説明

木製部材相互の接合構造及び構造用木製建材並びに接合工法

【課題】確実に木製部材相互を接合できる木製部材の接合構造及び構造用木製部材並びに接合工法を提供すること。
【解決手段】接合用溝3を間隔をおいて平行に備えた木製部材相互が重合され、対向する前記接合用溝3による閉鎖接合用孔9がそれぞれ形成され、その各閉鎖接合用孔9における前記各接合用溝3に渡って、前記接合用溝3の奥部側が厚肉となっている係止凸部19を前記重合面2を中心として対称に有する木製接合部材10が前記閉鎖接合用孔9に挿入配置されている木製部材相互の接合構造であって、前記木製接合部材10の背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面17を有し、前記各木製部材1の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置12が設けられて、前記木製部材1及びその各係止凸部19が溝幅方向に移動されて、木製部材1の接合用溝の内側面に押圧されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製部材相互を連結して、木製床パネル、木製壁パネル、木製梁、木製柱等の木製構造用建材を形成するための木製部材相互の接合構造、及びその接合構造を備えた構造用木製建材並びに接合工法に関する。
【背景技術】
【0002】
木材を利用した建材には、柱、梁等の構造用積層部材や、ベニヤ板、積層板等の内装用積層部材があり、それらは化学物質の接着剤により接合する集成材である。前記の接着剤には、揮発性有害物質が含まれ、一定割合を越えると健康に影響を与える可能性があることが知られている。接着剤の耐用年数は、木材による接合部材の耐用年数よりも格段に短いため、木材による接合構造がより生活環境にやさしく、耐用年数も長いことも知られている。
【0003】
このようなことから、今日、接着剤或は金物を使用しないで、接合面を備えた木製部材相互を、接合する工法が求められている。
【0004】
従来、木製部材相互の接合構造として、次の(1)〜(3)のような接合構造が知られている。(1)棒状楔による接合又はダボによる接合、(2)板状楔による接合、(3)連続する追掛栓継工法が知られている。
【0005】
前記(1)の棒状楔による接合又はダボによる接合は、図32(a)(c)に示すように、木製部材1の重合面2に直角に木製棒状楔30又は図32(b)(c)に示すような木製短柱状のダボ31を用いた接合構造で、図32(a)に示すように、一方の木製部材1と他方の木製部材1に貫通孔32を設けて、棒状楔30を各貫通孔32に打ち込んで、木製部材1相互を連結する構造、又は図32(b)に示すように、一方の木製部材1と他方の木製部材1の接合面に凹部33を設けて、ダボ31を両凹部に圧入するように嵌合することで、木製部材1相互を連結する構造である。このような構造の場合には、木製部材1,1相互に矢印Tで示すような引張応力が作用した場合に、接合部に曲げモーメントMが発生し、その曲げモーメントMにより、重合面に直角なせん断力Pが作用し、そのせん断力Pに対して木製棒状楔30又はダボ軸方向の摩擦力で、棒状楔30又はダボ軸方向の抜け出しに耐える構造であるので、十分な接合力を得ることが困難で、構造用部材に適用することが困難である。また、前記のような木製棒状楔30及びダボ31の場合には、図32(c)に示すように、せん断力で抵抗する木製棒状楔30及びダボ31の横断面積が小さいため、矢印Tで示すような引張力Tに対して、強固な接合とすることができないという問題がある。
【0006】
前記(2)の板状楔による接合構造は、図32(d)に示すように、一方の木製部材1に重合面側が開口されている嵌合用溝34を設けると共に、他方の木製部材1に重合面側が開口されている嵌合用溝34を設け、前記木製部材相互の重合面を重合させて嵌合用溝34を対向するように合わせ、合わされた嵌合孔35に板状楔36を打ち込んで、木製部材1相互を連結する構造である。この接合構造の場合も、前記と同様に、板状楔36に矢印Tで示すような引張応力Tが作用した場合に、接合部に曲げモーメントMが発生し、その曲げモーメントMにより、板状楔36を回転させるような力及び板状部材1相互を離反させるようなせん断力Hが生じ、前記せん断力Hに対向する抵抗力が極小であるために、図32(e)に示すように、ボルト37及びナット38等の接合金具により接合する構造にする必要がある。
【0007】
前記(3)の連続する追っ掛け栓継工法の場合には、図34(a)〜(c)に示すような構造で、一方の木製部材40に係止溝を有する受け溝41及び係止突起を有する差込部42を交互に設け、他方の木製部材43に係止溝を有する受け溝44及び係止突起を有する差込部45を交互に設け、一方の木製部材40の受け溝41に他方の木製部材43における係止突起を有する差込部45を嵌合すると共に嵌合した部分の間隙に楔46を打ち込む工法である。この工法の場合は、木製部材40及び43に矢印Tで示すような引張応力Tが作用した場合に、差込部45の係止突起と、受け溝41側の係止突起に、図34(a)に矢印Pで示すような左右方向の軸力が作用し、それに伴い曲げモーメントMが発生し、その曲げモーメントMにより、図34(b)に黒矢印で示すようなせん断力Yが差込部45の前記係止突起と受け溝44側の係止突起に作用する。また、図34(c)に示すように、一方の木製部材40と他方の木製部材43に方向の異なる引張力Tが作用した場合には、差込部42先端の係止突起側をほぼ中心とする曲げモーメントMが作用し、これにより、楔46側に発生するせん断力Sと、差込部42に作用するせん断力S1は、向きが逆で大きさも異なり、差込部42側の係止突起及び受け溝44側の係止突起にせん断力Yが作用し、その負担が大きくなるという問題がる。
【0008】
また、従来、図30に示すように、角部において交差するように横方向に隣り合う一方の木製部材50の端部縦側面に第1の蟻溝51を上下方向に延長するように設けると共に、前記第1の蟻溝51に対向する第2の蟻溝52を他方の木製部材53の端部縦側面に上下方向に延長するように設け、前記各第1の蟻溝51と、第2の蟻溝52とに嵌合するように、板厚方向の前後に互に接近するように傾斜する傾斜面54を備えた木製接合部材55を嵌合させる形態の接合構造が知られている(例えば、非特許文献1参照)。図30に示す構造の場合には、図33に示すように、木製部材50と木製部材53に矢印Tで示すような引張力Tが作用した場合に、反力を片側の傾斜面54で受けるようになり、しかも、蟻溝開口部側の内向き部分での剥離破壊を起こす方向に応力が加わり、木製部材50の第1の蟻溝51又は木製部材53の第2の蟻溝52の部分が損傷する恐れが高いという問題がある。
【0009】
また、図31(a)(c)(f)(g)に示すような接合構造も知られている(例えば、非特許文献2参照)。図31(a)の接合構造の場合は、並列して横方向に隣り合う一方の木製部材50と他方の木製部材53を、これらの対向する側端面に設けた第1の蟻溝51と第2の蟻溝52とに渡って、図31(b)に示すような木製接合部材55を嵌合した接合形態である。図31(c)の接合構造の場合は、一方の木製部材50又は他方の木製部材53に、図31(d)に示すような蟻溝51又は蟻溝52が形成されている場合に、図31(e)に示すような接合部材55を第1の蟻溝51と第2の蟻溝52に渡って嵌合して接合した形態である。また、図31(f)の場合は、第1の蟻溝51と第2の蟻溝52とが、奥部側が中空円柱状の蟻溝とされ、また、木製接合部材55の両端部に円柱状部を備えた木製接合部材55を嵌合して接合した形態である。また、図31(g)に示す形態では、並列して横方向に隣り合う一方の木製部材50と他方の木製部材53との端部間に渡って、鋼板製波形接合部材56を打ち込むようにして、横方向に隣り合う木製部材相互を接合した形態である。
前記の図31(f)に示す構造の場合で、木製接合部材50が楔状部材で、第1の蟻溝51と第2の蟻溝52が長孔の場合、図33(b)に示すように、楔状の木製接合部材55の打ち込み作業が困難であるという問題がある。また、木製接合部材55の中間部の板厚が薄いため、せん断抵抗が小さく接合力も小さいという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】木組み・継手と組手の技法 P32 大工道具研究会編集 発行所:株式会社誠文堂新光社 2011年3月10日第2刷
【非特許文献2】中原靖夫著、建築木構造工作図集 P26 発行所:理工学社 1967年12月15日 初版発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図32或は図33(a)〜図33(b)に示すような蟻溝51を有する木製部材50と蟻溝52を有する木製接合部材53とを木製接合部材55により接合する構造では、次のような問題がある。蟻溝51と蟻溝52とを合わせた平面形状と木製接合部材55の平面形状を一致させる場合には、高度な熟練を要し、高い加工コストになり、高価な接合構造になるという問題がある。蟻溝51と蟻溝52とを合わせた平面形状よりも木製接合部材55の平面形状が小さい場合には、がたが生じ、接合力が弱くなり、確実な接合ができないという問題がある。また、蟻溝51と蟻溝52とを合わせた平面形状よりも木製接合部材55の平面形状を大きい場合には、強制的に圧入することになり、圧入時に、蟻溝開口端部側において応力集中を起こして、開口部よりの部分では肉厚が薄い部分であるため、その部分に抵抗応力或は曲げ力が作用することになるため、前記の薄肉部分で木製部材が損傷する恐れがあり、また、木製部材の上下の高さ方向(又は厚さ方向)の全長に渡って、また、木製接合部材55の上下の高さ方向(又は厚さ方向)の全長に渡って、均一に木製接合部材55による押圧力を作用させることは困難であるという問題がある。
【0012】
図31(g)に示す形態では、鋼板製波形接合部材56を並列する木製部材50と53の端部に渡って打ち込んで接合する形態では、鋼板製波形接合部材56の板厚が1mm以下と薄い場合には、適用できるが、鋼板製波形接合部材56の板厚寸法が1mm以上と厚くなると、木製部材が割れる恐れが高くなり、そのような接合構造を採用することもできない等の問題がある。
【0013】
本発明は、確実に木製部材相互を接合できる木製部材の接合構造及び構造用木製部材並びに接合工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明の木製部材相互の接合構造では、断面で重合される面側の開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝で、溝長手方向に連続した接合用溝を間隔をおいて平行に備えた木製部材相互が重合され、各木製部材の前記接合用溝は、木製部材相互の重合面を中心として対称となるように設けられて、対向する前記接合用溝による閉鎖接合用孔がそれぞれ形成され、その各閉鎖接合用孔における前記各接合用溝に渡って、前記接合用溝の奥部側が厚肉となっている係止凸部を前記重合面を中心として対称に有する木製接合部材が前記閉鎖接合用孔に挿入配置されている木製部材相互の接合構造であって、前記木製接合部材の背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が設けられて、前記木製部材及びその各係止凸部が溝幅方向に移動されて、木製部材の接合用溝の内側面に押圧されていることを特徴とする。
【0015】
第2発明では、第1発明の木製部材相互の接合構造において、前記接合用溝は、断面で溝幅方向に対称形状とされていると共に、前記閉鎖接合用孔は、断面で溝幅方向に対称形状とされ、前記閉鎖接合用孔における接合用溝幅方向に、木製接合部材が2つ背面相互が重合するように設けられ、前記2つの木製接合部材の背面相互に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面が設けられていることで、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が形成されていることを特徴とする。
【0016】
第3発明では、第1発明の木製部材相互の接合構造において、前記接合用溝は、断面で溝幅方向に対称形状とされていると共に、前記閉鎖接合用孔は、断面で溝幅方向に対称形状とされ、前記閉鎖接合用孔における接合用溝幅方向に、木製接合部材が2つ間隔をおいて対称に設けられ、前記2つの木製接合部材の対向する背面相互間に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が介在されていることを特徴とする。
【0017】
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの木製部材相互の接合構造において、前記閉鎖接合用孔は、木製部材相互の重合面に接続すると共に、前記重合面に対称な傾斜面、又は円弧状面、或は木製部材相互の重合面に対称であると共に木製部材相互の重合面に直角な支承面を備えている蟻溝とされていることを特徴とする。
第5発明では、第3発明の木製部材相互の接合構造において、木製接合部材の背面と、押圧用の楔装置との係合面のいずれか一方に係合用凸部、他方に係合用凹部を備え、前記係合用凸部と係合用凹部とが、閉鎖接合用孔の長手方向に渡って嵌合されていることを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第5発明のいずれかの木製部材相互の接合構造において、接合用溝を備えた木製部材は、板幅方向に並列する複数の部材が一体化されている部材であることを特徴とする。
第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの木製部材相互の接合構造を備えている、木製床パネル、木製壁パネル、木製梁、木製柱のいずれかの構造用木製部材とする。
第8発明の木製部材相互の接合工法では、第1発明〜第6発明の木製部材相互の接合構造とするための木製部材相互の接合工法であって、前記木製接合部材とその背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる前記押圧用の楔装置とを挿入した後、前記楔用傾斜面の部分で相対的に移動させることで、前記木製部材及びその各係止凸部が溝幅方向に移動させて、木製部材の接合用溝の内側面に押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明の木製部材相互の接合構造によると、断面で重合される面側の開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝で、溝長手方向に連続した接合用溝を間隔をおいて平行に備えた木製部材相互が重合され、各木製部材の前記接合用溝は、木製部材相互の重合面を中心として対称となるように設けられて、対向する前記接合用溝による閉鎖接合用孔がそれぞれ形成され、その各閉鎖接合用孔における前記各接合用溝に渡って、前記接合用溝の奥部側が厚肉となっている係止凸部を前記重合面を中心として対称に有する木製接合部材が前記閉鎖接合用孔に挿入配置されている木製部材相互の接合構造であって、前記木製接合部材の背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が設けられて、前記木製部材及びその各係止凸部が溝幅方向に移動されて、木製部材の接合用溝の内側面に押圧されているので、木製部材相互を容易に一体化することができるため、木製部材の重合一体化が容易であり、しかも木製接合部材を各木製部材に対して、閉鎖接合溝の長手方向の全長に渡って、溝幅方向に均等に押し付けた状態で、木製部材相互を接合することができるため、一方の木製部材の部材長手方向に作用する引張応力又は圧縮応力を、木製接合部材を介して、他方の木製部材に伝達することができると共に、しかも閉鎖接合用孔の長手方向の全長に渡って分散することができる。そのため、一方の木製部材と他方の木製部材がほぼ均等に引張応力を、溝長手方向の全幅に渡って負担することができるため、重合部材として部材の強度を容易に高めることができる等の効果が得られる。
【0019】
第2発明によると、第1発明の木製部材相互の接合構造において、前記接合用溝は、断面で溝幅方向に対称形状とされていると共に、前記閉鎖接合用孔は、断面で溝幅方向に対称形状とされ、前記閉鎖接合用孔における接合用溝幅方向に、木製接合部材が2つ背面相互が重合するように設けられ、前記2つの木製接合部材の背面相互に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面が設けられていることで、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が形成されているので、第1発明の効果に加えて、さらに、2つの木製接合部材に、楔装置を付加させた構造になっているので、接合構造が簡単であると共に、木製部材の接合に要する部品点数を少なくすることができ、安価な木製部材の接合構造とすることができる等の効果が得られる。
【0020】
第3発明によると、第1発明の木製部材相互の接合構造において、前記接合用溝は、断面で溝幅方向に対称形状とされていると共に、前記閉鎖接合用孔は、断面で溝幅方向に対称形状とされ、前記閉鎖接合用孔における接合用溝幅方向に、木製接合部材が2つ間隔をおいて対称に設けられ、前記2つの木製接合部材の対向する背面相互間に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が介在されているので、第1発明の効果に加えてさらに、接合用溝を溝幅方向に直角な中心軸線に対して対称な形状とすることができ、また、閉鎖接合用孔を重合面を中心にして対称な形状とすることができ、溝形状を簡単な形状とすることができるので、その内側面に押圧するように当接させる木製接合部材の断面形状の同様に簡単な形状とすることができ、また、溝幅方向の両側に木製接合部材を配置しているので、溝幅方向の両側において、各木製部材を確実に木製接合部材により接合することができる等の効果が得られる。
【0021】
第4発明によると、第1発明〜第3発明のいずれかの木製部材相互の接合構造において、前記閉鎖接合用孔は、木製部材相互の重合面に接続すると共に、前記重合面に対称な傾斜面、又は円弧状面、或は木製部材相互の重合面に対称であると共に木製部材相互の重合面に直角な支承面を備えている蟻溝とされているので、木製接合部材から各木製部材に均等に応力を伝達することができ、また、重合面に直角な支承面を備えている場合には、その重合面に直角な支承面から引張力又は圧縮力を確実に伝達することができる等の効果が得られる。
第5発明では、第3発明の木製部材相互の接合構造において、木製接合部材の背面と、押圧用の楔装置との係合面のいずれか一方に係合用凸部、他方に係合用凹部を備え、前記係合用凸部と係合用凹部とが、閉鎖接合用孔の長手方向に渡って嵌合されているので、木製接合部材と押圧用の楔装置とが別個の部品である場合には、木製接合部材と押圧用の楔装置とを確実に係合させて、木製接合部材とこれに当接する押圧用の楔側との木製部材厚さ方向のずれを防止することができる等の効果が得られる。
第6発明によると、第1発明〜第5発明のいずれかの木製部材相互の接合構造において、接合用溝を備えた木製部材は、板幅方向に並列する複数の部材が一体化されている部材であるので、接合用溝を備えた木製部材が板幅方向に並列する複数の部材が一体化されている部材であっても、板厚方向で一体化することができる。
第7発明によると、第1発明〜第6発明のいずれかの木製部材相互の接合構造を備えている、木製床パネル、木製壁パネル、木製梁、木製柱のいずれかの構造用木製部材とするので、木製部材相互が接合されて強度が高められた部材とすることができる等の効果が得られる。
第7発明の木製部材相互の接合工法では、第1発明〜第5発明の木製部材相互の接合構造とするための木製部材相互の接合工法であって、前記木製接合部材とその背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる前記押圧用の楔装置とを挿入した後、前記楔用傾斜面の部分で相対的に移動させることで、前記木製部材及びその各係止凸部が溝幅方向に移動させて、木製部材の接合用溝の内側面に押圧するので、木製接合部材と楔装置を組み合わせた簡単な方法で、木製部材相互を閉鎖接合用孔長手方向の全長に渡って確実に接合することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)〜(f)は、それぞれ、本発明の第1〜第6実施形態の木製部材相互の接合構造を示す縦断正面図である。
【図2】(a)〜(f)は、それぞれ、本発明の第7〜第12実施形態の木製部材相互の接合構造を示す縦断正面図である。
【図3】(a)〜(f)は、木製部材に設ける孔の形態を示す縦断正面図である。
【図4】(a)〜(d)は、木製部材に設ける孔の形態を示す縦断正面図である。
【図5】図1(a)に示す木製部材の接合構造の横断平面図である。
【図6】図1(a)に示す木製部材の接合構造とする直前の状態を示す横断平面図である。
【図7】図1(b)に示す木製部材の接合構造の一例を示し、(a)は板状の木製部材を重合させて閉鎖接合用孔が形成されている状態の縦断正面、(b)は木製接合用部材を示す断面図、(c)は板状の木製部材相互を木製接合用部材及び楔装置により接合している状態を示す断面図である。
【図8】(a)は、図1(b)又は図7等の接合構造に用いることが可能な楔装置を示す正断面図で(b)図における矢視断面図、(b)は平断面図である。
【図9】(a)は背面側に楔装置を備えた一対の木製接合部材を溝幅方向に小さくして挿入した状態を示す横断平面図、(b)は(a)の縦断正面図である。
【図10】(a)は背面側に楔装置を備えた一対の木製接合部材を溝幅方向に幅を広げて設置した状態を示す横断平面図、(b)は(a)の縦断正面図である。
【図11】(a)は、傾斜面及び境界段差部を有する2つの木製接合部材により木製部材を接合した状態を示す縦断正面図、(b)は、楔装置を背面側に備えた複数の木製接合部材を背中合わせに配置した状態を取り出して示す平断面、(c)は木製接合部材を取り出して示す正面断面図で(b)図の矢視端面図である。
【図12】(a)は、傾斜面及び境界段差部を有する2つの楔片を有する楔装置と木製接合部材により木製部材を接合した状態を示す縦断正面図、(b)は、直列に楔片を配置した楔装置を取り出して示す平断面、(c)は木製楔装置を取り出して示す正面断面図で(b)図の矢視端面図である。
【図13】楔装置により木製接合部材と楔装置を溝幅方向に押圧して木製部材相互を連結した状態を示す横断平面図である。
【図14】本発明の木製部材の接合構造を採用して3枚以上の木製部材を板厚方向に一体に連結した代表例としての第1例の構造用木製部材を示す断面図である。
【図15】本発明の木製部材の接合構造を採用して3枚以上の木製部材を板厚方向に一体に連結した代表例としての第2例の構造用木製部材を示す断面図である。
【図16】本発明の木製部材の接合構造を採用して3枚以上の木製部材を板厚方向に一体に連結した代表例としての第3例の構造用木製部材を示す断面図である。
【図17】本発明の木製部材の接合構造を採用して3枚以上の木製部材を板厚方向に一体に連結した代表例としての第4例の構造用木製部材を示す断面図である。
【図18】(a)は楔装置を示す横断平面図、(b)は複数の楔片を直列に配置している形態の楔装置を示す横断平面図である。
【図19】(a)は楔装置の幅を小さくした状態を示す平面図、(b)は楔装置の幅を大きくした状態を示す平面図である。
【図20】木製部材相互を重ね合わせて閉鎖接合用孔を形成した状態を示す第1例の正面図である。
【図21】木製部材を並列配置すると共に必要に応じ一体化し、木製部材における接合用溝を直列に形成した形態を示す斜視図である。
【図22】木製部材相互を重ね合わせて閉鎖接合用孔を形成した状態を示す第1例の正面図である。
【図23】図22における一部の木製部材を取り除いて示す斜視図である。
【図24】木製部材を並列配置すると共に必要に応じ一体化し、木製部材における接合用溝を部材長手方向に傾斜して直列に形成した形態を示す斜視図である。
【図25】木製部材を並列配置すると共に必要に応じ一体化し、木製部材における接合用溝を部材長手方向に傾斜して直列に形成した縦横の部材で、傾斜して直線状の閉鎖接合用孔を形成した形態を示す斜視図である。
【図26】木製部材を並列配置すると共に必要に応じ一体化し、木製部材における接合用溝を部材長手方向に傾斜して直列に形成し部材相互を対向するように重合して、傾斜して直線状の閉鎖接合用孔を形成した形態を示す斜視図である。
【図27】(a)〜(g)は、本発明において使用する各種木製接合部材の一端側の斜視図である。
【図28】(a)(b)は、楔装置の他の形態を示す横断平面図である。
【図29】本発明において、並列して隣り合う木製部材を板厚方向に片側に配置した込栓によりパネルに一体化したパネル相互を、本発明の接合構造により一体化した形態を示す縦断正面図である。
【図30】角部において交差するように横方向に隣り合う一方の木製部材と他方の木製部材とに蟻溝を設けて接合部材により接合する場合の分解斜視図である。
【図31】(a)(c)(f)は、横方向に隣り合う一方の木製部材と他方の木製部材とに蟻溝を設けて接合部材により接合した状態を示す平面図、(b)は(a)の接合構造に用いる接合部材の斜視図、(d)は(c)の接合構造の場合に用いる一方の木製部材の斜視図、(e)は(c)の接合構造に用いる接合部材の斜視図、(g)は横方向に隣り合う一方の木製部材と他方の木製部材とを鋼板製波形接合部材により接合した状態を示す平面図である。
【図32】(a)〜(e)は従来の木製部材の接合構造例を示す断面図である。
【図33】(a)〜(b)は従来の木製部材の接合構造例を示す断面図である。
【図34】(a)〜(c)は従来の木製部材の接合構造例を示す断面図である。
【図35】(a)は図1(d)に示す形態の場合に、木製部材に引張力が作用した場合の説明図、(b)は、木製接合部材に傾斜面を有する係合部を備えた形態である場合に、ガイドして嵌入しやすい形態となっていることを示す説明図である。
【図36】木製部材が並列した複数の板状片を結合した部材であり、そのような木製部材に対して、本発明の木製部材相互の接合構造を適用した形態を示すものであって、(a)(b)は、並列した複数の板状片を結合した木製部材を示す側面図と正面図、(c)(d)は、(a)(b)に示す木製部材を重合して一体化した状態を示す側面図と正面図である。
【図37】(a)は、図36(b)の上部及び下部を拡大して示す断面図、(b)は変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1(a)〜(f)には、それぞれ、本発明の第1〜第6実施形態の木製部材相互の接合構造の縦断正面図が示され、図2(a)〜(f)には、それぞれ、本発明の第7〜第12実施形態の木製部材相互の接合構造の縦断正面図が示され、図3(a)〜(e)及び図4(a)〜(d)には、各木製部材に設ける接合用溝と合わされた接合用溝により形成されている閉鎖接合用孔が示されている。また、図27(a)〜(g)には各種の木製接合部材の一端側の斜視図が示されている。まず、本発明の木製部材の接合構造における主として共通している構造について、図1(c)及び図3(c)を代表形態として参照して、最初に説明し、個々の実施形態においては、相違している部分を主として説明する。
【0025】
図3(c)に示すように、断面で、木製帯板又は木製角材からなる木製部材1における重合される面2側に、開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝3が設けられ、接合用溝3は、図21に示すように、部材幅方向に全長に渡って連続して設けられている。また、前記の接合用溝3が、木製部材1の長手方向に間隔をおいて平行に設けられている。前記の接合用溝3は、図21に示すように、木製部材1の長手方向に直角に連続する接合用溝としてもよく、図24に示すように、木製部材1の長手方向に傾斜した接合用溝としてもよい。前記の傾斜した接合用溝3の木製部材1長手方向に対する傾斜角は、木製部材の長手方向に対して、0°を越え、180度未満の適宜の傾斜角度を設定することもできるが、実用上は、例えば、15°、30°、45°、60°、75°等の傾斜角度とすればよい。
【0026】
前記のような接合用溝3を部材長手方向に間隔をおいて形成されている、断面角形、断面長方形の平板状の木製部材1を並列配置すると共に各接合用溝3を直列に接続した状態が図21又は図24に示されている状態である。
【0027】
図21又は図24に示すような状態で並列する木製部材1を一体化されたパネルユニットとするために、例えば、図29(a)(b)に示すように、同面状に並列配置する断面ほぼ台形状の各木製部材1に、部材長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する貫通孔4を設けて、並列する木製部材1の各貫通孔4に渡って、帯板状の木製楔又は込栓5を圧入して、片側の木製パネルユニット6を形成したり、並列する各木製部材1の側端面に、部材幅方向のずれを拘束する傾斜したしゃくり面7を有するしゃくり面付き係合部8を設けた板状の木製部材1を上下に交互に配置して相互のしゃくり面付き係合部8を係合させ、隣り合う木製部材1の幅方向に渡って帯板状の木製楔又は込栓5を圧入して、予め、片側の木製パネルユニット6を形成してもよい。なお、図29(a)(b)に示す形態は、木製パネルユニット6相互を本発明の木製部材相互の接合構造により、板厚方向に一体化した構造が示されているが、この構造については、再度、後記において説明する。
【0028】
前記のようにして、図21又は図24に示すように、板状等の木製部材1が並列配置されて、必要に応じ予め、一体化された木製パネルユニット6とされ、そのような木製パネルユニット6相互又は、接合用溝3の配置間隔が同じピッチで設けられている木製パネルユニット6相互が重合されている。各木製部材1の前記接合用溝3は、木製パネルユニット6相互の重合面2、換言すると、木製部材相互の重合面を中心として対称となるように設けられて、図20図23又は図25或は図26に示すように、対向する前記接合用溝3による閉鎖接合用孔9が木製部材1の幅方向にかつ並列する木製部材1の幅方向全長に渡って連続して形成されている。
【0029】
図23に示す形態は、壁パネル等を形成するための配置形態の一例であり板幅方向に半ピッチずらした形態であり、図25に示す形態は、横方向に延びる並列する木製部材1と、縦方向に伸びる並列する木製部材1との接合用溝3を、重合面を中心にして対向して対称配置するように設けて、各木製部材1の長手方向に対して傾斜した閉鎖接合用孔9を形成した形態である。図26に示す形態は、前後の横方向に延びる木製部材1の接合用溝3が同じ方向に傾斜し、これにより形成される隣り合う閉鎖接合用孔が、同じ方向に傾斜する閉鎖接合用孔9とした形態である。接合用溝3の形態及びその接合用溝3が対向して合わさることにより形成される閉鎖接合用孔9としては、図3(c)に示すような形態以外にも、図3(a)(b)(d)(e)、図4(a)〜(d)に示すような形態が可能である。
【0030】
前記のような閉鎖接合用孔9に、例えば、図5に示すように、溝長手方向に伸びる木製接合部材10及び木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置12を設けて、木製部材1相互の重合面近傍で挟むようにして接合し一体化している。前記の押圧用の楔装置12は、木製接合部材10相互の背面側を楔用の傾斜面17とすることで、それ自身に設ける形態としても、接合用溝3の幅方向に隣接して、別個に溝長手方向に設ける形態としてもよい。木製接合部材10を溝幅方向に間隔をおいて2つ設ける形態では、その間に楔装置12を設ける形態としてもよく、その場合に、木製接合部材10と楔装置12との係合部を、嵌合させて係合させる形態としてもよい。以下、より具体的に図1(a)に示す形態から順に説明する。
【0031】
図1(a)、図3(a)、図5及び図6を参照して、本発明の第1実施形態の木製部材の接合構造について説明する。断面で、木製部材1が重合される面側に、開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝3が設けられている。その接合用溝3は、溝幅方向の一端の溝内側側壁面が、重合面に対して垂直な溝内側垂直壁面13とこれに接続する係止用溝14を備えた溝内側側壁面とされ、溝幅方向の他端の溝内側側壁面が、重合面に垂直な溝内側垂直壁面13とされ、他方の溝内側垂直壁面13と係止用溝14内側面とが、重合面に平行な溝内側底面15に接続されて、断面で重合される面側の開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝3が形成されている。そのような接合用溝3を、間隔をおいて平行に複数設けている木製部材1とし、そのような各木製部材1を対向するように、接合用溝3が重合面を中心として対称配置となるように木製部材1を合致させる。又は並列する木製部材1と並列する木製部材1を対向させるように重合させる。このように木製部材1相互を重合させることで、又は並列する木製部材1相互を重合させることで、閉鎖接合用孔9を形成し、このような閉鎖接合用孔9を、間隔をおいて平行に複数設ける。
【0032】
前記の閉鎖接合用孔9は、木製部材1における部材長手方向に間隔をおいて木製部材1の幅方向に貫通するように複数設ける。なお、必要に応じ、図22に示すように、板幅方向に並列する部材の端部側に隣接する木製部材1相互で共同して形成される接合用溝3を利用した閉鎖接合用孔9としてもよい。このような場合には、木製部材1の端部に接合用溝3の片側のみ形成しておけばよい。
【0033】
図1(a)の形態では、前記のような閉鎖接合用孔9に、図6に示すように、溝幅方向の一側部に木製接合部材10を配置すると共に、一対の木製楔片16を点対称に配置すると共に各傾斜面17を対向するように重合させてなる楔装置12を、横幅寸法を小さい状態で配置した後、前記一対の木製楔片16を、溝幅方向の幅寸法が大きくなる方向に押し込んで、一方の木製楔片16の背面により木製接合部材10を押圧して、木製接合部材10を溝幅方向の一方の各溝内側垂直壁面13及び係止用溝14に係合させて押圧させ、他方の木製楔片16の背面全面を、他方の溝内側垂直壁面13に押圧するように、各木製楔片16を押し込む。このようにして、板厚を増すことが可能な接合構造としている。なお、閉鎖接合用孔9の溝高さ寸法よりも僅かに小さい木製接合部材10及び木製楔片16とすると、挿入作業が容易になり、長尺の木製接合部材10及び木製楔片16であっても、並列する木製部材1の接合用溝3に渡って挿入することが容易になるが、閉鎖接合用孔9の溝高さ寸法とほぼ同じ寸法としてもよい。
【0034】
前記の木製接合部材10は、図1及び図6或は図13に示すように、閉鎖接合用孔9における各溝内側垂直壁面13及び係止用溝14に合致させるために、部材長手方向に直角な断面で、溝幅方向の一端側に対応して、一側面に、重合面に対して垂直な側壁面18及び係合突起19を備え、反対側には、楔装置12に対応して、重合面に垂直な側壁面20を備えている。前記係合突起19の側壁面18側の傾斜面の傾斜角度(重合面2とのなす角度)は、例えば、5°〜20°程度(例えば、5°、10°、15°、20°)でよく、この角度は小さい角度であるほうが、係合突起19に作用するせん断力が小さくなるので、望ましい。
【0035】
前記の一対の木製楔片16を有する楔装置12としては、図18(a)又は図19(a)(b)に示すように、片面が平坦面21であり、反対面に勾配を有する傾斜面17を有する一対の木製楔片16からなる楔装置12で、多数の傾斜面17が、それぞれの境界段差部22を介して連続して設け、一対の楔片16をそれぞれの傾斜面17を密接して重ねた形態の楔装置12としてもよい。閉鎖接合用孔9内に設置する楔装置12が短い場合には、図18に示すように、楔片16の傾斜面17及び境界段差部22のピッチを合わせるようにして、直列に複数の楔片16を配置するようにした楔装置とすることでもよい。なお、図19に示す形態は、溝幅方向の移動量が少なくてよい形態の楔装置12で、このような楔装置を使用することでもよい。
【0036】
なお、木製部材1の接合用溝3から突出した木製接合部材9と木製楔装置12の端部は、適宜切断して、木製部材の端面に合わせるようにする(図示を省略した)。
【0037】
図29に示す木製部材又は木製パネルユニット6等の木製部材の接合構造では、木製部材1又は木製パネルユニット6に形成された接合用溝3とし、そのような木製部材1又は木製パネルユニット6を重合面2で重合して閉鎖接合用孔9を形成し、その閉鎖接合用孔9に、楔装置12を有する一対の木製接合部材10を挿入すると共に、溝幅方向に拡幅して、木製接合部材1を接合した接合構造としている。
【0038】
図1(b)に示す第2実施形態では、閉鎖接合用孔9の溝幅方向で、閉鎖接合用孔9及び木製接合部材10の一端側及び閉鎖接合用孔9及び木製接合部材10の他端側は、前記第1実施形態と同様であるが、木製接合部材10と楔装置12との係合構造が、前記実施形態と相違している。この形態では、木製接合部材10と、押圧用の楔装置12との係合面のいずれか一方に係合用凸部23、他方に係合用凹部24を備え、前記係合用凸部23と係合用凹部24とが、閉鎖接合用孔9の長手方向に渡って連続して嵌合されている。図示の形態では、木製接合部材10は、部材長手方向に直角な断面で、上下左右に対称な形状とされ、高さ方向の両側の係合突起19間において係合用凹部24を形成して、反転配置しても、反転しなくても同じように使用可能な木製接合部材10とされている。また、楔装置12側の一方の楔片16には、閉鎖接合用孔9の高さ方向の両側に段部を有すると共に中央部に、平坦な押圧面で、重合面2に垂直な押圧面を備え、重合面2に対して、一端側が上下対称な係合用凸部23を備えた形態の楔片16が用いられている。そして、木製接合部材10の係合用凹部24と一方の楔片16の係合用凸部23が嵌合するように係合されている。このように、木製接合部材10と一方の楔片16とが、嵌合されていることで、木製接合部材10と一方の楔片16との閉鎖接合用孔9高さ方向のずれを防止すると共に、楔片16の偏心を防止することができる。また、図示の形態では、木製接合部材10の係止凸部19における重合面側の内側面を緩傾斜の内側傾斜面とし、これに係合可能に、楔片16側における係合用凸部23は先細状となるように外側を傾斜面としている。図8(a)に楔装置12を取り出した断面が示され、(b)には拡大した平断面を示している。前記係合突起19の側壁面24側の傾斜面の傾斜角度(重合面2とのなす角度)は、係合用凸部23側の傾斜面の傾斜角度と同じで、例えば、5°〜20°程度(例えば、5°、10°、15°、20°)でよく、この角度は小さい角度であるほうが、係合突起19に作用する曲げ力が小さくなるので、望ましい。前記係合突起19側の傾斜面と係合用凸部23側の傾斜面が相互に圧着されている。前記係合突起19側の傾斜面と係合用凸部23側の傾斜面の相互の案内作用によりガイドされて係合させることができる。以下の実施形態でも同様である。
【0039】
図8に示す楔装置12では、楔片16相互の重ね合わせ面側に、多数の平行な傾斜面17が、それぞれの境界段差部22を介して連続して設けた形態の楔装置12である。なお、楔片16の長さが短い場合には、例えば、楔の断面形態が異なるが、図11(b)に示すように、傾斜面17及び境界段差部22が、交互に連続するように、楔片16を直列に設置することで、また、木製接合部材10も同様に直列に設置することで、接合用溝3が長い場合にも対応可能である。
【0040】
図1(c)に示す第3実施形態では、接合用溝3は、溝幅方向(図1cの左右方向)に直角な中心軸線に対して左右対称形状の断面形態とされ、木製部材1が重合されて形成される閉鎖接合用孔9も、溝幅方向に直角な中心軸線に対して左右対称形状の断面形態とされている。接合用溝3の溝幅方向の一端側は、図1(a)の場合と同様であり、他端側は、前記一端側と対称形状とされている。すなわち、溝幅方向の他端の溝内側側壁面が、重合面に対して垂直な溝内側垂直壁面13とこれに接続する係止用溝14を備えた溝内側側壁面とされている。また、左右一対の木製接合部材10により、溝幅方向に拡幅可能にされており、各左右の木製接合部材10の背面側が溝長手方向に傾斜する傾斜面17とされ、一方が溝長手方向に漸次板厚が厚くなるような傾斜面17、他方が溝長手方向に漸次板厚が薄くなるような傾斜面17とされ、傾斜面相互を重合させ、互いの板厚が厚くなるように圧入することで、両木製接合部材10を溝幅方向に移動させて、各木製接合部材10を、各木製部材1の接合用溝3内側面を押圧した状態で接合し、一体化している接合構造とされている。図9には、木製接合部材10相互による溝幅方向の寸法を小さくした状態で、閉鎖接合用孔9に一対の木製接合部材10を挿入配置した状態が示され、図10には、各木製接合部材10を圧入して、溝幅方向に係合部を移動させて、各木製接合部材10を閉鎖接合用孔9の内側面に押圧させた状態が示されている。図1(c)に示す形態では、木製接合部材10相互の当接面に傾斜面17を備えた形態とすることで、木製接合部材10相互の背面相互で楔装置12を形成した形態であり、楔片16を省略可能な形態としている。
【0041】
図1(c)の形態で、各木製接合部材10の重合させる部分を、境界段差部22を介して傾斜面17を接続している形態の木製接合部材10に置き換えた形態が、図11(a)(b)(c)に示されている。その他の形態は、図1(c)に示す形態と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付している。
【0042】
図35を参照して、図1(c)に示す第3実施形態及び図1(d)に示す第4実施形態の接合構造に引張応力Tが作用した場合について説明すると、図35(a)に示すように、前記の引張応力Tに伴って、木製部材1側から木製接合部材10に、木製部材相互の重合面に垂直な各押圧面から木製接合部材10の各側面に押圧力Pが作用するようになっており、このことは、部材長手方向の引張応力Tに対して直角な面で抵抗力を受け止める構造になっているため、傾斜面とする場合に比べて、接合用溝3の開口部側の係止凸部11に大きなせん断力が作用しない構造になっている。また、一対の木製接合部材10は溝幅方向の両側で木製部材1側に、部材長手方向と平行な面を有する係止凸部11で係止されているため、木製接合部材10の回転が阻止され、また、木製接合部材10に対するせん断力に伴う剥離応力も、溝幅方向の両側で方向が異なるため打ち消し合う構造になっている。なお、図2(a)(c)(e)又は(b)(d)(f)に示す構造に比べて、図1(a)(b)(c)(e)(f)に示す接合構造の方が、木製接合部材10及び接合用溝3における係止部に作用するせん断力が小さく、さらに図2(d)の方が、木製接合部材10及び接合用溝3における係止部に作用する曲げ力を小さくすることができる。なお、本発明の接合構造では、木製接合部材10及び接合用溝3における係止部(係止凸部19及び係合用凸部11)には、楔作用による圧縮力が作用しているため、溝幅方向のがたはなく、しかも閉鎖接合用孔9の全長に渡って、木製接合部材10及び楔装置12が設置されてほぼ均等に圧縮力が作用している状態であるため、部材幅方向の全長に渡って応力を確実に分散して伝達することができる構造になっている。なお、図35(b)に示すように、木製接合部材10は、傾斜面を有する係合凸部19を備えた形態であり、係合用溝14側の傾斜面と相まって、係合凸部19をガイドして嵌入しやすい形態となっている。図35(b)の状態では、一対の木製接合部材10を溝幅方向に狭幅として、閉鎖接合用孔9に挿入して、一対の木製接合部材10を溝幅方向に拡幅する直前の状態を示している。
【0043】
図1(d)に示す第4実施形態は、閉鎖接合用孔9の係止用溝14と、木製接合部材10の係止凸部19とに、傾斜面を設けることなく、角形形態とした以外は、図1(c)に示す前記実施形態と同様である。係止用溝14に係止凸部19を嵌合する場合に傾斜面を設けることで、係止凸部19は傾斜面によるガイド作用により、嵌合が容易になるが、図1(d)に示すように、係止用溝14の底部及び係止凸部19の先端部を角形断面形態としてもよい。
【0044】
図1(e)に示す第5実施形態では、接合用溝3の幅を広げると共に、接合用溝3を溝幅方向(又は重合面)に直角な方向の中心軸線に対して左右対称とし、閉鎖接合用孔9を上下左右対称とし、図1(a)に示す形態の木製接合部材10を接合用溝3の溝幅方向の両側に配置し、その間に一対の木製楔片16を有する楔装置12を配置し、楔装置12の各楔片16を溝長手方向に相対的に圧入するように移動させることにより、各木製接合部材10を溝幅方向に押圧移動させて、閉鎖接合用孔9の内側側壁面に押圧して、木製部材1相互を接合一体化した接合構造である。この形態の場合は、溝幅方向の両側の木製接合部材10が同じ断面形態の部材で、木製接合部材10の重合面が平坦な面である点で加工が容易になると共に、楔片16を有する楔装置12の構成も簡単な構造にできる。
【0045】
図1(f)に示す第6実施形態では、図1(b)に示す形態をさらに変化させた形態で、接合用溝3の幅を広げると共に、接合用溝3を溝幅方向(又は重合面)に直角な方向の中心軸線に対して左右対称とし、閉鎖接合用孔9を上下左右対称とし、図1(b)に示す形態の木製接合部材10を溝幅方向の左右にそれぞれ配置し、それらの間に楔装置12を配置して、各木製接合部材10の溝幅方向に移動させて、閉鎖接合用孔9の溝内側側壁面に押圧して、木製部材相互を接合一体化した接合構造である。前記のようにするために、接合用溝3の溝幅方向の両側には、重合面に直角で平坦な溝内側垂直壁面13を設けていると共にこれに接続する係止用溝14を設けている。また、楔装置12における他方の楔片16には、溝長手方向に連続する係合凸部23と、その係合凸部23の両側に段部を設けている点は、図1(b)に示す形態と同様である。
【0046】
図2(a)、図4(a)、図13を参照して、本発明の第7実施形態の木製部材の接合構造について説明する。各木製部材1に部材長手方向に間隔をおいて設ける接合用溝3は、断面で、木製部材1重合される面側に、開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい。前記接合用溝3の溝幅方向の一端の溝内側の側壁面が、重合面に向って漸次溝幅が狭くなるように傾斜した傾斜側壁面25とされ、そのような傾斜側壁面25を備えた係止用溝14とされ、溝幅方向の他端の溝内側側壁面が、重合面に垂直な溝内側垂直壁面13とされ、傾斜側壁面25と溝内側垂直壁面13とが、重合面に平行な溝内側底面15に接続されて、断面で重合される面側の開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝3とされている。そのような接合用溝3を、木製部材1の板幅方向全幅に設け、板長手方向に間隔をおいて平行に複数設けている木製部材1とし、そのような各木製部材1を対向するように、接合用溝3が重合面2を中心として対称配置となるように木製部材1を合致させる。又は並列する木製部材1と並列する木製部材1を対向させるように重合させる。このように木製部材1相互を重合させることで、又は並列する木製部材1相互を重合させることで、閉鎖接合用孔9を形成し、このような閉鎖接合用孔9を、間隔をおいて平行に複数形成するようにしている。
【0047】
前記の閉鎖接合用孔9は、木製部材1における部材長手方向に間隔をおいて複数設ける。なお、必要に応じ、前記第1実施形態における図22と同様に、重合される一方の木製部材1の中間部に対して他方の木製部材側の接合用溝3を、隣接する木製部材1の端部相互で共同して形成される接合用溝3を利用した閉鎖接合用孔9としてもよい。
【0048】
図2(a)の形態では、前記のような閉鎖接合用孔9に、図6に示すように、溝幅方向の一側部に木製接合部材10を配置すると共に、一対の木製楔片16を点対称に配置すると共に各傾斜面17を対向するように重合させてなる楔装置12を、横幅寸法を小さい状態で配置した後、前記一対の木製楔片16を、溝幅方向の幅寸法が大きくなる方向に押し込んで、一方の木製楔片16の背面により木製接合部材10を押圧して、木製接合部材10を溝幅方向の一方の各傾斜側壁面25に押圧させ、他方の木製楔片16の背面全面を、他方の溝内側垂直面13に押圧するように、各木製楔片16を押し込む。なお、閉鎖接合用孔9の溝高さ寸法よりも僅かに小さい木製接合部材10及び木製楔片16とすると、挿入作業が容易になり、長尺の木製接合部材10及び木製楔片16であっても、並列する木製部材1の接合用溝3に渡って挿入することが容易になるが、閉鎖接合用孔9の溝高さ寸法とほぼ同じ寸法としてもよい。この形態では、接合用溝3に傾斜側壁面25を備えているので、傾斜側壁面25が押圧された場合に、積極的に木製部材1相互を重合面2に向って加圧することができるため、木製部材1に引張応力が作用した場合の剥離力に対する抵抗が高まる形態である。
【0049】
前記の木製接合部材10は、閉鎖接合用孔9における各傾斜側壁面25に合致させるために、部材長手方向に直角な断面で、溝幅方向の一端側に対応して、一側面に、対称な傾斜面26を有する係止凸部19間により形成される鈍角V字状の係合溝部27を備え、その係合溝部27の反対側には、楔装置12に対応して、重合面に直角な側壁面20を備えている。
【0050】
図2(b)には、本発明の第8実施形態の木製部材の接合構造が示されている。この実施形態と、図2(a)に示す実施形態との相違している部分は、接合用溝3における溝幅方向の一端側が、断面1/4円柱状に突出する係止凸部11を備え、これに接続する溝奥部に、前記係止凸部11の円弧状面と溝幅方向の先端が平坦な内側面を備えた係止用溝14とされている。前記の接合用溝3に当接可能なように、木製接合部材10には、係止凸部19先端が平坦面とされ、断面半円状の係合溝部27を部材長手方向に連続して備えている形態の木製接合部材10を用いている。図2(a)に示す断面で直線状の傾斜面26とする場合に比べて、半円弧状の係合溝部27を有する木製接合部材10から係止凸部11に対する重合面2側への押圧力を低減することができる。その他の構造は、図2(a)に示す第7実施形態の木製部材の接合構造と同じである。
【0051】
図2(c)に示す第9実施形態では、接合用溝3を溝幅方向の両側に開口部側に向って狭くなるように傾斜側壁面25を有する接合用溝3とし、これらが合わさる閉鎖接合用孔9に対して、溝幅方向に左右2つの木製接合部材10を背中合わせに配置して、両木製接合部材10の背面に楔用の傾斜面17を設けることで、木製部材10背面相互で楔装置12を形成している。前記の楔装置12の部分は、図1(c)に示す形態と同様であり、2つの木製接合部材10の溝幅方向の端部の断面形態は、図2(a)左側の断面形態と同様である。
【0052】
図2(d)に示す第10実施形態では、図2(c)に示す第9実施形態と相違する部分は、溝幅方向の両側に1/4円柱状に突出する係止凸部11を備え、その係止凸部11に接続する溝奥部に、溝幅方向の先端が平坦な底壁面を備えた係止用溝14を備えた形態の接合用溝3とされ、及びそのような接合用溝3を、重合面2を中心にして対称な閉鎖接合用孔9とされている。また、各木製接合部材10には、溝幅方向の両端側には、断面半円状の係合溝部27を備えた形態とされ、各木製接合部材10における背中合わせの背面側に傾斜面17を設け、両傾斜面による楔装置12を備えている点は、前記図2(c)に示す形態と同様である。
【0053】
図2(e)に示す第11実施形態は、図2(c)に示す形態において、木製接合部材10の溝幅方向の背面側を傾斜面としないで、重合面に垂直な面とすると共に、木製接合部材10の背面間に、一対の楔片16を備えた楔装置12を圧入して、各木製接合部材10を溝幅方向に移動させて、溝内側の側壁面に押圧して、木製部材1相互を接合した形態である。
【0054】
図2(f)に示す第12実施形態は、溝幅方向の両側に、溝内側に突出する1/4円柱状の係止凸部11を備え、閉鎖接合用孔9では、1/2円柱状の凸部を形成し、断面半円状の係合溝部27を有する木製接合部材10を、閉鎖接合用孔9の溝幅方向の両側に配置していると共に、左右の木製接合部材10の間に、一対の木製楔片16の傾斜面17を重合させた楔装置12における各木製楔片16を圧入して、各木製接合部材10を溝幅方向に移動させて圧着し、木製部材1相互を接合構造とすることで、板厚を増している。
【0055】
図14〜図17には、本発明の木製部材の接合構造により、3枚以上、例えば、4枚の木製部材1を、間隔をおいた複数個所で接合して、剛性を高めた構造用部材(積層パネル、柱、梁、その他の構造用部材)とした形態が示されている。本発明の木製部材の接合構造を、木製部材の積層方向に同じピッチで、位相を同じにして接合した構造としてもよく、位相をずらして、千鳥配置としてもよい。なお、図14〜図17を正面視の断面とした床又は壁パネル等の積層パネルとしてもよく、図14〜図17を90°回転させた状態を正面視の断面とした柱材、図14〜図17を平面視の断面とした梁材、その他の構造用部材とすることができる。なお、各部の接合構造は、前記した実施形態と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付している。
【0056】
図28に示すように、本発明を実施する場合に、閉鎖接合用孔9に、木製接合部材10と楔片16とを設置する形態としてもよく、この場合には、木製接合部材10の背面側を傾斜面17とすると共に、一つの楔片16の片面を傾斜面17とし、両傾斜面と楔片16とにより、楔装置12を形成するようにしてもよい。また、図28(b)に示すように、閉鎖接合用孔9内に、溝幅方向に背面側に傾斜面を有する2つの木製接合部材10を対称に配置することで、2つの楔用の傾斜面17を、間隔をおいて対称配置し、前記各木製接合部材10の傾斜面17と、両側面にそれぞれ傾斜方向の異なる傾斜面17を有する一つの楔片16とを組合せた楔装置12とすることも可能である。
【0057】
図29に示す形態の変形形態として、図36及び図37に示す代表形態として示すような形態も可能であるので、このような形態について、図36及び図37を参照して説明する。
【0058】
図36及び図37に示す形態は、図29における貫通孔4及び込み栓5に代えて、木製帯板又は木製角材からなる木製部材1における重合される面又は外面となる表裏両面2に、開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝3を設けた形態とし、一対の木製接合部材10(又は木製接合部材10と楔装置12等)に代えて、重合面2の部分で木製接合部材10を板厚方向に半割りとした一対の木製板幅方向接合部材60(又は木製板幅方向接合部材60と半分割木製楔)を、隣り合う木製部材1の接合用溝3に渡って設置することで、パネル状の木製パネルユニット6とした形態である。
【0059】
また、図36(c)(d)に示す形態は、図36(a)(b)に示す形態から、各パネル状の木製パネルユニット6の重合面2側の、一対の木製板幅方向接合部材60(又は木製板幅方向接合部材60と半分割の木製楔)を取り外して、上下の木製部材1の接合用溝3を合致させて閉鎖接合用孔9を形成して、図1(c)と同様に、前記上下の木製部材1に渡る一対の木製部材10により、接合して一体化した形態である。図37(c)には、図36(b)の上部側を拡大した図が示されている。
【0060】
図37(d)の場合は、木製板幅方向接合部材60の変形形態が示されている。この形態は、図1(d)に示す形態の一対の木製接合部材10を重合面2の部分で、木製接合部材10を板厚方向に半割りとした一対の木製板幅方向接合部材60を用いた代表形態である。
【0061】
前記の木製板幅方向接合部材60は、図1(a)〜(f)又は図2(a)〜(f)に示す形態の接合用溝3に対応して、図1(a)〜(f)又は図2(a)〜(f)に示す形態の木製接合部材10を重合面2の部分で上下2分割した部材を用いればよく、また、楔片16又は楔装置12に代えて、前記と同様、図1(a)〜(f)又は図2(a)〜(f)に示す形態の楔片16或は楔装置12を重合面2の部分で上下2分割した部材を用いればよい。
【0062】
図36(c)(d)に示す形態も、その他の形態は、図29とするために、例えば、図29(a)(b)に示すように、同面状に並列配置する断面ほぼ台形状の各木製部材1に、部材長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する貫通孔4を設けて、並列する木製部材1の各貫通孔4に渡って、帯板状の木製楔又は込栓5を圧入して、片側の木製パネルユニット6を形成したり、並列する各木製部材1の側端面に、部材幅方向のずれを拘束する傾斜したしゃくり面7を有するしゃくり面付き係合部8を設けた板状の木製部材1を上下に交互に配置して相互のしゃくり面付き係合部8を係合させて、片側の木製パネルユニット6を形成している点等は、前記実施形態と同様である。
【0063】
前記のように、木製部材1相互の接合構造において、接合用溝3を備えた木製部材1は、板幅方向に並列する複数の部材が木製板幅方向接合部材60により一体化されている部材或は木製板幅方向接合部材60と込栓5と併用して一体化されている部材であってもよく、そのような部材における木製板幅方向接合部材60を取り外して、一対の木製接合部材10に置き換えることで、木製部材1を板厚方向に一体化することができる。なお、一対木製板幅方向接合部材60は、少なくとも一対の傾斜面を有する楔部分を有するから、一対木製板幅方向接合部材60における楔部分の傾斜面の部分で相対的に狭幅方向に移動させることで、接合用溝3から取り外すことができる。このような状態の部材の重合面2の部分で接合用溝3を対向させることで、閉鎖接合用孔9を形成すれば、前記各実施形態と同様に、一対の木製接合部材10等により板厚方向に一体化さあせることができる。前記のような構造を板厚方向に重ねることで、多数重合一体化させた部材とすることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 木製部材
2 重合される面
3 接合用溝
4 貫通孔
5 帯板状の木製楔又は込栓
6 木製パネルユニット
7 しゃくり面
8 しゃくり面付き係合部
9 閉鎖接合用孔
10 木製接合部材
11 係止凸部(接合用溝側)
12 楔装置
13 溝内側垂直壁面
14 係止用溝
15 溝内側底面
16 木製楔片
17 傾斜面(楔用の)
18 側壁面(木製接合部材の一方の)
19 係止凸部(木製接合部材の)
20 側壁面(木製接合部材の他方の)
21 平坦面(木製楔片の片面)
22 境界段差部
23 係合用凸部(接合部材又は楔装置の何れか一方)
24 係合用凹部(接合部材又は楔装置の何れか他方)
25 傾斜側壁面
26 傾斜面(木製接合部材の)
27 係合溝部(木製接合部材の)
30 木製棒状楔
31 ダボ
32 貫通孔
33 凹部
34 嵌合用溝
35 嵌合孔
36 板状楔
37 ボルト
38 ナット
40 一方の木製部材
41 受け溝
42 差込部
43 他方の木製部材
44 受け溝
45 差込部
46 楔
50 木製部材
51 第1の蟻溝
52 第2の蟻溝
53 他方の木製部材
54 傾斜面
55 接合部材
60 木製板幅方向接合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面で重合される面側の開口部側の幅寸法よりも溝奥部側の幅寸法が大きい接合用溝で、溝長手方向に連続した接合用溝を間隔をおいて平行に備えた木製部材相互が重合され、各木製部材の前記接合用溝は、木製部材相互の重合面を中心として対称となるように設けられて、対向する前記接合用溝による閉鎖接合用孔がそれぞれ形成され、その各閉鎖接合用孔における前記各接合用溝に渡って、前記接合用溝の奥部側が厚肉となっている係止凸部を前記重合面を中心として対称に有する木製接合部材が前記閉鎖接合用孔に挿入配置されている木製部材相互の接合構造であって、前記木製接合部材の背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が設けられて、前記木製部材及びその各係止凸部が溝幅方向に移動されて、木製部材の接合用溝の内側面に押圧されていることを特徴とする木製部材相互の接合構造。
【請求項2】
前記接合用溝は、断面で溝幅方向に対称形状とされていると共に、前記閉鎖接合用孔は、断面で溝幅方向に対称形状とされ、前記閉鎖接合用孔における接合用溝幅方向に、木製接合部材が2つ背面相互が重合するように設けられ、前記2つの木製接合部材の背面相互に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面が設けられていることで、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木製部材相互の接合構造。
【請求項3】
前記接合用溝は、断面で溝幅方向に対称形状とされていると共に、前記閉鎖接合用孔は、断面で溝幅方向に対称形状とされ、前記閉鎖接合用孔における接合用溝幅方向に、木製接合部材が2つ間隔をおいて対称に設けられ、前記2つの木製接合部材の対向する背面相互間に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる押圧用の楔装置が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の木製部材相互の接合構造。
【請求項4】
前記閉鎖接合用孔は、木製部材相互の重合面に接続すると共に、前記重合面に対称な傾斜面、又は円弧状面、或は木製部材相互の重合面に対称であると共に木製部材相互の重合面に直角な支承面を備えている蟻溝とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木製部材相互の接合構造。
【請求項5】
木製接合部材の背面と、押圧用の楔装置との係合面のいずれか一方に係合用凸部、他方に係合用凹部を備え、前記係合用凸部と係合用凹部とが、閉鎖接合用孔の長手方向に渡って嵌合されていることを特徴とする請求項3に記載の木製部材相互の接合構造。
【請求項6】
接合用溝を備えた木製部材は、板幅方向に並列する複数の部材が一体化されている部材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の木製部材相互の接合構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の木製部材相互の接合構造を備えている、木製床パネル、木製壁パネル、木製梁、木製柱のいずれかの構造用木製部材。
【請求項8】
請求項1〜6の木製部材相互の接合構造とするための木製部材相互の接合工法であって、前記木製接合部材とその背面側に、少なくとも対向する一対の楔用傾斜面を有し、前記各木製部材の溝長手方向に伸びる前記押圧用の楔装置とを挿入した後、前記楔用傾斜面の部分で相対的に移動させることで、前記木製部材及びその各係止凸部が溝幅方向に移動させて、木製部材の接合用溝の内側面に押圧することを特徴とする木製部材相互の接合工法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate


【公開番号】特開2013−19219(P2013−19219A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154961(P2011−154961)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(390013192)株式会社高橋信吉建築研究所 (7)
【Fターム(参考)】