説明

木製品

【課題】 より合理的に製造された木製品を得ること。
【解決手段】 複数の角材210を接合して正多角形を呈する集成材200とし、集成材の外周面を面取りして円筒面状に成形し、集成材の外周面に後付け部材310,320を設けてなる木製品100において、面取りは、正多角形の中心を回転軸として集成材を回転させるとともに、集成材の外周面に刃物を押し付けて行うものとし、集成材の外周面であって正多角形の辺の中央に相当する部位には、刃物が押し付けられずに平面状のままとされる平面部201を設け、後付け部材は、その平面部に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集成材を面取りしてなる木製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、円形環状の木製品を製造する方法としては、複数の角材を接合して正多角形を呈する集成材とし、これを面取りする方法が知られている。このような方法は、特許文献1に開示された木製品にも応用されている。集成材の外周面及び内周面の面取りは、正多角形の中心を回転軸として集成材を回転させるとともに、集成材に刃物を押し付けて行うとよい。
【特許文献1】特開平11−242478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、本願発明者は、集成部材を面取りしてなる円形環状の木製品を時計のフレームとして利用し、その外周面に装飾用の後付け部材を設けようと試みたところ、後付け部材の位置決めや固定には、煩雑な作業が伴うことに気がついた。すなわち、集成材の外周面は円筒面状となるため、集成材の外周面に後付け部材の着座面をピッタリと合致させるためには、後付け部材の着座面をも所定の円筒面状に成形する必要がある。或は、集成材の外周面に更なる加工を施す必要がある。また、後付け部材は、集成材の外周面に穿孔した孔部に挿入嵌合するようにしてもよいが、集成材の外周面が円筒面状であれば、その穿孔作業が比較的困難になるという不都合もある。つまるところ、集成材の外周面に後付け部材をより簡単に設けるための工夫が必要と考えられる。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より合理的に製造された木製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願第1請求項に記載した発明は、複数の角材を接合して正多角形を呈する集成材とし、前記集成材の外周面を面取りして円筒面状に成形し、前記集成材の外周面に後付け部材を設けてなる木製品において、前記面取りは、前記正多角形の中心を回転軸として前記集成材を回転させるとともに、前記集成材の外周面に刃物を押し付けて行うものとし、前記集成材の外周面であって前記正多角形の辺の中央に相当する部位には、前記刃物が押し付けられずに平面状のままとされる平面部を設け、前記後付け部材は、前記平面部に設けた構成の木製品である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、より合理的に製造された木製品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示す時計1は、時計本体2に対し円形環状の木製品100を装飾用のフレームとして装着してなるものである。図2及び図3に示すように、本例の木製品100は、面取りを施した集成材200の外周面に、後付け部材たるL字型プレート310及び突起体320を一定のピッチで設けてなるものである。デザインとしては、船の舵輪を模したものとなっている。以下、本例の木製品100をその製造方法に従って説明する。
【0007】
まず、図4に示すような同型の複数の角材210を接着材で接合して、図5に示すような正多角形(図例では正八角形)を呈する環状の集成材200を作成する。
【0008】
次に、集成材200の外周面及び内周面を円筒面状に成形する面取り行い、集成材200を図6に示すような円形環状に成形する。図6中の鎖線は、面取り前の集成材200の形状を示している。面取りは、正多角形の中心Oを回転軸として集成材200を回転させるとともに、集成材200の外周面及び内周面にそれぞれ刃物を押し付けて行う。かかる面取りには、集成材200を固定して回転させるとともに、集成材200に複数の刃物を適宜移動させて押し付ける切削加工装置を使用する。
【0009】
ここで、本例の場合、集成材の外周面であって正多角形の辺の中央に相当する部位には、刃物が押し付けられずに平面状のままとされる平面部201を設けている。具体的には、正多角形の中心Oから正多角形の辺の真ん中までの距離をR1、正多角形の中心Oから正多角形の角までの距離をR2、正多角形の中心Oから刃物を押し付ける位置までの距離をR3とするとき、集成材200の厚さ方向の一部においてR1<R3<R2の関係が成り立つように設定している。これにより、正多角形の辺の中央に相当する部位には、おのずと刃物が押し付けられずに平面状のままとされる平面部201が設けられる。つまり、平面部201を設けるための別途工程は必要としない。
【0010】
このように集成材200の外周面及び内週面を面取りして円筒面状に成形した後、各平面部201(図例では8箇所)には、それぞれL字型プレート310及び突起体320を設ける。図7に示すように、L字型プレート310を平面部201に配置し、これを接着材にて固定する。そして、図8に示すように、L字型プレート310から集成材200に達する孔部202を穿孔し、図9に示すように、突起体320の基端部321を孔部202に挿入嵌合し、且つ接着材にて突起体320の基端部321を孔部202に固定する。平面部201によれば、平らなL字型プレート310の着座面をピッタリと合致させることができる。また、孔部202の穿孔も容易である。
【0011】
本例の構成によると、集成材の外周面に後付け部材をより簡単に設けることができる。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の木製品は、時計を装飾するフレームをはじめ、各種製品の装飾体として好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係り、木製品を装着した時計を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、木製品を示す正面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、図2のX−X断面図であり、木製品を示す側面断面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、多角形状の集成材を構成する角材を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係り、多角形状の集成材を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係り、面取りした集成材を示す正面図である。
【図7】本発明の実施例に係り、(a)は面取りした集成材の要部(プレートを装着する状態)を示す正面図であり、(b)はその側面断面図である。
【図8】本発明の実施例に係り、(a)は面取りした集成材の要部(孔部を穿孔した状態)を示す正面図であり、(b)はその側面断面図である。
【図9】本発明の実施例に係り、(a)は面取りした集成材の要部(孔部に突起体を組付ける状態)を示す正面図であり、(b)はその側面断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 時計
2 時計本体
100 木製品
200 集成材
201 平面部
202 孔部
210 角材
310 L字型プレート
320 突起体
321 基端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の角材を接合して正多角形を呈する集成材とし、前記集成材の外周面を面取りして円筒面状に成形し、前記集成材の外周面に後付け部材を設けてなる木製品において、
前記面取りは、前記正多角形の中心を回転軸として前記集成材を回転させるとともに、前記集成材の外周面に刃物を押し付けて行うものとし、
前記集成材の外周面であって前記正多角形の辺の中央に相当する部位には、前記刃物が押し付けられずに平面状のままとされる平面部を設け、
前記後付け部材は、前記平面部に設けたことを特徴とする木製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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