説明

木材破砕処理システム

【課題】ハンマーミルを備えた木材破砕機において、大きな木片は勿論のこと、微粉や粉塵が全く飛散せず、安全衛生的で、効率よく長尺木材を破砕することができる木材破砕処理システムを提供する。
【解決手段】ハンマーミルを備えた木材破砕機に特殊仕様のデフレクタ装置を付属させた木材破砕処理システムであって、タブの上部をスッポリ覆う形の外蓋を設けて、シリンダ駆動によって外蓋を自動的に開閉可能とすると共に、運転中木片及び微粉を飛散しないようにし、自動運転中に次の原料木材を調整するので危険性がなく、かつ現場において効率的な運用ができるようにした。散水ノズルを備え、外蓋の内側に微粉旋回阻止板を設け、微粉だに発生しない構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木材破砕処理システムに関し、タブ内に投入した木材をハンマーミルでかじり取りながら破砕する木材破砕機に特殊仕様のデフレクタ装置を付属させ、前記ハンマーミルの作用により投入木材が前記タブ外へ時々飛散するのを防止し、かつ破砕処理中に前記タブから微粉が放出されるのを完全に防止し、しかもバッチ処理でありながら効率よく木材破砕処理を行うことができる安全、衛生、効率的仕様の木材破砕処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃木材類を破砕する木材破砕機としては、固定の底面及びこの底面から立上げられたホッパから成るタブを有し、このタブの中に投入された木材を前記底面底部に設けたハンマーミルでかじり取り破砕する方式が一般的である。ホッパ内に投入された木材を攪拌してハンマーミルに対して供給するために、ホッパの内面に攪拌羽根を設けホッパ全体が回転するものと、ホッパ内に別途回転体を備えたものとがある。
【0003】
ところが、この種ハンマーミルを備えた木材破砕機にあっては、長尺の木材をハンマーミルでかじりとる方式であるため、処理中の木材破片がタブの外方へ旋回流を伴って飛散するという問題点があった。
【0004】
微粉のみならず大きな木片までが飛び出す原因を調べると、通常、木材は1m前後(30cm〜2m)の長さに寸断されて投入されるのであるが、高速回転するハンマーミルによる微粉分散作用に加えて、長尺の木材がハンマーミルに吸引された際に突立つ、即ちハンマーミルに接触した木材の先端がハンマーミルに吸引されて水平姿勢から急に斜め姿勢に変化して、そのとき回りの木材をタブの外方へ投げ出す作用があることが判明した。
【0005】
従って、木材破砕機を運転すると、常時微粉や小片が飛散するのみならず、時々に長尺の木材(丸太や角材)が飛び出してくるので、衛生的でないのみならずとても危険である。
【0006】
これら危険を回避するために、投入木材を長くとも30cm以下の寸法に寸断し、破砕してから投入する方法がある。このようにすれば、30cm以上もの大片が飛び出してくる恐れはなく、微粉や小片の飛び出しを我慢すれば、何とか運転できる。ただし、木材破砕機に投入する木材を予め小さく寸断しなければならないので手間を要し、製品コストを高くしているという問題点があった。
【0007】
これら微粉及び木片の飛散の問題を解決するために、飛散防止のための装置、即ちデフレクタ装置が必要であった。
【0008】
従来の木材破砕機のデフレクタ装置としては、特開2005−125162号公報、特許第3794626号公報、特開2001−9318号公報の例がある。
【0009】
特開2005−125162号公報のデフレクタ装置は、ホッパ5の開口部7の一部を点検口として残した形の飛散防止カバー6を設けるというものである。開口部7を有するので、根本的な問題解決ができていない。
【0010】
特許第794626号公報のデフレクタ装置は、蓋を上下方向に回動させる上下方向回動機構と水平方向に移動させる半径方向移動機構を有し、蓋の開閉操作を速やかに行おうとするものである。その明細書の段落〔0018〕に示されるように、蓋12をある程度開いた状態とし、この開口部から木材を投入するので、開口部内部から微粉や小片或いは木片が飛び出してくる恐れが残る。
【0011】
特開2001−9318号公報のデフレクタ装置は、ホッパー5に木材投入口5dを残して飛散防止カバー7を設けるというものであり、これも前述公報のものと同じである。
【0012】
これら従来のデフレクタ装置は、連続投入のために木材投入口を残して蓋類をするというものであり、連続投入できるが非衛生的で、かつ危険である。
【0013】
また、これら木材投入口を残して蓋類を設ける場合には、大片の飛散を防止するため、予め小さく寸断した木材を投入することを義務付けておかねばならず、その前処理が必要であり、システム全体としては必ずしも効率アップしていない。
【特許文献1】特開2005−125162号公報、第1頁、図1
【特許文献2】特許第794626号公報、第1頁、図2
【特許文献3】特開2001−9318号公報、第1頁、図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の木材破砕処理システムは、固定の底面とホッパから成るタブを有し、前記底面に備えたハンマーミルによってタブ内に投入された木材をかじり取り破砕する木材破砕機に特殊仕様のデフレクタ装置を付属させ、これらを木材破砕処理を行う現場に設置して、その運用を適切に行うことにより、大きな木片は勿論のこと、微粉や粉塵が全く飛散せず、安全、衛生的で、しかも効率よく長尺木材を破砕することができる木材破砕処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の木材破砕処理システムは、基台に固定された底面及びこの底面から立上げられたホッパから成るタブと、前記タブの前記底面底部に設けられ、前記タブの中に投入された長尺木材を回転刃物でかじり取り破砕するハンマーミルと、前記ハンマーミルでかじり取られた破砕物を前記ハンマーミルの外周に設けた網目を介して回収し、回収された破砕物を外部へ投送するコンベアとを備えた木材破砕機に、
前記タブの側部に沿って前記基台に立設したポストと、このポストの上部に設けられ前記タブの中心を通る軸に対して上下に角度変更自在のヒンジと、このヒンジを水平姿勢からその内側を斜め上向き姿勢に変更可能に駆動するシリンダと、前記ヒンジの内側に、前記ホッパの上部を全体的にスッポリ覆う形の外蓋から成るデフレクタ装置を付属させ、
前記外蓋開閉操作は専ら前記シリンダの駆動によってのみ可能とし、前記ハンマーミルの駆動を停止してから前記外蓋を開けて前記長尺木材を投入可能としたことを特徴とする。
【0016】
タブの上部、即ちホッパの上端及び上縁面を隙間を開けてスッポリ覆うので、タブ内部から木片が外方へ飛び出す恐れは全くなくなる。タブから木片が飛び出す恐れがないので、30cm〜1mの長尺木材をそのまま投入でき、投入木材を小さく寸断する必要がないのでシステム効率が高い。タブと外蓋との間に隙間を設けると、この隙間から微粉が出るが、このままでも直接舞い上る微粉は覆部で抑えているので、衛生的に大きな問題は残らない。
【0017】
前記ヒンジに固定される前記外蓋は前記ホッパの上部を覆う覆部とその回りで下方に伸びる縁部とを有し、前記覆部は前記回転体の上端に対し0〜10cmの隙間を置き、前記縁部は前記ホッパの外縁面に対し5〜10cmの隙間を置いて前記ホッパの上部を覆う形とされることを特徴とする。覆部の隙間ゼロは、覆部をホッパの上に載せた形でも良いことを示す。
【0018】
従来例で示したように、ホッパが回転する方式のものにあっては、3cm以上の隙間を残しておく。固定のホッパに対し別途回転体を備える場合は、ホッパは固定であるので隙間ゼロとして外蓋を覆せた状態にすることができる。
【0019】
ホッパが回転する場合、タブと外蓋との関係では、外蓋はタブに対し宙吊り状態となっており、比較的大きな隙間を置いてタブの上部をスッポリ覆せた状態となる。外縁との間に5〜15cmの大きな隙間を開けているので、シリンダ駆動によって容易に覆せることはできるものの、この部分に出てきた微粉は必ず下にこぼれる。そこで、この部分に微粉が出てくる量を最小限とするため、前記外蓋の下面には、前記ハンマーミルの木材破砕作用によって舞い上がる微粉の旋回を阻止する微粉旋回阻止板を設けたことを特徴とする。
【0020】
通常、本発明の外蓋を除いた状態では、ハンマーミルで破砕された微粉は粉塵となって空高く舞い上がる。因みに無蓋状態で運転して見た所、粉塵が空高く舞い上がり、200m離れた場所から煙の如く立上って見えた。本発明の外蓋には微粉旋回阻止板が設けられるので、ホッパ内での微粉の旋回が防止され、ホッパ及び外蓋との間に多少の隙間があっても、この隙間から粉塵が洩れることがない。実証によれば、覆部とホッパ上部との間に3cmの隙間を開けている場合であっても、微粉旋回阻止板の取付けによって微粉(粉塵)洩れ量を95%削減できた。
【0021】
前記外蓋には、前記タブの内部にむけて散水する散水ノズルを付属させたことを特徴とする。
【0022】
ハンマーミルによる破砕では大量の微粉が粉塵となって飛散する。ここに本発明の木材破砕機のデフレクタ装置には、タブの内部に向けて散水ノズルを付属させるので、散水を微粉や破砕片に吸着させて粉塵が出ないようにすることができ、衛生的な作業環境を提供できる。散水は、全量微粉や破砕片に吸着され、破砕片を少し湿らせる程度であるので、製品品質に影響を与えることはない。外蓋、微粉旋回阻止板、並びに散水ノズルの設置によって、微粉ないし粉塵の飛散を99%以上(略100%)阻止できた。
【0023】
本発明の木材破砕処理システムでは、木材破砕機に本発明特有のデフレクタ装置を付属させ、これを現場に配置して木材破砕処理が行われる。現場には、一般に廃木材が置かれ、それを荒く破砕するグリップや鋸付の破砕機やバックホー等の重機が配置され、それを操作する1又は複数の作業員が居る。本発明のシステムは、これら重機類を含めて現場内に構築されている。
【0024】
そこで、本発明の木材破砕処理システムでは、タブに原料としての長尺木材を投入した後は外蓋を閉め、自動運転しておいて、その間に次の原料木材(1〜2トン)を調整し、破砕処理の終った木材破砕機の外蓋を開けて次の原料を投入すればよく、運転中は近寄る必要もなく、1人又は2人のオペレータによって、効率よく、安全、衛生的な木材破砕処理を行うことができる。
【0025】
原料を投入した木材破砕機は、1回の投入量を10数分の時間をかけて自動的に破砕処理するのであるが、オペレータはこの間に3〜4mの木材を1m以下のサイズに寸断し、次の原料分を調整し終ったらそれを重機のグリップで掴み、木材破砕機に対して投入すればよく、時間的な整合が可能で効率的である。この間オペレータはタブから木片が飛び出してくるような恐れはないので安心して作業できる。オペレータによる予めの破砕は1m以下であって、30cm以下ではないので、迅速に荒破砕処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の通り本発明の木材破砕処理システムは、固定の底面とこれより立上げられたホッパから成るタブを有し、前記底面に備えたハンマーミルによってタブ内に投入された木材をかじり取り破砕する木材破砕機に、タブの上部を完全にスッポリ覆せる形の外蓋を設けたデフレクタ装置を付属させるので、微粉や小片は勿論のこと、粉塵がほとんど飛散せず、安全衛生的で、効率よく長尺木材を破砕することができる。
【0027】
投入木材の寸法を30cm〜1m位まで可能とするので、投入前に30cm以下に細かく裁断せずともよく、システム効率をアップできる。30cm以下の寸法であっても当然に破砕できる。
【0028】
外蓋はタブに直接取り付けるのではなく、タブから0〜10cmの距離を置いて載置又は宙吊り状態とするので、その着脱をシリンダ等の駆動手段で容易に自動化できる。
【0029】
外蓋下面に微粉旋回阻止板を設けるので、ハンマーミルから舞い上がる微粉の旋回を阻止することができ、外蓋からの微粉の洩れを一切なくして、粉塵の発生をほとんどゼロとして、衛生的な作業環境を提供できる。
【0030】
外蓋にタブの内側に向けて散水する散水ノズルを付属させるので、粉塵の飛散を抑え、塵一つだに発生しない衛生的な作業環境を提供できる。
【0031】
木材破砕機を自動運転しておいて、その間に原料としての木材を1m以下に荒破砕すれば良いので、安全、衛生的な環境下で、効率的な作業を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最適の形態を説明する。図1〜図4は本発明の一実施形態を示す木材破砕処理システムの説明図である。
【0033】
まず、現場配置について示すと、木材破砕機は、例えば自走式とされて破砕したチップを収納する倉庫の近くに配置されている。倉庫の近くには廃木材類を山積みした広場があって、この広場と木材破砕機との間をグリップGP(図4参照)を備えたバックホーが往来するような形である。
【0034】
図1〜図3に示すように、本発明の木材破砕処理システムは、基台1に固定された底面2及びこの底面から立上げられたホッパ3から成るタブ4と、前記タブ4の前記底面2の底部に設けられ、前記タブ4の中に投入された長さ30cm〜1mの長尺木材5を回転刃物6でかじり取り破砕するハンマーミル7と、前記ハンマーミル7でかじり取られた破砕物8を前記ハンマーミル7の外周に設けた網目9を介して回収し、回収された破砕物8を外部へ投送するコンベア10とを備えた木材破砕機11にデフレクタ装置12を付属させて成る。デフレクタ装置12は、前記タブ4の側部に沿って前記基台1に立設したポスト13と、このポスト13の上部に設けられ前記タブ4の中心を通る軸に対して上下に角度変更自在のヒンジ14と、このヒンジ14を水平姿勢からその内側を斜め上向き姿勢に変更可能に駆動するシリンダ15とを有し、前記ヒンジ14の内側には、前記ホッパ3の上端3a及び外縁面3b(図4参照)から一定距離A、Bを置いてその上端3a及び外縁面3bを全体的にスッポリ覆う形の外蓋16を設けた形である。
【0035】
図示の木材破砕機11は固定式であるかの如く示すが、特許文献1、2、3で示されるようにキャタピラ類を取付けて自走式とされる。本発明の木材破砕機11は、自走式の例で示すが、本発明は固定式のものにも適用できる。
【0036】
前記タブ4はタブ回転式のものの例で示す。即ち、底面2は基台1に対し固定的であるが、ホッパ3部分は基台1及び底面2に対して回転する。回転方向は、平面図で見て反時計回りの方向である。前記ホッパ3の立上り部の内面には、その回転に伴って木材5をハンマーミル7へ寄せ集めるための羽根3cが設けられている。
【0037】
前記ポスト13は、内部にシリンダ装置等による昇降手段が備えられており、図示の状態から上方へ向けて伸縮自在の構成とされている。ポスト13を伸縮自在とするのは、図4に示すように外蓋16を開けた状態において、開口面積を広くして木材5を投入し易くするためのものであり、本発明の要部を為すものではない。
【0038】
前記ポスト13の上方には、ヒンジピン14Pを介して前記ヒンジ14が取付けられ、そのヒンジ14の後端をシリンダ15によって上下に駆動することにより、外蓋16を開閉駆動するようになっている。外蓋16の開閉は、ポスト14の昇降動作に連動してシリンダ15を駆動することで行う。即ち、外蓋16は、全体を上方に移動させつつ角度を変え、図4に示す状態に開放され、この状態にて破砕原料としての木材5が投入される。木材5の投入後、図1に示す状態に閉じられて、その後ハンマーミル7の作動によって破砕処理される。
【0039】
外蓋16は、天面を構成する覆部16aと、その回りで下方に伸びる縁部16bとを有する。縁部16bの深さは20cmの例で示す。ホッパ3の上端3aと覆部16aとの間の距離をAcm、ホッパ3の外縁面3bと縁部16bとの間の距離をBcmとし、A=3〜10cm、B=5〜10cmの例で示す。ホッパ3の上端直径は2500mmの例で示す。外蓋16の重量は100kg以上もの重さとなるため、必要に応じてはヒンジ14及びシリンダ15は外蓋16の外周に沿って一対設ける。
【0040】
前記ハンマーミル7は、回転軸7aの回りに多数の振り子状刃物6を有し、その底面には網目9が配置されている。従って、刃物6で木材5をかじり取り、直径数mm、長さ数cm程度以下の破砕物8を作り、これをコンベア10上に送り出すことができる。このとき、木材5の直径が刃物6間に挟まるような寸法である場合には、長尺の木材、例えば50cm〜1mの木材の一端がハンマーミル7に吸い寄せられ、水平姿勢から斜め姿勢に姿勢を急変することがあるので、この場合木材5が跳ね、他の木材をホッパ3の上方又は外方へ飛び出させることも生じ得る。
【0041】
また、回転軸7aは高速回転しているので、かじり取った破砕物8の一部をホッパ3内へ勢いよく飛散させることも生じる。さらに、ハンマーミル7は底面2に対し中心から偏心された位置に配置されているので、飛散物は渦巻き、外蓋16が無い場合には、粉塵が空高く舞い上がっていたのである。
【0042】
前記外蓋16の下面には、前記ハンマーミルの木材破砕作用によって舞い上がる微粉17の旋回を阻止する微粉旋回阻止板18を設けている。
【0043】
詳細には、図3に示すように、ホッパ3の立上り部3hの上方位置に、縁部16bの深さの半分位の高さの板18a、18b、18c、18dを設けたものである。微粉旋回阻止板18を複数枚に分けたのは、ホッパ3の立上り部3h内から舞い上る微粉17を効率よく旋回阻止するためであり、実際の微粉の旋回を見た上で、図示の通りの形としたものである。大概2枚の板を直角を為す形として、立上り部3hの円形を取り囲み、かつその外周に残り微粉を始末する板を設けた形となっている。
【0044】
板18a、18b、18c、18dにおいて、立上り部3hの内形に沿って第1の板18aを設け、その先に隙間を開けて第2の直交板18bを設け、その先に縁部16bに沿って円形の板18dを設けている。従って、旋回流は板18cで止められ、微粉17を除いた旋回流を板18dの内側へ流すことができる。板18a、18bの間に隙間を設けたのは、板18cの部分での旋回流の圧力を高めないようにするためである。もしここで圧力を高めると、旋回流は圧力を受けてタブ4と外蓋16の隙間から外部へ洩れてしまうからである。板18の配置はこれに限定されるものではない。要するに旋回流を受け止めて、その中の微粉を下方に叩き落す形であればよい。
【0045】
さらに、本発明のデフレクタ装置12では、前記外蓋16に、前記タブ4の内部にむけて散水する散水ノズル19を付属させている。散水ノズル19は2個の例で示すが、ノズルの散水量によっては1個でもよく、3個又はそれ以上設けても良い。ノズル配置位置は前記ハンマーミル7の上部位置としている。図1には、ノズル配置位置をモデルで示している。散水ノズル19は、散水管20の先端に設けられ、この散水管20はホース21と接続され、このホースは図示しない水道又は給水ポンプと接続されている。
【0046】
以上の構成の木材破砕処理システムについてその作用を示す。まず、現場配置については前述した通り、木材破砕機11を倉庫近くに配置し、広場には廃木材が山積みされ、これを荒破砕し、搬送するバックホー類の重機が配置されている。
【0047】
図1に示す木材破砕機11において、投入した木材5の破砕処理が終了すると、デフレクタ装置12を作動させ、図4に示すように外蓋16を開けて破砕原料としての木材5が投入される。外蓋16の開放は、ポスト13の上昇とシリンダ15の駆動によって行われる。
【0048】
木材5は図示しないバケット車両や、バックホー等に取付けたグリップGPによって破線で示す高さHLまで投入される。投入木材の寸法は30cm〜1mが適切で、これ以上小さく裁断する必要はない。30cm〜1mの切断は、図示しないクラッシャや鋸によって行われる。30cm以下の寸法のものが含まれるのは、当然に構わない。
【0049】
木材5の投入が終了すると、外蓋16を閉める。外蓋16を閉めるには、ポスト13を下げ、シリンダ15により、ヒンジ14を駆動することにより行われる。
【0050】
外蓋16を閉めると、図1に示す状態となる。即ち、外蓋16の覆部16aとホッパ3の上端3aとの間には、本例では3cmの隙間があり、縁部16bとホッパ3の外縁面36との間には10cmの隙間が開いている。
【0051】
木材破砕機11が駆動されると、ハンマーミル7が高速回転をはじめ、ホッパ3が平面図において反時計回りに回転し、コンベア10が破砕物8を装置外方へ移送するよう駆動され、散水ノズル19から水が散水される。これらの処理は全て自動化されている。
【0052】
ハンマーミル7は回転刃物6を高速回転させ、底面2の底部に設けられた開口面に到来する木材5を順次細かく破砕するものであるので、微粉17を撒き散らし、かつ破砕中の木材5を吸引するよう作用する。
【0053】
従って、ハンマーミル7は、吸引する木材5の姿勢を水平から斜めに急変さえることがあり、このとき、その木材の上にある別の木材を上方に跳ね上げることがあるが、跳ね上がり木材は外蓋16によって跳ね返されるので、ホッパ外に飛び出すことはない。
【0054】
また、微粉17は上方に舞い上がるが、外蓋16の覆部16aの下面には図3に示す微粉旋回阻止板18(18a、18b、18c、18d)を設けているので、これに衝突し、旋回阻止されてホッパ内に落下する。
【0055】
さらに、微粉17に対しては散水ノズル19から散水されているので、粉塵が発生せず、ホッパ3の上部に外蓋16との間に3〜10cmの隙間があっても、この隙間から粉塵が飛散することもない。覆部16aと上端3aの隙間を小さくし、又は微粉旋回阻止板18の高さを高くすることにより、粉塵を略ゼロとすることができた。
【0056】
ホッパ3の立上り部3hの内部には羽根3cが設けられている。従って、木材5はホッパ3の回転に伴って羽根3cで倒され、ハンマーミル7に送られるので、略全量の木材5を順次破砕できる。
【0057】
オペレータは、木材破砕機11で自動的な処理が為されている間にバックホー等を操作し、次の投入原料としての木材5を調整すればよい。
【0058】
ハンマーミル7の作動中、途中で過大な負荷が加わり噛み込むことがある。この場合、ハンマーミル7は逆回転し、次いで順回転することによって再起動できるようになっている。従来、これらの作動状態を観察したくて開口面を残し、覗き見るようにしていたが、この覗き込みは極めて危険な行為であり、中止すべきである。覗き込み作業は不要である。異常発生の場合は、ハンマーミル7の駆動を止め、外蓋16を開けて調べれば良い。外蓋16の開閉操作はシリンダ15の作動によるので数秒内で実施でき、何ら問題ない。外蓋16が開いているときホッパ3が回転し、ハンマーミル7が作動されないだけの安全回路の設置は必要である。
【0059】
以上の木材破砕処理システムについて、実際実験したところ、次のような結果が得られた。木材破砕機11の本体機としては、ハスキー社のハスキーグラインダPROGRINGシリーズ(自走式)を用いた。デフレクタ装置12の仕様は次表の通りである。
【表1】

【0060】
実験(平成19年3月16日)結果は良好で、木片の飛散は勿論のこと、粉塵はほとんど出なかった。15分間の運転で、直径5mmの微粉が10個ばかり見えた程度である。破砕処理には何の影響もなく、高品質の破砕物8を得た。設置認可を行う地方局現場検証でも、過去の例では見られないほど優秀であると絶賛され、安全、衛生的であることが認められた。オペレータは、この自動運転の間に次の原料を調整できるので、安全、衛生、効率的である。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜の設計的変更を行うことにより、各種態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る木材破砕処理システムで用いる木材破砕機のデフレクタ装置を示す側面図である。
【図2】図1に示すハンマーミルの拡大平面説明図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】外蓋を開いた状態で示すデフレクタ装置の使用方法をバックホーに取り付けたグリップと共に示す側面説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 基台
2 底面
3 ホッパ
3a 上端
3b 外縁面
3c 羽根
3h 立上り部
4 タブ
5 長尺木材
6 回転刃物
7 ハンマーミル
8 破砕物(製品)
9 網目
10 コンベア
11 木材破砕機
12 デフレクタ装置
13 ポスト
14 ヒンジ
14p ヒンジピン
15 シリンダ
16 外蓋
16a 覆部
16b 縁部
17 微粉
18(18a、18b、18c、18d)微粉旋回阻止板
19 散水ノズル
20 給水管
21 ホース
GP グリップ
HL 高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に固定された底面及びこの底面から立上げられたホッパから成るタブと、前記タブの前記底面底部に設けられ、前記タブの中に投入された長尺木材を回転刃物でかじり取り破砕するハンマーミルと、前記ハンマーミルでかじり取られた破砕物を前記ハンマーミルの外周に設けた網目を介して回収し、回収された破砕物を外部へ投送するコンベアとを備えた木材破砕機に、
前記タブの側部に沿って前記基台に立設したポストと、このポストの上部に設けられ前記タブの中心を通る軸に対して上下に角度変更自在のヒンジと、このヒンジを水平姿勢からその内側を斜め上向き姿勢に変更可能に駆動するシリンダと、前記ヒンジの内側に、前記ホッパの上部を全体的にスッポリ覆う形の外蓋から成るデフレクタ装置を付属させ、
前記外蓋開閉操作は専ら前記シリンダの駆動によってのみ可能とし、前記ハンマーミルの駆動を停止してから前記外蓋を開けて前記長尺木材を投入可能としたことを特徴とする木材破砕処理システム。
【請求項2】
前記ヒンジに固定される前記外蓋は、前記ホッパの上部を覆う覆部とその回りで下方に伸びる縁部とを有し、前記ホッパの上部をスッポリ覆う形とされていることを特徴とする請求項1記載の木材破砕処理システム。
【請求項3】
前記外蓋の下面には、前記ハンマーミルの木材破砕作用によって舞い上る微粉の旋回を阻止する微粉旋回阻止板を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の木材破砕処理システム。
【請求項4】
前記外蓋には、前記タブの内部にむけて散水する散水ノズルを付属させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の木材破砕処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−229597(P2008−229597A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77236(P2007−77236)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【特許番号】特許第4095107号(P4095107)
【特許公報発行日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(507095840)長崎工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】