説明

有機EL装置およびその製造方法

【課題】有機EL素子が形成された基板に当該有機EL素子を封止する封止缶を接着してなる有機EL装置において、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証する。
【解決手段】基板10の一面11のうち接着剤40が配置されている部位には、光を透過する膜よりなる光透過膜60が、接着剤40と基板10との間に介在して設けられており、光透過膜60と接着剤40との屈折率差および光透過膜60と基板10との屈折率差を、接着剤40と基板10との屈折率差よりも大きいものとすることにより、光透過膜60の位置では、基板10の他面12側から光の照射による接着剤40の厚さ測定がなされるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が形成された基板に当該有機EL素子を封止する封止缶を接着してなる有機EL装置およびその製造方法に関し、特に、接着剤の厚さを測定するものにする。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の有機ELディスプレイ等の有機EL装置としては、光透過性のガラスなどよりなる基板と、基板の一面上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子と、基板の一面にてEL素子の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤と、基板の一面上に接着剤を介して基板に接着された封止缶とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、封止缶は、一般にステンレスなどの光を通さない不透明なドーム状のものよりなり、その周辺部を接着剤にて基板に接着し、接着剤以外の部位すなわち中央部側の部位では基板の一面と離間しつつ、EL素子を封止するものである。
【0004】
このような有機EL装置においては、従来では、基板と封止缶との間に介在する接着剤の厚さを管理することが求められている。これは、接着剤の厚さが、厚すぎると、接着剤から水分が封止缶内部に侵入し、有機EL素子の輝度低下を招くためである。そこで、従来では、有機EL装置を切断して、顕微鏡などにより接着剤の厚さを測定するという破壊検査を行い、接着剤の厚さを管理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−198186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、接着剤の厚さ測定を破壊検査ではなく、より効率の良い光学的に行うことを考え、試作検討を行った。図21、22は、従来技術に基づいて試作した試作品としての有機EL装置を示す図である。
【0007】
ここで、図21において、(a)は当該有機EL装置の概略断面図、(b)は同ディスプレイの概略平面図である。また、図22において、(a)は図21(b)中のX−X概略断面図、(b)は図21(b)中のY−Y概略断面図である。
【0008】
図21、22に示されるように、この有機EL装置は、基板10の一面11上にて、有機EL発光材料を含むEL素子20を設けるとともに、EL素子20の外側にアクリル樹脂などよりなる接着剤40(図21(b)における点ハッチング部分)を配置し、この接着剤40を介して封止缶50を接着してEL素子20を封止している。
【0009】
ここで、図21(b)では、EL素子20は矩形破線にて示されており、その外側には、一般のものと同様、ITO(インジウムチンオキサイド)などの透明材料よりなる引き出し電極30が設けられている。この引き出し電極30は、基板10の一面11上にてEL素子20から基板10の端部まで形成され、EL素子20と外部との電気的接続を行うものである。
【0010】
そのため、一般には、図21(b)に示されるように、基板10の一面11における接着剤40の配置領域は、引き出し電極30が存在する領域と、存在しない領域とに分かれる。
【0011】
ここで、接着剤40厚さの光学的な測定は、一般的な光学測定方法により行うことを試みた。これは、図22に示されるように、基板10の他面12側からレーザなどの光a1を照射することにより、その反射光a2、a3を検出することにより行うものである。
【0012】
ここで、引き出し電極30が存在しない領域では、図22(a)に示されるように、基板10の他面12側から光a1を照射した場合、その反射光としては、封止缶50による反射光a2と、基板10の一面11による反射光a3とがある。この場合、基板10の屈折率と接着剤40の屈折率とに差があれば、これら両反射光a2、a3の光量差や位相差を検出することで接着剤40の厚さが測定できる。
【0013】
しかし、一般には、基板10の屈折率(たとえば1.5)と接着剤40の屈折率(たとえば1.5〜1.6)とが実質同等であるため、基板10の一面11による反射光a3が非常に小さいものとなり、両反射光a2、a3の差が検出されず、接着剤40の厚さ測定が困難になってしまう。
【0014】
また、図22(b)に示される引き出し電極30が存在する領域では、封止缶50による反射光a2と引き出し電極30(たとえば屈折率:1.7〜2.0)による反射光a4とが発生する。
【0015】
そこで、これら両反射光a2、a4の差を検出すれば接着剤40の厚さが測定できると考えられるが、一般には、引き出し電極30は、幅が非常に細い(例えば幅が100μm以下)ものであり、しかも、引き出し電極30間には引き出し電極30が存在しない部分が存在する。
【0016】
この種の有機EL装置においては、接着剤40の厚さを測定するには、微小領域で測定しても、厚さばらつき等を考慮すれば意味がないものであり、ある程度の領域(たとえば1mm幅以上)で測定することが必要である。
【0017】
そうすると、引き出し電極30が存在する領域では、部分的にみれば、引き出し電極30間の領域すなわち引き出し電極30が存在しない領域と、存在する領域とが混在するため、全体として反射光にばらつきが生じ、接着剤40の厚さ測定が安定しない。
【0018】
いずれにせよ、従来では、この種の有機EL装置においては、光学的に接着剤厚さを測定することは困難であった。それゆえ、従来では、上記したように破壊検査により、接着剤厚さを測定することとなっていた。
【0019】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、有機EL素子が形成された基板に当該有機EL素子を封止する封止缶を接着してなる有機EL装置において、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
基板および封止缶については、基板および封止缶のいずれか一方が透明の場合、両方が透明の場合があるので、それらを考慮して、以下の発明を創出するに至った。
【0021】
請求項1に記載の発明では、光を透過する光透過性の基板(10)と、光を透過しない不透明な封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
接着剤(40)と基板(10)との界面には、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が、設けられており、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と基板(10)との屈折率差を、接着剤(40)と基板(10)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、光透過膜(60)の位置では、基板(10)の他面(12)側から光の照射による接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴としている。
【0022】
それによれば、基板(10)の他面(12)側から照射された光が、光透過膜(60)と封止缶(50)とで反射するので、この光透過膜(60)を接着剤(40)の配置部位のうち所望の測定領域に設けてやれば、光透過膜(60)と封止缶(50)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定が可能となる。よって、本発明によれば、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
封止缶(50)は光を反射しないものであり、
接着剤(40)と封止缶(50)との界面には、光を反射する膜よりなる光反射膜(70)が光透過膜(60)と対向して設けられていることを特徴としている。
【0024】
それによれば、不透明な封止缶が反射性を有さない場合でも、光透過膜(60)と光反射膜(70)との両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定が可能となる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
封止缶(50)は光を反射するものであり、
封止缶(50)のうち光透過膜(60)と正対する領域の端部には、光を吸収する光吸収膜(62)が設けられていることを特徴としている。
【0026】
それによれば、光吸収膜(62)が設けられている位置では、基板10の他面12側から照射した光が光吸収膜(62)に遮断され、封止缶(50)による反射光が検出されなくなるので、このような場合には、照射した光が接着剤厚さの測定範囲から外れたことを認識できる。
【0027】
請求項4に記載の発明では、光を透過する光透過性の基板(10)と、光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
接着剤(40)と基板(10)との界面、および、接着剤(40)と封止缶(50)との界面の両界面には、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が互いに対向して設けられており、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と基板(10)との屈折率差を、接着剤(40)と基板(10)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、光透過膜(60)の位置では、基板(10)の他面(12)側もしくは封止缶(50)の外側から光の照射による接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴としている。
【0028】
それによれば、基板(10)の他面(12)側もしくは封止缶(50)の外側から照射された光が、接着剤(40)と基板(10)との界面、および、接着剤(40)と封止缶(50)との界面の両界面に設けられた光透過膜(60)で反射するので、この2つの光透過膜(60)を接着剤(40)の配置部位のうち所望の測定領域に設けてやれば、この2つの光透過膜(60)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定が可能となる。よって、本発明によれば、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0029】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、
接着剤(40)と封止缶(50)との界面に位置する光透過膜(60)の端部に、光を吸収する光吸収膜または光を反射する光反射膜(63)が設けられていることを特徴としている。
【0030】
それによれば、封止缶(50)の外側から光を照射したとき、光吸収膜または光反射膜(63)が設けられている位置では、照射した光が光吸収膜または光反射膜(63)に遮断され、接着剤(40)と基板(10)との界面に設けられた光透過膜(60)による反射光が検出されなくなるので、このような場合には、照射した光が接着剤厚さの測定範囲から外れたことを認識できる。
【0031】
請求項6に記載の発明では、光を透過する光透過性の基板(10)と、光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
接着剤(40)と基板(10)との界面には、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が設けられており、
接着剤(40)と封止缶(50)との界面には、光を反射する膜よりなる光反射膜(70)が光透過膜(60)と対向して設けられており、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と基板(10)との屈折率差を、接着剤(40)と基板(10)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、光透過膜(60)の位置では、基板(10)の他面(12)側から光の照射による接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴としている。
【0032】
それによれば、基板(10)の他面(12)側から照射された光が、光透過膜(60)と光反射膜(70)とで反射するので、この光透過膜(60)および光反射膜(70)を接着剤(40)の配置部位のうち所望の測定領域に設けてやれば、光透過膜(60)と光反射膜(70)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定が可能となる。よって、本発明によれば、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0033】
また、請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、接着剤(40)と封止缶(50)との界面に位置する光反射膜(70)の端部に、光を吸収する光吸収膜(62)が設けられていることを特徴としている。
【0034】
それによれば、光吸収膜(62)が設けられている位置では、照射した光が光吸収膜(62)に遮断され、接着剤(40)と封止缶(50)との界面に設けられた光反射膜(70)による反射光が検出されなくなるので、このような場合には、照射した光が接着剤厚さの測定範囲から外れたことを認識できる。
【0035】
請求項8に記載の発明では、光を透過しない不透明な基板(10)と、光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
接着剤(40)と基板(10)との界面には、光を反射する膜よりなる光反射膜(70)が設けられており、
接着剤(40)と封止缶(50)との界面には、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が光反射膜(70)と対向して設けられており、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と封止缶(50)との屈折率差を、接着剤(40)と封止缶(50)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、光透過膜(60)の位置では、封止缶(50)の外側から光の照射による接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴としている。
【0036】
それによれば、封止缶(50)の外側から照射された光が、光透過膜(60)と光反射膜(70)とで反射するので、この光透過膜(60)を接着剤(40)の配置部位のうち所望の測定領域に設けてやれば、光透過膜(60)と光反射膜(70)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定が可能となる。よって、本発明によれば、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0037】
上記した請求項2、6、7、8に記載の発明においては、請求項9に記載の発明のように、光反射膜(70)は、当該光反射膜(70)と対向する光透過膜(60)よりも平面サイズが小さいものであり、光反射膜(70)の外郭が、厚さ測定の範囲を規定していることが好ましい。
【0038】
また、請求項10に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれが1つに記載の発明において、EL素子(20)は、基板(10)の一面(11)側から光透過性材料よりなる第1の電極(21)、有機EL材料よりなる発光層(22)、第2の電極(23)が積層されてなるものであり、基板(10)と接着剤(40)との界面に位置する光透過膜(60)は、第1の電極(21)と同様の光透過性材料よりなることを特徴としている。
【0039】
それによれば、EL素子(20)を構成する第1の電極(21)と光透過膜(60)とを一括して製造することが可能となり、製造工程の簡略化および材料コストの低減が期待できる。
【0040】
また、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の発明においては、請求項11に記載の発明のように、光透過膜(60)が、フォト成膜による絶縁膜よりなる構成を採用できる。
【0041】
また、請求項12に記載の発明では、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の発明において、光透過膜(60)の端部には、光を通さない不透明材料よりなる不透明膜(61)が配置されていることを特徴としている。
【0042】
それによれば、光による接着剤厚さの測定時に、光透過膜(60)を外れた光は遮光されるので、測定範囲が明確になり、好ましい。
【0043】
また、請求項13に記載の発明では、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の有機EL装置において、光透過膜(60)は、接着剤(40)の最大厚さの部位に配置されていることを特徴としている。
【0044】
上述のように、接着剤(40)の厚さが、厚すぎると、接着剤から水分が封止缶内部に侵入することから、光透過膜(60)を接着剤(40)の最大厚さの部位に配置し、当該最大厚さを測定することが好ましい。
【0045】
また、請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の発明において、封止缶(50)は、接着剤(40)との接触部位が多角形であり、この多角形の角部が接着剤(40)の最大厚さの部位となっており、当該角部に、光透過膜(60)が配置されていることを特徴としている。
【0046】
封止缶(50)が、接着剤(40)との接触部位が多角形であって、この多角形の角部が接着剤(40)の最大厚さの部位となっているものである場合、当該角部に、光透過膜(60)を配置するものにできる。
【0047】
また、請求項15に記載の発明では、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の発明において、光透過膜(60)は、接着剤(40)の端部よりも内側に収まって配置されていることを特徴としている。
【0048】
一般に基板(10)と接着剤(40)との接着力に比べて、光透過膜(60)と接着剤(40)との接着力は弱く、さらには市場における温度ストレスの影響を受け、接着剤と各基板の線膨張係数差により接着剤と各基板の界面の接着剤端部には大きなせん断応力が発生する。よって、光透過膜(60)を接着剤(40)からはみ出さないように接着剤(40)の内部に収めて、接着剤(40)の端部を基板(10)に接着するようにすれば、基板(10)と封止缶(50)との剥離を抑制するという点で好ましく、さらに、請求項16に記載の発明のように、接着剤(40)の内周側の端部(40a)と光透過膜(60)との距離(L1)と、接着剤(40)の外周側の端部(40b)と光透過膜(60)との距離(L2)とを等距離とすることがより好ましい。
【0049】
また、請求項1ないし16のいずれか1つに記載の発明においては、請求項17に記載の発明のように、厚さ測定の領域の周囲に、厚さ測定の領域を位置決めするアライメントマーク(80)が設けられていることが好ましい。このアライメントマークを確認することにより、厚さ測定の領域で、接着剤の厚さ測定を確実に行うことができるからである。
【0050】
請求項18に記載の発明では、光を透過する光透過性の基板(10)と、光を透過しない不透明な封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
接着剤(40)と基板(10)との界面に、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を、設けるとともに、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と基板(10)との屈折率差を、接着剤(40)と基板(10)との屈折率差よりも大きいものとする屈折率の大小関係を有するものとし、
光透過膜(60)の位置にて、基板(10)の他面(12)側から光の照射を行って、光透過膜(60)と封止缶(50)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴としている。
【0051】
請求項18に記載の発明は、請求項1に記載の発明に対応するものであり、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0052】
請求項19に記載の発明では、光を透過する光透過性の基板(10)と、光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
接着剤(40)と基板(10)との界面、および、接着剤(40)と封止缶(50)との界面の両界面に、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を互いに対向して設けるとともに、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と基板(10)との屈折率差を、接着剤(40)と基板(10)との屈折率差よりも大きいものとし、
光透過膜(60)の位置にて、基板(10)の他面(12)側もしくは封止缶(50)の外側から光の照射を行って、2つの光透過膜(60)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴としている。
【0053】
請求項19に記載の発明は、請求項4に記載の発明に対応するものであり、請求項4に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0054】
請求項20に記載の発明では、光を透過する光透過性の基板(10)と、光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
接着剤(40)と基板(10)との界面に、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を設け、接着剤(40)と封止缶(50)との界面に、光を反射する膜よりなる光反射膜(70)を光透過膜(60)と対向して設けるとともに、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と基板(10)との屈折率差を、接着剤(40)と基板(10)との屈折率差よりも大きいものとし、
光透過膜(60)の位置にて、基板(10)の他面(12)側から光の照射を行って、光透過膜(60)と光反射膜(70)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴としている。
【0055】
請求項20に記載の発明は、請求項6に記載の発明に対応するものであり、請求項6に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0056】
請求項21に記載の発明では、光を透過しない不透明な基板(10)と、光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
接着剤(40)と基板(10)との界面に、光を反射する膜よりなる光反射膜(70)を設け、接着剤(40)と封止缶(50)との界面に、光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を光反射膜(70)と対向して設けるとともに、
光透過膜(60)と接着剤(40)との屈折率差および光透過膜(60)と封止缶(50)との屈折率差を、接着剤(40)と封止缶(50)との屈折率差よりも大きいものとし、
光透過膜(60)の位置にて、封止缶(50)の外側から光の照射を行って、光透過膜(60)と光反射膜(70)での両反射光に基づいて接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴としている。
【0057】
請求項21に記載の発明は、請求項8に記載の発明に対応するものであり、請求項8に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0058】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る有機ELディスプレイの概略断面図、(b)は同ディスプレイの概略平面図である。
【図2】図1(b)中のA−A概略断面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は、それぞれ図1(b)中のA−A断面、B−B断面、C−C断面における封止缶の形状を示す概略断面図である。
【図4】有機EL素子の詳細構成を示す概略断面図である。
【図5】不透明膜を含む光透過膜の概略平面図である。
【図6】平面矩形の封止缶の両角部と両角部間に位置する辺部における接着剤厚さの傾向を表す図である。
【図7】第1実施形態の他の例を示す図である。
【図8】(a)は第2実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面図であり、(b)は(a)中の光吸収膜62の平面図である。
【図9】第3実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面図である。
【図10】第3実施形態の他の例を示す図である。
【図11】第4実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面図である。
【図12】(a)は第5実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面図であり、(b)は(a)中の光反射膜63の平面図である。
【図13】第6実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面図である。
【図14】第6実施形態の他の例を示す図である。
【図15】第7実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面図である。
【図16】第7実施形態の他の例を示す図である。
【図17】他の実施形態に係る光透過膜60、光反射膜70、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の平面図である。
【図18】他の実施形態に係る光透過膜60、光反射膜70、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の平面図である。
【図19】他の実施形態に係る光透過膜60、光反射膜70、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の平面図である。
【図20】他の実施形態に係る光透過膜60、光反射膜70の平面図である。
【図21】(a)、(b)は従来技術に基づいて試作した試作品としての有機ELディスプレイの概略断面図、概略平面図である。
【図22】(a)は図21(b)中のX−X概略断面図、(b)は図21(b)中のY−Y概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図および上記図21、図22において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0061】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る有機ELディスプレイの概略断面図、(b)は同ディスプレイの概略平面図である。また、図2は、図1(b)中のA−A概略断面図であり、図3(a)、(b)、(c)は、それぞれ図1(b)中のA−A断面、B−B断面、C−C断面における封止缶50の形状を示す概略断面図である。なお、図1(b)では、封止缶50の下部に位置する接着剤40に点ハッチングを施してある。
【0062】
図1(a)、(b)に示されるように、本ディスプレイは、光を透過する光透過性のガラスなどよりなる基板10を有する。基板10は、一方の板面を一面11、他方の板面を他面12とする板状をなす。ここで、ガラスとしては、この種のディスプレイにおける一般的なものが採用され、例えばソーダガラスなどが用いられる。
【0063】
この基板10の一面11上には、有機EL発光材料を含むEL素子としての有機EL素子20が設けられている。図1(b)では、有機EL素子20は矩形破線にて示されており、その外側には、上記図従1(b)と同様のITOなどの透明材料よりなる引き出し電極30が設けられている。
【0064】
ここで、図4は、この有機EL素子20の詳細構成を示す概略断面図である。有機EL素子20は、基板10の一面11側から光透過性材料よりなる第1の電極21、有機EL材料よりなる発光層22、アルミニウムなどの金属よりなる第2の電極23が積層されてなる一般的なものである。
【0065】
ここで、引き出し電極30は、一般的な構成と同様、第1の電極21については、第1の電極21から連続的に引き出されているものであり、第2の電極23とは図示しない適所にて接続されている。
【0066】
そして、この有機EL素子20においては、実駆動時には、第1の電極21を陽極、第2の電極23を陰極として両極21、23間に順電圧を印加することにより、発光層22にて発光がなされ、基板10の他面12側に当該発光が取り出されるようになっている。
【0067】
また、図1に示されるように、基板10の一面11にて光透過性の接着剤40が、有機EL素子20の外側を取り巻くように配置されている。この接着剤40はアクリル樹脂やエポキシ樹脂などよりなる透明なものであり、印刷などによる塗布・硬化により形成されるものである。
【0068】
そして、封止缶50は、基板10の一面11上にて、接着剤40を介して基板10に接着されるとともに、接着剤40以外の部位では基板10の一面11と離間しつつ、有機EL素子20を封止している。ここでは、封止缶50は矩形のドーム状をなし、ドーム部分の端部に接着剤40と接触する接着面51を有するものである。
【0069】
ここでは、封止缶50は、光を透過しない不透明なものであって、光を反射する金属等よりなる。このような封止缶50は、ステンレスなどの金属よりなる板材に対して、その周辺部を凹ませるようにプレス加工することにより形成される。
【0070】
そして、本実施形態では、図1(b)、図2に示されるように、基板10の一面11のうち接着剤40が配置されている部位には、光を透過する膜よりなる光透過膜60が、接着剤40と基板10との間に介在して設けられている。つまり、光透過膜60は、接着剤40と基板10との界面に設けられている。
【0071】
光透過膜60は、有機EL素子20の第1の電極21と同様の光透過性材料で構成され、例えばスパッタによるITO膜よりなる。これは、有機EL素子20を構成する第1の電極21と光透過膜60とを、スパッタなどによって一括して製造することが可能となり、製造工程の簡略化および材料コストの低減が期待できるためである。もちろん、光透過膜60と第1の電極21とを異種の光透過性材料として、別工程で成膜してもよい。
【0072】
また、光透過膜60を他の光透過性材料で構成することもできる。光透過膜60を、例えば、フォト成膜による絶縁膜よりなるものとすることもできる。フォト成膜とは、スピンコーディング法などによる感光性樹脂材料の塗布およびフォトリソグラフィによるパターン形成を意味し、フォト成膜による絶縁膜としては感光性レジストやポリイミドなどの一般的な感光性樹脂よりなるものが挙げられる。
【0073】
この光透過膜60については、光透過膜60と接着剤40との屈折率差および光透過膜60と基板10との屈折率差を、接着剤40と基板10との屈折率差よりも大きいものとしている。例えば、基板10、接着剤40、光透過膜60の屈折率はそれぞれ、1.5、1.5〜1.6、1.7〜2.0である。
【0074】
このような屈折率の大小関係により、本実施形態では、光透過膜60の位置で、基板10の他面12側からの光の照射による接着剤40の厚さ測定がなされるようにしている。具体的には、図2に示されるように、基板10の他面12側からレーザなどの光a1を照射した場合、基板10と接着剤40とでは屈折率が実質均等であるため、主たる反射光としては、封止缶50による反射光a2と、光透過膜60による反射光a5とが検出される。光透過膜60による反射光a5は、光透過膜60と接着剤40との界面、光透過膜60と基板10との界面の少なくとも一方での反射光である。そして、これら両反射光a2、a5の光量差と位相差の少なくとも一方を検出することで接着剤40の厚さが測定できる。
【0075】
なお、光透過膜60は、反射光a5が検出できるように、光透過膜60と接着剤40との屈折率差および光透過膜60と基板10との屈折率差が、接着剤40と基板10との屈折率差よりも大きいものであればよく、上記した材料例に限定されるものではない。
【0076】
ここで、図2に示されるように、光透過膜60の端部には、光を通さない不透明材料よりなる不透明膜61が配置されている。図5は、この不透明膜61を含む光透過膜60の概略平面図である。
【0077】
光透過膜60は、接着剤厚さ測定に十分な平面サイズを有するものであり、ここでは、図5に示されるように、例えば一辺が1mm以上のサイズを有する矩形の膜である。そして、この不透明膜61は、この光透過膜60の端部上に、例えばアルミニウムなどの金属膜を蒸着やスパッタなどにより成膜したものであり、光透過膜60の外周全域に沿った形状、すなわち、四角形の環状となっている。
【0078】
これによれば、光による接着剤厚さの測定時に、光透過膜60を外れた光と光透過膜60に当たる光とは、不透明膜61による遮光部分の存在により、光学的に明確に区別される。そのため、光透過膜60による接着剤厚さの測定範囲が明確になる。なお、このような効果を奏するため、不透明膜61を設けることが望ましいが、場合によっては省略してもよい。
【0079】
また、図1(b)に示されるように、接着剤40は基板10の一面11上において環状に配置されているが、光透過膜60は、接着剤40の最大厚さの部位に配置されていることが望ましい。
【0080】
上述したが、接着剤40の厚さが、厚すぎると、接着剤40から水分が封止缶50内部に侵入して有機EL素子20にダメージを与える可能性がある。このことから、光透過膜60を接着剤40の最大厚さの部位に配置し、当該最大厚さを測定することが好ましい。
【0081】
ここでは、図1(b)に示されるように、封止缶50は、接着剤40との接触部位が矩形であり、この矩形の角部(四隅部)が接着剤40の最大厚さの部位となっており、当該角部に、光透過膜60が配置されている。
【0082】
これは、図3(a)〜(c)に示されるように、矩形などの平面多角形の封止缶50について、プレス加工によって周辺部を凹ませてドーム形状とする場合、角部の凹み50aは辺部の凹み50aに比べて小さくなるものが一般的であり、その結果として角部では辺部に比べて接着剤40の厚さが大きくなるためである。
【0083】
なお、封止缶が平板の場合や、封止缶における凹みがプレス加工ではなくエッチング等の加工により形成されている場合であっても、接着剤をディスペンス塗布した場合などに角部の接着材量が相対的に多いことにより、角部の接着剤厚さが大きくなる場合がある。
【0084】
図6は、本発明者の測定に基づいて、平面矩形の封止缶50の両角部と両角部間に位置する辺部における接着剤厚さの傾向を表す図である。このように、封止缶50における接着剤40との接触部位が矩形の場合、その角部にて接着剤厚さが最大となりやすい。
【0085】
ここで、図7は本実施形態の他の例を示す図である。例えば封止缶50における接着剤40との接触部位が矩形ではなく、六角形の場合には、その六角形に対応した六角形状に接着剤40が配置される。この場合も、やはり封止缶50のプレス加工に起因して角部における接着剤厚さが最大となるため、その角部に光透過膜60を配置することが望ましい。もちろん、当該封止缶50の多角形としては、上記図以外の三角形、五角形等の場合も同様である。
【0086】
また、図2に示されるように、光透過膜60は、接着剤40の端部よりも内側に収まって配置されていることが望ましい。ここでは、環状に配置された接着剤40の内周側の端部と外周側の端部との間に光透過膜60が収まっている。これは、一般に基板10と接着剤40との接着力に比べて、光透過膜60と接着剤40との接着力は弱いことによる。
【0087】
そこで、光透過膜60を接着剤40からはみ出さないように接着剤40の内部に収めて、接着剤40の端部を基板10に接着するようにすれば、基板10と封止缶50との剥離を抑制するという効果が期待できる。もちろん、光透過膜60と接着剤40との接着力が確保されるならば、光透過膜60は、接着剤40の端部から一部はみ出して配置されたものであってもよい。
【0088】
さらに、光透過膜60を接着剤40からはみ出さないように接着剤40の内部に収める場合では、図2に示すように、接着剤40の内周側の端部40aと光透過膜60との距離L1と、接着剤40の外周側の端部40bと光透過膜60との距離L2とが等距離であることが望ましい。
【0089】
このような有機ELディスプレイは、基板10の一面11上に、有機EL素子20、引き出し電極30および光透過膜60等を、一般的な成膜法により形成した後、接着剤40の塗布、封止缶50の取り付け、接着剤40の硬化を行い、続いて、接着剤40の厚さ測定を行うことで製造される。
【0090】
この接着剤40の厚さ測定については、上記図2を参照して述べたように、光透過膜60と接着剤40との屈折率差および光透過膜60と基板10との屈折率差を、接着剤40と基板10との屈折率差よりも大きいものとする屈折率の大小関係を有するものとし、光透過膜60の位置にて、基板10の他面12側から光の照射を行って、封止缶50と光透過膜60での両反射光a2、a5に基づいて厚さ測定を行うものである。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、光透過膜60を接着剤40の配置部位のうち所望の測定領域に設けてやれば、接着剤40の厚さ測定が可能となるから、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0092】
(第2実施形態)
図8(a)は、第2実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面構成を示す図であり、図8(b)は図8(a)中の光吸収膜62の平面図である。
【0093】
本実施形態は、第1実施形態に対して、不透明膜61の代わりに光吸収膜62を設けたものであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0094】
図8(a)に示すように、光吸収膜62は、封止缶50の接着面51のうち光透過膜60と正対する領域の端部に設けられている。本実施形態では、光透過膜60が矩形であるため、図8(b)に示すように、光吸収膜62は光透過膜60の外周全域に沿った形状、すなわち、四角形の環状となっている。この光吸収膜62は、光を吸収する膜であり、例えば、フォト成膜によって成膜した黒色の絶縁膜よりなるものである。
【0095】
これによれば、接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)である光吸収膜62の内側の領域では、光による接着剤厚さの測定時に、封止缶50による反射光a2と、光透過膜60による反射光a5の2つの反射光が検出されるのに対して、光吸収膜62が設けられている位置では、基板10の他面12側から照射した光a1が光吸収膜62に遮断されるため、封止缶50による反射光a2が検出されなくなる。
【0096】
したがって、光による接着剤厚さの測定時に、上述の2つの反射光が検出できなくなった場合に、基板10の他面12側から照射した光a1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかる。
【0097】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、第1実施形態に対して、封止缶50を不透明で光を反射しない金属等からなるものに変更し、さらに、光反射膜70を追加したものである。なお、図9では、図2中の不透明膜61が省略されている。
【0098】
本実施形態では、具体的には、図9に示すように、接着剤40と封止缶50との界面に、光を反射する膜よりなる光反射膜70が光透過膜60と対向して設けられている。この光反射膜70は、例えばアルミニウムなどの金属膜を蒸着やスパッタなどにより成膜したものである。なお、図9に示す例では、光透過膜60と光反射膜70の両方は、基板表面方向でのサイズ(平面サイズ)がどちらも接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じであり、測定範囲のみに配置されている。
【0099】
これによれば、接着剤40と封止缶50との界面に光反射膜70を設けているので、不透明な封止缶50が光反射性を有さない場合でも、基板10の他面12側から光a1を照射すると、光透過膜60による反射光a5と、光反射膜70による反射光a6とを検出できるので、適切に接着剤厚さの測定ができる。
【0100】
ここで、図10に図9の変形例を示す。上述した図9に示す例では、光透過膜60と光反射膜70の両方を接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じ大きさとしたが、図10に示す例では、光透過膜60と光反射膜70のうち光反射膜70のみを、接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じ大きさとし、光透過膜60を光反射膜70よりも大きくしている。
【0101】
すなわち、図10に示す例では、光反射膜70は、光反射膜70と対向する光透過膜60よりも平面サイズが小さいものであり、この光反射膜70の外郭が、接着剤厚さの測定範囲を規定している。
【0102】
このように、光反射膜70の外郭が接着剤厚さの測定範囲を規定していれば、光反射膜70が配置された領域では、光による接着剤厚さの測定時に、光反射膜70による反射光a6と、光透過膜60による反射光a5の2つの反射光が検出されるのに対して、光反射膜70よりも外側の位置では、光反射膜70が無いので、光反射膜70による反射光a6が検出されない。
【0103】
したがって、光による接着剤厚さの測定時に、上述の2つの反射光が検出できなくなった場合に、基板10の他面12側から照射した光a1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかる。
【0104】
なお、本実施形態においては、光反射膜70の外郭が接着剤厚さの測定範囲を規定する代わりに、基板10の他面12側から照射した光a1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかるように、図9に示す構造に対して、第1実施形態のように、光透過膜60の端部に不透明膜61を設けたり、第2実施形態のように、光反射膜70の端部に光吸収膜62を設けたりしても良い。
【0105】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、第1実施形態に対して、封止缶50を、光を通す光透過性のものに変更し、それに伴って光透過膜60を追加したものである。
【0106】
本実施形態では、光透過性の封止缶50としては、ソーダガラスなどよりなるものが挙げられる。そして、光透過膜60は、上記第1実施形態と同様に基板10の一面11に設けられるが、さらに、本実施形態では、封止缶50における接着剤40との接触面にも設けられている。つまり、本実施形態では、接着剤40と基板10との第1界面、および、接着剤40と封止缶50との第2界面の両界面に、光透過膜60が互いに対向して設けられている。
【0107】
この場合、第1、第2界面の両方の光透過膜60を、同じ光透過性材料で構成でき、例えばスパッタによるITO膜で構成したり、フォト成膜による絶縁膜で構成したりすることができる。なお、第1、第2界面の両方の光透過膜60を異なる光透過性材料で構成しても良い。例えば、一方をスパッタによるITO膜で構成し、他方をフォト成膜による絶縁膜で構成しても良い。
【0108】
この場合の接着剤厚さ測定は、次のとおりである。図11に示されるように、基板10の他面12側からレーザなどの光a1を照射すると、主たる反射光としては、封止缶50側の光透過膜60による反射光a7と、基板10の一面11側の光透過膜60による反射光a5とが検出される。そして、これら両反射光a7、a5の光量差と位相差の少なくとも一方を検出することで接着剤40の厚さが測定できる。
【0109】
一方、本実施形態では、封止缶50の外側からも、光学的に接着剤厚さを測定可能である。図11に示されるように、封止缶50の外側からレーザなどの光b1を照射すると、主たる反射光としては、基板10の一面11側の光透過膜60による反射光b2と、封止缶50側の光透過膜60による反射光b3とが検出される。そして、これら両反射光b2、b3の光量差と位相差の少なくとも一方を検出することで接着剤40の厚さが測定できる。
【0110】
このように、本実施形態によれば、封止缶50が透明なものであっても、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0111】
(第5実施形態)
図12(a)は、第5実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面構成を示す図であり、図12(b)は図12(a)中の光反射膜63の平面図である。
【0112】
本実施形態は、第4実施形態に対して、光を反射する光反射膜63を追加したものであり、その他の構成は、第4実施形態と同じである。
【0113】
図12(a)に示すように、光反射膜63は、封止缶50の界面に位置する光透過膜60の端部に設けられている。本実施形態では、光透過膜60が矩形であるため、図12(b)に示すように、光反射膜63は、光透過膜60の外周全域に沿って、四角形の環状となっている。この光反射膜63は、例えばアルミニウムなどの金属膜を蒸着やスパッタなどにより成膜したものである。
【0114】
これによれば、封止缶50の外側からレーザなどの光b1を照射して接着剤厚さを測定する場合、接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)である光反射膜63の内側の領域では、基板10の一面11側の光透過膜60による反射光b2と、封止缶50側の光透過膜60による反射光b3との2つの反射光が検出されるのに対して、光反射膜63が設けられている位置では、封止缶50の外側から照射した光b1が光反射膜63によって遮断されるため、基板10の一面11側の光透過膜60による反射光b2が検出されなくなる。
【0115】
したがって、光による接着剤厚さの測定時に、上述の2つの反射光が検出できなくなった場合に、封止缶50の外側から照射した光b1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかる。
【0116】
なお、本実施形態においては、光反射膜63の代わりに、第2実施形態のように光吸収膜を設けても良い。このようにしても、光吸収膜が設けられている位置では、封止缶50の外側から照射した光b1が光吸収膜によって遮断され、基板10の一面11側の光透過膜60による反射光b2が検出されなくなるので、基板10の他面12側から照射した光a1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかる。
【0117】
(第6実施形態)
図13は、第6実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、第4実施形態に対して、接着剤40と封止缶50との第2界面の光透過膜60を、光を反射する膜よりなる光反射膜70に変更したものであり、他の構成は、第4実施形態と同じである。
【0118】
この光反射膜70は、例えばアルミニウムなどの金属膜を蒸着やスパッタなどにより成膜したものである。図13に示す例では、光反射膜70は、接着剤40と基板10との第1界面に設けられた光透過膜60と対向して設けられており、光透過膜60と光反射膜70の両方は、基板表面方向でのサイズ(平面サイズ)がどちらも接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じであり、測定範囲のみに配置されている。
【0119】
この場合の接着剤厚さ測定は、次のとおりである。図13に示されるように、基板10の他面12側からレーザなどの光a1を照射すると、主たる反射光としては、封止缶50側の光反射膜70による反射光a8と、基板10の一面11側の光透過膜60による反射光a5とが検出される。そして、これら両反射光a8、a5の光量差と位相差の少なくとも一方を検出することで接着剤40の厚さが測定できる。
【0120】
このように、本実施形態によれば、封止缶50が透明で、封止缶50と接着剤40との間に屈折率の差が実質的に無い場合であっても、破壊検査をすることなく、光学的に接着剤厚さを測定し、接着剤厚さを保証することが可能となる。
【0121】
ここで、図14に図13の変形例を示す。上述した図13に示す例では、光透過膜60と光反射膜70の両方を接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じ大きさとしたが、図14に示す例では、光透過膜60と光反射膜70のうち光反射膜70のみを、接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じ大きさとし、光透過膜60を光反射膜70よりも大きくしている。
【0122】
すなわち、図14に示す例では、光反射膜70は、光反射膜70と対向する光透過膜60よりも平面サイズが小さいものであり、この光反射膜70の外郭が、接着剤厚さの測定範囲を規定している。
【0123】
このように、少なくとも光反射膜70の外郭が接着剤厚さの測定範囲を規定していれば、光反射膜70が配置された領域では、光による接着剤厚さの測定時に、光反射膜70による反射光a8と、光透過膜60による反射光a5の2つの反射光が検出されるのに対して、光反射膜70よりも外側の位置では、光反射膜70が無いので、光反射膜70による反射光a8が検出されない。
【0124】
したがって、光による接着剤厚さの測定時に、上述の2つの反射光が検出できなくなった場合に、基板10の他面12側から照射した光a1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかる。
【0125】
なお、本実施形態においても、光反射膜70の外郭が接着剤厚さの測定範囲を規定する代わりに、基板10の他面12側から照射した光a1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかるように、図13に示す構造に対して、第1実施形態のように、光透過膜60の端部に不透明膜61を設けたり、第2実施形態のように、光反射膜70の端部に光吸収膜62を設けたりしても良い。
【0126】
(第7実施形態)
図15は、第7実施形態に係る有機ELディスプレイの要部の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、第1実施形態に対して、封止缶50を、光を通す光透過性のものに変更し、基板10を、光を透過しない不透明なものであって、光を反射しないものに変更したものである。
【0127】
光透過性の封止缶50としては、ソーダガラスなどよりなるものが挙げられる。また、不透明な基板10としては、一般的な不透明な樹脂よりなるものが挙げられる。
【0128】
そして、本実施形態では、接着剤40と基板10との第1界面には、光を反射する膜よりなる光反射膜70が設けられており、接着剤40と封止缶50との第2界面には、光を透過する膜よりなる光透過膜60が、光反射膜70と対向して設けられている。
【0129】
光透過膜60は、第1実施形態で説明したものと同じであり、光反射膜70は、第3実施液体で説明したものと同じものである。なお、図15に示す例では、光透過膜60と光反射膜70の両方は、基板表面方向でのサイズ(平面サイズ)がどちらも接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じであり、測定範囲のみに配置されている。
【0130】
この場合の接着剤厚さ測定は、次のとおりである。図15に示されるように、封止缶50の外側からレーザなどの光b1を照射すると、主たる反射光としては、基板10の一面11側の光反射膜70による反射光b4と、封止缶50側の光透過膜60による反射光b5とが検出される。そして、これら両反射光b4、b5の光量差と位相差の少なくとも一方を検出することで接着剤40の厚さが測定できる。
【0131】
ここで、図16に図15の変形例を示す。上述した図15に示す例では、光透過膜60と光反射膜70の両方を接着剤厚さの測定範囲(検査範囲)と同じ大きさとしたが、図16に示す例では、第6実施形態の図14に示す例と同様に、光反射膜70は、光反射膜70と対向する光透過膜60よりも平面サイズが小さいものであり、この光反射膜70の外郭が、接着剤厚さの測定範囲を規定している。
【0132】
このように、少なくとも光反射膜70の外郭が接着剤厚さの測定範囲を規定していれば、光反射膜70が配置された領域では、光による接着剤厚さの測定時に、光反射膜70による反射光b4と、光透過膜60による反射光b5の2つの反射光が検出されるのに対して、光反射膜70よりも外側の位置では、光反射膜70が無いので、光反射膜70による反射光b4が検出されない。
【0133】
したがって、光による接着剤厚さの測定時に、上述の2つの反射光が検出できなくなった場合に、封止缶50の外側から照射した光b1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかる。
【0134】
なお、本実施形態においても、光反射膜70の外郭が接着剤厚さの測定範囲を規定する代わりに、封止缶50の外側から照射した光b1が接着剤厚さの測定範囲から外れたことがわかるように、図15に示す構造に対して、第1実施形態のように、光透過膜60の端部に不透明膜61を設けたり、第2実施形態のように、光反射膜70の端部に光吸収膜62を設けたりしても良い。
【0135】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、光透過膜60や光反射膜70の形状を矩形としていたが、他の形状としても良い。また、光透過膜60の端部に不透明膜61(図5参照)や光反射膜63(図12(b)参照)を設けたり、封止缶50のうち光透過膜60と正対する領域の端部に光吸収膜62(図8(b)参照)を設けたりする場合では、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62は、光透過膜60や光反射膜70の端部に沿った形状となる。
【0136】
ここで、図17(a)〜(c)、図18(a)〜(c)、図19(a)〜(c)に、光透過膜60、光反射膜70、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の形状例を示す。
【0137】
例えば、図17(a)、(b)に示すように、光透過膜60や光反射膜70を円形状とすることもできる。この場合、図17(a)、(c)に示すように、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の形状を円の環状とすることができる。
【0138】
また、図18(a)、(b)に示すように、光透過膜60や光反射膜70を十字形状とすることもできる。この場合、図18(a)、(c)に示すように、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の形状を十字型の環状とすることができる。
【0139】
また、図19(a)、(b)に示すように、光透過膜60や光反射膜70をL字形状とすることもできる。この場合、図19(a)、(c)に示すように、不透明膜61、光反射膜63、光吸収膜62の形状をL字型の環状とすることができる。
【0140】
(2)上述の各実施形態において、厚さ測定の領域の周囲に、厚さ測定の領域を位置決めするアライメントマークを設けても良い。図20に光透過膜60や光反射膜70の平面図を示す。具体的には、図20に示すように、光透過膜60や光反射膜70の近傍にアライメントマーク80を設けても良い。
【0141】
これにより、厚さ測定の開始前に、CCDイメージセンサ等によりアライメントマーク80を確認することで、光の照射位置がずれていれば、光の照射位置を補正でき、光透過膜60や光反射膜70が配置された領域で、接着剤40の厚さ測定を確実に行うことができる。
【0142】
(3)上述の各実施形態では、本発明の有機EL装置を有機ELディスプレイに適用したが、本発明の有機EL装置は、照明や光源等の他の有機EL装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0143】
10 基板
11 基板の一面
12 基板の他面
20 EL素子
21 第1の電極
22 発光層
23 第2の電極
40 接着剤
50 封止缶
60 光透過膜
61 不透明膜
62 光吸収膜
63 光反射膜
70 光反射膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する光透過性の基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過しない不透明な封止缶(50)と、を備える有機ELディスプレイにおいて、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面には、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が、設けられており、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記基板(10)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記基板(10)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、前記光透過膜(60)の位置では、前記基板(10)の他面(12)側から前記光の照射による前記接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記封止缶(50)は前記光を反射しないものであり、
前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面には、前記光を反射する膜よりなる光反射膜(70)が前記光透過膜(60)と対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記封止缶(50)は前記光を反射するものであり、
前記封止缶(50)のうち前記光透過膜(60)と正対する領域の端部には、前記光を吸収する光吸収膜(62)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項4】
光を透過する光透過性の基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面、および、前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面の両界面には、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が互いに対向して設けられており、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記基板(10)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記基板(10)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、前記光透過膜(60)の位置では、前記基板(10)の他面(12)側もしくは前記封止缶(50)の外側から前記光の照射による前記接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴とする有機EL装置。
【請求項5】
前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面に位置する前記光透過膜(60)の端部に、前記光を吸収する光吸収膜または前記光を反射する光反射膜(63)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項6】
光を透過する光透過性の基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面には、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が設けられており、
前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面には、前記光を反射する膜よりなる光反射膜(70)が前記光透過膜(60)と対向して設けられており、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記基板(10)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記基板(10)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、前記光透過膜(60)の位置では、前記基板(10)の他面(12)側から前記光の照射による前記接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴とする有機EL装置。
【請求項7】
前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面に位置する前記光反射膜(70)の端部に、前記光を吸収する光吸収膜(62)が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
光を透過しない不透明な基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面には、前記光を反射する膜よりなる光反射膜(70)が設けられており、
前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面には、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)が前記光反射膜(70)と対向して設けられており、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記封止缶(50)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との屈折率差よりも大きいものとすることにより、前記光透過膜(60)の位置では、前記封止缶(50)の外側から前記光の照射による前記接着剤(40)の厚さ測定がなされるようにしたことを特徴とする有機EL装置。
【請求項9】
前記光反射膜(70)は、当該光反射膜(70)と対向する前記光透過膜(60)よりも平面サイズが小さいものであり、
前記光反射膜(70)の外郭が、前記厚さ測定の範囲を規定していることを特徴とする請求項2、6、7、8のいずれか1つに記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記EL素子(20)は、前記基板(10)の一面(11)側から光透過性材料よりなる第1の電極(21)、有機EL材料よりなる発光層(22)、第2の電極(23)が積層されてなるものであり、
前記基板(10)と前記接着剤(40)との界面に位置する前記光透過膜(60)は、前記第1の電極(21)と同様の光透過性材料よりなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の有機EL装置。
【請求項11】
前記光透過膜(60)は、フォト成膜による絶縁膜よりなることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の有機ELディスプレイ。
【請求項12】
前記光透過膜(60)の端部には、前記光を通さない不透明材料よりなる不透明膜(61)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の有機ELディスプレイ。
【請求項13】
前記光透過膜(60)は、前記接着剤(40)の最大厚さの部位に配置されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の有機EL装置。
【請求項14】
前記封止缶(50)は、前記接着剤(40)との接触部位が多角形であり、この多角形の角部が前記接着剤(40)の最大厚さの部位となっており、
当該角部に、前記光透過膜(60)が配置されていることを特徴とする請求項13に記載の有機EL装置。
【請求項15】
前記光透過膜(60)は、前記接着剤(40)の端部よりも内側に収まって配置されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の有機EL装置。
【請求項16】
前記接着剤(40)の内周側の端部(40a)と前記光透過膜(60)との距離(L1)と、前記接着剤(40)の外周側の端部(40b)と前記光透過膜(60)との距離(L2)とが等距離であることを特徴とする請求項15に記載の有機EL装置。
【請求項17】
前記厚さ測定の領域の周囲に、前記厚さ測定の領域を位置決めするアライメントマーク(80)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1つに記載の有機EL装置。
【請求項18】
光を透過する光透過性の基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過しない不透明な封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面に、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を、設けるとともに、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記基板(10)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記基板(10)との屈折率差よりも大きいものとする屈折率の大小関係を有するものとし、
前記光透過膜(60)の位置にて、前記基板(10)の他面(12)側から前記光の照射を行って、前記光透過膜(60)と前記封止缶(50)での両反射光に基づいて前記接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項19】
光を透過する光透過性の基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面、および、前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面の両界面に、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を互いに対向して設けるとともに、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記基板(10)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記基板(10)との屈折率差よりも大きいものとし、
前記光透過膜(60)の位置にて、前記基板(10)の他面(12)側もしくは前記封止缶(50)の外側から前記光の照射を行って、2つの前記光透過膜(60)での両反射光に基づいて前記接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項20】
光を透過する光透過性の基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面に、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を設け、前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面に、前記光を反射する膜よりなる光反射膜(70)を前記光透過膜(60)と対向して設けるとともに、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記基板(10)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記基板(10)との屈折率差よりも大きいものとし、
前記光透過膜(60)の位置にて、前記基板(10)の他面(12)側から前記光の照射を行って、前記光透過膜(60)と前記光反射膜(70)での両反射光に基づいて前記接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項21】
光を透過しない不透明な基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられた有機EL発光材料を含むEL素子(20)と、
前記基板(10)の一面(11)にて前記EL素子(20)の外側を取り巻くように配置された光透過性の接着剤(40)と、
前記基板(10)の一面上に前記接着剤(40)を介して前記基板(10)に接着されるとともに前記接着剤(40)以外の部位では前記基板(10)の一面(11)と離間しつつ、前記EL素子(20)を封止する前記光を透過する光透過性の封止缶(50)と、を備える有機EL装置の製造方法において、
前記接着剤(40)と前記基板(10)との界面に、前記光を反射する膜よりなる光反射膜(70)を設け、前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との界面に、前記光を透過する膜よりなる光透過膜(60)を前記光反射膜(70)と対向して設けるとともに、
前記光透過膜(60)と前記接着剤(40)との屈折率差および前記光透過膜(60)と前記封止缶(50)との屈折率差を、前記接着剤(40)と前記封止缶(50)との屈折率差よりも大きいものとし、
前記光透過膜(60)の位置にて、前記封止缶(50)の外側から前記光の照射を行って、前記光透過膜(60)と前記光反射膜(70)での両反射光に基づいて前記接着剤(40)の厚さ測定を行うようにしたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−216466(P2012−216466A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81921(P2011−81921)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】