12は、LDD(Light Doped Drain)構造を形成する。
【0028】
高濃度ソース領域12s及び高濃度ドレイン領域12dには、ゲート絶縁層13と第2絶縁層16とを連通して開孔されたコンタクトホール23、24が形成されている。一方、高濃度ドレイン領域12s側には、ドレイン電極18に接続されるように、第3絶縁層19を貫通してコンタクトホール25が形成されている。
ゲート絶縁層13は、例えばSiO2やSiN等で形成された透明な層であり、シリコン膜12とゲート配線15とを絶縁している。
【0029】
ゲート配線15及びソース配線17は、それぞれマトリックス状に配設され、ゲート配線15が例えばアルミニウムや銅等により図2のX方向に延びるように、ソース配線17がゲート配線15とほぼ直交する方向(図1のY方向)に延びるように、それぞれ形成されている。ソース配線17は、コンタクトホール23を介して高濃度ソース領域12sに接続されている。また、ドレイン電極18は、高濃度ドレイン領域12dに接続されている。
【0030】
第2絶縁層16は、主にSiO2からなる透明な層であり、ゲート配線15、ソース配線17及びドレイン電極18をそれぞれ絶縁している。
第3絶縁層19は、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とし、ソース配線17とドレイン電極18及びコンタクトホール25とを絶縁している。なお、アクリル系の絶縁膜以外の材料、例えば、SiN、SiO2などを用いることもできる。
【0031】
また、ダミー領域Qに設けられる走査駆動回路20は、シフトレジスタ等のメモリや信号レベルを変換するレベルシフタ等の回路を有しており、ゲート配線15に接続されている。データ駆動回路21は、このシフトレジスタ、レベルシフタの他、ビデオラインやアナログシフタ等の回路を有しており、ソース配線17に接続されている。走査駆動回路20及びデータ駆動回路21は、駆動制御信号線28a、28bを介して駆動部4に接続されており、当該駆動部4の制御によりゲート配線15及びソース配線17に電気信号を出力する。検査回路22は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路であり、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)等を備え、製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。また、走査駆動回路20、データ駆動回路21及び検査回路22は、駆動電源線29a、29bを介して電源に接続される。
【0032】
周縁部8には、有機EL素子部3に接続する接続用配線27が形成される。この接続用配線27は駆動部4に接続されており、当該接続用配線27を介して駆動部4からの電気信号を有機EL素子部3に供給することができるようになっている。
【0033】
一方、有機EL素子部3は、陽極31と、正孔注入層32及び発光層33からなる有機層(有機機能層)30と、共通電極(陰極)34と、画素開口膜35と、有機バンク層36とを有する。これらは上述した基体10上に積層される。陽極31、正孔注入層32及び発光層33は画素領域Kに形成され、画素開口膜35及び有機バンク層36は主に画素間Lに形成される。
【0034】
陽極31は、正孔注入層32に正孔を注入する透明な電極であり、例えばITO(Indium Tin Oxide)等から形成され、コンタクトホール25を介してドレイン電極18に接続される。
正孔注入層32は、陽極31から注入された正孔を発光層33に輸送する層であり、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、あるいはそれらのドーピング体等から形成されている。また、陰極34は、駆動部4からの電気信号に応じて発光層33に電子を注入する層であり、例えばカルシウム等の金属により形成されている。陰極34は、実表示領域Pおよびダミー領域Qの総面積より広い面積を備え、それぞれの領域を覆うように形成されたもので、有機EL素子部3の外側を覆った状態で基体10上に形成されている。この陰極34は、接続用配線27に接続され、当該接続用配線27を介して駆動部4に接続されている。製造時の陰極34の腐食防止のため、陰極34の上層部に例えばアルミニウム等の保護層を形成してもよい。
【0035】
発光層33は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料、例えば低分子材料や高分子材料等により形成されている。この発光層33では、正孔注入層32からの正孔と陰極34からの電子とが結合して光を発する。発光層33には、赤色光を発する層、緑色光を発する層、青色光を発する層の3種類がある。各発光層33からの光が正孔注入層32、陽極31及び基体10を透過することで、基板2の実表示領域Pに画像や動画等が表示されるようになっている。
【0036】
画素開口膜35は、例えばSiO2等からなり、画素領域Kが開口するように画素間Lから画素領域Kの一部に亘って形成される絶縁膜である。この画素開口膜35は、壁面35bで囲まれた開口部35aにおいて陽極31からの正孔の移動を可能にすると共に、開口部35aが設けられない部位での正孔の移動が起こらないようにしている。
【0037】
有機バンク層36は、正孔注入層32や発光層33をインクジェット法等の液滴吐出法で形成する際の隔壁であり、また、隣接する正孔注入層32及び発光層33の間で電子の移動が起こらないようにする絶縁層である。有機バンク層36は、例えばアクリルやポリイミド等で形成され、各正孔注入層32及び発光層33を遮断するように設けられている。
【0038】
図3に示すように、Y方向へ延在する有機バンク層36は、下層36bに流通路37を有している。また、図4に示すように、X方向へ延在する有機バンク層36は、上層36aに流通路38を有している。この流通路37の大きさは、例えば幅(X方向の大きさ)が100μmであり、高さ(Z方向の大きさ)が1μmである。流通路38についても同様の大きさである。この流通路37及び流通路38には、例えばフロリナート等の絶縁材料からなる不活性な冷媒が流れるようになっている。なお、冷媒については、絶縁材料や、不活性な材料な材料であれば、他の材料を適宜選択することが可能である。
【0039】
図5は、有機バンク層36の外観を示す斜視図である。同図では、説明の簡単のため、有機バンク層36上に設けられる陰極34等の図示を省略している。
同図に示すように、有機バンク層36の側面36dには、開口部39及び開口部40(流入口、排出口)が設けられる。流通路37は開口部39を介して外部へ通じており、流通路38は開口部40を介して外部へ通じている。開口部39及び開口部40から、冷媒が有機バンク層36内に流入し、排出されるようになっている。
【0040】
冷媒の流入及び排出は、例えば開口部39には外部流通路41を、開口部40には外部流通路42をそれぞれ取り付け、ポンプ43及びポンプ44により冷媒を流通させることができる。図5では、冷媒を流通路38へ流通させる外部流通路41及びポンプ44と、冷媒を流通路37へ流通させるための外部流通路42及びポンプ43とをそれぞれ別個に設けているが、流通路37と流通路38とに共通する外部流通路及びポンプを設けるようにしても良い。また、外部流通路41及び外部流通路42を、それぞれ陰極34及び封止部5を貫通するように設け、ポンプ43及びポンプ44を封止部5の外部に設けるような構成であってもよい。なお、流入口と排出口とを逆にしても良い。
【0041】
次に、このように構成された有機EL装置1を製造する工程を説明する。
図6は、有機EL装置1の製造工程を示すフローチャートである。ここでは、基体10及び有機EL素子部3の画素部7の領域を形成する工程を中心に説明し、周縁部8を形成する工程の説明は省略する。
【0042】
まず、基板2にTFT素子や絶縁膜等を形成することにより、基体10を形成する工程について説明する(ST1)。
公知の方法により、基板2に下地保護層11を形成し、その上にシリコン膜12を形成し、レーザーアニールしてポリシリコン化する。シリコン膜12をゲート絶縁層13で覆った後、ゲート配線15を形成し、その上に再びゲート絶縁層13を形成する。また、ソース側のコンタクトホール23をパターニングして形成する。
【0043】
次に、第2絶縁層16を形成し、コンタクトホール24及びこのコンタクトホール24に接続するソース電極17aをパターニングして形成する。また、第2絶縁層16上にソース配線17及びドレイン電極18をパターニングして形成する。ソース配線17及びドレイン電極18上に第3絶縁層19を形成し、ドレイン側のコンタクトホール25をパターニングして形成する。なお、コンタクトホール25は、陽極31と接続させるため画素領域Kに形成する。このように、基体10が形成される。
【0044】
次に、有機EL素子部3を形成する工程を説明する(ST2〜ST8)。
基体10のほぼ全面を覆うように透明な導電膜を形成し、画素領域Kに陽極31が形成されるようにこの導電膜をパターニングする(ST2)。このとき、同時にダミー領域Qのダミーパターン(図示せず)も形成する。本工程により、画素領域Kでコンタクトホール25と陽極31とが接続され、これにより陽極とドレイン電極18とが導通する。
次に、第3絶縁層19上に画素開口膜35を形成する(ST3)。画素開口膜35は、壁面35bで囲まれた開口部35aが形成されるように、例えば陽極31に重ねて形成する。
【0045】
次に、この画素開口膜35上に有機バンク層36を形成する(ST4)。以下、有機バンク層36を形成する工程を詳細に説明する。
図7に示すように、まず、画素開口膜35が形成された基体10に芯部材50を形成する。芯部材50の材料としては、例えばテトラコンタノンや、当該テトラコンタノンよりも分子量の高い炭化水素等、有機バンク層36を構成する上記の材料の乾燥温度よりも高く、当該材料の融点よりも低い材料であることが好ましい。また、キシレン等の溶剤に可溶であれば一層好ましい。この材料を例えばインクジェット法やスクリーン印刷法等により、画素開口膜35上の開口部35aの間を通るように、X方向の一端50aから他端50bまでパターニングして芯部材50を形成する。
【0046】
芯部材50を形成したら、図8に示すように、画素開口膜35上に下層36bを形成する。下層36bは、アクリル樹脂やポリイミド等の樹脂からなるレジストを溶媒に溶解したものを、芯部材50を覆うように、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して形成する。画素開口膜35の開口部35aの周囲には、当該開口部35aよりも開口が大きくなるように壁面36cを形成する。
【0047】
下層36bを形成したら、図9に示すように、当該下層36b上に芯部材51を形成する。芯部材51の材料については、芯部材50を構成する材料と同じものを用いることができる。芯部材50を形成する場合と同様の方法により、下層36bの開口の間を通るように、当該材料をY方向の一端51aから他端51bまでパターニングして芯部材51を形成する。
【0048】
芯部材51を形成したら、図10に示すように、下層36b上に上層36aを形成する。上層36aは、下層36bと同じくアクリル樹脂やポリイミド等の樹脂からなるレジストを溶媒に溶解したものを、芯部材51を覆うように、スピンコート法、ディップコート法などの方法より塗布して形成する。
【0049】
上層36aを形成したら、図11に示すように、上層36a及び下層36bを加熱する。加熱手段としては、例えば図示しないホットプレート等が挙げられ、基板を当該ホットプレート上に載置して加熱することができる。この加熱手段により、例えば200℃で、10分間加熱する。上層36a及び下層36bを加熱すると、芯部材50及び芯部材51が熱により溶融する。
【0050】
芯部材50及び芯部材51を溶融させたら、図12に示すように、溶融した芯部材50及び芯部材51を取り出す。例えば、ポンプ52により他端50b及び他端51b側から圧力を加えて、一端50a及び一端51a側から溶融した芯部材50及び芯部材51を押し出すようにする。芯部材50及び芯部材51が押し出されると、上層36a内には流通路38が形成され、下層36b内には流通路37が形成される。また、一端50a及び51aは例えば冷媒を流入させる開口部(流入口)として、他端50b及び他端51bは例えば冷媒を排出する開口部(排出口)として形成される(流入口と排出口とは逆であっても良い)。このようにして内部に流通路37及び流通路38を有する有機バンク層36を形成する。
【0051】
次に、全面を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱してプラズマ処理を施す(ST5)。大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするO2プラズマ処理により、有機バンク層36の壁面36c、陽極31の上面31a(図3参照)及び画素開口膜35の上面35c(図3参照)をそれぞれ親液性にする。また、大気雰囲気中で四フッ化メタンを反応ガスとするCF4プラズマ処理により、有機バンク層36の上面36e(図3参照)および壁面36cを撥液性にする。その後、各部を室温まで冷却する。
【0052】
次に、例えばインクジェット法等の液滴吐出法や、スピンコート法などにより、正孔注入層32を形成する(ST6)。その後、乾燥処理および熱処理を行って、陽極31上に正孔注入層32を形成する。打ち込まれた液滴は、親液化処理がなされた陽極31上で広がり、開口部35a内に満たされ、その一方で、撥液化処理された有機バンク層36の上面では液滴がはじかれて付着しない。なお、本工程以降は、正孔注入層32および発光層33の酸化を防止するため、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
【0053】
正孔注入層32を乾燥してアニールした後、例えばインクジェット法により、発光層形成材料を正孔注入層32上に吐出し、乾燥処理および熱処理を行って発光層33を形成する(ST7)。本工程では、例えば発光層33の材料を青色の表示領域に選択的に塗布し、乾燥処理した後、同様にして緑色及び赤色についてもそれぞれその表示領域に1色ずつ選択的に塗布し、乾燥処理する。また、必要に応じて、このような発光層33の上に電子注入層を形成してもよい。
【0054】
乾燥してアニールした後、例えば蒸着法等の物理的気相蒸着法によりカルシウムを成膜して陰極34を形成する(ST8)。陰極34が、発光層33、有機バンク層36の上面36e、有機バンク層36の壁面36cの一部を覆い、上述した接続用配線27に接続されるように形成する。なお、陰極34上に陰極保護層を形成させる場合には、蒸着法等の物理的気相蒸着法により陰極34上に例えばアルミニウム等を成膜する。このようにして、有機EL素子部3を形成する。
基体10及び有機EL素子部3を形成したら、当該基体10及び有機EL素子部3のほぼ全体を封止部5により缶封止して有機EL装置1が完成する(ST9)。
【0055】
このように、本実施形態によれば、有機バンク層36内の流通路37及び流通路38に冷媒を流通させることで、当該流通路37及び流通路38の周囲の熱を吸収することができる。どの有機層30ともに当該流通路37及び流通路38が形成された有機バンク層36に囲まれているため、有機EL装置1を駆動したときには、有機層30から発生した熱が効率的に吸収される。これにより、有機EL装置1の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路37及び流通路38を有機バンク層36内に設けたことで、有機EL装置1の薄型化を実現できる。
【0056】
なお、X方向の流通路38とY方向の流通路37とが繋がってしまうと、冷媒がスムーズに流通しなくなってしまう。本発明では、X方向に設けられた流通路37と、Y方向に設けられた流通路38とが交差しないよう、異なる層(上層36a及び下層36b)に配置することで、流通路37と流通路38とが繋がってしまうことも無く、冷媒を各方向にスムーズに流通させることができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、流通路137及び流通路138の形成される部位が第1実施形態とは異なるので、かかる点を中心に説明する。
【0058】
図13は、本実施形態に係る有機EL装置101の構成を示す平面図である。図14は図13におけるA−A断面図であり、図15は図13におけるB−B断面図である。
図14及び図15に示すように、第2絶縁層16内に流通路137が設けられており、第3絶縁層19内に流通路138が設けられている。また、図13に示すように、流通路137は、Y方向に配列された有機層30を有する画素領域Kと平面的に重なるように設けられている。また、流通路138は、X方向に配列された画素領域K(有機層30が設けられている)と平面的に重なるように設けられている。第1実施形態と同様、この流通路137及び流通路138には、例えばフロリナート等の絶縁材料からなる不活性な冷媒が流れるようになっている。冷媒については、絶縁材料や、不活性な材料な材料であれば、他の材料を適宜選択することが可能である。
【0059】
図16は、有機EL素子部3及び基体10の外観を概略的に示す斜視図である。
同図に示すように、基体10の側面10aには、開口部139及び開口部140(流入口、排出口)が設けられる。流通路137は開口部139を介して外部へ通じており、流通路138は開口部140を介して外部へ通じている。この開口部139及び開口部140から、冷媒が流入し、排出されるようになっている。冷媒の流入及び排出は、第1実施形態と同様に、例えば開口部139及び開口部140に外部流通路をそれぞれ取り付け、ポンプ等より冷媒を流通させることができる。
【0060】
このように、本実施形態によれば、流通路137及び138に冷媒を流通させることで、当該流通路137及び流通路138の周囲の熱を吸収することができる。また、流通路137及び流通路138と有機層30とが平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置101を駆動したときには、有機層30から発生した熱を効率的に吸収することができる。これにより、有機EL装置101の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、第2絶縁層16及び第3絶縁層19内に流通路137及び流通路138を設けたことで、有機EL装置101の薄型化を実現できる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、流通路237及び流通路238の形成される部位が第1実施形態とは異なるので、かかる点を中心に説明する。
【0062】
図17は、本実施形態に係る有機EL装置201の構成を示す平面図である。図18は図17におけるA−A断面図であり、図19は図17におけるB−B断面図である。
図18及び図19に示すように、基板2の基板2の下側層2pに流通路237が設けられており、上側層2qに流通路238が設けられている。
【0063】
図17に示すように、流通路237は、Y方向に配列された画素領域K(有機層30が設けられている)と平面的に重なるように設けられている。また、流通路238は、X方向に配列された画素領域K(有機層30が設けられている)と平面的に重なるように設けられている。第1実施形態と同様、この流通路237及び流通路238には、例えばフロリナート等の絶縁材料からなる不活性な冷媒が流れるようになっている。冷媒については、絶縁材料や、不活性な材料な材料であれば、他の材料を適宜選択することが可能である。
【0064】
図20は、有機EL素子部3及び基体10の外観を概略的に示す斜視図である。
同図に示すように、基体10の側面10aには、下側層2pに形成された開口部239及び上側層2qに形成された開口部240(流入口、排出口)が設けられる。流通路237は開口部239を介して外部へ通じており、流通路238は開口部240を介して外部へ通じている。この開口部239及び開口部240から、冷媒が流入し、排出されるようになっている。冷媒の流入及び排出は、第1実施形態と同様に、例えば開口部239及び開口部240に外部流通路をそれぞれ取り付け、ポンプ等より冷媒を流通させることができる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、基板2内の流通路237及び流通路238に冷媒を流通させることで、この流通路237及び流通路238の周囲の熱を吸収することができる。また、当該流通路237及び流通路238と有機層30とは平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置1を駆動したときには、有機層30から発生した熱を効率的に吸収することができる。これにより、有機EL装置1の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路237及び流通路238を基板2内に設けたことで、有機EL装置1の薄型化を実現できる。
【0066】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。
図21は、携帯電話300の全体構成を示す斜視図である。
携帯電話300は、筺体301、複数の操作ボタンが設けられた操作部302、画像や動画、文字等を表示する表示部303を有する。表示部303には、本発明に係る有機EL装置1、101、201が搭載される。
このように、発熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置が搭載されているので、表示特性に優れた薄型の電子機器を得ることができる。
【0067】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、芯部材50及び芯部材51を取り出すため、当該芯部材50及び芯部材51を加熱して溶融させるようにしたが、例えばこの芯部材50及び芯部材51を固体のまま取り出すことも可能である。この場合、芯部材50及び51として例えばステンレス等からなる金属線を形成し、下層36b及び上層36aを形成した後、工具などを用いて金属線を引き抜いたり押し出したりすることができる。
【0068】
このようにすれば、芯部材50及び芯部材51を取り出すのに、当該芯部材50及び芯部材51を溶融するなどの工程を経ることなく、加熱手段やポンプ等も用いることも無い。また、芯部材50及び芯部材51を金属線で形成しているため、物理的な力を加えて引き抜いたり押し出したりしても破損されにくく、有機バンク層36を内部から傷つけることも無い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の概観を示す斜視図である。
【図2】有機EL装置の構成を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】有機EL装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図6】有機EL装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】有機EL装置の製造の様子を示す図(その1)である。
【図8】有機EL装置の製造の様子を示す図(その2)である。
【図9】有機EL装置の製造の様子を示す図(その3)である。
【図10】有機EL装置の製造の様子を示す図(その4)である。
【図11】有機EL装置の製造の様子を示す図(その5)である。
【図12】有機EL装置の製造の様子を示す図(その6)である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の概観を示す平面図である。
【図14】図13におけるA−A断面図である。
【図15】図13におけるB−B断面図である。
【図16】有機EL装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る有機EL装置の概観を示す平面図である。
【図18】図17におけるA−A断面図である。
【図19】図17におけるB−B断面図である。
【図20】有機EL装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る電子機器の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1、101、201…有機EL装置 2…基板 3…EL膜 36…有機バンク層 36b…下層 36a…上層 37、38、137、138、237、238…流通路 39、49、139、140、239、240…開口部 50、51…芯部材 300…携帯電話
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置、有機EL装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、例えばガラス基板上に有機EL素子が形成された構成となっている。有機EL素子は、有機機能層と、この有機機能層を挟むように設けられる電極(陽極及び陰極)とで構成されている。有機機能層は、例えば正孔注入層/輸送層、発光層が陽極上にこの順に積層されてなる。
【0003】
陽極及び陰極に電圧を印加すると、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子が、発光層で再結合して発光する。有機EL装置は、電子・正孔の再結合や、電子回路の駆動の際に発熱するが、有機機能層は熱に弱く劣化しやすいため、結果として有機EL装置の表示不良や動作不良の原因となる。このため、例えば有機EL素子の基板に冷媒を流通させる流通路を設けた基板を貼り合わせた構成とすることで有機EL素子を冷却する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−6792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、貼り合わせた基板の厚さ分だけ有機EL装置が厚く形成されるため、薄型化の妨げとなってしまう。
本発明の目的は、発熱による劣化や、それに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置、有機EL装置の製造方法及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に設けられた、発光層を含む有機機能層と、前記基板上に前記有機機能層を囲むように設けられた隔壁と、前記隔壁内に設けられ、冷媒を流通させる流通路とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明では、隔壁内の流通路に冷媒を流通させることで、当該流通路の周囲の熱を吸収することができる。有機機能層は当該流通路が形成された隔壁に囲まれているため、有機EL装置を駆動したときには、有機機能層から発生した熱を効率的に吸収することができる。その結果、有機EL装置の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路を隔壁内に設けたことで、有機EL装置の薄型化を実現できる。
【0007】
本発明の別の観点に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、発光層を含む有機機能層と、前記絶縁層内に前記有機機能層の位置に平面的に重なるように設けられ、冷媒を流通させる流通路とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明では、基板上に形成する絶縁層内の流通路に冷媒を流通させることで、流通路の周囲の熱を吸収することができる。当該流通路と有機機能層とが平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置を駆動したときには、有機機能層から発生した熱を効率的に吸収することができる。その結果、有機EL装置の熱により劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路を隔壁内に設けたことで、有機EL装置の薄型化を実現できる。
【0009】
本発明の別の観点に係る有機EL装置は、基板と、前記基板内に設けられ、冷媒を流通させる流通路と、前記基板上に前記流通路の位置に平面的に重なるように設けられ、発光層を含む有機機能層とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明では、基板内の流通路に冷媒を流通させることで、流通路の周囲の熱を吸収することができる。当該流通路と有機機能層とは平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置を駆動したときには、有機機能層から発生した熱を効率的に吸収することができる。その結果、有機EL装置の熱により劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路を隔壁内に設けたことで、有機EL装置の薄型化を実現できる。
【0011】
また、前記冷媒が、不活性の液体であることが好ましい。
冷媒が固体であれば、当該冷媒が流通路を流通しにくい。また、冷媒が気体であれば、流通路を流通しやすくなるものの、熱の吸収効率が低くなってしまう。本発明では、冷媒を液体とすることで、固体とした場合と比べて冷媒が流通路を流通しやすくすることができ、気体とした場合と比べて熱の吸収効率を高くすることができる。また、不活性な冷媒を用いることで、流通路の外壁(隔壁、基板又は絶縁層)を侵食させないようにすることができる。
【0012】
また、前記冷媒が、絶縁材料からなる液体であることが好ましい。
これにより、流通路内を流通する冷媒を介して電流が流れてしまうのを防ぐことができる。
【0013】
また、前記有機機能層が複数設けられ、当該複数の有機機能層がマトリクス状に配置され、前記流通路がマトリクスの行方向及び列方向にそれぞれ設けられていることが好ましい。
例えばアクティブマトリクス型の有機EL装置等のように複数の有機機能層がマトリクス状に配置される場合、有機EL装置から発生する熱量も多くなる。本発明によれば、流通路がマトリクスの行方向及び列方向にそれぞれ設けられており、どの有機機能層から発生する熱でも吸収することができる。したがって、発熱量が多くなっても有機機能層内にこもらないので、熱により当該有機機能層が劣化するのを防ぐことができる。
【0014】
また、行方向の流通路と列方向の流通路とが繋がってしまうと、冷媒がスムーズに流通しなくなってしまう。本発明では、行方向に設けられた流通路と、列方向に設けられた流通路が交差しないよう配置することで、双方向の流通路が繋がってしまうことも無く、冷媒を各方向の流通路にスムーズに流通させることができる。
【0015】
また、前記流通路が、装置外部から前記冷媒を流入させる流入口と、装置外部へ前記冷媒を排出する排出口とを有することが好ましい。
これにより、有機EL装置の外部から冷媒を流通させることができるので、流通路で冷媒の流通が滞ることも無く、熱の移動をスムーズに行わせることができる。例えば、流入口と排出口とに管を取り付けて、ポンプにより冷媒を流通させるようにしても良い。
【0016】
本発明の別の観点に係る有機EL装置の製造方法は、基板上に芯部材を形成する芯部材形成工程と、前記芯部材を覆うように、かつ、発光層を含む有機機能層が形成される領域を囲むように、前記基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁で覆われた前記芯部材を前記隔壁の外に取り出す取出工程と、前記基板上の前記隔壁で囲まれた領域に、前記有機機能層を形成する有機機能層形成工程とを具備することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、芯部材を隔壁の外へ取り出すことにより、芯部材が存在していた部分に空洞を形成することができる。この空洞が、冷媒の流れる流通路として機能することになる。この方法であれば、例えばアクティブマトリクス型の有機EL装置のように隔壁が格子状に設けられる場合であっても簡単に流通路を形成することができる。
【0018】
また、前記有機機能層を液滴吐出法により形成することが好ましい。
有機機能層を液滴吐出法により形成することで、隔壁に囲まれた領域に高分子材料を吐出することにより、簡単にかつ材料を無駄にすること無く当該有機機能層を形成することができる。
【0019】
また、前記取出工程では、前記芯部材を溶融させて取り出すことが好ましい。
芯部材を溶融させることで、当該芯部材を隔壁の外側に取り出しやすくすることができる。芯部材を溶融させる方法としては、例えば芯部材を加熱して溶融する方法や、芯部材を液体に溶解させる方法等が挙げられる。加熱する場合は、例えば芯部材を構成する材料に、隔壁を構成する材料の融点よりも低い融点を有する材料を用いて加熱することが好ましい。また、溶融した芯部材にポンプなどで圧力を加えて隔壁の外部に取り出すようにしても良い。
【0020】
また、前記取出工程では、前記芯部材に外力を加えて固体のまま取り出すことが好ましい。
これにより、芯部材を外部に取り出す際には、芯部材を溶融するなどの工程を経ることなく、加熱手段やポンプ等も用いることも無い。これにより、隔壁の外部に芯部材を簡単に取り出すことができる。例えば芯部材を金属等の外力に強い材料で形成し、当該芯部材を引き抜いて取り出す方法が挙げられる。
【0021】
本発明の別の観点に係る電子機器は、上記の有機EL装置が搭載されていることを特徴とする。
本発明によれば、発熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置が搭載されているので、表示特性に優れた薄型の電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。
図1は、有機EL装置1の全体構成を概略的に示す分解斜視図である。
有機EL装置1は、基板2に配線や絶縁層等が形成された基体10と、この基体10上に形成された有機EL素子部3と、基体10の端部2aに取り付けられた駆動部4とを有しており、駆動部4から供給される電気信号に応じて有機EL素子部3が発光することで、画像や動画等を表示できるようになっている。また、有機EL素子部3及び基体10を覆うように封止部5が形成されている。本実施形態では、薄膜トランジスタ(Thin film Transistor:TFT)が形成されたアクティブマトリクス型であり、有機EL素子部3により発生した光が基体10を透過して取り出されるボトムエミッション型である有機EL装置1を例に挙げて説明する。
【0023】
図2は、有機EL装置1の平面図である。この図では、有機EL素子部3及び封止部5を省略している。図3は、有機EL装置1のA−A断面を概略的に示す図である。図4は、有機EL装置1のB−B断面を概略的に示す図である。
【0024】
図2に示すように、基体10は、画素部7(一点鎖線内の領域)と周縁部8(当該一点鎖線の外の領域)とに区画されており、画素部7内では、実表示領域P(二点鎖線内の領域)とダミー領域Q(一点鎖線と二点鎖線との間の領域)とに更に区画されている。また、画素部7の実表示領域Pは、有機EL素子部3からの光が通過する画素領域Kと、電極や配線等が配置される画素間Lとに区画されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、基体10の構成要素である基板2は、例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等からなる透明基板である。本実施形態に係る有機EL装置1はボトムエミッション型のものであり、光を取り出すには基板2を透明にする必要がある。なお、基板2を透明にすることで、外部からの光が基板2を透過して内部に到達する場合もある。基板2の表面2bには、下地として例えばSiO2等の透明な下地保護層11が形成されている。
【0026】
画素部7の実表示領域Pでは、下地保護層11上に、シリコン膜12、第1絶縁層(ゲート絶縁層)13、ゲート配線15、第2絶縁層16、ソース配線17、ソース電極17a、ドレイン電極18、第3絶縁層19が形成されている。これらは画素間Lに形成される。また、画素部7のダミー領域Qでは、下地保護層11上に、走査駆動回路20、データ駆動回路21、検査回路22等が形成されている。また、駆動部4に接続された電源線(図示せず)が形成されている。
【0027】
シリコン膜12は、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を有する駆動用トランジスタである。シリコン膜12のうち、ゲート絶縁層13を挟んでゲート配線15と重なる領域がチャネル領域12aである。チャネル領域12aのソース側には、低濃度ソース領域12b及び高濃度ソース領域12sが形成され、チャネル領域12aのドレイン側には、低濃度ドレイン領域12c及び高濃度ドレイン領域12dが形成されている。このようにシリコン膜12は、LDD(Light Doped Drain)構造を形成する。
【0028】
高濃度ソース領域12s及び高濃度ドレイン領域12dには、ゲート絶縁層13と第2絶縁層16とを連通して開孔されたコンタクトホール23、24が形成されている。一方、高濃度ドレイン領域12s側には、ドレイン電極18に接続されるように、第3絶縁層19を貫通してコンタクトホール25が形成されている。
ゲート絶縁層13は、例えばSiO2やSiN等で形成された透明な層であり、シリコン膜12とゲート配線15とを絶縁している。
【0029】
ゲート配線15及びソース配線17は、それぞれマトリックス状に配設され、ゲート配線15が例えばアルミニウムや銅等により図2のX方向に延びるように、ソース配線17がゲート配線15とほぼ直交する方向(図1のY方向)に延びるように、それぞれ形成されている。ソース配線17は、コンタクトホール23を介して高濃度ソース領域12sに接続されている。また、ドレイン電極18は、高濃度ドレイン領域12dに接続されている。
【0030】
第2絶縁層16は、主にSiO2からなる透明な層であり、ゲート配線15、ソース配線17及びドレイン電極18をそれぞれ絶縁している。
第3絶縁層19は、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とし、ソース配線17とドレイン電極18及びコンタクトホール25とを絶縁している。なお、アクリル系の絶縁膜以外の材料、例えば、SiN、SiO2などを用いることもできる。
【0031】
また、ダミー領域Qに設けられる走査駆動回路20は、シフトレジスタ等のメモリや信号レベルを変換するレベルシフタ等の回路を有しており、ゲート配線15に接続されている。データ駆動回路21は、このシフトレジスタ、レベルシフタの他、ビデオラインやアナログシフタ等の回路を有しており、ソース配線17に接続されている。走査駆動回路20及びデータ駆動回路21は、駆動制御信号線28a、28bを介して駆動部4に接続されており、当該駆動部4の制御によりゲート配線15及びソース配線17に電気信号を出力する。検査回路22は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路であり、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)等を備え、製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。また、走査駆動回路20、データ駆動回路21及び検査回路22は、駆動電源線29a、29bを介して電源に接続される。
【0032】
周縁部8には、有機EL素子部3に接続する接続用配線27が形成される。この接続用配線27は駆動部4に接続されており、当該接続用配線27を介して駆動部4からの電気信号を有機EL素子部3に供給することができるようになっている。
【0033】
一方、有機EL素子部3は、陽極31と、正孔注入層32及び発光層33からなる有機層(有機機能層)30と、共通電極(陰極)34と、画素開口膜35と、有機バンク層36とを有する。これらは上述した基体10上に積層される。陽極31、正孔注入層32及び発光層33は画素領域Kに形成され、画素開口膜35及び有機バンク層36は主に画素間Lに形成される。
【0034】
陽極31は、正孔注入層32に正孔を注入する透明な電極であり、例えばITO(Indium Tin Oxide)等から形成され、コンタクトホール25を介してドレイン電極18に接続される。
正孔注入層32は、陽極31から注入された正孔を発光層33に輸送する層であり、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、あるいはそれらのドーピング体等から形成されている。また、陰極34は、駆動部4からの電気信号に応じて発光層33に電子を注入する層であり、例えばカルシウム等の金属により形成されている。陰極34は、実表示領域Pおよびダミー領域Qの総面積より広い面積を備え、それぞれの領域を覆うように形成されたもので、有機EL素子部3の外側を覆った状態で基体10上に形成されている。この陰極34は、接続用配線27に接続され、当該接続用配線27を介して駆動部4に接続されている。製造時の陰極34の腐食防止のため、陰極34の上層部に例えばアルミニウム等の保護層を形成してもよい。
【0035】
発光層33は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料、例えば低分子材料や高分子材料等により形成されている。この発光層33では、正孔注入層32からの正孔と陰極34からの電子とが結合して光を発する。発光層33には、赤色光を発する層、緑色光を発する層、青色光を発する層の3種類がある。各発光層33からの光が正孔注入層32、陽極31及び基体10を透過することで、基板2の実表示領域Pに画像や動画等が表示されるようになっている。
【0036】
画素開口膜35は、例えばSiO2等からなり、画素領域Kが開口するように画素間Lから画素領域Kの一部に亘って形成される絶縁膜である。この画素開口膜35は、壁面35bで囲まれた開口部35aにおいて陽極31からの正孔の移動を可能にすると共に、開口部35aが設けられない部位での正孔の移動が起こらないようにしている。
【0037】
有機バンク層36は、正孔注入層32や発光層33をインクジェット法等の液滴吐出法で形成する際の隔壁であり、また、隣接する正孔注入層32及び発光層33の間で電子の移動が起こらないようにする絶縁層である。有機バンク層36は、例えばアクリルやポリイミド等で形成され、各正孔注入層32及び発光層33を遮断するように設けられている。
【0038】
図3に示すように、Y方向へ延在する有機バンク層36は、下層36bに流通路37を有している。また、図4に示すように、X方向へ延在する有機バンク層36は、上層36aに流通路38を有している。この流通路37の大きさは、例えば幅(X方向の大きさ)が100μmであり、高さ(Z方向の大きさ)が1μmである。流通路38についても同様の大きさである。この流通路37及び流通路38には、例えばフロリナート等の絶縁材料からなる不活性な冷媒が流れるようになっている。なお、冷媒については、絶縁材料や、不活性な材料な材料であれば、他の材料を適宜選択することが可能である。
【0039】
図5は、有機バンク層36の外観を示す斜視図である。同図では、説明の簡単のため、有機バンク層36上に設けられる陰極34等の図示を省略している。
同図に示すように、有機バンク層36の側面36dには、開口部39及び開口部40(流入口、排出口)が設けられる。流通路37は開口部39を介して外部へ通じており、流通路38は開口部40を介して外部へ通じている。開口部39及び開口部40から、冷媒が有機バンク層36内に流入し、排出されるようになっている。
【0040】
冷媒の流入及び排出は、例えば開口部39には外部流通路41を、開口部40には外部流通路42をそれぞれ取り付け、ポンプ43及びポンプ44により冷媒を流通させることができる。図5では、冷媒を流通路38へ流通させる外部流通路41及びポンプ44と、冷媒を流通路37へ流通させるための外部流通路42及びポンプ43とをそれぞれ別個に設けているが、流通路37と流通路38とに共通する外部流通路及びポンプを設けるようにしても良い。また、外部流通路41及び外部流通路42を、それぞれ陰極34及び封止部5を貫通するように設け、ポンプ43及びポンプ44を封止部5の外部に設けるような構成であってもよい。なお、流入口と排出口とを逆にしても良い。
【0041】
次に、このように構成された有機EL装置1を製造する工程を説明する。
図6は、有機EL装置1の製造工程を示すフローチャートである。ここでは、基体10及び有機EL素子部3の画素部7の領域を形成する工程を中心に説明し、周縁部8を形成する工程の説明は省略する。
【0042】
まず、基板2にTFT素子や絶縁膜等を形成することにより、基体10を形成する工程について説明する(ST1)。
公知の方法により、基板2に下地保護層11を形成し、その上にシリコン膜12を形成し、レーザーアニールしてポリシリコン化する。シリコン膜12をゲート絶縁層13で覆った後、ゲート配線15を形成し、その上に再びゲート絶縁層13を形成する。また、ソース側のコンタクトホール23をパターニングして形成する。
【0043】
次に、第2絶縁層16を形成し、コンタクトホール24及びこのコンタクトホール24に接続するソース電極17aをパターニングして形成する。また、第2絶縁層16上にソース配線17及びドレイン電極18をパターニングして形成する。ソース配線17及びドレイン電極18上に第3絶縁層19を形成し、ドレイン側のコンタクトホール25をパターニングして形成する。なお、コンタクトホール25は、陽極31と接続させるため画素領域Kに形成する。このように、基体10が形成される。
【0044】
次に、有機EL素子部3を形成する工程を説明する(ST2〜ST8)。
基体10のほぼ全面を覆うように透明な導電膜を形成し、画素領域Kに陽極31が形成されるようにこの導電膜をパターニングする(ST2)。このとき、同時にダミー領域Qのダミーパターン(図示せず)も形成する。本工程により、画素領域Kでコンタクトホール25と陽極31とが接続され、これにより陽極とドレイン電極18とが導通する。
次に、第3絶縁層19上に画素開口膜35を形成する(ST3)。画素開口膜35は、壁面35bで囲まれた開口部35aが形成されるように、例えば陽極31に重ねて形成する。
【0045】
次に、この画素開口膜35上に有機バンク層36を形成する(ST4)。以下、有機バンク層36を形成する工程を詳細に説明する。
図7に示すように、まず、画素開口膜35が形成された基体10に芯部材50を形成する。芯部材50の材料としては、例えばテトラコンタノンや、当該テトラコンタノンよりも分子量の高い炭化水素等、有機バンク層36を構成する上記の材料の乾燥温度よりも高く、当該材料の融点よりも低い材料であることが好ましい。また、キシレン等の溶剤に可溶であれば一層好ましい。この材料を例えばインクジェット法やスクリーン印刷法等により、画素開口膜35上の開口部35aの間を通るように、X方向の一端50aから他端50bまでパターニングして芯部材50を形成する。
【0046】
芯部材50を形成したら、図8に示すように、画素開口膜35上に下層36bを形成する。下層36bは、アクリル樹脂やポリイミド等の樹脂からなるレジストを溶媒に溶解したものを、芯部材50を覆うように、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して形成する。画素開口膜35の開口部35aの周囲には、当該開口部35aよりも開口が大きくなるように壁面36cを形成する。
【0047】
下層36bを形成したら、図9に示すように、当該下層36b上に芯部材51を形成する。芯部材51の材料については、芯部材50を構成する材料と同じものを用いることができる。芯部材50を形成する場合と同様の方法により、下層36bの開口の間を通るように、当該材料をY方向の一端51aから他端51bまでパターニングして芯部材51を形成する。
【0048】
芯部材51を形成したら、図10に示すように、下層36b上に上層36aを形成する。上層36aは、下層36bと同じくアクリル樹脂やポリイミド等の樹脂からなるレジストを溶媒に溶解したものを、芯部材51を覆うように、スピンコート法、ディップコート法などの方法より塗布して形成する。
【0049】
上層36aを形成したら、図11に示すように、上層36a及び下層36bを加熱する。加熱手段としては、例えば図示しないホットプレート等が挙げられ、基板を当該ホットプレート上に載置して加熱することができる。この加熱手段により、例えば200℃で、10分間加熱する。上層36a及び下層36bを加熱すると、芯部材50及び芯部材51が熱により溶融する。
【0050】
芯部材50及び芯部材51を溶融させたら、図12に示すように、溶融した芯部材50及び芯部材51を取り出す。例えば、ポンプ52により他端50b及び他端51b側から圧力を加えて、一端50a及び一端51a側から溶融した芯部材50及び芯部材51を押し出すようにする。芯部材50及び芯部材51が押し出されると、上層36a内には流通路38が形成され、下層36b内には流通路37が形成される。また、一端50a及び51aは例えば冷媒を流入させる開口部(流入口)として、他端50b及び他端51bは例えば冷媒を排出する開口部(排出口)として形成される(流入口と排出口とは逆であっても良い)。このようにして内部に流通路37及び流通路38を有する有機バンク層36を形成する。
【0051】
次に、全面を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱してプラズマ処理を施す(ST5)。大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするO2プラズマ処理により、有機バンク層36の壁面36c、陽極31の上面31a(図3参照)及び画素開口膜35の上面35c(図3参照)をそれぞれ親液性にする。また、大気雰囲気中で四フッ化メタンを反応ガスとするCF4プラズマ処理により、有機バンク層36の上面36e(図3参照)および壁面36cを撥液性にする。その後、各部を室温まで冷却する。
【0052】
次に、例えばインクジェット法等の液滴吐出法や、スピンコート法などにより、正孔注入層32を形成する(ST6)。その後、乾燥処理および熱処理を行って、陽極31上に正孔注入層32を形成する。打ち込まれた液滴は、親液化処理がなされた陽極31上で広がり、開口部35a内に満たされ、その一方で、撥液化処理された有機バンク層36の上面では液滴がはじかれて付着しない。なお、本工程以降は、正孔注入層32および発光層33の酸化を防止するため、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
【0053】
正孔注入層32を乾燥してアニールした後、例えばインクジェット法により、発光層形成材料を正孔注入層32上に吐出し、乾燥処理および熱処理を行って発光層33を形成する(ST7)。本工程では、例えば発光層33の材料を青色の表示領域に選択的に塗布し、乾燥処理した後、同様にして緑色及び赤色についてもそれぞれその表示領域に1色ずつ選択的に塗布し、乾燥処理する。また、必要に応じて、このような発光層33の上に電子注入層を形成してもよい。
【0054】
乾燥してアニールした後、例えば蒸着法等の物理的気相蒸着法によりカルシウムを成膜して陰極34を形成する(ST8)。陰極34が、発光層33、有機バンク層36の上面36e、有機バンク層36の壁面36cの一部を覆い、上述した接続用配線27に接続されるように形成する。なお、陰極34上に陰極保護層を形成させる場合には、蒸着法等の物理的気相蒸着法により陰極34上に例えばアルミニウム等を成膜する。このようにして、有機EL素子部3を形成する。
基体10及び有機EL素子部3を形成したら、当該基体10及び有機EL素子部3のほぼ全体を封止部5により缶封止して有機EL装置1が完成する(ST9)。
【0055】
このように、本実施形態によれば、有機バンク層36内の流通路37及び流通路38に冷媒を流通させることで、当該流通路37及び流通路38の周囲の熱を吸収することができる。どの有機層30ともに当該流通路37及び流通路38が形成された有機バンク層36に囲まれているため、有機EL装置1を駆動したときには、有機層30から発生した熱が効率的に吸収される。これにより、有機EL装置1の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路37及び流通路38を有機バンク層36内に設けたことで、有機EL装置1の薄型化を実現できる。
【0056】
なお、X方向の流通路38とY方向の流通路37とが繋がってしまうと、冷媒がスムーズに流通しなくなってしまう。本発明では、X方向に設けられた流通路37と、Y方向に設けられた流通路38とが交差しないよう、異なる層(上層36a及び下層36b)に配置することで、流通路37と流通路38とが繋がってしまうことも無く、冷媒を各方向にスムーズに流通させることができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、流通路137及び流通路138の形成される部位が第1実施形態とは異なるので、かかる点を中心に説明する。
【0058】
図13は、本実施形態に係る有機EL装置101の構成を示す平面図である。図14は図13におけるA−A断面図であり、図15は図13におけるB−B断面図である。
図14及び図15に示すように、第2絶縁層16内に流通路137が設けられており、第3絶縁層19内に流通路138が設けられている。また、図13に示すように、流通路137は、Y方向に配列された有機層30を有する画素領域Kと平面的に重なるように設けられている。また、流通路138は、X方向に配列された画素領域K(有機層30が設けられている)と平面的に重なるように設けられている。第1実施形態と同様、この流通路137及び流通路138には、例えばフロリナート等の絶縁材料からなる不活性な冷媒が流れるようになっている。冷媒については、絶縁材料や、不活性な材料な材料であれば、他の材料を適宜選択することが可能である。
【0059】
図16は、有機EL素子部3及び基体10の外観を概略的に示す斜視図である。
同図に示すように、基体10の側面10aには、開口部139及び開口部140(流入口、排出口)が設けられる。流通路137は開口部139を介して外部へ通じており、流通路138は開口部140を介して外部へ通じている。この開口部139及び開口部140から、冷媒が流入し、排出されるようになっている。冷媒の流入及び排出は、第1実施形態と同様に、例えば開口部139及び開口部140に外部流通路をそれぞれ取り付け、ポンプ等より冷媒を流通させることができる。
【0060】
このように、本実施形態によれば、流通路137及び138に冷媒を流通させることで、当該流通路137及び流通路138の周囲の熱を吸収することができる。また、流通路137及び流通路138と有機層30とが平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置101を駆動したときには、有機層30から発生した熱を効率的に吸収することができる。これにより、有機EL装置101の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、第2絶縁層16及び第3絶縁層19内に流通路137及び流通路138を設けたことで、有機EL装置101の薄型化を実現できる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、流通路237及び流通路238の形成される部位が第1実施形態とは異なるので、かかる点を中心に説明する。
【0062】
図17は、本実施形態に係る有機EL装置201の構成を示す平面図である。図18は図17におけるA−A断面図であり、図19は図17におけるB−B断面図である。
図18及び図19に示すように、基板2の基板2の下側層2pに流通路237が設けられており、上側層2qに流通路238が設けられている。
【0063】
図17に示すように、流通路237は、Y方向に配列された画素領域K(有機層30が設けられている)と平面的に重なるように設けられている。また、流通路238は、X方向に配列された画素領域K(有機層30が設けられている)と平面的に重なるように設けられている。第1実施形態と同様、この流通路237及び流通路238には、例えばフロリナート等の絶縁材料からなる不活性な冷媒が流れるようになっている。冷媒については、絶縁材料や、不活性な材料な材料であれば、他の材料を適宜選択することが可能である。
【0064】
図20は、有機EL素子部3及び基体10の外観を概略的に示す斜視図である。
同図に示すように、基体10の側面10aには、下側層2pに形成された開口部239及び上側層2qに形成された開口部240(流入口、排出口)が設けられる。流通路237は開口部239を介して外部へ通じており、流通路238は開口部240を介して外部へ通じている。この開口部239及び開口部240から、冷媒が流入し、排出されるようになっている。冷媒の流入及び排出は、第1実施形態と同様に、例えば開口部239及び開口部240に外部流通路をそれぞれ取り付け、ポンプ等より冷媒を流通させることができる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、基板2内の流通路237及び流通路238に冷媒を流通させることで、この流通路237及び流通路238の周囲の熱を吸収することができる。また、当該流通路237及び流通路238と有機層30とは平面的に重なるように設けられているので、有機EL装置1を駆動したときには、有機層30から発生した熱を効率的に吸収することができる。これにより、有機EL装置1の熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えることができる。また、冷媒を流通させる流通路237及び流通路238を基板2内に設けたことで、有機EL装置1の薄型化を実現できる。
【0066】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。
図21は、携帯電話300の全体構成を示す斜視図である。
携帯電話300は、筺体301、複数の操作ボタンが設けられた操作部302、画像や動画、文字等を表示する表示部303を有する。表示部303には、本発明に係る有機EL装置1、101、201が搭載される。
このように、発熱による劣化、及びそれに由来する表示不良や動作不良を抑えつつも、薄型化を実現できる有機EL装置が搭載されているので、表示特性に優れた薄型の電子機器を得ることができる。
【0067】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、芯部材50及び芯部材51を取り出すため、当該芯部材50及び芯部材51を加熱して溶融させるようにしたが、例えばこの芯部材50及び芯部材51を固体のまま取り出すことも可能である。この場合、芯部材50及び51として例えばステンレス等からなる金属線を形成し、下層36b及び上層36aを形成した後、工具などを用いて金属線を引き抜いたり押し出したりすることができる。
【0068】
このようにすれば、芯部材50及び芯部材51を取り出すのに、当該芯部材50及び芯部材51を溶融するなどの工程を経ることなく、加熱手段やポンプ等も用いることも無い。また、芯部材50及び芯部材51を金属線で形成しているため、物理的な力を加えて引き抜いたり押し出したりしても破損されにくく、有機バンク層36を内部から傷つけることも無い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の概観を示す斜視図である。
【図2】有機EL装置の構成を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】有機EL装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図6】有機EL装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】有機EL装置の製造の様子を示す図(その1)である。
【図8】有機EL装置の製造の様子を示す図(その2)である。
【図9】有機EL装置の製造の様子を示す図(その3)である。
【図10】有機EL装置の製造の様子を示す図(その4)である。
【図11】有機EL装置の製造の様子を示す図(その5)である。
【図12】有機EL装置の製造の様子を示す図(その6)である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の概観を示す平面図である。
【図14】図13におけるA−A断面図である。
【図15】図13におけるB−B断面図である。
【図16】有機EL装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る有機EL装置の概観を示す平面図である。
【図18】図17におけるA−A断面図である。
【図19】図17におけるB−B断面図である。
【図20】有機EL装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る電子機器の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1、101、201…有機EL装置 2…基板 3…EL膜 36…有機バンク層 36b…下層 36a…上層 37、38、137、138、237、238…流通路 39、49、139、140、239、240…開口部 50、51…芯部材 300…携帯電話
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、発光層を含む有機機能層と、
前記基板上に前記有機機能層を囲むように設けられた隔壁と、
前記隔壁内に設けられ、冷媒を流通させる流通路と
を具備することを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、発光層を含む有機機能層と、
前記絶縁層内に前記有機機能層の位置に平面的に重なるように設けられ、冷媒を流通させる流通路と
を具備することを特徴とする有機EL装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板内に設けられ、冷媒を流通させる流通路と、
前記基板上に前記流通路の位置に平面的に重なるように設けられ、発光層を含む有機機能層と
を具備することを特徴とする有機EL装置。
【請求項4】
前記冷媒が、不活性の液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記冷媒が、絶縁材料からなる液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記有機機能層が複数設けられ、当該複数の有機機能層がマトリクス状に配置され、前記流通路がマトリクスの行方向及び列方向にそれぞれ設けられており、
前記行方向に設けられた流通路と、前記列方向に設けられた流通路とが異なる層に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記流通路が、
装置外部から前記冷媒を流入させる流入口と、
装置外部へ前記冷媒を排出する排出口と
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
基板上に芯部材を形成する芯部材形成工程と、
前記芯部材を覆うように、かつ、発光層を含む有機機能層が形成される領域を囲むように、前記基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁で覆われた前記芯部材を前記隔壁の外に取り出す取出工程と、
前記基板上の前記隔壁で囲まれた領域に、前記有機機能層を形成する有機機能層形成工程と
を具備することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機機能層を液滴吐出法により形成することを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項10】
前記取出工程では、前記芯部材を溶融させて取り出すことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項11】
前記取出工程では、前記芯部材に外力を加えて固体のまま取り出すことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の有機EL装置が搭載されていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、発光層を含む有機機能層と、
前記基板上に前記有機機能層を囲むように設けられた隔壁と、
前記隔壁内に設けられ、冷媒を流通させる流通路と
を具備することを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、発光層を含む有機機能層と、
前記絶縁層内に前記有機機能層の位置に平面的に重なるように設けられ、冷媒を流通させる流通路と
を具備することを特徴とする有機EL装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板内に設けられ、冷媒を流通させる流通路と、
前記基板上に前記流通路の位置に平面的に重なるように設けられ、発光層を含む有機機能層と
を具備することを特徴とする有機EL装置。
【請求項4】
前記冷媒が、不活性の液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記冷媒が、絶縁材料からなる液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記有機機能層が複数設けられ、当該複数の有機機能層がマトリクス状に配置され、前記流通路がマトリクスの行方向及び列方向にそれぞれ設けられており、
前記行方向に設けられた流通路と、前記列方向に設けられた流通路とが異なる層に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記流通路が、
装置外部から前記冷媒を流入させる流入口と、
装置外部へ前記冷媒を排出する排出口と
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
基板上に芯部材を形成する芯部材形成工程と、
前記芯部材を覆うように、かつ、発光層を含む有機機能層が形成される領域を囲むように、前記基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁で覆われた前記芯部材を前記隔壁の外に取り出す取出工程と、
前記基板上の前記隔壁で囲まれた領域に、前記有機機能層を形成する有機機能層形成工程と
を具備することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機機能層を液滴吐出法により形成することを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項10】
前記取出工程では、前記芯部材を溶融させて取り出すことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項11】
前記取出工程では、前記芯部材に外力を加えて固体のまま取り出すことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の有機EL装置が搭載されていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−164663(P2006−164663A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352327(P2004−352327)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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