説明

木質パネル

【課題】芳香成分の付与場所の自由度が高く、かつ芳香の持続性が高い木質パネルを提供する。
【解決手段】木質パネル1は平面視が細長い長方形の板材であり、その表面2には化粧溝3が形成されている。化粧溝3は、断面形状がV字状の溝であり、木質パネル1の長手方向全体に延びている。化粧溝3内には、その全長にわたって芳香成分保持体5が帯状に充填されている。芳香成分保持体5は、樹脂等にフィトンチッド成分を保持させたものであり、フィトンチッド成分を表面から蒸散可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木質パネルに関する。本発明の木質パネルは、住宅等における床材、内壁材、天井材等の内装材として有用なものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の居室等の空間においては、その使用の仕方によって種々の臭いが発生する。この臭いは、場合によっては不快臭となり、適切な処置を施す必要がある。例えば、一般的な方策として、置き型消臭剤・芳香剤やスプレー式消臭剤・芳香剤の使用が挙げられる。しかし、置き型消臭剤・芳香剤の場合には、設置場所の確保や見た目が悪いという問題がある。またスプレー式消臭剤・芳香剤の場合には、その都度操作せねばならず、消臭等の効果が一時的で持続性がないといった問題がある。またいずれの消臭剤・芳香剤も消耗品であるから、買い替えが必要となり煩雑である。
【0003】
他の方策として、内装材に芳香性を有する材料を用いることが考えられる。例えば、木の香りを得るために、内装材にヒノキ等の無垢材料を使用する方策が考えられる。しかし、無垢は反りや割れといった品質上の問題が起こりやすく、また高価であるため、汎用性に乏しい。
【0004】
一方、内装材に消臭性や芳香性の機能を付与する方策が知られている。例えば、特許文献1には、香料を封入したマイクロカプセルを実部(接続部)に付着させた建築用板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭55−126141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された技術では、建築用板の接続部分にしか香料を付与できず、香料の付与場所が限定される。
【0007】
上記現状に鑑み、本発明は、芳香成分の付与場所の自由度が高く、かつ芳香の持続性が高い木質パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、表面に化粧溝が形成された木質パネルであって、前記化粧溝は、断面形状がV字状でかつ木質パネルの長手方向に形成されており、前記化粧溝内にフィトンチッド成分を付与したことを特徴とする木質パネルである。
【0009】
本発明は表面に化粧溝が形成された木質パネルに係るものであり、当該化粧溝は、その断面形状がV字状でかつ木質パネルの長手方向に形成されている。そして本発明の木質パネルでは、化粧溝内に芳香成分たるフィトンチッド成分が付与されている。本発明の木質パネルでは、化粧溝内にフィトンチッド成分を付与するので、付与場所の制約が少なく、自由度が高い。また、化粧溝の全体を利用できるので、より多量のフィトンチッド成分を付与することができる。そのため、芳香(木の香り)の発散効果が高く、持続性にも優れている。また、既存の化粧溝を利用できるので、木質パネルの木質感や高級感といった外観に影響を与えにくい。またさらに、製造・施工に際しては、化粧溝内にフィトンチッド成分を直接付与するだけの簡単な作業で足り、複雑な工程を必要としない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の木質パネルによれば、芳香成分の付与場所の自由度が高い。また、より多くのフィトンチッド成分を付与することができ、芳香(木の香り)の発散効果が高く、持続性にも優れている。さらに、木質パネルの外観への影響が小さく、製造・施工も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る木質パネルを示す断面斜視図である。
【図2】本発明の木質パネルの敷設例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の理解を容易にするために、各図面において、各部材の大きさや厚みについては一部誇張して描かれており、実際の大きさや比率等とは必ずしも一致しないことがある。さらに、本発明が以下の実施形態に限定されないことは勿論である。
【0013】
図1に示す本発明の一実施形態に係る木質パネル1は、平面視が細長い長方形の板材である。木質パネル1は、合板やMDF等の木質材料で構成されている。
【0014】
木質パネル1の表面2には、化粧溝3が2本形成されている。化粧溝3は、断面形状がV字状の溝であり、木質パネル1の長手方向全体に延びている。平面視において、化粧溝3は、木質パネル1の長辺と平行に配されている。化粧溝3の深さやV字形状が成す角度については、化粧溝としての機能を有する限り、特に限定はない。
【0015】
化粧溝3内には、その全長にわたって芳香成分保持体5が帯状に充填されている。芳香成分保持体5は、樹脂等にフィトンチッド成分を保持させたものであり、フィトンチッド成分を表面から蒸散可能である。芳香成分保持体5は、例えば、フィトンチッド成分を含有させた軟質の樹脂原料を化粧溝3内に連続的に充填し、そのまま硬化させることにより作製することができる。化粧溝3内への充填は、例えば、図1に示すような先細の吐出口を備えた充填容器6を用いて行うことができる。
【0016】
本実施形態の木質パネル1においては、芳香成分保持体5からフィトンチッド成分が長期間にわたって持続的に蒸散される。
【0017】
木質パネル1の長手側面には、雄実7と雌実8が形成されている。雄実7は、木質パネル1の一方の長手側面に設けられている。雄実7は、木質パネル1の長手側面の長手方向全体に延びる突条であり、その断面形状は長方形状である。
【0018】
一方、雌実8は、木質パネル1の他方の長手側面に設けられている。雌実8は、木質パネル1の長手側面の長手方向全体に延びる凹状の溝であり、その断面形状はコの字状である。雌実8を構成する溝の形状は、雄実7を構成する突条の形状に合致し、雌実8は雄実7に嵌合可能である。
【0019】
木質パネル1を敷設する際には、複数の木質パネル1の長手側面同士を突き合わせて並べ、木質パネル1同士を接合する。長手側面同士の接合は、雄実7を雌実8に嵌入し、両者を嵌合することにより行う。このとき、木質パネル1表面の化粧溝3は、敷設後において、全て互いに平行となる。
【0020】
木質パネル1は、住宅等の内装材として用いることができる。例えば、図2に示すように、居室10の床面11、内壁面12、及び天面15に適用することにより、長期間にわたって木の香りが持続する居住空間を提供することができる。また、芳香成分保持体5は化粧溝3内に連続的に充填されているから、化粧溝3による美しい外観がそのまま保たれる。
【0021】
上記した実施形態は、芳香成分保持体5を化粧溝3内に充填するものであったが、他の実施形態も可能である。例えば、化粧溝3の内面にフィトンチッド成分を塗布することにより、化粧溝3内にフィトンチッド成分を付与してもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 木質パネル
2 表面
3 化粧溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に化粧溝が形成された木質パネルであって、
前記化粧溝は、断面形状がV字状でかつ木質パネルの長手方向に形成されており、
前記化粧溝内にフィトンチッド成分を付与したことを特徴とする木質パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−2201(P2013−2201A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136227(P2011−136227)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】