木材破砕機
【課題】 ホッパ側でも搬送装置等を停止できる構成とすることにより、搬送装置を保護し、車両のオペレータとホッパ側の作業者との連係性を高める。
【解決手段】 ホッパ4内には搬送コンベヤ5を設け、この搬送コンベヤ5の上側には押付装置6を設ける。そして、ホッパ4内に投入した木材を搬送コンベヤ5によって搬送し、この木材を搬送コンベヤ5と押付装置6との間に挟込んだ状態で破砕装置7によって破砕する。また、ホッパ4の下側には引き綱21を設け、作業者等が引き綱21を操作したときには、車両のオペレータの運転操作に関係なく、遮断弁26によって搬送コンベヤ5と押付装置6とを停止させる。これにより、例えば搬送コンベヤ5に異常が発生したときには、その近傍で搬送コンベヤ5を直ちに停止させることができる。
【解決手段】 ホッパ4内には搬送コンベヤ5を設け、この搬送コンベヤ5の上側には押付装置6を設ける。そして、ホッパ4内に投入した木材を搬送コンベヤ5によって搬送し、この木材を搬送コンベヤ5と押付装置6との間に挟込んだ状態で破砕装置7によって破砕する。また、ホッパ4の下側には引き綱21を設け、作業者等が引き綱21を操作したときには、車両のオペレータの運転操作に関係なく、遮断弁26によって搬送コンベヤ5と押付装置6とを停止させる。これにより、例えば搬送コンベヤ5に異常が発生したときには、その近傍で搬送コンベヤ5を直ちに停止させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間伐材、廃木材等の大きな木材を細かく破砕するのに好適に用いられる木材破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、森林での間伐作業によって発生する間伐材や抜根、木材の剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の木材は、例えば発酵処理等を施すことにより肥料等として再利用される。そして、これら間伐材、剪定枝材、廃木材等の大きな木材を、作業現場において肥料等に適した小片状に破砕するため、木材破砕機が好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5947395号明細書
【0004】
この種の従来技術による木材破砕機は、破砕すべき木材が投入されるホッパと、該ホッパに投入された木材を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤによって搬送された木材を上方から押え込む押付装置と、これらの搬送装置と押付装置とにより導入された木材を破砕する破砕装置とを備えている。
【0005】
ここで、ホッパは、搬送コンベヤを取囲む枠状体として形成されている。また、搬送コンベヤは、例えばモータ等によってチェーンベルトを周回させることにより、ホッパ内に無限軌道を形成している。
【0006】
そして、木材破砕機の運転時には、ホッパに木材を投入すると、この木材は、搬送コンベヤと押付装置とによって破砕装置の位置に導入され、破砕装置によって細かく破砕されることにより、小片状の木材チップとなって排出コンベヤから外部に排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、例えば家屋廃材等を破砕しているときに、廃材に混じって釘や蝶番等の破砕不能な異物が混入されていることがある。しかし、破砕作業中には、例えばオペレータが運転位置(運転装置)から離れて他の作業等を行っている場合もあり、この場合には、オペレータや他の作業者等が運転位置に戻って搬送コンベヤを停止するまでの間に異物が破砕装置に導入されてしまうことになる。
【0008】
この場合には、破砕装置に過大な負荷がかかって軸受が損傷することがあり、その部品交換等に手間がかかるという問題がある。またシェアピン等の保護機構がついている場合には、そのシェアピンが折損することになるが、その場合にも新たな部品に交換するために多大な手間と時間が必要になるという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、例えば搬送装置に何らかの異物が投入された場合に、ホッパの近傍にいる作業者等が速やかに対処して破砕装置を保護できるようにした木材破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために本発明は、破砕すべき木材が投入されるホッパと、該ホッパ内に配設され該ホッパに投入された前記木材を搬送する搬送装置と、該搬送装置によって搬送された前記木材を上方から押え込む押付装置と、これらの搬送装置と押付装置とにより導入された前記木材を破砕する破砕装置とを備えてなる木材破砕機に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ホッパに取付けられ前記搬送装置と押付装置とを停止させるときに操作する操作手段と、該操作手段が操作されたときに前記搬送装置と押付装置とを停止させる停止手段とを設ける構成としたことにある。
【0012】
また、請求項2の発明によると、前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる枠状体として形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側に配設する構成としている。
【0013】
また、請求項3の発明によると、前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる側面部と該側面部の下側に開,閉可能に設けられた底板とによって形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側で前記底板を取囲む位置に配設する構成としている。
【0014】
さらに、請求項4の発明によると、前記操作手段は引張ることによって操作される紐状体により形成する構成としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、例えばホッパ内や搬送装置に何らかの異物が投入されたときには、車両のオペレータが運転位置から離れていたとしても、ホッパの近傍にいる作業者等が操作手段を直ちに操作することができ、停止手段によって搬送装置と押付装置とを強制的に停止させることができる。これにより、オペレータが運転位置まで戻ったり、ホッパ側の作業者等が運転位置まで行って対処する必要がないので、異物が投入されてから短時間で装置を停止させることができる。従って、異物の投入等を含めてホッパ側の異常に速やかに対処でき、破砕装置に異物等が導入されるのを防止できると共に、これを保護して装置の耐久性を高めることができる。また、オペレータは、例えば異常の発生に備えて運転位置で待機する必要がないから、全体の作業効率を高めることができる。
【0016】
また、例えば搬送装置の点検、修理等を行うときには、オペレータが運転位置で搬送装置を試験的に作動させつつ、ホッパ側の作業者が操作手段を操作して搬送装置を適切な位置で停止させることができ、両者の連係作業を効率よく行うことができる。さらに、作業者が搬送装置の近傍にいるときに、オペレータが搬送装置を不用意に作動させたとしても、作業者は、操作手段によって搬送装置を速やかに停止させることができるので、落ち着いて効率よく作業を進めることができる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、作業者等は、例えばホッパの下側に潜り込んで搬送装置の点検、修理等を効率よく行うことができる。この場合、作業者は、オペレータが作動させた搬送装置を操作手段によって適切な位置で停止させることができ、オペレータから作業者が見えない状態でも、両者の連係作業を効率よく行うことができる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、木材の破砕作業時には、ホッパの底板を閉じて作業することができるので、ホッパ内に投入された木材がホッパの下側に落下するのを防止でき、作業を円滑に行うことができる。また、例えばホッパ内で搬送装置の下側に木材等が入り込んだときには、ホッパの底板を開いて木材の清掃、除去等を効率よく行うことができ、メンテナンス性を高めることができる。そして、この場合には、請求項2の発明とほぼ同様に、操作手段によって両者の連係作業を円滑に進めることができる。
【0019】
さらに、請求項4の発明によれば、例えばワイヤ、ロープ、チェーン等からなる紐状体によって操作手段を形成できるので、この操作手段をホッパの必要な部位に長い距離にわたって連続的に配置でき、例えばホッパの下面側の開口部や底板等を取囲む位置に操作手段を容易に引回すことができる。このため、例えばホッパの近傍や下側で作業をする作業者等に対して、操作手段の少なくとも一部を常に作業者の近くに配置でき、作業者は、何れの位置にいる場合でも、操作手段を容易に操作することができる。
【0020】
そして、操作手段が長さ方向の途中位置で引張られたときには、例えば操作手段の端部側で引張り操作を確実に検出できるので、その操作状態を検出する検出部位の個数や構造を簡素化することができる。これにより、例えばホッパの各部位に複数の操作スイッチ等を設けたりしなくても、広い範囲で操作可能な構造を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による木材破砕機について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
ここで、図1ないし図8は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、自走式の木材破砕機を例に挙げて述べる。
【0023】
図中、1は自走式の木材破砕機を示し、この木材破砕機1は、例えば森林での間伐作業によって発生する間伐材や抜根、樹木の剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の木材を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップを生成するものである。そして、木材破砕機1は、後述の走行体2、ホッパ4、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7、排出コンベヤ9等によって構成され、後述の引き綱21、リミットスイッチ23及び遮断弁26を備えている。
【0024】
2は自走可能なクローラ式の走行体で、該走行体2は、車両のオペレータが後述の走行レバー11を操作することにより、前,後方向に直進走行したり、左,右方向に旋回走行する。ここで、走行体2は、図1、図2に示す如く、車両の前,後方向に延びて形成され左,右両側に駆動輪と遊動輪とがそれぞれ設けられたトラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの駆動輪と遊動輪とに巻回され、後述の走行モータ16(図8参照)によって駆動される左,右のクローラ(履帯)2B,2Bとによって大略構成されている。
【0025】
3は走行体2のトラックフレーム2A上に固定して設けられたベースフレームで、該ベースフレーム3は、図4、図5に示す如く、複数の鋼材等により支持構造体として形成され、車両の左,右両側に位置して前,後方向に延びる縦梁3A,3Aと、ホッパ4の後部下側に位置して該各縦梁3Aの間を連結する横梁3Bとを備えている。
【0026】
そして、ベースフレーム3の長さ方向の一側(前部側)には後述のホッパ4、搬送コンベヤ5、引き綱21等が配設され、ベースフレーム3の中央部には後述の押付装置6、破砕装置7等が配設されている。また、ベースフレーム3の長さ方向の他側(後部側)には、後述の排出コンベヤ9、建屋カバー10、運転装置12等が配設されている。
【0027】
4はベースフレーム3の前部の上側に設けられたホッパで、該ホッパ4は、その内部に油圧ショベル(図示せず)等を用いて木材が投入されることにより、搬送コンベヤ5に木材を供給するものである。ここで、ホッパ4は、例えば車両の前,後方向に対して3m〜5m程度の長さを有し、左,右方向に対して1〜2m程度の幅を有する大きな構造物として形成され、その下面側は、走行体2上にベースフレーム3を介して搭載されることにより、例えば地面から数十cm〜1m程度の高さに配置されている。
【0028】
また、ホッパ4は、図4、図5に示す如く、例えば上面側、下面側及び後面側が開口した略四角形の枠状体として形成され、搬送コンベヤ5の左側,右側に位置する左,右の側面部4A,4Bと、搬送コンベヤ5の前側に位置して該各側面部4A,4Bの間に設けられ、ホッパ4の前側の側面部を形成する前面部4Cと、搬送コンベヤ5の後側に位置して各側面部4A,4Bの間を連結する水平な補強板4Dとによって大略構成されている。
【0029】
この場合、左側面部4A、右側面部4B及び前面部4Cは、例えば複数の鋼板等により水平方向に厚みをもつ中空な構造物として形成され、全体として略コ字状に配置されると共に、搬送コンベヤ5を取囲む位置で上,下方向に延びている。そして、ホッパ4は、側面部4A,4Bの下面側がベースフレーム3の各縦梁3Aにそれぞれ固着され、補強板4Dがベースフレーム3の横梁3Bに固着されている。
【0030】
また、ホッパ4の下面側には、各側面部4A,4Bと前面部4Cとによって囲まれた略四角形状の開口部4Eが設けられ、この開口部4Eは、搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aの下側に開口している。これにより、開口部4Eの位置では、例えば搬送コンベヤ5の清掃、点検等を下側から行うことができる。
【0031】
5はホッパ4内に設けられた搬送装置としての搬送コンベヤで、該搬送コンベヤ5は、図3、図4に示す如く、ホッパ4の前部側から後述の破砕装置7に向けて前,後方向に延びるチェーンベルト5Aを有し、このチェーンベルト5Aは、後述の搬送用モータ17(図8参照)によって駆動される無限軌道を形成している。
【0032】
そして、搬送コンベヤ5は、チェーンベルト5Aが搬送用モータ17によって図3中の矢示A方向に周回されることにより、ホッパ4内に投入された木材をチェーンベルト5A上に積載し、この木材を破砕装置7に向けて矢示A方向に搬送する。
【0033】
6は搬送コンベヤ5の上側に配置された押付装置で、該押付装置6は、搬送コンベヤ5によって搬送されてくる木材を上方から押え込み、この木材を搬送コンベヤ5との間に挟込んだ状態で破砕装置7に向けて導入するものである。
【0034】
この場合、押付装置6は、図3に示す如く、後述する破砕装置7の支持フレーム7Aに固定されたピン6Aと、基端側が該ピン6Aによって上,下方向に揺動可能に支持され、先端側が搬送コンベヤ5に向けて延びた揺動アーム6Bと、該揺動アーム6Bの先端側に回転可能に支持された押付ローラ6Cとによって大略構成されている。
【0035】
そして、押付ローラ6Cは、後述の押付用モータ18によって搬送コンベヤ5の搬送方向(矢示A方向)と同じ方向に回転駆動され、その自重によって搬送コンベヤ5との間に木材を挟込むことにより、破砕装置7の破砕ロータ7Bに木材を適度な力で押付ける。また、押付装置6には、例えば破砕機のメンテナンスを行うときに、押付装置6を上方に持上げる持上げシリンダ6Dが設けられている。
【0036】
7はベースフレーム3の長さ方向の中央部に設けられた破砕装置を示し、該破砕装置7は、搬送コンベヤ5と押付装置6とによって導入される木材を細かく破砕するもので、ベースフレーム3に固定された支持フレーム7Aと、該支持フレーム7Aによって回転可能に支持された略円筒状の破砕ロータ7Bと、該破砕ロータ7Bの外周側に設けられて螺旋状に延びた多数の破砕ビット7Cとによって大略構成されている。
【0037】
そして、破砕装置7は、後述の破砕用モータ19によって破砕ロータ7Bが図3中の矢示B方向に回転駆動され、この状態で搬送コンベヤ5と押付装置6とによって破砕ロータ7Bに押付けられた木材を、各破砕ビット7Cによって細かく破砕する。
【0038】
また、破砕ロータ7Bの下側には、例えば多数の小孔が形成された半円弧状の分級板7Dが配置されている。そして、破砕ロータ7Bによって生成された木材チップのうち、小さいチップは分級板7Dの小孔を通過することによって後述の排出コンベヤ9上に落下する。また、分級板7Dを通過できない大きな木材チップは、後述の固定刃装置8によって細かく砕かれた後に、排出コンベヤ9に導出される。
【0039】
8は破砕装置7と協働して木材チップを細かく剪断する固定刃装置で、該固定刃装置8は、破砕装置7の支持フレーム7Aに揺動可能に支持されたブラケット8Aと、該ブラケット8Aに固定され、破砕装置7の各破砕ビット7Cの径方向外側に配置された固定刃(アンビル)8Bと、ブラケット8Aと破砕装置7の支持フレーム7Aとの間に設けられたシアピン8Cとによって大略構成されている。
【0040】
そして、固定刃装置8は、固定刃8Bと破砕ビット7Cとの間に木材チップを挟込んで剪断し、これらの間に硬い異物等が挟込まれたときには、シアピン8Cが折れることによって固定刃8Bが逃げるのを許す構成となっている。
【0041】
9はベースフレーム3の後部側に設けられた排出コンベヤで、該排出コンベヤ9は、図1、図2に示す如く、破砕装置7の下側から車両の後方に向けて延びている。そして、排出コンベヤ9は、後述の排出用モータ20によって駆動され、破砕装置7の分級板7Dを通過した木材チップを木材破砕機1の外部に搬送、排出するものである。
【0042】
10は破砕装置7の後側に位置してベースフレーム3上に設けられた建屋カバーで、該建屋カバー10内には、後述のエンジン13、油圧ポンプ14等が収容されている。また、建屋カバー10の近傍には、オペレータが車両を走行させるときに搭乗する運転台10Aが設けられ、この運転台10Aには、オペレータが操作して車両を走行させる走行レバー11が設けられている。
【0043】
12は例えば建屋カバー10の下側で車両の左側面部に設けられた運転装置で、該運転装置12は、図1、図8に示す如く、例えば複数のスイッチ(図示せず)がカバー内に配置された操作パネル等からなり、後述のコントローラ24に接続されている。そして、車両のオペレータは、運転装置12を操作することにより、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7、排出コンベヤ9等の運転状態を制御することができる。
【0044】
ここで、図8を参照しつつ、木材破砕機1の駆動系統について説明すると、13は車両の動力源となるエンジン、14は該エンジン13によって駆動される油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ14は、車両に搭載された各アクチュエータに対して圧油を供給するものである。この場合、油圧ポンプ14の吐出側には、余剰となった圧油をタンクに戻すリリーフ弁14Aが設けられている。
【0045】
また、油圧ポンプ14の吐出側には、オペレータの運転操作等に応じて各アクチュエータに圧油をそれぞれ給排する制御弁15が接続されている。そして、制御弁15の出力側には、後述の走行モータ16、搬送用モータ17、押付用モータ18、破砕用モータ19及び排出用モータ20を含めて全てのアクチュエータが接続され、これらのアクチュエータは、油圧ポンプ14から制御弁15を経由して圧油が給排されることにより作動する。
【0046】
16は走行体2に設けられた走行モータで、該走行モータ16は、クローラ2Bを駆動して車両を走行させるものである。また、17は搬送コンベヤ5に設けられてチェーンベルト5Aを駆動する搬送用モータである。さらに、18は押付装置6に設けられて押付ローラ6Cを回転駆動する押付用モータ、19は破砕装置7に設けられて破砕ロータ7Bを回転駆動する破砕用モータ、20は排出コンベヤ9を駆動する排出用モータをそれぞれ示している。
【0047】
次に、21は例えばホッパ4の近傍にいる作業者等によって操作される操作手段としての引き綱で、該引き綱21は、例えばワイヤ、ロープ、チェーン等からなる紐状体によって形成され、作業者が掴んで引張ることにより、車両の走行や木材の破砕作業を停止させるものである。
【0048】
また、引き綱21は、図4、図5に示す如く、ホッパ4の左側面部4A、右側面部4B及び前面部4Cの下面側と、ベースフレーム3の縦梁3A、横梁3Bの下面側とに沿って四角形の枠状に配設され、ホッパ4の開口部4Eを取囲んでいる。この場合、ベースフレーム3とホッパ4の下面側には略環状の取付具22が複数箇所に設けられ、引き綱21は、これらの取付具22に挿通されることによって長さ方向に移動可能に支持されている。
【0049】
また、引き綱21の両端側は、図6に示す如く、後述するリミットスイッチ23の各回動レバー23Bに取付けられている。そして、作業者等が引き綱21を引張って操作したときには、図7に示す如く、リミットスイッチ23が切換えられることにより、各モータ16〜20を含めて全てのアクチュエータが強制的に停止される。これにより、木材破砕機1は走行が禁止され、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9が停止した状態となる。
【0050】
この場合、引き綱21は、ホッパ4の外殻をなす左側面部4A、右側面部4B及び前面部4Cの下側に沿って開口部4Eを取囲む位置に架設されている。このため、例えばホッパ4の近傍や下側にいる作業者等は、引き綱21の一部が常に近くに配置された状態となっている。そして、作業者は、引き綱21の何れの部位を引張った場合でも、車両の走行動作や木材の破砕作業を停止させることができる。
【0051】
23は引き綱21が操作されたか否かを検出する検出手段としての回動型のリミットスイッチを示し、該リミットスイッチ23は、図6ないし図8に示す如く、例えばブラケット23A等を用いてベースフレーム3の縦梁3Aに設けられ、後述するコントローラ24の入力側に接続されている。
【0052】
ここで、リミットスイッチ23は、互いに一体となって回動することにより当該リミットスイッチの開,閉状態が切換わる2本の回動レバー23B,23Bを有し、これらの回動レバー23Bには引き綱21の両端側が取付けられている。そして、引き綱21が操作されていない通常の状態では、図6に示す如く、回動レバー23Bが戻しばね等によって初期位置に保持され、リミットスイッチ23は、例えば開成した状態となっている。
【0053】
また、引き綱21が引張られたときには、図7に示す如く、回動レバー23Bが初期位置から回動し、これによってリミットスイッチ23が閉成する。このように、リミットスイッチ23は、引き綱21が操作されたか否かに応じて開,閉することにより、引き綱21の操作を検出してコントローラ24に検出信号を出力するものである。
【0054】
24は木材破砕機1に搭載されたコントローラで、該コントローラ24は、例えばマイクロコンピュータ等からなり、図8に示す如く、車両に搭載されたバッテリ等の電源25から給電されることによって作動する。ここで、コントローラ24の入力側には、運転装置12、リミットスイッチ23等が接続され、コントローラ24の出力側には後述の遮断弁26等が接続されている。
【0055】
そして、コントローラ24は、引き綱21が非操作状態のときに、遮断弁26を連通位置(a)に保持し、モータ16〜20を含めて各アクチュエータを作動可能な状態に保持すると共に、運転装置12の操作内容に応じて搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7、排出コンベヤ9等を作動させる。これにより、オペレータは、走行レバー11を操作して車両を走行させたり、運転装置12を操作して木材の破砕作業を行うことができる。
【0056】
また、コントローラ24は、作業者等が引き綱21を操作したときに、この操作をリミットスイッチ23によって検出し、遮断弁26を遮断位置(b)に切換える。これにより、車両に搭載された全てのアクチュエータが油圧ポンプ14から遮断され、モータ16〜20等も停止されるので、作業者は、オペレータの運転操作に関係なく、車両の走行や木材の破砕作業を強制的に停止させることができる。
【0057】
26はコントローラ24と共に停止手段を構成する遮断弁を示し、該遮断弁26は、例えば電磁パイロット式の2ポート2位置切換弁等によって構成され、油圧ポンプ14の吐出側と制御弁15との間に接続されている。この場合、遮断弁26は、コントローラ24から通電されたときに連通位置(a)となり、非通電時は遮断位置(b)に保持される常開(ノーマル・オープン)型の切換弁として形成されている。
【0058】
そして、遮断弁26は、引き綱21が非操作状態のときに、コントローラ24によって連通位置(a)に保持され、油圧ポンプ14から各アクチュエータに圧油を給排する。また、引き綱21が操作されたときには、この操作がリミットスイッチ23によって検出され、遮断弁26が遮断位置(b)に切換えられることにより、各アクチュエータへの圧油供給が遮断され、モータ16〜20等が停止する。
【0059】
このように、遮断弁26は、コントローラ24と協働することにより、リミットスイッチ23の検出結果に応じて搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9を運転しまたは運転を停止させるものである。
【0060】
本実施の形態による木材破砕機1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0061】
まず、車両のオペレータが車両の始動操作を行うと、エンジン13により油圧ポンプ14が駆動され、油圧ポンプ14から圧油が吐出される。また、遮断弁26は、コントローラ24から通電されることによって連通位置(a)に保持され、油圧ポンプ14から吐出される圧油は、遮断弁26、制御弁15等を経由して各アクチュエータに給排される。
【0062】
そして、オペレータが建屋カバー10側の運転台10Aに乗込み、走行レバー11を操作すると、走行体2の各クローラ2Bが走行モータ16によって駆動される。これにより、オペレータは、木材破砕機1を作業現場等まで走行させることができる。
【0063】
また、作業現場では、オペレータが建屋カバー10の脇に立って運転装置12を操作すると、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9が作動する。そして、例えば油圧ショベル等によって木材破砕機1のホッパ4内に木材を投入すると、この木材は、図3中の矢示Aに示す如く、搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aによってホッパ4から破砕装置7に向けて連続的に搬送される。また、破砕装置7の近傍に達した木材は、チェーンベルト5Aと押付装置6の押付ローラ6Cとの間に挟込まれ、これらの部材によって破砕ロータ7Bに押付けられる。
【0064】
このとき、破砕ロータ7Bは矢示B方向に高速で回転しているので、その外周側に設けられた各破砕ビット7Cによって木材が破砕されたり、破砕ビット7Cと固定刃装置8の固定刃8Bとの間で木材が剪断されることにより、小片状の木材チップが生成される。このように生成された細かい木材チップは、分級板7Dの小孔を通過し、排出コンベヤ9によって木材破砕機1の外部に排出される。
【0065】
ここで、破砕作業中には、例えばオペレータが運転装置12から離れているときに、釘、蝶番等の異物がホッパ4、搬送コンベヤ5に投入されることがある。この場合、ホッパ4の近傍にいる作業者が引き綱21を引張ると、その操作がリミットスイッチ23によって検出され、コントローラ24から遮断弁26への通電が停止される。
【0066】
そして、遮断弁26が遮断位置(b)に切換えられ、油圧ポンプ14から全てのアクチュエータへの圧油供給が遮断されるため、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9が強制的に停止される。これにより、異物が投入されたとしても、コンベヤを直ちに停止して破砕装置7を保護することができる。
【0067】
この場合、例えば搬送コンベヤ5を停止させたとしても、押付装置6が作動していると、その回転が木材等を介して搬送コンベヤ5に伝わり、搬送コンベヤ5が引摺られて作動することがある。このため、搬送コンベヤ5と押付装置6とを一緒に停止させることにより、これらを安定的に静止させることができる。
【0068】
また、例えば木材が搬送コンベヤ5の下側に噛込んだときには、作業者がホッパ4の下側に潜り込んで開口部4Eから木材の噛込み状態を確認しつつ、オペレータが運転装置12の位置で搬送コンベヤ5を試験的に作動させることがある。この場合、作業者は、例えば搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aが徐々に移動して木材が取外し易い状態となったときに、引き綱21を操作して搬送コンベヤ5等を停止させ、噛込んだ木材を開口部4Eから除去することができる。
【0069】
かくして、本実施の形態では、ホッパ4の下面側に引き綱21を設け、この引き綱21を操作したときには、搬送コンベヤ5と押付装置6とを含めて全てのアクチュエータを停止させる構成としたので、例えばホッパ4内や搬送コンベヤ5に何らかの異物が投入されたときには、車両のオペレータが運転装置12から離れていたとしても、ホッパ4の近傍にいる作業者等が引き綱21を直ちに操作することができ、この操作によって搬送コンベヤ5、押付装置6等を強制的に停止させることができる。
【0070】
これにより、異物の投入時には、オペレータが運転装置12まで戻ったり、ホッパ4側の作業者等が運転装置12まで行って対処する必要がないので、異物が投入されてから短時間で搬送コンベヤ5を停止させることができ、破砕装置7に異物等が導入されるのを確実に防止することができる。
【0071】
従って、このような異物の投入を含めてホッパ4側の異常に速やかに対処でき、破砕装置7を損傷等から保護して耐久性を高めることができる。また、オペレータは、例えば異常の発生に備えて運転装置12の位置で待機する必要がないから、全体の作業効率を高めることができる。
【0072】
また、例えば搬送コンベヤ5の下側に噛込んだ木材を除去したり、搬送コンベヤ5の下部側の点検、修理等を行うときには、作業者等がホッパ4の下側に潜り込んで開口部4Eからホッパ4内を覗くことができ、木材の除去作業や搬送コンベヤ5のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0073】
そして、これらの作業では、例えばオペレータが運転装置12の位置で搬送コンベヤ5を徐々に作動させつつ、作業者がホッパ4の下側で引き綱21を操作することによって搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aを適切な位置で停止させることができ、オペレータから作業者が見えない状態でも、両者の連係作業を効率よく行うことができる。
【0074】
また、作業者がホッパ4の下側に潜り込んでいるときに、オペレータが搬送コンベヤ5を不用意に作動させたとしても、作業者は、引き綱21によって搬送コンベヤ5を速やかに停止させることができるので、落ち着いて効率よく作業を進めることができる。
【0075】
さらに、操作手段として引き綱21を用いたので、この引き綱21をホッパ4の必要な部位に長い距離にわたって連続的に配置でき、例えばホッパ4の開口部4Eを取囲む位置に引き綱21を容易に引回すことができる。このため、例えば作業者等がホッパ4の下側に潜り込んだときには、引き綱21の少なくとも一部を常に作業者の近傍に配置でき、作業者は、何れの位置にいる場合でも、引き綱21を容易に操作することができる。
【0076】
また、引き綱21の端部側にはリミットスイッチ23を設けているので、引き綱21が長さ方向の途中位置で引張られたときには、この操作をリミットスイッチ23によって確実に検出でき、その操作状態を検出する検出部位の個数や構造を簡素化することができる。これにより、例えばホッパ4の各部位に複数の操作スイッチ等を設けたりしなくても、広い範囲で操作可能な構造を容易に実現することができる。
【0077】
そして、作業者が引き綱21が操作したときには、コントローラ24と遮断弁26とによって全てのアクチュエータを停止でき、車両の走行や木材の破砕作業を含めて作業者が意図しない車両の動作を禁止することができる。
【0078】
次に、図9ないし図11は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、底板付きのホッパに適用したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0079】
31は木材破砕機1に搭載されたホッパで、該ホッパ31は、図9、図10に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、略四角形の枠状に配置された左側面部31A、右側面部31B、前面部31Cと、補強板31D、開口部31Eとを備えている。しかし、ホッパ31は、後述の底板32と開閉シリンダ34とを有する有底の箱状体として形成されている。
【0080】
32はホッパ31の下側に開,閉可能に設けられた底板で、該底板32は、図10に示す如く、例えば略四角形状の板材等によって形成され、ホッパ31の開口部31Eとほぼ等しい形状を有している。また、底板32は、車両の前,後方向に対して、例えば後部側が複数のヒンジ33を用いてホッパ31の補強板31Dに回動可能に取付けられ、前部側が上,下方向に回動する構成となっている。
【0081】
そして、底板32は、図9、図11に示す如く、各開閉シリンダ34によって駆動されることにより、ホッパ31の開口部31Eを搬送コンベヤ5の下側で開,閉するものである。この場合、引き綱21は、ホッパ31の底板32を取囲む位置に配設されている。
【0082】
34はホッパ31の底板32とベースフレーム3(または走行体2)との間に伸縮可能に設けられた例えば2個の開閉シリンダで、該各開閉シリンダ34は、例えば汎用的な油圧シリンダ等からなり、底板32の左,右両側に配置されている。また、開閉シリンダ34は、例えばチューブ側がブラケット等を用いてベースフレーム3の横梁3Bと走行体2のトラックフレーム2Aとに回動可能に取付けられ、ロッド側が底板32に回動可能に取付けられている。そして、開閉シリンダ34は、伸長することによってホッパ31の底板32を閉じることができ、縮小することによって底板32を開くことができる。
【0083】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、ホッパ31に開,閉可能な底板32を設ける構成としたので、例えば木材の破砕作業等を行うときには、底板32を閉じることにより、ホッパ31内に投入された木材が開口部31Eから落下するのを防止でき、作業を円滑に行うことができる。
【0084】
また、例えば搬送コンベヤ5の下側に木屑等が溜まったり、木材が噛込んだときには、ホッパ31の底板32を開くことができる。そして、この場合には、第1の実施の形態とほぼ同様に、清掃、点検や木材の除去等を開口部31Eの位置で効率よく行うことができ、メンテナンス性を高めることができる。また、引き綱21によってオペレータと作業者との連係作業を円滑に進めることができる。
【0085】
次に、図12は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、押ボタン式の操作手段を用いる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0086】
41は第1の実施の形態の引き綱21等に代えてホッパ4の下側に設けられた複数の操作手段としての停止スイッチで、該各停止スイッチ41は、例えば押ボタン式のスイッチ等によって構成され、ホッパ4の開口部4Eを取囲む位置に配設されている。
【0087】
また、各停止スイッチ41は、第1の実施の形態のリミットスイッチ23とほぼ同様に、木材破砕機1に搭載されたコントローラ(図示せず)に接続されている。そして、ホッパ4の近傍にいる作業者等が各停止スイッチ41の何れかをプッシュ操作したときには、コントローラによって遮断弁が切換えられ、搬送コンベヤ5、押付装置6等を含めて全てのアクチュエータが停止するものである。
【0088】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、複数の停止スイッチ41を用いる構成としたので、例えばホッパ4の下面に突起物がある場合等のように、構造上の制約によって引き綱等の長尺な操作手段を配置し難い場合でも、ホッパ4の開口部4Eを取囲む適切な位置に各停止スイッチ41をそれぞれ配置でき、車両の設計等を容易に行うことができる。
【0089】
次に、図13は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、操作手段を操作したときに搬送装置と押付装置とを停止し、他の装置等は作動させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0090】
51は停止手段としての遮断弁で、該遮断弁51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば電磁パイロット式の切換弁等によって構成されている。そして、遮断弁51は、引き綱21が非操作状態のときに、コントローラ24によって連通位置(a)に保持され、引き綱21が操作されたときには、遮断位置(b)に切換えられるものである。
【0091】
この場合、遮断弁51は、制御弁15′と直列に搬送用モータ17と押付用モータ18とを油圧ポンプ14に対して連通,遮断する位置に接続されている。そして、走行モータ16、破砕用モータ19、排出用モータ20等を含めた他のアクチュエータは、遮断弁51を経由することなく、他の制御弁15″を介して油圧ポンプ14に接続されている。
【0092】
これにより、引き綱21が操作されたときには、搬送コンベヤ5と押付装置6とが遮断弁51によって強制的に停止されるものの、走行体2を走行させたり、破砕装置7や排出コンベヤ9を作動させることができる。
【0093】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、例えば搬送コンベヤ5に木材が噛込んだときに、搬送コンベヤ5と押付装置6とを停止させることによって当該搬送コンベヤを保護しつつ、破砕装置7、排出コンベヤ9等は作動させることができる。これにより、既に破砕装置7内に導入されて搬送コンベヤ5に影響しない木材の破砕作業は続けることができ、作業効率を高めることができる。
【0094】
次に、図14は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、操作手段を操作したときにコントローラを電源から遮断する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0095】
61は第1の実施の実施の形態のリミットスイッチ23に代えて用いられる電源遮断スイッチを示し、該電源遮断スイッチ61は、コントローラ24′と遮断弁26と共に停止手段を構成している。そして、電源遮断スイッチ61は、コントローラ24′と電源25との間に開,閉可能に設けられ、その接点61Aには引き綱21が接続されている。
【0096】
ここで、電源遮断スイッチ61は、例えば外部から切換えられない限り閉成位置または開成位置を保持する自己保持型のスイッチ等によって構成されている。そして、引き綱21が非操作状態のときには、電源遮断スイッチ61が閉成位置に保持され、コントローラ24′は、電源遮断スイッチ61によって電源25に接続されている。これにより、コントローラ24′は、遮断弁26を連通位置(a)に保持するので、木材破砕機1を作動させることができる。
【0097】
また、電源遮断スイッチ61は、引き綱21が操作されることによって開成位置に切換えられ、その後は作業者等が引き綱21から手を離しても、所定の復帰操作が行われるまで開成位置に保持される。これにより、引き綱21が一旦操作されると、コントローラ24′が電源25から遮断されて停止するので、常開型の遮断弁26が遮断位置(b)となり、搬送コンベヤ5と押付装置6とを含めて各アクチュエータが強制的に停止される。
【0098】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、コントローラ24′と電源25との間に電源遮断スイッチ61を設け、その接点61Aに引き綱21を接続する構成としたので、例えば引き綱21の操作を検出するスイッチ等をコントローラ24′に接続する必要がなくなり、コントローラ24′の入力回路等を簡素化することができる。
【0099】
なお、前記各実施の形態では、引き綱21と停止スイッチ41とをホッパ4の下面側に設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば操作手段をホッパの側面、前面等に設ける構成としてもよい。
【0100】
また、各実施の形態では、複数のアクチュエータと油圧ポンプ14との間に遮断弁26(または遮断弁51)を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアクチュエータ毎にそれぞれ異なる遮断弁を設ける構成としてもよい。
【0101】
さらに、実施の形態では、自走式の木材破砕機1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば走行体2をもたず、トレーラ等によって運搬される非自走式の木材破砕機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態による木材破砕機を一部破断して示す正面図である。
【図2】木材破砕機を上側からみた平面図である。
【図3】図1中の搬送コンベヤ、押付装置、破砕装置等を一部破断して示す拡大正面図である。
【図4】図1中のホッパ、搬送コンベヤ等を一部破断して示す拡大正面図である。
【図5】ホッパ、搬送コンベヤ等を図4中の矢示V−V方向からみた底面図である。
【図6】運転停止装置の引き綱とリミットスイッチとを示す図4中の要部拡大図である。
【図7】運転停止装置の引き綱を引張ってリミットスイッチを切換えた状態を示す要部拡大図である。
【図8】木材破砕機の駆動系統を示す構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による木材破砕機を図4と同様位置からみた拡大正面図である。
【図10】ホッパ等を図9中の矢示X−X方向からみた底面図である。
【図11】ホッパの底板を開いた状態を示す拡大正面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態による木材破砕機を図4と同様位置からみた拡大正面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態による木材破砕機の駆動系統を示す構成図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態による木材破砕機の駆動系統を示す構成図である。
【符号の説明】
【0103】
1 木材破砕機
2 走行体
4,31 ホッパ
4A,31A 左側面部(側面部)
4B,31B 右側面部(側面部)
4C,31C 前面部(側面部)
4E,31E 開口部
5 搬送コンベヤ(搬送装置)
6 押付装置
7 破砕装置
8 固定刃装置
9 排出コンベヤ
12 運転装置
16,17,18,19,20 モータ
21 引き綱(操作手段)
23 リミットスイッチ
24,24′ コントローラ(停止手段)
26,51 遮断弁(停止手段)
32 底板
41 停止スイッチ(操作手段)
61 電源遮断スイッチ(停止手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、間伐材、廃木材等の大きな木材を細かく破砕するのに好適に用いられる木材破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、森林での間伐作業によって発生する間伐材や抜根、木材の剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の木材は、例えば発酵処理等を施すことにより肥料等として再利用される。そして、これら間伐材、剪定枝材、廃木材等の大きな木材を、作業現場において肥料等に適した小片状に破砕するため、木材破砕機が好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5947395号明細書
【0004】
この種の従来技術による木材破砕機は、破砕すべき木材が投入されるホッパと、該ホッパに投入された木材を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤによって搬送された木材を上方から押え込む押付装置と、これらの搬送装置と押付装置とにより導入された木材を破砕する破砕装置とを備えている。
【0005】
ここで、ホッパは、搬送コンベヤを取囲む枠状体として形成されている。また、搬送コンベヤは、例えばモータ等によってチェーンベルトを周回させることにより、ホッパ内に無限軌道を形成している。
【0006】
そして、木材破砕機の運転時には、ホッパに木材を投入すると、この木材は、搬送コンベヤと押付装置とによって破砕装置の位置に導入され、破砕装置によって細かく破砕されることにより、小片状の木材チップとなって排出コンベヤから外部に排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、例えば家屋廃材等を破砕しているときに、廃材に混じって釘や蝶番等の破砕不能な異物が混入されていることがある。しかし、破砕作業中には、例えばオペレータが運転位置(運転装置)から離れて他の作業等を行っている場合もあり、この場合には、オペレータや他の作業者等が運転位置に戻って搬送コンベヤを停止するまでの間に異物が破砕装置に導入されてしまうことになる。
【0008】
この場合には、破砕装置に過大な負荷がかかって軸受が損傷することがあり、その部品交換等に手間がかかるという問題がある。またシェアピン等の保護機構がついている場合には、そのシェアピンが折損することになるが、その場合にも新たな部品に交換するために多大な手間と時間が必要になるという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、例えば搬送装置に何らかの異物が投入された場合に、ホッパの近傍にいる作業者等が速やかに対処して破砕装置を保護できるようにした木材破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために本発明は、破砕すべき木材が投入されるホッパと、該ホッパ内に配設され該ホッパに投入された前記木材を搬送する搬送装置と、該搬送装置によって搬送された前記木材を上方から押え込む押付装置と、これらの搬送装置と押付装置とにより導入された前記木材を破砕する破砕装置とを備えてなる木材破砕機に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ホッパに取付けられ前記搬送装置と押付装置とを停止させるときに操作する操作手段と、該操作手段が操作されたときに前記搬送装置と押付装置とを停止させる停止手段とを設ける構成としたことにある。
【0012】
また、請求項2の発明によると、前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる枠状体として形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側に配設する構成としている。
【0013】
また、請求項3の発明によると、前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる側面部と該側面部の下側に開,閉可能に設けられた底板とによって形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側で前記底板を取囲む位置に配設する構成としている。
【0014】
さらに、請求項4の発明によると、前記操作手段は引張ることによって操作される紐状体により形成する構成としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、例えばホッパ内や搬送装置に何らかの異物が投入されたときには、車両のオペレータが運転位置から離れていたとしても、ホッパの近傍にいる作業者等が操作手段を直ちに操作することができ、停止手段によって搬送装置と押付装置とを強制的に停止させることができる。これにより、オペレータが運転位置まで戻ったり、ホッパ側の作業者等が運転位置まで行って対処する必要がないので、異物が投入されてから短時間で装置を停止させることができる。従って、異物の投入等を含めてホッパ側の異常に速やかに対処でき、破砕装置に異物等が導入されるのを防止できると共に、これを保護して装置の耐久性を高めることができる。また、オペレータは、例えば異常の発生に備えて運転位置で待機する必要がないから、全体の作業効率を高めることができる。
【0016】
また、例えば搬送装置の点検、修理等を行うときには、オペレータが運転位置で搬送装置を試験的に作動させつつ、ホッパ側の作業者が操作手段を操作して搬送装置を適切な位置で停止させることができ、両者の連係作業を効率よく行うことができる。さらに、作業者が搬送装置の近傍にいるときに、オペレータが搬送装置を不用意に作動させたとしても、作業者は、操作手段によって搬送装置を速やかに停止させることができるので、落ち着いて効率よく作業を進めることができる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、作業者等は、例えばホッパの下側に潜り込んで搬送装置の点検、修理等を効率よく行うことができる。この場合、作業者は、オペレータが作動させた搬送装置を操作手段によって適切な位置で停止させることができ、オペレータから作業者が見えない状態でも、両者の連係作業を効率よく行うことができる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、木材の破砕作業時には、ホッパの底板を閉じて作業することができるので、ホッパ内に投入された木材がホッパの下側に落下するのを防止でき、作業を円滑に行うことができる。また、例えばホッパ内で搬送装置の下側に木材等が入り込んだときには、ホッパの底板を開いて木材の清掃、除去等を効率よく行うことができ、メンテナンス性を高めることができる。そして、この場合には、請求項2の発明とほぼ同様に、操作手段によって両者の連係作業を円滑に進めることができる。
【0019】
さらに、請求項4の発明によれば、例えばワイヤ、ロープ、チェーン等からなる紐状体によって操作手段を形成できるので、この操作手段をホッパの必要な部位に長い距離にわたって連続的に配置でき、例えばホッパの下面側の開口部や底板等を取囲む位置に操作手段を容易に引回すことができる。このため、例えばホッパの近傍や下側で作業をする作業者等に対して、操作手段の少なくとも一部を常に作業者の近くに配置でき、作業者は、何れの位置にいる場合でも、操作手段を容易に操作することができる。
【0020】
そして、操作手段が長さ方向の途中位置で引張られたときには、例えば操作手段の端部側で引張り操作を確実に検出できるので、その操作状態を検出する検出部位の個数や構造を簡素化することができる。これにより、例えばホッパの各部位に複数の操作スイッチ等を設けたりしなくても、広い範囲で操作可能な構造を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による木材破砕機について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
ここで、図1ないし図8は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、自走式の木材破砕機を例に挙げて述べる。
【0023】
図中、1は自走式の木材破砕機を示し、この木材破砕機1は、例えば森林での間伐作業によって発生する間伐材や抜根、樹木の剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の木材を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップを生成するものである。そして、木材破砕機1は、後述の走行体2、ホッパ4、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7、排出コンベヤ9等によって構成され、後述の引き綱21、リミットスイッチ23及び遮断弁26を備えている。
【0024】
2は自走可能なクローラ式の走行体で、該走行体2は、車両のオペレータが後述の走行レバー11を操作することにより、前,後方向に直進走行したり、左,右方向に旋回走行する。ここで、走行体2は、図1、図2に示す如く、車両の前,後方向に延びて形成され左,右両側に駆動輪と遊動輪とがそれぞれ設けられたトラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの駆動輪と遊動輪とに巻回され、後述の走行モータ16(図8参照)によって駆動される左,右のクローラ(履帯)2B,2Bとによって大略構成されている。
【0025】
3は走行体2のトラックフレーム2A上に固定して設けられたベースフレームで、該ベースフレーム3は、図4、図5に示す如く、複数の鋼材等により支持構造体として形成され、車両の左,右両側に位置して前,後方向に延びる縦梁3A,3Aと、ホッパ4の後部下側に位置して該各縦梁3Aの間を連結する横梁3Bとを備えている。
【0026】
そして、ベースフレーム3の長さ方向の一側(前部側)には後述のホッパ4、搬送コンベヤ5、引き綱21等が配設され、ベースフレーム3の中央部には後述の押付装置6、破砕装置7等が配設されている。また、ベースフレーム3の長さ方向の他側(後部側)には、後述の排出コンベヤ9、建屋カバー10、運転装置12等が配設されている。
【0027】
4はベースフレーム3の前部の上側に設けられたホッパで、該ホッパ4は、その内部に油圧ショベル(図示せず)等を用いて木材が投入されることにより、搬送コンベヤ5に木材を供給するものである。ここで、ホッパ4は、例えば車両の前,後方向に対して3m〜5m程度の長さを有し、左,右方向に対して1〜2m程度の幅を有する大きな構造物として形成され、その下面側は、走行体2上にベースフレーム3を介して搭載されることにより、例えば地面から数十cm〜1m程度の高さに配置されている。
【0028】
また、ホッパ4は、図4、図5に示す如く、例えば上面側、下面側及び後面側が開口した略四角形の枠状体として形成され、搬送コンベヤ5の左側,右側に位置する左,右の側面部4A,4Bと、搬送コンベヤ5の前側に位置して該各側面部4A,4Bの間に設けられ、ホッパ4の前側の側面部を形成する前面部4Cと、搬送コンベヤ5の後側に位置して各側面部4A,4Bの間を連結する水平な補強板4Dとによって大略構成されている。
【0029】
この場合、左側面部4A、右側面部4B及び前面部4Cは、例えば複数の鋼板等により水平方向に厚みをもつ中空な構造物として形成され、全体として略コ字状に配置されると共に、搬送コンベヤ5を取囲む位置で上,下方向に延びている。そして、ホッパ4は、側面部4A,4Bの下面側がベースフレーム3の各縦梁3Aにそれぞれ固着され、補強板4Dがベースフレーム3の横梁3Bに固着されている。
【0030】
また、ホッパ4の下面側には、各側面部4A,4Bと前面部4Cとによって囲まれた略四角形状の開口部4Eが設けられ、この開口部4Eは、搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aの下側に開口している。これにより、開口部4Eの位置では、例えば搬送コンベヤ5の清掃、点検等を下側から行うことができる。
【0031】
5はホッパ4内に設けられた搬送装置としての搬送コンベヤで、該搬送コンベヤ5は、図3、図4に示す如く、ホッパ4の前部側から後述の破砕装置7に向けて前,後方向に延びるチェーンベルト5Aを有し、このチェーンベルト5Aは、後述の搬送用モータ17(図8参照)によって駆動される無限軌道を形成している。
【0032】
そして、搬送コンベヤ5は、チェーンベルト5Aが搬送用モータ17によって図3中の矢示A方向に周回されることにより、ホッパ4内に投入された木材をチェーンベルト5A上に積載し、この木材を破砕装置7に向けて矢示A方向に搬送する。
【0033】
6は搬送コンベヤ5の上側に配置された押付装置で、該押付装置6は、搬送コンベヤ5によって搬送されてくる木材を上方から押え込み、この木材を搬送コンベヤ5との間に挟込んだ状態で破砕装置7に向けて導入するものである。
【0034】
この場合、押付装置6は、図3に示す如く、後述する破砕装置7の支持フレーム7Aに固定されたピン6Aと、基端側が該ピン6Aによって上,下方向に揺動可能に支持され、先端側が搬送コンベヤ5に向けて延びた揺動アーム6Bと、該揺動アーム6Bの先端側に回転可能に支持された押付ローラ6Cとによって大略構成されている。
【0035】
そして、押付ローラ6Cは、後述の押付用モータ18によって搬送コンベヤ5の搬送方向(矢示A方向)と同じ方向に回転駆動され、その自重によって搬送コンベヤ5との間に木材を挟込むことにより、破砕装置7の破砕ロータ7Bに木材を適度な力で押付ける。また、押付装置6には、例えば破砕機のメンテナンスを行うときに、押付装置6を上方に持上げる持上げシリンダ6Dが設けられている。
【0036】
7はベースフレーム3の長さ方向の中央部に設けられた破砕装置を示し、該破砕装置7は、搬送コンベヤ5と押付装置6とによって導入される木材を細かく破砕するもので、ベースフレーム3に固定された支持フレーム7Aと、該支持フレーム7Aによって回転可能に支持された略円筒状の破砕ロータ7Bと、該破砕ロータ7Bの外周側に設けられて螺旋状に延びた多数の破砕ビット7Cとによって大略構成されている。
【0037】
そして、破砕装置7は、後述の破砕用モータ19によって破砕ロータ7Bが図3中の矢示B方向に回転駆動され、この状態で搬送コンベヤ5と押付装置6とによって破砕ロータ7Bに押付けられた木材を、各破砕ビット7Cによって細かく破砕する。
【0038】
また、破砕ロータ7Bの下側には、例えば多数の小孔が形成された半円弧状の分級板7Dが配置されている。そして、破砕ロータ7Bによって生成された木材チップのうち、小さいチップは分級板7Dの小孔を通過することによって後述の排出コンベヤ9上に落下する。また、分級板7Dを通過できない大きな木材チップは、後述の固定刃装置8によって細かく砕かれた後に、排出コンベヤ9に導出される。
【0039】
8は破砕装置7と協働して木材チップを細かく剪断する固定刃装置で、該固定刃装置8は、破砕装置7の支持フレーム7Aに揺動可能に支持されたブラケット8Aと、該ブラケット8Aに固定され、破砕装置7の各破砕ビット7Cの径方向外側に配置された固定刃(アンビル)8Bと、ブラケット8Aと破砕装置7の支持フレーム7Aとの間に設けられたシアピン8Cとによって大略構成されている。
【0040】
そして、固定刃装置8は、固定刃8Bと破砕ビット7Cとの間に木材チップを挟込んで剪断し、これらの間に硬い異物等が挟込まれたときには、シアピン8Cが折れることによって固定刃8Bが逃げるのを許す構成となっている。
【0041】
9はベースフレーム3の後部側に設けられた排出コンベヤで、該排出コンベヤ9は、図1、図2に示す如く、破砕装置7の下側から車両の後方に向けて延びている。そして、排出コンベヤ9は、後述の排出用モータ20によって駆動され、破砕装置7の分級板7Dを通過した木材チップを木材破砕機1の外部に搬送、排出するものである。
【0042】
10は破砕装置7の後側に位置してベースフレーム3上に設けられた建屋カバーで、該建屋カバー10内には、後述のエンジン13、油圧ポンプ14等が収容されている。また、建屋カバー10の近傍には、オペレータが車両を走行させるときに搭乗する運転台10Aが設けられ、この運転台10Aには、オペレータが操作して車両を走行させる走行レバー11が設けられている。
【0043】
12は例えば建屋カバー10の下側で車両の左側面部に設けられた運転装置で、該運転装置12は、図1、図8に示す如く、例えば複数のスイッチ(図示せず)がカバー内に配置された操作パネル等からなり、後述のコントローラ24に接続されている。そして、車両のオペレータは、運転装置12を操作することにより、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7、排出コンベヤ9等の運転状態を制御することができる。
【0044】
ここで、図8を参照しつつ、木材破砕機1の駆動系統について説明すると、13は車両の動力源となるエンジン、14は該エンジン13によって駆動される油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ14は、車両に搭載された各アクチュエータに対して圧油を供給するものである。この場合、油圧ポンプ14の吐出側には、余剰となった圧油をタンクに戻すリリーフ弁14Aが設けられている。
【0045】
また、油圧ポンプ14の吐出側には、オペレータの運転操作等に応じて各アクチュエータに圧油をそれぞれ給排する制御弁15が接続されている。そして、制御弁15の出力側には、後述の走行モータ16、搬送用モータ17、押付用モータ18、破砕用モータ19及び排出用モータ20を含めて全てのアクチュエータが接続され、これらのアクチュエータは、油圧ポンプ14から制御弁15を経由して圧油が給排されることにより作動する。
【0046】
16は走行体2に設けられた走行モータで、該走行モータ16は、クローラ2Bを駆動して車両を走行させるものである。また、17は搬送コンベヤ5に設けられてチェーンベルト5Aを駆動する搬送用モータである。さらに、18は押付装置6に設けられて押付ローラ6Cを回転駆動する押付用モータ、19は破砕装置7に設けられて破砕ロータ7Bを回転駆動する破砕用モータ、20は排出コンベヤ9を駆動する排出用モータをそれぞれ示している。
【0047】
次に、21は例えばホッパ4の近傍にいる作業者等によって操作される操作手段としての引き綱で、該引き綱21は、例えばワイヤ、ロープ、チェーン等からなる紐状体によって形成され、作業者が掴んで引張ることにより、車両の走行や木材の破砕作業を停止させるものである。
【0048】
また、引き綱21は、図4、図5に示す如く、ホッパ4の左側面部4A、右側面部4B及び前面部4Cの下面側と、ベースフレーム3の縦梁3A、横梁3Bの下面側とに沿って四角形の枠状に配設され、ホッパ4の開口部4Eを取囲んでいる。この場合、ベースフレーム3とホッパ4の下面側には略環状の取付具22が複数箇所に設けられ、引き綱21は、これらの取付具22に挿通されることによって長さ方向に移動可能に支持されている。
【0049】
また、引き綱21の両端側は、図6に示す如く、後述するリミットスイッチ23の各回動レバー23Bに取付けられている。そして、作業者等が引き綱21を引張って操作したときには、図7に示す如く、リミットスイッチ23が切換えられることにより、各モータ16〜20を含めて全てのアクチュエータが強制的に停止される。これにより、木材破砕機1は走行が禁止され、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9が停止した状態となる。
【0050】
この場合、引き綱21は、ホッパ4の外殻をなす左側面部4A、右側面部4B及び前面部4Cの下側に沿って開口部4Eを取囲む位置に架設されている。このため、例えばホッパ4の近傍や下側にいる作業者等は、引き綱21の一部が常に近くに配置された状態となっている。そして、作業者は、引き綱21の何れの部位を引張った場合でも、車両の走行動作や木材の破砕作業を停止させることができる。
【0051】
23は引き綱21が操作されたか否かを検出する検出手段としての回動型のリミットスイッチを示し、該リミットスイッチ23は、図6ないし図8に示す如く、例えばブラケット23A等を用いてベースフレーム3の縦梁3Aに設けられ、後述するコントローラ24の入力側に接続されている。
【0052】
ここで、リミットスイッチ23は、互いに一体となって回動することにより当該リミットスイッチの開,閉状態が切換わる2本の回動レバー23B,23Bを有し、これらの回動レバー23Bには引き綱21の両端側が取付けられている。そして、引き綱21が操作されていない通常の状態では、図6に示す如く、回動レバー23Bが戻しばね等によって初期位置に保持され、リミットスイッチ23は、例えば開成した状態となっている。
【0053】
また、引き綱21が引張られたときには、図7に示す如く、回動レバー23Bが初期位置から回動し、これによってリミットスイッチ23が閉成する。このように、リミットスイッチ23は、引き綱21が操作されたか否かに応じて開,閉することにより、引き綱21の操作を検出してコントローラ24に検出信号を出力するものである。
【0054】
24は木材破砕機1に搭載されたコントローラで、該コントローラ24は、例えばマイクロコンピュータ等からなり、図8に示す如く、車両に搭載されたバッテリ等の電源25から給電されることによって作動する。ここで、コントローラ24の入力側には、運転装置12、リミットスイッチ23等が接続され、コントローラ24の出力側には後述の遮断弁26等が接続されている。
【0055】
そして、コントローラ24は、引き綱21が非操作状態のときに、遮断弁26を連通位置(a)に保持し、モータ16〜20を含めて各アクチュエータを作動可能な状態に保持すると共に、運転装置12の操作内容に応じて搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7、排出コンベヤ9等を作動させる。これにより、オペレータは、走行レバー11を操作して車両を走行させたり、運転装置12を操作して木材の破砕作業を行うことができる。
【0056】
また、コントローラ24は、作業者等が引き綱21を操作したときに、この操作をリミットスイッチ23によって検出し、遮断弁26を遮断位置(b)に切換える。これにより、車両に搭載された全てのアクチュエータが油圧ポンプ14から遮断され、モータ16〜20等も停止されるので、作業者は、オペレータの運転操作に関係なく、車両の走行や木材の破砕作業を強制的に停止させることができる。
【0057】
26はコントローラ24と共に停止手段を構成する遮断弁を示し、該遮断弁26は、例えば電磁パイロット式の2ポート2位置切換弁等によって構成され、油圧ポンプ14の吐出側と制御弁15との間に接続されている。この場合、遮断弁26は、コントローラ24から通電されたときに連通位置(a)となり、非通電時は遮断位置(b)に保持される常開(ノーマル・オープン)型の切換弁として形成されている。
【0058】
そして、遮断弁26は、引き綱21が非操作状態のときに、コントローラ24によって連通位置(a)に保持され、油圧ポンプ14から各アクチュエータに圧油を給排する。また、引き綱21が操作されたときには、この操作がリミットスイッチ23によって検出され、遮断弁26が遮断位置(b)に切換えられることにより、各アクチュエータへの圧油供給が遮断され、モータ16〜20等が停止する。
【0059】
このように、遮断弁26は、コントローラ24と協働することにより、リミットスイッチ23の検出結果に応じて搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9を運転しまたは運転を停止させるものである。
【0060】
本実施の形態による木材破砕機1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0061】
まず、車両のオペレータが車両の始動操作を行うと、エンジン13により油圧ポンプ14が駆動され、油圧ポンプ14から圧油が吐出される。また、遮断弁26は、コントローラ24から通電されることによって連通位置(a)に保持され、油圧ポンプ14から吐出される圧油は、遮断弁26、制御弁15等を経由して各アクチュエータに給排される。
【0062】
そして、オペレータが建屋カバー10側の運転台10Aに乗込み、走行レバー11を操作すると、走行体2の各クローラ2Bが走行モータ16によって駆動される。これにより、オペレータは、木材破砕機1を作業現場等まで走行させることができる。
【0063】
また、作業現場では、オペレータが建屋カバー10の脇に立って運転装置12を操作すると、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9が作動する。そして、例えば油圧ショベル等によって木材破砕機1のホッパ4内に木材を投入すると、この木材は、図3中の矢示Aに示す如く、搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aによってホッパ4から破砕装置7に向けて連続的に搬送される。また、破砕装置7の近傍に達した木材は、チェーンベルト5Aと押付装置6の押付ローラ6Cとの間に挟込まれ、これらの部材によって破砕ロータ7Bに押付けられる。
【0064】
このとき、破砕ロータ7Bは矢示B方向に高速で回転しているので、その外周側に設けられた各破砕ビット7Cによって木材が破砕されたり、破砕ビット7Cと固定刃装置8の固定刃8Bとの間で木材が剪断されることにより、小片状の木材チップが生成される。このように生成された細かい木材チップは、分級板7Dの小孔を通過し、排出コンベヤ9によって木材破砕機1の外部に排出される。
【0065】
ここで、破砕作業中には、例えばオペレータが運転装置12から離れているときに、釘、蝶番等の異物がホッパ4、搬送コンベヤ5に投入されることがある。この場合、ホッパ4の近傍にいる作業者が引き綱21を引張ると、その操作がリミットスイッチ23によって検出され、コントローラ24から遮断弁26への通電が停止される。
【0066】
そして、遮断弁26が遮断位置(b)に切換えられ、油圧ポンプ14から全てのアクチュエータへの圧油供給が遮断されるため、搬送コンベヤ5、押付装置6、破砕装置7及び排出コンベヤ9が強制的に停止される。これにより、異物が投入されたとしても、コンベヤを直ちに停止して破砕装置7を保護することができる。
【0067】
この場合、例えば搬送コンベヤ5を停止させたとしても、押付装置6が作動していると、その回転が木材等を介して搬送コンベヤ5に伝わり、搬送コンベヤ5が引摺られて作動することがある。このため、搬送コンベヤ5と押付装置6とを一緒に停止させることにより、これらを安定的に静止させることができる。
【0068】
また、例えば木材が搬送コンベヤ5の下側に噛込んだときには、作業者がホッパ4の下側に潜り込んで開口部4Eから木材の噛込み状態を確認しつつ、オペレータが運転装置12の位置で搬送コンベヤ5を試験的に作動させることがある。この場合、作業者は、例えば搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aが徐々に移動して木材が取外し易い状態となったときに、引き綱21を操作して搬送コンベヤ5等を停止させ、噛込んだ木材を開口部4Eから除去することができる。
【0069】
かくして、本実施の形態では、ホッパ4の下面側に引き綱21を設け、この引き綱21を操作したときには、搬送コンベヤ5と押付装置6とを含めて全てのアクチュエータを停止させる構成としたので、例えばホッパ4内や搬送コンベヤ5に何らかの異物が投入されたときには、車両のオペレータが運転装置12から離れていたとしても、ホッパ4の近傍にいる作業者等が引き綱21を直ちに操作することができ、この操作によって搬送コンベヤ5、押付装置6等を強制的に停止させることができる。
【0070】
これにより、異物の投入時には、オペレータが運転装置12まで戻ったり、ホッパ4側の作業者等が運転装置12まで行って対処する必要がないので、異物が投入されてから短時間で搬送コンベヤ5を停止させることができ、破砕装置7に異物等が導入されるのを確実に防止することができる。
【0071】
従って、このような異物の投入を含めてホッパ4側の異常に速やかに対処でき、破砕装置7を損傷等から保護して耐久性を高めることができる。また、オペレータは、例えば異常の発生に備えて運転装置12の位置で待機する必要がないから、全体の作業効率を高めることができる。
【0072】
また、例えば搬送コンベヤ5の下側に噛込んだ木材を除去したり、搬送コンベヤ5の下部側の点検、修理等を行うときには、作業者等がホッパ4の下側に潜り込んで開口部4Eからホッパ4内を覗くことができ、木材の除去作業や搬送コンベヤ5のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0073】
そして、これらの作業では、例えばオペレータが運転装置12の位置で搬送コンベヤ5を徐々に作動させつつ、作業者がホッパ4の下側で引き綱21を操作することによって搬送コンベヤ5のチェーンベルト5Aを適切な位置で停止させることができ、オペレータから作業者が見えない状態でも、両者の連係作業を効率よく行うことができる。
【0074】
また、作業者がホッパ4の下側に潜り込んでいるときに、オペレータが搬送コンベヤ5を不用意に作動させたとしても、作業者は、引き綱21によって搬送コンベヤ5を速やかに停止させることができるので、落ち着いて効率よく作業を進めることができる。
【0075】
さらに、操作手段として引き綱21を用いたので、この引き綱21をホッパ4の必要な部位に長い距離にわたって連続的に配置でき、例えばホッパ4の開口部4Eを取囲む位置に引き綱21を容易に引回すことができる。このため、例えば作業者等がホッパ4の下側に潜り込んだときには、引き綱21の少なくとも一部を常に作業者の近傍に配置でき、作業者は、何れの位置にいる場合でも、引き綱21を容易に操作することができる。
【0076】
また、引き綱21の端部側にはリミットスイッチ23を設けているので、引き綱21が長さ方向の途中位置で引張られたときには、この操作をリミットスイッチ23によって確実に検出でき、その操作状態を検出する検出部位の個数や構造を簡素化することができる。これにより、例えばホッパ4の各部位に複数の操作スイッチ等を設けたりしなくても、広い範囲で操作可能な構造を容易に実現することができる。
【0077】
そして、作業者が引き綱21が操作したときには、コントローラ24と遮断弁26とによって全てのアクチュエータを停止でき、車両の走行や木材の破砕作業を含めて作業者が意図しない車両の動作を禁止することができる。
【0078】
次に、図9ないし図11は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、底板付きのホッパに適用したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0079】
31は木材破砕機1に搭載されたホッパで、該ホッパ31は、図9、図10に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、略四角形の枠状に配置された左側面部31A、右側面部31B、前面部31Cと、補強板31D、開口部31Eとを備えている。しかし、ホッパ31は、後述の底板32と開閉シリンダ34とを有する有底の箱状体として形成されている。
【0080】
32はホッパ31の下側に開,閉可能に設けられた底板で、該底板32は、図10に示す如く、例えば略四角形状の板材等によって形成され、ホッパ31の開口部31Eとほぼ等しい形状を有している。また、底板32は、車両の前,後方向に対して、例えば後部側が複数のヒンジ33を用いてホッパ31の補強板31Dに回動可能に取付けられ、前部側が上,下方向に回動する構成となっている。
【0081】
そして、底板32は、図9、図11に示す如く、各開閉シリンダ34によって駆動されることにより、ホッパ31の開口部31Eを搬送コンベヤ5の下側で開,閉するものである。この場合、引き綱21は、ホッパ31の底板32を取囲む位置に配設されている。
【0082】
34はホッパ31の底板32とベースフレーム3(または走行体2)との間に伸縮可能に設けられた例えば2個の開閉シリンダで、該各開閉シリンダ34は、例えば汎用的な油圧シリンダ等からなり、底板32の左,右両側に配置されている。また、開閉シリンダ34は、例えばチューブ側がブラケット等を用いてベースフレーム3の横梁3Bと走行体2のトラックフレーム2Aとに回動可能に取付けられ、ロッド側が底板32に回動可能に取付けられている。そして、開閉シリンダ34は、伸長することによってホッパ31の底板32を閉じることができ、縮小することによって底板32を開くことができる。
【0083】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、ホッパ31に開,閉可能な底板32を設ける構成としたので、例えば木材の破砕作業等を行うときには、底板32を閉じることにより、ホッパ31内に投入された木材が開口部31Eから落下するのを防止でき、作業を円滑に行うことができる。
【0084】
また、例えば搬送コンベヤ5の下側に木屑等が溜まったり、木材が噛込んだときには、ホッパ31の底板32を開くことができる。そして、この場合には、第1の実施の形態とほぼ同様に、清掃、点検や木材の除去等を開口部31Eの位置で効率よく行うことができ、メンテナンス性を高めることができる。また、引き綱21によってオペレータと作業者との連係作業を円滑に進めることができる。
【0085】
次に、図12は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、押ボタン式の操作手段を用いる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0086】
41は第1の実施の形態の引き綱21等に代えてホッパ4の下側に設けられた複数の操作手段としての停止スイッチで、該各停止スイッチ41は、例えば押ボタン式のスイッチ等によって構成され、ホッパ4の開口部4Eを取囲む位置に配設されている。
【0087】
また、各停止スイッチ41は、第1の実施の形態のリミットスイッチ23とほぼ同様に、木材破砕機1に搭載されたコントローラ(図示せず)に接続されている。そして、ホッパ4の近傍にいる作業者等が各停止スイッチ41の何れかをプッシュ操作したときには、コントローラによって遮断弁が切換えられ、搬送コンベヤ5、押付装置6等を含めて全てのアクチュエータが停止するものである。
【0088】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、複数の停止スイッチ41を用いる構成としたので、例えばホッパ4の下面に突起物がある場合等のように、構造上の制約によって引き綱等の長尺な操作手段を配置し難い場合でも、ホッパ4の開口部4Eを取囲む適切な位置に各停止スイッチ41をそれぞれ配置でき、車両の設計等を容易に行うことができる。
【0089】
次に、図13は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、操作手段を操作したときに搬送装置と押付装置とを停止し、他の装置等は作動させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0090】
51は停止手段としての遮断弁で、該遮断弁51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば電磁パイロット式の切換弁等によって構成されている。そして、遮断弁51は、引き綱21が非操作状態のときに、コントローラ24によって連通位置(a)に保持され、引き綱21が操作されたときには、遮断位置(b)に切換えられるものである。
【0091】
この場合、遮断弁51は、制御弁15′と直列に搬送用モータ17と押付用モータ18とを油圧ポンプ14に対して連通,遮断する位置に接続されている。そして、走行モータ16、破砕用モータ19、排出用モータ20等を含めた他のアクチュエータは、遮断弁51を経由することなく、他の制御弁15″を介して油圧ポンプ14に接続されている。
【0092】
これにより、引き綱21が操作されたときには、搬送コンベヤ5と押付装置6とが遮断弁51によって強制的に停止されるものの、走行体2を走行させたり、破砕装置7や排出コンベヤ9を作動させることができる。
【0093】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、例えば搬送コンベヤ5に木材が噛込んだときに、搬送コンベヤ5と押付装置6とを停止させることによって当該搬送コンベヤを保護しつつ、破砕装置7、排出コンベヤ9等は作動させることができる。これにより、既に破砕装置7内に導入されて搬送コンベヤ5に影響しない木材の破砕作業は続けることができ、作業効率を高めることができる。
【0094】
次に、図14は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、操作手段を操作したときにコントローラを電源から遮断する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0095】
61は第1の実施の実施の形態のリミットスイッチ23に代えて用いられる電源遮断スイッチを示し、該電源遮断スイッチ61は、コントローラ24′と遮断弁26と共に停止手段を構成している。そして、電源遮断スイッチ61は、コントローラ24′と電源25との間に開,閉可能に設けられ、その接点61Aには引き綱21が接続されている。
【0096】
ここで、電源遮断スイッチ61は、例えば外部から切換えられない限り閉成位置または開成位置を保持する自己保持型のスイッチ等によって構成されている。そして、引き綱21が非操作状態のときには、電源遮断スイッチ61が閉成位置に保持され、コントローラ24′は、電源遮断スイッチ61によって電源25に接続されている。これにより、コントローラ24′は、遮断弁26を連通位置(a)に保持するので、木材破砕機1を作動させることができる。
【0097】
また、電源遮断スイッチ61は、引き綱21が操作されることによって開成位置に切換えられ、その後は作業者等が引き綱21から手を離しても、所定の復帰操作が行われるまで開成位置に保持される。これにより、引き綱21が一旦操作されると、コントローラ24′が電源25から遮断されて停止するので、常開型の遮断弁26が遮断位置(b)となり、搬送コンベヤ5と押付装置6とを含めて各アクチュエータが強制的に停止される。
【0098】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、コントローラ24′と電源25との間に電源遮断スイッチ61を設け、その接点61Aに引き綱21を接続する構成としたので、例えば引き綱21の操作を検出するスイッチ等をコントローラ24′に接続する必要がなくなり、コントローラ24′の入力回路等を簡素化することができる。
【0099】
なお、前記各実施の形態では、引き綱21と停止スイッチ41とをホッパ4の下面側に設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば操作手段をホッパの側面、前面等に設ける構成としてもよい。
【0100】
また、各実施の形態では、複数のアクチュエータと油圧ポンプ14との間に遮断弁26(または遮断弁51)を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアクチュエータ毎にそれぞれ異なる遮断弁を設ける構成としてもよい。
【0101】
さらに、実施の形態では、自走式の木材破砕機1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば走行体2をもたず、トレーラ等によって運搬される非自走式の木材破砕機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態による木材破砕機を一部破断して示す正面図である。
【図2】木材破砕機を上側からみた平面図である。
【図3】図1中の搬送コンベヤ、押付装置、破砕装置等を一部破断して示す拡大正面図である。
【図4】図1中のホッパ、搬送コンベヤ等を一部破断して示す拡大正面図である。
【図5】ホッパ、搬送コンベヤ等を図4中の矢示V−V方向からみた底面図である。
【図6】運転停止装置の引き綱とリミットスイッチとを示す図4中の要部拡大図である。
【図7】運転停止装置の引き綱を引張ってリミットスイッチを切換えた状態を示す要部拡大図である。
【図8】木材破砕機の駆動系統を示す構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による木材破砕機を図4と同様位置からみた拡大正面図である。
【図10】ホッパ等を図9中の矢示X−X方向からみた底面図である。
【図11】ホッパの底板を開いた状態を示す拡大正面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態による木材破砕機を図4と同様位置からみた拡大正面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態による木材破砕機の駆動系統を示す構成図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態による木材破砕機の駆動系統を示す構成図である。
【符号の説明】
【0103】
1 木材破砕機
2 走行体
4,31 ホッパ
4A,31A 左側面部(側面部)
4B,31B 右側面部(側面部)
4C,31C 前面部(側面部)
4E,31E 開口部
5 搬送コンベヤ(搬送装置)
6 押付装置
7 破砕装置
8 固定刃装置
9 排出コンベヤ
12 運転装置
16,17,18,19,20 モータ
21 引き綱(操作手段)
23 リミットスイッチ
24,24′ コントローラ(停止手段)
26,51 遮断弁(停止手段)
32 底板
41 停止スイッチ(操作手段)
61 電源遮断スイッチ(停止手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕すべき木材が投入されるホッパと、該ホッパ内に配設され該ホッパに投入された前記木材を搬送する搬送装置と、該搬送装置によって搬送された前記木材を上方から押え込む押付装置と、これらの搬送装置と押付装置とにより導入された前記木材を破砕する破砕装置とを備えてなる木材破砕機において、
前記ホッパに取付けられ前記搬送装置と押付装置とを停止させるときに操作する操作手段と、該操作手段が操作されたときに前記搬送装置と押付装置とを停止させる停止手段とを設ける構成としたことを特徴とする木材破砕機。
【請求項2】
前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる枠状体として形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側に配設してなる請求項1に記載の木材破砕機。
【請求項3】
前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる側面部と該側面部の下側に開,閉可能に設けられた底板とによって形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側で前記底板を取囲む位置に配設してなる請求項1に記載の木材破砕機。
【請求項4】
前記操作手段は引張ることによって操作される紐状体により形成してなる請求項1,2または3に記載の木材破砕機。
【請求項1】
破砕すべき木材が投入されるホッパと、該ホッパ内に配設され該ホッパに投入された前記木材を搬送する搬送装置と、該搬送装置によって搬送された前記木材を上方から押え込む押付装置と、これらの搬送装置と押付装置とにより導入された前記木材を破砕する破砕装置とを備えてなる木材破砕機において、
前記ホッパに取付けられ前記搬送装置と押付装置とを停止させるときに操作する操作手段と、該操作手段が操作されたときに前記搬送装置と押付装置とを停止させる停止手段とを設ける構成としたことを特徴とする木材破砕機。
【請求項2】
前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる枠状体として形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側に配設してなる請求項1に記載の木材破砕機。
【請求項3】
前記ホッパは、前記搬送装置を取囲む位置で上,下方向に延びる側面部と該側面部の下側に開,閉可能に設けられた底板とによって形成し、前記操作手段は前記ホッパの下側で前記底板を取囲む位置に配設してなる請求項1に記載の木材破砕機。
【請求項4】
前記操作手段は引張ることによって操作される紐状体により形成してなる請求項1,2または3に記載の木材破砕機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−175367(P2006−175367A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371668(P2004−371668)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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